ストレス性胃腸炎とは?何日で治る?仕事は休むべき?
ストレス社会ともいわれる現代、多くの人がストレスが原因で様々な不調を抱えています。
ストレス性胃腸炎はその代表的なもののひとつ。
これらを治すには原因となるストレッサーから離れることが一番ですが、仕事や人間関係など、すぐには離れられないことがストレッサーとなっている場合もあるでしょう。
本記事ではストレス性胃腸炎は何日で治るのか、また、症状が出た時にどのように対処すればよいのかお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ストレス性胃腸炎とは?何が原因?
ストレス性胃腸炎とは、ストレスが原因で胃腸といった消化器官に様々な症状を呈する疾患を総称したものです。過敏性腸症候群などもこの中に含まれます。
ここでは、ストレスがかかることでどのようにして胃腸に症状が出るのか見ていきましょう。
過剰に消化液が分泌される
胃酸などの消化液の分泌量はホルモンの働きによって調節されています。
しかしストレスによってホルモンバランスが乱れることで、必要以上に消化液が分泌されるようになります。
それによって胃や腸の内部がただれたり荒れたりしてしまうと、痛みを引き起こすことがあるのです。
胃腸の働きが弱くなる
「胃は第二の心」という言葉があるように、胃は精神的な影響を非常に受けやすい臓器とされています。
強いストレスがかかると、先述した胃酸が過剰分泌されるのとは反対に胃腸の働きが弱まることもあり、こうした状態になると消化不良に陥り、胃のもたれを感じたり便秘になったりすることがあります。
ストレス性胃腸炎というと急な腹痛や下痢を想像することが多いかと思いますが、胃腸の働きが弱まることで様々な症状を起こすパターンもあるということを覚えておくと良いでしょう。
関連記事:高脂血症になりやすい原因とは?脂質異常症との違いや治療について
関連記事:気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です
ストレス性胃腸炎は何日で治る?
結論から言うと、ストレス性胃腸炎は人によって症状や重症度も様々。
そのため「何日で治ります」と断定することはできないのが現状です。
数日休めば症状自体は落ち着くケースも
強いストレスによって一時的に胃の働きが過剰になったり弱まっているパターンでは、少し休むことで症状自体が落ち着くケースもあります。
しかし、これはあくまで一時的なものなので、また強いストレスに晒されれば再び症状が現れてしまうでしょう。
こうした状態が長い期間続いている場合は慢性的なストレス性胃腸炎となっている可能性が高いので注意が必要です。
完治させるにはストレッサーの排除が必要
先ほども述べたとおり、ストレス性胃腸炎を完治させるには、大元の原因となっているストレッサーを排除する必要しなければなりません。
とはいえ、仕事や学校など、切り離したいからといってすぐに切り離せるものではないことがストレッサーになっているケースは多いです。
こうした場合にはまず医師に相談し、症状に対して適切な治療を行いながら、少しずつでもストレッサーから離れられるように動いていく必要があるでしょう。
ストレス性胃腸炎かな?と思ったら
ストレス性胃腸炎は、その他の消化器系疾患と症状がよく似通っており、特定するのが難しいです。
下記にセルフチェック項目を用意したので、最近胃腸の調子が悪いという方はチェックしてみてください。
- 緊張で胃がキリキリする
- みぞおちのあたりがむかむかする
- 食べた物が胃に残っている感じがある
- 胃酸が喉まで上がってくることが多い
- 起床時に胃のむかつきや吐き気がある
- 食欲が湧かない
- 便秘や下痢を起こすことが多い
- 寝付きが悪く、眠りが浅い
- 寝ても疲れが取れない
- 肩こりや腰痛がある
- 何に対してもやる気が起きない
- 些細なことでイライラする
- 記憶力が低下してきた
- 集中力が続かなくなってきた
- 悩みや不安なことがある
- 周囲に気をつかうことが多いと感じる
- 生活リズムが不規則である
- リラックスできる時間がない
一見関係なさそうな症状もありますが、消化器系の不調に加えて上記のチェック項目に多く該当するほど、ストレス性胃腸炎である可能性が高いといえます。
ここからは、ストレス性胃腸炎になったときの対処について説明します。
安静にする
腹痛や下痢、便秘など、消化器系の症状が見られたら、まずは安静にするのが第一です。
人間は日常生活の中で自覚できないストレスを多く受けていますが、健康体でいるときは体にまで不調が現れることは極めて稀です。
しかし、ストレス性胃腸炎のときは体がストレスに対して敏感になっているため、些細なストレスでも症状が悪化する恐れが。
そのため、不調の原因としてストレスが考えられる場合は、できるだけ体が外部からの様々な刺激を受けにくいような状況を作ることが必要です。
水分と塩分を補給する
ストレス性胃腸炎で下痢や嘔吐などがある場合は、水分と塩分の摂取を欠かさないようにしましょう。
下痢や嘔吐が続くと、体内から水分と塩分などのミネラルが徐々に失われていき、脱水症状に陥ってしまいます。
脱水状態が続くとふらついたり意識がもうろうとするなどといった症状が起こり、倒れた際に頭をぶつけるなど、二次的な被害に繋がる恐れも。
そのため胃腸炎のときは、食欲がなくてもこまめに水分と塩分を摂取をすること必須で、スポーツドリンクや経口補水液を摂取するようにしましょう。
ちなみに、緑茶やコーヒーはカフェインを多く含んでおり、利尿作用が強いため、水分補給として飲むのには適していません。
食事は刺激物を避け消化吸収のよいものを摂る
下痢や嘔吐などが激しいときは無理に食事を摂る必要はありませんが、症状が軽快し食欲が戻ってきたら食べる物に気を配る必要があります。
基本的には消化と吸収のよいものが胃腸に負担をかけにくくておすすめです。
以下に消化と吸収のよい食べ物の例を挙げますので、参考にしてみてください。
- おかゆ
- うどん
- 大豆製品
- 野菜(白菜、大根、キャベツなど水分を多く含むもの)
- 乳製品
- 果物(リンゴ・バナナなど)
反対に揚げ物や味の濃いもの、刺激物は胃腸への負担が大きいため避けるようにしましょう。
薬を飲む
どうしても耐えられない症状があるときは、薬を服用するのも選択肢のひとつになります。
ただし症状に合わせて適切な薬を飲まないと逆効果になってしまう可能性もあるため、できれば医師から診断を受けて処方された薬を飲むのが良いでしょう。
悪い例をひとつ挙げるとするなら、消化不良を起こしているときに胃の働きを弱めて胃酸の分泌を抑える薬を飲んでしまうと、さらに胃腸の働きが弱くなり、胃のむかつきが強くなったり嘔吐したりしてしまう恐れがあります。
薬を服用する場合は、それぞれの症状に対してピンポイントに作用するものを選ぶことが重要なのです。
医師に相談する
ストレス性胃腸炎はストレッサーから離れない限り完治させるのは難しいですが、仕事や学校などが原因である場合、そう簡単には離れられないケースも多いでしょう。
そのため症状に対して向き合いながら、ある程度の期間治療を行っていく必要があります。また、適切な治療を行っていくためには医師の協力が不可欠です。
症状が現れたら、まずは先述した安静、水分(塩分)摂取、消化吸収のよい食事といった対応をとり、体が動く状態になったらかかりつけの医師へ相談するようにしましょう。
ストレス性胃腸炎のときは仕事を休むべき?
下痢や嘔吐などの症状がある場合は仕事や学校などを休まなければならないこともあるでしょう。
また、症状が軽快しても再びストレスに晒されてぶり返すこともあるため、どれくらいの期間休むべきかは慎重な判断が必要です。
当院の見解としては、ストレスの原因がどこにあるのかで対応が少し変わると考えます。
原因が仕事・学校の場合
一番強いストレスの原因となっているのが仕事や学校の場合は、症状や重症度によって一人ひとり期間は異なるかと思いますが、とにかく一度しっかり休養することが重要です。
職場や学校で過ごす時間は1日の中の大部分を占めているため、長時間ストレスに晒され続けることになってしまい大変危険です。
医師に相談した際に診断書を作成してもらい、症状が軽快するまで療養に専念しましょう。
原因が仕事・学校以外の場合
ストレッサーが仕事や学校以外の場合は、最もひどい症状の山を過ぎたら、体調を見つつ学校や仕事に復帰しても問題ないでしょう。
ただし、仕事や学校が原因ではないからとって無理は絶対に禁物です。必ず医師に相談し、指示された休むべきサインが出たら無理せず休むようにしましょう。
ストレス性胃腸炎はうつる?
ストレス性胃腸炎の原因は名前のとおりストレスであり、ウイルスや細菌ではないため直接的にうつることはないと考えられます。
ただし嘔吐の症状がある場合は、吐しゃ物に感染性の物質が含まれていると他人にうつる恐れがあるため、処理する際には注意しましょう。
ストレス性胃腸炎と虫垂炎の違い
突然の腹痛を訴えることからストレス性胃腸炎と間違えられやすい急性虫垂炎は、虫垂と呼ばれる袋状構造をする臓器に炎症・細菌感染が起きることで発症する病気です。「盲腸」
というと聞きなじみのある方もおられるのではないでしょうか?
腹痛・下痢・嘔吐・発熱が出現するなど腸炎と症状は似ていますが、最大の違いは、虫垂炎では痛みが定点的に起こることで、治療方針もストレス性胃腸炎と大きく異なります。
虫垂炎に関して詳しく知りたい方は、下記URLを参照してください。
関連記事:虫垂炎の原因や症状について知りたい!治療や手術は?
腹痛で悩む人はCT検査をおすすめ
腹痛を主症状とする疾患は多岐に渡り、それぞれで原因が異なります。
原因が異なれば治療法も異なるため、できる限り正確に診断することが早期回復への近道です。
腹部CTは腹部臓器を網羅的に検査することができるため、腹痛の原因を正確に診断できます。
腹痛で悩む方には、腹部CTは最適な検査の一つと言えます。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックにはCT機器を導入しており、常勤医にはレントゲンやCT画像の読影の専門家である放射線科専門医がおります。
腹部CT検査により急性腸炎を含む治療が必要な病変が見つかった場合には、消化器外科の手術が可能な診療を行っている病院をご紹介させていただきます。
また、当クリニックはオンライン診療も行っております。
ご自宅にいながら診察からお薬の処方まで受けることが出来ます。
予約の仕方や費用など詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
急性腸炎は一口に腸炎と言っても原因や対処法はさまざまです。
また急性腸炎に類似した疾患には命に関わる病気もあるため注意が必要な場合もあります。
腹痛や下痢・嘔吐で悩む人は、早めに医療機関を受診し、相談してみてくださいね。
参考文献
監修医師: 外科専門医 梅村 将成
資格
外科専門医/腹部救急認定医