生後3ヶ月の発熱は危険?対処法や原因を徹底解説
赤ちゃんの急な発熱で不安になったことはありませんか?
特に赤ちゃんは不調を訴えることができないので、親御さんは心配になるかと思います。
今回は、生後3ヶ月未満の発熱の原因と対処法について詳しく解説していきます。
目次
生後3ヶ月の赤ちゃんの発熱への理解
生後3ヶ月未満の発熱の原因は、約90%がウイルス感染症、約10%は細菌性髄膜炎や敗血症といった奇特な感染症です。
赤ちゃんは通常、生まれた時にお母さんの抗体をもって生まれてきます。
お母さんの抗体を持っているはずの赤ちゃんが発熱している場合は早期に病院への受診が必要です。
また、赤ちゃんは自分で症状を伝えられないため、以下の点に注意して変化を見逃さないようにしましょう。
- 顔色が悪い
- 不機嫌
- ミルクを飲まない
- 泣き止まない
関連記事:乳幼児突然死症候群(SIDS)の前兆や原因とは?予防対策も解説
生後3ヶ月の発熱の一般的な原因と考えられる病気
生後3ヶ月未満の子供が発熱する可能性のある原因はいくつかあります。
それぞれの原因、詳細は以下の通りです。
風邪(上気道感染症)
風邪の主な症状は以下などです。
- 発熱(38.0度程度)
- 咳
- 鼻水
- 嘔吐
- 下痢
風邪の場合、発熱しないこともあります。
風邪ウイルスの感染が原因のため、ウイルスへの免疫ができれば通常3~4日で症状が軽快します。
機嫌がよく、食欲がある場合は、ミルク・授乳をいつも通りにおこなって問題ありません。
RSウイルス
RSウイルスとは、風邪の中の一つであり鼻汁や咳などの呼吸器症状を引き起こすウイルス性感染症です。
1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子供が1度は感染するとされており、代表的な風邪のウイルスです。
主な症状として以下などが挙げられます。
- 発熱
- 咳
- 鼻水
- 呼吸困難
- 喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーといった呼吸)
3ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると症状がひどくなりやすいため、RSウイルスを疑う場合、病院を受診しましょう。
関連記事:RSウイルスとは|大人と小児の症状の違いや潜伏期間を解説
尿路感染症(UTI)
尿路感染症は、細菌感染症の中で最も多い疾患となり、腎臓から尿管、尿道、膀胱といった尿の通る経路のどこかで感染が起こり、炎症を起こす病気です。
主な症状として以下などがあります。
- 発熱
- 活気がない
- 不機嫌
- 排尿時の痛み
検査には尿検査のため、赤ちゃんには尿を採取するための袋を取り付け検査を行います。
赤ちゃんの尿路感染症はおむつにした便が陰部に付着し大腸菌が感染症を引き起こすため、以下の点に注意しておむつ替えを行いましょう。
- 便をしたらなるべく速やかにおむつ替えを行う
- おむつ替えの際は、前から後ろに拭く
- 拭く際は、おしりふきの面を変えながら行う
細菌性髄膜炎
細菌性髄膜炎とは、ヒブ(インフルエンザ菌b型:Hib)や肺炎球菌などの細菌が、脊髄や脳を包む髄膜の奥まで入り込んで起こる病気です。
ときに命に関わったり、重い後遺症が残ったりすることもあります。
主な症状には以下などがあります。
- 発熱
- 活気がない
- 不機嫌
- けいれん
- 嘔吐
細菌性髄膜炎は、生後2か月から摂取できるヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンでの予防が重要です。
予防接種後の反応
ワクチン接種が原因で発熱することもあります。
その中でも肺炎球菌ワクチン接種後は約10%の確率で発熱します。
ワクチンの種類 | 発熱あり | 発熱なし | 合計 |
肺炎球菌ワクチン単独 | 8(10.4%) | 69(89.6%) | 77 |
肺炎球菌以外のワクチン | 15(3.3%) | 433(96.7%) | 448 |
肺炎球菌ワクチン+その他のワクチン | 96(11.1%) | 771(88.9%) | 867 |
関連記事:【予防接種】小児の定期接種と任意接種のスケジュールについて
生後3ヶ月の発熱への対処法
状態の確認
強い泣き | ・ずっと泣いている ・泣き声が大きい ・痛そうに泣いている ・突然泣き、泣き止まない |
※弱い泣き | ・泣き声が小さい ・甲高い声で泣くが、弱い ・声がよわよわしい |
食欲不振・意欲低下 | ・顔色が悪い ・食べない、飲まない ・遊ばない |
※意識障害 | ・呼びかけに反応しない ・ぐったりしている ・視線が合わない |
弱い泣きの場合、髄膜炎や肺炎などの可能性があり、意識障害の場合は細菌性髄膜炎や脳炎などの可能性がありますので早急に医療機関を受診しましょう。
氷嚢や水枕で冷やす
発熱時、家での対応方法として、1番いいのが氷嚢や水枕で冷やすクーリングです。
おでこに貼って熱を和らげる冷却シートもありますが、氷嚢、水枕の方が効果的です。
使い方としては、体の中でも大きな血管が走っている「首回り」や「足の付け根」などを重点的に冷やすと効果的です。
しかし、あくまで苦痛を取るための一時的な処置となります。
38℃以上が受診の目安
生後3ヶ月以内で38℃以上の発熱であれば重症の感染症である可能性が高いです。
診療時間問わず、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、38℃の発熱がなくてもけいれん、意識障害などがあれば至急医療機関を受診しましょう。
関連記事:熱性けいれんはどう対応すればいい?原因や後遺症を徹底解説
38℃以上の熱があるのに手足が冷たいときは?
子供の手足を触って冷たければ悪寒(寒気がして体が震える状態)が出る時で、熱が上がる途中というサインです。
解熱剤は使用せず、体と手足を温めてあげましょう。
しばらく時間がたつと手足もあたたかくなり、体も熱くなっています。
これは、熱が上がりきったサインなので、今度は脇の下や足の付け根を冷やしてあげましょう。
解熱剤の使用は、熱が上がりきってからのタイミングです。
また、使用する際は、医師・薬剤師の指示に従い、自己判断での使用は絶対にしてはいけません。
関連記事:【医師監修】解熱剤が効かない?解熱剤の種類と使うタイミング、効果や副作用について
予防接種後に発熱がある場合の対処
予防接種後に発熱したからといって、必ず副反応とは限りません。
発熱して以下の状態の時は医療機関を受診しましょう。
- 3日以上の発熱
- 日に日に熱が高くなっている
- 水分が取れないほどぐったりしている
- 発熱以外に咳、鼻水などの症状がある
関連記事:子供に流行中のRSウィルス感染症とは?症状や保育園の登園はどうすればいい?
西春内科・在宅クリニックでできる対応
西春内科・在宅クリニックでは、小児の診察も外来にて行っています。
生後3ヶ月未満の子供の発熱に対しては、緊急性が高い可能性があるため、症状に応じて適切な専門医師のご案内が可能です。
発熱や子供の状態で不安なことがあれば、気にせずご相談ください。
まとめ
今回は、生後3ヶ月未満の発熱の対処法や原因などについて詳しく解説してきました。
発熱の原因として、細菌性髄膜炎や敗血症といった奇特な感染症の場合もあります。
38℃を超える発熱、意識障害、けいれん等があれば迷わず医療機関を受診しましょう。
ご心配なことがございましたら医師に相談するのをおすすめします。
参考文献
予防接種後に赤ちゃんが発熱!いつまで続く?受診の目安や対処法は?
監修医師: 福井 康大
監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹

▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。
経歴
名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科