大人が溶連菌感染症になる原因は?合併症や治療方法を解説

公開日:2024.7.09 更新日:2024.10.01

溶連菌

 

溶連菌感染症は、一般的には子どもがかかりやすい病気として知られていますが、大人の方でかかっている方も増えています。

 

今回は、大人が溶連菌感染症になる原因や合併症、治療方法などについて詳しく解説します!

大人の溶連菌感染症とは?

 

溶連菌

 

溶連菌感染症とは、正式にはA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の略でA群レンサ球菌によって引き起こされる細菌感染症です。

 

子どもに多く見られますが、大人も感染することがあります。

 

主な症状として以下などがあります。

 

  • 発熱(38℃以上)
  • のどの痛み、発疹
  • 口の中に白い部分が見られる、扁桃腺が腫れる
  • 舌に赤い発疹(いちご舌)

 

風邪と異なり、咳や鼻水の症状があまり出ないのが特徴です。

 

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大人が溶連菌感染症になる原因

 

溶連菌

 

溶連菌感染症の主な感染経路は3つあります。

 

感染経路

説明

飛沫感染

感染者のくしゃみや咳などが他の人の粘膜に付着することで感染する

接触感染

感染者の体液や排泄物などに触れた後その手で口や鼻、目を触れることで感染する

経口感染

汚染された食品や水を摂取することで病原体が体内に入り込み感染する

 

特に子どもと接触する機会が多い大人は感染リスクが高まります。

 

また、ストレスや疲労、睡眠不足などで免疫力が低下している場合は、通常よりも感染しやすいため注意が必要です。




子どもの症状との違い

 

溶連菌

 

溶連菌感染症の症状は、大人と子供で大きな差はありません。

 

しかし、症状は同じでも大人の方が重い傾向にあります。

 

そして大人の方は共通の症状に加え、頭痛が出ることが多いです。


関連記事:【喉の痛みや熱】子供が溶連菌感染症になったときはどうする?学校や保育園は休むべき?

 

溶連菌感染症の合併症

 

溶連菌

 

リウマチ熱

 

リウマチ熱は、溶連菌感染症で治療を行わなかった場合に出てくる全身の合併症の1つで、心臓、関節、皮膚、神経系に影響を及ぼします。

 

特に心臓に炎症が起こると、心臓弁が侵され後遺症が残る可能性もあり、いかに早く治療するかが重要です。

 

急性糸球体腎炎

 

急性糸球体腎炎は、腎臓の糸球体に炎症が起こる状態のことです。

 

糸球体とは血液をろ過して尿を作る役割を持つ毛細血管の塊です。

 

多くの場合10〜14日ほど経ってから発症し、時間の経過とともに自然に改善していきます。

 

主な症状は、顔やまぶた、足のむくみ、血尿、高血圧などがあります。

 

結節性紅斑

 

結節性紅斑は、主にスネに痛みを伴う赤い皮疹の症状が現れます。

 

治癒に数週間という長い時間がかかることや慢性型に移行することがあるので、注意が必要な疾患です。

 

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)

 

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)は、「人食いバクテリア」の名称として知られており、溶連菌と同じ細菌です。

 

非常に重篤な感染症で、急速に低血圧や複数の臓器が機能不全に陥り、死に至る可能性があります。




溶連菌感染症の検査方法

 

溶連菌

 

溶連菌感染症の検査には、血液やのどの奥の粘膜を長い綿棒で採取する迅速抗原検査や培養検査が行われます。

 

また、重症化している場合は合併症の有無を確認するために、心臓や尿などの検査を行なう必要があります。

 

皮膚感染した場合は、2週間以上経過して急性糸球体腎炎を発症することもあるので医療機関を受診しましょう。


関連記事:家族内での感染を防ぐために|ウイルスや病原菌から家族を守る

 

溶連菌感染症の治療方法と注意点

 

溶連菌

 

治療方法

 

溶連菌感染症の治療には、主に抗生物質(ペニシリン系やセフェム系など)が使用されます。

 

発熱している状態というのは菌に対する身体の防御反応なので、体力的に問題なければ解熱剤を使用せず自然に熱を下げる方が早く治ります。

 

注意点

 

抗生物質治療を受ける際には医師の指示に従い、処方された薬を全て飲み切ることが重要です。

 

途中で服用を中止すると、細菌が完全に排除されず、再発や耐性菌の出現を招く可能性があります。

 

抗生物質の副作用で腸内細菌の働きが弱くなり下痢などの症状が出る場合があるため、整腸剤の処方について医師に相談してみてください。

 

また、感染を防ぐために、手洗いやマスクの着用などの基本的な感染対策を徹底しましょう。




西春内科・在宅クリニックでできる対応

 

西春内科在宅クリニックでは、溶連菌感染症に対する包括的な対応を提供しています。

 

当院では、溶連菌感染症に対する迅速抗原検査を実施し、感染しているかどうか確認することが可能です。

 

患者様の状態に合わせた抗生物質や解熱薬などの処方を行います。




まとめ

 

大人も溶連菌感染症にかかる可能性があり、特に子どもと接触する機会が多い場合には注意が必要です。

 

早期の診断と適切な治療により、合併症の予防が可能です。

 

感染予防のために基本的な対策を徹底し、症状が現れた場合には速やかに医療機関を受診しましょう。

 

参考文献

・医療法人博侑会吉岡医院「大人の溶連菌感染症について」
・土浦協同病院「溶連菌感染症について」
・藤井寺の内科・小児科しかたクリニック「溶連菌」

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大