新型コロナの後遺症で急増中のブレインフォグとは?認知症や物忘れとの違い

公開日:2023.2.13 更新日:2023.12.25

コロナ後遺症ブレインフォグ

新型コロナの後遺症であるブレインフォグ
という言葉をご存じですか?

ブレインフォグは医療用語ではありませんが、頭に霧(フォグ)がかかったような状態になることを言います。

新型コロナ感染症の後遺症として有名になりました。

ブレインフォグでは脳機能障害による症状を引き起こします。

今回はこのブレインフォグについて症状や、原因、改善方法などを詳しく解説していきます。



ブレインフォグの症状


コロナ後遺症ブレインフォグ

ブレインフォグでは、ものごとを理解、判断、論理的に考えるなどの認知機能に障害が起こります。

以下の症状などが特徴的と言われています。

  • 記憶障害や集中力の低下
  • 精神的な疲労感
  • 不安
  • 抑うつ

ブレインフォグの症状は、たとえ咳や息苦しさがなくても、生活に大きな支障をきたす症状です。

実際にブレインフォグの症状が原因でなかなか学業や職場に復帰できずにいる方も多くいらっしゃいます。

◆新型コロナの後遺症の一覧と症状が長引くときの対処法

新型コロナの後遺症でブレインフォグを発症する原因


コロナ後遺症ブレインフォグ

新型コロナでおこるブレインフォグがなぜ起こるのかについては、まだはっきりと解明されているわけではありません。

動物などの実験レベルでは、新型コロナ感染により脳や脳神経の構造が変化したり、部分的に萎縮することで症状が起こっているのではないかという報告もあります。

◆【倦怠感・疲労感が続く】これって新型コロナ感染症の後遺症?その他考えられる原因

ブレインフォグを発症しやすい人の特徴


コロナ後遺症ブレインフォグ

後遺症の発症リスクとしては、新型コロナ感染により集中治療を行うような状態であったことのほか以下の合併などがあげられています。

  • 喫煙
  • 女性
  • 肥満
  • 高齢
  • 糖尿病

◆糖尿病の症状|低血糖・高血糖別の違いは?三大合併症についても

◆動悸や息切れが治らない|原因はコロナの後遺症?ストレス?対処方法について解説

認知症や物忘れ、うつ病との違い


コロナ後遺症ブレインフォグ

認知症や生活に支障が出る程度の物忘れとブレインフォグの違いとしては、特に若い方で起こった場合には、新型コロナ感染症後に症状が出てきているという違いがあります。

通常は認知機能や年齢相応の物忘れというのはあります。

それが新型コロナ感染症を契機に悪化した場合は、やはり新型コロナ感染症による影響を考えます。

ブレインフォグが高齢者の新型コロナ感染症後に起きた場合、現時点ではブレインフォグなのか認知症なのかを鑑別するのも難しいかと思います。

高齢者はそもそもブレインフォグのリスク因子です。

加齢だけでも認知機能症は低下するため症状のみでは判断することはできません。

また、うつ病とブレインフォグを明確に線引きするのも難しいでしょう。

新型コロナ後遺症でも抑うつ症状がでることがあります。

ブレインフォグにより思ったように社会復帰できないストレスから、うつ病を発症することもあります。

うつ病の診断基準は抑うつ気分に加えて、興味または喜びの喪失、食欲や体重の変化、睡眠障害などの有無が診断の参考になります。

いずれの症状も新型コロナ感染症後の後遺症としては起こり得るため、なかなかブレインフォグとうつ病の診断を分けることは難しいのが現状です。

今後ブレインフォグの研究が進んで、診断のためのマーカーなどが発見されれば判断の助けになるかもしれません。

もの忘れ外来

ブレインフォグは自然回復するのか


コロナ後遺症ブレインフォグ

ブレインフォグや認知機能の低下は時間がたつと徐々に回復することが多いです。

中には6ヶ月後や1年後にも症状が残っていたという報告もあります。

長い間症状にお悩みの方もいらっしゃるため、回復までに個人差が非常に大きいことがわかります。

◆新型コロナ感染症の後遺症に多い味覚・嗅覚障害の治し方|亜鉛不足が原因?

日常でできるブレインフォグの治し方・改善方法について


コロナ後遺症ブレインフォグ

フレインフォグをセルフケアで症状改善させるのは難しいでしょう。

ブレインフォグの病態がはっきりしていない現状です。

症状があり日常生活に支障が出ているうちは、基本的には学業や仕事に復帰は難しいと考えられます。

そのため、ゆっくり休養いただくのが良いでしょう。

抑うつ状態や睡眠障害がある場合には、病院で相談して抗うつ薬や睡眠薬などの対症療法を行うこともあります。

辛い症状がある時には医師に相談しましょう。



もしブレインフォグが続くときは


コロナ後遺症ブレインフォグ

ブレインフォグの症状が新型コロナ感染症後、何日目くらいから出てくるのかは不明です。

感染症の急性期(感染や発症直後で周囲の人への感染力があり、基本的には療養が必要な期間)から症状がある方もいれば、急性期をすぎた後から症状が出てくる方もいます。

いずれにしろ、感染を契機にブレインフォグを疑うような症状が出てきた場合には病院で相談しましょう。

ブレインフォグは神経内科や精神科、心療内科などが専門になります。

総合的に新型コロナの後遺症を評価することができる新型コロナ後遺症外来もおすすめです。



西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックではご自宅にお伺いし診察し、症状に応じてお薬を処方することができます。

薬で症状を緩和することが可能です。

ブレインフォグでは認知機能の低下や抑うつ、不安感などで生活に支障が出ます。

若い方ですと、なかなか学業や仕事に復帰できないという問題もあります。

まずは、症状について気軽にご相談ください。



まとめ


今回は新型コロナ感染の後遺症のブレインフォグについて症状や、原因、改善方法などを解説しました。

長く症状が続いて生活に支障をきたすためお悩みの方も多い病気です。

記事の内容にある症状がある場合にはぜひご相談ください。


参考文献

新型コロナウイルス感染症診療の手引き「罹患後症状のマネジメント」

Venkataramani V, et al. Cognitive Deficits in Long Covid-19. NEJM2020;387(19):1813-1815.

神戸市医師会「うぐ病の診断基準」

この記事の監修医師

監修医師: 救急科専門医 新井 久美子 

監修医師: 福井 康大