訪問診療の料金の目安について|対応可能な疾患や適切な頻度について

公開日:2023.3.20 更新日:2024.10.17

訪問診療 料金

訪問診療とはどのようなものかご存知でしょうか?

訪問診療とは医師が患者様の自宅や施設などに出張して行う診療のことを言います。

特に高齢者や障害のある患者様などの通院が困難な方に対して行われることが多くあります。

患者様のご自宅で診察・処方・治療を一括で行うことが可能であり、今後ますます広がっていく医療の受け方のひとつです。

訪問診療は医師が診療計画を立てて定期的にご自宅に伺い健康管理を行うことが目的です。

混同されやすいものとして往診がありますが、往診は突発的な症状(発熱や呼吸困難など)が出た場合のみに医師がご自宅に伺い診察します。

定期的な健康管理を目的とした訪問診療とは異なりあくまでも対症療法となることが多くあります。

今回は訪問診療の料金についてや、介護保険が利用できるかなどについてご説明させていただきます。



後期高齢者にとって訪問診療が大切な理由


訪問診療 料金

75歳以上の方を後期高齢者といいます。

現在の日本では約13%の割合を後期高齢者が占めており、今後さらに後期高齢者の割合は増えていくことが予想されています。

そして訪問診療を受けている後期高齢者の患者様も増加傾向にあります。

ではなぜ後期高齢者の患者様は通常の通院ではなく訪問診療を受けるようになるのでしょうか?

その理由としていくつかあり、以下の3つが挙げられます。

  1. 入院治療を受けていた方が退院後に通院が困難になった場合
  2. 定期的に通院を行っていたが体力の低下により通院が困難になった場合
  3. 今まで医療機関にかかっていなかったが,突然症状が出現・悪化し通院が困難な場合

これらの原因の全ての理由において体力の低下が見られること、かつ治療が必要な疾患があることが問題となってきます。

特に高齢者の方は高血圧、糖尿病、認知症などといった慢性的な病気を有している方が多く、そのコントロールの継続が必要です。

また患者様によっては点滴や酸素吸入などをご自宅で行う必要もあります。

それらの管理を患者様と、そのご家族のみで行うことは不可能であり、訪問診療の導入が不可欠となります。

また発熱や胸痛などといった突発的な症状が出た場合は、かかりつけである訪問診療病院・クリニックから往診の依頼をお願いすることも可能です。

そのため後期高齢者の患者様では定期的な健康管理と、起こりうる突発的な症状に対しての往診への連携のために訪問診療を導入することが重要になってきます。

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訪問診療は高い?料金の目安について


訪問診療 料金

では訪問診療にかかる費用はどのくらいなのでしょうか?

通常の通院よりも費用がかかってしまうのか気になる方もいると思います。

だいたいの目安になりますが、医療保険において1ヶ月に2回の訪問診療で処方も受ける場合は1割負担でおおよそ7000円となります。

3割負担であればおおよそ20000円となります。

追加の処置や検査をした場合は別途、費用がかかることもあります。

加えてご自宅で酸素吸入や人工呼吸器などを使用する場合も医療保険内で費用がかかります。

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訪問診療は介護保険が適用されるのか


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訪問診療や往診は医療行為であるため医療保険が適応となります。

しかしながら訪問診療でも「居宅療養管理指導」に関しては介護保険が適応になります。

この「居宅療養管理指導」は医師や薬剤師、管理栄養士などがご自宅に訪問して療養上の管理や指導を行うことです。

要介護の患者様に関してはこの「居宅療養管理指導」の適応となります。

また要支援(要支援1、または要支援2)の患者様は「介護予防居宅療養管理指導」の適応となり同様に介護保険が適応されます。

これらは医師や薬剤師などが療養上のアドバイスを行うためにありますが、注意点としては実際の治療は行いません。

ただ医療保険で行う訪問診療の際に合わせて行われることがほとんどであり、診療と療養上のアドバイスを同時に行うことが多いです。

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訪問診療を利用する適切な頻度


訪問診療 料金

訪問診療を行う頻度ですが、決まった回数があるわけではなく医師や患者様・ご家族、ケアスタッフなどが話し合って頻度を決めていきます。

病状が落ち着いていると判断される場合は月2回程度となることが多いです。

また症状が落ち着いていても患者様やご家族が不安が残る場合は訪問診療の回数を増やすことも可能です。

そのため頻度に関しては医師やスタッフに希望を伝えていただければ、希望に沿った提案を行います。

訪問診療で対応できる疾患や病気・症状について


訪問診療 料金

訪問診療では基本的には全ての病気に対応することが可能です。

特に多い訪問診療を行う病気・症状として以下などが多く挙げられます。

  1. 寝たきり,または日中のほとんどをベッド上で過ごされている方
  2. 末期がんなどで緩和ケアを行っている方
  3. 病院からの退院後にご自宅で療養を行っている方
  4. ご自宅で酸素吸入を行っている,胃ろうを使用している方

上記の病気・症状以外の方でも訪問診療を行うことは可能です。

訪問診療を希望している、または検討している方は、まずはかかりつけ医に相談してみることをおすすめいたします。

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訪問診療は緊急性の高い場合でも対応してもらえるのか


訪問診療 料金

訪問診療は定期的な診療を行う必要がある患者様が対象となります。

ただ発熱や体調不良などといった予期せぬ症状が出ることはどんな患者様にもありえます。

その場合は緊急で医師がご自宅に伺い診療したあと適切な処置を行います。

重症度によっては紹介状を記載し病院に紹介することも可能です。

これらの緊急でのご自宅の診療のことを「往診」といいます。

往診を希望される場合は,まずはかかりつけの訪問診療医に電話で相談することをおすすめいたします。

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは様々な病気への訪問診療での対応が可能です。

胃ろうや点滴での栄養(中心静脈栄養、末梢静脈栄養)や酸素吸入が必要な患者様も対応することが出来ます。

またがんなどに対する緩和治療も可能ですので、ご自宅で疼痛管理のための麻薬処方を行うことが出来ます。

加えて肺がんや腹腔内のがんにより胸水、腹水といった悪性の体液が貯留することで呼吸の苦しさや腹部の張ったような症状が起こることがあります。

西春内科在宅クリニックの訪問診療ではそのような症状が出現するまえに定期的にがんによって溜まった水を抜くことで症状を緩和させることが可能です。

その他にも対応可能な症状・病態は多岐にわたります。

患者様ごとで必要な対応は変わってきますので、訪問診療の導入をご検討している場合は遠慮なく当院にご相談ください。

定期的な訪問診療のみならずご自宅で突発的な症状が出現した場合にもご連絡いただければ緊急往診に伺います。

また、ご自宅で病気の患者様のケアを行うことが不安なご家族も安心して在宅ケアが可能です。



まとめ


今回は訪問診療の料金についてや、介護保険が利用できるかなどについて説明させていただきました。

ご自宅で過ごすことに対して患者様並びにご家族様も不安なことが多いと思います。

訪問診療は医師が伺うことで、ご自宅で安心して生活する一助となります。

上記説明で訪問診療に対する不安が解消できれば幸いです。

また不安な点が残るようでしたら、一度当院にお問い合わせください。


参考文献

・厚生労働省.平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

・厚生労働省.「資料2 在宅医療と連携について」P.2 往診・訪問診療の状況

・厚生労働省「居宅療養管理指導」

・東京都医師会「東京医師会 3章介護保険制度と医療」

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大