市販のロキソニンは安全?医療用との違いや処方の重要性を解説

公開日:2025.5.19 更新日:2025.5.19

 

ロキソニンは最もポピュラーな解熱・鎮痛薬のひとつであり、処方薬として頻用されるだけでなく、市販薬としてもテレビコマーシャルなどでご存じの方も多いと思います。

 

ロキソニンというのは製薬会社による「製品名」であり、いわゆる先発品です。

 

ロキソニンの成分名は「ロキソプロフェンナトリウム水和物」と言い、各製薬会社よりジェネリック医薬品も多数流通しています。

 

今回は、ロキソプロフェンナトリウム水和物を配合した市販薬6種類をご紹介し、市販のロキソプロフェン製剤の選び方をご紹介します。

 

また、他の解熱・鎮痛薬であるカロナール(アセトアミノフェン)やイブプロフェンとの違いについても解説します。

 

ロキソニン市販薬の種類と特徴

 

ロキソニンには解熱・鎮痛・消炎効果があり、風邪や生理痛、頭痛、歯痛、関節痛など幅広い用途で使用されています。

 

一方で、胃が荒れやすいなどの副作用もあります。

 

市販薬の中には、こういった副作用の軽減や症状に合わせて、ほかの有効成分を配合した薬もあります。

 

市販薬を選ぶときは、体質や症状を基準にして選びましょう。

 

ロキソニンS|第一三共

 

 

有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物のみのオーソドックスな薬剤です。

 

比較的飲みやすい小粒錠です。

 

連用する場合は胃粘膜の荒れに注意が必要です。

 

ロキソニンSプラス|第一三共

 

 

ロキソプロフェンナトリウム水和物に加えて、胃を守る成分の酸化マグネシウムを配合しています。

 

比較的飲みやすい小粒錠です。

 

ただし長期に連用する場合は胃粘膜の荒れに注意が必要です。

 

ロキソニンSプレミアム|第一三共

 

 

ロキソプロフェンナトリウム水和物に加えて、より鎮痛効果を高める成分のアリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン、胃粘膜保護作用のあるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが配合されています。

 

副作用で眠気が出ることがあります。

 

長期に連用する場合は胃粘膜の荒れに注意が必要です。

 

ロキソプロフェン「クニヒロ」|皇漢堂製薬

 

 

有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物のみの薬剤です。

 

連用する場合は胃粘膜の荒れに注意が必要です。

 

バファリンEX|ライオン

 

 

ロキソプロフェンナトリウム水和物に加えて、胃を守る成分の乾燥水酸化アルミニウムゲルを配合しています。

 

比較的飲みやすい小粒錠です。

 

ただし長期に連用する場合は胃粘膜の荒れに注意が必要です。

 

ロキソプロフェンT液|大正製薬

 

 

有効成分はロキソプロフェンナトリウム水和物のみの薬剤です。

 

液体タイプの内服薬です。

 

連用する場合は胃粘膜の荒れに注意が必要です。

 

ロキソニンの市販薬と処方薬の違い

 

 

処方薬のロキソニンと、市販薬のロキソニンSに違いはあるのでしょうか。

 

以下に比較をまとめました。

 

 

ロキソニン

ロキソニンS
解熱・鎮痛作用

胃腸障害の副作用

起こることがある

起こることがある
15歳未満への使用

×

×
錠剤の大きさ

小粒

小粒
用法・用量

1回1錠、1日3回まで

1回1錠、1日2回まで


実はロキソニンSは、スイッチOTC薬品といって処方薬のロキソニンと成分・成分量・錠剤の大きさも全く同じ薬剤です。

 

ただし市販薬は医師の監督がない中で服用することになるため、医療用と比較して服用量の制限が厳しくなっています。

 

処方薬のロキソニンは、頓服薬としての使用以外にも慢性的な疼痛に対して毎日服用されることも想定されている一方で、ロキソニンSは頓服薬としての使用のみ想定されているため、用法・用量が少なく設定されています。

 

市販薬を使用する際は短期的な使用に留め、長期的に連用が必要であれば医師の診察・処方を受けるようにしましょう。

 

ロキソニンの効果

 

 

ロキソニンは痛みや熱の原因物質であるプロスタグランジンをおさえ、解熱・鎮痛・抗炎症効果をあらわします。

 

以下のような症状に対して効果があります。

 

  • 悪寒、発熱時の解熱
  • 生理痛
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 歯痛
  • 咽頭痛
  • 関節痛

 

ロキソニンの副作用と注意点

 

 

消化器症状

胃部不快感、吐き気、胸やけ、口内炎などのほかに、重篤な副作用として消化性潰瘍を起こした場合消化管出血(血を吐く、黒いタール状の便、血便等があらわれる)や消化管穿孔(消化管に穴があくこと。激しい腹痛等があらわれる)をきたすことがあります。

 

皮膚症状

発疹・発赤、かゆみなどをきたすことがあります。

 

循環器症状

血圧上昇、動悸などをきたすことがあります。

 

精神神経系症状

眠気、しびれ、めまい、頭痛などをきたすことがあります。

 

その他の副作用

過度の体温低下、虚脱(力が出ない)、四肢冷却(手足が冷たい)、むくみなどをきたすことがあります。

 

ロキソニン以外の市販される鎮痛薬と比較

 

 

カロナール

有効成分はアセトアミノフェンです。

 

脳内で熱や痛みの信号を伝える働きを抑えることで効果を発揮します。

 

ロキソニンと比較して胃腸障害が起こりにくく、小児や妊婦への投与も可能ですが、抗炎症効果は少ない薬剤です。

 

イブプロフェン

ロキソニンと同じ、非ステロイド性抗炎症薬NSAIDsに分類される薬で、効果や副作用は似ています。

 

なお市販のロキソプロフェン製剤は第1類医薬品に分類されており、薬剤師が情報提供を行うなど購入に条件がありますが、イブプロフェン製剤は第2類医薬品に分類されているため、より手軽に購入することが可能となっています。

 

アスピリン

アスピリンはロキソニンなどと同じ、非ステロイド性抗炎症薬NSAIDsに分類される薬で、効果や副作用は似ていますが、他のNSAIDsとはCOX阻害の働きかけに違いがあります。

 

消化器系への負担はロキソニンよりも出やすく、血液をサラサラにする作用も報告されています。

 

西春内科・在宅クリニックでできること

 

当院では発熱・かぜ症状外来を開設しており、発熱時のインフルエンザ・コロナ検査や処方を行っております。

 

解熱剤としては年齢・性別などに合わせてロキソニンまたはカロナールを処方することが多いです。

 

診察をしていると、「カロナールはあまり効かないのでロキソニンでお願いします」とおっしゃる方をときどきお見受けします。

 

カロナールは抗炎症効果が少ない薬剤であるため炎症をともなう症状にはロキソニンの方が効きやすいという側面があるためと思われます。

 

作用機序が異なるため単純な比較はできませんが、炎症に直接起因しない発熱や頭痛に対する効果としては同程度に思われます。

 

カロナールは胃腸障害が少ないこと、また投与量を調整することができる点はメリットとしてあります。

 

患者様の症状や状態に応じて処方しますので、お困りの際にはお気軽に当院へご相談ください。

この記事の監修医師

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科

資格

日本専門医機構認定 内科専門医