高齢者の便秘は危険?主な原因や解消方法、病院での治療を解説

公開日:2023.6.19 更新日:2026.2.20

ご高齢者の頭を悩ます便秘。

今まですっきり問題なく出ていた便が出なくなると、モヤモヤしてしまいますよね。

年齢を積み重ねると便秘を起こしやすくなります。

今回は、便秘の原因や便秘になる危険性、また、予防方法などについて解説していきます。

知識をつけ、適切な対応が出来るようにしましょう。

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高齢者が便秘になる原因

高齢者が便秘になる主な原因には、食生活の変化、水分不足、また、以下などが挙げられます。

腸内環境の変化

年齢とともに腸内細菌の種類や量が変化し、腸内環境が悪化することがあります。

また、腸内の働きが鈍くなり、便が腸内に停滞しやすくなることもあります。

運動不足

高齢者は運動不足になりがちで、運動不足になることで腸の運動も低下し、便秘になることがあります。

病気

高齢者は慢性的な疾患を抱えることが多く、その疾患や治療によって便秘になることがあります。

糖尿病、パーキンソン病、脳卒中など

薬の副作用

高齢者は複数の薬を服用することが多く、その薬の副作用によって便秘になることがあります。

鎮痛剤、抗うつ薬、利尿剤など

高齢者の便秘とされるのは何日が目安?

便秘とされる基準の目安は、明確なものはありません。

排便回数や便の硬さ・量など、個人差があるため、何日便が出ないと便秘という明確な基準が無いのです。

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では

”本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態”

を便秘としています。

毎日排便が無いことや何日便が出ないということが問題ではなく、あなたが快適で過ごせているかどうかが非常に重要になります。

つまり、5日に1回でもお困りで無ければ便秘では無いですし、毎日排便があってもスッキリしない感じやお腹が張っているなどの症状があれば、便秘と判断されます。

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高齢者が便秘になる危険性

高齢者が便秘になると、以下のような健康リスクがあります。

腸内環境の悪化

便秘が長期化すると、腸内の有害な物質が蓄積され、腸内環境が悪化し、太りやすくなったり、生活習慣病を発症させる原因になります。

腸閉塞

便秘が長期化すると、便が腸内に詰まって腸閉塞を引き起こすことがあります。

腸閉塞は重篤な状態で、手術が必要な場合もあります。

痔・裂肛(れっこう)

便が硬くなり、排便が困難になると、肛門周囲の組織に負担がかかり、痔や裂肛を引き起こすことがあります。

認知機能の低下

便秘が続くことで、不快感や苦痛が増え、睡眠不足やストレスが引き起こされることがあります。

その結果、認知機能の低下やうつ病の発症リスクが高まることがあります。

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認知症の高齢者は便秘になりやすい?

認知症の高齢者は、認知機能の低下や運動不足などが原因で便秘になることがあります。

また、認知症の高齢者は、自己管理能力の低下や内服薬の飲み忘れ、薬の副作用によっても便秘になりやすい傾向があります。

その他、便秘になりやすい高齢者の特徴としては、以下が挙げられます。

水分不足

高齢者は、喉が渇きにくく、水分不足になりやすい傾向があります。

水分不足は、便が硬くなる原因です。

食事の変化

高齢者は、食欲が減退し、栄養バランスの悪い食事を摂ることが多くなります。

食物繊維や水分の摂取不足は、便秘の原因になります。

睡眠不足

高齢者は、睡眠時間が短くなりがちで、睡眠不足は腸の働きを低下させることがあります。

高齢者の便秘予防できるマッサージ方法

高齢者の便秘予防には、腸を刺激するマッサージが効果的です。

以下に、高齢者におすすめのマッサージ方法を紹介します。

  • 腹部マッサージ
    腹部を指先で円を描くようにマッサージします。
  • 膝抱え込みマッサージ
    仰向けに寝た状態で、両膝を立てて両手で膝を抱え込みます。
    この状態で腰を浮かせ、膝を胸に引き寄せるようにしてマッサージします。5回ずつ行いましょう。
  • 腰マッサージ
    椅子に座り、両手を腰に回します。右手を使って、腰の右側から左側へと力を入れながら指先で押します。
    その後、左手を使って左側から右側へ同じようにマッサージします。10ずつ行いましょう。

これらのマッサージを継続的に行うことで、腸の動きを促進し、便秘の予防につながります。

ただし、高齢者には健康状態によってはマッサージができない場合もあるため、医師に相談しましょう。

また、便秘解消のためには、適度な運動やバランスのとれた食事、十分な水分補給も大切です。

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高齢者の便秘に効果的な薬について

高齢者の便秘には、以下のような薬が効果的とされています。

軟便剤

腸内の水分を増やし、便をやわらかくする薬です。

高齢者の便秘は、水分摂取が少なくなることや腸の動きが悪くなることで便が硬くなるため、有効となることが多いです。

膨張性下剤

腸内で水を吸収して膨張し、便を刺激して排便を促す薬です。

便通を改善する効果があり、副作用も少ないため、高齢者には比較的安全に使用できます。

刺激性下剤

腸の運動を刺激して、便を排出する薬です。

ただし、腸の粘膜に刺激を与えるため、長期間使用すると腸内環境を悪化させる恐れがあります。

高齢者には使用を控えるか、低用量での使用が推奨されます。

ただし、高齢者は多くの場合、複数の疾患や薬剤の服用している場合があるので、薬剤の相互作用や副作用に注意が必要になります。

また、便秘に対しては薬剤に頼る前に、食生活や運動などの生活習慣の改善を行うことが重要です。

便秘に悩んでいる場合は、医師や薬剤師に相談し、適切な処方や使用方法を確認するようにしましょう。

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高齢者の便秘が改善されないときは

便秘は高齢者にとって日常的な症状ではありますが、あまりに長期間に及ぶ便秘や以下などを伴う場合は、

  • 嘔気
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • お腹の張り
  • 食欲低下
  • 体重減少

背景に胃癌・大腸癌・腸閉塞などの重い病気が隠れている場合があります。

その場合は、一般内科や消化器内科、老年内科などの医師に相談しましょう。

そこでは身体診察や血液検査・X線検査・CT検査・内視鏡検査などを行い、便秘の原因を特定します。

便秘の原因が病気である場合は、その治療が優先されます。

また、便秘の原因が生活習慣にある場合は、食事や運動、排便の習慣などを改善する指導が行われます。

生活習慣の改善で便秘の解消が難しいと判断した場合は、前述した薬物療法を行います。

ただし、高齢者は複数の薬剤を服用している場合が多く、薬剤の相互作用による副作用が発生する場合があるため、

医師の指示に従い正しい用法・用量で使用するようにしましょう。

西春内科在宅クリニックができる対応

西春内科・在宅クリニックにも便秘でお困りの方がたくさん来院されます。

一人一人の症状や生活習慣をお伺いし、適切な食事・運動・予防方法をお伝えし、必要に応じて内服薬を選択しています。

問診・診察・その他の検査で前述のように病気が背景に隠れていると疑えば、

当クリニックはクリニックでは珍しいCT検査を導入しており、危険な病気の精密検査を行える体制を整えています。

少しでも便秘かも?と不安な方はお気軽にご相談ください。

まとめ

便秘は日常生活の質を大きく下げるにも関わらず、一般的であるため、重要視されていないことが多いのが現状です。

そんな便秘には危険な病気が隠れていたり、当人にとっては非常に苦痛であることもしばしばあります。

そういった場合は我慢をせずに、お近くの医療機関を受診してください。

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科

資格

日本専門医機構認定 内科専門医