認知症に似ている病気とは?老人性精神病との違いについて解説

公開日:2024.4.15 更新日:2026.2.16

「最近物忘れが多くなった」「家族が昔より怒りっぽくなった」といった症状が現れると、つい認知症を疑ってしまうもの。

しかし、認知症と症状が似ている違う病気がある場合ということをご存じでしょうか。

本記事では、そんな認知症と症状が似ている病気や症状、その違いや特徴を解説していきます。

そもそも認知症には4つの種類がある

認知症には以下などの種類があります。

これら4種類は「4大認知症」と呼ばれています。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は加齢や生活習慣、遺伝的な原因で脳にアミロイドβという特殊なタンパク質がたまり、それが神経細胞を破壊して脳が委縮することで発症します。

認知症患者全体の約65%を占めるもっともメジャーな認知症で、女性に多く発症します。

初期の症状として、記憶力の低下や、新しい情報の学習が困難になることが特徴です。

進行すると日常生活の判断力の低下や、人格変化なども見られるようになります。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血などが原因で起きる認知症です。

脳の障害される部位によってさまざまな症状が現れるのが特徴です。

症状自体が出たり出なかったりすることから「まだら認知症」と呼ばれることもあります。

具体的な症状として記憶障害、言語障害、運動障害などがみられることもあります。

患者数はアルツハイマー型の次に多く、認知症患者全体の約20%で、発症率は男性がやや多い傾向です。

レヴィー小体型認知症

レヴィー小体型認知症は脳の年齢的な変化によって、レヴィー小体という異常なタンパク質が大脳皮質にたまり、神経細胞が徐々に減っていき認知症の症状が現れます。

認知症患者全体の約4%とあまり知られていませんが、男性の発症率が高く、女性の2倍とも言われています。

レヴィー小体型認知症の特徴的な症状は、認知機能の変動や、幻視、パーキンソン病に似た運動障害です。

認知機能が日によって大きく変動することが多く、ある日ははっきりと過ごすことができ、次の日には混乱してしまうといった変化があります。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症はタウたんぱく質、TDP-43が関与しているということは分かって来ていますが、詳しい原因に関しては未だ分かっていません。

認知症患者全体の1%程しか発症せず、認知症の中で唯一難病指定されている病気でもあります。

特徴として人格や行動に大きな変化が見られ、社会的に不適切な行動や感情の制御が効かなくなることがあります。

記憶力の低下よりも行動や言動の異常が目立つため、初期の段階で認知症と気疲れにくいことが多いです。

認知症に似ているが異なる病気

「あれ、認知症かも」と思っても、認知症に似た別の病気という可能性も。

症状が似ている分、認知症と間違えやすい病気が多々あります。

そんなよく間違えられやすい病気を一部ご紹介します。

難聴・白内障

難聴・白内障の場合は、単純に「耳が遠くなった」「見えにくくなった」といった症状があります。

周りから見ると「話が通じなくなった」「ボーっとしている時間が増えた」と感じ、認知症を疑われることがあります。

しかし、難聴や白内障はどちらも感覚機能の障害であり、認知機能そのものに問題があるわけではありません。

適切な治療を行い、感覚機能が回復すれば認知症に似た症状も元に戻ることが多いです。

うつ病

うつ病の「1日中ボーっとしている」「なんとなく元気がない」という症状は、認知症の初期症状にもみられるため、認知症に勘違いされる病気の一つです。

65歳以上の人がかかるうつ病は「老人性うつ」とも呼ばれています。

うつ病は早期に治療を行えば治りやすい病気ではありますが、認知症と見分けがつきにくい為、知らない間に悪化していることもあります。

関連記事:老人性うつとは?|原因や特徴・認知症との違いを解説

水頭症

水頭症とは頭蓋内にある髄液と呼ばれる水が何らかの理由で過剰に貯留して生じる病気です。

症状としては歩行障害、尿失禁、物忘れが挙げられます。

これらの症状は、アルツハイマー型認知症などと非常によく似ており、主にタップテストと呼ばれる方法で診断を行います。

水頭症の治療を行うことで症状が改善される可能性が高い病気です。

認知症とは異なり、適切な治療で大幅に回復が期待できるため、早期発見がとても重要です。

関連記事:【治る認知症】高齢者がなりやすい水頭症の症状から原因、治療について解説

慢性硬膜下血腫

転倒などをきっかけに脳と頭蓋骨との間に血が溜まっていく病気です。

頭を強く打った記憶がない軽微な外傷であっても、数週間から数か月後にゆっくりと血が溜まり、認知機能の低下、歩行困難、意識の混濁といった症状が現れることがあります。

これらの症状は、認知症と似ているため間違えられやすく見過ごされることがあります。

慢性硬膜下血種は、外科的手術で回復することが多い病気です。

頭部のCTで原因をしっかりと診断する必要があります。

認知症と間違えられやすい症状

認知症とよく間違えられる病気との違いや特徴をご紹介してきました。

以下に認知症に間違われやすいが実は認知症ではないかもしれない症状をまとめてご紹介します。

生理的物忘れ

生理的物忘れとは、年齢とともに誰にでも起こる自然な現象です。

記憶力が少しづつ低下していくことを指します。

日常生活の中で、新しい情報を思い出しづらくなる、特定の出来事を忘れるといった軽度の物忘れが見られることがあります。

しかし、これらは認知症ではなく、加齢による一般的な変化です。

本人が忘れたことに気が付く、時間をかければ思い出すといった場合は、生理的物忘れといえるでしょう。

認知症の場合は、物忘れが頻繁で、時間が経っても思い出せず、本人もその事実に気づかないことが多いです。

歩行障害

歩行障害は、高齢者に見られる運動機能の低下です。

足がもつれる、バランスをとるのが難しいなどの症状をさし、進行すると歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まります。

水頭症やパーキンソン病などの疾患も、歩行障害が見られますが、病気が進行すると認知機能の低下を伴うこともあります。

歩行障害は認知機能の問題とは異なり、主に身体のバランスや筋力に関連する問題です。

認知症で歩行障害を生じるのは、特にレヴィー小体型認知症や脳血管型認知症で多く見られます。

歩行障害があるだけでは、認知症と診断はされず、他の認知機能低下の症状と組み合わさることで誤解されやすいため注意が必要です。

せん妄

せん妄とは見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたり、意識が曖昧な状態で興奮したりする状態のことを指します。

高齢者になると環境変化への適応能力が下がる為、現実検討能力が低下する事から脳が一時的に混乱する事で突発的にこのような症状が出るとされています。

また、せん妄は短期間で急激に症状が現れる、一時的なものです。

原因が解消されれば回復する可能性があるため、適切な治療で改善が見込めます。

関連記事:せん妄になると死期が近い?原因や認知症・妄想との違いについて解説

老人性精神病と認知症の違い

老人性精神病とは、高齢者において発症する精神疾患の総称で、具体的な疾患としてはうつ病や不安障害などがあります。

高齢者のうつ病は「老人性うつ」とも呼ばれ、認知症と間違われるケースが多い為、気づかないうちに症状が進行してしまう事があります。

症状が悪化すると介護が必要になったり、認知症を発症したりすることもあるので、早期に診断をつけて治療を始めることが大切です。

老人性うつの原因

老人性精神病は、加齢に伴う精神的な障害を指し、主に幻覚や妄想、不安、抑うつといった精神症状が特徴です。

老年期には身体の変化や社会的な孤立、喪失体験などがストレスとなり、これらの症状が現れることがあります。

原因は多岐にわたり、心理的・環境的な要因、長年の精神的負荷、または薬物や身体的な病気の影響も関係しています。

老人性うつの症状

老人性精神病の症状は、幻覚、妄想、不安感、抑うつなどです。

特に被害妄想が強くなることがあり、家族や介護者に対して強い不信感を抱く場合があります。

精神症状が主な特徴であるため、感情や気分に強い影響が及びます。

老人性うつと認知症の違い

老人性うつと認知症の違いについて以下の表にまとめてみました。

以下の5点からもわかるように両者には明確な違いがあります。

医療機関受診の際は下記の点に注意して医師に伝えるとよいでしょう。

 認知症老人性うつ
症状の進行速度進行が遅い
変化に気づきにくい
数週間の間に急激に進行
変化に気づきやすい
記憶障害(物忘れ)軽度の記憶障害から少しづつ進行環境の変化なので急に思い出せなくなる
自責の念自責の念はなく、ケロリとしている「周囲に迷惑をかけている」と自責の念が強い
本人の自覚初期のうちは自覚があるが、症状の進行とともに無関心に地震の認知機能の悪化をよく気にし、自覚がある
受け答えの違い受け答えはするが的外れな回答熟考するが答えられないことが多い

脳梗塞後に急な物忘れが起こる?

脳梗塞後に以下などの記憶障害が現れることがあります。

記憶障害

  • 重要な日付や約束の時間
  • 大切なものを置いた場所
  • 人の名前や、前回あったときにした会話の内容
  • 慣れた場所での徘徊や迷子

特に長期記憶よりも短期記憶の方に影響が出ることが多いと言われています。

この記憶障害は時間とともに改善することもありますが、何年も続く事があります。

脳梗塞後の記憶障害への対処法

記憶障害を完全に改善するのではなく、記憶障害があることを受け入れることが大切です。

記憶障害がある状態でも日常生活に支障をきたさない以下などの工夫を取り入れてみましょう。

  • 日々の行動をルーティン化する
  • メモを取る
  • ものの置き場所を決める

また、最近はスマートフォンなどで手軽に行える記憶訓練用のアプリなどもあります。

適度な運動と合わせて行うことで高い治療効果も期待できます。

西春内科・在宅クリニックで出来る対応

認知症の診断では、他の病気の可能性も考えて、血液検査やレントゲン検査などの身体検査やCT、MRIといった脳画像検査なども行います。

西春内科在宅クリニックでは、小規模クリニックとしては珍しくCT検査装置を有しています。

またそういった画像検査の他にも、確定診断や治療のためにより高度な医療機関への紹介も行っています。

まとめ

認知症は似ている症状・病気が意外と多く、症状だけではなかなか判別が難しいもの。

認知症を含め水頭症や老人性うつといった病気は、適切な治療を行えば改善が見込める病気です。

しかし、症状に気づかず病気が進行すると、生活に支障をきたすような症状が残ってしまう可能性もあります。

「おかしいな」と思ったら一度お近くの医療機関までご相談ください。

参考文献

認知症について知ろう(種類・違い)

健康長寿ネット「認知症とは」

認知症と間違えやすい病気

老人性うつとは? 認知症との5つの違いと対処法

手術で改善できる認知症「水頭症」をご存じですか? 

記憶障害は脳のSOS?記憶が飛ぶ脳梗塞後の症状について |脳梗塞・脊髄損傷後遺症の幹細胞治療|ニューロテックメディカル

この記事の監修医師

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科

資格

日本専門医機構認定 内科専門医