熱中症かもしれない初期症状や治し方について|高齢者は注意!
高齢者の方の熱中症の危険性をご存知ですか?
暑い夏の時期には「熱中症に注意」という呼びかけを耳にすることも多いですよね。
この「熱中症」、とくにどんな方がなりやすいか、皆さんはご存知でしょうか?
多くの方は、子どもが外で遊んだり、スポーツをしたりしている時になるイメージを持たれているのではないでしょうか。
実は、それは間違いなんです。
2021年度のデータでは、熱中症は満65歳以上の高齢者の方にもっとも多く、その割合は全体の56.3%にものぼります。
屋外で激しい運動をする機会の少ない高齢者の方が、どうして熱中症になってしまうのでしょうか?
今回は、高齢者の方に起こりやすい熱中症の症状や、その対策、治し方などについて解説していきます。
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熱中症とは?

熱中症は、基本的には、高温・多湿な夏に起こりやすい病気です。
熱中症の細かい分類には、熱射病や熱疲労などがありますが、ここでは「熱中症」としてまとめて説明していきます。
人間の体は、暑い時には汗をかいたり、のどの乾きを感じて水分を摂ったりすることで、体温を調整するようにできています。
熱中症は、この体の調整能力以上に体温が上がった時や、体温の調整が上手くできない時に起こります。
若い方の場合は、激しい運動などで、短時間で体温が上がった時に起こります。
高齢者の方は、どんなきっかけで熱中症になりやすいのでしょうか。
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高齢者の熱中症リスク

高齢者の方が熱中症になりやすいのは、体温の調整能力が若い人よりも落ちているためといわれています。
高齢者の方は、暑い場所にいても汗をかきにくく、そのために自ら体温を下げることができません。
また、高齢者の方は、口渇中枢という脱水を予防する機能も落ちています。
そのために、暑くても水分を摂らずに脱水状態になり、熱中症のリスクが高まってしまうのです。
それ以外にも、高齢者の方は
といった特徴もあります。
それでは、高齢者が熱中症になった時には、どんな症状が出やすいのでしょうか?
どんな症状が出てくるかを知り、できるだけ早く熱中症に気づけるようにしましょう。
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熱中症の症状

熱中症にはさまざまな症状があります。
できるだけ早く気づくことが回復には大切です。
これから、熱中症の症状を、軽いものから順番に挙げていき、その詳細も一緒に説明していきます。
めまい・立ちくらみ | これは、立ち上がる時に特に起こりやすい症状です。 脱水で血圧が下がっていると、比較的早い段階で起こります。 この段階で、意識して水分と塩分をとり、涼しいところで安静にすることが大切です。 また、めまいによる転倒に注意しましょう。 |
大量の汗 | 発汗することで体温を下げようとする、体の調整機能からくる症状です。 これは体内の脱水が進んでいることを意味しています。 また、尿の色が濃くなったり、尿量が減ったりしている場合も、脱水の危険信号です。 しっかりと水分摂取することが大切です。 |
筋肉痛・こむら返り(足がつる) | 発汗により、水分とともに血液の電解質(塩分)が減ることによって表れる症状のひとつです。 塩分を十分摂らず水分だけ摂ると起こりやすい症状です。 |
頭痛 | 主に脱水による影響で起こりえます。 普段から偏頭痛などを持っている高齢者の方の場合、熱中症と気づきにくいため要注意です。 |
倦怠感 | なんとなく体がだるいといった症状です。 風邪と間違われることもありますが、この倦怠感を放っておくと熱中症が進行してしまうので要注意です。 |
嘔吐 | 熱中症が進むと、嘔吐してしまうことがあります。 この場合、口から水分を摂ることが難しくなるため、病院での点滴治療が必要となります。 また、意識障害も起こっている場合には、誤嚥し肺炎を引き起こすこともあるため危険です。 |
痙攣(けいれん) | 体全体が痙攣します。 ここまで症状が進んだ場合は、熱中症はかなり進んでいるため、救急車での受診が必要になることが多いです。 |
意識障害 | 熱中症がかなり進行した、大変危険な状況です。 ご本人が倒れているところをご家族に発見されることが多いです。 すぐに救急車での搬送が必要な状況です。 |
以上が、熱中症でよく表れる症状の一覧になります。
このような症状が出た時に、ご本人・ご家族がとるべき対応を次に説明いたします。
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熱中症になってしまった時の対処法

もし熱中症を疑う症状が出た場合は、どうすればいいのでしょうか?
まずは涼しい場所で安静にすることをおすすめします。
外で運動などしている場合は運動をやめて、冷房が効いた場所に移動しましょう。
ご自宅で熱中症を疑う症状が出た場合には、冷房をつけ、濡れタオルなどで体温を下げるようにしましょう。
また、冷たい水をペットボトルに入れ両脇に挟んで、体温を下げることも効果的です。
扇風機ではなく、必ず冷房を使用してください。
軽度の熱中症であれば、水分を摂ることで治ることがあります。
ただし、水だけでは必要な電解質を摂ることができないため、水やお茶ではなくスポーツドリンクを飲むことをおすすめします。
または、塩飴や塩分タブレットと併用してもよいでしょう。
コーヒーには、利尿作用があり、脱水が進んでしまうことがあるためおすすめしません。
なお、高齢者の方は脱水状態を自覚しにくく、水分を飲む量が元々少ないこともあり、少なくとも500mLは水分摂取することをおすすめします。
ご家族は、意識低下や痙攣などの症状の悪化のサインがないかこまめに確認するようにしてください。
水分補給のPOINT
スポーツドリンクはナトリウム以外にもカリウムや、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。
そのため、食事摂取量が減少している場合はスポーツドリンクを推奨させていただいています。
しかし、市販のスポーツドリンクの飲み過ぎは、糖を多く含む事から体質によっては、おなかを壊してしまったり、糖尿病の悪化や、利尿作用によりかえって脱水症状を引き起こしたりというケースも稀に見受けられます。
そのため、スポーツドリンクの多量摂取はおすすめできません。
そんな時におススメするのが【経口補水液】です!
ご自宅にあるもので簡単につくれますので是非作って、熱中症対策をしましょう!
経口補水液の作り方
≪材料≫
水(湯冷まし)…500ml
砂糖…20グラム(はちみつでも可…大さじ1)
塩…1.5グラム
レモン果汁…お好みで
≪作り方≫
材料をすべて入れて混ぜる。
砂糖と塩は溶けにくいのでしっかり混ぜて溶かしましょう。
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熱中症にならないための予防対策

ここまで、熱中症の症状と対応について解説してきました。
次に、熱中症の予防対策についてお伝えしていきたいと思います。
熱中症の予防では、急な体温上昇を抑え、脱水を予防することがもっとも重要です。
高齢者の方の場合、ご自宅で冷房をつけずに扇風機だけで過ごしていることで熱中症を発症してしまうケースが多いようです。
高齢者の方は、暑さを感じにくいことや、「体に悪そう」などの冷房に対する苦手意識から、冷房の使用を控えがちのようです。
しかし、実は、扇風機には室温を下げる効果があまり期待できないため、冷房を使い、しっかり部屋の温度を下げることが大切なのです。
ご自宅で冷房を使用することで熱中症の予防は十分に可能です。
また、冷房にプラスして、スポーツドリンクで脱水予防をすることをおすすめします。
甘さが苦手な方は、薬局で販売している経口補水液OS-1を飲んでもよいでしょう。
そして、高齢者の方が外出や運動をする場合は、必ず休息をこまめに挟み、その際にいつもより多めの水分補給を心がけるようにしてください。
塩分補給のための塩飴や塩タブレットも意識的に摂るようにしましょう。
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西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科・在宅クリニックでは、熱中症が疑われる症状が出た場合に、受診いただくことが可能です。
ただし、体調や体力、夜間や休日の体調不良など、受診が難しいこともあるかと思います。
そのような時のために、当院では、家来るドクターと連携してご自宅に医師が診察にうかがう往診サービスを行っております。
往診では、患者さまがご自宅にいながら、診察から処方までを行うことができます。
熱中症を疑う症状でご不安な時には、電話でのご相談も可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
家来るドクターホームページ

まとめ
今回は、高齢者の方に起こりやすい熱中症の症状や、その対策、治し方などについて解説させていただきました。
熱中症で最も大切なことは予防です。
この情報を参考にして健康で快適な夏を過ごしてくださいね。
もし何か、困ったことがあれば、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。
【参考文献】
・消防庁(2021) 令和3年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況