乾燥で咳が止まらないのはなぜ?咳の特徴や悪化させないための方法を紹介

公開日:2023.11.06 更新日:2024.10.08

乾燥咳

秋も次第に深まり、ずいぶんと空気が乾燥するようになってきました。

乾燥すると咳がでて困ると言う方もいらっしゃるかと思います。

今回はそんな空気の乾燥と、咳について解説を行いたいと思います。

 

 

乾燥で咳が止まらない原因


乾燥咳

空気が乾燥すると、喉ではいったいどの様な変化が起こっているのでしょうか。

まず、人間が呼吸によって空気を取り込むのは、空気中に溶けている酸素を体内に取り込むためです。

酸素は体内に取り込まれると、食事から吸収した栄養分子と酸化反応を起こし、人間の細胞が活動するエネルギーを生み出します。

エネルギーを取り出すと、二酸化炭素が生れますが、それをさらに肺を通じて体外へ排出するまでの過程を、呼吸と呼んでいます。

鼻や口から取り込んだ空気が肺に届くまでを気道と呼びます。

気道には、加温、加湿、クリーナーの役割が備わっており、肺の中が無菌状態になるように保っています。

空気には当然酸素以外にも様々なものが混ざっています。

目に見えないウイルスやばい菌、ダニやほこり、その他のアレルギー物質などは、体内への侵入を防がなければなりません。

そういった異物を体内へ侵入させない、体外へ追い出そうとするのが、咳の役割です。

咳は生体防御反応の一種になります。

また、咳には気道にたまった痰を、体外に排出する役割もあります。

気道の表面には、細かい毛と、粘液が存在しており、潤った状態を維持して保護しています。

この粘液が、ウイルスやばい菌、ほこりなどをからめとったものが痰となり、細かい毛によって運ばれていき、最後は咳によって体外へ排出される仕組みになっています。

しかし、空気が乾燥するとそれらの防御機能が低下してしまい、気道は炎症や感染症を起こしやすくなってしまい、咳や痰が出やすくなってしまうのです。

 

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乾燥による咳の特徴とは


乾燥咳

咳空気の乾燥によって咳がでる、場合によっては痰が出るという事は、気道の防御機能が低下して、すでに何らかの炎症や感染症に罹患してしまった可能性が高いと言えます。

また、病的な咳は、続いている期間によって3種類に分けられます。

① 急性咳そう(3週間未満の咳)


ウイルスやばい菌などの感染症、気管支炎などが該当します。乾燥によって生じた咳であれば、おおむね急性咳そうにあたります。

② 遅延性咳そう(3週間以上8週間未満の咳)


急性咳そうの原因となった感染症が治ったあとに、咳だけが残るケースがほとんどです。

③ 慢性咳そう(8週間以上続く咳)


咳喘息、副鼻腔炎、後鼻漏、逆流性食道炎、心因性や薬剤性などが挙げられます。

 

 

咳喘息かもしれないチェック項目


乾燥咳

長い期間咳がとまらないため病院に受診したら、咳喘息と言われた方もいらっしゃるかもしれません。

咳喘息とは、一般的に喘息(気管支喘息)と言われる疾患の一種なのですが、典型的な喘息のように、「ヒューヒュー」と言った笛のような呼吸音や呼吸困難感などの症状は伴わず、咳だけが唯一の症状である病気です。

ただ、咳喘息の約30パーセントで気管支喘息に移行すると言われており、早い段階から治療を行うことが推奨されてします。

診断に際しては、病歴や身体症状を確認した上で総合的に判断されますが、下記に咳喘息の診断基準を簡易的に示します。

  1.  喘鳴(ヒューヒューなどの呼吸音)を伴わない咳が8週間以上続く
  2. 気管支拡張薬が有効である
  3. 気管支喘息にかかったことはない
  4. 8週間以内に風邪などを引いていない
  5. 気道が過敏になっている
  6. 咳を引き起こすアレルギー物質などに反応して咳がでる
  7. 胸部レントゲンで以上はみつからない


※さらに簡略化して①②を満たせば咳喘息と診断されることがあります。

また、「からだケアナビ」にわかりやすいチェックシートがあったので、こちらも参考にしてみてください。

□咳が一旦出るとせき込んで止まらなくなる
□夜、横になるとせきこんで寝付きにくい
□夜中にせき込んで目が覚めることがある
□冷気、寒暖差でせき込む
□電車や人ごみの中でせき込む
□たばこの煙や強い香水が苦手
□風邪の後に激しい咳が続いた経験がある
□咳は激しいが息苦しさやゼイゼイと言う音はない
□子供のころ、小児喘息だった
□喉のイガイガを取り除こうと咳をした結果、せき込む

上記の項目に3つ以上当てはまる場合は咳喘息の可能性があります。

 

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咳を悪化させてしまうかもしれない要因


乾燥咳

咳を悪化させるかもしれない要因として以下のものがあります。

  1. 喫煙もしくは受動喫煙
  2. アレルギー物質(花粉やハウスダスト、ダニ、ほこり、ペットの毛など)
  3. アルコール
  4. アスベストなど環境的な要因
  5. 逆流性食道炎や後鼻漏といった身体的な疾患
  6. 薬の副作用
  7. ストレスの蓄積



乾燥による咳を止める・抑える方法は?


乾燥咳

乾燥により気道の防御機能が低下してしまうことを解説しました。

まずは、室内の空気を乾燥させない対策が重要と言えます。

加湿器を用いたり、洗濯物を部屋干しにする、洗面器やバケツなどに水を張って置いておくなど、室内が乾燥しない工夫をしましょう。

湿度計は自宅に無い方も多いかと思いますが、現在の湿度がどのくらいかを客観的に把握することはとても重要なので、是非購入をご検討ください。

ちなみに、室温が25℃~28℃くらいであれば、湿度は50%~60%が適正とされています。

また室温が18℃~25℃くらいであれば、湿度は40%~50%が適正とされています。

また喉のうるおいを手助けする方法とてしては、水分をしっかりとることや、のど飴などを使用すること、さらにはこまめにうがいすること、マスクを着用すること、などが挙げられます。

いずれにせよ、乾燥は咳を誘発、悪化する可能性があるので、十分に対策をとるようにしましょう。

 

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西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、常勤の内科医にて、つらい咳症状に対して丁寧に診察を行い、必要に応じて検査を行い、治療に結び付けていきます。

CT撮影など、より詳しい検査も可能となっています。

咳の症状でお悩みの場合、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

まとめ


空気の乾燥は、気道の防御機能を低下させて、ウイルスやばい菌の侵入を許してしまうことで、感染症にかかりやすくしてしまいます。

油断せず、甘く見ず、しっかりと室内を加湿したり、こまめに水分をとったり、うがいをするなどして、元気に秋、そして冬を乗り切っていきましょう。

参考文献

乾燥する季節は咳喘息にご用心 | 知っておきたい病気・医療 | からだケアナビ

この記事の監修医師

監修医師: 精神科専門医/精神保健指定医 竹下 理

監修医師: 福井 康大