RSウイルスとは|大人と小児の症状の違いや潜伏期間を解説
RSウイルスとはRSウイルス感染症という呼吸器疾患を引き起こすウイルスです。
RSウイルス感染症は、2歳までにはほとんどのお子様が少なくとも一度はかかる感染症です。
今回はそんなRSウイルス感染症について、どういった症状がでるのかや潜伏期間、治療法などを解説します。
目次
RSウイルスとは?
RSウイルスは、特に乳幼児や高齢者に重篤な呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。
RSウイルス感染症は9月頃から初春まで流行しますが、最近は夏頃から流行が始まる傾向があります。
風邪のような軽い症状から、気管支炎や肺炎といった深刻な状態に至ることもあります。
感染力が高く、飛沫感染や接触感染により人から人へ広がりやすいのが特徴です。
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RSウイルスの基本的な症状
RSウイルス感染症は基本的に風邪のような症状が現れます。
具体的には以下などの症状が挙げられます。
- 鼻水・鼻詰まり
- 咳
- 発熱
- 喉の痛み
- 耳痛(中耳炎を併発する場合)
- 食欲不振
しかし、一部のケースでは、より深刻な症状が現れることがあり、特に以下の症状には注意が必要です。
- 息を吐く際「ヒューヒュー、ゼーゼー」という音がする(ぜん鳴)
- 胸がへこむような呼吸(陥没呼吸)
- 呼吸が早く、呼吸の回数が増えている(子供であれば1分間に30回以上が早い呼吸)
- 顔色や唇の色が悪い(血液中の酸素が足りていない)
こうした症状が見られる場合、RSウイルスによる感染が肺炎や気管支炎、細気管支炎といった重篤な状態に進行している可能性があります。
この場合は、酸素投与や点滴治療が必要となり、入院が求められることも少なくありません。
早期の適切な対処が重要です。
小児のRSウイルスは重症化しやすい?
お子様の年齢や基礎疾患の有無によって重症化のリスクは変わってきます。
一般的には、1歳以上であれば多くの場合は重症化のリスクは低減します。
2歳以上であれば鼻風邪で終わることがほとんどです。
しかし、以下のようなお子様の場合、重症化のリスクが高まるため注意が必要です。
- 1歳未満、特に6か月未満の赤ちゃん
- 早産、低出生体重の赤ちゃん
- 心臓や肺に基礎疾患がある
- 免疫不全症、ダウン症
これらのケースでは、RSウイルスによる感染が肺炎や気管支炎などの重篤な呼吸器疾患に進行するリスクが高いと言えます。
早めに医療機関で相談し、必要に応じて入院治療を検討することが推奨されます。
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大人のRSウイルスは軽症で済む?長引く?
RSウイルスは一般的に成人にとって軽い症状で済むことが多く、風邪のような症状が1週間程度で改善する場合がほとんどです。
しかし、以下の条件に該当する方は、重症化しやすく、症状が長引く可能性があります。
- 65歳以上の高齢者
- 長期間たばこを吸っている方(慢性閉塞性肺疾患の方)
- 糖尿病の方
- 初めてRSウイルスにかかった方
以上の項目に当てはまる方はRSウイルス感染が肺炎などの重篤な合併症を引き起こしやすく、場合によってはインフルエンザによる肺炎よりも長引くことがあります。
感染後の症状が1週間を超えて続く場合や悪化する場合には、早めに医療機関を受診することが推奨されます。
RSウイルスの治りかけの症状とは?
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RSウイルスの潜伏期間は?
RSウイルスの潜伏期間は、感染してからおよそ4~6日間とされています。
この間に体内でウイルスが増殖し、潜伏期間を経てから咳や鼻水、発熱といった症状が現れます。
RSウイルスは感染力が非常に強く、飛沫感染や接触感染によって広がるため、家庭内や集団生活の場での注意が必要です。
感染予防には、マスクの着用や手洗い、うがいが有効とされています。
また、接触した物や手を清潔に保つことで感染リスクを抑えることができます。
RSウイルスの治療
RSウイルス感染症には特効薬(有効な抗ウイルス薬)はありません。
そのため、対処療法が主な治療法となります。
- 咳止め・去痰剤・解熱鎮痛剤を使い症状を緩和させる
- 痰を出しやすい体位を取らせたり、吸入などをしながら症状改善に努めていく
自分の免疫力で回復できるようにサポートするものです。
ですが、心疾患・肺疾患などの症状のある幼児が感染すると、重篤化する可能性が高まります。
重症化する可能性がある場合、追加治療として、パリビズマブ薬(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)にて様子を見ていきます。
この薬は、感染予防にはなりませんが、重症化リスクのある幼児に対して症状の進行を抑えるために用いられるものです。
感染中は幼児の症状を適時確認し、症状が改善しないとき・悪化してきているときは医療機関に相談・受診をしてください。
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RSウイルスで出勤停止になる?
RSウイルス感染においては、学校保健安全法に基づく出席停止や出勤停止の規定は特に設けられていません。
風邪と同様に、咳や発熱といった症状が収まり、本人が元気な状態であれば、園や学校、会社と相談の上で登園や出勤が可能です。
ただし、RSウイルスは感染力が強いため、症状が残っている場合は、他者への感染予防として引き続き休養することが望ましい場合もあります。
西春内科・在宅クリニックでできる対応
RSウイルスの治療は対症療法になるので、当院では症状に合わせてお薬を処方させていただきます。
発熱や咳がある場合は他の感染症、特にインフルエンザ感染症やコロナウイルス感染症にも共通する症状ですので、そちらの可能性を無くすためにインフルエンザ、コロナウイルスの検査を行う場合もあります。
また重症度に応じて点滴や入院が可能な病院へのご案内をさせていただく事もあります。
RSウイルスについてのまとめ
RSウイルスの多くは重症化のリスクが低く、ほとんど風邪と変わりません。
ですが1歳未満の赤ちゃんや基礎疾患のある方には危険性のあるウイルスです。
多くの方には危険性の低いRSウイルスですが、インフルエンザ感染症やコロナウイルス感染症の可能性もあります。
RSウイルス感染症かもしれないと思った際も、他の感染症の可能性を除外するために、医療機関を受診しましょう。
参考文献
RSウイルス感染症とは? | 知っておきたい!家庭の感染と予防 | サラヤ株式会社 家庭用製品情報
RSウイルス感染症にご注意ください!! | 国立成育医療研究センター
子供がRSウイルスに感染したら? | キャップスクリニック(医療法人社団ナイズ)
RSウイルス感染症Q&A(令和6年1月15日改訂)|厚生労働省
大人のRSウイルスの症状や検査、出勤停止期間について | ひまわり医院(内科・皮膚科)