盲腸の痛みはどんな感じ?手術や入院期間について解説

公開日:2024.6.11 更新日:2024.9.27



皆様、「盲腸」「虫垂炎」といったワードを聞いたことはありますでしょうか?


正式名称は「虫垂炎」と言い、急性症と慢性症があります。


腹痛が特徴的な病気で、お子様の腹痛があった際ご不安になられた方も多いと思います。


今回は急性虫垂炎について原因や痛み、手術が必要なのか、入院期間はどれくらいなのか説明していきます。



盲腸とは




大腸の一部で小腸との繋ぎ目にある、大腸の初めの部分を「盲腸」と言います。


小腸から見ると行き止まりになっているように見えるためにそう呼ばれるようになりました。


その下部分にある、5~6cm程の袋状の臓器を「虫垂」と言い、かつてはどのような役割を持っているかわかりませんでした。


しかし最近は大腸の免疫機能の司令塔を担っている大事な臓器として認識されるています。


10〜20代に最も多く、年齢を重ねるごとに徐々に発症する方が減っていきます。


盲腸の原因




虫垂に炎症が起きてしまう原因は大腸菌や腸の中に存在している細菌が侵入、繁殖してしまうためです。


しかし、なぜその炎症が起きてしまうのかが詳しく解明されていません。


下記のような仮説が原因ではないかと考えられています。


虫垂内の異物


虫垂に便の塊(糞石)や食べ物の残りかすが詰まることで血行が悪くなり、細菌の増殖を引き起こすと推測されています。


便秘・胃腸炎


便秘により便がたまり、虫垂を圧迫することで炎症を起こし、虫垂炎につながるのではと言われております。


また、胃腸炎により免疫機能が低下し虫垂内に腸内細菌やウイルスが侵入することも原因ではないかとされています。


不規則な生活やストレス


不規則な生活、過労やストレス、暴飲暴食などの生活習慣が乱れ、腸内環境悪化が誘因となる事もあります。


バリウム検査後


胃がんを発見するために行うバリウム検査後に虫垂炎になるのではとも考えられており、バリウム検査を受けた方と受けなかった方を対象に調査が行われたこともあります。


結果としては、検査を受けた方のほうが虫垂炎の発症数が増えることがわかりました。


特に検査後2か月以内に発症する数が増えるという結果となりました。


しかし、胃がんを早期発見するために必要な検査であり、増えるとはいえ決して多くはありません


また、胃カメラなどで代用も可能なので、ご不安であれば医師と相談して決めていきましょう。




盲腸の症状




虫垂炎といえば腹痛ですが、その進行度によって様々な症状が現れるのが特徴です。


虫垂炎は炎症の進行度によってカタル性・蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい)・壊疽性(えそせい)・穿孔性(せんこうせい)の4つに分類され、この順番で悪化していきます。


ここでは進行度と、その時に現れる症状と共に解説していきます。


カタル性


虫垂炎の初期状態で、炎症は粘膜のみにとどまっています。


症状は主に腹痛のみで、痛みの強さに波があり、位置も様々なところに現れます


蜂窩織炎性


炎症が虫垂全体に広がっている状態です。


この段階になると、虫垂がある右下腹部が激しく痛み、緊張して硬くなります


その部分を押して、離したときに痛みが強くなる「反跳痛(はんちょうつう)」や歩いた時に痛みが響くという特徴があります


壊疽性


虫垂が炎症によって腫れ上がったり、壊死を起こしている状態です。


この段階になると腹痛以外の症状が現れます。


  • 右下腹部の強い痛み
  • 発熱(37~38℃)
  • 嘔吐、下痢または便秘
  • 食欲不振

嘔吐や下痢などの消化器症状が出るのは、虫垂の炎症により大腸や小腸が正常な働きが出来なくなってしまうためです


穿孔性


壊疽性がさらに進行し、壊死してしまった虫垂の壁に穴が空いてしまった状態です


虫垂に膿が貯まり、破裂寸前だった壊疽性に比べ、一瞬少しだけ痛みが和らぐ事があります。


そして膿がお腹全体に広がる腹膜炎、もしくは虫垂周辺に膿が貯まる膿瘍形成(のうようけいせい)のどちらかに進行していきます。


盲腸の前兆や初期症状は?




虫垂炎は右下腹部の痛みが特徴的ですが、初期症状はみぞおちからおへそ周囲の鈍い痛みから始まります。


痛みを感じた2〜3時間後に吐き気食欲不振が現れます。


その後数時間〜1日かけて右下腹部に痛みが移動


そのまま炎症が進むと発熱、腹部全体の痛みや下腹部の痛みに変わります。


ここまで症状が進むと次の項目で紹介する合併症になっている可能性があるので注意が必要です




盲腸で注意すべき合併症




腹膜炎


腹膜という、臓器などを覆っている膜が炎症を起こしている状態です。


穿孔性が進行し、虫垂に貯まっていた膿が腹膜にまで及んでいることが原因となります。


急性腹膜炎と慢性腹膜炎の2種類あり、虫垂炎で起きるのは急性腹膜炎で、特徴として急激に発症して放置すると命に関わります


症状は

  • 突然の腹痛
  • 持続的な激痛
  • 徐々に広がる痛み
  • 発熱
  • 歩行困難(歩くと痛むため)

が見られます。


膿瘍形成(のうようけいせい)


穿孔性が進行した後、虫垂の周囲に膿が貯まっている状態です


腹痛や発熱は続きますが、腹膜炎と比べ劇的な症状がありません。


固い膿が貯まるため、下腹部の痛みと張り、違和感が出てきます。


この状態を放置してしまうと炎症が広がり、腹膜炎を引き起こします。


敗血症


感染症(今回の場合は虫垂炎)を引き起こしている細菌が繁殖して炎症が起き、臓器に障害が発生する非常に危険な状態です


何か1つこれといった症状はなく、感染して炎症を起こしている臓器によって、様々な症状が組み合わさって出現します。


主な症状として

  • 悪寒、震え、発熱
  • 体の節々の痛み、不快感
  • 意識障害
  • 息切れ、呼吸数の増加、頻脈

が出現します。



盲腸の治療




最も一般的な治療方法は手術ですが、抗生剤を使って治療する方法もあります。


しかし、軽症〜中等症の方にしか適用できないことと、根本的な治療にならない為30%〜50%の割合で再発すると言われています。


結果として、手術を選択する場合が多いです


手術の方法は腹腔鏡手術開腹手術の2通りから医師と相談して決めていきます。


どちらもお腹を開いて虫垂を取り除く手術ですが、一番の違いは開く際の大きさです。


腹腔鏡手術の方が傷が小さく、回復期間が短かったり傷が目立ちにくいなど、患者様の負担が少ない為選ばれることが多いです。


開腹手術は合併症があった場合に行ったりと患者様に合わせて使い分けます。




盲腸の入院期間はどれくらい?




入院期間はその重症度やどちらの手術を行ったかで変わってきます


軽症で腹腔鏡手術を行った場合の目安はおよそ4〜5日ほどです。


開腹手術を行った場合のおよそ7〜10日以上が目安になります。


西春内科・在宅クリニックでできる対応


当クリニックでは、採血検査・CT検査がありますので、虫垂炎の診断を迅速に行うことが可能です

手術をすることはできない為、手術可能な病院への紹介状作成を行います。

腹痛でご不安な方はお気軽にご来院、ご相談くださいね。

また、当クリニックはオンライン診療も行っております。

ご自宅にいながら診察からお薬の処方まで受けることが出来ます。

予約の仕方や費用など詳しくはこちらをご覧ください。

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まとめ


いかがでしょうか?

虫垂炎は進行が早く数時間から1日で右下腹部への腹痛が起こります。

そのため、このような兆候が見られる場合は早急な受診が必要です

当クリニック、もしくはお近くの小児科や内科をご受診くださいね。


参考文献
埼玉外科クリニック『虫垂炎(盲腸)の前兆はどんな痛み?初期症状は?』
Medical DOC『「盲腸(急性虫垂炎)」とは?症状・原因・治療法についても解説!』
さくら医院『急性虫垂炎(盲腸)とは』
大阪市立十三市民病院『虫垂炎ってなに?』

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大