低温やけどの治し方は?水ぶくれの処置や対処法について解説

公開日:2024.4.23 更新日:2024.10.22


低温やけど

「低温やけど」って知っていますか?

低温やけどは皮膚の下でやけどが起こっている状態で、見た目ではなんともないことが多いやけどを指します。

そのため気付いた時には重度のやけどに進行していることも…

本記事では、低温やけどの対処法や予防法などについて解説していきます!

 

 

低温やけどとは


低温やけど

低温やけどとは低温(44~50℃くらい)のものに長時間接することで起こるやけどの事を言います。

一般的に44℃のものにおよそ6時間接触し続けると低温やけどになると言われています。

就寝中に湯たんぽや電気毛布を使用していると、数時間かけて発症するケースが多いです。

50℃に近いものだと、数分触れているだけで起こることもあります。

44~50℃程度の温度帯は短時間だととても心地よく感じるため、気づかないまま使用し、結果的にやけどが深くなってしまうのです。

普通のやけどと何が違う?


低温やけど

では、普通のやけどとの違いは何でしょうか?

普通のやけどは、沸騰したお湯や熱い鍋などに触れた時に瞬時に発生します。

高温のものに触れると反射的に手を引っ込めるため、短時間でやけどの進行は止まります。

料理中に熱い油が跳ねたときなどのやけどがこれにあたり、短時間であっても非常に高温のものに触れているため皮膚に強いダメージを与えることが特徴です。

一方、低温やけどは、44~50℃程度の温度で起こり、長時間にわたって接触することでじわじわと皮膚にダメージを与えます。

外側から目立った症状がなくても内部でやけどが進行していくのです。

湯たんぽ、電気毛布の他、冬によく使用されるカイロも代表的な原因としてあげられます。

また、低温やけどの場合、熱さを感じた時点で既にやけどが進行していることが多く、普通のやけどと異なり、ダメージに気づくのが遅れがちです。

 

 

低温やけどの原因


低温やけど

低温やけどは意外と身近なものが原因となります。

湯たんぽ、電気毛布、カイロなどが代表的で、冬などの寒い時期に使用し、そのまま寝てしまって低温やけどを引き起こしてしまうことが多くあります。

湯たんぽ

湯たんぽは寒い時期に布団を温めるために便利ですが、低温やけどのリスクがあります。

特に湯たんぽを布団に入れたまま寝てしまうと、長時間にわたり体の一部が温められてしまい、気づかないうちにやけどが進行してしまうのです。

湯たんぽは、寝る前に布団から取り出して使用しましょう。

また、湯たんぽにカバーをしておくことで、取り出し忘れてしまった場合にも熱をやわらげ低温やけどのリスクを減らすことができます。

電気毛布・ホットカーペット


電気毛布やホットカーペットも長時間の使用には注意が必要です。

電気毛布やホットカーペットを付けたまま寝てしまうことで、湯たんぽと同じように体の同じ場所に熱が集中し低温やけどを引き起こすことがあります。

使用中はタイマーを活用し、つけっぱなしにならないようにしたり、就寝前には電源を切るなどをして対策しましょう。

使い捨てカイロ


寒い時期にカイロを使用しているという方も多いでしょう。

しかし、正しい使い方をしていないと低温やけどのリスクが高まります。

素肌に直接貼り付けたり、長時間同じ場所に張り付けたりすると低温やけどの原因となります。

カイロを使用する際は、必ず衣服の上から使用し、こまめに位置を変えるなど工夫が大切です。

スマホ・モバイルバッテリー


意外と見落とされがちですが、スマホやモバイルバッテリーの発熱は低温やけどの原因となることがあります。

特に充電中のスマホは発熱しやすく注意が必要です。

就寝中、スマホを枕元や手元に置いておくという方は注意しましょう。

就寝時には枕元から少し離れた場所に置くなどして対策をとることがおすすめです。

低温やけどの症状


低温やけど

低温やけどの症状は、損傷の深さに応じて異なります。

初期段階では目立たないことが多いですが、進行すると痛みや水ぶくれが現れ、重症になると皮膚の深い部分まで損傷が生じます。

以下は、損傷の深さ別で症状の違いをまとめたものです。

 Ⅰ度


Ⅰ度のやけどは、皮膚の表面が損傷する最も軽いレベルのやけどです。

乾燥して赤みが生じて、日焼け後のようなヒリヒリとした痛みを伴います。

皮膚のバリア機能が部分的に破壊されるため、軽度の炎症が起こりますが、水ぶくれはできません。

流水などでしっかりと冷却することにより比較的短期間で自然に回復していきます。

 Ⅱ度(浅達性)


Ⅱ度(浅達性)は、皮膚の表面から真皮にかけて損傷が進んだ状態です。

赤くなり、痛みとともに水ぶくれが発生します。

水ぶくれの中には透明な液体が溜まり、触れると痛みを生じることが多いです。

適切な処置を行うことで、比較的早い回復が見込めますが、深い損傷になると治るまでに時間がかかることがあります。

Ⅱ度(深達性)


Ⅱ度(深達性)は、真皮の深い層まで損傷が進行したやけどです。

見た目には白っぽくなり、浅達性よりも強い痛みを伴います。

水ぶくれができるものの、皮膚の再生能力が低下しており、治るのに時間がかかり、傷跡が残ることもあります。

早期に医療機関の受診と治療が必要です。

 Ⅲ度


Ⅲ度のやけどは、皮膚の全層にわったり損傷が及ぶ最も重度のやけどです。

損傷部分は黒、白、または褐色に変色し、硬化することがあります。

皮膚の感覚が失われ、痛みを感じない場合がありますが、周囲の組織に強い痛みが生じることがあります。

自己再生が困難で、患部を取り除く手術(デブリードマン)や皮膚移植が必要になるケースが多く、早急に適切な治療が必要です。

 

 

低温やけどの応急処置


低温やけど

低温やけどが起きた場合、まずはとにかく患部を冷やすことが大切です。

目安として10分~30分ほど流水で冷やしましょう。

冷やすことでやけどが深くなることを防ぎ、痛みを和らげることが出来ます。

氷や保冷材などは冷たすぎて、長時間冷やしてしまうと凍傷や低体温になってしまったりする可能性があるため避けましょう。

また、やけどにはアロエや味噌を塗る民間療法がありますが、深度の分からない低温やけどにはほとんど効果がありません。

低温やけどは外見から深さがわかりにくいため、自己判断で放置してしまうことも多くあります。

医療機関に受診し、適切な処置を行うことでやけどの悪化を防ぐことができるため、冷やした後に受診するようにしましょう。

低温やけどの治療法


低温やけど

低温やけどの治療法は深さによって異なります。

Ⅰ度~Ⅱ度(浅達性)では炎症を抑えるステロイド外用剤による治療や、やけど専用の絆創膏による治療を行っていきます。

これにより、感染を防ぎながら自然治癒を促します。

Ⅱ度(深達性)~Ⅲ度などの損傷レベルが深い場合は専門の医療機関での治療が必要です。

皮膚が壊死してしまった場合には、皮膚が自己再生することが困難な為、壊死した皮膚を除去(デブリードマン)、皮膚移植する場合もあります。

低温やけどは見た目では深さがわからないことが多いので病院を受診し、診察してもらいましょう!

 

 

低温火やけどの水ぶくれの処置は?


低温やけど

水ぶくれが出来ている場合には潰さずそのままにしましょう。

水ぶくれを潰してしまうとその跡から雑菌が入り込んでしまい症状が悪化する危険性がある為です。

対処法としては、ラップにワセリンを塗り患部をやさしく包み、清潔に保ちましょう。

万が一水ぶくれを潰してしまったら、破れた皮をそのままにし、同様の処置を行ってください。

また、ガーゼで患部を覆うのはおすすめできません。

ガーゼが水ぶくれの皮に張り付き、剥す際に強く痛んだり、水ぶくれを破壊してしまうことがります。

服を着ていてその下が水ぶくれになっている場合は、服の上から流水で冷やし、脱がずにそのまま病院を受診しましょう。

低温やけどの予防法


低温やけど

低温やけどを予防するためには、暖房器具や防寒グッズの正しい使用が重要です。

湯たんぽや電気毛布、カイロなどは直接肌に触れないようにし、長時間同じ場所を温めないようにしましょう。

また、就寝時の使用にも注意が必要です。

タイマーの活用や、就寝時には使用を避けるなど工夫をして安全に使用しましょう。

特に高齢者や小さいお子様、神経障害があり感覚が鈍い方などは低温やけどのリスクが高い為、十分に注意が必要になります。

寒い時期の湯たんぽや電気毛布、カイロなどはとても便利ですが、使用方法を間違えると低温やけどのリスクが高まります。

使用の際は使用方法を守り、正しく使用しましょう。

西春内科・在宅クリニックでの対応方法


西春内科・在宅クリニックでは、軽症のやけどであればワセリンなどの保湿剤、抗生物質の塗り薬、抗炎症作用のある塗り薬、やけど下部分の外傷処置を行います。

また、やけどが重症であれば専門の医療機関へご紹介をいたします。

低温やけどは誰にでも起こりうるものです。

低温やけどくらい。と軽く考えず、正しく対処して悪化を防ぎましょう。

西春内科・在宅クリニックでは、日中の外来診療、在宅診療に加え、夜間休日の往診、オンライン診療を行っております。

お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。

 

 

まとめ


低温やけどは本人が気付かない内に症状が進行していくのが特徴です。

そのため迅速な対応が必要です。

応急処置として流水で冷やしたとしても、見た目ではどれだけ進行しているか判断が出来ない為、基本的には医療機関に受診しましょう!

暖房器具や防寒グッズの使用上の注意を確認し、正しく使うことで低温やけどは予防することが出来ます。


参考文献

低温やけどって普通のやけどと違うの? 低温やけどの基礎知識: COLUMN-Maison KOSÉ

やけど(熱傷)|一般社団法人 日本創傷外科学会 一般の皆様へ

低温やけどはすぐに応急処置を!身近にある原因を知って適切な予防に努めよう

低温やけどにご注意ください! |クリニックコラム | タナカ皮膚科

低温やけどって見た目はなんともないけど大丈夫?対処や予防法を解説|三井住友海上

『低温やけど』の症状、原因、対処法。重症にならないように予防が大切|田辺三菱製薬

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大