花粉による肌荒れはなぜ起きる?|原因やスキンケア対策を解説
公開日:2023.4.03 更新日:2024.10.10
花粉症の症状で困っているかたは多いのではないでしょうか。
くしゃみ、鼻水や目のかゆみなどが特に有名な症状ですが、花粉による肌荒れがあることもご存知ですか?
この症状の正式名称は花粉皮膚炎といいます。
毎年、花粉の多い時期の肌荒れやかゆみ、ブツブツなどが出ることで日常生活に支障が出てお困りの方へ。
今回は、花粉による肌荒れの原因とその症状、治療法、予防法に関して詳しく解説していきます。
目次
花粉による肌荒れの原因は?
花粉による肌荒れの原因は花粉が皮膚に直接接触することで起こります。
これは乾燥などで皮膚の保護機能が低下しているときに起こりやすい原因です。
また花粉に対するアレルギー反応が全身症状を引き起こすことで生じる皮膚症状もあります。
特にスギ花粉が花粉による肌荒れを引き起こしやすいとされています。
2月から4月の花粉の時期に繰り返し症状が強く出ることが多いです。
その他にイネ科とブタクサの花粉も肌荒れを起こすことがあります。
>>花粉症に悩む人たちへ:花粉症の原因と症状について
>>花粉で喉が痛い・咳が止まらない時の対処法|インフルエンザとの違いは?
花粉による肌荒れとニキビの違い
花粉による肌荒れもニキビもブツブツができることがあり、その2つはどのように区別するのでしょうか?
以下に花粉による肌荒れとニキビの特徴をお答えします。
花粉皮膚炎
- 特定の季節に限定し起こる、特に春先に症状が出ることが多い
- 頸部などの肌を露出している部位にできやすい
- 鼻水や目のかゆみなどの特徴的な花粉症の症状を合併する
ニキビ(尋常性ざ瘡)
- 皮脂分泌が活発になることで毛穴がつまって起こる炎症が原因
- 前額部(おでこ)、頬、口の周り、下あごなどにできることが多い
- 中学生から高校生の年齢にできやすく、その後は出来づらくなる
- 女性ではホルモンの影響で生理前にできやすくなる
- 季節を問わず出来るが夏に悪化することが多い
花粉による肌荒れが起きやすい人の特徴
花粉による肌荒れは個人差があり、症状が出やすい人がいます。
花粉による肌荒れが起こりやすい方に以下の特徴が挙げられます。
- アトピー性皮膚炎の既往歴がある、またはご家族にアトピー性皮膚炎の方がいる
- 花粉に対するアレルギーがあり、花粉症の症状が出ている
これらの特徴を持つ方は花粉が多い時期に肌荒れの症状が出現・悪化する可能性が高いため注意が必要です。
特にアトピー性皮膚炎の既往や家族歴がある方が強く症状が出ることがあります。
ただ比較的少数ではありますが、アトピー性皮膚炎の病歴がない方でも花粉による肌荒れが起こることがあります。
>>花粉症に悩む人たちへ:花粉症の原因と症状について
花粉による肌荒れが起きやすい部分
花粉による肌荒れは花粉が直接皮膚にくっつくことで起こります。
そのため、顔や首に肌荒れが出ることが多いです。
特に目の周りは皮膚が薄く肌の保護機能が弱いため、花粉による肌荒れが起きやすいです。
また花粉症による目のかゆみから目の周りをこすることも花粉による肌荒れを悪化させる要因になります。
肌荒れの症状として目の周りが赤くなり浮腫(むくみ、ふしゅ)を起こすことが特徴です。
花粉による肌荒れを少しでも早く治す方法
上で述べた通り、花粉が直接肌に触れることで花粉による肌荒れが起こります。
そのため原因となる花粉の接触を減らすことが症状の改善と予防に有用です。
具体的には以下の対策があります。
外出時にできる対策
花粉に肌が直接触れないように外出時にマスクやメガネで顔を保護します。
またはマフラーや帽子の着用も花粉への接触を減らす効果があります。
ご自宅でできる対策
帰宅した直後に花粉のついた衣服を着替え、シャワーを浴びることでご自宅へ花粉を持ちこむことを防ぎます。
また、晴天時や強風時には花粉の飛散量が多いです。
それらの天候の場合は外出を控えることも予防と症状の改善に有効です。
空気洗浄機は部屋に飛び散る花粉を抑える効果があります。
ヨーグルトなどの発酵性乳製品が腸内細菌のバランスを整えることで、花粉症による全身のアレルギー症状を抑えることが報告されています。
加えて過労や睡眠不足も症状の増悪を引き起こすため、十分な睡眠を含めた休息も有効です。
>>花粉症に効く舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)って?費用・期間・効果は?
花粉による肌荒れを防ぐためのスキンケア対策
花粉による肌荒れに対してご自身でできるスキンケアとして以下の注意点があります。
まず肌荒れがあるからといって過度に皮膚を洗浄することは逆効果です。
これは過度な洗浄によって皮膚上層の角層バリア機能が傷害されることで、花粉に対するバリア機能が低下することによります。
同様に以下なども角層バリア機能を低下させる原因になるため、花粉の時期には特に注意してください。
- 過度な化粧
- 化粧落とし
- シャンプー
- リンス
花粉の接触を減らしバリア機能を維持するためには、ワセリンによるスキンケアが花粉による肌荒れに最も効果的です。
ワセリンにより皮膚に直接接触する花粉をブロックします。
さらに皮膚の乾燥を抑えることで角質バリア機能の向上をもたらします。
ただしワセリンは大量に塗布するとベタつくため、少量のワセリンを薄く伸ばして使用することがおすすめです。
外出した際はワセリンの表面についた花粉を落とすために、シャワーで洗い流すことも効果的です。
花粉による肌荒れは強いかゆみを起こすことがあります。
かきむしることで角質バリア機能の低下を起こすので、かきむしらないことも必要です。
病院やクリニックでの処方について
上述の予防法やスキンケアを行っても花粉による肌荒れの症状がひどい場合があります。
その際には、病院またはクリニックにて処方されるお薬での治療をおすすめいたします。
処方される治療薬は塗り薬と内服薬に分かれ、以下で解説しています。
塗り薬
塗り薬は外用ステロイド剤であり、部位にあった強さのステロイドを使い分けます。
具体的には以下の通りです。
皮膚が厚い体幹や手足→強めのステロイド
皮膚の薄い顔面→弱めのステロイド
また皮膚炎の症状が強い場合はタクロリムス(商品名:プロトピック)という免疫機能を調整する塗り薬を使うこともあります。
具体的には以下の通りです。
皮膚が厚い体幹や手足→強めのステロイド
皮膚の薄い顔面→弱めのステロイド
また皮膚炎の症状が強い場合はタクロリムス(商品名:プロトピック)という免疫機能を調整する塗り薬を使うこともあります。
内服薬
内服薬は花粉症そのものの治療のために抗ヒスタミン薬の内服を行います。
抗ヒスタミン薬により花粉による肌荒れのみでなく、鼻水やくしゃみなどといった花粉症の症状も抑えることが可能です。
肌荒れによるかゆみを抑えることも症状の改善に有効です。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックでは、花粉による肌荒れの治療のための塗り薬や内服薬の処方を行っています。
花粉による肌荒れの治療はステロイド治療が有用になってきます。
適切なステロイド治療を行うことで、副作用などを起こさないように治療を行うことが可能です。
肌荒れの症状でお悩みなら、ぜひお気軽にご相談ください。
当院では花粉症やアレルギーの治療として舌下免疫療法も行っております。
・舌下免疫療法に関する内容はこちら
まとめ
今回は、花粉による肌荒れの原因とその症状、治療法、予防法に関して解説しました。
毎年繰り返す花粉症の症状でお困りの方は多いと思います。
この記事が少しでも役立てば幸いです。
少しでも花粉による肌荒れで悩んでいる、困っているようでしたら一度西春内科在宅クリニックへ受診してみてはいかがでしょうか?
お気軽にご相談ください。
【参考文献】
・加藤雪彦「花粉皮膚炎」
・横関博雄「スギ花粉症は全身疾患に-スギ花粉皮膚炎の特徴と治療」
・横関博雄「スギ花粉症と皮膚炎(スギ花粉抗原による空気伝搬性接触皮膚炎)」
・佐伯秀久「スギ花粉症の皮膚症状への対策」
この記事の監修医師
監修医師: 整形外科医 三浦 隆徳
専門領域
股・膝関節資格・業績
日本整形外科学会整形外科専門医医学博士
2017年 第66回東日本整形災害外科学会 学術奨励賞受賞
2019年 第68回東日本整形災害外科学会 学術奨励賞受賞