関節リウマチのしてはいけない10項目とは|リウマチになりやすい性格がある?

公開日:2023.2.21 更新日:2024.4.08




関節リウマチとは、免疫反応の異常で関節に炎症が起こってしまい、関節の痛みや腫れが出る病気です。

症状が進行すると、関節が変形して歩きにくい・関節が動かなくなるなどといった強い症状が出てしまいます。

今回は、関節リウマチの原因や初期症状、治療などについて詳しく解説していきます。




関節リウマチになる原因




関節リウマチは、自己免疫の異常によって滑膜(かつまく)(*1)を攻撃してしまう病気です。

なぜ自己免疫の異常が起こるかについてはまだはっきりとわかっていない部分があります。

しかし、遺伝因子と環境因子が関与していると考えられています。

遺伝因子も一つだけではなく、関節リウマチの発症に関わる遺伝子はすでに数十個ほど見つかっています

しかも、それらの遺伝子を持っているからといって必ずしも関節リウマチになるというわけではありません

環境因子としては、以下などが知られています。

  • 喫煙
  • 感染症
  • 出産
  • 手術
  • ストレス

滑膜(*1)=関節を内側から覆っている膜

 

 

関節リウマチのしてはいけない10項目とは




関節リウマチのしてはいけない10項目は下記になります。

  1. 激しい運動
  2. 関節を冷やす
  3. 和式トイレ
  4. 高い枕
  5. 肥満
  6. 重い物を持つ
  7. 正座
  8. 長時間同じ姿勢をとる
  9. 喫煙
  10. ストレスを溜める
以下でそれぞれ個別に解説します。

 

激しい運動

関節の痛みが出ている時に激しい運動をすると痛みが強くなります。

発熱をしている時や強い痛みがある時は激しい運動は避けて安静にしましょう。

発熱や強い痛みがない状態の時は、適度な運動を心がけましょう。

水中では膝に過剰な負荷がかからないため、水中運動はおすすめです。

リウマチによる炎症が強い時期でなければ、関節を定期的に動かして拘縮(凝り固まること)を予防しましょう

ゆっくり手足の関節を曲げ伸ばししたり、関節を支えるふとももの筋肉を鍛えたりすると効果的です。

 

関節を冷やす

関節を冷やすとリウマチの症状を悪化させる可能性があります。

痛みがある場所は外気に触れないように衣服やサポーターなどで覆いましょう

運動前に関節を温めてから運動をすると効果的です。

 

和式トイレ

和式トイレは膝を強く曲げなくてはいけないので、過剰な負荷となります。

洋式トイレに変更するなど工夫しましょう。

 

高い枕

関節リウマチは首の靭帯にも影響します。

症状が進むと、軽い力でも首の骨の脱臼(環軸椎亜脱臼)を起こしかねません。

環軸椎亜脱臼は首と頭の境目の部分の脱臼で、手足のしびれ、動かしにくい、呼吸がしにくい、めまい、ふらつきなどの重い症状を起こすこともあります。

首を無理に曲げたり伸ばしたりするような枕は避けて、タオルなどで調節しましょう

 

肥満

肥満は手足の指など末端に負担がかかるため、関節リウマチの場合は関節破壊が進む一因となりえます。

単純に健康を考慮する上でも肥満は様々なリスクがあるため、適正体重の維持に努めましょう。

 

重い物を持つ

重い物を持つと手足の指や膝といった、リウマチ性関節炎の好発部位に負担がかかります。

事情を話して他の人に依頼するか、専用の道具を使うようにしましょう。

 

正座

正座は下肢の関節に大きな負担がかかる姿勢です。

もし正座しなければならない状況が訪れたら、事情を説明して免除してもらうようにすると良いでしょう。

 

長時間同じ姿勢をとる

長時間同じ姿勢をとると、場合によっては同じ部位に負担がかかることに繋がります。

そのため、意識できるのであればこまめに姿勢を変えるか、負担の少ない姿勢を心がけましょう。

 

喫煙

喫煙も関節リウマチの悪化因子の一つとされています。

他の健康リスクもあるため、特に関節リウマチの場合は禁煙するのが望ましいです。

 

ストレスを溜める

ストレスを溜めることも関節リウマチの悪化因子とされています。

 

 

関節リウマチになりやすい性格がある?




免疫疾患であるため性格による罹患のしやすさというのは特にありません。ただし、神経症気質の人は初期症状にいち早く気づいたり、罹患後に患部をいじって増悪させてしまうケースがあることから、こうした性格の人がかかりやすいといわれることもあります。

遺伝が関連しているため、親や兄弟で関節リウマチの人がいる場合、そうでない人と比べると4倍も関節リウマチになりやすいことがわかっています。

男女比はおよそ1:3であり、女性に多い病気40〜50歳前後から症状が出てくることが多くあります。最近ではさらに高齢での発症が増えてきています。

 

 

関節リウマチの主な症状




関節リウマチの初期は、手首や足首の関節が左右両方とも腫れたりします

特に朝、からだを動かし始める時にこわばりを感じることが多いです

病状が進行すると、膝や股関節などの大きい関節に炎症が起こります

そして、水がたまったりして動かしにくくなり強い痛みが出ることがあります。

また、関節の痛みだけではなく、微熱やだるさ、貧血を起こす場合もあるので、注意が必要です。

関節リウマチは、以下など多くの合併症が起こりやすくなることがわかっています。

  • ドライアイや強膜炎(白目の炎症)などの眼の症状
  • ドライマウスやシェーグレン症候群(涙腺や唾液腺に炎症を起こす病気)などの他の自己免疫性疾
  • 首の骨の脱臼(環軸椎亜脱臼)
  • 間質性肺炎や心外膜炎などの肺・心臓の病気
  • アミロイドーシス(アミロイドという異常なタンパクが全身の臓器に沈着して機能障害を起こす病気)

 

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関節リウマチの診断基準




関節リウマチは、症状が進行してしまう前に早期診断することが重要です。

関節の腫れが1ヶ所以上あり、以下のような他の病気よりも関節リウマチを疑うような場合に、血液検査を行い数値化して診断します。

関節の腫れや痛みを起こしうる他の病気

  • 変形性関節症
  • 痛風
  • 感染性関節炎
  • 乾癬性関節炎
  • その他の自己免疫性疾患・膠原病

一つの症状や血液検査項目から関節リウマチと診断することは難しく、全ての情報を総合的に判断する必要があります

血液検査では、炎症反応(CRP・血沈)やリウマトイド因子、抗CCP抗体などを確認します。

関節リウマチの治療について




関節リウマチの治療は、以下の薬を中心として使用されます。

  • 関節で起こっている免疫異常を抑える抗リウマチ薬
  • 痛みや炎症を軽減するステロイド
  • 痛み止めとして消炎鎮痛薬


抗リウマチ薬は、関節リウマチで起こる異常な炎症を抑える薬剤の総称です。

Disease modifying anti rheumatic drug; DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)とも呼ばれます。

関節リウマチで最もよく用いられるのはメトトレキサートなどの免疫抑制薬や免疫調節剤です。

新薬として生物学的製剤とJAK阻害薬という分子標的薬が抗リウマチ薬に含まれます。

薬物治療を行っても関節の破壊や拘縮が強い場合は、人工関節置換術などの手術療法を行うこともあります。

 

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関節リウマチの予防・改善策




関節リウマチの発症は遺伝要因と環境要因が複雑に関わっていることはわかっています。

しかし、未だに詳しいメカニズムはわかっていない状態です。

残念ながら関節リウマチで確立された予防法はありません

環境要因として以下があります。

  • 喫煙
  • 感染症
  • 出産
  • 手術
  • ストレス


また、疲れや体調不良など、免疫力が低下した時に発症しやすいと言われています。

食事のバランスや睡眠をしっかりとる、適度に運動するなどの生活習慣を整えて病気を予防しましょう。

ヨーグルトを食べると関節リウマチの予防になるという噂がありますが、こちらは残念ながら科学的根拠はありません

関節リウマチの患者さんでは乳酸菌などの腸内細菌が変化していることがわかっています。

しかし、必ずしもヨーグルトで予防・治療できるというわけではありません

関節リウマチを発症した場合には、早期診断と治療がとても大切です。

関節リウマチを疑った場合は、自己判断やセルフケアだけではなく病院を受診しましょう

関節リウマチはリウマチ内科や整形外科、総合内科で診察が可能です。

 

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西春内科在宅クリニックができる対応


関節リウマチの症状が進行すると、痛みが強く通院が難しいこともあります。

また、冬場は寒さで症状が悪化してしまうこともあります。

そのような場合、西春内科在宅クリニックでは在宅診療で関節リウマチの診察や治療、薬の処方などを受けることができます。

まずはお気軽にご相談ください。



まとめ


今回は関節リウマチの原因や初期症状、治療などについて解説しました。

関節リウマチは一度の治療で症状がすっきり治ってしまうものではありません。

発症後長く付き合っていかなくてはならない疾患です。

最近では研究も進み、関節リウマチを早くから治療することで痛みや関節の重い障害を防ぐことができるようになってきました

そのためには、早期に関節リウマチを発見・治療することが大切です。

記事を読んでいただき、「もしかして関節リウマチかも?」と思ったり、関節の症状があったりする場合は、ぜひ病院を受診くださいね。

参考文献

日本リウマチ学会「メトトレキサートを服用する患者さんへ 第3版」のお知らせ

関節リウマチの合併症・副作用対策

日本整形外科学会「関節リウマチ」

関節リウマチの疫学・診断・診療ガイドライン

健康長寿ネット「関節リウマチの原因」

日本脊髄外科学会「頭蓋頚椎移行部病変(環軸椎亜脱臼など)」

前田悠一ら.関節リウマチ患者における腸内細菌叢の異常.日本臨床免疫会会誌Vol39.No1.

この記事の監修医師

監修医師: 救急科専門医 新井 久美子 

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

三重大学医学部医学科 卒業
三重県立総合医療センター 
N2 clinic