無菌性髄膜炎とは?症状・原因・後遺症を詳しく解説
みなさんは、無菌性髄膜炎という病気をご存じですか?
あまり聞いたことない方もいるかと思います。
今回は、無菌性髄膜炎の症状、原因、後遺症について詳しく解説します!
目次
無菌性髄膜炎とは?
無菌性髄膜炎とは、髄液中に細菌が検出されないにもかかわらず、髄膜の炎症を引き起こす疾患です。
髄膜とは、脳と脊髄を包む三層の膜(硬膜、くも膜、軟膜)のことで、これらの膜が炎症を起こすことを髄膜炎といいます。
無菌性髄膜炎は、感染症の一種である細菌性髄膜炎とは異なり、細菌感染が原因ではありません。
そのため「無菌性」と呼ばれています。
無菌性髄膜炎の原因
ウイルス
無菌性髄膜炎の原因として、最も一般的なのはウイルス感染です。
ウイルス性髄膜炎は多くの場合、症状が比較的軽く自然に回復することが多いですが、特定のウイルスは重篤な症状を引き起こす可能性があります。
早期の診断と適切な対症療法が重要であり、症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診することが推奨されます。
通常の細菌検査で検出されない細菌・真菌・寄生虫など
ウイルスの他に、通常の細菌検査で検出されにくい細菌、真菌、寄生虫が存在します。
これらの病原体は特別な検査や培養方法を必要とし、時には診断が困難な場合もあります。
適切な診断と治療を行うためには、患者の症状や旅行歴、免疫状態などを総合的に考慮することが重要です。
疑わしい症例がある場合は、専門医による診断と検査が必要となります。
非感染性疾患
無菌性髄膜炎は、感染性の要因だけでなく、非感染性の要因によっても引き起こされることがあります。
薬剤の副作用、自己免疫疾患、腫瘍、化学的・物理的要因などが主要な原因です。
症状は一般的な髄膜炎と同様ですが、原因の特定には詳細な病歴聴取と適切な検査が必要です。
非感染性の無菌性髄膜炎の場合、原因に応じた適切な治療が重要となります。
無菌性髄膜炎の症状
発熱
無菌性髄膜炎の初期症状の一つに発熱があります。
体温は38度以上になることが多く、持続的な高熱が特徴です。
この発熱は、体が感染や炎症に対して反応していることを示しています。
頭痛
激しい頭痛は無菌性髄膜炎の主要な症状の一つです。
この頭痛は突然始まり、非常に強く、通常の頭痛薬では改善しにくいです。
頭痛は前頭部や後頭部に集中しますが、頭全体が痛むこともあります。
悪心・嘔吐
無菌性髄膜炎では、悪心(吐き気)や嘔吐も一般的な症状です。
これらの症状は、脳の炎症や圧力の変化により引き起こされることがあります。
食欲不振や脱水症状に繋がることもあるため、適切な水分補給が重要です。
項部硬直(こうぶこうちょく)
項部硬直は、髄膜炎の特徴的な症状の一つで、首の筋肉が硬直し前に曲げるのが困難になる状態のことをいいます。
これは、髄膜の炎症によって脳脊髄液の流れが阻害されることが原因です。
Kernig徴候(ケルニッヒちょうこう)
Kernig徴候は、膝を90度に曲げた状態で股関節を曲げると、膝が自然に伸びず、痛みを伴う症状です。
この徴候は、髄膜の炎症により腰椎の神経根が刺激されることで発生します。
Brudzinski徴候(ブルジンスキーちょうこう)
Brudzinski徴候は、首を前に曲げると、膝と股関節が自動的に曲がる症状です。
この反射的な動きは、髄膜の炎症によって引き起こされるもので、髄膜炎の診断において重要な指標となります。
無菌性髄膜炎の後遺症
無菌性髄膜炎は多くの場合、適切な治療を受けることで後遺症なく回復することが期待されます。
しかし、重症例や特定の病原体による感染では、後遺症が残る可能性があります。
無菌性髄膜炎の後遺症として考えられるものを詳しく解説します!
髄膜脳炎
無菌性髄膜炎が進行すると、髄膜脳炎に発展することがあります。
髄膜脳炎は、髄膜と脳の両方に炎症が及ぶ状態であり、治療が遅れると神経機能に重大な影響を及ぼすことがあります。
髄膜脳炎による後遺症として挙げられるのは以下の3つです。
- 持続的な頭痛
- 注意力の低下
- 記憶障害
ヘルペス脳炎
無菌性髄膜炎の原因がヘルペスウイルスの場合、重篤なヘルペス脳炎を引き起こすことがあります。
ヘルペス脳炎は迅速な治療が必要であり、適切な抗ウイルス薬を使用しないと、脳の損傷が進行する可能性があります。
ヘルペス脳炎の後遺症として考えられるのは以下の3つです。
- 認知機能の低下
- 痙攣発作
- 運動機能の障害
精神発達遅滞
生後数か月の乳児が無菌性髄膜炎にかかると、精神発達遅滞のリスクがあります。
これは乳児期に脳が急速に発達しているため、感染や炎症が脳の発達に影響を及ぼすことがあるためです。
具体的に後遺症として見られるのは以下の3つです。
- 言語発達の遅れ
- 運動発達の遅れ
- 学習障害
無菌性髄膜炎が治るまでの期間は?
無菌性髄膜炎は、一般的に数日から2週間以内に回復することが多いですが、病原体の種類や患者の個々の状況によって異なる場合があります。
症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
予後は通常良好ですが、重篤な合併症が発生するリスクもあるため、早期の対応とフォローアップが求められます。
ロキソニンの使用が無菌性髄膜炎を引き起こすことがある?
ロキソニンを含むNSAIDsの使用は、稀に無菌性髄膜炎を引き起こす可能性があります。
特に自己免疫疾患を持つ患者や、過去にNSAIDsによる無菌性髄膜炎を経験した患者は注意が必要です。
症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
薬剤使用については、常に医師と相談し、安全な使用方法を確認することが推奨されます。
西春内科・在宅クリニックでできる対応
西春内科・在宅クリニックでは、血液検査などで無菌性髄膜炎の診断も出来ます。
通院が困難な無菌性髄膜炎の患者様に対して自宅での診療・治療が可能です。
患者様の状態に応じて、必要な場合には他の医療機関や専門家との連携を行います。
緊急時や症状の進行に対応するために、迅速な対応や適切な紹介先の提案をすることも可能です。
まとめ
無菌性髄膜炎は、迅速な診断と適切な治療が重要です。
症状が現れた場合は、医療機関を受診しましょう。
予後は一般的に良好ですが、重篤な合併症が発生することもあるため、早期の対応が求められます。
適切な治療と定期的なフォローアップにより、多くの患者様は後遺症なく回復します。
疑わしい症状がある場合は、早急に医師に相談することが大切です。
参考文献
▶東京都感染症情報センター▶NIID国立感染症研究所
▶厚生労働省|無菌性髄膜炎
▶医學事始