舌下免疫療法とは?効果・費用・デメリットなどを徹底解説

公開日:2025.9.16 更新日:2025.9.16

舌下免疫療法をご存じでしょうか?

アレルギー物質を少量ずつ投与してアレルギー症状を緩和もしくは改善させる治療法です。

本記事では、舌下免疫療法の概要、効果、費用、デメリットについてを解説します。

アレルギーでお困りの方はぜひ参考にしてください。

舌下免疫療法とは?

舌下免疫療法は、アレルゲン免疫療法の一種です。

花粉やダニなどのアレルゲンを、舌の下に少量投与し、体のアレルギー反応を抑える治療法です。

従来の対症療法の症状を一時的に抑える治療法と異なり、体質を根本から改善します。

また、注射の必要がなく、自宅で簡単に実施できるのが特徴です。

5歳以上のお子様から治療を受けることができます。

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舌下免疫療法の効果

舌下免疫療法は、治療開始から2~3か月で効果を実感できます。

臨床研究では全体の約8割の患者に効果が確認されており、その内、約2割の患者が完治し、約6割の患者で症状が改善。

残りの1~2割の患者では十分な効果が得られませんでした。

従来の注射による皮下免疫療法と比べると、重篤な副作用のリスクが低く、より安全性の高い治療法として評価されています。

舌下免疫療法の流れ

検査

まず最初に、アレルギーの原因となる物質を特定するためのアレルギー検査を行います。

血液検査や皮膚テストを通じて、患者さん一人ひとりのアレルギーの原因を正確に把握します。

期間・量を決定

検査結果をもとに、治療期間と処方量を決定します。

一般的な治療期間は3~5年で、体質改善のため処方量を段階的に増やしていきます。

初回は医療機関で服用

自宅で行う前に安全性を確認するため、初回の投与は医療機関で行います。

体調やアレルギー反応を確認して、問題がなければ治療を続けていきます。

2回目以降は自宅で服用

初回の投与で安全性が確認できれば、2回目以降は自宅での投与が可能になります。

毎日決まった時間に、医師から処方された正確な分量を舌の下に投与することで、着実に治療を進めていきます。

定期的に受診

治療期間中は定期的に医療機関を受診し、詳しい経過観察を行います。

副作用の有無や治療効果を慎重に確認しながら、必要に応じて処方量や治療期間を調整し、最適な治療を継続していきます。

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舌下免疫療法の費用

医療機関ごとに費用設定は異なりますが、一般的な治療費用は1ヶ月あたり数千円から1万円程度です。

これには定期的な診察料と処方される薬剤費が含まれます。

なお、治療内容や症状によって保険適用となる場合があり、その際は自己負担額がさらに軽減されます。

医療機関での初回相談時に、具体的な費用や保険適用の可能性について確認しましょう。

長期的な治療ですが、アレルギー症状の根本的な改善を目指す治療法として、費用対効果の高い選択肢といえます。

舌下免疫療法のデメリット

即効性には期待できない

舌下免疫療法は効果が現れるまでに時間がかかるため、すぐに治したいという方にはあまり向いていません

効果が現れるまでに数ヶ月から1年程度かかることが一般的です。

長期間行う必要がある

症状が改善された後も、その効果を維持するには3〜5年の長期間にわたる治療継続が不可欠です。

治療を途中で中断すると、それまでに得られた改善効果が急速に失われる可能性が高くなります。

副作用のリスクがある

比較的に安全性は高いものの、副作用のリスクを伴うこともあります。

アレルギー症状を悪化させるだけでなく、口の中のかゆみや腫れ、吐き気、腹痛、じんましんなどの副作用を伴う場合があります。

これらの副作用については、次章で詳しく説明をしましょう。

関連記事:花粉症に効く舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)って?費用・期間・効果は?

舌下免疫療法の副作用はつらい?

副作用として以下の症状が報告されています。

  • 口の中のかゆみや腫れ
  • 吐き気
  • 腹痛
  • じんましん

これらの副作用の多くは一時的なもので、治療を継続するうちに徐々に軽減していく傾向にあります。

ただし、症状がつらいと感じた場合は、すぐに担当医に相談しましょう。

まれに、アナフィラキシーショック、喘息発作、意識障害といった重篤な症状が現れる可能性もあります。

こうした深刻な症状が出た場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。

副作用としての症状が出た際は、治療を中断する場合もあります。

必ず医師に相談して指示に従うようにしましょう。

舌下免疫療法の効果は一生続く?

残念ながら舌下免疫療法の効果は一生続くわけではありません。

一般的に、5年間の治療を行えば、その後7〜8年ほどアレルギー症状の改善効果が持続します。

治療期間が長いほど、効果の持続期間も延びる傾向にあります。

効果が弱まり、アレルギー症状が再発した場合でも、1〜2年程度の追加治療により、再び症状改善が期待できます。

関連記事:アレルギーに対する上手な薬の選び方|副作用や種類について

西春内科・在宅クリニックでの対応

西春内科・在宅クリニックでは、アレルギーに対して薬の処方を行うこともできます。

医師による生活改善の相談や、必要な場合は専門医の先生へ紹介が可能です。

対処法など医学的な視点でのアドバイスも行えますので、なにかありましたらご相談ください。

まとめ

舌下免疫療法は、アレルギー症状の根本的な改善を目指す治療法です。

即座の効果は期待できませんが、3〜5年の継続した治療により、7〜8年にわたってアレルギー症状の改善が可能となります。

副作用や治療コストに留意しながら、自分に合った治療法かどうかを慎重に検討することが重要です。

長期的な視点で見れば、日常生活の質を大きく向上させる可能性を秘めた、希望ある治療アプローチといえるでしょう。

参考文献

舌下免疫療法とは|舌の下(したのした)で行う鳥居薬品の舌下免疫療法専門サイト

スギ花粉症を治す薬!?舌下免疫療法の効果、症状改善に必見!舌下免疫療法の正しい使い方と効果

舌下免疫療法の治療の流れ

 

この記事の監修医師

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科

資格

日本専門医機構認定 内科専門医