インフルエンザ予防接種の副作用が出やすい人の特徴とは|大人は腫れがひどい?
例年11月〜12月にかけて流行するインフルエンザウイルス。
昨年2021年は、新型コロナウイルスの蔓延に伴い普及したマスク・手洗い・うがい・アルコール消毒・3密回避・行動制限等の感染対策が功を奏し、インフルエンザはほとんど確認されませんでした。
しかし、2022年度日本よりも先に冬が来るオーストラリアでは、インフルエンザが大流行しています。
北半球の日本においても、同様にインフルエンザの大流行が起きる可能性は高いでしょう。
そのため、今年のインフルエンザ予防接種は例年以上に励行されることになるだろうと推測されます。
そこで気になるのはインフルエンザ予防接種に伴う副反応だと思います。
今回は、インフルエンザ予防接種の副作用が出現した時の対処法やコロナワクチンとの違いに関して、詳しく述べたいと思います。
目次
インフルエンザ予防接種の副作用で起こる症状
インフルエンザ予防接種で起きうる副反応は、大きく分けて2つあります。
それは、軽い副反応と重篤な副反応です。
軽い副反応を引き起こす方がほとんどです。重篤な副反応は数十万分の1程の確率で起こります。
軽い副反応
●注射した部位の赤み・腫れ・痛み
接種した方の約10~20%に見られます。
●発熱・頭痛・倦怠感・熱や頭痛、全身のだるさ
接種した方の5~10%程度に見られます。
重篤な副反応
●アナフィラキシーショック
口の中の痒みやじんましん、めまいや立ちくらみ、腹痛や下痢、さらに息苦しさなどの症状が出ます。接種後、30分〜1時間以内に症状が出現します。症状が現れたら直ちに適切な処置を行う必要があります。
●ギラン・バレー症候群
手足のしびれや麻痺、筋力の低下などが見られます。接種後すぐに出ることもあれば数週間経ってから見られる場合もあります。
●急性散在性脳脊髄炎
脊髄や脳が炎症を起こしてしまう病気です。重い後遺症を残す場合があります。ワクチン接種から14日前後に発症することが多く、発熱、頭痛、嘔吐、意識障害やけいれんが見られます。
●肝機能障害・黄疸
肝臓が破壊され、肝臓の機能が低下することがあります。皮膚や白目が黄色っぽくなり、放置しておくと肝臓がんや肝硬変などを引き起こす場合があります。
インフルエンザ予防接種の副作用が治るまでの期間は?
軽度の副反応であれば2~3日程度で良くなることがほとんどです。
重篤な副反応であれば、重症度や改善度に比例して治癒までに時間がかかることになります(目安 数週間〜数年)。
インフルエン予防接種の副作用が出やすい人の特徴と確率は?
2024年2月現在、インフルエンザの副反応が出現する特徴や確率は発表されておりません。
関連記事:インフルエンザの予防接種はいつ行くべき?卵アレルギーの場合は?目安となる接種回数について
大人は腫れがひどい?
インフルエンザ予防接種に関して、大人だから明確に腫れがひどいといったようなエビデンスは示されていません。
また、インフルエンザ予防接種の副作用が出た場合でも、通常は2~3日で消失するとされています。
そのため、もしインフルエンザ予防接種を受けてから4日以上たっても腫れが引かない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
インフルエンザ予防接種の副作用が出たときの過ごし方
まず重篤な副反応でないかを確認することが重要です。
重篤な副反応
重篤な副作用が現れた場合、医療機関等で一刻も早く適切な処置を受ける必要があります。
以下の症状がある場合は、重篤な副作用が現れる前兆である可能性が高いです。これらを見落とさないよう、注意深く観察しましょう。
・言動がおかしい、意識が悪い、けいれん、口のもつれ、物忘れ
・手足が動かしにくい、歩きにくい
・息苦しさ、呼吸がしにくい、息切れ、胸が痛い、胸がドキドキする
・冷や汗、めまい、ふらつき、顔が青白い
・嘔吐、腹痛、下痢
・じんましん、体のかゆみ、喉が痒い、くちびるが腫れている、目の周りが腫れている
上記に当てはまらない場合は軽度の副反応の可能性が高いため、まず自宅で安静にお過ごし頂くことをお勧めします。
加えて以下の対応をお勧めします。
軽い副反応
注射した部位の赤み・腫れ・痛みかゆみがある場合は、冷たいタオルで冷やし、かかないようにしましょう。
シャワーで冷やすなども効果的です。
腫れや痛みや赤みが良くならない場合は、医師の診察を受けましょう。
発熱・頭痛・倦怠感がある場合は、解熱薬・鎮痛薬を内服すると良くなることがほとんどです。
お手元にお薬がなければ、氷枕や冷やしたタオルで頭や脇、鼠蹊部を冷やしましょう。
インフルエンザとコロナワクチンの副反応との違いは?
コロナワクチンも全体としてはインフルエンザ予防接種と同様の副反応です。
しかし、副反応の頻度としてはコロナワクチン接種と比べて低くなります。
ちなみに、日本で最初に接種が始まったファイザー製の新型コロナワクチンの場合、ワクチンを接種したおよそ99万7000人のうち、1回目の接種では、
▽接種部位の痛みを訴えた人が67.7%
▽疲労が28.6%
▽頭痛が25.6%
▽筋肉痛が17.2%
▽発熱が7.4%
▽関節の痛みが7.1%
▽悪寒と吐き気がそれぞれ7%
▽腫れが6.8%
と報告されました。(予防接種の実施に関するアメリカの諮問委員会による報告)
どうしてもインフルエンザ予防接種の副作用がつらいときにできる対処法
上記に記した対応で良くならなければ、お近くの医療機関を受診してください。
関連記事:【医師監修】解熱剤が効かない?解熱剤の種類と使うタイミング、効果や副作用について
西春内科・在宅クリニックができるインフルエンザ予防接種の副作用の対応
出現したインフルエンザワクチンの副反応に関する相談、副反応に対する治療は可能です。
皆様の不安に寄り添い、誠心誠意対応させて頂きます。
また、高度な検査や治療が必要と判断した際には、専門の病院へ紹介することも行います。
まずは、お気軽に当院へご相談ください。
まとめ
副反応は軽度なものから重篤なものまでありますが、大切なのはこれらを早期に発見することです。
気になることがあれば、直ちに医療機関へかかりましょう。
なお、一般的に重篤な副反応を来たすことは非常にまれ(数十万分の1)です。
気になることがあれば医師に相談をし、副作用について正しく理解した上で、予防接種を検討してください。
関連記事:子供がインフルエンザになった時の親の対応|風邪や似ている病気との違いについても解説
参考文献
●インフルエンザQ&A
●インフルエンザワクチン接種後副反応調査結果(中間報告)について