認知症に似ている病気とは?老人性精神病との違いについて解説
公開日:2024.4.15 更新日:2024.4.18
「最近物忘れが多くなった」「家族が昔より怒りっぽくなった」といったこれらの症状。
つい認知症を疑ってしまうもの。
しかし、認知症と症状が似ている違う病気がある場合ということをご存じでしょうか。
本記事では、そんな認知症と症状が似ている病気や症状、その違いや特徴を解説していきます。
目次
そもそも認知症には4つの種類がある
そもそも認知症にはいくつもの種類があります。
そんな数ある認知症のなかで「アルツハイマー型認知症」「レヴィー小体型認知症」「脳血管性認知症」「前頭側頭型認知症」の4種類は「4大認知症」と呼ばれ、認知症患者全体の約90%を占めています。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は加齢や生活習慣、遺伝的な原因で脳にアミロイドβという特殊なタンパク質がたまり、それが神経細胞を破壊して脳が委縮することで発症します。
認知症患者全体の約60%を占めるもっともメジャーな認知症で、女性に多く発症します。
レヴィー小体型認知症
レヴィー小体型認知症は脳の年齢的な変化によって、レヴィー小体という異常なタンパク質が大脳皮質にたまり、神経細胞が徐々に減っていき認知症の症状が現れます。
認知症患者全体の約4%とあまり知られていませんが、男性の発症率が高く、女性の2倍とも言われています。
脳血管性認知症
脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血などが原因で起きる認知症です。
脳の障害される部位によってさまざまな症状が現れるのが特徴で、症状自体が出たり出なかったりすることから「まだら認知症」と呼ばれることもあります。
患者数はアルツハイマー型の次に多く、認知症患者全体の約20%で、発症率は男性がやや多い傾向にあります。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症はタウたんぱく質、TDP-43が関与しているということは分かって来ていますが、詳しい原因に関しては未だ分かっていません。
認知症患者全体の1%程しか発症せず、認知症の中で唯一難病指定されている病気でもあります。
認知症に似ているが異なる病気
「あれ、認知症かも」と思っても、認知症に似た別の病気という可能性も。
症状が似ている分、よく認知症と間違えやすい病気が多々あります。
そんなよく間違えられやすい病気を一部ご紹介します。
難聴・白内障
難聴・白内障の場合は、単純に「耳が遠くなった」「見えにくくなった」といった症状があります。
周りから見ると「話が通じなくなった」「ボーっとしている時間が増えた」と感じ、認知症に疑われることがあります。
うつ病
うつ病の「1日中ボーっとしている」「なんとなく元気がない」という症状は、認知症の初期症状にもみられるため、認知症に勘違いされる病気の一つです。
65歳以上の人がかかるうつ病は「老人性うつ」とも呼ばれています。
うつ病は早期に治療を行えば治りやすい病気ではありますが、認知症と見分けがつきにくい為、知らない間に悪化しているのが厄介な点です。
詳しい違いや特徴は後ほど解説します。
水頭症
水頭症とは頭蓋内にある髄液と呼ばれる水が何らかの理由で過剰に貯留して生じる病気です。
症状としては歩行障害、尿失禁、物忘れが挙げられます。
症状的に認知症と判別が難しい所が厄介で、主にタップテストと呼ばれる方法で診断を行います。
慢性硬膜下血腫
転倒などをきっかけに脳と頭蓋骨との間に血が溜まっていく病気で、認知機能が徐々に低下していくため、認知症と間違われやすい病気です。
頭部のCTによる診断が必要です。
認知症と間違えられやすい症状
認知症とよく間違えられる病気との違いや特徴をご紹介してきました。
以下に認知症に間違われやすいが実は認知症ではないかもしれない症状をまとめてご紹介します。
生理的物忘れ
単なる加齢に伴うもので、病気ではありません。
歩行障害
水頭症の場合、両足の間隔が広がった小刻みな歩き方をします。
せん妄
せん妄とは見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたり、意識が曖昧な状態で興奮したりする状態のことを指します。
高齢者になると環境変化への適応能力が下がる為、現実検討能力が低下する事から脳が一時的に混乱する事で突発的にこのような症状が出るとされています。
老人性精神病と認知症の違い
老人性精神病とは、高齢者において発症する精神疾患の総称で、具体的な疾患としてはうつ病や不安障害などがあります。
高齢者のうつ病は「老人性うつ」とも呼ばれ、認知症と間違われるケースが多い為、気づかないうちに症状が進行してしまう事があります。
症状が悪化すると介護が必要になったり、認知症を発症したりすることもあるので、早期に診断をつけて治療を始めることが大切です。
老人性うつの原因
老人性うつは、仕事の退職や子供との別居による独立などの「環境的要因」と、老化による精神的・肉体的な衰えなどの「心理的要因」の2つが主な原因となることが多いと言われています。
老人性うつの症状
老人性うつの症状として、不安や焦燥感を訴える、落ち着きが無くなる、それまで興味があった事に無関心になるなどの症状がみられます。
また、頭痛やめまい、肩こり、吐き気、しびれなどの身体的な不調を訴える場合もあります。
老人性うつと認知症の違い
脳梗塞後に急な物忘れが起こる?
脳梗塞後に記憶障害が現れることがあります。
特に長期記憶よりも短期記憶の方に影響が出ることが多いと言われています。
この記憶障害は時間とともに改善することもありますが、何年も続く事があります。
そのため記憶障害を改善するためのトレーニングや、記憶障害を抱えながらの生活していけるための工夫が必要になります。
記憶障害
- 重要な日付や約束の時間
- 大切なものを置いた場所
- 人の名前や、前回あったときにした会話の内容
- 慣れた場所での徘徊や迷子
脳梗塞後の記憶障害への対処法
記憶障害を完全に改善するのではなく、記憶障害があることを受け入れることが大切です。
下図のような記憶障害がある状態でも日常生活に支障をきたさない工夫を取り入れる事も可能です。
また、最近はスマートフォンなどで手軽に行える記憶訓練用のアプリなどもあります。適度な運動と合わせて行うことで高い治療効果も期待できます。
西春内科・在宅クリニックで出来る対応
認知症の診断では、他の病気の可能性も考えて、血液検査やレントゲン検査などの身体検査やCT、MRIといった脳画像検査なども行います。
西春内科在宅クリニックでは、小規模クリニックとしては珍しくCT検査装置を有しています。
またそういった画像検査の他にも、確定診断や治療のためにより高度な医療機関への紹介も行っています。
まとめ
認知症は似ている症状・病気が意外と多く、症状だけではなかなか判別が難しいものです。
認知症を含め水頭症や老人性うつといったものは適切な治療を行えば改善が見込める病気です。
しかし、症状に気づかず病気が進行すると、生活に支障をきたすような症状が残ってしまう可能性もあります。
「おかしいな」と思ったら一度お近くの医療機関までご相談ください。
参考文献
認知症について知ろう(種類・違い)
それぞれの原因・症状を解説
認知症のおもな4つの種類・特徴・割合について解説
健康長寿ネット「認知症とは」
認知症と間違えやすい病気とは?心や身体の病気と見分けるポイント
認知症と似た病気
認知症と間違えやすい病気
老人性うつってどんな病気?症状・原因・対策・認知症との違い
老人性うつとは? 認知症との5つの違いと対処法
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脳梗塞後にみられる記憶障害について
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