高血圧・糖尿病だと腎不全になりやすい?腎不全になりやすい人の特徴

公開日:2024.2.13 更新日:2024.2.16

腎不全

腎不全とは、腎臓の片方または両方が自力で機能しなくなった状態のことです。

原因としては、糖尿病、高血圧、急性腎障害などがあります。

症状としては、疲労、吐き気や嘔吐、むくみ、トイレに行く回数の変化、ブレインフォグなどです。

今回は、腎不全の概要や、腎不全になりやすい人の特徴、原因などについて詳しく解説していきます。

 

 

腎不全とは?


腎不全

腎不全(腎不全)とは、片方または両方の腎臓が単独ではうまく機能しなくなることを意味します。

腎不全は、短い期間で急激に機能が悪くなる急性腎不全と、数か月~数年といった長い時間をかけて徐々に悪化する慢性腎不全があります。

腎不全は腎臓病の最も重い段階です。

治療しなければ命にかかわります。

 

 

腎臓の働きとは?


腎不全

腎臓はこぶし大の豆のような形をした臓器です。

胸郭(きょうかく)の下、背中の方にあります。

ほとんどの人は2つの腎臓が働いていますが、腎臓が正常に働いている限り、1つだけでも十分生活できます。

腎臓にはいくつかの働きがあります。

最も重要な仕事のひとつは、体内の毒素を排出することです。

腎臓は血液をろ過し、老廃物を尿(おしっこ)として体外に送り出します。

腎臓が正常に働かないと、老廃物が体内に溜まってしまいます

その結果、倦怠感や吐き気など様々な症状を引き起こします。

症状については後ほど、詳しく解説していきます。

 

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腎不全になりやすい人の特徴


腎不全

腎不全は誰にでも起こる可能性があります。

しかし、以下のような方は腎不全になるリスクが高くなります

  • 糖尿病の方
  • 高血圧の方
  • 心臓病を患っている
  • 腎臓病の家族歴がある
  • 腎臓の構造に異常がある
  • 60歳以上である
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの市販品を含め、鎮痛剤の服用歴が長い

 

 

腎不全の人はどれくらい?


腎不全

平成26年に行われた調査によると日本では、慢性腎不全の総患者数が29万6000人という結果だったと報告されています。

また、米国では毎年75万人以上が、世界では約200万人が罹患しています。

腎臓病のステージとは?


腎不全

推定糸球体濾過量(eGFR)に応じて腎臓病の病期があります

eGFRとは、腎臓がどの程度物質をろ過しているかを計算したものです。

正常なeGFRは約100です。

最も低いeGFRは0であり、これは腎機能が残っていないことを意味します。

腎臓病の病期には次のようなものがあります。

  • ステージG1
    GFRが90以上
    この段階では、腎臓の損傷は軽度ですが、まだ正常に機能しています。

  • ステージG2
    GFRが89〜60に低下します。
    腎臓の損傷はステージG1よりも進んでいますが、腎臓の機能はまだ正常です。

  • ステージG3a
    GFRが59〜45まで低下します。
    腎機能が軽度または中程度に低下しています。

  • ステージG3b
    GFRが44〜30まで低下します。
    腎機能が中程度または高度に低下しています。

  • ステージG4
    GFRが29〜15まで低下します。
    腎機能が高度に低下しています。

  • ステージG5
    GFRが15未満。
    腎臓が機能不全に近いか、完全に機能不全に陥っている状態。

 

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腎臓病の症状は?


腎不全

腎不全の最初の警告サインは?

多くの人は、腎臓病の初期にはほとんど、あるいは全く症状がありません。

しかし、慢性腎臓病(CKD)は、元気だと感じても障害が残っていることがあります。

慢性腎臓病(CKD)や腎不全の症状は人によって異なります。

腎臓が正常に機能していない場合、以下の徴候に気付くことがあります

  • 極度の疲労(倦怠感)
  • 吐き気や嘔吐
  • 錯乱や集中力の低下
  • むくみ(浮腫)、特に手、足首、顔の周辺
  • おしっこの回数が増える
  • けいれん(筋肉の痙攣)
  • 皮膚の乾燥やかゆみ
  • 食欲不振または食べ物が金属味になる

 

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腎不全の最も一般的な原因は?


腎不全

糖尿病と高血圧は、慢性腎臓病や腎不全の最も一般的な原因です。

糖尿病を管理しないと、血糖値が高くなります(高血糖)。

高血糖が続くと、腎臓だけでなく他の臓器にもダメージを与えます

高血圧は、血液が体内の血管を力強く移動することを意味します。

治療せずに時間が経つと、余分な力が腎臓の組織にダメージを与えます

腎不全は通常、すぐには起こりません。

腎不全を引き起こす可能性のある慢性腎不全の原因には、他にも以下のようなものがあります。

多発性嚢胞腎(PKD)

PKDは、両親のどちらかから受け継ぐ病気(遺伝性疾患)で、腎臓の中に液体の入った袋(嚢胞)ができます。

糸球体疾患

糸球体の病気は、腎臓が老廃物をろ過する機能に影響を与えます。

ループス

ループスは自己免疫疾患で、臓器障害、関節痛、発熱、皮疹を引き起こします。

また、予期せぬ原因で腎不全が急速に進行することもあります。

また、急性腎不全(急性腎障害)といって、腎臓の機能が突然失われることがあります。

急性腎不全の場合、数時間から数日で発症しますが、その多くは、一時的なものです。

急性腎不全の一般的な原因は以下の通りです

  • 自己免疫性腎疾患
  • 特定の薬剤
  • 重度の脱水
  • 尿路閉塞
  • 心臓病や肝臓病などの未治療の全身疾患

 

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腎不全の診断方法は?


腎不全

腎臓を評価し腎不全を診断するために、さまざまな腎機能検査を実施します。

一般的な検査には以下のようなものがあります。

血液検査

血液検査では、腎臓が血液中の老廃物をどの程度除去しているかを調べます。

尿検査

尿検査では、おしっこに含まれるタンパク質や血液などの特定の物質を測定します。

画像検査

画像検査では、医療提供者が腎臓とその周辺を観察し、異常や詰まりを特定します。

一般的な画像検査には、腎臓超音波検査、CT、MRIなどがあります。

 

 

腎不全の治療法は?


腎不全

腎不全の治療は、問題の原因や程度によって異なります

慢性疾患の治療によって腎臓病の進行を遅らせることができます。

腎臓が徐々に機能しなくなった(慢性腎臓病)場合、健康状態を把握し、腎機能をできるだけ長く維持することができます。

これらの方法には以下のようなものがあります

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

腎不全に陥った場合は、生命を維持するための治療が必要です。

腎不全には主に2つの治療法があります。

人工透析

透析は血液をろ過する働きがあります。

また、透析には血液透析と腹膜透析の2種類があります。

血液透析

血液透析では、機械が定期的に血液をきれいにしてくれます。

ほとんどの人は、病院や透析クリニックで週に3〜4日血液透析を受けます。

腹膜透析

腹膜透析では、医療従事者が透析液を入れたバッグを腹腔内のカテーテルに装着します。

透析液はバッグから腹膜に流れ込み、老廃物や余分な水分を吸収して再びバッグに排出されます。

自宅で腹膜透析を受けられることもあります。

腎移植

傷ついた腎臓の代わりに、健康な腎臓を移植します。

健康な腎臓(ドナー臓器)は、死亡したドナーから提供される場合と、生体ドナーから提供される場合があります。

健康な腎臓が1つあれば、問題なく生活することができます。

 

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腎不全はいつまで生きられますか?


腎不全

透析や腎移植を受けなければ、腎不全は致命的です。

治療を受けなくても、数日から数週間は助かるかもしれません。

透析を受けている場合、平均余命は5〜10年です。

長い人で30年生きられる人もいます。

腎移植を受けた場合、生体ドナーから腎臓をもらった場合の平均余命は12〜20年です。

死亡したドナーから腎臓をもらった場合の平均余命は8〜12年です。

 

 

腎不全の治療にはどのような薬が使われますか?


腎不全

腎臓病の原因に応じて、以下の薬が処方されます。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬・アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
これらの薬は血圧を下げるのに役立ちます。

利尿薬
これらは体内の余分な水分を排出するのに役立ちます。

スタチン
コレステロール値を下げる薬です。

エリスロポエチン刺激薬
貧血がある場合、赤血球を増やすのを助けます。

ビタミンDとカルシトリオール
これらは骨量の減少を防ぎます。

リン酸結合剤
これらは血液中の余分なリンの除去を助けます。

 

 

腎不全を予防するには?


腎不全

腎不全や慢性腎臓病は元には戻りませんが、腎機能を維持するための対策をとることはできます

健康的な習慣や日常生活を送ることで、腎臓の機能が低下するスピードを遅らせることができます。

慢性腎臓病(CKD)や腎不全を発症している方は、以下のことに注意しましょう。

  • 腎機能をモニターする
  • 血糖値を正常範囲に保つ(糖尿病の方)
  • 血圧を正常範囲に保つ
  • 禁煙
  • タンパク質やナトリウムの多い食品を避ける
  • 定期的な受診

 

 

受診のタイミングは?


腎不全

以下のような腎不全の危険因子がある場合は、病院への受診を推奨します。

  • 高血圧、おしっこの習慣の変化、むくみ、ブレインフォグ、吐き気や嘔吐
  • 糖尿病
  • 腎臓病の家族歴
  • 過去に腎臓を痛めたことがある
  • 非ステロイド性抗炎症薬を定期的に服用している

 

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西春内科・在宅クリニックで出来る事


慢性腎不全は進行してしまうと改善が非常に難しい病気であることがわかると思います。

ですから、最も重要なのは進行を予防することです。

当クリニックでは慢性腎不全の診断・慢性腎不全の進行を予防する治療が可能です。

診断には尿検査・採血検査が可能ですし、超音波検査とCT検査で詳細な評価が出来ます

予防治療としては、高血圧症・糖尿病などの生活習慣病の食事指導・運動指導やお薬による治療、糸球体腎炎やループス腎炎に対するステロイド維持療法などが可能です。

また、腎不全に纏わる症状の改善も行えます。

むくみに対する利尿薬の処方や貧血の治療、骨を弱くしないような治療が可能です。

透析治療や腎臓移植は当クリニックでは出来ませんので、専門病院を紹介致します。

慢性腎不全に対する医療を積極的に行っているクリニックでございますので、いつでもご相談・ご来院頂ければと思います。

 

 

まとめ


腎臓は体内の老廃物や余分な水分を排出する重要な働きをしています。

腎不全になると、腎臓が効果的に働かなくなります。

適切な治療を受けなければ命に関わります

透析や腎移植を受けることで、長生きを続けることができます。

治療計画には、薬の服用や特別な食事療法も含まれます。

治療、投薬、生活習慣の改善、その他の治療計画について疑問や不安がある場合は、医師に相談しましょう