前立腺肥大は自然に治る?原因と症状、予防対策について解説

公開日:2023.7.10 更新日:2023.12.25

前立腺肥大


中高年の男性は前立腺肥大に注意が必要です。

前立腺肥大は、加齢とともによく見られるようになる疾患であり、70代の男性では約8割に起こると言われています。

また、前立腺肥大と排尿症状を伴い、治療を必要とする前立腺肥大症の頻度は、その1/4程度と言われています。

今回は、前立腺肥大の原因、症状、そして予防対策などについて解説していきます。

早期の対策や予防を知ることで、より健康な生活を送ることが出来ると思います。

『最近尿切れが悪いな』

『残尿感があるな』

『漏らしてしまった』

『排尿したいのに出ないな』

そういった方は是非読んでください。



前立腺肥大とは


前立腺肥大

前立腺肥大とは、男性の前立腺が加齢とともに徐々に大きくなる状態を指します。

正常な前立腺は、尿道の周りに存在し、尿の排出を補助する役割を果たしています。

しかし、年齢とともに男性ホルモンの一つであるテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、前立腺組織に影響を与えることで肥大化することがあります。

前立腺肥大が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

排尿障害


前立腺が膀胱の近くに圧迫をかけたり、尿の通り道である尿道を圧迫します。

そのため、尿の流れが弱くなったり、勢いが弱まったりすることがあります。

尿の始まりに時間がかかる、尿が切れにくい、頻尿や夜間頻尿などの症状が現れることがあります。

尿閉


前立腺肥大が進行すると、尿の流れが完全に遮断され、尿閉(尿が出ない状態)を引き起こすことがあります。

尿閉は緊急の状態であり、早急な医療の対応が必要です。

尿漏れ


前立腺肥大によって尿道が圧迫されると、尿漏れや尿が滴り落ちる状態(尿の域王位が低下することによる)が起こることがあります。

トイレに行きたいと思った時に間に合わず尿が漏れてしまうことや、特に咳やくしゃみ、体を動かすなどの圧力がかかる瞬間に尿が漏れることがあります。

▶︎脱水症状になりやすい人の特徴|下痢や吐き気が起きる理由も解説

前立腺肥大の原因


前立腺肥大

前立腺肥大の原因は、複数の要素が関与しています。

加齢


前立腺肥大は、加齢と共に起こります。

前述した通り、男性ホルモンであるテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、前立腺組織が刺激を受け肥大します。

ホルモンバランスの変化


前立腺肥大は、男性ホルモンであるテストステロンとエストロゲンのバランスの変化に関連していると考えられています。

テストステロンの減少に伴い、エストロゲンが相対的に増加し、前立腺組織が増殖する可能性があります。

遺伝的要因


前立腺肥大は、家族歴や遺伝的な要因も関与する可能性があります。

家族内で前立腺肥大の方が多い場合、前立腺肥大を起こしやすいです。

生活習慣


不健康な生活習慣も前立腺肥大のリスクを高める要因となる可能性があります。

肥満、運動不足、食生活の乱れ、喫煙、ストレスなどが関与するとされています。

合併症や疾患


前立腺肥大は、一部の合併症や疾患と関連します。

例えば、糖尿病や心臓病などの慢性的な疾患は前立腺肥大症の発症リスクを高める可能性があるとされています。

▶︎高齢者の便秘は危険?主な原因や解消方法、病院での治療を解説

前立腺肥大の症状


前立腺肥大

前立腺肥大の症状は、主に排尿に関連した以下などの問題が現れます。

排尿障害🔹尿の始まりが遅い
 (遅尿)
🔹尿の勢いが弱い
 (尿流低下)
🔹尿が切れにくい
 (尿切れの悪さ)
蓄尿症状🔹排尿間隔が短くなる
 (頻尿)
🔹夜間に何度も起きて尿をしに行く
 (夜間頻尿)
🔹尿を貯めることが難しくなり、尿意を我慢することができない
 (尿失禁)
排尿後症状🔹尿を完全に排泄できていない感覚がある
 (残尿感)
🔹尿が漏れることがある
 (尿漏れ)

これらの症状は、前立腺肥大によって尿道が圧迫されることによって引き起こされます。

生活習慣病の人は前立腺肥大になりやすい?




生活習慣病は、前立腺肥大の発症リスクを増加させるとされています。

しかし、直接的な因果関係はまだ完全には解明されていません

具体的には、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症、メタボリック症候群は前立腺肥大症との関連が指摘されています。

これらを有している方は有していない方に比較して、前立腺体積が大きくなりやすいことが示されています。

したがって、生活習慣病と前立腺肥大症の関連性を考えると、健康な生活習慣の確立と維持が重要です。

バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスの管理、喫煙を避けるなど、生活習慣の改善は前立腺肥大症の予防や進行の抑制に役立ちます。

定期的な健康チェックも忘れずに行いましょう。

▶︎高脂血症になりやすい原因とは?脂質異常症との違いや治療について-横浜内科・在宅クリニック

前立腺肥大症は自然に治るのか


前立腺肥大

前立腺肥大症は生活習慣を改善したとしても自然に治ることは少ないです。

どちらかといえば、放っておくことにより症状は進行する傾向にあります。

もし、頻尿や尿の勢いが低下してきているなどの症状がある場合には、前立腺肥大症の診療が可能な内科・泌尿器科を受診していただくことをお勧めします。

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前立腺肥大症の治療について


前立腺肥大

前立腺肥大症の治療には、薬物療法と手術治療の2つがあります。

治療方法は、症状の程度や患者の状態に基づいて選択されます。

薬物治療

前立腺肥大症の初期段階や軽度な症状の場合には、薬物治療が選択されることがあります。
主な薬剤としては、以下のようなものがあります。
これらの薬物は、症状の軽減や尿の通りを改善する効果があります。

α1遮断薬
α1遮断薬は、前立腺部尿道の筋肉を弛緩させることにより尿の通りを改善します。
尿の流れがスムーズになり、頻尿や残尿感などの症状が改善されます。

5α還元酵素阻害薬
この薬は、前立腺内のホルモンのバランスを調整し、前立腺の肥大を緩和する効果があります。
前立腺を縮小し、症状を改善することが期待されます。

ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬
α1遮断薬とは異なった働き方で前立腺部尿道の筋肉を弛緩させることにより尿の通りを改善します。
勃起不全(ED)を合併している場合にもよく使用されます。

手術療法

重度な前立腺肥大や合併症のある場合、また薬物治療によっても改善が乏しい場合には、手術療法が検討
されます。
以下に代表的な手術療法をいくつか紹介します。
これらの手術治療は、前立腺肥大症の症状の改善や合併症の予防に効果的です。

経尿道的前立腺切除術(TURP)
TURPは、内視鏡を使用して前立腺組織を摘出する手術です。
前立腺内部の圧迫を緩和し、尿の通りを改善します。

ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)
尿道から内視鏡を挿入し、肥大した前立腺の腺腫をレーザーを使用して被膜から剥離して核出する手術です。
従来の経尿道的切除術(TURP)と比べ、大きい腺腫でも確実に核出することが可能であり、出血も少ないため、体に優しい手術です。

グリーンライトレーザー手術(PVP)
グリーンライトレーザー手術は、特殊なレーザーを使用して前立腺組織を蒸散させることにより尿の通りを改善します。



前立腺肥大症にならないための予防対策


前立腺肥大症は生活習慣病との関連があるため、健康的な生活習慣を取り入れ、生活習慣病を予防することが重要です。

前立腺肥大症予防のための対策をいくつか解説していきます。

バランスの取れた食事


前立腺肥大

食事は健康にとって重要な要素です。

以下に注意して生活習慣病を予防し、前立腺肥大症の予防につなげましょう。

イソフラボノイドやリグナンを含む食品


野菜、穀物、大豆などに多く含まれており、前立腺肥大症を抑制すると推測されています。

オメガ-3脂肪酸を含む食品


魚やナッツ、種子などに含まれるオメガ-3脂肪酸は、生活習慣病の予防に役立ちますので、積極的に摂取しましょう。

フルーツと野菜


ビタミン、ミネラル、抗酸化物質を豊富に含むフルーツと野菜は、生活習慣病の予防に役立ちますので、積極的に接種しましょう。

食物繊維の摂取: 穀物、野菜、果物などの食物繊維は、便通を改善し、生活習慣病の予防に役立ちますので、積極的に接種しましょう。

▶︎高血圧の原因になりやすい食事や食べてはいけないものとは?-横浜内科・在宅クリニック

適度な運動


前立腺肥大

適度な運動は生活習慣病を予防し、前立腺肥大症の予防につながります。

有酸素運動


ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動は血液循環を促進し、排尿機能を良い状態に保つのに役立ちます。

骨盤底筋のエクササイズ


骨盤底筋を強化するエクササイズは、尿漏れを起こりにくくする効果があります。

ストレス管理


前立腺肥大

長期間のストレスは前立腺の状態に悪影響を与えることがあります。

ストレスを軽減するために、リラクゼーション法やストレス管理のテクニックを取り入れることが重要です。

定期的な健康チェック


前立腺肥大

定期的な健康チェックは前立腺肥大症の早期発見と予防に役立ちます。

定期的な健康診断や前立腺検査を受けることで、前立腺の状態や異常の有無を把握することができます。

医師の指示に従い、適切な頻度での検査を受けるようにしましょう。

禁煙


前立腺肥大

喫煙は前立腺肥大症に直接影響を与えることは示されていませんが、生活習慣病につながるため、可能な限り禁煙することが前立腺肥大症の予防につながります。

前立腺肥大症の予防には、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理、定期的な健康チェック、禁煙が重要です。

これらの予防策を積極的に取り入れることで、生活習慣病を予防し、前立腺肥大症の発症リスクを減らすことができます。

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、前立腺肥大症の症状の評価と診断を行います。

患者の症状や身体的な状態を総合的に評価し、正確な診断・治療を行います。

患者様の症状などに合わせた薬の処方を行い、症状の軽減や前立腺の状態の改善を目指します。

また、西春内科在宅クリニックは在宅診療を行っています。

通院が困難な前立腺肥大症の患者に対して、自宅での診療・治療を提供します。

患者様の状態に応じて必要な場合には他の医療機関や専門家との連携を行います。

緊急時や症状の進行に対応するために、迅速な対応や適切な紹介先の提案を行います。



まとめ


前立腺肥大症は中高年の男性によく見られる疾患であり、排尿トラブルや生活の質への影響があります。

生活習慣病や加齢が原因とされますが、予防策としてバランスの取れた食事や適度な運動が重要です。

西春内科在宅クリニックでは、適切な診断と治療を提供し、患者の健康と安心をサポートします。

参考文献

日本医師会
厚生労働省
日本泌尿器科学会
医学書院メディカルオンライン
Mayo Clinic

この記事の監修医師

監修医師: 日本泌尿器科学会専門医 石川 智啓

専門領域

泌尿器科一般

認定・資格

泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会)
da Vinci Surgical Systemコンソールサージャン・サーティフィケート

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

三重大学医学部医学科 卒業
三重県立総合医療センター 
N2 clinic