透析開始後の余命はどれくらい?腎不全で透析しないとどうなる?
「透析」という言葉を聞いたことのある方は多いと思います。
しかし、どのようなもので、何を目的として行うのかはご存知ない方も多いのではないでしょうか?
今回は、透析について、その概要や、透析を行うことで寿命が伸びるのかなどを解説していきます。
目次
透析とは
透析とは、腎臓が正常に機能しなくなってしまった際に代わりに体内に溜まった老廃物や余分な水分、毒素をろ過するものです。
腎臓は腰の上あたりにあるそらまめのような形をした臓器で、役割として尿を作ります。
タンパク尿や、血尿、むくみなどの症状が出る腎臓病から更に腎臓の働きが悪くなり腎不全になると、体内の老廃物などを尿として排出できなくなります。
そのため腎不全の場合は透析が必要になります。
関連記事:高血圧・糖尿病だと腎不全になりやすい?腎不全になりやすい人の特徴
透析で余命は伸びる?
「わが国の慢性透析療法の現況」によると、透析患者様の平均寿命として、50歳男性で17.4歳、女性で19.8歳、60歳男性で12.3歳、女性で14.3歳といったデータになっています。
一般の50歳男性の場合、32.5歳、女性で38.2歳、60歳男性で24歳、女性で29.3歳です。
透析患者様と一般の方を比べてみて半分ちょっとの寿命です。
数年前でも透析患者様は一般の方と比べて半分程度の寿命と言われていました。
医療の進歩により少しずつですが寿命が伸びて、透析を行っている患者様でも生存率が改善されていっています。
腎不全を引き起こす病気
それでは、次に腎不全を引き起こす病気について詳しく解説していきます。
糖尿病性腎症
糖尿病の合併症で腎臓の機能が低下します。
初期症状は無いことがほとんどで、進行していくと尿にタンパク質が大量に含まれるようになり、浮腫みが出現します。
慢性糸球体腎炎
慢性糸球体腎炎とは、IgA腎症や膜性腎症などです。
血尿や、タンパク尿が現れ、持続することで腎機能が低下。
タンパク尿が多いほど腎不全になりやすいとされています。
腎硬化症
高血圧が原因となり、腎臓の血管に動脈硬化を起こし、腎臓の障害をもたらします。
症状として、食欲不振、吐き気、嘔吐、かゆみなどが見られます。
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
両方の腎臓に水が溜まった袋(嚢胞)がたくさんでき、腎臓の働きを低下させます。
最も頻度の高い遺伝性疾患で、日本にも約3万人の患者がいると言われています。
慢性腎盂腎炎(まんせいじんうじんえん)
腎臓の持続的な化膿性感染症です。
自覚症状は少なく、食欲不振や、倦怠感が出る場合もあります。
尿を濃縮する機能が低下するため、夜間の多尿や尿の色が薄くなるなどの症状が現れます。
SLE腎炎
全身性エリテマトーデスに合併する腎炎です。
自己免疫疾患で若い女性に多く見られます。
タンパク尿、自覚症状のない血尿、浮腫みなどの症状が現れます。
関連記事:排尿障害とは?尿が出にくい原因や症状、治し方について解説
腎不全の症状
次に、腎不全の症状について解説していきます。
尿毒症状
腎臓が正常に働かないため、体の中の老廃物などを排出できず、老廃物が体内をめぐり尿毒症と呼ばれる症状が出現します。
主な症状として、塔婆異物が溜まってしまうことで、食欲低下、頭痛、吐き気、だるさなどの症状が出ます。
また、余分な水分が溜まることで、浮腫みや、動悸、息切れ、息苦しさなどが現れます。
高カリウム症状
腎不全では、カリウムも尿から排出されなくなるため、血中のカリウム濃度が高くなります。
カリウムが非常に高くなってしまうと命の危険もあります。
高カリウム症状としては、手足のしびれや、口のこわばり、唇のしびれ、吐き気、だるさなどがあります。
末期腎不全の最後はどのような状態?
末期腎不全の最期は、通常、尿毒症や合併症による臓器の機能不全に関連しています。
主な死因は、以下などです。
- 高度な尿毒症
- 電解質の不均衡
- 心血管合併症
- 感染症
これらの合併症が進行すると、患者は意識が低下し、最終的には致命的な状態に至ります。
透析などの治療が行われない場合、これらの合併症の進行が速まります。
臓器の機能が次第に低下し、これが生命の維持に必要な機能を失っていくのです。
関連記事:尿路感染症に高齢者がなりやすい理由|原因と症状について解説
西春内科・在宅クリニックができる対応
当クリニックでは、尿検査をはじめ、血液検査、腹部エコーや腹部CTなどの画像検査が可能です。
腎不全や、腎不全を引き起こす病気は初期症状がないことが多くあるため、健康だと思っていても定期的な健康診断で異常がないか確認することが重要です。
腎不全にかかわらず、病気は早期発見・早期治療に限ります。
ご不安な方も、そうでない方も一度ご相談ください。
まとめ
今回は透析について、その概要や、透析を行うことで寿命が伸びるのかなどを解説してきました。
いかがでしたでしょうか?
病気が気になる方も、そうでない方も定期的な健康診断を受け体に異常がないかを確認することが重要です。
透析と聞くとなんか大変なイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、腎臓が悪く自身で老廃物等を排出できない方にとって大切な補助機能です。
この記事で少しでも透析についての知識を身に着けていただけたら幸いです。
参考文献
・日本透析医学会|わが国の慢性透析療法の現況
・東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科|慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)
・国立研究開発法人 国立循環器病研究センター|腎不全
・東京新橋透析クリニック|腎不全患者の余命はどのくらい?透析しないとどうなる?