スマホ認知症かもしれないチェックリスト|認知症や依存症との違いは?
近年、私たちの生活に欠かせない存在となったスマートフォン。
その利便性や多機能性から、私たちは日常的にスマートフォンを手に取り、情報収集やコミュニケーションに利用しています。
しかし、その反面、スマートフォンの過度な使用が引き起こす健康上の問題が注目されています。
その一つが「スマホ認知症」と呼ばれる状態です。
それではスマホ認知症とはどのような病気なのでしょうか?
今回は、そんなスマホ認知症の原因や症状、対策方法などについて詳しく解説していきます。
目次
スマホ認知症になる原因
まずスマホ認知症は現在研究が行われており、正式な病名ではありません。
そして病院でスマホ認知症と診断されることもありません。
ただデジタル機器、特にスマートフォンの長時間の使用で認知機能が低下する可能性が報告されています。
スマートフォンによる認知機能低下を起こしうる原因として以下などが原因として考えられていますが、いまだに議論が別れるところです。
- 長時間のスマートフォンの使用
- 脳の処理能力以上の情報が持続的に供給されうること
- 生活スタイルの変化による実際の対人関係の希薄化
- ソーシャルメディアに対する依存性
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スマホ認知症の症状とは
スマホ認知症の症状は、個人によって異なる場合がありますが、考えられている一般的な症状のいくつかを以下に挙げます。
集中力・注意力の低下
スマホ認知症の人は集中力が低下し注意散漫になることがあります。
特に若年者の場合は勉強中などにスマートフォンが気になることで集中力の低下をきたしやすいです。
ソーシャルメディアの通知なども症状を悪化させる一因となり得ると考えられます。
記憶力の減退
スマホ認知症の人は、記憶力が減退することがあると考えられています。
情報の過多やスマートフォンの使用による脳の負担が原因で、情報の保持や記憶が困難になる可能性があります。
社会的な関与の減少
スマホ認知症の人はスマートフォンへの依存が高まるため、他の人との対話や交流の機会が減少することがあります。
これにより、社会的な関与や人間関係が制限される可能性があり、満足な対人関係が困難になる可能性があります。
若年層でもスマホ認知症になりえる?
スマホ認知症は上述の原因から10代から20代への影響が強く問題視されています。
これは若年層ではスマートフォンを使い始める時期が早くなってきていること、長期間の使用による集中力の低下が考えらえるためです。
特に脳の神経回路の成長段階にある若年者に対してのスマートフォンの長時間の使用に関する影響はいまだ明らかになっておらず、スマホ認知症を起こす可能性は完全には否定できません。
また夜間のスマートフォンの使用により不眠を引き起こす可能性も高く、不眠により認知機能を低下させる可能性があります。
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スマホ認知症かもしれないチェックリスト
以下にスマホ認知症を疑う症状のチェックリストを記載しました。
以下の症状がいくつか当てはまり、日常生活に支障が出ているようであればスマホ認知症の可能性が否定できません。
集中力の低下・集中することが難しくなったか?・長時間スマートフォンを使用していると、他のことに集中できなくなるか? |
注意力の散漫さ・スマートフォンの通知などによって、注意がそらされやすくなったか?・他の人との会話中でもスマートフォンをチェックしたくなるか? |
情報処理能力の低下・情報の取捨選択や整理が難しくなったか?・意思決定や判断力が鈍くなったか? |
記憶力の減退・最近の出来事や予定を覚えておくことが難しくなったか?・過去の出来事や情報を思い出すのが難しくなったか? |
スマートフォンへの依存・スマートフォンを使用しないと不安や落ち着かなさを感じるか?・スマートフォンを使用する時間が明らかに増えているか? |
社会的な関与の減少・スマートフォンの使用が他の人との対話や交流の機会を制限しているか?・スマートフォンを使用しているときに周囲の人とのコミュニケーションが減少しているか? |
不眠症の出現・寝る前やベッドの中でもスマートフォンを使っているか?・スマートフォンの使用により睡眠に支障が出ていないか? |
従来の認知症・スマホ依存症との違いは?
従来の認知症は脳の神経細胞の変化や異常によって引き起こされます。
主な原因として以下などがあります。
- アルツハイマー病
- パーキンソン病
- レビー小体型認知症
- 脳血管性認知症
発症要因としては遺伝的要因や加齢に伴う脳の変化、心疾患や糖尿病、外傷などがあります。
対してスマホ認知症は長期間のスマートフォンの使用が原因になりうると考えられていますが、未だその発症要因に関しては明らかになっていません。
スマホ認知症とスマホ依存症の違いは認知機能の低下の有無があります。
スマホ依存症はスマホを使わないとイライラする・不安になるなどの精神症状などを来し、日常生活に支障を来す病気ですが認知機能の低下は起こさないと考えられています。
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スマホ認知症の治し方・予防対策「デジタルデトックス」について
スマホ認知症の治し方は未だ明らかにはなっていません。
ただ長期間のスマートフォンの使用が悪影響であると考えられているため、スマートフォンや電子機器の使用を控えることで予防は可能であるかもしれないとされています。
しかしながら現代社会で完全にスマートフォンなどの電子機器から離れることは不可能でしょう。
そのため以下のことに注意してスマートフォンの使用を徐々に控えて行くことをお勧めします。
寝る前のスマートフォンを控えましょう。
睡眠前のスマートフォンの使用により睡眠時間が減る、または入眠が難しくなるといった影響があります。
ベッドサイドにスマートフォンを置くことでSNSなどの通知が気になってしまうことも考えられますので、就寝時はスマートフォンを寝室に持ち込まないようにしましょう。
スマートフォンの通知を減らす・切るようにしましょう。
スマートフォンの通知機能は便利ですが、通知が過剰になることでスマートフォンを見ないことが難しくなります。
自宅でのリラックス中は通知がきても問題はありませんが、通知により仕事や勉学に支障が出る可能性もあります。
必要のない通知を少なくすることを心掛けましょう。
スマートフォンの使用時間をコントロールしましょう。
どうしてもスマートフォンを使ってしまう場合はアプリで使用時間を制限することも有効です。
電話や仕事の連絡が必要な場合でも、必要な機能は使えるように設定することも可能です。
また物理的にスマートフォンをロックする箱などもあるので試してみることもいいかもしれません。
関連記事:ドケルバン病になったら病院に行くべき?|自宅でできる対処法も紹介
西春内科在宅クリニックができる対応
スマホ認知症を少しでも疑う症状があるようなら西春内科・在宅クリニックへの受診をお勧めいたします。
スマホ認知症以外にも認知機能が低下する疾患は多数あり、まずは医師の診察が必要です。
西春内科・在宅クリニックでは、丁寧な問診や検査を行います。
また、脳の状態を確認するためCT検査もクリニックにて行えますのでお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、スマホ認知症の原因や症状、対策方法などについて詳しく解説してきました。
いかがでしたでしょうか?
スマートフォンは便利なものですが使いすぎでスマホ認知症を引き起こす可能性があります。
ただ過度に恐れる必要はありません。
少しでもスマホ認知症を疑う症状があれば当院に受診してみてはいかがでしょうか?
参考文献
‣Ward, Adrian F., Kristen E. Duke, Ayelet Gneezy and Maarten W. Bos. “Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity.” Journal of the Association for Consumer Research 2 (2017): 140 – 154.
‣Moledina, Sanaa and Adeel Khoja. “Letter to the Editor: Digital Dementia-Is Smart Technology Making Us Dumb?” The Ochsner journal 18 1 (2018): 12 .