痛風になる前に知ってほしいこと 食事や原因、前兆について

2022.6.14

はじめに

 

健康診断で尿酸の値が高いと言われた

そんなにビールばかり飲んでたら痛風になるよと言われた


なんて経験をされたことはないでしょうか。


「そういえば職場のおじさんが足痛そうにしていたけど、自分には関係ないかな~」

なんて甘く見ていてはいけないんです。


近年、飽食の時代になり痛風、高尿酸血症は増加傾向にあります。


昔の人はよく言ったもので「風が吹くだけで痛む」ような激痛に襲われるのが痛風の特徴です。


早い段階で生活習慣を改善して痛風を予防できるなら、それに越したことはありません。


今回は痛風の特徴や原因、対策について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。


痛風とは

痛風になりやすい場所


さて、痛風とはいったいどんな病気なのでしょうか。風が吹いても痛いと昔から言われ、中年の男性が足を引きずっているところを想像するといった方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、痛みが強いという病名が先を行ってしまって、いまいちどんな病気なのか知らないという方も多いと思います。


痛風とは、体内の尿酸が多い状態(高尿酸血症といいます)が続いたことで尿酸が結晶として析出し、急激に関節を刺激して関節炎を起こしている状態をいいます。


 溶けきれなくなった砂糖がコップの底に溜まるように、体内の尿酸が上がりすぎると血液の中に溶けきれなくなり、関節の中に結晶が析出(固体が分離して出てくること)するのです。尿酸が結晶化しているのでチクチクと関節を攻撃されるというイメージですね。

痛風は男性がなりやすく、女性はなりにくい


さてそんな痛風、高尿酸血症が実は最近増えてきているのです。


食生活の欧米化に伴って高尿酸血症の患者数は年々増加し、2010年頃には成人男性の20−25%に高尿酸血症が認められています。


そして先ほどのイメージ通り、特に男性に多いです。


高尿酸血症の頻度は全人口の男性で20%、女性で5%と報告されています。


 男性に多いのが特徴ですが、女性の方も油断できません。


厚生労働省の国民生活基礎調査で推定される


痛風患者数は、
2016年の時点では全国で100万人を超えているとされ、急速に増加していると報告されています。


痛風になりやすい体の部位


そして痛風は症状にも特徴があります。多くの痛風発作で関節炎を起こすのは、決まって足の
親指の付け根です。


もしくは他の足の指か、足首の関節などが多く、足回りと思っていただいてよいでしょう。


痛風になるとどんな痛みがあるのか


足の親指などに急激に痛み
があるのが痛風の特徴ですが、痛み方にも特徴があります。


関節のムズムズ感、不快感の後に痛みに移行し、24時間以内にピークに達するのが特徴です。


だいたい数日から2週間程度で発作は治ります。夜に多いのも特徴の一つですね。


どんな前兆がある?


さらっと述べましたが、
痛みの前に前兆があるのが痛風の特徴の一つです。


急激な痛みが来る前に、関節がむずむずして不快に感じる前兆(tinglingなどと言います)があることが多いです。

痛風の原因


「なんとなく痛風がどんな病気なのかわかってきたよ」という方も増えてきましたでしょうか。

では痛風はなぜ起こるのでしょうか?

最初に少し述べたように、痛風は尿酸結晶による関節炎です。


尿酸の結晶がちくちくと関節を痛めているイメージでしたね。


しかし結論から言うと、この結晶形成の因子はよくわかっていません。


血液の酸性度、尿酸の溶解度、体温などさまざまな要素によるものと考えられていますが、どのような原因で尿酸が結晶化して関節に沈着するのかはわかっていません。

なんと高尿酸血症の人のうち、ほとんどの人は痛風にならないということです。


尿酸値が高くても、結晶になって関節にダメージを与えるかどうかは人それぞれなんです。

関節に沈着して炎症を起こすかどうかには、遺伝子の違いがあるといったことなどが議論されています。

痛風になりやすい人の特徴

痛風になりやすい人の特徴


先ほど述べたように高尿酸血症があるからといって痛風になるとは限りません。


しかし尿酸値が高いと尿酸が結晶になりやすいことは間違いありません。


したがって尿酸値が高い人は痛風になりやすいといってもよいでしょう。


生活習慣との関連もあり、厳密な相関関係があるかはわかりませんが、中年以上の男性に多いのも特徴です。

また先ほどの遺伝子の話にもつながりますが、ポリネシアの人々や台湾の原住民では欧米の2倍以上の罹患率と報告 されており、食文化だけでなく遺伝的な影響もあるのかもしれません。

 痛風予防に悪い食べ物と良い食べ物は?


痛風に悪い食べ物や飲み物

「痛風がやっかいな病気というのはわかったから、どうしたらいいか教えてよ」という方もいらっしゃるかもしれません。


ここが一番知りたいところですよね。どんな食べ物が痛風に悪くて、どんなものを食べると痛風になりにくいのか。


結論から言って、

  • アルコール
  • 赤い肉
  • 砂糖入りの飲み物
  • 海産物
  • 利尿薬

は痛風のリスク因子になります。


アルコールや砂糖は肝臓で代謝されて尿酸値が上がる原因になります。


他にもプリン体の多い食べ物が痛風のリスクになります。


プリンとプリン体は全く別物です。


細胞の核に含まれる核酸の構造の名前です。ややこしいですよね。食生活とは少しずれますが、利尿薬も高尿酸血症、痛風のリスクになります。

 

痛風に効く薬や痛み止めについて


「そんなことはいいから、この足の痛みをどうにかしてくれ!」という方はさすがにいらっしゃらないでしょうか。


いらっしゃったらすぐにでもお近くの医療機関を受診されることをおすすめします。


さて、急性の痛風発作の治療は消炎鎮痛薬とコルヒチン、ステロイドです。


また患部を氷で冷やすと痛みが楽になります。


発作を乗り越えた場合は、尿酸値を下げるお薬も検討します。


尿酸降下薬の候補は以下の通りです。

  • 尿酸合成阻害剤(例;アロプリノール、フェブキソスタット、etc.)
  • 尿酸排泄薬(例;プロベネシド、ベンズブロマロン、etc.)
  • 尿酸酸化酵素(例;ラスブリカーゼ、etc.)


細かい使い分けなどは今回は割愛します。

発作の時には、なによりも関節炎を和らげることが大事なので、冷やして痛み止めを使うというふうに考えていただければよいでしょう。

西春内科在宅クリニックができる対応


当院では
血液検査で尿酸値を測ることや消炎鎮痛薬や尿酸を下げるお薬を処方することができます。


高尿酸血症があっても痛風が起きるかどうかは別物というのが難しいところですが、患者様それぞれの状態・状況にあわせてベストな生活指導や投薬を行えるように日々努力しています。


気になる症状がございましたらお気軽に当院へご相談ください。


まとめ


以上、痛風の概要、特徴などに関してまとめてみました。


「風が吹いても痛い」というところから病名がとられるほど、昔から知られた病気なのに、よくわかっていないことも多く奥が深いですね。


ただ現時点でも食事や運動などの生活習慣との関わりが解明されていたり、日々治療法も進化しています。


健康診断で尿酸が高いと言われたり、足の親指が痛くなったりといったことに心当たりのある方は、一度ご相談に来られてはいかがでしょうか。


この記事が少しでも多くの方の参考になれば嬉しい限りです。最後までご覧くださりありがとうございました。


◆関連記事:
高尿酸血症ってどんな病気?合併症や痛風について

 

参考文献

1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン. 日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改定委員会 編. 2019.
2) 冨田眞佐子ら. 高尿酸血症は増加しているか?. 痛風と核酸代謝 2006;30:1-5.
3) 厚生労働省 国民生活基礎調査 結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/04.pdf
4) Nicola D, et al. Gout. Lancet. 2016 Oct 22;388(10055):2039-52.





西春内科・在宅クリニック 福井 康大院長

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