パーキンソン病になりやすい人の特徴とは|職業が関係ある?

公開日:2022.9.21 更新日:2024.2.26

パーキンソン病 

  • 身体を安静にしているときに起こる震え(安静時振戦)
  • 歩行や起立を含め、あらゆる動作が遅くなり、時間がかかる(動作緩慢)

などの症状が現れたことはありませんか?

これらは神経変性疾患であるパーキンソン病の代表的な症状です。

高齢者での発症が多く、発症初期は症状が軽微なこともあり、加齢によるものと判断して病院に受診しないことも少なくありません。

しかし、パーキンソン病が進行すると、歩きにくくなったり、転びやすくなったりするなど日常生活に大きな支障が出るようになります。

パーキンソン病は、リハビリテーションや薬物療法で症状がある程度改善することが多く、また指定難病の一つであり症状の程度によっては医療費助成制度の対象にもなります。

ここでは、どのような症状でパーキンソン病を疑うのか、パーキンソン病はどのような経過を辿るのかなどについて詳しくご紹介いたします。




パーキンソン病とは

 


パーキンソン病
1000人~550人に1人の割合で発症する疾患です。

中脳の一部である黒質のドパミン神経細胞(神経伝達物質としてドーパミンを放出する神経細胞)が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。

発症の原因は不明ですが、遺伝因子や環境因子の関与が重要とされており、10%弱は家族性であると推察されています。

また年齢とともに発症率が高くなり、高齢者人口の増加に従って患者数は増加しています。

症状は、

  • 安静時振戦(安静時には手が震えるが、コップを持つなど何か動作をするときには一時的に震えが止まる)
  • 動作緩慢(動作の開始や停止がしづらくなって、動作が遅くなったり、とっさの動作ができなくなったりする)
  • 自律神経症状(便秘や起立時などでの血圧低下)

などが代表的です。

その他にも嗅覚が落ちたり、寝相が悪くなったり、転びやすくなったりと様々な症状が出現します。

根治的な治療法はなく、経年的に症状が進行する病気で指定難病の一つになっています。

一方で症状を改善する薬に関してはたくさんの種類があります。

非薬物療法薬物療法の併用により発症初期には普通の人と変わらない生活ができることも多いです。

薬物療法の他にも、

  • 脳深部刺激療法(脳深部刺激療法とは、何らかの病変により、脳の一部が機能不全を起こしている患者の脳に適切な電気的または磁気的刺激を継続的に送りこむこと
  • レボドパカルビドパ経腸療法(パーキンソン病患者さんに対して、2016年より保険適応となった新しい療法)

などのデバイス治療という選択肢もあり、医療の発達に伴って治療の選択肢は複雑化しています。

それぞれの治療に利点、欠点があるため、疾患についてよく理解して治療を受けることが大切です。

 

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パーキンソン病の症状

 


パーキンソン病の症状には非運動症状と運動症状があります。

非運動症状のような症状が代表的です。

非運動症状

・便秘

・起立性低血圧(急にべ立ち上がったり、起き上がった時に血圧が低下し、軽い意識障害、いわゆる立ちくらみを起こすこと)などの自律神経障害

・睡眠障害

・幻視(他人には見えないものが見えるという症状)

・認知機能低下

・意欲低下

・うつ症状

 
パーキンソン病の代表的な運動症状は、安静時振戦、動作緩慢・無動、固縮、姿勢反射障害です。

多くは左右差があります。

それらの症状はパーキンソニズムと呼称されます。

では、パーキンソン病に特徴的なパーキンソニズムについて詳しく見ていきましょう。

 

【安静時振戦】


安静時にみられる4-5Hzのゆっくりとした振戦で、物をとる、コップを持つなどの動作を行っている時、手を前に出すなどの何かしらの姿勢をとっている時には振戦が止まることが多いです。

発症の比較的初期から症状が出現することが多く、左右差を伴うことが多いです。

動作緩慢・無動(動作が遅くなる、自発的な動作が乏しくなる症状)で、動作の開始に時間がかかるようになります。

動作緩慢・無動

・動きが小さくなったり遅くなったりする

・声が小さくなる

・字が小さくなる(小字症)

・細かい動作ができなくなる

・表情が乏しくなる(仮面様顔貌)

 
歩行にも大きな影響があり、以下の特徴的な歩行障害が出現します。

歩行への影響

・手の振りが小さくなる

・歩行が小刻みになる(小刻み歩行)

 

【固縮】


受動的に筋肉を進展した時に無意識に抵抗してしまう症状で、
力を抜いているつもりでも他動的に関節を進展・屈曲させようとした際に抵抗してしまいます。

受動的に筋肉を進展する際に抵抗が強くなったり弱くなったりすること(歯車現象)が特徴です。

しかし、持続的に抵抗がある場合もあります(鉛管様固縮)。

関節の疾患との鑑別方法は、以下の通りです。

  • 自発的に、もしくはゆっくりとであれば他動的に関節を進展・屈曲することができること
  • 進展時に痛みなどの症状を伴わないこと

 

【姿勢反射障害】


症状の進行とともに出現する症状です。

姿勢が崩れても姿勢を立て直すことが困難となり、時に倒れてしまう症状です。

突然引っ張られる、肩がぶつかるなど突然姿勢が崩れた時にはそのまま転んでしまう。

通常では1~2歩で姿勢を立て直せるところが、それができずに倒れそうになった方向に走り出してしまう(突進現象)という症状が出現します。

 

 パーキンソン病の初期症状


パーキンソン病の初期症状は、以下の通りです。

初期症状

・動作緩慢(日常動作がゆっくりとなること)

・巧緻運動障害(細かい動作が困難になること)

・嗅覚障害、REM睡眠行動異常(寝言を言ったり、寝相が悪くなったりすること)

・便秘

 
パーキンソン病が悪化すると、以下のような症状が現れます。

  • 次第に安静時振戦が出現する
  • 歩行時に手の振りが小さくなる
  • 歩行が小刻みになったり前傾姿勢になる

 これらの症状がある場合には、脳神経内科に受診して、検査を受けるようにしてください

 

 パーキンソン病の末期症状

 
パーキンソン病の末期症状は、歩行が困難となったり、嚥下障害となり誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったり日常生活が困難となります。

パーキンソン病が進行すると、薬の効果が不安定になったり(1日の中で薬の効果が不十分な時間と効果が強すぎて副作用が出る時間が混在する)します。

また、運動に関わる症状の他に認知機能の低下や幻視(視覚に関連した幻覚)、意欲低下などの非運動症状も出現、悪化することで、十分な薬物療法が困難となり、パーキンソニズムがより顕在化します。

また、歩行が困難となったり、嚥下障害が出現して誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったりと日常生活が困難になることもあります。

 

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パーキンソン病の原因


パーキンソン病の原因について現段階で詳しくは分かっていません。

パーキンソン病の多くは孤発性(家族には遺伝しない)に発症します。

しかし、5~10%程度で家族内発症があり、遺伝的素因と環境因子の双方の関与が重要であることが知られています。

パーキンソン病は中脳の一部である黒質の*1ドパミン神経細胞が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。

参考>

*1 脳の中の黒質と呼ばれる場所にたくさんあるドパミンを作る神経細胞。ドパミンは、ドパミン神経細胞の中で作られて軸索の先端から細胞の外へと放出され、別の神経細胞に受け取られます。それにより、神経の信号が次の神経へと伝えられます。


病理学的な評価では障害された神経細胞で*1
αシヌクレインという蛋白質を主成分とする*2Lewy小体がみられることから、ドパミン神経細胞の障害にαシヌクレインの凝集や蓄積が関与していると考えられています。

<参考>

【*1αシヌクレインとは】 主に成熟神経細胞のシナプス終末(神経細胞から突出した軸索の末端部分が袋状にふくらんだ部分で、別の神経細胞や器官に刺激を伝えるためのシナプスを形成する片側となる部分)に局在するリン酸化タンパク質で、シナプス機能の調整や可塑性に関与する。

【*2Lewy小体とは】中脳のドーパミン神経が変性脱落した部分を顕微鏡で調べると神経細胞の中に特殊な構造物(封入体)が見える。この構造物をレビー小体と呼ぶ。

 
パーキンソン病の原因に関しては様々な研究がなされています。

最近では*1迷走神経背側核などからシナプスに沿ってαシヌクレインが黒質に伝播することが要因の一つであるという仮説が有力です。

嗅神経または消化管が何かしらの刺激を受けることがパーキンソン病の発症に関与しているという二重ヒット仮説が有力となっています。

<参考>

【*1迷走神経背側核とは 】迷走神経性の分泌運動中枢。迷走神経背側運動核の細胞はコリンアセチルトランスフェラーゼChATに強く免疫陽性を示す。この核を破壊すると、インスリンによって誘発される胃液分泌が大きく減弱する



 パーキンソン病と食べ物との関係


様々な研究がされてはおりますが、現時点での食べ物とパーキンソン病の因果関係は証明されていません。

しかし、MIND食(アルツハイマー型認知症を予防する食事)や地中海食(魚や野菜、フルーツをメインに、オリーブオイルやナッツ類、赤ワインを取り入れた食事)を厳密に摂取することでパーキンソン病の発症を遅らせることができたとの報告はあります。

パーキンソン病食べ物

  • 抗酸化作用がある緑黄色野菜やオリーブオイル。
  • オメガ3脂肪酸(血圧を下げる)をたくさん含む魚やナッツ
  • 食物繊維が豊富な全粒穀物など


さらに、以下のことが疫学や様々な研究からわかっており、消化管からの刺激がパーキンソン病に関連しているという仮説が有力視されています。

  • 消化管に慢性炎症がある人はパーキンソン病の発症率が高い
  • 消化管の迷走神経(感覚神経・運動神経の一つ)を切除した人ではパーキンソン病の発症者がいない

また、腸内細菌叢(腸内に棲んでいる細菌)とパーキンソン病の関連の研究など、消化管とパーキンソン病との関連については現在も様々な研究がなされています。

他にも、乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取がパーキンソン病の発症に関与するとの報告があり、飽和脂肪酸(一般に固形で乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる)を避け、バランスの良い食事を行うことは健康の維持に寄与すると思われます。

 

パーキンソン病とストレスの関係

 

パーキンソン病とストレスとの関係は証明されていません。

 

2型糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームがパーキンソン病の危険因子であり、ストレスはメタボリックシンドロームなどのリスクになることから間接的な関与がある可能性はありますが、ストレスとパーキンソン病の発症との間に直接的な関係はないと思われます。 

 

パーキンソン病と姿勢との関係


パーキンソン病の発症には姿勢は関係がないと考えられます。

パーキンソン病を発症すると前傾姿勢となり、首が下がってしまったり、腰が曲がってしまいます。

しかし、姿勢が原因でパーキンソン病を発症するという報告はありません。

 

 パーキンソン病と遺伝の関係

 
パーキンソン病患者の5~10%に家族歴があるとされており、原因となる遺伝子変異も多数知られています。

遺伝子変異ごとに発症年齢や症状、遺伝形式などに多少の違いはありますが、本質的には孤発性のパーキンソン病と臨床経過に大きな違いはありません。

 

 パーキンソン病になりやすい人の特徴

 
以下に当てはまる人はパーキンソン病になりやすいといわれています。

パーキンソン病になりやすい人

・農業をしている人や農薬への暴露がある人

・井戸水を利用する人

・田舎に住む人

・銅、マンガン、鉛などの放出がある工業地域に住む人

・大気汚染のある地域で生活している人

・活性化ビタミンDが少ない人

・メタボリックシンドロームのある人

・潰瘍性大腸炎など消化管の慢性炎症がある人

 

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パーキンソン病になりやすい職業がある?


特定の職業の人がパーキンソン病になりやすいといった研究データはありません。しかし、非社交的な性格の人は脳への刺激が少なくドーパミンが分泌される機会が少ないため、パーキンソン病への罹患リスクが高いといわれています。

このことから、非社交的な性格の人が人と関わらず、単調な作業が多い仕事を長年続けた場合、将来的にパーキンソン病にかかる確率は他の人に比べて高いといえるでしょう。

パーキンソン病の検査方法


パーキンソン病の診断には
問診や身体診察などが重要であり、下記症状が露呈した場合にすみやかに診断を受けるべきです。

問診・身体診察が必要な症状

・便秘や嗅覚障害

・レム睡眠行動異常(入眠中に声が出たり、体が動いたりしてしまう症状)の有無

・動作緩慢や安静時振戦などのパーキンソニズムの有無

 
また、パーキンソンが疑われた場合には、以下の検査を行います。

  • 心電図(CVR-R)
  • 頭部CT
  • 頭部MRI
  • 各医学検査(ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)
  • 123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー)

また、自律神経や認知機能低下、精神症状など随伴する症状がある場合には、その症状に応じた検査を行います。

(例:起立性低血圧ではHead up tilt試験や起立試験、排尿障害では尿流測定、認知機能低下では改訂長谷川式認知機能評価スケールなどの認知機能評価、幻視ではパレイドリアテストなど)

 

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<参考>

【ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)】とは

脳内の黒質から線条体に向かう神経経路(ドパミン神経)に存在するドパミントランスポータを画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査 

―を画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査

【123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー】とは

   MIBGは、ノルエピネフリンと(ノルアドレナリンとも呼ばれる)とよく似た物質です。ノルエピネフリンは交感神経終末から放出される神経伝達物質です。副腎皮質からもホルモンとして血中に分泌されます。これはエピネフリンと共に、交感神経系を動かし、心拍を増加させ、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の反応を増強する、すなわち闘争本能あるいは逃避反応を制御する物質

 

 

パーキンソン病の治療について

 


パーキンソン病の進行を抑える治療は確立されていません。

しかし、薬物療法による反応性は比較的よい疾患であり、診断後は早期から薬物療法を行います。

治療薬には以下のように多くの薬剤があり、それぞれの薬剤の特徴や薬価など考慮し、運動症状や非運動症状の程度に応じて使い分けます。

パーキンソン病の治療薬

・L-dopa製剤

レボドパは脳内に移行しドパミンへ変化して脳内のドパミンを増やす

・ドパミンアゴニスト

ドパミンに似た作用を持つ物質

・COMT阻害薬

レボドパを分解してしまうCOMTという酵素を阻害し、レボドパの脳内への移行を高める作用がある

・MAO-B阻害薬

ドパミンやセロトニンの分解酵素であるMAOBの働きを阻害することによって、脳内のドパミン濃度を高めるという報告がある

・抗コリン薬

胃や腸などの痙攣・痛みなど副交感神経を活発にするアセチルコリンの働きを抑える作用がある)

・グルタミン酸受容体遮断薬

アルツハイマー病による神経細胞障害や記憶・学習能力の障害などを抑える薬

・ドパミン賦活剤

てんかんの治療薬として用いられていた薬剤。ドパミン量と放出増加する薬

・アデノシンA2a受容体拮抗薬

脳内のアデノシンA2a受容体を阻害しアデノシンの働きを抑え、運動機能の低下を引き起こすGABAの分泌を抑えることで、運動機能などの改善作用を現す

・ノルアドレナリン前駆体

脳内でドパ脱炭酸酵素によりノルアドレナリンに変換され、不足分を補う


発症初期にはL-dopa製剤を使用することが多いですが、65歳未満の方ではジスキネジア(体が勝手に動いてしまう症状)が出やすいため、精神症状や認知機能低下がなければドパミンアゴニストやMAO-B阻害薬なども使用
します。

また、パーキンソン病の症状の一部である自律神経障害(便秘や排尿障害、起立性低血圧など)に対しても生活指導薬物治療を行います。

疾患に対する理解を深めることリハビリテーションを受けることも有用であり、生活支援やカウンセリング、リハビリテーションを薬物治療と並行して行います。

症状の進行に合わせて薬物治療を強化していきますが、薬物治療のみでは治療が困難となった場合には、デバイス治療を検討します。

デバイス治療

・脳深部刺激療法

DBS:手術に伴う副作用が少なく、両側に行うことができ、刺激の調節が可能という利点がある)

・レボドパカルビドパ経腸療法
LCIG:胃からチューブを挿入し、チューブ先端をレゴドパが吸収される小腸上部に固定する。ポンプからチューブを使ってゼリー状のレボドパを注入する)

 

 

 パーキンソン病のリハビリについて

 

パーキンソン病はその進行度によって症状や障害の程度が大きく変化する疾患です。

症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、活動意欲が低下したりとリハビリテーションの弊害となる症状も出現するため、その内容も各個人の症状に合わせて考える必要があります。

例えば、自立歩行が可能で症状が軽微な場合には健常人が行う運動に近いリハビリテーション(筋力訓練やエアロビック訓練、ホームエクササイズなど)が有効ですが、症状の進行に合わせて歩行訓練やバランス訓練などに切り替えていくことが必要となります。

また、最近では太極拳や音楽療法、ダンス、ビデオゲームなどを用いたエクササイズなど様々な方法のリハビリテーションで有効性が報告されています。

よって、本人が意欲的に続けられる方法でのリハビリテーションを継続的に行うことが重要であると思われます。

 

 

パーキンソン病で受けられる社会サービスについて

 

パーキンソン病は現時点では完治させることができない難病です。

また、経時的に症状が進行し、医療費も高額となる病気です。

症状の進行に伴って日常生活の支障が大きくなるので、日常生活をできるだけ維持するために利用可能な様々な社会サービスがあります。

以下に代表的なものをご紹介いたします。

パーキンソン病の社会的サービス
  • 難病医療費助成

パーキンソン病は指定難病の一つであり、医療費や重症度が一定以上であればパーキンソン病の治療に関わる医療費に関して助成を受けることができます。医療費で算定されるリハビリテーションの費用なども助成の対象となります。

 

  • 医療保険制度/後期高齢者医療制度/高額療養費制度

被保険者が対象となる制度であり、医療費の自己負担額が75歳未満で3割75歳以上で1割となる制度です。また自己負担が一定以上であれば、高額療養費制度により特定の金額以上の自己負担金の助成をうけることができます。

 

  • 介護保険制度

パーキンソン病は介護保険制度特定疾患の一つであり、40歳以上であれば介護保険制度を利用することができます。介護認定を受けることで介護度に応じたサービスを安価で利用することができます。

 

  • 身体障害者福祉法

薬物治療を受けていても重度の運動障害が残存する場合には障害者認定を受けることができる場合があります。現在は医療の発達により障害者認定を受ける必要はほとんどなくなりましたが、症状が重度の場合にはご検討ください。

 

  • 障害者総合支援法

介護保険制度対象外(40歳未満)の方や介護保険制度では支援が不十分な場合に利用する制度です。サービスを利用することで介護や自立支援、補助具などにかかわる費用の一部の助成を受けることができます。

 
利用可能なサービスは県や市ごとでも異なりますので、利用可能なサービスを確認する際にはお住いの地域の役所にご確認ください。

パーキンソン病の予防について


パーキンソン病は原因が解明されていない病気であり、
予防の方法もわかっておりません。

2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病や乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取などによる発症率が高くなるとされています。

一方で、MIND食や地中海食を厳密に守った人では発症が遅くなったとの報告があり、飽和脂肪酸を避けて不飽和脂肪酸や抗酸化物質などを多くとる食事は予防に有用である可能性があります。

また、工場地帯や大気汚染ある地域での発症率が上がるなどの報告もあり、そのような地域での生活を避けることが予防となる可能性があります。

 

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すぐに病院で検査するべきパーキンソン病の症状

 

パーキンソン病
緩徐進行性(ゆっくりと病気が進行すること)の病気です。

従って、医療機関へ急いで受診することは基本的には不要です。

上記の「パーキンソン病の症状」に該当する症状がみられた場合には、脳神経内科の外来を受診してください。

ただし、症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、嚥下障害が出現したりします。

そのため、骨折や誤嚥性肺炎などの合併症の発症リスクが高い場合には早期に受診するようにしてください。

 

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クリニックでできるパーキンソン病の治療

 
パーキンソン病の診断は脳神経内科のある総合病院で行う必要があります。

しかし、クリニックでは受診された患者様の症状を確認し、総合病院へ受診すべきかどうかの判断や総合病院への紹介を行うことができます。

また、すでにパーキンソン病と診断されている患者様の処方の継続や介護保険制度を利用するための主治医意見書の作成などを行うことができます。


まとめ

 
パーキンソン病根治が困難な難病ではあり、症状の進行に伴って日常生活が困難となり、社会的な支援が必要となる病気です。

一方で医療の発達により運動症状は薬剤治療でかなり抑えることができるようになってきています。

また、生活を支援するための社会サービスも充実しています。

薬物治療により症状を抑え込むことで、発症早期は健常人と変わらない生活も可能となる病気です。

  • 安静時に手が震える
  • 動作が緩慢
  • 歩行時に足が出しにくい
  • 方向転換がしにくい

などの症状が気になった場合には当院に受診して相談してみてください。

 

参考文献

パーキンソン病診療ガイドライン2018

神経内科ハンドブック第5版

難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

パーキンソン病と腸内細菌:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnd/27/1/27_80/_pdf

パーキンソン病と腸内細菌https://www.boehringer-ingelheim.jp/sites/jp/files/documents/patient_doc/parkinson_0.pdf

この記事の監修医師

監修医師: 福井 康大