RSウイルスとは|大人と小児の症状の違いや潜伏期間を解説

公開日:2024.5.07 更新日:2024.5.15

RSウイルス

RSウイルス
とはRSウイルス感染症という呼吸器疾患を引き起こすウイルスです。

RSウイルス感染症は、2歳までにはほとんどのお子様が少なくとも一度はかかる感染症です。

今回はそんなRSウイルス感染症について、どういった症状がでるのか、治療法などを解説してまいります。

 

 

RSウイルスとは?


RSウイルス

RSウイルス感染症は9月頃から初春まで流行しますが、最近は夏頃から流行が始まる傾向があります。

お子様がかかるイメージが強いですが、高齢者の方や基礎疾患のある成人の方もRSウイルスにより肺炎を引き起こす可能性もあります。

 

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RSウイルスの基本的な症状


RSウイルス

RSウイルス感染症は基本的に風邪のような症状が現れます。

  • 鼻水・鼻詰まり
  • 発熱
  • 喉の痛み
  • 耳痛(中耳炎を併発する場合)
  • 食欲不振

ですが中には注意しなければならない症状もあります。

  • 息を吐く際「ヒューヒュー、ゼーゼー」という音がする(ぜん鳴)
  • 胸がへこむような呼吸(陥没呼吸)
  • 呼吸が早く、呼吸の回数が増えている(子供であれば1分間に30回以上が早い呼吸)
  • 顔色や唇の色が悪い(血液中の酸素が足りていない)


こういった症状がみられる場合は肺炎、気管支炎、細気管支炎など重症な疾患の可能性があります。

酸素投与や点滴など、入院が必要な事もあります。

 

 

小児のRSウイルスは重症化しやすい?


RSウイルス

お子様の年齢や基礎疾患の有無によって重症化のリスクは変わってきます。

まず、1歳以上であれば多くの場合は重症化のリスクは低減します。

2歳以上であれば鼻風邪で終わることがほとんどです。

注意が必要なのは以下のような方です。

  • 1歳未満、特に6か月未満の赤ちゃん
  • 早産、低出生体重の赤ちゃん
  • 心臓や肺に基礎疾患がある
  • 免疫不全症、ダウン症


これらを踏まえ、重症化のリスクがあるのか判断する必要があります。

 

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大人のRSウイルスは軽症で済む?長引く?


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成人の方は多くの場合、軽症で済むことが多く、1週間ほどで症状は治まってきます

しかし年齢や基礎疾患の有無によっては重症化するケースもあります。

  • 65歳以上の高齢者
  • 長期間たばこを吸っている方(慢性閉塞性肺疾患の方)
  • 糖尿病の方
  • 初めてRSウイルスにかかった方


以上の項目に当てはまる方は肺炎になる可能性が高くなりやすいです。

RSウイルスによる肺炎はインフルエンザによる肺炎よりも症状が長引くこともあります。

 

 

RSウイルスの治りかけの症状とは?


RSウイルス

初めてかかった方のほとんどは咳、鼻水、発熱などの風邪症状のみで数日から1週間ほどで快復することがほとんどです。

特にこれといった治りかけのサインのようなものはありません

1週間を過ぎても症状が継続する場合は病院へ受診しましょう。

 

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RSウイルスの潜伏期間は?


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潜伏期間はRSウイルスに感染してからおよそ4~6日間で、その後症状が現れます。

感染力が強く、主に飛沫感染接触感染で広がります。

そのため、マスクや手洗いうがいが有効な感染予防対策になります。

 

 

RSウイルスの治療


RSウイルス

RSウイルス感染症には特効薬(有効な抗ウイルス薬)はないため、基本的には対処療法で様子を見ていきます。

  • 咳止め・去痰剤・解熱鎮痛剤を使い症状を緩和させる
  • 痰を出しやすい体位を取らせたり、吸入などをしながら症状改善に努めていく


自分の免疫力で回復できるように上記のような対応をしていきます。

ですが、心疾患・肺疾患などの症状のある幼児が感染すると、重篤化する可能性が高いです。

その為、パリビズマブ薬(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)にて様子を見ていきます(この薬は感染することを防ぐ薬ではありません)。

感染中は幼児の症状を適時確認し、症状が改善しないとき・悪化してきているときは医療機関に相談・受診をしてください。

 

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RSウイルスで出勤停止になる?


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学校保健安全法で定められた出席停止期間や、出勤停止期間などはにありません

風邪などと同じく咳症状や発熱などが無く元気な状態であれば、園や学校、会社と相談して登園、出勤が可能です。

 

 

西春内科・在宅クリニックでできる対応


RSウイルスの治療は対症療法になるので、当院では症状に合わせてお薬を処方させていただきます。

発熱や咳がある場合は他の感染症、特にインフルエンザ感染症やコロナウイルス感染症にも共通する症状ですので、そちらの可能性を無くすためにインフルエンザ、コロナウイルスの検査を行う場合もあります

また重症度に応じて点滴や入院が可能な病院へのご案内をさせていただく事もあります。

 

 

RSウイルスについてのまとめ


RSウイルスの多くは重症化のリスクが低く、ほとんど風邪と変わりません

ですが1歳未満の赤ちゃんや基礎疾患のある方には危険性のあるウイルスです。

多くの方には危険性の低いRSウイルスですが、インフルエンザ感染症やコロナウイルス感染症の可能性もあります。

RSウイルス感染症かもしれないと思った際も、他の感染症の可能性を除外するために、医療機関を受診しましょう。

参考文献

RSウイルス感染症とは? | 知っておきたい!家庭の感染と予防 | サラヤ株式会社 家庭用製品情報
RSウイルス感染症にご注意ください!! | 国立成育医療研究センター
子供がRSウイルスに感染したら? | キャップスクリニック(医療法人社団ナイズ)
RSウイルス感染症Q&A(令和6年1月15日改訂)|厚生労働省
大人のRSウイルスの症状や検査、出勤停止期間について | ひまわり医院(内科・皮膚科)

この記事の監修医師

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

三重大学医学部医学科 卒業
三重県立総合医療センター 
N2 clinic