自律神経失調症のセルフチェック26項目!こんな兆候は危険かも?
最近、日常生活においてなんとなく体調が優れない、あるいは気分が落ち込んでしまうという経験はありませんか?
その場合には、もしかしたら体調不良の原因が自律神経の乱れに由来する自律神経失調症を発症している可能性があります。
自律神経失調症のなかには、ストレスや不安などからくる軽症のうつ病、あるいは不安神経症や気分障害などの症状が一部含まれると考えられています。
今回は、「自律神経失調症の原因、症状、治療方法」などについて詳しく解説します。
目次
自律神経失調症のセルフチェック項目
自律神経失調症においてはそれぞれの症例によって自覚症状が異なり、様々な症状が現れる自律神経失調症を自分自身でセルフチェックする方法があります。
普段から「もしかすると自分は自律神経失調症かも」と心配されている場合には、まずは以下に列挙する様々な症状の有無を自分でチェックしてみることをお勧めします。
急に胸が苦しくなったり息苦しくなったりする
たびたび動悸がする
便秘や下痢などに伴って腹痛症状が起こりやすい
手や足がしびれることが多い
胸やけや胃もたれなどを自覚して食欲不振に陥る
慢性的に肩こりや腰痛などで悩んでいる
寝起きが悪い、あるいは寝て起きても疲労感や倦怠感が残存している
不安な気持ちになることが多く、憂鬱な気分に襲われて何事にもやる気が起こらない
些細なことでイライラする機会が増えた
物事に神経質になり、そわそわ落ち着かない
怖い夢をみる、もしくは金縛りにあう頻度が多い
寝つきが悪く、夜中にいったん覚醒するとなかなか眠れない
風邪を引きやすく体調不良になりやすい
手足が冷たいことが多々ある
最近頭が重い
目の疲れを感じることが多い
めまいや立ち眩みが増えた
耳鳴りの頻度が高い
口の中が荒れたり、舌が白くなっていることがある
好きなものにも食欲が起きない
常に胃がもたれている感じがする
腰痛に悩まされている
何故か体重が減った
何もかもやる気が起きない
人付き合いが億劫に感じられる
自律神経失調症の場合は、上記のような症状が出現しやすいと考えられています。
自律神経失調症とよく類似した症状が現れる他の疾患もあるため、自己判断は危険です。
もし26個あるセルフチェック項目の中で10個以上該当したら、ぜひこの機会に精神科や心療内科など医療機関に相談してみることをおすすめします。
自律神経失調症ですぐに病院で検査した方がいい症状
自律神経失調症の症状は個人差が非常に大きいという特徴があります。
そのため、症状の多様性が生活の質を大幅に損なってしまう場合には、我慢しすぎずにすぐに病院に行って検査を受けるほうがよいでしょう。
例えば、めまいや頭痛などの症状を認めるが故に、「毎朝会社に仕事行けない」、「思い通りに家事ができない」状態に陥って、自ら外出できなくなり家に引きこもりがちになる際には専門医療機関を受診して相談するように心がけましょう。
自律神経失調症の特徴として、内臓には明らかな異常がないことが挙げられます。
自律神経失調症を抱えている人は辛い症状を自覚していても、周囲に気付かれにくい状態であると言えます。
自律神経失調症に伴う症状が非常に多岐にわたり、症状がつらくても周囲の人々から気づいてもらえずに、より症状が悪化傾向を認める際には精神科や心療内科など医療機関に相談されることをおすすめします。
自律神経失調症とは?
自律神経失調症は、自律神経が過剰なストレスによって正常に機能しないことによって引き起こされるさまざまな症状の総称です。
自律神経失調症の主要な症状は下記のとおりです。
- 眠れない
- 疲労が取れにくい
- 頭痛やめまい
- 息苦しさ
- 便秘及び下痢などの便通異常症状
- 情緒不安定や不安感など精神的な不調症状
自律神経失調症は自律神経の乱れによって引き起こされると考えられています。
しかし、実際に自律神経の働きを直接的に正確に調べる方法は乏しいです。
不調症状に対する病気を明確にするために精密検査を実施しても,特に明確な異常が見つからないことも多いです。
特に、常日頃から過大なストレスや不規則な生活習慣が認められ、ホルモンバランスが乱れている場合に自律神経失調症の発症が疑われます。
自律神経失調症の症状
自律神経は全身の器官をコントロールしているため、そのバランスが何かしらの原因で崩れてしまうと多種多様な症状が現れると考えられます。
自律神経失調症を呈する症状は個々によってさまざまであり、多くの症状はその人にとって調子が悪くなりやすい部位に引き起こされやすいと言われています。
例えば、腹部が痛くなりやすい人は下痢や腹痛などを始めとする消化器症状が現れやすく、普段から肩が凝りやすい場合にはひどい肩こりに繋がりやすい傾向があります。
身体的症状
個人によって症状の現れ方は様々ですが、例えば自律神経失調症における典型的な身体的症状としては下記が挙げられます。
- 倦怠感
- 息苦しい
- 眠れない
- 慢性的な疲労感などの全身症状
- 頭痛
- 動悸や息切れ
- めまい
- 立ち眩み
- 下痢や便秘
それ以外にも下記など、様々な症状を呈することがあります。
- 全身や手足の冷え症状
- のぼせ
- 耳鳴り
- 関節痛
- 生理不順
- 口や喉の不快感
- 頻尿や残尿感
- 発汗
精神的症状
自律神経失調症における精神的症状としては、代表的なものとして下記が挙げられます。
- 情緒不安定
- いらいら
- 不安感
- 抑うつ傾向
その他にも、自律神経のアンバランスに伴って下記が引き起こされます。
- 不眠
- 記憶障害
- 集中力低下
- 感情の激しい起伏
また、これらの複数症状が一度に現れる、あるいはいったん改善したと思っても別の症状が再び出現することも想定されます。
自律神経失調症の原因
自律神経失調症は自律神経に関連するあらゆる機能が乱れることで発症します。
自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの相互作用を有する神経系システムから構成されています。
前者の交感神経は体を活発に動かすときに作用し、後者の副交感神経はリラックスしているときに機能する特徴が挙げられます。
健常者では、相互的な役割を持つこれらの自律神経がバランスよく良好な状態を保つことができます。
しかし、一旦ストレスやホルモンバランスの乱れによって片方の神経が過剰に興奮して優位な状態が不均衡に継続されると、多彩な症状が出現するようになります。
その直接的な原因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、更年期に伴うホルモンの乱れなどが典型例として考えられます。
このように不規則な生活に伴う過剰ストレスによる刺激、更年期障害などホルモンの乱れなどが本疾患を発症させる原因になることから、
- 不規則な生活を送っている人
- ストレスを感じやすい人
- 更年期でホルモンバランスが乱れやすい人
などに発症しやすいと言われています。
それでは、自律神経失調症の原因について1つずつ詳しく見ていきましょう。
ストレス
一般的なストレス以上の負荷が精神的に掛かっている状態では、自律神経失調症に罹患しやすいと指摘されています。
例えば下記によって自律神経のバランスが崩れます。
- 仕事業務のプレッシャーなどを始めとする精神的ストレス
- 日々の蓄積された過労
- 自分が置かれている環境下での光や音、温度などに関する身体的ストレス
- 職場でのパワハラ・セクハラなどを含むハラスメント
また、周囲の人間関係に伴うストレスにより、交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまうケースも想定されます。
生活習慣の乱れ
乱れた生活習慣とは、日常的な活動周期が一定でなく不安定であることを意味しています。
慢性的な寝不足、あるいは不規則な生活や偏った食事などが生体リズムを狂わせてしまい、自律神経の乱れに繋がると考えられます。
- 幼少期からの不規則な生活習慣で夜更かしを継続する
- 夜勤の頻度が多い職業である
- ジャンクフードを多く摂取して偏りのある栄養素のみ取り入れる不適切な食生活
以上のような場合において、交感神経と副交感神経のバランスが破綻しやすいと指摘されています。
ホルモンバランスの崩れ
自律神経失調症は、一般的に男性よりも女性の方が罹患率を高く認めると認識されており、その背景として女性ホルモンの影響によって自律神経失調症を発症する恐れが懸念されています。
男性ホルモンと女性ホルモンは、ホルモンバランスの安定性という観点で相違があります。
男性ホルモンは思春期に分泌が高まって、それ以後は初老期まで安定する傾向があります。
一方、女性ホルモンは思春期の初潮、毎月の周期的な月経習慣、妊娠・出産、更年期から閉経に至るまで一生のうちに変化を繰り返して複雑な系統を呈しています。
したがって、女性ホルモンの特性から女性の方が男性よりもホルモンバランスが乱れやすく自律神経失調症を発症するリスクが高くなると想定されます。
さらに、女性は更年期に伴う自律神経失調症の発症が注目されています。
女性ホルモンは、一般的に脳の視床下部から脳下垂体を通じて卵巣で分泌されることが知られています。
視床下部には、女性ホルモンの分泌のほかに自律神経をコントロールする役割も有しています。
更年期には、女性ホルモンが激減してホルモンバランスの不調を来して視床下部に影響を及ぼすことによって自律神経が乱れることも疑われています。
更年期障害では女性ホルモンの分泌がそれまでと比べて減少するため、自律神経の乱れに容易につながる結果、顔面のほてりや頭痛などの不調症状を自覚することも経験されます。
自律神経失調症の治し方
自律神経失調症と診断された場合の治療方法について解説していきます。
簡単に列挙すると、薬物療法、生活習慣改善、ストレス発散、行動認知療法、カウンセリングなどの対処策が考えられており、その中でも特に日々のストレスのコントロール、そして規則的な睡眠と食事を含めた生活習慣の改善が非常に重要なポイントとなります。
ここでは、1つ1つ詳しく解説していきます。
ストレス解消
自律神経失調症は、日常生活における過剰なストレス刺激や生活習慣の不規則性によって引き起こされると考えられています。
これらを回避して改善することで自然と不調症状が軽快していくことが多いです。
自分なりにストレスを解消して生活習慣を整備していくことは、自律神経失調症における症状を改善するために重要な行動様式です。
従って、これらを優先的に改善するだけで様々な不快症状が緩和されることもあります。
自律神経失調症を抱えている場合は、ストレッチ、音楽療法、アロマセラピー、散歩や体操、入浴など日常的に気軽に取り入れることができるストレス解消法を実践することでストレスが緩和されることがあります。
- 少しでも自分がリラックスできる
- 楽しくて心地よいと感じることが出来る時間を意識的に設ける
- 自分特有の長続きしそうな趣味を持つ
などの方法で、ストレスをコントロールできることがありますし、積極的に交友関係を広げることも効果的とされています。
薬での対症療法
自律神経失調症に伴う自覚症状がひどい場合には、症状を改善したり、不安やストレスを軽減したりするために医学的な観点から有用な治療薬を活用することもあります。
自律神経失調症を効率的に治癒させるためには一定の専門的な知識が必要です。
自力や自己判断のみで治すのは難しい場合も存在するため、専門の医師に相談することが重要な観点となります。
例えば、不安な気持ちやうつ状態で悩んでいる場合には「抗うつ薬」、眠れなくて苦悩している方には「睡眠薬」などが処方されることも考えられます。
それ以外にも、ホルモン剤などによる対症療法や睡眠周期を整える睡眠療法などが挙げられます。
基礎疾患を有する場合には普段の服用薬の種類や合併疾患なども考慮しながら、自律神経失調症の治療を進めていくことも可能です。
栄養や食生活の見直し
自律神経失調症を改善するためには、常日頃から栄養バランスの取れた食事を毎日3食、規則的に決まった時間に摂取することが重要です。
自律神経を整えてくれる栄養素として、γ-アミノ酪酸(略称:GABA)が知られており、GABAには脳や神経をリラックスさせる効果があると言われています。
GABAは、本来人間の脳や神経組織にある神経伝達物質であり、身体の自律神経を整えるために必要不可欠な成分として知られています。
一日の推奨摂取量は成人でおおむね30~100mgと伝えらえています。
GABAが気軽に摂取できる一例として、「トマト」が挙げられ、中玉のトマト一個にはGABAが40~60mg含有されているため、一日に必要なGABAが十分に取り込めます。
また、GABA自体を摂取するのみならず、体内にもともと存在しているGABA成分を増加させることも重要です。
そのためにはたんぱく質などに含まれているビタミンB6を効率的に摂取することをお勧めします。
食材の代表例としては、にんにく、鮭やさんま、カツオなどの魚類、ササミなどにビタミンB6成分が豊富に含まれていると言われています。
また、ビタミンDは、感情状態や神経のバランスに関連するセロトニン成分をうまく調整する機能を有していることが判明しています。
従って、自律神経に関わるメンタル症状に一定の効果があると考えられています。
基本的に、ビタミンDは世界的にも我が国においても摂取不足傾向であると指摘されています。
自律神経だけではなくカルシウムや骨代謝に欠かせない栄養素であるため、常日頃から意識して摂取する必要があります。
ビタミンDを豊富に含む食品例としては下記が挙げられますので、日常の食生活に取り入れてみましょう。
- しいたけなどのキノコ類
- ししゃも
- しらす
生活習慣の見直し
普段の生活で睡眠不足や運動不足が継続すると、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながって心身共に不調症状を引き起こしやすくなることが知られています。
規則的な睡眠と食事をとるように心がけて、適度な運動習慣を持つことが重要であると言われています。
毎日の仕事量や飲酒量、カフェインの摂取量なども定期的に見直すことも必要です。
基本的な生活習慣が整っている状態であれば、ストレスに対しても柔軟に向き合うことができるようになると考えられています。
通常では、交感神経は活動する時により優位に働き、副交感神経は休息するときに働きます。
交感神経が優位となる日中はできるだけ活動をして、副交感神経が優位となる夕方以降はなるべく休息を確保するように認識しておきましょう。
それぞれの神経の役割に自然と応じた日常行動を行うことで、自律神経のバランスが整いやすくなると推奨されています。
また、睡眠時間に関しては1日あたり最低でも5~6時間以上は確保すると良好であると認識されています。
規則正しく朝食を取って毎日3食をある程度決まった時間に摂取することで自律神経の切り替えが順調に運ぶと考えられています。
自律訓練法やマインドフルネス
自律神経失調症に対しては、自律訓練法やマインドフルネスが有効な場合も決して少なくありません。
自律神経失調症と診断された場合に、広く普及している治療方法の一つに「行動認知療法」が知られています。
この治療法では、自律神経失調症を罹患している患者様の認知そのものに「歪み」が生じている際に実践されることが多いです。
例えば、以前にバスに乗っているときに自律神経失調症の症状を経験した場合には、「バスに乗ったから症状が出現した」と患者自身が思い込み、症状の原因を誤って認知する可能性があります。
こうした認知の歪みが原因となって自律神経失調症が発症している場合には、行動認知療法を施行することで患者本人に認知の歪みを修正して、正しく病気や治療内容を認識してもらうことによって症状が緩和されることを期待します。
◆パーキンソン病になりやすい人の特徴や症状とは?|原因から治療、社会サービスの解説
西春内科・在宅クリニックでできる治療
自律神経失調症は、我慢していれば治癒する病気ではありません。
自律神経失調症の診断を受けた際には、さらに症状が悪化しているというケースも見受けられます。
「自分は、もしかしたら自律神経失調症かもしれない」と悩んでおられる場合は、ぜひこの機会にクリニックや病院に相談してみましょう。
自律神経失調症の症状は多岐にわたり、パーキンソン病やうつ病など他疾患の症状とも類似していることも多いです。
そのため、自分自身では自律神経失調症と断定するのは難しく、クリニックの専門医の適切な診断のもとで確実に有効的な治療を実践することが重要です。
クリニックでは、経験に長けた専門医師や心理療法士、公認心理師などが自律神経失調症と診断された患者に対してカウンセリングを実施します。
これにより、心に抱えているストレスの解消を図ることも一定の効果があると信じられています。
カウンセリングは、自律神経失調症と診断された患者自身の性格や生活背景なども考慮して、約40種類の心理療法から適切な方法を選びます。
患者さんの体調管理、あるいは症状再発を防止するために治療を確実に進めて心のバランスを整えていくことを目標に設定します。
心配な症状がある場合には、当院またはお気軽に最寄りの心療内科や精神科などクリニックや診療所を受診して相談しましょう。
まとめ
自律神経失調症は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが破綻することによって引き起こされる症状の総称を意味しています。
自律神経は、交感神経と副交感神経という相互的な働きを有する二種類に分かれています。
交感神経は身体を活発に動かす時、副交感神経は身体を休める際に働いて互いにバランスを取りながら心身状態を調節していますが、このバランスが崩れると自律神経失調症が発症します。
基本的には、本疾患を発症した場合には、普段の生活習慣の改善やストレスを効率的に発散するなど自己管理する手段を上手く活用することが有用とされています。
そして、本疾患以外の病気の可能性や原因によって治療法が全く異なるために自力だけで治すことは難しいです。
自律神経失調症の疑いがある場合はまず当クリニックや病院を受診し、医師と相談しながら薬物療法などを含めた治療内容を計画していくことが重要です。
今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。
参考文献
2)健達ネット|自律神経を整える食べ物とは?栄養素や飲み物を解説!
監修医師: 甲斐沼 孟(かいぬま まさや)
プロフィール
平成19年に現大阪公立大学医学部医学科を卒業。初期臨床研修修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科勤務、平成26年より国家公務員共済組合連合会大手前病院で勤務、令和3年より同院救急科医長就任。どうぞよろしくお願い致します。
専門分野
救急全般(特に敗血症、播種性血管内凝固症候群、凝固線溶異常関連など)、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域
保有資格
日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医、日本救急医学会認定ICLSコースディレクター、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医など