発熱時の入浴はダメ?!入浴の注意点と避けるべきケースを解説
西春内科・在宅クリニック副院長の島原立樹(しまはらたつき)です。
普段、診療を行っている中で「熱があるときにお風呂にはいってもいいですか?」と質問をされることがあります。
発熱時は汗をかいたりすることもあるのでお風呂に入っていいか気になる方もいらっしゃいますよね。
今回は、発熱時の入浴に関する注意点や過ごし方についてお話しします。
目次
発熱時の入浴がダメと言われてきた理由
発熱時の入浴が良くないと言われてきた理由は、3つあります。
- 脱水症状の悪化
入浴により発汗して体内の水分が喪失します。 - 体温上昇のリスク
熱いお風呂に入ると、体温が上昇して体力を消耗します。 - 急な温度変化
急激な温度変化により、体調が悪化する可能性があります。
発熱時は体力が低下しているため、入浴で体に負荷がかかり体調を悪化させる恐れがあります。
関連記事:発熱で風邪以外に考えられる原因|トイレが近くなるのはなぜ?
発熱時の入浴注意点
入る前と後に水分補給
発熱時は体内の水分が失われやすく、脱水状態になる可能性が高いため、入浴の前後に水分を摂取することが大切です。
水や経口補水液、湯冷ましなどの水分をこまめに飲みましょう。
アルコールは脱水を促進するため避けてください。
温度はぬるめでさっと入る
お風呂の温度は、普段よりぬるめの38℃前後に設定するのがベストです。
入浴時間が長くなると体に負荷がかかるため、10分以内に抑えるのがいいでしょう。
湯冷めしない工夫
入浴後は、体や髪をしっかりと乾かし、湯冷めしないように暖かい格好を心掛けましょう。
体を冷やしすぎないために、部屋の温度を適温に保ち、靴下や布団で体を温めることも有効です。
子どもの発熱時の入浴は無理をしない
症状にかかわらず嫌がるときは無理に入れない
湯船につかるのは、意外と体力を消耗します。
特に子どもは大人よりも体力を消耗しやすいです。
38℃以上の発熱が続いている場合や、子どもが嫌がる場合は、入浴するのを止めて温かいタオルで拭く事を推奨します。
お風呂場を温める
子どもが入浴する際は、寒暖差を少なくするため、事前にお風呂場を温めておくことが重要です。
寒い環境では体力を消耗してしまいます。
脱衣所と浴室の温度が10℃以上にならないように気を付けてください。
発熱時の入浴を避けるべきケース
以下のような症状がある場合は、入浴を避けて安静にするのが望ましいです。
高熱
38℃以上の高熱の場合、入浴は避けたほうが良いです。
高温のお風呂に入ると体温が上がり、脱水により体に大きな負担をかける可能性があります。
入浴を避けて安静にするのが無難です。
下痢・嘔吐症状がある場合
下痢・嘔吐症状があると、脱水状態になりやすく体力が低下します。
入浴して汗をかくと、さらに脱水症状が悪化する可能性があります。
また、浴室で下痢、嘔吐をしてしまうと他の家族に感染するリスクがあるので、消毒などの徹底も必要です。
発熱時の入浴以外で気を付けるべきことは?
発熱しているときは体が感染源と戦っており、体力が低下しています。
以下の行動は回復が遅れ、症状が悪化する可能性があるので控えましょう。
飲酒
発熱時の飲酒は絶対にやめてください。
アルコールは体の温度調節を妨げ、脱水症状や免疫力の低下に繋がります。
発熱が治りにくくなるため、飲酒は控えましょう。
消化の悪い食事
発熱時は胃の働きが弱くなるため、脂っこい食べ物や刺激の強いものは避けましょう。
消化の悪い食事は胃腸に負担をかけ、体力を消耗させます。
以下のような消化の良い食事を心がけましょう。
- 卵入りのおかゆやうどん
- 湯豆腐
- 果物(リンゴや梨)
- ヨーグルト
運動
発熱時の激しい運動は、エネルギーの消耗により体力や免疫力が低下するため控えてください。
軽いストレッチなど、体に負担のない運動であれば問題はありませんが、安静にした方が早く回復します。
解熱鎮痛剤の使用
解熱鎮痛剤の内服は問題ありませんが、使用する際は用法・用量に注意してください。
体重によって内服する量が異なる薬剤もあるので、製品ラベルや医師の指示を守って内服してください。
服装
発熱時は体温調節が難しくなるため、通気性の良い服を着て過剰な発汗を防ぎましょう。
汗で服が濡れた場合は、こまめに着替えてください。
また、寒気がする場合は暖かい服装をして、体温を安定させることが重要です。
関連記事:免疫力を高める方法や食べ物について|低下してしまう原因も解説
医師の経験
発熱時の入浴は、特別な理由がない限りおすすめできません。
特に38.5℃を超える高熱の場合は、入浴は避けてください。
また高齢者は熱が出にくいので、感染性疾患があったとしても発熱しないケースも多々あります。
そのような場合、急激な温度変化に自律神経が対応できず、失神して転倒してしまったり、最悪の場合だとお風呂でおぼれてしまったケースも経験しました。
体調が優れないときは無理せず、入浴は避けた方が良いと考えます。
西春内科・在宅クリニックでできる対応
発熱時の診察、解熱鎮痛剤の処方、入浴に関するアドバイスを行うことが出来ます。
また、診察後に体調が悪化した場合、通常の外来診療や夜間休日の救急往診でフォローアップすることも可能です。
何か気になることがあれば、お気軽に西春内科・在宅クリニックへご相談ください。
当クリニックではオンライン診療も行っております。
まとめ
発熱が回復傾向に向かっていれば、入浴は可能です。
ただし、無理に入浴を行うと体調悪化に繋がります。
特に子どもや高齢者は体調が変化しやすいため、十分に注意してください。
入浴が心配な場合は、事前にかかりつけ医に相談しておくとより安心して入れます。
適切な対応をとり、発熱時の入浴に備えましょう。
参考文献
かぜのとき、お風呂に入っていい?重要なのは、お風呂の入り方!
【医師監修】風邪のときお風呂に入っていいの?症状別の入り方は?注意点と入浴を避けた方がよい状態を解説
発熱時「無理に下げる」のは逆効果!?熱が出た時の「注意点」と「対処法」
監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹
▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。
経歴
名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科