愛知県初の試み 『Hey! Say! JUMP(ジャニーズグループ)』コンサート ワクチン・検査パッケージ 実証実験を経て
こんにちは。西春内科・在宅クリニック 院長 福井康大です。
今回は先日行いました『Hey! Say! JUMP(ジャニーズグループ)』コンサート ワクチン・検査パッケージ 実証実験について、参加した感想を記載していきます。
目次
『Hey! Say! JUMP(ジャニーズグループ)』コンサートワクチン・検査パッケージ実証実験とは
「音楽コンサート入場時に、ワクチン接種2回の接種済証等を提示、または事前にPCR検査を受検いただき、陰性証明を提示いただきます。どちらかの証明ができない場合、入場できません。ただし、12 歳未満の方は、保護者又は引率者の同伴のもと、ワクチン接種済証等の提示及びPCR検査を省略し、ご入場いただけます(その場合、12 歳以下であることが証明できるものをご提示ください)。」
引用元:https://www.pref.aichi.jp/site/covid19-aichi/gizyutuzissyou.html
実際は、当日にワクチン接種済証等を提示、もしくは事前にPCR検査を受けることが出来ず、陰性証明書を提示出来なかった方は、その場で抗原定性検査(陽性・陰性で判定できる検査キット)を用いて、陰性を確認した上で入場を可能という流れで行なっておりました。
実証実験を終えて 感想
結論としては、医学的にはまだまだ課題と改善点があると思いました。
課題と改善点は大きく分けて2つあります。
それは
- 今回の取り組みでは、PCR検査を受けた前後に感染した群は発見出来ない
- 当日の抗原定性検査による入場可否は意味を為さない
ということです。
順に説明していきますね。
1.PCR検査を受けた前後に感染した群が発見出来ない理由
今回の施策では、PCR検査を受検した前後に感染した方は、そのままコンサート内に入ることが出来てしまいました(仮定の話です。実際のところは分かりません。)。
それは潜伏期(感染しているが、発症していない・症状が出ていない状態)が大きく関係しております。
コロナウイルスに感染した後の経過は上記です。ここでのポイントは、
『感染早期のPCR検査は感度が低いこと(検査上陰性が出ても、本当は感染している可能性があること)』
『感染者は潜伏期を経て、数日後に発症者(症状がある人)になること』
『感染力は発症2−3日前からあり、発症当日が最も強いこと』
です。
今回の施策では、コンサート当日の前日〜3日前のPCR検査陰性証明をもって入場可能としておりました。つまり、PCR検査を受けた時点では陰性であったとしても、
- 感染早期の可能性があり、検査の信頼性が乏しく、
- コンサート開催当日までに感染・発症する群が一定数想定されるため、
感染力を持っている無症状者・有症状者が入場する可能性がありました。
ですから、PCR検査施行後日数を経るに従って、その群の母数が増加されることが予想されますので、可能な限りコンサート当日に近い日時でPCR検査は施行されるべきだと考えます。
しかし、現実問題として、前日のみでの全員のPCR検査を施行することは非常に難しいでしょう。参加者各々の都合もありますでしょうし、参加者近隣の医療機関のPCR検査施行数にも限界があるはずです。結局のところ、無症状者や発症前潜伏期の感染者が居る限り、感染者の入場を0にすることは不可能です。最も良いのは、コンサートを開催しないことでしょう。
人が多数集まれば集まるほど、そして同空間で一緒にいる時間が長ければ長いほど、感染する可能性は高くなるからです。よって、参加する方も感染の可能性や重症化のリスクをしっかり把握することが課題だと言えます。「感染するリスクは隣り合わせであること」「感染し発症・重症化する可能性があること」「感染者や重症化患者様の母数が多ければ、医療が逼迫し、適切な医療を受けられない可能性があること」を認知すること・認知させることが重要でしょう。
2.当日の抗原定性検査による入場可否は意味を為さない理由
上記にも示しました通り、コンサート開催当日にワクチン接種済証等を提示、もしくは事前にPCR検査を受けることが出来ず陰性証明書を提示出来なかった方は、その場で抗原定性検査(陽性・陰性で判定できる検査キット)を用いて、陰性を確認した上で入場を可能という流れで行なっておりました。しかし、これは意味を為さない可能性が高いと考えます。
上記からもご理解頂けるように、抗原定性検査では無症状者の診断を下すことは出来ません。なぜなら、同検査を行う方たちが感染している可能性が高いかどうか(検査前確率)や同検査の信頼性によるところが大きいからです。
今回抗原定性検査を行なった方は、大半が無症状でした。そのため、『陽性が出ても、陰性が出ても診断を下せず、結論を出せない』状態でした。よって、厳密に行うならば、抗原定量検査やPCR検査などの遺伝子増幅検査を行うべきであると考えます。ただし、検査をグレードアップすれば、それ相応の費用がかかるため、診断と費用との綱引きになるとは思います。
以上、今回の取り組みに対する主観的な課題と改善点になります。上記を読了頂いた方には、取り組みに対する否定的な意見・感想と思われるかもしれませんが、実は取り組み自体には賛成しております。
何事も実行せねばわからないことが多数あります。そういった意味では、この取り組みは今後の感染対策へ正の働きを与えると思います。
最後に
現状コンサート参加や海外渡航をはじめ、陰性証明書を求められることは多いですよね。そう言ったご希望に沿い、当院でもPCRとほぼ同等の検査・陰性証明書の発行を行っております。
当院ではPCRとほぼ同等の検査(IDNOW;PCRと94.7-98.4%の一致率)を10分程で行うことが出来ます。
この検査はアメリカ(ハワイ含む)や韓国などでは、『IDNOWの陰性結果で海外渡航における陰性証明として良い』とされております。
陰性証明書(渡航目的の証明書も含む)の発行も直ちに可能です。もし、上記の検査を受けたい方は、当クリニックにご連絡下さい。