腹痛と「吐き気」「冷や汗」「顔面蒼白」「下痢」が同時に見られる場合に考えられる原因とは?
お腹が痛くなり、トイレに駆け込んだら治ったという経験は誰しもあるでしょう。
放置していて自然に治るような腹痛は問題ありませんが、お腹の痛みの他に吐き気や汗や冷や汗、顔面蒼白などの症状がある場合は重大な病気が隠れており、中には緊急手術が必要なケースもありますのでお気を付けください。
このように「腹痛+α」の症状は、体のSOSを発している病気の重大なサインかもしれません。
今回はこのような「腹痛+α(吐き気・冷や汗など)」の症状についてや対処方法、主な病気について現役医師が詳しく解説していきます。
目次
腹痛+α(吐き気・冷や汗など)の家庭でできる対処法
対処法や治療法は原因や種類によって異なりますが、楽な体勢を見つけることがまずできる対処法です。
お腹をかばうように猫背になることも有効な可能性もあります。
また、お腹をカイロや湯たんぽなどで温めてあげることも有効かもしれません。
カイロや湯たんぽを使う際には低温やけどに気をつけましょう。
しかし、上記のような腹痛の対処法を試しても改善しない場合や腹痛の他に冷や汗や顔面蒼白などの症状がある場合は、何かしら治療介入が必要なケースもありますので、我慢し過ぎないことが重要です。
腹痛+α(吐き気・冷や汗など)で病院に行くべき症状
お腹を温めても痛みが改善せず、また楽な体勢が見つからず痛みが続くようであれば、病院受診を考えましょう。
すぐに病院に直行すべき症状【緊急性:高】
下記のような腹痛や腹痛に伴う症状を発症したときにはすぐに病院を受診しましょう。
- 突発的な腹痛
- 痛くなったり治まったりというような痛みに波がなく30分以上ずっと続くような痛み
- 痛みが時間経過とともに徐々に悪化しているとき
- お腹が腫れていたり硬くなっているとき
- 激しい痛みに続いて頻回の吐き気や嘔吐
- 冷や汗
- 顔面蒼白
- 高熱
- 意識状態が悪い
- 痛む場所が右下腹に移動してきたとき
- 便の色が赤かったり黒いとき
かかりつけ医などに電話相談すべき人や症状【緊急性:中】
乳幼児、高齢者、易感染者(*)l重篤な基礎疾患を有する方は重症化する可能性があるので早めにかかりつけ医に相談してください。
*感染防御機能のいずれかに障害があり、感染リスクの高い患者
また、糖尿病患者さんは食事が取れなくなると内服薬やインスリンの調整が必要になりますので、かかりつけ医に相談しましょう。
また、お腹の痛みが“いつもと違う”と感じたときも相談しても良いかもしれません。
様子を見るべき症状【緊急性:低い】
以前、経験したのと似たような痛み方(痛みの場所や痛みの性状、痛みの持続時間など)でその時も自然に治った場合は様子をみても良いでしょう。
しかし、それが頻回にある場合は一度医療機関で相談しても良いかもしれません。
また、お腹全体が痛く痛みの場所がはっきりと特定できない場合や自然と痛みが消えてしまうような場合も様子を見ても良いでしょう。
腹痛+α(吐き気・冷や汗など)で病院に行くなら何科に行くべき?
腹痛+αの症状でお困りの際の病院受診は内科や消化器内科、胃腸内科を受診しましょう。
夜間であれば救急外来を受診しましょう。
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※当クリニックが往診をいたします。
腹痛+αの考えられる主な原因や病気
腹痛の原因で多いものはウイルスによる腸炎です。
また暴飲暴食やストレスが原因のこともあります。
胃腸炎
胃腸炎とは胃や腸が何かしらの原因で炎症を起こしている状態のこと言います。
炎症が胃だけの場合は胃炎、腸だけの場合は腸炎、両方にある場合を胃腸炎といいます。
ウイルスや細菌、ストレスなどが原因となって起こることがあります。
胃炎、腸炎であれば多くの場合は自然治癒するものですので、症状がひどくなければ適切な水分補給のみで自宅療養しましょう。
その際は糖分、電解質をバランス良く含んだ常温の経口補水液やスポーツドリンクなどを吐かないように少量ずつ頻回にとることが大切です。
ただし、スポーツドリンクだけでは糖分が多すぎるので、そればかり飲まないようにしましょう。
しかし、胃腸炎で冷や汗や顔面蒼白を伴うことは少ないので、このような症状があれば病院受診を考えましょう。
暴飲暴食、ストレス、暴飲暴食で
- 刺激の強いものを取りすぎ
- 冷たいものを飲みすぎ
- アルコールやたばこの過剰摂取
により、胃酸の分泌が過剰になり胃が炎症を起こすことが腹痛の原因である可能性もあります。
また、ストレスにより自律神経が乱れると胃酸が過剰に分泌されて胃粘膜が傷つき腹痛を起こすことがあります。
関連記事:急性腸炎ってなに?ストレスが関係する?原因や症状について
食中毒
自分の免疫が落ちているときや胃や腸が荒れていたりする場合などに、通常では感染しないような弱い菌、雑菌が原因で起こるものを食あたりを言います。
一方、特定の細菌(黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなど)やそれが出す毒素が原因で起こるものを食中毒といいます。
食中毒の場合は原因菌、ウイルスがついた同じ食品を食べた場合、ほとんどの人が発症します。
食あたりも、食中毒も多くの場合は自然に改善することが多いです。
しかし、激しいお腹の痛みや熱がでたり、血便が出たとき、冷や汗や顔面蒼白になるような症状があるときは病院で治療が必要な可能性もあります。
関連記事:脱水症状になりやすい人の特徴|下痢や吐き気が起きる理由も解説
その他
上記に挙げたもの以外にも、
- 虚血性腸炎
- 虫垂炎
- 憩室炎(けいしつえん)
- 膵炎
- 腸管穿孔(ちょうかんせんこう)
- 腸閉塞
- 腹部大動脈瘤破裂
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎
- 胆嚢炎
- 尿管結石
- 過敏性腸症候群
など腹痛をきたす病気は数多くあります。
またその他に心筋梗塞や精巣捻転などお腹以外の異常が原因になることがあります。
ここに挙げた病名はどれも治療が必要な病気です。
冷や汗や顔面蒼白を伴う腹痛の場合はこのような病気の可能性もありますので、
- いつもと違う腹痛
- 一向に改善しない腹痛
- 増悪傾向にある腹痛
であれば病院を受診しましょう。
また女性は生理(月経)周期で起こる痛みの他に子宮や卵巣、妊娠に関連した腹痛の可能性もあります。
関連記事:急性腸炎ってなに?ストレスが関係する?原因や症状について
腹痛+α(吐き気・冷や汗など)の同時に起こりやすい症状
腹痛+αの症状として、
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- 便秘
- 血便
- 黒色便
- 不正性器出血
- 血尿
などが起こる可能性があります。
腹痛の原因がわかるヒントになる可能性もありますので、このような症状があれば必ずドクターに伝えましょう。
腹痛+α(吐き気・冷や汗など)で病院や家来るドクターでできる治療
ウイルスが原因であれば、抗生剤(抗菌薬)は効果はありません。
また、腸炎のウイルスに効果的な抗ウイルス薬もありません。
そして、細菌が原因の腸炎であっても必ずしも抗菌薬は必要ではありません。
多くの場合は自然に治癒することがほとんどですが、水分補給もできない状態であったり、痛みが強い場合は当クリニックや家来るドクター(夜間・休日救急往診)が点滴をおこなったり痛み止めを処方します。
さらに、当クリニックではオンライン診療も行っております。
お薬の処方はもちろん、必要であれば医療機関への紹介状も書いておりますので、お困りの事があれば一度ご相談ください。
まとめ
腹痛の原因は多岐に渡ります。多くの腹痛は自然に治りますが、吐き気や冷や汗が同時に来ると自然に軽快しない病気である可能性があります。
そのような症状があった際にはかかりつけ医や家来るドクターに相談してみましょう。
参考文献
・急性腹症診療ガイドライン 2015