腎ろうとは?どんな人が対象になるのか?在宅における注意点を解説

公開日:2023.4.24 更新日:2026.2.25

ろう は腎臓から膀胱への尿の通り道である尿管の通りが悪く、腎臓の機能が悪くなってしまうことを防ぐための手段です。

また、身体に管が入ることになるため、管理には注意が必要です。

今回は、腎ろうを造設する目的や対象となる患者、注意点などについて詳しく解説していきます。

腎ろうとは?

腎ろうは背中から腎臓に穴をあけて、チューブ( カテーテル )を留置し、尿の流れを確保する方法です。

腎臓で作られた尿は、尿管を通り、 膀胱 へ流れていきます。

膀胱 に溜められた後、尿道から排出されるというのが正常な流れです。

ところが 悪性腫瘍が尿路への侵入し、正常組織を破壊したり、尿路損傷により腎臓から膀胱までの尿の流れが妨げられtりしてしまいます。

すると腎臓から先へ尿を流すことができなくなり、そのまま放っておくと腎不全になってしまいます。

そのため腎臓から尿を外に出すための方法として腎ろうが必要になるのです。

腎ろうの対象となる患者・適応疾患について

腎ろうの目的は大きく分けると尿路変更、泌尿器尿路内視鏡の2つあります。

腎ろうを造設し、長期的な管理が必要となるのは、主な尿路変更を目的とする場合です。

今回は尿路変更目的の腎ろうについて解説していきます。

尿路変更は、量感閉塞による腎機能低下を防ぐ目的で行われます。

尿管閉塞を起こす主な原因として以下などが挙げられます。

  • 尿管結石
  • 腫瘍の浸潤
  • 悪性腫瘍による尿管圧迫

これらの尿管閉塞状態で、特に尿管ステントの留置が困難または無効な場合に、腎ろう造設が検討されます。

その際、具体的な適応疾患は、以下の通りです。

  • 尿管結石が尿管に詰まって動かなくなった状態(嵌頓)
  • 胃癌などの消化器癌による腹膜転移や子宮癌などの婦人科癌による尿管圧迫
  • 腫瘍の尿管浸潤を伴う閉塞

腎ろうとウロストミーの違い

尿路変更には腎ろうと別の方法としてウロストミー(尿路ストーマ)があります。

ウロストミーは回腸導管や尿管皮膚ろうといった尿路変更術によって造設され、尿の出口を腹部に新たに作る治療法です。

増設後は、新しく作られた尿の出口(ストーマ)に装具を装着し、尿をためて定期的に交換しながら管理します。

ウロストミーを造設する原因のほとんどが膀胱がんで、膀胱を摘出後の尿路変更として行われます。

また、腎ろうではなく、ウロストミーを選択するためには尿管が利用できることが前提です。

そのため、尿管閉塞状態や尿管ステントによる尿路確保が困難な場合にはウロストミーではなく腎ろうを選択されます。

腎ろうに痛みはある?

腎ろうを造設する際には麻酔をして行いますが、麻酔が切れると最初のうちは管の入っている箇所に痛みを感じることがあります。

次第に痛みは和らいできますが、落ち着いてからも管が動くことで痛みを感じてしまう方はいらっしゃいます。

なので、管の固定の仕方や、強く引っ張ったりしないよう注意が必要です。

在宅での腎ろうのカテーテル交換時の注意点

腎ろうのカテーテル交換は、条件を満たせばレントゲン撮影設備がない在宅でも実施することが可能です。

しかし、腎ろうを造設した直後はカテーテルの通り道が十分に形成されていません。

カテーテルの通り道が安定するまでの1ヶ月程度、泌尿器科での交換が必要です。

瘻孔が十分に安定し、レントゲンを使用せずにカテーテル交換が安全・円滑に行えることが確認できれば、在宅での交換が検討されます。

また、 カテーテル交換がスムーズに行えない、カテーテルが抜けてしまってしばらく時間が経過してしまった場合には、在宅でのカテーテル交換は困難になります。

上記に該当する場合、対応可能な医療機関での処置が必要です。

腎ろうはいつまで続ける必要がある?

腎ろうを造設した後は尿やカテーテル自体の管理に注意をしなくてはならないため、これまでの生活とは大きく変わってしまいます。

徐々に腎ろうに慣れていくとはいえ、いつまで続けなくてはいけないのかと考えるのは当然のことです。

腎ろうをいつまで続ける必要があるのか、ということについては、原因が何であるかが重要です。

尿管結石が原因である場合には結石を取り除くことで腎ろうが不要になる可能性はあります。

悪性腫瘍による尿管閉塞であれば、悪性腫瘍が改善しない限りは腎ろうは一生必要となります。

腎ろうの脇から尿が漏れる時は

腎ろうによって腎臓で作られた尿はカテーテルを通じてバッグへ回収されます。

しかし、カテーテルの脇から漏れてしまうこともあります。

ほとんどの尿がバッグへ回収できており、多少漏れている程度であれば、あまり気にする必要はありません。

しかし、ほとんどが漏れてしまうような場合には、以下の原因が考えられます。

  • カテーテル内に汚れが詰まっている
  • カテーテルの先端の位置が悪い
  • カテーテルが折れ曲がってしまっている

ご自身で対処可能な問題もあれば、カテーテル交換が必要な場合もあります。

原因がわからない場合には医療機関へご相談いただくことをお勧めいたします。

関連記事:自己導尿の目的とは?カテーテルとの違いや男女別の手順を解説

腎ろうからの尿量が少ない時は

腎ろうから流れてくる尿量が少ない場合に原因として考えられるのは、以下の通りです。

  • 脱水状態で作られる尿量が減っている
  • 前述の脇漏れの原因と同様でカテーテルに異常がある

脱水状態については水分補給や点滴で対応、カテーテルの異常については前述の通り対応が可能です。

何が原因なのかよくわからない場合やご自身で解決が難しい場合には、医療機関へご相談いただくことをお勧めいたします。

腎ろうの予後について

腎ろうでは、腎臓を通して尿が一時的に集まる部分(腎盂)までカテーテルの先端を入れて固定(留置)しています。

そのため、腎臓への影響はないのか不安に感じられる方がいらっしゃるかもしれません。

腎ろうを造設した直後は腎臓から出血が見られることや、腎臓の機能が低下することはあります。

しかし、これは一時的な変化で、腎機能が大きく低下することは稀です。

訪問診療での腎ろうの対応

訪問診療では腎ろうのカテーテルを交換し、適切に固定するといった処置を自宅や施設で行うことができます。

また、腎ろうから尿が流れてこないなど、腎ろうに関わるトラブルについて簡単なものであれば、自宅や施設で対応することが可能です。

西春内科在宅クリニックができる対応

腎ろうの カテーテル は少なくとも月に1回交換が必要です。

そのため、通院が難しい方は自宅や施設での交換ができると負担が軽減します。

西春内科在宅クリニックでは在宅医療でのカテーテル交換が可能です。

カテーテル管理についても丁寧に指導させていただきます。

他にも様々な不安があるかと思いますので、ご相談いただいたことについて親身に対応したいと考えております。

まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、腎ろうを造設する目的や対象となる患者、注意点などについて詳しく解説しました。

腎ろうは造設した後、一生付き合っていかなくてはならないことがほとんどであり、

管理の仕方が大切です。

記事を読んでいただき、今後腎ろう管理が必要になりそう、

現在腎ろう管理しているけれど今後の管理が心配

という方は、ぜひご相談ください。

【参考文献】

「がん患者の泌尿器症状の緩和に関するガイドライン2016年版」日本緩和医療学会

この記事の監修医師

監修医師: 日本泌尿器科学会専門医 石川 智啓

専門領域

泌尿器科一般

認定・資格

泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会)
da Vinci Surgical Systemコンソールサージャン・サーティフィケート

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科

資格

日本専門医機構認定 内科専門医