インフルエンザの予防方法|感染経路や予防に有効な栄養について
秋から冬にかけて寒さが増す時期、インフルエンザが流行する季節がやってきます。
近年、新型コロナウイルス感染症の流行が少し収まり、インフルエンザが流行してきています。
インフルエンザは重症化するリスクがあるため、予防はとても重要です。
今回は、インフルエンザの予防方法や重要性、予防に繋がる栄養の紹介などを行っていきます。
目次
インフルエンザを予防する重要性とは
インフルエンザの予防は一人一人心掛けることが大切です。
インフルエンザが重症化すると肺炎や脳炎、心筋炎といった命に関わる合併症を引き起こすことがあります。
特に、以下に当てはまる方はより一層の注意が求められます。
- 免疫力が低下している方
- 高齢者
- 持病がある方
- 乳幼児
- 妊婦
重症化リスクのある方にうつさないようにするためにも、インフルエンザの予防は全員で行う必要があります。
特に家族の中に当てはまる方がいる場合は、これから紹介する予防方法を家族全員で徹底していきましょう。
関連記事:インフルエンザのA型とB型の違いとは?知っておきたい基本情報
インフルエンザの感染経路
インフルエンザは非常に感染力が強く、私たちの日常生活で気づかないうちに広がります。
特に人が集まる場所では、予防策をしっかり取らないと簡単に感染が広がる恐れがあります。
どのようにインフルエンザウイルスが私たちの体に侵入してくるか、主な感染経路を詳しく見ていきましょう。
飛沫感染
飛沫感染はインフルエンザの主な感染経路です。
咳やくしゃみをする際、ウイルスが含まれた微小な水滴(飛沫)が空気中に放出されます。
この飛沫を他の人が吸い込んだり目から入ることで感染が広がります。
特に電車の中、教室、オフィスなど人が密集する場所では注意が必要です。
咳エチケットやマスクを着用して予防することが大切です。
接触感染
接触感染はウイルスが付着した物に触れることで起こります。
例えば感染者が触れたドアノブ、電車のつり革、タブレット端末の画面など、様々な物の表面にウイルスは付着して一定時間生存します。
これらに触れた手で無意識に目や鼻、口を触ることで、ウイルスが体内に入り込むのです。
手洗いをこまめに行い、顔を触る前にしっかりと消毒することが感染予防の鍵です。
また、スマートフォンやパソコンのキーボードなど、よく触れる物の表面も定期的に清掃することで、感染リスクを下げることができます。
空気感染
感染者の咳やくしゃみによる飛沫は、水分が蒸発すると飛沫核という微粒子だけになります。
この飛沫核は長時間空気中に浮遊し続け、それが体内に入ると感染します。
特に注意が必要なのは、換気の悪い密閉された室内空間です。
教室、オフィス、電車の中など、換気が不十分な場所では、感染者が出したウイルスが空気中を長時間漂い続けます。
周囲の人がこの微粒子を吸い込むことで、知らず知らずのうちに感染が広がっていきます。
予防には、定期的な換気が効果的です。
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可能であれば、30分に1回、数分程度の換気を行いインフルエンザを予防しましょう。
インフルエンザの予防方法
インフルエンザを防ぐためには、日常生活の中でできる予防策を取り入れることが大切です。
特にインフルエンザの流行期には基本的な対策を徹底することで感染リスクを減らすことができます。
効果的な予防方法について詳しく解説していきます。
ワクチン接種
インフルエンザから身を守る最も効果的な方法が、ワクチン接種です。
接種することで、体内にインフルエンザウイルスへの抵抗力が作られ、感染を防ぐだけでなく、万が一感染しても重症化を下げることが出来ます。
先述した通り、以下に当てはまる方はインフルエンザの重症化リスクが高いため、ワクチン接種が強く推奨されます。
- 免疫力が低下している方
- 高齢者
- 持病がある方
- 乳幼児
- 妊婦
健康な大人の方も自分の健康を守るだけでなく、上記に当てはまる方や家族、職場の同僚など、周囲の大切な人々への感染を防ぐためにワクチン接種をしましょう。
インフルエンザウイルスは毎年少しずつ形を変えて流行するため、昨年受けたワクチンが今年は効果を発揮しない場合があります。
そのため、毎年の定期的なワクチン接種が欠かせません。
手洗い
手洗いはウイルスを手から体内に取り込まないための基本的な対策です。
日常的にウイルスに触れる機会は多く、外出先から帰ったときや食事前、トイレの後など、こまめに手を洗うことが感染予防につながります。
石鹸と流水を使った手洗いが最も効果的で、ウイルスをしっかりと除去できます。
アルコール消毒も有効ですが、まずは手についている汚れを石鹸と水を使用して充分に洗い流しましょう。
このような丁寧な手洗いの習慣は、インフルエンザだけでなく、風邪やその他の感染症予防にも効果を発揮します。
一つの予防習慣で、複数の病気から身を守ることができるため、ぜひ実践していきましょう。
加湿
室内の湿度を適切に保つことも、インフルエンザ予防に役立ちます。
乾燥した環境ではウイルスが長時間空気中に漂いやすくなり、感染が広がりやすくなります。
特に冬場は空気が乾燥するため、加湿器などを使って室内の湿度を40%~60%に保つことが理想的です。
湿度を維持することで、ウイルスの浮遊を抑制し、喉や鼻の粘膜を保護する効果も期待できます。
また、適度な湿度が保たれると、室内の空気が快適になり、ウイルスに対する体の防御機能も高まります。
人混みを避ける
インフルエンザの流行期には、人混みを避けることが非常に効果的な予防策となります。
外出を控えたり、人が密集している場所を避けましょう。
人が集まる公共の場などに行く必要がある場合は、マスクの着用を徹底し咳エチケットを心がけましょう。
人混みを避けることで飛沫感染や接触感染のリスクを減らし、自身や家族を間接的に守ることができます。
規則正しい生活
規則正しい生活は、免疫力を高めるために重要です。
特に睡眠不足やストレスがたまると免疫機能が低下し、インフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけることで、体の防御機能が高まり、感染リスクを減少させることができます。
また、適度な運動も体力や免疫力を高めるのに効果的です。
インフルエンザ予防のためには、日々の生活習慣を整え、免疫力を高めることが大切です。
口腔ケアの重要性
実は毎日の歯磨きなどの口腔ケアもとても重要な予防法です。
私たちの口の中には、多くの細菌が存在しており、この細菌が増えすぎると喉や気道に炎症を引き起こします。
炎症を起こした粘膜は、インフルエンザウイルスの格好の侵入口となってしまうのです。
特に夜間は唾液の分泌が減り、細菌が増殖しやすい環境になるため、就寝前の丁寧な歯磨きで口腔ケアを行いましょう。
歯と歯の間、歯ぐきの周り、そして意外と見落としがちな舌の表面までしっかりと清掃することで、口腔内を清潔に保つことができます。
さらに、半年に一度の歯科検診も口腔ケアには大切です。
プロによるクリーニングと専門家からのアドバイスを受けることで、より効果的な予防が可能になります。
温冷浴法による免疫力向上
寒い季節のインフルエンザ対策として、温冷浴法とサウナという二つの温熱療法が注目されています。
温冷浴法は、38~40度程度の温かいシャワーで体を温め、血行を促進させた後、20秒ほど冷水シャワーを浴びることで、体の芯まで温まり、免疫力が上がります。
ただし、はじめは冷水の時間を短めにして、体を慣らしていくことが大切です。
心臓病や高血圧などの持病をお持ちの方は、必ず医師に相談してから始めましょう。
一方、サウナは、80~100度の高温環境で10分程度過ごすことで、体の深部まで温まり、血行が促進されます。
同時に、汗と共に体内の不要な物質も排出されるため、体の浄化作用も期待できます。
ただし、サウナ後の水分補給は特に重要です。
失った水分を適切に補わないと、逆に体調を崩す原因となってしまいます。
また、サウナ初心者の方は、最初は5分程度の短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくことをおすすめします。
どちらの方法も、無理のない範囲で継続することが予防効果を高めるポイントです。
関連記事;インフルエンザの予防は必要?日常でできる予防方法とおすすめの食品を解説
インフルエンザの予防で摂るべき栄養
免疫力を高め、インフルエンザを予防するためには栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
特定の栄養素が免疫機能をサポートし、体がウイルスと戦う力を強化します。
インフルエンザ予防に効果的な栄養素とそれを含む食材について詳しく説明します。
ビタミンC
ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、免疫細胞を活性化させることで風邪やインフルエンザを予防します。
すでに感染している場合にも体の回復を助ける働きがありおすすめの栄養素です。
毎日の食事で意識的にビタミンCを摂取することで体の防御力を高く保つことが可能です。
ビタミンCを多く含む食材は以下などがあり、インフルエンザや風邪予防、体の回復のためにも積極的に食べましょう。
果物類
- アセロラ(酸味種)
- キウイ(果肉が黄色いもの)
- レモン
- オレンジ
- イチゴ
- 甘柿
- ドライマンゴー
野菜類
- ブロッコリー
- かぼちゃ
- ジャガイモ
- サツマイモ
- ピーマン
- パプリカ
- 芽キャベツ
ビタミンD
ビタミンDは免疫細胞の活性化に深く関係し、インフルエンザなどの感染症に対する体の抵抗力を高めます。
ビタミンDは食物からの摂取に加え、日光を浴びることで体内で合成されるため、冬季でも日光をしっかり浴びることが重要です。
適度な日光浴とバランスの取れた食事でビタミンDを補給し、体の防御力を強化しましょう。
特に以下などの食材に多く含まれます。
魚介類
- カツオの塩辛
- あんこうの肝
- しらす干し
- マイワシ(みりん干し)
- ニシン
キノコ類
- きくらげ(干し)
- まいたけ(干し)
- しいたけ(干し)
干すことでビタミンDの量が増加します。
また、調理法も重要で、いためたり、揚げることで吸収率が上昇します。
亜鉛
亜鉛は免疫細胞の生成と機能に不可欠なミネラルで、感染症から体を守る重要な役割を担います。
特に風邪やインフルエンザに対して体の防御反応を高めるため、亜鉛の摂取は効果的です。
亜鉛は以下などの食材に多く含まれ、日々の食事に取り入れることで感染症に対する体の耐性を強化できます。
魚介類
- 牡蠣
- カツオの塩辛
肉類
- 牛肉(ヒレ、もも)
- パルメザンチーズ
野菜類
- 煎りごま
- 小麦胚芽
- カシューナッツ
- アーモンド
セレン
セレンは抗酸化作用があり、免疫機能を向上させる働きがあるミネラルです。
このミネラルは体がウイルスや細菌と戦う際の重要な役割を果たし、インフルエンザの予防にも役立ちます。
定期的に以下の食品を摂取することで、体の免疫力を高めることができます。
魚介類
- カレイ
- マグロ
- アジ
- たらこ
- カツオ
- あんこうの肝
肉類
- 牛肉(ヒレ、もも)
- 豚ロース
野菜類
- ひらたけ
- そば
- ブラジルナッツ
プロバイオティクス
プロバイオティクスは腸内環境を整え、免疫機能を改善する効果があります。
腸内環境が整うと体の免疫力が強化され、インフルエンザやその他の感染症に対する抵抗力が高まります。
以下の発酵食品を日常的に摂ることで腸の健康と免疫力を維持しましょう。
- ヨーグルト
- チーズ
- キムチ
- 味噌
- 納豆
- 漬物
- 甘酒
タンパク質
タンパク質は体の全ての細胞にとって不可欠な栄養素であり、免疫細胞の生成にも必要です。
インフルエンザ予防のためには、十分なタンパク質を摂取することが重要です。
以下の食品をバランスよく食事に取り入れることで、免疫力をサポートし、感染症から体を守る力を高めることができます。
魚介類
- アジ
- イワシ
- 鮭
肉類
- 鶏肉(ささみ)
- 豚肉(ヒレ)
- 牛肉(もも)
- 鶏卵
豆類
- 枝豆
- ソラマメ
乳製品
- 牛乳
- プロセスチーズ
- ヨーグルト
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は抗炎症作用があり、免疫機能をサポートする働きがあります。
特にインフルエンザなどのウイルスによる炎症反応を抑えるために重要です。
以下の食品を積極的に摂取することで体の免疫機能をサポートし、インフルエンザの予防に役立ちます。
魚由来
- サバ
- イワシ
- サンマ
植物由来
- えごま油
- アマニ油
- チアシード
- くるみ
医師によるインフルエンザ予防に対する意見
集団免疫の考え方から、ワクチン接種をみんなが受けることがとても重要です。
家族のなかで一人だけワクチンを打っているより、家族全員がワクチンを打っている方が、はるかに予防効果があります。
たとえば受験を控えたお子様がいる家庭などは、受験生本人だけでなく、家族みんなが予防接種をすることが大切です。
関連記事:インフルエンザの初期症状をチェック項目で解説!受診するタイミングは?
西春内科・在宅クリニックでできる対応
当クリニックでは、インフルエンザの予防接種、検査、診察を行っています。
患者さんの状態に応じて、迅速検査による早期診断と予防接種を実施可能です。
診断後は、一人一人の症状に合わせた治療計画を立て、適切な薬剤を処方します。
外出が困難な方には往診サービスを、遠方の方にはオンライン診療を提供し、継続的なフォローアップを行います。
また、予防法や自己管理についても丁寧にアドバイスしますので、ご不安な点があればいつでもご相談ください。
まとめ
インフルエンザの予防は、私たち一人一人の行動が大切です。
インフルエンザは非常に感染力が強く、重症化するリスクがあるため、予防が非常に重要です。
ワクチン接種をはじめ、手洗いや加湿、規則正しい生活習慣を取り入れることで、感染リスクを減らすことができます。
また、免疫力を高めるために、ビタミンやミネラルを含むバランスの取れた食事を心がけることも大切です。
適切な予防策を講じて、インフルエンザの流行を乗り切りましょう。
参考文献
監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹
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経歴
名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科