物忘れがひどくなる原因は?|認知症との違いや物忘れ対策について

公開日:2022.7.11 更新日:2024.6.30



・ついさっき話したことを思い出せない

・同じ話を何度も繰り返す


など、年齢が上がるにつれ、物忘れやそれに伴った症状に悩まさせれる人は多いのではないでしょうか。


自分だけでなく、ご家族の物忘れに悩まされている人もいるかと思います。


そこで今回は、物忘れについて詳しく解説していきます。



物忘れがひどくなる原因

 



物忘れがひどくなる原因については様々です。


1つずつ詳しくみていきましょう。


加齢


物忘れの原因が、特に重い病気などではなく加齢による物忘れということもあります。


加齢による物忘れの特徴として、「うっかり」物忘れであることが挙げられます。


  1. 物忘れについて周りの人に指摘されたときに「そうだった!」と思い出せること
  2. 指摘されても怒ったりせず、受け入れることができること

こういった場合は加齢によるものの可能性が高いです。


他にも以下のような特徴がありますので、実際の症状と比べてみてください。

加齢による物忘れの他の特徴

  • 物忘れを指摘されても素直に受け入れて、怒ったり、隠したりしない
  • 自分が忘れっぽくなっていることを認識している
  • 家事や趣味など普段の生活で繰り返しおこなっていることはいつも通りにできる

 

認知症


物忘れの原因として、加齢以外で考えられる最も可能性が高いものは認知症です。


認知症は、脳の機能が低下することで記憶力だけでなく、計算ができなくなったり、家事ができなくなったりと様々な症状が出てきます。


また、それを本人が自覚できないことも特徴の一つです。

 

認知症による物忘れの特徴

  • 自分で物忘れを自覚できない
  • 人に指摘されると、取り繕ったり、隠したりしようとする
  • 怒りっぽくなる
  • 家事や趣味など普段の生活で繰り返しおこなっていることでも出来なくなる場合がある

  

   

その他の病気

  

物忘れは、加齢や認知症以外に、様々な脳の病気でおこる場合があります。


慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、水頭症など原因となる病気はいくつかあります。


これらの病気にはそれぞれ特徴的な症状があったり、頭のCTやMRIなどの検査でわかることがあります。

慢性硬膜下血腫

 

慢性硬膜下血腫は、転倒して頭を打ったあとに起きてくることが多いです。 

 

転倒した直後ではなく、1週間から2週間かけて脳の隙間に血がたまることで、認知症のような症状がでたり、他にも様々な症状が出てくることが考えられます。


脳腫瘍

 

脳腫瘍は、いわゆる脳のできものです。


一般的にいう「がん」と良性の腫瘍の2種類にわけられますが、脳腫瘍の場合は良性であっても大きくなると、脳の組織を圧迫して症状が出ることもあり、早めの医療機関の受診が重要です。


症状としては、頭痛や吐き気、普段と様子が違うなど、腫瘍の部位によって症状が異なります。

水頭症

 

脳の中を巡っている水分がつまってしまい、脳の機能に影響が出る病気です。


症状としては、認知症のような症状が出ることに加え、歩いているときに転びやすくなったり、尿の失禁をしやすくなるなどの特徴があります。


場合によっては手術が必要なこともありますので、こちらも早めの医療機関の受診が必要となります。

>>認知症における顔つきの特徴と症状や種類について


加齢による物忘れと認知症の違いは?

 

加齢による物忘れと認知症は症状が異なります。


加齢による物忘れは「記憶を思い出す能力が衰える」のに対して、認知症では「物事を記憶すること自体が難しくなる」という違いがあります。


たとえば、人と約束をしたときに、約束をしたことは覚えているが、どこで何時にという詳しい内容を忘れてしまうのが加齢による物忘れの特徴です。


それに対し、認知症の場合は、そもそも約束をしたこと自体を忘れてしまうのです。

 

このように新しく何かを記憶することが難しくなるのが認知症の特徴で、本人もそれを自覚できません。

>>認知症が一気に進む原因や知っておきたい予防と対策について


物忘れがひどくなってきた時にできる対策法

 

 

物忘れがひどくなってきたとき、日常生活でできる対策をご紹介します。


睡眠時間を伸ばす

 

記憶の処理は寝ている時間に脳が海馬という部位を働かせておこなっています。


海外の研究で、睡眠時間が短くなると脳の老化が早く進む、という研究もありますので、睡眠不足にならないようにすることは、物忘れの進行を少しでも防ぐ可能性があります。


運動習慣をつける

 

運動をすることは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の改善に重要なことは聞いたことがあるかと思います。


メタボリックシンドローム自体が物忘れのリスクを高くするとも言われており、動でこれを改善することは物忘れには効果的です。


さらに、運動自体が、体だけでなく脳の健康にも良い影響があることが最新の研究で多く報告されています。


1日10分の運動は身体と脳のどちらにもいい影響があり、これが物忘れを防ぐことに繋がります。


食生活を見直す

 

食事も物忘れの対策として非常に重要です。


私たちが普段口にする食品の中でも、イワシやサバなどの青魚、ナッツ類、肉類などは体を健康に保ち、さらに物忘れになりにくい成分が入っており、物忘れ対策になることが期待できます。

  

もちろん、何かの食品に偏ることなく、バランスの良い食事というのが頭と体両方の健康には非常に重要です。

>>アルツハイマーと認知症の違いは?原因や初期症状、なりやすい人の特徴について

 

物忘れ外来について


当院では、認知症・物忘れ外来を行っております。


詳しくは別ページを参照ください。


西春内科在宅クリニックができる対応


当院の物忘れ外来では、当院の医師による問診と心理検査など物忘れ・認知症に関する専門的な検査を受けることができます。


さらに詳しい検査が必要な場合には、頭部CTなど画像検査を使っての検査も行うことができます。


検査の結果を確認し、医師による総合的な診断が行われます。


>>当院のCT検査について


まとめ

 

物忘れや認知症について、症状の特徴やその違いがお分かりいただけたでしょうか。


物忘れが進行しているとき、認知症や、その他の頭の病気がある可能性がありますので、早めに一度医療機関を受診することをお勧めします。

 

参考文献:認知症疾患診療ガイドライン2017

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大