高齢者の運動はフレイル予防になる?おすすめの方法や1日の目安を紹介

2023.11.20

高齢者運動

健康寿命とは寝たきりにならず、健康的に過ごせるまでの期間のことを言います。

高齢者にとって健康寿命を伸ばすためには健康的な食事だけではなく、運動が必要不可欠です。

運動をすることで筋力、心肺機能が向上し、運動機能だけでなく、認知機能の維持にも役立ちます。

この記事では高齢者にとって運動が必要な理由、運動量の目安、運動方法などについて詳しく解説していきます。

ぜひ最後までご覧になって参考にしてみてください。



高齢者にとって運動が必要な理由


高齢者運動

高齢者にとって、運動が必要な理由はいくつかあります。

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

生活習慣病の予防


生活習慣病とは高血圧や糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの不摂生や運動不足によって発症リスクが高まる病気全体のことを言います。

運動することによって、これらの病気を予防し、健康な身体を維持することができます。

フレイルの予防


フレイルとは、高齢者の虚弱状態を意味します。

運動をして運動能力を高めて、筋肉をつけることによってフレイルを予防することができます。

フレイルについて詳しく以下からご確認いただけます。

▶︎介護が必要になる原因で多いフレイル(高齢による衰弱)とはどんな状態なのか?

サルコペニアの予防


サルコペニアとは筋肉量が減少してしまっている状態を意味します。

運動によって筋肉を使うことで、筋肉量を維持、向上させ、サルコペニアを予防することが可能です。

サルコペニアについて詳しく以下からご確認いただけます。

▶︎【加齢による筋肉量の低下】サルコペニアとは?症状やフレイルとの違い、診断基準について

認知症の予防


運動によって認知症のリスクが軽減し、認知機能が改善する可能性があります。

認知症について詳しくは以下からご確認いただけます。

▶︎アルツハイマーと認知症の違いは?原因や初期症状、なりやすい人の特徴について

免疫力低下の予防


運動は免疫機能を向上させ、風邪を引きにくくする健康な身体を維持することに有効です。

▶︎免疫力を高める方法や食べ物について|低下してしまう原因も解説

運動が必要かもしれない高齢者の特徴


高齢者運動

運動が必要かもしれない高齢者の方の特徴について解説していきます。

当てはまる方は、早めに運動療法を取り入れることを検討してみてください。


☑以前よりも歩くスピードが遅くなった
☑以前よりも転びやすくなった
☑最近疲れやすさを感じる
☑立ち上がるのが難しいと感じる
☑長い距離を歩くことができない
☑最近体重が増加してきた

 
これらの特徴がある方は、日常生活に運動を取り入れることが効果的です。



健康寿命を伸ばすために必要な運動とは


高齢者運動

高齢者の健康寿命を伸ばすために必要な運動はストレッチや体操、有酸素運動、筋力トレーニングなどです。

それぞれの具体的な方法は、後の【おすすめ運動法】にて詳しく解説していきます。



高齢者にとっての1日の運動量の目安は?


高齢者運動

高齢者にとっての1日の運動量の目安について厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」に示された基準をみてみましょう。

30分以上の運動を週2日以上行う


厚生労働省の基準では、日本人の全世代に向けた運動量の目安を30分以上・週2日以上としています。

筋力や持久力を向上するため、高齢者でもこのペースでの運動が必要とされるでしょう。

具体的に取り組みやすい回数で運動を始め、30分以上・週2回以上を目指してください。

生活活動も含めて毎日40分以上動く


65歳以上では、「横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分以上行う」ことが基準になっています。

これは、寝ている時間が長くなることで身体の代謝が落ちてしまうので、できるだけ活動して、生活習慣病や生活機能の低下を防ぐことを目的としています。

運動以外にも、洗濯や掃除、買い物での移動など、日常生活での活動を意識してみましょう。

1日10分動く時間を増やす


運動習慣がない人にとって、いきなり30分以上運動をすることはなかなか難しいと考えられます。

その場合、まずは1日10分程度もいいので、動く時間を増やすことがおすすめです。

▶︎高齢者の足のむくみの原因とは|放っておくと危険な理由も解説

高齢者向け:おすすめの運動方法


高齢者運動

有酸素運動


始めやすい運動として有酸素運動があります。

高齢者の方では膝に負担が少ないウォーキングが特におすすめです。

ウォーキング時は、歩幅をいつもより大きくしてややきついと感じる程度のスピードで、背筋と膝をしっかりと伸ばし、腕をしっかり振って歩くことを意識してみてください。

週に2回以上、1回30分以上は運動する習慣をつけるように意識してみましょう。

有酸素運動はウォーキングの他にも、より膝に負担がすくない水中歩行、サイクリングなどもおすすめです。

ストレッチ、体操


ストレッチや体操は、室内でも手軽にできます。

体が硬くなってしまうことで、痛みに繋がったり、運動機能も低下してしまいます。

テレビを見ながら、リビングでゆっくりしているときなど、色々なタイミングで取り入れてみましょう。

筋力トレーニング


筋肉は使えば使うほど、大きく強くなります。

筋力がつくことで、転びにくくなり、歩行もしやすくなります。

転倒予防にぜひ取り入れてください。

筋力トレーニングはかかとの上げ下げ、スクワット、ももあげ、腕立て伏せなど、自分の体重を使って行う方法がおすすめです。

▶︎健康寿命を伸ばすためのポイントや気をつけるべき病気や疾患とは

西春内科在宅クリニックができる対応


基本的には運動療法はご自宅やリハビリ施設、ジムなど個人で行うことが大切です。

西春内科在宅クリニックでは、生活習慣病がある方や、転びやすくなっている高齢者の方に対して運動療法の必要性、内容について具体的に指導することが可能です。

わからないこと、聞きたいことがありましたらいつでもお気軽にご相談ください。



まとめ


健康寿命とは寝たきりにならず、健康的に過ごせるまでの期間
のことを言います。

高齢者にとって健康寿命を伸ばすためには運動を行うことが必要です。

この記事で紹介した運動を取り入れて、健康的な身体を目指してください。

ご不明な点があればいつでもお気軽にご相談ください。

参考文献
‣健康長寿ネット. 健康長寿を実現する運動
‣高齢者が運動を行う必要性と効果は?健康長寿を実現させるためのおすすめの運動など
‣厚生労働省.「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」について

この記事の監修医師

監修医師: 整形外科医 三浦 隆徳

専門領域

股・膝関節

資格・業績

日本整形外科学会整形外科専門医
医学博士
2017年 第66回東日本整形災害外科学会 学術奨励賞受賞
2019年 第68回東日本整形災害外科学会 学術奨励賞受賞

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

三重大学医学部医学科 卒業
三重県立総合医療センター 
N2 clinic