アトピー咳嗽の原因はストレス?症状のチェック項目や治し方を紹介

公開日:2023.11.13 更新日:2024.2.26

アトピー咳嗽

咳は多くの人々が経験するとても一般的な症状の一つです。


しかし、その背後にはさまざまな原因が隠れていることがあります。

特に、咳が長引き、特定の時期や状況で症状が顕著になる場合、単なる風邪や環境の変化だけでなく、アトピー咳嗽の可能性も考える必要が出てきます。

アトピー咳嗽(がいそう)とは、アトピー性皮膚炎やアトピー性鼻炎と同じく、アトピーの一部として分類される疾患です。

主な症状は咳であり、特に夜間や早朝に症状が増強することが多いとされています。

さらに、アトピー咳嗽の特徴として、咳が数週間以上にわたり持続することが指摘されています。

この症状は一般的な風邪の咳や季節性のアレルギーによる咳とは異なります。

アトピー咳嗽は、体内の免疫反応や炎症が関与していると考えられており、特定の刺激やストレスが症状を悪化させることがあります。

また、このアトピー咳嗽は、一般的な認知度はまだ高くないかもしれませんが、適切な知識や対応があれば、日常生活の質を大きく向上させることが可能です。

この記事では、アトピー咳嗽の詳しい原因や症状、そしてその対処法について詳しく解説していきます。

 

 

アトピー咳嗽の原因


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、その名称からも伺える通り、アトピー性の疾患の一つです。

しかし、アトピー咳嗽の特性や原因について、詳しく知っている人はまだ少ないかもしれません。

以下、この疾患の原因や簡単な概要について解説します。

疾患の概要


アトピー咳嗽は、アトピー性の免疫反応が原因となる、気道の炎症を主症状とする疾患です。

一般的にアトピーとは、体が過敏に反応することで、炎症や症状が生じる状態を指します。

アトピー咳嗽では、この過敏反応が気道において生じ、持続的な咳という症状が現れます。

ストレスとの関係


ストレスはアトピー咳嗽の原因や悪化要因の一つとして知られています。

ストレスが加わることで、体の免疫バランスが乱れることがあり、これがアトピー性の反応を引き起こす要因となり得ます。

特に、持続的なストレスや過度な緊張は、気道の炎症を引き起こす可能性が高まります。

日常生活の中でのストレス管理は、アトピー咳嗽の予防や治療において非常に重要な要素となります。

その他の原因


アトピー咳嗽の原因は、ストレスのみならず、様々な要因が絡み合っています。

アトピー咳嗽では咳が出やすくなっており、通常では反応しないような様々な環境要因(タバコの煙や会話など)や遺伝、乾燥した空気や冷たい空気への暴露、そして一部の食物や薬物も引き金となって頑固な咳を引き起こします。

 

アトピー咳嗽は、多様な原因が絡み合った結果、気道の過敏反応としての咳が主な症状として現れる疾患です。

ストレスもその重要な要因の一つとして位置づけられ、日常生活の中での適切なストレス管理が病状のコントロールに寄与すると考えられます。

また多様な原因で増悪することもあり、アトピー咳嗽の原因や概要を理解することは、その治療や予防、そして日常生活の質の向上に繋がります。

 

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アトピー咳嗽かもしれない症状チェック項目


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、一見すると通常の風邪や他の疾患に起因する咳と区別が難しいことがあります。

しかし、アトピー咳嗽には特有の症状や咳の特徴があります。

以下に、アトピー咳嗽である可能性が高まる症状のチェック項目の特徴を一つづつ解説します。

持続するドライな咳


アトピー咳嗽の最も一般的な特徴は、持続する乾いた咳です。

この咳は、痰が伴わないことが多いのですが、症状が進行すると痰がからむこともあります。

痰の特徴


アトピー咳嗽の場合、痰が絡むときは、その痰は粘性が高く、透明または白色のことが多いです。

このような痰の特徴は、気道の炎症や過敏反応の結果として現れるものです。

夜間や早朝の咳


夜間や早朝、特に寝起きの時間帯に咳が強くなることもアトピー咳嗽の典型的な症状の一つです。

これは、横になることで気道の状態が変わり、炎症が強まることが原因とされています。

特定の刺激による咳の悪化


強い香りや冷たい空気、乾燥した環境、またはタバコの煙など特定のアレルゲンに触れた際に咳が悪化することがあります。

これは、アトピーの過敏反応が気道で生じていることを示唆しています。

声のかすれや喉の痒み


咳だけでなく、声のかすれや喉の痒みもアトピー咳嗽の症状として現れることがあります。

これは、気道の炎症が声帯や喉の周辺にも影響を及ぼしていることを示しています。

過去のアトピー歴


アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎など、他のアトピー性疾患の既往歴がある場合、アトピー咳嗽のリスクが高まることが知られています。

効果的な治療の反応


アトピー咳嗽の疑いがある場合、アトピー性の炎症を抑制する治療が効果的であることが多いです。

例えば、ステロイド薬の吸入などが効果的である場合、アトピー咳嗽である可能性が高まります。

以上のチェック項目を通じて、自分の咳がアトピー咳嗽に起因するものなのか、一般的な咳とは異なる特性や症状があるのかを把握することができます。

もし複数の項目に該当する症状がある場合には、早めに専門医の診断を受けることをおすすめします。

 

 

アトピー咳嗽はうつる可能性があるの?


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽についての理解が深まってくると、多くの人々が次に抱く疑問は「この疾患は他人にうつるのか?」ということでしょう。

ここでは、アトピー咳嗽が他人に感染する可能性について、科学的な背景とともに詳しく解説します。

アトピー咳嗽の本質


まず基本的に理解すべきことは、アトピー咳嗽は感染性の疾患ではないということです。

アトピーは体の免疫システムが過敏に反応することで起こる疾患であり、特定のウイルスや細菌によって引き起こされるものではありません。

感染とアトピーの違い


一般的な感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が体に侵入することで症状が現れます。

これに対して、アトピー性の疾患は、外部の刺激やアレルゲンに対する体の過敏な反応が原因となっています。

したがって、他人からの感染によってアトピー咳嗽が発症することは考えられません。

遺伝的要因


アトピー性疾患の背後には遺伝的な要因が関与していることが知られています。

つまり、家族内でアトピー性疾患を持つ人がいると、同じ家族内でアトピーが発症するリスクは高まるとされています。

これは「感染」ではなく、遺伝的な素因の結果です。

環境要因の影響


アトピー咳嗽の発症には、遺伝的要因以外にも環境的な要因が影響していることが指摘されています。

一定のアレルゲンにさらされること、生活環境の変化、ストレスなどがアトピーの症状を引き起こすトリガーとなることがあります。

他の疾患との混同


アトピー咳嗽の症状は、他の感染症の症状と似ていることがあります。

しかし、これは症状の類似性に過ぎず、アトピー咳嗽自体が感染するわけではありません。

上記のことを考慮し、疾患の理解を深め、正確な情報を得ることが重要です。

また、アトピー咳嗽を疑う症状が現れた場合には、早めに専門医の診断を受けることをおすすめします。

 

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咳喘息やコロナとの違いは?


アトピー咳嗽

咳や呼吸に関する症状をもたらす疾患や状態は多岐にわたります。

特にアトピー咳嗽、咳喘息、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、一般の人々の間でも大きな関心を集めています。

それぞれの疾患や状態が持つ特徴や違いを知ることで、適切な対応や治療方法を選択する手助けとなります。

アトピー咳嗽

原因

アトピー性疾患の一つで、体の免疫システムが過敏に反応し、炎症を引き起こす。

主な症状や特徴

長期間持続する乾いた咳、咽頭違和感、夜間から明け方の増悪、会話や喫煙、冷気など特定の状況で増悪しやすい、咳止めや気管支拡張薬が効かない、など

感染性

アトピー咳嗽自体は感染しない。


咳喘息

原因

喘息の一形態であり、気道が炎症を起こし狭くなることによって引き起こされる。

主な症状

咳が主な症状で、夜間や早朝に悪化することが多い。
喘息の典型的な「ゼーゼー」する呼吸音は少ない。女性に多い傾向。

感染

咳喘息自体は感染しない。


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

原因

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症。

主な症状

発熱、乾いた咳、息切れ、筋肉痛、疲労感など。
肺炎を引き起こすと重症化に至るケースもある。
味覚や嗅覚障害をもたらすこともある。

感染

他人に感染する可能性がある。
感染経路は主に飛沫感染。


疾患の違いのポイント

発症のメカニズム

アトピー咳嗽や咳喘息は、体内の免疫システムや気道の炎症反応が関与するが、COVID-19はウイルス感染によるもの。

感染性

アトピー咳嗽や咳喘息は感染症ではないため、他人に感染するリスクはない。
一方、COVID-19は感染症であるため、飛沫を介して他人に感染する可能性がある。

治療方法

アトピー咳嗽や咳喘息の治療は、主に症状を和らげるための薬や、ステロイド薬、原因となるアレルギー物質を避けることなどが中心となる。
COVID-19の場合は、ウイルスに対する薬や症状を和らげる治療が一般的に行われる。


咳や呼吸に関する症状が現れたとき、それが何によるものか正確に判断することは難しいことが多いです。

しかし、その症状の背後にある疾患や状態を理解することで、適切な診断や治療を受けることができます。

何か症状が気になる場合は、必ず医師に相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。

 

 

アトピー咳嗽は自然治癒する?


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽の患者さんやそのご家族からよく受ける質問の一つに、「アトピー咳嗽は自然治癒するのか?」というものがあります。

この質問の背景には、患者さんたちの強い願望があるのは間違いありません。

誰しも、薬や治療を行わずに自然に治ることを望むものです。

では、アトピー咳嗽は実際に自然治癒するのでしょうか。

アトピー咳嗽の特徴と成り立ち


アトピー咳嗽は、体の免疫反応が過敏になることで発症する疾患の一つです。

乾いた咳が長期にわたり持続し、夜間や明け方に増悪することが主な症状として現れることが多いです。

自然治癒する可能性


一般的に、ある疾患や症状が自然治癒するかどうかは、その疾患の原因や成り立ち、患者の体質や生活環境など多くの要因が関係してきます。

アトピー咳嗽についても、完全に自然治癒するかは一概には言えません。

しかし、以下のようなケースでは自然治癒の可能性が考えられます。

初期段階や軽度の症状


初期段階や軽度の症状の場合、体の自然な免疫反応や生活習慣の改善、ストレスの軽減などで症状が改善されることがあります。

原因となる刺激物の除去


アトピー咳嗽の原因となる刺激物(例: アレルギー物質、タバコ、寒暖差など)を適切に避けることで、症状が改善されることが期待されます。

成長とともに


お子さんの場合、成長とともに体質が変わることでアレルゲンに対する過敏性が変化しアトピー咳嗽の症状が改善されることもあります。

自然治癒を待つリスク


アトピー咳嗽の症状が強い場合や非常に長期間続く場合、自然治癒を待つだけではなく、適切な治療を受けることが重要です。

長期間症状が放置されると、日常生活に影響を及ぼすだけでなく、他の疾患の症状に気付かなかったり、他の疾患を起こすリスクも高まることが考えられます。

アトピー咳嗽が自然治癒するかどうかは、個人の体質や症状の程度、生活環境の変化など多くの要因によって異なります。

自然治癒を期待することはできますが、症状が長期化している場合には適切な診断や治療を受けることで、より早く症状の改善を目指すことが最善の策と言えるでしょう。

 

関連記事:新型コロナの後遺症の一覧と症状が長引くときの対処法

 

 

アトピー咳嗽の治し方


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、その名の通りアトピー性の反応が原因となる咳の一種です。

こちらでは、アトピー咳嗽の治し方として、市販薬からクリニックでの治療方法までを詳しく解説します。

市販薬による対処法


アレグラ、アレジオンなどアトピー症状を和らげる抗アレルギー薬を内服することで過剰なアレルギー反応を抑制し、症状緩和に繋がることが期待できます。

アトピー咳嗽の症状が軽度の場合には、このような市販薬での対処も一つの選択肢です。

ただし、効果の現れ方は個人差があるため、内服していても症状が続く場合には医師の診断を受けることが推奨されます。

また、薬局では様々な抗アレルギー薬が市販されています。

効果や内服後の眠気の程度などそれぞれの薬の特徴や効果、副作用などを理解した上で選択することが重要です。

分からない場合には医師や薬剤師に相談してみましょう。

クリニックでの治療方法

アレルギー検査


アトピー咳嗽の原因となるアレルギー物質を特定するための検査を受けることが可能です。

原因となる物質を特定することで、それを避ける生活習慣の指導や、特定の治療法の選択が可能となります。

吸入ステロイド薬


重度のアトピー咳嗽の場合、吸入ステロイドの使用が推奨されることがあります。

炎症を抑制する効果があり、咳の症状を和らげることが期待されます。

免疫療法


アレルギーの原因となる物質に対する体の反応を緩和させる治療法。

アトピー咳嗽の原因となるアレルギー物質を微量から徐々に増やして接種し、体の過敏な反応を抑制することを目的としています。

長期にわたって治療が必要なケースもあるため、適応や注意点など医療機関でしっかりと説明を受けるようにしましょう。

生活習慣の指導


アレルギー物質を避けるための生活習慣の指導や、ストレスを軽減するためのアドバイスなどが含まれます。

日常生活の中での工夫や改善点を見つけ出すことで、症状の軽減や再発の予防に繋がります。

アトピー咳嗽の治し方は、症状の重度や個人の体質、生活環境などに応じて異なります。

市販薬での対処から、専門のクリニックでの治療まで、様々な選択肢がありますので、自身の症状や状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

症状が続く場合や重度の場合には、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

 

 

西春内科在宅クリニックができる対応

 

アトピー咳嗽は、一般的な風邪の咳とは異なり、アトピー性の反応が原因となる特殊な咳です。

西春内科・在宅クリニックでは、手寧な問診・診察を行い、原因特定のための検査を行います。

アレルギー性の反応だった場合、吸入ステロイドの処方やアレルギー薬の投与など、具体的な治療方法を実施

生活環境などをお伺いし、掃除の方法や、ペットとのかかわり方の指導など必要に応じた指導を行います。

また、当院ではアレルギーの原因物質に少しずつ身体を慣らしていく舌下免疫療法を行うことが出来ます。

咳が長く続いている場合原因が様々ですので、まずはお気軽にご相談ください。

舌下免疫療法について詳しくは以下をご確認下さい。

 

関連記事:花粉症に効く舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)って?費用・期間・効果は?

 

 

まとめ

 

アトピー咳嗽という疾患は、多くの人々の生活の中で注目されるべきトピックとなっています。

本記事を通じて、少しでも理解の手助けになったのであれば幸いです。

アトピー咳嗽は、特有の症状や原因を持つ疾患ですが、最も注目すべきはその原因と治療法の多様性です。

ストレスや環境要因がその発症に関与しているとされ、特に現代社会においては、日常の生活の中での対応が求められます。

痰がからむ症状や持続的な咳は、我々の日常における健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。

一方で、販薬やクリニックでの治療、生活習慣の見直しといった多岐にわたる治療法が存在します。

市販薬を使用する際は、効果・副作用を理解して使用することが大切です。

また、市販薬を使用していても症状が長引く場合は医療機関に相談しましょう。

参考文献

‣Irwin RS, Baumann MH, Bolser DC, et al. Diagnosis and management of cough executive summary: ACCP evidence-based clinical practice guidelines. Chest. 2006;129(1_suppl):1S-23S.
‣Fujimura M, Ogawa H, Nishizawa Y, Nishi K. Comparison of atopic cough with cough variant asthma: is atopic cough a precursor of asthma? Thorax. 2003;58(1):14-18.
‣Fujimura M. Pathophysiology, diagnosis and treatment of cough in atopic bronchial asthma and atopic cough. Allergology International. 2008;57(3):265-270.

この記事の監修医師

監修医師: 循環器内科 小正 晃裕

  • 関西電力病院 循環器内科

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

三重大学医学部医学科 卒業
三重県立総合医療センター 
N2 clinic