ジェネリック医薬品とは|メリットやデメリットをわかりやすく解説

公開日:2025.9.16 更新日:2025.9.16

医療費の上昇が社会問題となる中、医療費を抑えられる「後発医薬品」とも呼ばれるジェネリック医薬品への関心が高まっています。

お薬代を節約できるジェネリック医薬品ですが、その一方で品質や安全性について疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ジェネリック医薬品の基礎知識から、メリット・デメリット、さらには実際の使用における注意点まで、わかりやすく解説していきます。

ジェネリック医薬品とは

病院で処方される薬は、新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品(後発医薬品)の2種類があります。

新薬は、製薬会社が十数年の歳月と何百億という開発費用をかけて開発し、特許を取得します。

その特許が切れ、同じ有効成分を使用して薬を作成することができるようになり、誕生したのがジェネリック医薬品(後発医薬品)です。

開発費用が抑えられるため、新薬より安価で提供できます。

厚生労働省による厳格な審査を経て承認された医薬品であり、新薬と同等の効果が確認されています。

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ジェネリック医薬品のメリット

ジェネリック医薬品を選択するメリットとはどんなものがあるでしょうか?

具体的には以下などが挙げられます。

  • 価格が安い
  • 医療費の削減
  • 飲みやすく改良されている
  • 先発医薬品と同等の有効性

これらのメリットについて詳しく解説しましょう。

価格が安い

ジェネリック医薬品の最大のメリットは、その価格です。

一般的に新薬の3~7割程度の価格で購入できます。

新薬と同じ有効成分を含んでいるにもかかわらず、研究開発費がかからないため、価格が大幅に抑えられています。

医療費の削減

ジェネリック医薬品を選ぶことで、個人だけでなく国全体の医療費も削減することができます。

2021年度の統計では、年間約1兆円の医療費削減効果があったとされています。

飲みやすく改良されている

多くのジェネリック医薬品は、先発医薬品よりも飲みやすく改良されています。

例えば、苦味を抑えたコーティングが施されていたり、飲みやすいサイズに変更されていることがあります。

先発医薬品と同等の有効性

有効成分は新薬と同一であり、効果や安全性についても同等であることが確認されています。

厚生労働省による承認基準は新薬と同様に厳格で、品質の同等性も徹底的に審査されます。

ジェネリック医薬品のデメリット

ジェネリック医薬品はメリットだけでなく、デメリットもあります。

具体的には以下などのデメリットが挙げられます。

  • 添加物による副作用の可能性
  • 見た目や名称の違いによる混乱

これらのデメリットを理解してジェネリック医薬品を選択することが大切になります。

詳しく解説しましょう。

添加物による副作用の可能性

ジェネリック医薬品は、先発医薬品とは異なる添加物を使用していることがあります。

まれに、この添加物の違いによってアレルギー反応などが起こる可能性があります。

特に、以前に薬のアレルギー経験がある方は、切り替え時に医師に相談することが重要です。

見た目や名称の違いによる混乱

ジェネリック医薬品は、形状や色、名称が先発医薬品と異なるため、患者さんが混乱することがあります。

特に高齢者や複数の薬を服用している人にとっては、薬の取り違えが起こりやすいです。

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ジェネリック医薬品の危険性とは?

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の安全性が確認されており、「ジェネリックだから危険」ということはありません。

ただし、先発医薬品の有効成分の特許は切れていても、薬の作り方(製法)や形(製剤)に関する特許が残っている場合があります。

その場合、ジェネリック医薬品では異なる製法を使わざるを得ないため、薬の溶け方や使用感が先発医薬品と完全に同じにならないことがあります。

効果と安全性は国の基準で厳しくチェックされているので、安全性に心配はありません。

ジェネリック医薬品関連の不祥事について

最近では、いくつかのジェネリック医薬品メーカーによる品質管理の不備や、不正な製造データの改ざんなどの問題が報告されています。

しかし、これらの事例を受けて品質管理体制は一層強化され、現在は定期的な査察と厳格な品質管理が行われています。

以下に、代表的な事例を紹介します。

小林化工の不祥事

小林化工では2020年、爪水虫治療薬への睡眠薬成分の混入により2名が死亡、複数の健康被害が発生しました。

これは製造工程での容器取り違えや、品質管理の甘さが原因です。

この事態を受け、厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)は厳重な調査を行い、医薬品製造の品質管理体制が問題視されました。

医薬品業界全体における信頼性や安全対策の徹底が再度求められています。

日医工の不祥事

日医工は2021年、品質管理の不備が多数発覚し、医薬品の自主回収や出荷停止に至りました。

製造工程における不適切な管理や、品質試験での基準未達が問題視され、厚生労働省から厳重な指導が行われています。

これにより医療現場に混乱が生じ、日医工は信頼回復に向けた取り組みが求められています。

沢井製薬の不祥事

沢井製薬では、2023年に胃炎治療薬の一部で、不正な成分カプセルへの詰め替えが発覚しました。

製品品質に関わるこの不正は、厚生労働省による調査により明らかとなり、製薬業界の信頼性に影響を与えました。

同社はその後、該当製品の自主回収を行い、再発防止策に取り組む姿勢を示しています。

製薬業界全体での管理体制の見直しが求められています。

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医師によるジェネリック医薬品に対する意見

ジェネリック医薬品の出現により、患者さんにとっては、薬剤費が安く済むため、薬局で支払う額が少なくて済みます。

医療者にとっては、内服しやすい薬として形状が整えられたりするので、処方をする際に余計なことを考える必要が少なくなるのです。

ただし、新薬を使用していた患者さんが、ジェネリック医薬品に変更した場合に期待していた効果が得られない場合もあります。

そのような時には処方箋に『後発品不可』と書くことで、新薬を処方することが可能です。

西春内科・在宅クリニックでのジェネリック医薬品の扱い

西春内科・在宅クリニックでも、ジェネリック医薬品で処方することがあります。

診察した医師の判断による処方が基本となりますが、ご希望する薬があれば医師へご相談ください。

お困りのことがありましたらお気軽にください。

まとめ

ジェネリック医薬品は、私たちの医療費負担を軽減する重要な選択肢となっています。

新薬と同じ有効成分を含み、厳格な品質管理のもとで製造されているため、安全性と効果は十分に確保されています。

価格が安く、時には飲みやすさも改良されているというメリットがある一方で、添加物の違いによる体質との相性や、薬の見た目の違いによる混乱といった課題もあります。

医薬品の選択は、あくまでも個人の状況に応じて判断すべきものです。

特に、持病のある方や複数の薬を服用している方は、必ず医師や薬剤師に相談してから切り替えを検討しましょう。

医療の専門家と相談しながら、自分に合った最適な選択をすることが大切です。

参考文献

日本ジェネリック製薬協会|ジェネリック医薬品とは

「ジェネリック医薬品」の正しい知識 – 日本電気健康保険組合

沢井製薬 不正試験問題 本社と工場ある2府県と厚労省が行政処分 | NHK | 

後発薬大手、日医工が「製造不正10年」の唖然 ワンマン社長の売上高至上主義が招いた歪み | 医薬品・バイオ | 

「2人が死亡」ジェネリック薬の信頼を失墜させた睡眠剤混入の大罪 自主回収が頻発する小林化工の体質 | 

この記事の監修医師

監修医師: 西春内科・在宅クリニック 院長 島原 立樹


▶︎詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

名古屋市立大学 医学部 医学科 卒業
三重県立志摩病院
総合病院水戸協同病院 総合診療科
公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科

資格

日本専門医機構認定 内科専門医