休日や夜間に胸痛の症状が出た場合の対処方法|鑑別疾患など
いきなりですが、休日や夜間に急な胸の痛み=胸痛(きょうつう)に悩まされたことはありませんか?
胸痛から始まる症状として、心筋梗塞、発作、動脈硬化など様々な症状があります。
胸の痛みを感じたときに休日診療、夜間診療に行くべきか迷われる方は多いと思います。
今回はそんな胸痛についてお話します。
目次
胸痛とは
胸痛を症状とする病気は非常に多く存在します。
胸痛には鋭い痛みと、鈍い痛みがありますが、胸痛以外にも、胸の不快感、締めつけられる感じ、圧迫感などど表現されることもあります。
また、胸だけでなく、背部、首、顎、上腹部、腕などにも痛みが生じる場合や、胸痛の原因によっては、吐き気、せき、呼吸困難などの他の症状が現れることもあります。
胸痛の多くは命に関わるような怖い疾患が原因のものが多く、すみやかに救急病院にて検査、治療を受けたほうが良い場合があります。
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胸痛は基本的に怖い疾患が多い
医療業界では、胸痛でも死に至る可能性の高い疾患を、five killer chest pain(ファイブ キラー チェスト ペイン)と呼んでいます。
つまり、胸痛を訴える疾患の中でも、特に死に直結する5つの疾患があるということです。
これらについて簡単に紹介します。
急性心筋梗塞
冠動脈と呼ばれる、心臓の血管が詰まることで発症する疾患です。
不整脈、急性心不全などで死に至ります。
心電図検査をすることでこの疾患を疑います。
大動脈解離
胸の中央にある、最も太い動脈である大動脈の壁が裂けること(解離)で、酷い胸痛のほか、我慢できない背中の痛みとして発症します。
この解離が及ぶ部位で様々な症状が現れます。
緊張性気胸
肺に穴があき、肺の外に空気が漏れてしまう疾患を気胸といいます。
中でも極めて重症なものが緊張性気胸です。
胸痛のほか、著しい呼吸の苦しさを自覚します。
肺塞栓
肺は空気だけでなく血管もたくさんある臓器です。
血管の中の血液に溶けている酸素と二酸化炭素を交換(外呼吸)することで、体内へ酸素を送ることができます。
この肺の血管が、血液のかたまり(血栓)で詰まってしまうことで、正常な外呼吸が妨げられます。
呼吸の苦しさがメインの疾患ですが、胸痛として訴える方もいらっしゃいます。
特発性食道破裂
食道の壁が破れてしまうことで発症する疾患です。
破裂した食道から細菌が食道の外に漏れてしまうことで、治癒が困難な縦隔炎(じゅうかくえん)という状態におちいります。
胸痛でも怖くない病気もある
胸痛を訴える疾患でも、命に直結する可能性が低く様子をみることができる病気もあります。
その代表が過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)です。
ストレスなどが原因で、呼吸がひどく荒くなり発症します。
ほとんどが若い方で起きますが、高齢の方でも起きます。
対処方法は落ち着いて呼吸することです。
しかし、先程ご紹介した疾患が隠れていることがあるため診断には慎重を要します。
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胸痛時どのように対応すれば良い?
いままでに経験したことがないような胸痛であれば、かかりつけ医、救急病院へ相談しましょう。
おわりに
胸痛には、命に関わるような怖い疾患が隠れていることが多いです。
これらは、治療まで一分一秒を争います。
状況に応じて救急車を要請してください。
監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹

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経歴
名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科