犬に噛まれたらどうする?病院に行かないのは間違い?

公開日:2024.6.04 更新日:2024.10.11

犬に噛まれた

皆さん、動物はお好きですか?

コロナウイルスの影響でペットを飼うご家庭が増えたとの事です。

犬、可愛いですよね!

しかし、犬は可愛いだけでなく立派な牙があります。

時には噛まれたりしてどうしよう…となった飼い主さんも多いと思います。

そこで今回はペットに嚙まれた際のリスクや対処法についてみていきましょう。




犬に噛まれた場合の被害について


犬に噛まれた

動物に噛まれた傷を「動物咬傷」と言い、特に犬や猫に噛まれた傷を「ペット咬傷」と言います。

「ペットだし、大丈夫だろう…」と様子を見て、症状が悪化してしまうケースが多いです。

具体的にどのような被害があるのか見ていきましょう。

裂傷・出血


ペットの爪や牙で噛まれたり、ひっかかれたりすることで皮膚が切れ、出血することがあります。

傷口から細菌などが侵入することもあるので、速やかな応急処置が必要です。

また、深さによっては縫合する必要があります。

筋肉や神経の損傷


噛まれた場所や深さによっては筋肉や神経に損傷を受けることもあります。

感覚が鈍ったり、動きが悪くなったりします。

骨折


犬は犬種によって被害が大きく左右されます。

大きな犬種だと噛む力も強く、骨折に至るケースもあります。

多い場所だと骨が比較的細い指などです。

感染症


一番警戒しなくてはならないことが感染症です。

生き物ですから、口の中や爪には細菌や、常に存在している常在菌がいます。

その細菌や常在菌が傷口に侵入し、感染症を引き起こします

詳しくは次の項目で説明していきます。


関連記事:早く治したい方必見!骨折の見分け方と対処方法


犬に噛まれた場合に考えられる感染症


犬に嚙まれた

では、具体的にどのような感染症が起こりうるのでしょうか? 

破傷風


土の中に存在している「破傷風菌」が体の中に入ることで発症する病気で、亡くなる割合が非常に高い病気です。

犬が舐めた土に破傷風菌が含まれており、舌に付着し、噛んだ際に人に感染する可能性があります。

症状の経過として上から

・口が開きにくい、顎が疲れる(初期症状)
・歩行、排尿、排便に障害
・全身の筋肉が固まる

と進行していきます。

早急な治療が必要で、受傷個所の洗浄、抗生剤の投与、重症度や症状に応じて必要な薬を使用します。

破傷風菌は土の中にいるため、屋外でケガをした際に感染する場合もあります。

なので人間は幼少期に、破傷風を含む4種混合ワクチンを接種することが多いです。

およそ10年の免疫が獲得でき、正しく接種すれば20歳前半まで感染のリスクをかなり低くすることが出来ます。

最終接種から10年以上経過した場合も、追加でワクチンを接種できるので、ペットを飼う際にはご検討ください。

大人の場合、100%の免疫を得るには合計3回のワクチン接種が必です。

パスツレラ症


犬や猫の常在菌であるパスツレラ菌が原因となる病気です。

動物が保菌している場合は問題ないのですが、人の傷口に感染すると発症します。

感染経路しては他にもペットとの食器の共有や接吻が感染する原因です。

受傷後数時間から2日程度で発赤、腫れ、疼痛の症状が現れます。

基本的には軽症で済みますが、傷が深かった場合や悪化すると「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」「骨髄炎(こつずいえん)」になるケースもあります。

また、免疫機能が低下している方は重症化しやすいので注意が必要です。

早急な抗生剤での治療を行います。

狂犬病


犬に噛まれた

犬に嚙まれた時の病気として「狂犬病」を思いつく方は多いのではないでしょうか?

狂犬病ウイルスが原因の病気で、現在治療方法が無く、死亡率の非常に高い病気です。

このウイルスを保有する犬や猫、その他野生動物に噛まれたり、ひっかかれたりしてできた傷口にウイルスが侵入することで感染します。

発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛の風邪のような初期症状を経て、興奮や不安状態、幻覚、攻撃的になる、水を怖がるといった脳炎症状を起こします。

最終的に昏睡から呼吸停止に至ります。

怖い病気ですが、日本では1950年に飼い犬の年に1回のワクチン接種が義務付けられ、国内では狂犬病は撲滅されました。

治療法が無い為、かからないようにすることが大切です。

国内では撲滅されましたが、海外ではまだ存在しているため注意が必要です。

きちんと愛犬にワクチンを打ってあげることが、自分と愛犬、そして周りの方をウイルスから守ることにつながります。





犬に噛まれた小さな傷を放置しても大丈夫?


犬に噛まれた

傷口が小さいから大丈夫、と自己判断するのは大変危険です。

どれだけ傷口が小さいように見えても実は深い場合が多いです。

塗り薬の抗生剤を塗って対処していても傷の深くに細菌が潜んでいることがあります。

傷口が閉じた中で細菌が繁殖し化膿したり発熱する可能性もあります。

小さな傷だから、と油断せずに病院へ受診しましょう!

 

関連記事:内出血の症状について!打撲や腫れたときの対処法を解説

 


犬に噛まれたときの応急処置について


犬に噛まれた

犬に噛まれた際はまず以下の応急処置を行い、病院へ受診しましょう。

傷口の洗浄


まずは傷口を清潔にすることが重要です。

大量の流水できれいに洗い流します。

出血していても最低5分程度は洗い流し、刺激の少ない石鹸があれば使用しましょう。

止血・圧迫


傷口を洗浄した後は清潔なガーゼやタオル等で傷口を覆います

出血が続く場合はその上から圧迫します。

ティッシュは傷口に張り付いたり残ったりするので避けましょう。

また傷口の周りが腫れている場合は氷のうや保冷材で冷やすと楽になります。

病院を受診


上記の応急処置が済んだら、どれだけ傷口が小さくても病院へ受診しましょう。

血が止まっていても、流水や消毒だけでは傷口の中の細菌は除去しきれません。

また、感染症のリスクもあります。




犬に噛まれたら何科を受診するべき?


犬に噛まれた

まずは「内科」か「皮膚科」もしくは「形成外科」に受診しましょう。

そこで傷の深さや広さ、状態を見て処置をします。

基本的には傷口の消毒処置、抗生剤の処方などの治療を行います。

傷が深いようであれば縫合やレントゲン、感染症のリスクがあればワクチンの投与をする場合もあります。

 

関連記事:家族内での感染を防ぐために|ウイルスや病原菌から家族を守る

 


西春内科・在宅クリニックでできる対応


当院では傷の状態を診て処置を行うことが可能です。

状態によってはより専門的な病院への紹介も行います。

お近くに皮膚科や整形外科がなく受診できない場合はぜひご来院ください。




まとめ


いかがでしょうか?

ペットに噛まれたりひっかかれたりした際は、様々な感染症や細菌感染の可能性があります。

ですがしっかりと洗浄、応急処置を行い、病院へ受診すればそのリスクを格段に下げることが出来ます。

しかし、ペットも傷つけようと噛んだり、ひっかいたりしているわけではありません。

怖かったり、嫌がったり、遊んでいて興奮してしまったりと必ず原因があります。

原因を見定めてペットを愛してあげてください

また、予防接種などで予防することも大切です。

参考文献

動物咬傷(ペット咬傷)|一般社団法人 日本創傷外科学会 一般の皆様へ
動物由来感染症について/荒川区公式サイト
犬にかまれたら…小さな傷でも必ず受診を!|あなたの健康百科|Medical Tribun
犬に噛まれたらどうするべき?何科を受診する?応急処置やしつけの方法も – ReCheri
【薬剤師が解説】犬に噛まれたらどうする?使える市販薬9選を紹介
犬に噛まれた!どこでみてもらえるの?

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大