パーキンソン病になりやすい人の特徴とは|職業が関係ある?

- 身体を安静にしているときに起こる震え(安静時振戦)
- 歩行や起立を含め、あらゆる動作が遅くなり、時間がかかる(動作緩慢)
などの症状が現れたことはありませんか?
これらは神経変性疾患であるパーキンソン病の代表的な症状です。
高齢者での発症が多く、発症初期は症状が軽微なこともあり、加齢によるものと判断して病院に受診しないことも少なくありません。
しかし、パーキンソン病が進行すると、歩きにくくなったり、転びやすくなったりするなど日常生活に大きな支障が出るようになります。
パーキンソン病は、リハビリテーションや薬物療法で症状がある程度改善することが多く、また指定難病の一つであり症状の程度によっては医療費助成制度の対象にもなります。
ここでは、どのような症状でパーキンソン病を疑うのか、パーキンソン病はどのような経過を辿るのかなどについて詳しくご紹介いたします。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は1000人~550人に1人の割合で発症する疾患です。
中脳の一部である黒質のドパミン神経細胞(神経伝達物質としてドーパミンを放出する神経細胞)が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。
発症の原因は不明ですが、遺伝因子や環境因子の関与が重要とされており、10%弱は家族性であると推察されています。
また年齢とともに発症率が高くなり、高齢者人口の増加に従って患者数は増加しています。
症状は、
- 安静時振戦(安静時には手が震えるが、コップを持つなど何か動作をするときには一時的に震えが止まる)
- 動作緩慢(動作の開始や停止がしづらくなって、動作が遅くなったり、とっさの動作ができなくなったりする)
- 自律神経症状(便秘や起立時などでの血圧低下)
などが代表的です。
その他にも嗅覚が落ちたり、寝相が悪くなったり、転びやすくなったりと様々な症状が出現します。
根治的な治療法はなく、経年的に症状が進行する病気で指定難病の一つになっています。
一方で症状を改善する薬に関してはたくさんの種類があります。
非薬物療法と薬物療法の併用により発症初期には普通の人と変わらない生活ができることも多いです。
薬物療法の他にも、
- 脳深部刺激療法(脳深部刺激療法とは、何らかの病変により、脳の一部が機能不全を起こしている患者の脳に適切な電気的または磁気的刺激を継続的に送りこむこと)
- レボドパカルビドパ経腸療法(パーキンソン病患者さんに対して、2016年より保険適応となった新しい療法)
などのデバイス治療という選択肢もあり、医療の発達に伴って治療の選択肢は複雑化しています。
それぞれの治療に利点、欠点があるため、疾患についてよく理解して治療を受けることが大切です。
関連記事:自律神経失調症とは?原因や症状、治療方法などについて解説
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状には非運動症状と運動症状があります。
非運動症状のような症状が代表的です。
・便秘
・起立性低血圧(急にべ立ち上がったり、起き上がった時に血圧が低下し、軽い意識障害、いわゆる立ちくらみを起こすこと)などの自律神経障害
・睡眠障害
・幻視(他人には見えないものが見えるという症状)
・認知機能低下
・意欲低下
・うつ症状
パーキンソン病の代表的な運動症状は、安静時振戦、動作緩慢・無動、固縮、姿勢反射障害です。
多くは左右差があります。
それらの症状はパーキンソニズムと呼称されます。
では、パーキンソン病に特徴的なパーキンソニズムについて詳しく見ていきましょう。
安静時振戦
安静時にみられる4-5Hzのゆっくりとした振戦で、物をとる、コップを持つなどの動作を行っている時、手を前に出すなどの何かしらの姿勢をとっている時には振戦が止まることが多いです。
発症の比較的初期から症状が出現することが多く、左右差を伴うことが多いです。
動作緩慢・無動(動作が遅くなる、自発的な動作が乏しくなる症状)で、動作の開始に時間がかかるようになります。
・動きが小さくなったり遅くなったりする
・声が小さくなる
・字が小さくなる(小字症)
・細かい動作ができなくなる
・表情が乏しくなる(仮面様顔貌)
歩行にも大きな影響があり、以下の特徴的な歩行障害が出現します。
・手の振りが小さくなる
・歩行が小刻みになる(小刻み歩行)
固縮
受動的に筋肉を進展した時に無意識に抵抗してしまう症状で、力を抜いているつもりでも他動的に関節を進展・屈曲させようとした際に抵抗してしまいます。
受動的に筋肉を進展する際に抵抗が強くなったり弱くなったりすること(歯車現象)が特徴です。
しかし、持続的に抵抗がある場合もあります(鉛管様固縮)。
関節の疾患との鑑別方法は、以下の通りです。
- 自発的に、もしくはゆっくりとであれば他動的に関節を進展・屈曲することができること
- 進展時に痛みなどの症状を伴わないこと
姿勢反射障害
症状の進行とともに出現する症状です。
姿勢が崩れても姿勢を立て直すことが困難となり、時に倒れてしまう症状です。
突然引っ張られる、肩がぶつかるなど突然姿勢が崩れた時にはそのまま転んでしまう。
通常では1~2歩で姿勢を立て直せるところが、それができずに倒れそうになった方向に走り出してしまう(突進現象)という症状が出現します。
パーキンソン病の初期症状
パーキンソン病の初期症状は、以下の通りです。
・動作緩慢(日常動作がゆっくりとなること)
・巧緻運動障害(細かい動作が困難になること)
・嗅覚障害、REM睡眠行動異常(寝言を言ったり、寝相が悪くなったりすること)
・便秘
パーキンソン病が悪化すると、以下のような症状が現れます。
- 次第に安静時振戦が出現する
- 歩行時に手の振りが小さくなる
- 歩行が小刻みになったり前傾姿勢になる
これらの症状がある場合には、脳神経内科に受診して、検査を受けるようにしてください
パーキンソン病の末期症状
パーキンソン病の末期症状は、歩行が困難となったり、嚥下障害となり誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったりと日常生活が困難となります。
パーキンソン病が進行すると、薬の効果が不安定になったり(1日の中で薬の効果が不十分な時間と効果が強すぎて副作用が出る時間が混在する)します。
また、運動に関わる症状の他に認知機能の低下や幻視(視覚に関連した幻覚)、意欲低下などの非運動症状も出現、悪化することで、十分な薬物療法が困難となり、パーキンソニズムがより顕在化します。
また、歩行が困難となったり、嚥下障害が出現して誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったりと日常生活が困難になることもあります。
関連記事:介護が必要になる原因で多いフレイル(高齢による衰弱)とはどんな状態なのか?
パーキンソン病の原因
パーキンソン病の原因について現段階で詳しくは分かっていません。
パーキンソン病の多くは孤発性(家族には遺伝しない)に発症します。
しかし、5~10%程度で家族内発症があり、遺伝的素因と環境因子の双方の関与が重要であることが知られています。
パーキンソン病は中脳の一部である黒質の*1ドパミン神経細胞が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。
<参考> *1 脳の中の黒質と呼ばれる場所にたくさんあるドパミンを作る神経細胞。ドパミンは、ドパミン神経細胞の中で作られて軸索の先端から細胞の外へと放出され、別の神経細胞に受け取られます。それにより、神経の信号が次の神経へと伝えられます。 |
病理学的な評価では障害された神経細胞で*1αシヌクレインという蛋白質を主成分とする*2Lewy小体がみられることから、ドパミン神経細胞の障害にαシヌクレインの凝集や蓄積が関与していると考えられています。
<参考> 【*1αシヌクレインとは】 主に成熟神経細胞のシナプス終末(神経細胞から突出した軸索の末端部分が袋状にふくらんだ部分で、別の神経細胞や器官に刺激を伝えるためのシナプスを形成する片側となる部分)に局在するリン酸化タンパク質で、シナプス機能の調整や可塑性に関与する。 【*2Lewy小体とは】中脳のドーパミン神経が変性脱落した部分を顕微鏡で調べると神経細胞の中に特殊な構造物(封入体)が見える。この構造物をレビー小体と呼ぶ。 |
パーキンソン病の原因に関しては様々な研究がなされています。
最近では*1迷走神経背側核などからシナプスに沿ってαシヌクレインが黒質に伝播することが要因の一つであるという仮説が有力です。
嗅神経または消化管が何かしらの刺激を受けることがパーキンソン病の発症に関与しているという二重ヒット仮説が有力となっています。
<参考> 【*1迷走神経背側核とは 】迷走神経性の分泌運動中枢。迷走神経背側運動核の細胞はコリンアセチルトランスフェラーゼChATに強く免疫陽性を示す。この核を破壊すると、インスリンによって誘発される胃液分泌が大きく減弱する |
パーキンソン病と食べ物との関係
様々な研究がされてはおりますが、現時点での食べ物とパーキンソン病の因果関係は証明されていません。
しかし、MIND食(アルツハイマー型認知症を予防する食事)や地中海食(魚や野菜、フルーツをメインに、オリーブオイルやナッツ類、赤ワインを取り入れた食事)を厳密に摂取することでパーキンソン病の発症を遅らせることができたとの報告はあります。
- 抗酸化作用がある緑黄色野菜やオリーブオイル。
- オメガ3脂肪酸(血圧を下げる)をたくさん含む魚やナッツ
- 食物繊維が豊富な全粒穀物など
さらに、以下のことが疫学や様々な研究からわかっており、消化管からの刺激がパーキンソン病に関連しているという仮説が有力視されています。
- 消化管に慢性炎症がある人はパーキンソン病の発症率が高い
- 消化管の迷走神経(感覚神経・運動神経の一つ)を切除した人ではパーキンソン病の発症者がいない
また、腸内細菌叢(腸内に棲んでいる細菌)とパーキンソン病の関連の研究など、消化管とパーキンソン病との関連については現在も様々な研究がなされています。
他にも、乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取がパーキンソン病の発症に関与するとの報告があり、飽和脂肪酸(一般に固形で乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる)を避け、バランスの良い食事を行うことは健康の維持に寄与すると思われます。
パーキンソン病とストレスの関係
パーキンソン病とストレスとの関係は証明されていません。
2型糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームがパーキンソン病の危険因子であり、ストレスはメタボリックシンドロームなどのリスクになることから間接的な関与がある可能性はありますが、ストレスとパーキンソン病の発症との間に直接的な関係はないと思われます。
パーキンソン病と姿勢との関係
パーキンソン病の発症には姿勢は関係がないと考えられます。
パーキンソン病を発症すると前傾姿勢となり、首が下がってしまったり、腰が曲がってしまいます。
しかし、姿勢が原因でパーキンソン病を発症するという報告はありません。
パーキンソン病と遺伝の関係
パーキンソン病患者の5~10%に家族歴があるとされており、原因となる遺伝子変異も多数知られています。
遺伝子変異ごとに発症年齢や症状、遺伝形式などに多少の違いはありますが、本質的には孤発性のパーキンソン病と臨床経過に大きな違いはありません。
パーキンソン病になりやすい人の特徴
以下に当てはまる人はパーキンソン病になりやすいといわれています。
・農業をしている人や農薬への暴露がある人
・井戸水を利用する人
・田舎に住む人
・銅、マンガン、鉛などの放出がある工業地域に住む人
・大気汚染のある地域で生活している人
・活性化ビタミンDが少ない人
・メタボリックシンドロームのある人
・潰瘍性大腸炎など消化管の慢性炎症がある人
関連記事:【放置すれば危険】糖尿病が引き起こす可能性のある合併症とは?原因や症状、予防法についても
関連記事:急性腸炎ってなに?ストレスが関係する?原因や症状について
パーキンソン病になりやすい職業がある?
特定の職業の人がパーキンソン病になりやすいといった研究データはありません。
しかし、非社交的な性格の人は脳への刺激が少なくドーパミンが分泌される機会が少ないため、パーキンソン病への罹患リスクが高いといわれています。
このことから、非社交的な性格の人が人と関わらず、単調な作業が多い仕事を長年続けた場合、将来的にパーキンソン病にかかる確率は他の人に比べて高いといえるでしょう。
パーキンソン病の検査方法
パーキンソン病の診断には問診や身体診察などが重要であり、下記症状が露呈した場合にすみやかに診断を受けるべきです。
・便秘や嗅覚障害
・レム睡眠行動異常(入眠中に声が出たり、体が動いたりしてしまう症状)の有無
・動作緩慢や安静時振戦などのパーキンソニズムの有無
また、パーキンソンが疑われた場合には、以下の検査を行います。
- 心電図(CVR-R)
- 頭部CT
- 頭部MRI
- 各医学検査(ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)
- 123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー)
また、自律神経や認知機能低下、精神症状など随伴する症状がある場合には、その症状に応じた検査を行います。
(例:起立性低血圧ではHead up tilt試験や起立試験、排尿障害では尿流測定、認知機能低下では改訂長谷川式認知機能評価スケールなどの認知機能評価、幻視ではパレイドリアテストなど)
関連記事:自律神経失調症とは?原因や症状、治療方法などについて解説
関連記事:認知症の検査方法と費用について|治療の副作用は?|検査を拒むときはどうすればいい?
<参考> 【ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)】とは 脳内の黒質から線条体に向かう神経経路(ドパミン神経)に存在するドパミントランスポータを画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査 ―を画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査 【123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー】とは MIBGは、ノルエピネフリンと(ノルアドレナリンとも呼ばれる)とよく似た物質です。ノルエピネフリンは交感神経終末から放出される神経伝達物質です。副腎皮質からもホルモンとして血中に分泌されます。これはエピネフリンと共に、交感神経系を動かし、心拍を増加させ、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の反応を増強する、すなわち闘争本能あるいは逃避反応を制御する物質 |
パーキンソン病の治療について
パーキンソン病の進行を抑える治療は確立されていません。
しかし、薬物療法による反応性は比較的よい疾患であり、診断後は早期から薬物療法を行います。
治療薬には以下のように多くの薬剤があり、それぞれの薬剤の特徴や薬価など考慮し、運動症状や非運動症状の程度に応じて使い分けます。
・L-dopa製剤
レボドパは脳内に移行しドパミンへ変化して脳内のドパミンを増やす
・ドパミンアゴニスト
ドパミンに似た作用を持つ物質
・COMT阻害薬
レボドパを分解してしまうCOMTという酵素を阻害し、レボドパの脳内への移行を高める作用がある
・MAO-B阻害薬
ドパミンやセロトニンの分解酵素であるMAOBの働きを阻害することによって、脳内のドパミン濃度を高めるという報告がある
・抗コリン薬
胃や腸などの痙攣・痛みなど副交感神経を活発にするアセチルコリンの働きを抑える作用がある)
・グルタミン酸受容体遮断薬
アルツハイマー病による神経細胞障害や記憶・学習能力の障害などを抑える薬
・ドパミン賦活剤
てんかんの治療薬として用いられていた薬剤。ドパミン量と放出増加する薬
・アデノシンA2a受容体拮抗薬
脳内のアデノシンA2a受容体を阻害しアデノシンの働きを抑え、運動機能の低下を引き起こすGABAの分泌を抑えることで、運動機能などの改善作用を現す
・ノルアドレナリン前駆体
脳内でドパ脱炭酸酵素によりノルアドレナリンに変換され、不足分を補う
発症初期にはL-dopa製剤を使用することが多いですが、65歳未満の方ではジスキネジア(体が勝手に動いてしまう症状)が出やすいため、精神症状や認知機能低下がなければドパミンアゴニストやMAO-B阻害薬なども使用します。
また、パーキンソン病の症状の一部である自律神経障害(便秘や排尿障害、起立性低血圧など)に対しても生活指導や薬物治療を行います。
疾患に対する理解を深めることやリハビリテーションを受けることも有用であり、生活支援やカウンセリング、リハビリテーションを薬物治療と並行して行います。
症状の進行に合わせて薬物治療を強化していきますが、薬物治療のみでは治療が困難となった場合には、デバイス治療を検討します。
・脳深部刺激療法
DBS:手術に伴う副作用が少なく、両側に行うことができ、刺激の調節が可能という利点がある)
・レボドパカルビドパ経腸療法
LCIG:胃からチューブを挿入し、チューブ先端をレゴドパが吸収される小腸上部に固定する。ポンプからチューブを使ってゼリー状のレボドパを注入する)
パーキンソン病のリハビリについて
パーキンソン病はその進行度によって症状や障害の程度が大きく変化する疾患です。
症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、活動意欲が低下したりとリハビリテーションの弊害となる症状も出現するため、その内容も各個人の症状に合わせて考える必要があります。
例えば、自立歩行が可能で症状が軽微な場合には健常人が行う運動に近いリハビリテーション(筋力訓練やエアロビック訓練、ホームエクササイズなど)が有効ですが、症状の進行に合わせて歩行訓練やバランス訓練などに切り替えていくことが必要となります。
また、最近では太極拳や音楽療法、ダンス、ビデオゲームなどを用いたエクササイズなど様々な方法のリハビリテーションで有効性が報告されています。
よって、本人が意欲的に続けられる方法でのリハビリテーションを継続的に行うことが重要であると思われます。
パーキンソン病で受けられる社会サービスについて
パーキンソン病は現時点では完治させることができない難病です。
また、経時的に症状が進行し、医療費も高額となる病気です。
症状の進行に伴って日常生活の支障が大きくなるので、日常生活をできるだけ維持するために利用可能な様々な社会サービスがあります。
以下に代表的なものをご紹介いたします。
パーキンソン病は指定難病の一つであり、医療費や重症度が一定以上であればパーキンソン病の治療に関わる医療費に関して助成を受けることができます。医療費で算定されるリハビリテーションの費用なども助成の対象となります。
・医療保険制度/後期高齢者医療制度/高額療養費制度
被保険者が対象となる制度であり、医療費の自己負担額が75歳未満で3割、75歳以上で1割となる制度です。また自己負担が一定以上であれば、高額療養費制度により特定の金額以上の自己負担金の助成をうけることができます。
・介護保険制度
パーキンソン病は介護保険制度特定疾患の一つであり、40歳以上であれば介護保険制度を利用することができます。介護認定を受けることで介護度に応じたサービスを安価で利用することができます。
・身体障害者福祉法
薬物治療を受けていても重度の運動障害が残存する場合には障害者認定を受けることができる場合があります。現在は医療の発達により障害者認定を受ける必要はほとんどなくなりましたが、症状が重度の場合にはご検討ください。
・障害者総合支援法
介護保険制度対象外(40歳未満)の方や介護保険制度では支援が不十分な場合に利用する制度です。サービスを利用することで介護や自立支援、補助具などにかかわる費用の一部の助成を受けることができます。
利用可能なサービスは県や市ごとでも異なりますので、利用可能なサービスを確認する際にはお住いの地域の役所にご確認ください。
パーキンソン病の予防について
パーキンソン病は原因が解明されていない病気であり、予防の方法もわかっておりません。
2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病や乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取などによる発症率が高くなるとされています。
一方で、MIND食や地中海食を厳密に守った人では発症が遅くなったとの報告があり、飽和脂肪酸を避けて不飽和脂肪酸や抗酸化物質などを多くとる食事は予防に有用である可能性があります。
また、工場地帯や大気汚染ある地域での発症率が上がるなどの報告もあり、そのような地域での生活を避けることが予防となる可能性があります。
関連記事:生活習慣病の方は注意!動脈硬化が引き起こす命に関わるリスクについて
関連記事:肺がんの初期症状や原因、ステージ(進行度)について【早期発見で治療が可能】
すぐに病院で検査するべきパーキンソン病の症状
パーキンソン病は緩徐進行性(ゆっくりと病気が進行すること)の病気です。
従って、医療機関へ急いで受診することは基本的には不要です。
上記の「パーキンソン病の症状」に該当する症状がみられた場合には、脳神経内科の外来を受診してください。
ただし、症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、嚥下障害が出現したりします。
そのため、骨折や誤嚥性肺炎などの合併症の発症リスクが高い場合には早期に受診するようにしてください。
関連記事:高齢者に起きやすい誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)ってどんな病気?
クリニックでできるパーキンソン病の治療
パーキンソン病の診断は脳神経内科のある総合病院で行う必要があります。
しかし、クリニックでは受診された患者様の症状を確認し、総合病院へ受診すべきかどうかの判断や総合病院への紹介を行うことができます。
また、すでにパーキンソン病と診断されている患者様の処方の継続や介護保険制度を利用するための主治医意見書の作成などを行うことができます。
まとめ
パーキンソン病は根治が困難な難病ではあり、症状の進行に伴って日常生活が困難となり、社会的な支援が必要となる病気です。
一方で医療の発達により運動症状は薬剤治療でかなり抑えることができるようになってきています。
また、生活を支援するための社会サービスも充実しています。
薬物治療により症状を抑え込むことで、発症早期は健常人と変わらない生活も可能となる病気です。
- 安静時に手が震える
- 動作が緩慢
- 歩行時に足が出しにくい
- 方向転換がしにくい
などの症状が気になった場合には当院に受診して相談してみてください。
参考文献
パーキンソン病診療ガイドライン2018
神経内科ハンドブック第5版
難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169
パーキンソン病と腸内細菌:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnd/27/1/27_80/_pdf
パーキンソン病と腸内細菌:https://www.boehringer-ingelheim.jp/sites/jp/files/documents/patient_doc/parkinson_0.pdf
自律神経失調症のセルフチェック26項目!こんな兆候は危険かも?
最近、日常生活においてなんとなく体調が優れない、あるいは気分が落ち込んでしまうという経験はありませんか?
その場合には、もしかしたら体調不良の原因が自律神経の乱れに由来する自律神経失調症を発症している可能性もあるでしょう。
自律神経失調症のなかには、ストレスや不安などからくる軽症のうつ病、あるいは不安神経症や気分障害などの症状が一部含まれると考えられています。
今回は、「自律神経失調症の原因、症状、治療方法」などについて詳しく解説します。
自律神経失調症のセルフチェック項目
自律神経失調症においてはそれぞれの症例によって自覚症状が異なり、様々な症状が現れる自律神経失調症を自分自身でセルフチェックする方法があります。
普段から「もしかすると自分は自律神経失調症かも」と心配されている場合には、まずは以下のさまざまな症状の有無を自分でチェックしてみることをお勧めします。
急に胸が苦しくなったり息苦しくなったりする
たびたび動悸がする
便秘や下痢などに伴って腹痛症状が起こりやすい
手や足がしびれることが多い
胸やけや胃もたれなどを自覚して食欲不振に陥る
慢性的に肩こりや腰痛などで悩んでいる
寝起きが悪い、あるいは寝て起きても疲労感や倦怠感が残存している
不安な気持ちになることが多く、憂鬱な気分に襲われて何事にもやる気が起こらない
些細なことでイライラする機会が増えた
物事に神経質になり、そわそわ落ち着かない
怖い夢をみる、もしくは金縛りにあう頻度が多い
寝つきが悪く、夜中にいったん覚醒するとなかなか眠れない
風邪を引きやすく体調不良になりやすい
手足が冷たいことが多々ある
最近頭が重い
目の疲れを感じることが多い
めまいや立ち眩みが増えた
耳鳴りの頻度が高い
口の中が荒れたり、舌が白くなっていることがある
好きなものにも食欲が起きない
常に胃がもたれている感じがする
腰痛に悩まされている
何故か体重が減った
何もかもやる気が起きない
人付き合いが億劫に感じられる
自律神経失調症の場合は、上記のような症状が出現しやすいと考えられています。
自律神経失調症とよく類似した症状が現れる他の疾患もあるため、自己判断は危険です。
もし26個あるセルフチェック項目の中で10個以上該当したら、ぜひこの機会に精神科や心療内科など医療機関に相談してみることをおすすめします。
関連記事:睡眠障害はコロナ後遺症?症状はいつまで続く?対処法や治療について
自律神経失調症ですぐに病院で検査した方がいい症状
自律神経失調症の症状は個人差が非常に大きいという特徴があります。
そのため、症状の多様性が生活の質を大幅に損なってしまう場合には、我慢しすぎずにすぐに病院に行って検査を受けるようにしましょう。
例えば、めまいや頭痛などの症状を認めるが故に、「毎朝会社に仕事行けない」、「思い通りに家事ができない」状態に陥って、自ら外出できなくなり家に引きこもりがちになる際には専門医療機関を受診して相談することが大切です。
自律神経失調症の特徴として、内臓には明らかな異常がないことが挙げられます。
自律神経失調症を抱えている人は辛い症状を自覚していても、周囲に気付かれにくい状態であると言えます。
自律神経失調症に伴う症状が非常に多岐にわたり、症状がつらくても周囲の人々から気づいてもらえずに、より症状が悪化傾向を認める際には精神科や心療内科など医療機関に相談されることをおすすめします。
自律神経失調症とは?
自律神経失調症は、自律神経が過剰なストレスによって正常に機能しないことによって引き起こされるさまざまな症状の総称です。
自律神経失調症の主要な症状は下記のとおりです。
- 眠れない
- 疲労が取れにくい
- 頭痛やめまい
- 息苦しさ
- 便秘及び下痢などの便通異常症状
- 情緒不安定や不安感など精神的な不調症状
自律神経失調症は自律神経の乱れによって引き起こされると考えられています。
しかし、実際に自律神経の働きを直接的に正確に調べる方法は乏しいです。
不調症状に対する病気を明確にするために精密検査を実施しても,特に明確な異常が見つからないことも多いです。
特に、常日頃から過大なストレスや不規則な生活習慣が認められ、ホルモンバランスが乱れている場合に自律神経失調症の発症が疑われます。
関連記事:免疫力が低下したらどうなる?原因と免疫ケア方法をご紹介!
自律神経失調症の症状

自律神経は全身の器官をコントロールしているため、そのバランスが何かしらの原因で崩れてしまうと多種多様な症状が現れると考えられます。
自律神経失調症を呈する症状は個々によってさまざまであり、多くの症状はその人にとって調子が悪くなりやすい部位に引き起こされやすいと言われています。
例えば、腹部が痛くなりやすい人は下痢や腹痛などを始めとする消化器症状が現れやすく、普段から肩が凝りやすい場合にはひどい肩こりに繋がりやすい傾向があります。
身体的症状
個人によって症状の現れ方は様々ですが、例えば自律神経失調症における典型的な身体的症状としては下記が挙げられます。
- 倦怠感
- 息苦しい
- 眠れない
- 慢性的な疲労感などの全身症状
- 頭痛
- 動悸や息切れ
- めまい
- 立ち眩み
- 下痢や便秘
それ以外にも下記など、さまざまな症状を呈することがあります。
- 全身や手足の冷え症状
- のぼせ
- 耳鳴り
- 関節痛
- 生理不順
- 口や喉の不快感
- 頻尿や残尿感
- 発汗
精神的症状
自律神経失調症における精神的症状としては、代表的なものとして下記が挙げられます。
- 情緒不安定
- いらいら
- 不安感
- 抑うつ傾向
その他にも、自律神経のアンバランスに伴って下記が引き起こされます。
- 不眠
- 記憶障害
- 集中力低下
- 感情の激しい起伏
また、これらの複数症状が一度に現れる、あるいはいったん改善したと思っても別の症状が再び出現することも想定されます。
自律神経失調症の原因
自律神経失調症は自律神経に関連するあらゆる機能が乱れることで発症します。
自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの相互作用を有する神経系システムから構成されています。
前者の交感神経は体を活発に動かすときに作用し、後者の副交感神経はリラックスしているときに機能するのが特徴です。
健常者では、相互的な役割を持つこれらの自律神経がバランスよく良好な状態を保つことができます。
しかし、一旦ストレスやホルモンバランスの乱れによって片方の神経が過剰に興奮して優位な状態が不均衡に継続されると、多彩な症状が出現するようになるのです。
その直接的な原因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、更年期に伴うホルモンの乱れなどが典型例として考えられます。
このように不規則な生活に伴う過剰ストレスによる刺激、更年期障害などホルモンの乱れなどが本疾患を発症させる原因になることから、以下などの人に発症しやすいと言われています。
- 不規則な生活を送っている人
- ストレスを感じやすい人
- 更年期でホルモンバランスが乱れやすい人
それでは、自律神経失調症の原因について1つずつ詳しく見ていきましょう。
ストレス
一般的なストレス以上の負荷が精神的に掛かっている状態では、自律神経失調症に罹患しやすいと指摘されています。
例えば下記によって自律神経のバランスが崩れます。
- 仕事業務のプレッシャーなどを始めとする精神的ストレス
- 日々の蓄積された過労
- 自分が置かれている環境下での光や音、温度などに関する身体的ストレス
- 職場でのパワハラ・セクハラなどを含むハラスメント
また、周囲の人間関係に伴うストレスにより、交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまうケースも想定されます。
生活習慣の乱れ
乱れた生活習慣とは、日常的な活動周期が一定でなく不安定であることを意味しています。
慢性的な寝不足、あるいは不規則な生活や偏った食事などが生体リズムを狂わせてしまい、自律神経の乱れに繋がると考えられます。
- 幼少期からの不規則な生活習慣で夜更かしを継続する
- 夜勤の頻度が多い職業である
- ジャンクフードを多く摂取して偏りのある栄養素のみ取り入れる不適切な食生活
以上のような場合において、交感神経と副交感神経のバランスが破綻しやすいと指摘されています。
ホルモンバランスの崩れ
自律神経失調症は、一般的に男性よりも女性の方が罹患率を高く認めると認識されており、その背景として女性ホルモンの影響によって自律神経失調症を発症する恐れが懸念されています。
男性ホルモンと女性ホルモンは、ホルモンバランスの安定性という観点で相違があります。
男性ホルモンは思春期に分泌が高まって、それ以後は初老期まで安定する傾向があります。
一方、女性ホルモンは思春期の初潮、毎月の周期的な月経習慣、妊娠・出産、更年期から閉経に至るまで一生のうちに変化を繰り返して複雑な系統を呈しています。
したがって、女性ホルモンの特性から女性の方が男性よりもホルモンバランスが乱れやすく自律神経失調症を発症するリスクが高くなると想定されます。
さらに、女性は更年期に伴う自律神経失調症の発症が注目されています。
女性ホルモンは、一般的に脳の視床下部から脳下垂体を通じて卵巣で分泌されることが知られています。
視床下部には、女性ホルモンの分泌のほかに自律神経をコントロールする役割も有しています。
更年期には、女性ホルモンが激減してホルモンバランスの不調を来して視床下部に影響を及ぼすことによって自律神経が乱れることも疑われています。
更年期障害では女性ホルモンの分泌がそれまでと比べて減少するため、自律神経の乱れに容易につながる結果、顔面のほてりや頭痛などの不調症状を自覚することも経験されます。
関連記事:パーキンソン病になりやすい人の特徴や症状とは?|原因から治療、社会サービスの解説
自律神経失調症の治し方
自律神経失調症と診断された場合の治療方法について解説していきます。
簡単に列挙すると、以下などの対処策が考えられます。
- 薬物療法
- 生活習慣改善
- ストレス発散
- 行動認知療法
- カウンセリング
その中でも特に日々のストレスのコントロール、そして規則的な睡眠と食事を含めた生活習慣の改善が非常に重要なポイントです。
ここでは、1つ1つ詳しく解説していきます。
ストレス解消
自律神経失調症は、日常生活における過剰なストレス刺激や生活習慣の不規則性によって引き起こされると考えられています。
これらを回避して改善することで自然と不調症状が軽快していくことが多いです。
自分なりにストレスを解消して生活習慣を整備していくことは、自律神経失調症における症状を改善するために重要な行動様式です。
従って、これらを優先的に改善するだけで様々な不快症状が緩和されることもあります。
自律神経失調症を抱えている場合は、ストレッチ、音楽療法、アロマセラピー、散歩や体操、入浴など日常的に気軽に取り入れることができるストレス解消法を実践することでストレスが緩和されることがあります。
- 少しでも自分がリラックスできる
- 楽しくて心地よいと感じることが出来る時間を意識的に設ける
- 自分特有の長続きしそうな趣味を持つ
などの方法で、ストレスをコントロールできることがありますし、積極的に交友関係を広げることも効果的とされています。
薬での対症療法
自律神経失調症に伴う自覚症状がひどい場合には、症状を改善したり、不安やストレスを軽減したりするために医学的な観点から有用な治療薬を活用することもあります。
自律神経失調症を効率的に治癒させるためには一定の専門的な知識が必要です。
自力や自己判断のみで治すのは難しい場合も存在するため、専門の医師に相談することが重要な観点となります。
例えば、不安な気持ちやうつ状態で悩んでいる場合には「抗うつ薬」、眠れなくて苦悩している方には「睡眠薬」などが処方されることも考えられます。
それ以外にも、ホルモン剤などによる対症療法や睡眠周期を整える睡眠療法などが挙げられます。
基礎疾患を有する場合には普段の服用薬の種類や合併疾患なども考慮しながら、自律神経失調症の治療を進めていくことも可能です。
栄養や食生活の見直し
自律神経失調症を改善するためには、常日頃から栄養バランスの取れた食事を毎日3食、規則的に決まった時間に摂取することが重要です。
自律神経を整えてくれる栄養素として、γ-アミノ酪酸(略称:GABA)が知られており、GABAには脳や神経をリラックスさせる効果があると言われています。
GABAは、本来人間の脳や神経組織にある神経伝達物質であり、身体の自律神経を整えるために必要不可欠な成分として知られています。
一日の推奨摂取量は成人でおおむね30~100mgと伝えらえています。
GABAが気軽に摂取できる一例として、「トマト」が挙げられ、中玉のトマト一個にはGABAが40~60mg含有されているため、一日に必要なGABAが十分に取り込めます。
また、GABA自体を摂取するのみならず、体内にもともと存在しているGABA成分を増加させることも重要です。
そのためにはたんぱく質などに含まれているビタミンB6を効率的に摂取することをお勧めします。
食材の代表例としては、以下などにビタミンB6成分が豊富に含まれていると言われています。
- にんにく
- 鮭やさんま、カツオなどの魚類
- ササミ
また、ビタミンDは、感情状態や神経のバランスに関連するセロトニン成分をうまく調整する機能を有していることが判明しています。
従って、自律神経に関わるメンタル症状に一定の効果があると考えられています。
基本的に、ビタミンDは世界的にも我が国においても摂取不足傾向であると指摘されています。
自律神経だけではなくカルシウムや骨代謝に欠かせない栄養素であるため、常日頃から意識して摂取する必要があります。
ビタミンDを豊富に含む食品例としては下記が挙げられますので、日常の食生活に取り入れてみましょう。
- しいたけなどのキノコ類
- ししゃも
- しらす
生活習慣の見直し
普段の生活で睡眠不足や運動不足が継続すると、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながって心身共に不調症状を引き起こしやすくなることが知られています。
規則的な睡眠と食事をとるように心がけて、適度な運動習慣を持つことが重要であると言われています。
毎日の仕事量や飲酒量、カフェインの摂取量なども定期的に見直すことも必要です。
基本的な生活習慣が整っている状態であれば、ストレスに対しても柔軟に向き合うことができるようになると考えられています。
通常では、交感神経は活動する時により優位に働き、副交感神経は休息するときに働きます。
交感神経が優位となる日中はできるだけ活動をして、副交感神経が優位となる夕方以降はなるべく休息を確保するように認識しておきましょう。
それぞれの神経の役割に自然と応じた日常行動を行うことで、自律神経のバランスが整いやすくなると推奨されています。
また、睡眠時間に関しては1日あたり最低でも5~6時間以上は確保すると良好であると認識されています。
規則正しく朝食を取って毎日3食をある程度決まった時間に摂取することで自律神経の切り替えが順調に運ぶと考えられています。
自律訓練法やマインドフルネス
自律神経失調症に対しては、自律訓練法やマインドフルネスが有効な場合も決して少なくありません。
自律神経失調症と診断された場合に、広く普及している治療方法の一つに「行動認知療法」が知られています。
この治療法では、自律神経失調症を罹患している患者様の認知そのものに「歪み」が生じている際に実践されることが多いです。
例えば、以前にバスに乗っているときに自律神経失調症の症状を経験した場合には、「バスに乗ったから症状が出現した」と患者自身が思い込み、症状の原因を誤って認知する可能性があります。
こうした認知の歪みが原因となって自律神経失調症が発症している場合には、行動認知療法を施行することで患者本人に認知の歪みを修正して、正しく病気や治療内容を認識してもらうことによって症状が緩和されることを期待します。
西春内科・在宅クリニックでできる治療
自律神経失調症は、我慢していれば治癒する病気ではありません。
自律神経失調症の診断を受けた際には、さらに症状が悪化しているというケースも見受けられます。
「自分は、もしかしたら自律神経失調症かもしれない」と悩んでおられる場合は、ぜひこの機会にクリニックや病院に相談してみましょう。
自律神経失調症の症状は多岐にわたり、パーキンソン病やうつ病など他疾患の症状とも類似していることも多いです。
そのため、自分自身では自律神経失調症と断定するのは難しく、クリニックの専門医の適切な診断のもとで確実に有効的な治療を実践することが重要です。
クリニックでは、経験に長けた専門医師や心理療法士、公認心理師などが自律神経失調症と診断された患者に対してカウンセリングを実施します。
これにより、心に抱えているストレスの解消を図ることも一定の効果があると信じられています。
カウンセリングは、自律神経失調症と診断された患者自身の性格や生活背景なども考慮して、約40種類の心理療法から適切な方法を選びます。
患者さんの体調管理、あるいは症状再発を防止するために治療を確実に進めて心のバランスを整えていくことを目標に設定します。
心配な症状がある場合には、当院またはお気軽に最寄りの心療内科や精神科などクリニックや診療所を受診して相談しましょう。
まとめ
自律神経失調症は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが破綻することによって引き起こされる症状の総称を意味しています。
自律神経は、交感神経と副交感神経という相互的な働きを有する二種類に分かれています。
交感神経は身体を活発に動かす時、副交感神経は身体を休める際に働いて互いにバランスを取りながら心身状態を調節していますが、このバランスが崩れると自律神経失調症が発症します。
基本的には、本疾患を発症した場合には、普段の生活習慣の改善やストレスを効率的に発散するなど自己管理する手段を上手く活用することが有用とされています。
そして、本疾患以外の病気の可能性や原因によって治療法が全く異なるために自力だけで治すことは難しいです。
自律神経失調症の疑いがある場合はまず当クリニックや病院を受診し、医師と相談しながら薬物療法などを含めた治療内容を計画していくことが重要です。
今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。
参考文献
疥癬(かいせん)がうつる確率は?放置するとどうなる?自然治癒する?
疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニというダニの1種が皮膚に感染することで、腕や脚、ときには体全体に激しいかゆみが出る病気です。
皮膚の角質層に住みついたヒゼンダニや、その糞などに対するアレルギー反応により、皮膚の炎症やかゆみが生じます。
疥癬は、人から人へ感染します。
また、寝具などを介する間接的な接触でも感染することがあるので注意が必要です。
疥癬は、抵抗力の弱い高齢者の方に多くみられ、高齢者施設の中で流行することがあります。
今回は、疥癬の原因や症状、放っておくとどうなるのかなどについて解説していきます。
疥癬の原因
疥癬の原因は、ヒゼンダニと呼ばれる寄生虫です。
この小さなダニは、人の皮膚の表面に穴を掘り、その中で繁殖します。
基本的には、感染者との肌の接触から広がります。
手を握る、性的接触などの直接的な接触に加え、共有の寝具や衣類の使用などの間接的な接触によっても感染が広がることがあります。
関連記事:虫刺されのかゆみが止まらない人必見|対処法やぶり返す可能性は?
疥癬の症状

疥癬の主な症状は、皮膚の炎症と強いかゆみです。
かゆみは、特に夜間や暖かい場所で悪化します。
症状は、陰部や体の中心部、指の間などによく現れます。
指の間には、いわゆる「疥癬トンネル」が現れてきます(これはあとで解説します)。
かゆみが強すぎて、夜まったく眠れない、と訴える方も多いです。
かゆみから皮膚をかき過ぎたことで、皮膚がひどい炎症状態(かき壊し)になると、小さな水疱やかさぶた、潰瘍(かいよう)ができてしまうこともあります。
また、疥癬には「通常疥癬」と「角化型疥癬(ノルウェー疥癬)」の2つのタイプがあります。
通常疥癬 | ・体に寄生しているヒゼンダニは10匹ほど ・感染力はそれほど強くない ・強いかゆみを伴う赤いぶつぶつが全身に出ることが多い |
角化型疥癬(ノルウェー疥癬) | ・体に寄生しているヒゼンダニは、100~200万ほど ・通常疥癬と比べ感染力が強い ・通常疥癬の症状に加えて、角質の増殖が特徴的な症状 ※角質の増殖とは、手足・おしり・肘・膝・爪などに、ざらざらの厚い角質がかさぶたのように付いた状態のことで、かゆみがない場合もある |
疥癬がうつる確率は?
結論からいうと、「疥癬がうつる確率は〇%です!」と断定することはできませんが、人から人へうつることは確認されています。
皮膚の疾患であるため地肌同士が触れ合うことが感染の起点となり、多くは性行為によってうつるとされています。
いちいち相手が疥癬かどうか確認することはないと思いますが、少なくとも自分が疥癬だとわかっているときは、治るまで性行為は避けた方がよいでしょう。
疥癬トンネルって?

疥癬トンネルとは、疥癬になった際に見られる、長さ数mmのわずかに盛り上がった、白っぽい線状の発疹(はっしん)のことを言います。
ヒゼンダニは、このトンネル内に卵を産みつけ、繁殖していきます。
疥癬トンネルは、疥癬に最も特徴的で、診断の決め手となる重要な皮膚症状です。
手のしわや指の間でよく見られます。
また、陰部に赤いブツブツとして現れることもあります。

疥癬を放置するとどうなる?

疥癬を放っておくと、原因であるヒゼンダニが生きたまま活動するので、
- かゆみ
- 赤いぶつぶつ
- 角質の増殖
などの症状がどんどん悪くなっていきます。
ヒゼンダニの数が増えるにつれて、他人への感染リスクも高まります。
具体的な感染確率は、一人一人の免疫の強さや、病原体の量などに影響されるので一概には言えません。
人の肌と肌との直接的な接触や、寝具など衣類を介した間接的な接触で他人に感染します。
発症までの潜伏期間は、約1~2ヶ月と言われています。
どんな人が疥癬になりやすいの?
疥癬になりやすいのは、高齢者の方です。
若い方に比べて免疫力が低下していることに加え、老人ホームなどの共同で生活する施設での人同士の接触機会が多いこともこの理由です。
また、高齢者の方は、皮膚が薄く乾燥しやすく、皮膚バリア機能が低下していることも理由として挙げられます。
そのほか、感染者との接触の機会が多い介護士や看護師などの医療従事者も感染リスクが高いと言われています。
関連記事:尿路感染症に高齢者がなりやすい理由|原因と症状について解説
疥癬は自然治癒する?
疥癬は、自然に治ることはありません。
疥癬は寄生虫であるヒゼンダニによる感染症ですので、飲み薬や塗り薬での治療が必要です。
疥癬の治療について

疥癬の治療は、正確に診断を行うことから始まります。
皮膚の表面をピンセットで採取し、ヒゼンダニやその卵を顕微鏡で確認し、診断を行います。
治療には、ヒゼンダニを駆除するための飲み薬や塗り薬を使います。
飲み薬には、イベルメクチン(製品名:ストロムクトール錠)があります。
空腹時に1回内服していただくことで、約10日間の効果を発揮します。
1週間おきに2回内服していただくことが一般的です。
ただし、ステロイドや免疫抑制剤を投与されているなど、患者さまの背景によっては、3回以上の投与が必要になることもあります。
なお、イベルメクチンにはかゆみを止める作用はありません。
以下があります。
- フェノトリンローション(製品名:スミスリンローション5%)
- イオウ剤
- クロタミンクリーム(製品名:オイラックスクリーム)
- 安息香酸ベンジル
首から下の全身にかけて、症状の出ていない部分も含めてくまなく塗ることが大切です。
特に手や指の間、足、外陰部には念入りに塗りましょう。
また、かゆみに対しては、かゆみ止めの抗ヒスタミン薬を併用することも多くあります。
関連記事:ダニ刺されとあせもの違いは?|症状や治療についても
疥癬にならないためにできること

感染者との密接な接触を避ける
疥癬にならないためには、感染者との密接な接触を避けることが一番大切です。
握手、性的な接触、共有の寝具や衣類の使用など、感染リスクの高い状況を避けましょう。
ヒゼンダニは、直接の肌接触から感染が広がります。
なお、アルコール除菌は皮膚表面の細菌やウイルスの除菌には役立ちますが、ヒゼンダニに対しては直接的な効果はありません。
衛生習慣をつける
普段から、衛生習慣をつけていくことが大切です。
手洗いをこまめに行い、清潔な環境を保つよう心がけましょう。
共有の日用品に注意する
寝具や衣類、タオルなどを共有する場合には、注意が必要です。
特に感染者がいる場合は、これらの物品の共有を避けるか、十分な清潔さを保つようにしましょう。
感染者の早期発見と治療
疥癬が疑われる場合は、できるだけ早く医師の診断を受け、適切な治療を行うことが大切です。
周囲の人への感染予防のためにも、早めの治療が大切です。
西春内科在宅クリニックでの対応方法
西春内科在宅クリニックでは、各種検査等により、診断がついた場合に内服薬や外用薬の処方をさせていただきます。
皮膚の症状から疥癬が疑われる場合には、近くの皮膚科クリニックへの受診をおすすめします。
通常疥癬であれば、基本的な感染対策ができていれば、特別な隔離は必要ありません。
一方、角化型疥癬の場合は感染力が強いため、リネン類の熱処理、予防衣の着用、濃厚接触者の予防内服、必要に応じて感染者の方の個室隔離などの指示をさせていただきます。
まとめ
今回は、疥癬の原因や症状、放っておくとどうなるのかなどについて解説しました。
疥癬は、ヒゼンダニが人間の皮膚に寄生して起こる皮膚の病気です。
感染者との直接的な接触だけでなく、衣類を介した間接的な接触でも感染する可能性があります。
感染対策をしっかり行うとともに、もしかかってしまった場合には、適切な診断と治療に加えて、周囲へ感染させない予防対策が大切です。
【参考文献】
- あたらしい皮膚科学 第3版
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- 疥癬診療ガイドライン第3版(日本皮膚科学会)
誤嚥性肺炎の末期症状とは?急変したときの対処法を徹底解説!

誤嚥性肺炎とは、口や喉から誤って食べ物や飲み物が気管から気管支・肺へ入り込み、肺炎の状態を引き起こす疾患です。
- 高齢者や認知症患者
- 嚥下障害を持つ人
- 寝たきりの人など(身体機能が低下している人)
また、この誤嚥性肺炎は日本の死亡原因の第3位であるほど一般的で、患者様背景からも重症化しやすく、致死的になりやすい病気です。
同居ご家族に食事中にムセこんでしまう方、良く肺炎を起こす方がいらっしゃれば、それは誤嚥性肺炎である可能性が高いです。
今回は、誤嚥性肺炎の原因や、症状、急変時の対応法について解説していきます。
誤嚥性肺炎になる原因
高齢者が誤嚥性肺炎になりやすい理由は、口腔内や喉の筋肉の衰えや嚥下機能の低下が原因とされています。
以下などの疾患を患っている場合は、嚥下機能が低下する傾向にあります。
- 認知症やパーキンソン病などの神経疾患
- 脳梗塞・脳出血などの頭蓋内疾患
また、口腔内の先天的な異常や口腔内の環境(歯磨きやうがいをしない)に加えて、活動性が低下し寝ている時間が長くなればなるほど、誤嚥性肺炎は引き起こしやすくなります。
また、加齢に伴う嚥下機能の低下は、ほぼほぼ必発です。
さらに、高齢者の場合、免疫力が低下していることがあり、細菌やウイルスに感染しやすくなっています。
関連記事:RSウイルスに高齢者が感染すると危険?重症化や死亡のリスクについても
誤嚥性肺炎の初期症状
誤嚥性肺炎の症状については、以下のような症状があります。
初期症状
- 咳
- 痰
- 発熱
- 息切れ
- 胸痛 など
また、高齢者や基礎疾患を持つ人の場合、症状があまり現れない「無症状誤嚥性肺炎」という状態になることがあります。
そのため、定期的な健康診断や医療機関の受診が重要です。
誤嚥性肺炎の末期症状
先述した悪化した場合の症状がさらに増悪すると下記のような症状へ移行します。
悪化した場合の症状
- 呼吸困難
- 酸素不足
- 意識障害
- 低血圧
- 心拍数の増加
- 体温の上昇 など
酸素不足から呼吸困難へ移行すると意識レベルが低下し、次第に血圧が下降して最悪の場合、死に至ります。
看る側としては患者さんが熱にうなされている様子や呼吸が苦しそうな様子などが見られたら、すぐに救急車を呼びましょう。
あるいは入院中であればナースコールを押してください。
関連記事:骨粗鬆症の薬が危険といわれる理由|副作用や注射治療について解説
誤嚥性肺炎で急変したときの対応

誤嚥性肺炎で急変した場合の対応法は、以下のようなものがあります。
救急車の呼び出し |
急変が起きた場合は、すぐに救急車を呼び出すことが必要です。 |
人工呼吸や酸素投与 |
呼吸が困難な場合は、人工呼吸や酸素投与を行います。 |
抗生物質の投与 |
誤嚥性肺炎の原因菌によっては、抗生物質の投与が必要となります。 |
症状に応じた治療 |
症状や病態に応じて、適切な治療を行います。 |
誤嚥性肺炎の治療について
誤嚥性肺炎の治療には、以下のような方法があります。
抗生物質の投与 |
誤嚥性肺炎の原因菌によっては、抗生物質の投与が必要となります。 |
気道確保・酸素投与 |
呼吸が困難な場合には、人工呼吸や酸素投与、気管挿管などによって気道を確保します。 |
栄養補給 |
誤嚥性肺炎治療中、再度誤嚥性肺炎を起こす可能性が高いので、経口摂取は控えて頂くことが大半です。 |
リハビリテーション |
嚥下機能の評価や運動療法などによって、誤嚥性肺炎の再発防止や回復を促します。 |
関連記事:【高齢者に多い骨折】骨粗しょう症とは?薬を飲みたくない人向けの予防法や治療法はある?
誤嚥性肺炎は治るのか
誤嚥性肺炎は治ることがほとんどですが、患者の状態や治療の遅れによっては、合併症や死亡することもあります。
高齢者や基礎疾患を持つ人、免疫力の低下している人は、治療が困難となることがあります。
また、誤嚥性肺炎を引き起こす方は元々嚥下機能が低下していることが多いため、今後も繰り返し引き起こすことが非常に多いです。
つまり、一時的には治療により回復しますが、根本的な原因を解決させることは難しいことが多いということです。
そのため、予防が重要であり、定期的な健康診断や医療機関の受診が必要です。
誤嚥性肺炎を発症した場合は、早期の治療が重要になります。
高齢者が誤嚥性肺炎にならないための予防対策
高齢者が誤嚥性肺炎にならないためには、以下の予防対策が有効です。
これらの予防対策を実践することで、高齢者の誤嚥性肺炎発症リスクを低減することができます。
嚥下機能の評価 |
高齢者は嚥下機能が低下することが多いため、定期的に嚥下機能の評価を受けることが大切です。 |
栄養バランスの良い食事 |
栄養バランスの良い食事を心がけ、口内や歯の清掃にも注意しましょう。 |
嚥下のサポート |
食事中には、胸やけ、吐き気、喉の痛み、痰の増加などの症状がある場合には、医師に相談して嚥下のサポートを受けましょう。 |
適切な姿勢 |
食事中には、適切な姿勢を保つことが大切です。 |
口腔ケア |
口腔内の清潔を保ち、口腔ケアを行うことも予防対策の一つです。 |
運動 |
適度な運動を行い、筋力を維持することも誤嚥性肺炎予防に効果的です。 |
関連記事:高血圧の原因になりやすい食事や食べてはいけないものとは?
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科・在宅クリニックでは、在宅診療を行っており、誤嚥性肺炎の患者様のご対応をさせて頂くことが非常に多いです。
上記の治療をご自宅で行うことも可能です。
また、誤嚥性肺炎を引き起こさないよう予防する飲み込みのリハビリテーションや食事指導も、他の医療機関と協力し行っております。
飲み込みに不安があるご家族様がいらっしゃったり、誤嚥性肺炎で複数回の入院歴・治療礫のある方は、是非いつでもご相談下さい。
まとめ
高齢化社会となり、ますます一般的となっている誤嚥性肺炎。
日本の死亡原因の第3位になっていることからも分かる通り、軽症〜死亡に至るまでの重症、様々な状態となります。
治療は可能で大半の方が退院・回復されますが、一度誤嚥性肺炎を引き起こすと体力は低下します。
最も大切なのは予防ですから、少しでも飲み込みに不安があれば、積極的に医療機関を受診してくださいね。
【チェックリスト掲載】インフルエンザを疑うべき初期症状とは?
肌寒い季節がやってきてこれから冬にかけてインフルエンザが流行する季節がやってきました。
体調の変化を感じた時、ただの風邪なのかインフルエンザなのかを見極めることはとても重要です。
特に、家族や周囲の方への感染を広げないためにも、早期の対策が求められるでしょう。
そこで、今回はインフルエンザの初期症状や見分け方、対応策について詳しく解説します。
インフルエンザを疑う初期症状のチェックリスト
流行期に体調の変化を感じたら、インフルエンザの可能性を考えてみましょう。
以下の症状を確認することで、早期発見につながります。
チェックリストに当てはまる症状が多いほど、インフルエンザの可能性が高くなるので、病院の受診を検討しましょう。
ただし、このチェックリストはあくまでも目安となります。
発熱しなくても倦怠感がある場合や、少し体調が悪いかも?といったいつもと様子が違うと感じた場合は、チェックリストに当てはまらなくても、無理せず病院に相談しましょう。
早期発見・早期治療が、重症化を防ぎ、周囲への感染拡大を防ぐ方法と言えます。
関連記事:インフルエンザのA型とB型の違いとは?知っておきたい基本情報
インフルエンザの初期症状が現れる順番は?
インフルエンザの症状は、通常の風邪とは違い、急激に現れます。
朝は元気でも、午後には体調が一変することも珍しくありません。
一般的な症状の進行は、まず体が震えるような悪寒が始まり、その直後に38℃以上の高熱が出ます。
続いて、強い倦怠感や関節痛、頭痛などが現れます。
ただし、これは典型的な例であり、年齢や体調によって症状の現れ方は異なるので注意が必要です。
発熱が最初に来たり、喉の痛みから始まったりすることケースもあるため、先述した通りいつもと違う体調の変化を感じたら医療機関を受診しましょう。
「インフルエンザかも?」と思った時の対応
インフルエンザの疑いがある場合は、早急な対策が重要です。
以下の対応方法を取ることで早期治療や感染拡大防止につながります。
- 自宅での安静と休養
- 水分補給
- 他人への感染を防ぐ
- 適切な室内環境を保つ
これらの対応について詳しく解説しましょう。
自宅での安静と休養
インフルエンザから回復するために最も大切なのは「休むこと」といえます。
十分な睡眠を取って安静にすることで、体の自然治癒力を高め、早く回復することが可能です。
もし市販の薬を服用する場合は、医師に相談してからにしましょう。
また、無理に体を動かすと肺炎などの深刻な病気を引き起こすリスクが高まるため無理をせずしっかりと休養しましょう。
水分補給
発熱しているときは水分をこまめに摂取することが非常に大切です。
発熱時の発汗は通常の2倍以上の水分が失われることもあり、脱水症状の恐れがあります。
そのため、喉が渇いていなくても、定期的に少しずつ水分を摂るよう心がけましょう。
また、電解質を含むスポーツドリンクやOS-1、体にやさしい温かいスープなどもおすすめです。
体温が上昇しているときは冷たい水よりも、常温か少し温かい飲み物の方が、身体に負担をかけません。
他人への感染を防ぐ
インフルエンザウイルスは主に咳やくしゃみの飛沫を通じて広がる「飛沫感染」と、ウイルスの付着した物を触ることで感染する「接触感染」の2つの経路で広がります。
周囲感染を防ぐためにも、以下の対策を必ず実行しましょう。
- 人混みでのマスク着用
- 食前や外出後の手洗いの徹底
- 咳やくしゃみの際は、ティッシュや腕の内側で口と鼻を覆う
- 使用したティッシュはすぐにフタ付きゴミ箱に捨てる
- 共有物(ドアノブ、リモコンなど)を触った後は必ず手を消毒
- タオルや食器の共用は避ける
- 1時間に1回、5分程度の換気を行う
これらの対策を確実に実施することで、家族や周囲の人々への感染リスクを大きく減らすことができます。
そして、感染拡大を防ぐためにも、職場や学校には熱が下がってから少なくとも、2日間経ってから戻りましょう。
見た目の症状が改善しても、体の中にウイルスが残っており、感染する力があるためです。
適切な室内環境を保つ
インフルエンザウイルスは乾燥した環境で長く生存するため、部屋の湿度を適切に保つことが重要です。
また、適度な室温を保つことで喉や鼻の粘膜が潤い、ウイルスの侵入を防ぐことが可能です。
以下のポイントを意識して室内の環境を適切に保ちましょう。
- 湿度は50~60%、室温は20~23℃が理想的
- 加湿器を利用したり、濡れタオルを部屋に干すことで湿度を上げる
- 換気を定期的に行う
関連記事:インフルエンザの予防は必要?日常でできる予防方法とおすすめの食品を解説
インフルエンザ・風邪・コロナを初期症状で見分けるには?
インフルエンザ、風邪、そして新型コロナウイルス(COVID-19)は初期症状が非常に似ており、医師でも症状だけでは診断が難しいことが多いです。
確定診断をするためにもインフルエンザ、新型コロナウイルスの検査が必要となります。
以下の表に、それぞれの初期症状を比較して示します。
症状 | インフルエンザ | 風邪 | 新型コロナウイルス |
発熱 | 突然の38℃以上の発熱 | 軽度の発熱 | 高熱が出ることも |
頭痛 | 強い | 軽度 | あり |
筋肉痛・関節痛 | 強い | なし~軽度 | あり |
倦怠感 | 強い | 軽度 | 強い |
喉の痛み | あり | あり | あり |
鼻水・鼻づまり | あり | あり | あり |
悪寒 | あり | なし~軽度 | あり |
胃腸症状 | あり | なし~軽度 | あり |
もしインフルエンザ、新型コロナウイルスが疑わしい症状が現れた場合、自己診断は避けて病院での診断を受けましょう。
また、医療機関への受診が難しい場合はオンライン診療の利用を検討してください。
医師の見解
インフルエンザ、風邪、そして新型コロナウイルス(COVID-19)に関しては、症状だけで判別することは医師であっても困難です。
私の経験では、インフルエンザは突然の高熱(39~40℃)で始まることが多いのに対し、風邪やコロナは喉の痛みや鼻水から始まり、徐々に熱が出てくる傾向があります。
ただ例外も多く、基本的には全国的な流行状況、および患者さん周囲の感染状況を参考にしつつ、必要に応じてインフルエンザや新型コロナウイルスの抗原検査を行います。
インフルエンザの検査は発熱から12時間以降48時間以内が最適です。
発症12時間以内は検査の精度が低く(インフルエンザ検査の正確性は5~7割程度)、かつインフルエンザ治療薬は発症から48時間以内の服用が効果的だからです。
治療については、健康な成人の多くは、自然に回復します。
インフルエンザ治療薬のタミフルは、解熱時間を約18時間短縮する効果がありますが、副作用の可能性もあります。
そのため、メリットやデメリットを踏まえ、患者さんの状態や希望を考慮して処方を判断しています。
関連記事:インフルエンザワクチンにかかる費用や値段はどれくらい?メーカーの種類によって効果は変わる?
西春内科・在宅クリニックでのインフルエンザの初期症状への対応
当院ではインフルエンザのワクチン接種や抗原検査、処方まで行っています。
重症の可能性がある場合は、大きい病院へ紹介することもできます。
インフルエンザに関してお困りの際や、ご不明な点がある場合は、お気軽にご連絡ください。
まとめ
インフルエンザは、風邪や新型コロナウイルスと初期症状が似ているため、早期の見極めが難しいです。
突然38℃の高熱が出たり、関節痛や筋肉痛などの症状が現れた場合は、インフルエンザの可能性があります。
早めに対策を取ることで、症状の悪化や感染拡大を防ぐことが出来ます。
症状が疑わしい場合は自己診断せず、必ず医師の診察を受けて適切な対応を行ってください。
参考文献
腹痛で辛い時のおすすめ市販薬ランキングを公開!
突然の腹痛は性別や年齢に関係なく誰にでも起こりうる症状です。
そのため、適切な対処法を知っておくことが大切です。
今回は、腹痛時に効く市販薬を原因別にランキング形式で紹介します。
腹痛の原因に合った市販薬を選ぶことで、早期に症状を和らげることができます。
腹痛の原因は痛みの部位によって異なる
腹痛が起きる場所によって、考えられる疾患が異なります。
そのため、腹痛が生じた際は、まずは痛みの部位を特定し、それに応じた対処を行うことが重要です。
上腹部痛
上腹部とは、おへその上から胸の下にかけての部分を指します。
上腹部に痛みが生じる場合、以下の疾患が考えられます。
- 胃炎
ストレスや食生活の乱れにより、胃の粘膜が炎症を起こすことがあります。 - 胃潰瘍
胃酸が過剰に分泌されると、胃の壁が傷つき、痛みを伴います。 - 胆石症
胆のう(肝臓の下にある小さな袋状の臓器)に石ができ、胆汁の流れが妨げられることで痛みが発生します。 - 膵炎
アルコールや膵石が原因で、膵臓に炎症が急激に起こります。
激しい痛みを伴い、即座に入院治療が必要です。
おへそ周辺の痛み
おへそ周辺の痛みには、以下の疾患が関連している可能性があります。
- 腸炎
細菌やウイルスの感染により、腸が炎症を起こしている状態です。 - 虫垂炎(盲腸)
初期にはへそのまわりが痛み、次第に右下腹部へ痛みが移動することが特徴です。 - 腸閉塞
何らかの原因で腸が詰まり、痛みを伴います。
下腹部痛
下腹部とは、おへその下の部分を指し、骨盤に近い領域を含む部分です。
下腹部に痛みがある場合、以下の疾患が考えられます。
- 過敏性腸症候群(IBS)
ストレスや食生活の乱れで腸が過敏になり、下腹部に痛みを感じます。 - 生理痛
女性に多く見られる、子宮の収縮が原因の痛みです。 - 膀胱炎
膀胱に細菌が感染し、下腹部に痛みが発生します。 - 便秘痛
便秘によって腹痛が起こることがあります。
関連記事:発熱で下痢が起こるのはなぜ?嘔吐なしの場合やコロナの可能性を解説
腹痛に効く市販薬の種類
腹痛の原因やタイプに応じて、選ぶべき市販薬も変わります。
ここでは、代表的な薬の種類とその効果を紹介します。
胃酸の分泌を抑える
胃酸過多でお腹が痛くなる時は、胃が必要以上の強い酸を作り出している状態です。
ストレスや食べ過ぎ、食事の内容によっても胃酸が増えることがあります。
そんな時に効果的なのが、胃酸の分泌量を調整してくれる薬です。
例えば、胸焼けや胃の不快感がある時に服用すると、痛みや不快感を和らげます。
- ガスター10
ヒスタミンH2受容体拮抗薬で、胃酸の分泌を抑えます。 - ガストール
胃酸を抑え、余分な酸を中和し、胸やけや胃の不快感を和らげます。 - パンシロン
胃酸の抑制や中和、消化促進成分を含む総合的な胃腸薬で、胃の不快感や胸やけに効果的です。
胃の粘膜を保護する
胃の内側には粘膜(保護層)があり、胃を食べ物や胃酸から守っています。
しかし、ストレスや不適切な食生活が続くと、粘膜が弱くなり、痛みや炎症を引き起こすことがあります。
例えば、コーヒーを飲み過ぎた後に、胃がキリキリ痛むことはありませんか?
このような時に、薬が粘膜を守り、痛みを和らげます。
- セルベール
胃の粘膜を覆って胃酸から保護し、痛みを和らげます。 - 大正漢方胃腸薬
生薬成分が胃の粘膜を保護し、胃痛や胸やけを緩和します。
特に、食べ過ぎや飲み過ぎの不快感に効果的です。 - パンシロンG
胃の粘膜を保護しながら、胃酸の過剰分泌を抑え、日常的な胃の不調を改善します。
体内の水分バランスを整える
脱水症状や電解質の乱れによって、腹痛が引き起こされることがあります。
運動中に汗をたくさんかいた後や、暑い日に水分を十分に摂らない時に腹痛を感じることがあります。
このような時は、水を飲むだけでなく、スポーツドリンクで電解質も補うことが大切です。
水分と電解質を補給することで体調が整い、腹痛も和らぎます。
- オーエスワン
電解質バランスを整え、脱水症状を改善します。
特に体調が悪い時に適しています。 - ポカリスエット
体液に近い成分で、素早く水分補給が可能です。
運動時や暑い日に最適です。
整腸作用がある
整腸作用のある薬は、腸の環境を整えることでお通じを改善し、お腹の不快感を和らげます。
普段からお腹が張ったり、ガスが溜まりやすい方には、腸内の細菌バランスを整えることが効果的です。
食生活の乱れやストレスで崩れがちな腸の状態を整えることは、毎日の体調管理にも大切な役割を果たします。
- ビオフェルミン
腸内細菌のバランスを整え、腹痛を和らげます。 - ラックビー
ビフィズス菌を含み、腸内環境の改善に役立ちます。
痛みの感覚自体を鈍くする
鎮痛剤は、神経が脳に痛みの信号を送るのを一時的に抑え、強い痛みを和らげる薬です。
主に頭痛や筋肉痛、手術後の痛みなどに使用され、腹痛も効果が期待できます。
ただし、使用する際は医師の指示を守ることが重要です。
- ロキソニンS
強力な鎮痛効果があり、即効性があります。
頭痛や生理痛、歯痛などに効果的です。 - バファリン
炎症を抑え、幅広い痛みに対応します。
特に頭痛や発熱時に使用されます。
食後・吐き気を伴う腹痛におすすめの市販薬ランキング
食後や吐き気を伴う腹痛に対する市販薬を、各種目別に紹介します。
1.ガスター10
主成分のファモチジンが胃酸の分泌を抑え、胃痛や胸焼けに即効性のある薬です。
食後の胃酸逆流や胃もたれに効果があり、長時間作用して不快感を速やかに和らげます。
また、1日1回の服用で効果が持続するため、忙しい日々の中でも使いやすいのが特徴です。
次のような方におすすめです。
- 脂っこい食事を摂った後に胃が重くなる方
- ストレスで胃酸が増える方
- 日常的に胃酸の多さが気になる方
2.ロキソニンSプラス
痛みを抑える成分ロキソプロフェンに加え、胃の粘膜を保護する成分を配合した市販薬です。
強力な鎮痛効果がありながら、胃への負担を軽減するため、食後に吐き気や腹痛を感じやすい方でも安心して使用できます。
急な痛みや炎症に素早く対応できるのが特長です。
次のような方におすすめです。
- 急な痛みや炎症に対応したい方
- 食後の吐き気や腹痛を和らげたい方
- 胃への負担が心配な方
3.エビオス錠
5歳以上の子どもから妊婦、授乳中の方まで、幅広い世代で使用できる市販薬です。
主成分のビール酵母にはビタミンB群、ミネラル、アミノ酸など、40種類の豊富な栄養素が含まれています。
これにより、胃の粘膜を保護し、消化をサポートするため、食後の胃もたれや吐き気、腹痛に効果的です。
さらに、栄養補給にも役立ち、胃腸の調子を整えることで、日常的な胃の不快感を和らげます。
次のような方におすすめです。
- 食後の胃もたれや吐き気がある方
- 胃腸の働きを整えたい方
- 栄養不足を補いたい方
関連記事:食べ過ぎて気持ち悪い時の対処法や原因を解説!次の日の過ごし方は?
下痢を伴う腹痛におすすめの市販薬ランキング
下痢を伴う腹痛には、次の市販薬がおすすめです。
ただし、感染症や食中毒が原因の場合、無理に下痢を止めると症状が悪化することがあります。
腹痛の原因を特定した上で使用することが重要です。
1.ストッパ下痢止めEX
ロペラミド塩酸塩が主成分で、腸の過剰な動きを抑えることで、即効性のある下痢止め効果を発揮します。
口で溶けるタイプの錠剤なので、水なしでも服用でき、急な下痢や腹痛にすぐ対応できるのが特徴です。
次のような方におすすめです。
- 急な腹痛や食べ過ぎによる下痢が心配な方
- 旅行や外出中に下痢が発生しやすい方
2.ビオフェルミン下痢止め
ビフィズス菌と生薬成分が、腸内環境を整えながら下痢を和らげます。
整腸作用が強く、日常的な下痢や軽度の腹痛に効果的です。
整腸効果を重視し、腸内環境を改善しながら下痢を治したい方におすすめです。
3.正露丸
正露丸の主成分であるクレオソートは、木を高温で蒸して作られる成分で、腸内の悪い菌を抑えて下痢や腹痛を改善する働きがあります。
腸の異常な動きを整えることで、食中毒や軽い腹痛にも効果があり、原因を問わず幅広い下痢に対応します。
独特な香りが特徴ですが、長年使用されている伝統的な成分です。
次のような方におすすめです。
- 多様な下痢の原因に対応したい方
- 伝統的で安定した効果を求める方
下痢症状が強く出る場合は、脱水症状になる恐れがあります。
上記の薬に合わせて、「オーエスワン」や「ポカリスエット」で水分と電解質を補充することも大切です。
緊張・ストレスが原因の腹痛におすすめの市販薬ランキング
緊張やストレスが原因の腹痛には、次の市販薬が有効です。
1.ストレージ胃腸薬
ロートエキスやパパベリン塩酸塩といった成分を含んでおり、ストレスや緊張で過剰に働く胃の筋肉をリラックスさせます。
これにより、胃の動きがスムーズになり、消化不良や食後の不快感を防ぐのに効果的です。
特に、ストレスを感じると胃に不調が出やすい方や、食後に胃が重く感じる方に向いています。
次のような方におすすめです。
- ストレスで胃が痛む方、または胃の不快感が続く方
- 胃の緊張をほぐし、胃の働きを整えたい方
2.太田胃散
ケイヒやウイキョウなどの自然由来の成分が多く含まれており、胃の働きを自然にサポートします。
特にこれらの生薬は、胃の痛みや胸焼け、消化不良に優しく働きかけ、ストレスで乱れた胃腸を整える効果があります。
次のような方におすすめです。
- 胃の不調や消化不良に悩む方
- 生薬でやさしく胃を整えたい方
- 穏やかな効果を求める方
3.セルベール
テプレノンという成分を含み、胃の粘膜を修復・保護する効果があります。
これにより、食べ過ぎやストレスなどによって胃が荒れるのを防ぎ、粘膜のダメージを軽減します。
次のような方におすすめです。
- ストレスや食べ過ぎで胃が痛む方
- 胃酸の分泌が多く、胃もたれや不快感を感じやすい方
- 胃が弱く、日常的に胃のケアが必要な方
関連記事:腹痛と「吐き気」「冷や汗」「顔面蒼白」「下痢」が同時に見られる場合に考えられる原因とは?
腹痛で病院を受診する目安
腹痛が起こった時、病院を受診すべきか迷うことがあります。
軽い痛みなら市販薬で対応できることもありますが、次のような場合は医師の診察が必要です。
- 痛みが急激に強くなったり、数日間続いたりする場合
- 発熱、嘔吐、血便、黄疸などの症状が伴う場合
- 過去に同じ場所での痛みを経験している場合
- 痛みが日常生活に支障をきたしている時
腹痛の原因は多岐にわたるため、適切な診断と治療を受けることが重要です。
市販薬で一時的に痛みを緩和しても、根本的な原因を見逃す恐れがあるため、早めに医師の診断を受けるよう心がけましょう。

医師の意見
腹痛で救急外来に受診しても、3割程度は診断がつかないと言われています。
腹痛の原因の中には急性膵炎や、胃潰瘍の穿孔(胃に穴が開く)など、緊急入院や緊急手術を要する致死的疾患もあります。
なので、自分で対処して悪化したり、症状が悪化するような場合は、早急に医療機関へご相談いただくのがおすすめです。
関連記事:腹痛が起こる・続く原因のまとめ|緊急性の高い痛みの特徴も解説
西春内科・在宅クリニックでの腹痛への対応
当クリニックでは、まず問診・診察を行い腹痛の原因を調べ、必要に応じてCTなども使用し、精密な検査を行います。
そして原因や症状に合わせたお薬の処方します。
診察の結果、重症と診断した場合は入院可能な病院へ紹介状の作成が可能です。
まとめ
腹痛はその原因に応じた適切な対処が求められます。
市販薬を選ぶ際には、原因を考慮して、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
また、腹痛が長引く場合や症状が重い場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。
市販薬はあくまで一時的な対処法であり、根本的な原因を治療するものではないことを忘れないでください。
参考文献
新型コロナの味覚障害はいつからいつまで?治るまでの期間や治し方を解説
日本での新型コロナウイルス感染者の中で味覚障害の発生数は、過去の全国調査で年間約24万人と報告されています。
決して少ない人数ではなく、味覚障害は誰にでも生じる可能性のある症状です。
新型コロナウイルス感染症に罹患した後、ほとんどの方は時間とともに症状が改善します。
しかし、後遺症として味覚障害になってしまう人が存在しています。
新型コロナウイルス感染症にかかると回復した後にも後遺症として、以下の症状などが見受けられる場合もあります。
- 微熱・発熱
- 呼吸困難
- 咳
- 倦怠感
- 脱毛
- 集中力の低下
- 精神症状
厚生労働省が改訂した後遺症についての診療の手引きによれば、日本で新型コロナウイルスの代表的な後遺症として以下の症状を含む約20種類の症状が挙げられています。
- 疲労感・倦怠感
- 関節痛
- 嗅覚障害
- 味覚障害
- 睡眠障害
後遺症に関して現時点でも不明なことが多く、国内外を含めてさまざまな調査が行われている段階です。
今回は、新型コロナウイルス感染症の後遺症である味覚障害や嗅覚障害に関する発症原因や治療方法などについて解説していきます。
新型コロナによる味覚障害の原因
新型コロナウイルス感染症や、その後遺症の特徴的な症状として話題になった嗅覚障害は、「嗅細胞」と呼ばれるにおいを感じる細胞がダメージを受けることによって出現することが段々とわかってきました。
新型コロナウイルスは、細胞の表面にあるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体という細胞と結合して細胞内に入り込んで増殖します。
このACE2受容体は鼻の上皮細胞で多く発現しています。
また、このACE2受容体の発現は小児では少なく、年齢を重ねるにしたがって多くなることが報告されています。
味覚障害自体の症状は匂いの感覚が弱くなる、あるいは匂いをまったく感じなくなる嗅覚障害に伴う風味障害も同時に発生することによって出現する場合が多くあります。
関連記事:倦怠感・だるさが続くのは新型コロナ?後遺症や治療方法などを解説
味覚障害のセルフチェック
新型コロナ後遺症では、味覚障害がみられることがあります。
味覚障害とは味に対する感度が低下して、味を感じなくなる状態のことです。
特に30歳代以下の若年者に多いといわれています。
味覚障害には、以下のチェック項目のなかで1つでも該当すれば、味覚障害である可能性があります。
- 味を感じない
- 食べ物がおいしくない
- 本来の味と違って感じる
- 常に口の中が苦い
- 甘みや酸味、塩味など特定の味が分からない
- 調味料をいつもより多く使うようになった
軽度の嗅覚障害は自覚されにくいことから、客観的な嗅覚検査を行い嗅覚障害の早期診断につなげることが重要です。
「簡易嗅覚確認キット」では、嗅覚のみを刺激するニオイ物質を選択して、1キットで複数回利用できる検査手段となっています。
以下の症状など嗅覚異常を感じた場合は、ウイルス感染により嗅粘膜がダメージを受けている可能性が考えられます。
- 急に匂いを感じなくなる
- 何もないところで匂いがする
- いつもと同じように匂いが感じられない
味覚障害はいつからいつまで?治るまでの期間は
新型コロナウイルス感染症での味覚障害自体は自然に回復することも多くあります。
症状を有する人の60〜80%は2週間以内に改善するとの報告が多く、決して治療を急ぐ必要はありません。
味覚障害が出る際には、以下のケースがあります。
- 新型コロナ後遺症として病気になりはじめの時期から持続するケース
- 発症直後から回復した後に新たに出現するケース
症状の程度は変化しやすくいったん症状が治まった後に再び症状が現れることもあります。
味覚障害や嗅覚障害が治るまでの期間については、症状の経過は個人差があり、一般的に感染後1か月程度で自然に治癒する例が多いと考えられています。
後遺症全般では、半数以上が5か月以内に症状の改善を自覚する一方で、1年以上後遺症が続くケースも見受けられます。
関連記事:コロナ後遺症による倦怠感の特徴は?受診の目安や対処法について解説
そもそも味覚障害とは?

味覚障害とは
味に対する感度が鈍くなり、味を感じなくなったり、味が分かりづらくなったりする症状全般を「味覚障害」と呼んでいます。
味覚障害を発症する人の数は、高齢化やストレスを感じやすい社会のなかで増加傾向を示しています。
通常、口に入れた食べ物の味を脳に伝達する「味蕾(みらい)(*1)」という味覚受容器の数が減少すると、味覚が減退して、味覚障害を生じます。
味覚異常の原因のうち、ほとんどが味蕾の減少によるものです。
しかし、脳腫瘍や外傷などが原因で神経に異常が生じて味が分からなくなる、神経性の味覚障害も存在します。
味覚障害の症状は「味覚低下」と「異味覚」の大きく2種類に分けられています。
味覚には以下の5種類が存在しています。
- 甘味
- 酸味
- 塩味
- 苦味
- うま味
味覚低下とは、これらの5つの味覚が減退したり、全く感じなくなったりする症状のことです。
稀にある特定の味だけを感じなくなることもありますが、ほとんどの例では5つの味覚全てにおいて感度が低下すると言われています。
異味覚とは、本来は感じるはずのない味を感じる症状を指しています。
例えば口の中で常に渋味が感じられるといった症状が認められます。
味蕾(みらい)(*1)=味細胞の集まりで、甘味・苦味・塩味・酸味などを感じることができる |
味覚障害の原因
味覚障害を引き起こす原因について、未だ解明されていない点も多いです。
特定の原因だけでなく、複雑な要因が影響し合っている例もあると考えられています。
現時点で判明している代表的な原因として、以下のようなものが挙げられます。
- 加齢
- 栄養不足
- 薬の副作用
- 慢性的な病気
特に、加齢に伴って味覚障害が多くみられるといわれています。
高齢者では加齢によって味蕾の数が減少し、味蕾が味を感じる機能自体も年齢を重ねるごとに低下してしまうのです。
そのため、高齢者では味覚障害を生じやすい傾向にあります。
若い世代でも、ストレスや偏食などのさまざまな要因によって、味覚障害を起こす場合があります。
味蕾の減少を予防するには
味蕾の新陳代謝に必要不可欠なのが、「亜鉛」という栄養素です。
食事から亜鉛の摂取量が不足すると、味蕾に機能低下が生じて味覚に異常が出現する場合があります。
亜鉛以外にも、鉄分の摂取不足で鉄欠乏性貧血の状態になると、舌の表面が赤くつるつるになり、味覚障害が起こる場合もあると言われています。
さらに、鉄の吸収には「ビタミン」が関連しています。
亜鉛や鉄だけでなく、ビタミン不足にも注意することが必要です。
ビタミンの中でも「ビタミンB12」の摂取が不足すると、舌の粘膜に異常を生じて味覚障害の原因になることがあります。
ビタミンB12以外にも、ビタミンB2の摂取不足によって、口内炎や舌炎といった症状が引き起こされることで味を感じにくくなる場合もあります。
病気の薬の副作用や病気自体が原因になることも
以下の病気などの薬の副作用でも味覚障害を生じることもあります。
しかし、多くの場合には服薬の中止と共に徐々に味覚が改善します。
- 糖尿病
- 高血圧
- 関節リウマチ
- パーキンソン病
- 消化性潰瘍
その他、がんや中耳炎、精神疾患などの病気そのものが原因で味覚障害が生じる場合もあります。
特に心身症、神経症、うつなどが関連している心因性の味覚障害については、60代の女性に圧倒的に多く発症するといわれています。
新型コロナウイルス後遺症以外での嗅覚障害の原因として最も多いのは慢性副鼻腔炎です。
慢性副鼻腔炎は、鼻汁が漏出して鼻づまりを引き起こすなどの慢性的な症状が12週間以上に渡ってなかなか改善しない状態を指しています。
この病気は、風邪症状に関連して細菌感染をベースにして急性副鼻腔炎の状態から続発することが知られています。
成人では鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)(*2)、小児ではアデノイド肥大(*3)なども発症のリスク因子と捉えられています。
鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)(*2)=鼻中隔が強く曲がっているために、いつも鼻がつまったり、鼻出血が多くなったり、口呼吸やいびきなどの症状 アデノイド肥大(*3)=鼻の突き当たりの部分であり、鼻からのどに移行する部分でもある上咽頭にあるリンパ組織のかたまりをアデノイドいい、このアデノイドが色々な原因で大きくなり、鼻や耳に様々な症状を引き起こすこと |
亜鉛が味覚障害に効果がある?
新型コロナウイルス感染症の後遺症としての味覚障害では亜鉛を摂取することで有効性があるかどうかはケースバイケースです。
亜鉛不足での味覚障害と診断された場合には、亜鉛を含む薬が処方されるケースが多くなっています。
栄養不足が原因の味覚障害では、不足している栄養素を補給することで、すぐに症状の改善がみられるケースもあります。
亜鉛の内服薬には、飲み合わせに注意が必要な薬もあります。
市販薬などを併用する場合は、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。
亜鉛を多く摂取できる食べ物は?
亜鉛は、以下の食材などに多く含まれています。- 生かき
- 煮干し
- しらす
- かつお節
- ほたて
- うなぎ蒲焼き
- 豚レバー
- 鶏肉
- 枝豆
- たけのこ
- ごぼう
- 納豆
- あずき
- そば
- 牛乳
- チーズ
亜鉛とは体内に存在する量が最も多いミネラルであり、生命維持に欠かせない役割を担っている栄養素のひとつです。
18歳以上の亜鉛の推奨摂取量は男性では10〜11mg、女性では8mg程度です。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、亜鉛の平均摂取量は20歳以上の男性で9.2mg、女性で7.7mgになります。
そのことから、男女共に推奨されている摂取量よりも実際の摂取量が下回っていることがわかります。
亜鉛は主に骨格筋・皮膚・肝臓・膵臓・前立腺・脳・腎臓などの臓器に存在しています。
約300種類以上の酵素の構成要素として重要な働きを担っている必須ミネラルの1つです。
人の身体は基本的には亜鉛を作り出すことができませんので、普段の食事やサプリメントなどから亜鉛を摂取する必要があります。
味覚障害予防のためには、日々の食生活が重要です。
普段の食生活で心がけたいことは、以下などが挙げられます。
- 栄養バランスよく亜鉛や鉄分が多く含まれる食品を積極的に摂取する
- たんぱく質やビタミンを同時に摂取して鉄分の吸収率を上げる
関連記事:動悸や息切れが治らない|原因はコロナの後遺症?ストレス?対処方法について解説
漢方による味覚障害の治し方
新型コロナウイルス感染症の後遺症、あるいは原因が特定できない味覚・嗅覚障害に対しては、漢方薬の使用が検討されることもあります。
漢方薬のなかでも、特に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) という漢方薬が味覚・嗅覚障害の症状に対して有効だということがわかってきています。
過去の調査では、風邪症状後に特に嗅覚障害を訴える患者さんに当帰芍薬散を服用してもらったところ、3か月で3割以上の人に症状の改善がみられました。
同時に、1年の期間に漢方薬の服用を続けた場合は約8割が症状改善したという報告があります。
当帰芍薬散を服用した場合は、自然治癒の場合と比べて、特に嗅覚障害に対する高い治療効果が得られています。
さらに、通常嗅覚障害の治療で使用されるステロイド薬と比較しても、当帰芍薬散のほうが高い治療効果を示したとも言われています。
味覚障害や嗅覚障害が短期間で劇的に改善する治療法は、現状見つかっていません。
しかし、当帰芍薬散の服用を中心に効果的な治療を地道に続けるのが、症状改善に向けた一番の近道と考えられます。
その場合は、病院での治療とコロナ専門外来を受診されることをお勧めします。
西春内科在宅クリニックができる対応
味覚・嗅覚障害は通常、自然治癒するとされているため、休息を取ったり生活習慣を整えたりして過ごすことが大切です。
しかし、これらの症状が2週間以上続くなど気になる症状がある場合は、西春内科・在宅クリニックを始め、かかりつけ医や近隣の医療機関に相談してください。
西春内科・在宅クリニックでは、後遺症に悩む患者さんの症状をお伺いして後遺症が少しでも早く改善されるよう症状に合わせた治療や処置を行っています。
新型コロナウイルス感染症に関連した味覚・嗅覚障害が疑われる場合には、嗅覚刺激療法、漢方薬、ステロイド点鼻などの治療を組み合わせて対応します。
もし、ご家族や自身について気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。
まとめ
新型コロナウイルスは肺炎などの呼吸器感染症を発症するとともに味覚障害や嗅覚障害を認めるケースもちらほら見受けられています。
後遺症が起こるメカニズムがわかっても、長い間、味覚や嗅覚の異常に悩まされている人は、希望が持てなくなることもあるでしょう。
新型コロナウイルス感染症に感染していから、以下の気になる症状などがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 味を感じにくい
- 変な味がする
- 食べ物の味が以前と変わった
- においを感じない
- 変なにおいがする
- 何をかいでも嫌なにおいがする
味覚障害や嗅覚障害を認める際には、新型コロナウイルスに感染して後遺症を患っている可能性も想定されます。
速やかに最寄りのクリニックや診療所を始めとする医療機関や相談窓口に足を運ぶことをお勧めします。
今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。
参考文献
・厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について」
・eHealth clinic HP「新型コロナウイルス感染症の後遺症にある味覚障害の特徴とは? ~特に30歳代以下の方に多く発症している~」
圧迫骨折でやってはいけないこと4選!自宅療養のポイントについて解説
圧迫骨折とは尻もちなどのケガで背中の骨(椎体)がつぶれて扁平になってしまう骨折です。
高齢の女性に起こりやすく、骨粗しょう症(こつそしょうしょう)によって骨が弱くなっていることが大きな原因です。
今回は、圧迫骨折が高齢者に多い理由や、放置した際のリスク、治療方法などについて詳しく解説していきます!
ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の治療にお役立てください。
圧迫骨折が高齢者に多い理由
圧迫骨折が高齢者に多い原因として、骨粗しょう症と背中の曲がりが挙げられます。
それぞれについて解説していきます。
骨粗しょう症とは

骨の量(骨量)が減ってしまい骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
日本では約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。
骨が弱くなってしまうと背中の圧迫骨折の他に、手首や上腕骨の付け根、股関節の骨折を起こしやすくなってしまうのです。
骨粗しょう症になる原因として、主に老化と女性ホルモンの減少が挙げられています。
骨は皮膚や髪の毛と同じように新たに作られること(骨形成)と溶かして壊される(骨吸収)新陳代謝を繰り返しています。
骨粗しょう症は、このバランスが崩れることで起こり、閉経によって女性ホルモンが減少することが大きな原因です。
背中の曲がりとの関連
背中の骨は椎体といって、首、胸、腰の部分で頚椎、胸椎、腰椎の3つに大きく分かれています。
背骨は進化の過程において、立った姿勢を保てるようにS字のカーブを描いています。
そのため、カーブの曲がっている部分で負担が大きくなりやすく、胸椎の下の部分と腰椎の部分で圧迫骨折が起こりやすくなるのです。
また、1箇所で骨折が起きてしまうと、背骨の前方の高さが減ってしまうことで姿勢が悪くなっていきます。
そうすると、重心が前に移動して、てこの原理により背骨の負担が増加してしまい、次々と骨折を起こしてしまう可能性が高くなります。
そのため、初めの骨折を起こさないようにすること、初めの骨折の段階で骨粗しょう症の治療を始めることが大切でしょう。
関連記事:高齢者の足のむくみの原因とは|放っておくと危険な理由も解説
圧迫骨折は気づきにくい?放置するリスクについて
通常の圧迫骨折は尻もちをつくなどのケガが原因で起こり、寝返りや起き上がりなどの動作ができないくらいの腰痛があるので気づくことが多いです。
しかし、特に背中が痛くなった経験がないのに、レントゲン検査をして背骨が骨折をしていたということがわかる「いつのまにか骨折」が多いのも圧迫骨折の特徴です。
ほとんどの圧迫骨折は保存治療といって手術をせずに安静や腰のバンド、コルセットなどで治療をしていきます。
しかし、手術が不要だからといって放置することは禁物です。
稀に圧迫骨折で潰れた骨が神経を圧迫して、足の麻痺や排尿・排便の感覚がわからなくなることがあります。
また、圧迫骨折の原因として骨粗しょう症が隠れていることが大半なので、放置することによって、さらなる骨折を起こしてしまう可能性もあるでしょう。
そのため、圧迫骨折と診断されたら、放置をせずに医師の指示に従い治療を始めることが必要です。
関連記事:尿路感染症に高齢者がなりやすい理由|原因と症状について解説
圧迫骨折でやってはいけないこと4選

圧迫骨折では背骨に負担がかかる動作をすることで痛みが悪化したり、背骨がより潰れてしまうことがあるので、控えるべき動作があります。
圧迫骨折で控えるべき動作について解説していきます。
仰向けに寝る
背骨への負担を避けるためには横向きで寝るのがお勧めです。
仰向けの姿勢は背骨への負担が大きいことがわかっているので、できるだけ控えるようにしてください。
前かがみになる
前かがみの姿勢は骨折部を上下から圧迫する力がかかるので、避けることが必要です。
日常動作で多く行う姿勢ですが、痛みが強くできないことがほとんどですし、やりすぎると背骨がつぶれてしまう原因になります。
できるだけ家族に介助してもらったり、ハンドキャッチャーを使用して前かがみはしないようにしましょう。
重いものを持つ
重いものを持つ時には力学的に腰に大きな負担がかかっています。
そのため、痛みが悪化する原因になるのでしないようにしてください。
体をひねる
体をひねる動作も痛みの悪化の原因になります。
特に骨折をして初めのうちは寝返りもできないくらいの痛みとなります。
そのため、悪化しないように、できるだけ体をひねらないようにして過ごすようにしてください。
関連記事:【治る認知症】高齢者がなりやすい水頭症の症状から原因、治療について解説
圧迫骨折の治療について
治療の基本は安静や腰のバンド、コルセットを使った保存治療と、骨粗しょう症の検査・治療です。
保存治療では痛みが和らぐまで安静にして、腰のバンドやコルセットで腰を保護します。
特に骨折をしてから1ヶ月の間は骨折している部分が不安定で潰れる可能性があるので、注意が必要です。
可能であれば病院でコルセットを作成してもらい、背中を曲げる動作は控えるようにしましょう。
痛みの期間ですが、早い人では2週間から、多くの人では3~4週から骨が形成されてきて痛みが楽になります。
しかし骨が硬くなるまでは数ヶ月かかるので、骨折がしっかり治るまでは無理をしないようにすることが大切です。
ご高齢の方の圧迫骨折はほとんどの場合、骨粗しょう症が原因です。
病院で血液検査や骨密度検査を行い、今後の骨折予防のために治療を始めることが勧められます。
骨粗しょう症の予防には以下などが有効です。
- カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質の摂取
- 禁煙
- アルコールは控えめ
- 運動
- 日光浴
カルシウムやビタミンDは骨を強くする成分ですが、日本人では不足しがちなのでサプリメントも併用して十分に取るようにしてください。
またタバコ、アルコールは骨を弱くしてしまうので控えるようにし、逆に運動は骨を強める作用があるので積極的に行うようにしましょう。
また、日光浴をすることで体内でビタミンDが作られるので1日20〜30分程度行うことが勧められます。
またお薬での治療もあります。
健康な骨は作られる(骨形成)のと壊される(骨吸収)ことのバランスが保たれていますが、骨粗鬆症では骨吸収の作用が強くなっています。
そのため、骨吸収を抑制させたり、骨形成を強めることで骨を強くすることが可能です。
お薬はたくさんの種類があり、患者さんの年齢や状態によって選択されます。
詳しくは担当の医師とよく相談することが大切です。
圧迫骨折になったら入院が必要?自宅療養のポイントについて

圧迫骨折になってしまっても必ず入院が必要なわけではありません。
痛みの程度が強く、自宅で生活ができない場合には入院が必要ですが、痛みが軽度で家族が介助できる時にはご自宅で治療することもできます。
自宅療養の際のポイントについて解説します。
安静にする
骨折部に骨が作られて痛みがやわらいでくる2-3週間まではできるだけ安静にするようにします。
姿勢に注意する
前かがみや腰をねじる動作は痛みの悪化の原因になるのでしないようにしましょう。
コルセットを使用する
病院でコルセットを処方してもらい、できるだけつけておくようにしましょう。
コルセットを使うことで、腰が保護されて痛みが軽減します。
痛みや骨折の状態にもよりますが、およそ2-3ヶ月程度の装着が目安です。
あまり長期間の使用は背中の筋肉が衰える原因になるのでおすすめできません。
医師からの指導を守ることが大切です。
薬を使用する
痛みが強い場合には市販薬や病院で処方された鎮痛薬を使用しましょう。
鎮痛薬は飲み薬、坐薬、湿布など色々あるので組み合わせて使うことがおすすめです。
関連記事:高齢者に多い骨折の部位を解説|治癒期間や手術ができない場合について
病院やクリニックでの処方について
病院やクリニックでは鎮痛薬、コルセットを処方してもらうことができます。
また必要に応じてブロック注射やリハビリを行うこともありでしょう。
鎮痛薬はロキソニンやアセトアミノフェンなどの成分があり、これらを組み合わせて処方されます。
また飲み薬、坐薬、湿布などの種類があります。
コルセットはご自分で購入すると高額ですが、圧迫骨折に対するコルセットは健康保険が適応されるので実費の1〜3割の負担で購入することができます。
さらに、痛みを軽減させるブロック注射や筋力が低下している時にはリハビリが行われる場合もあります。
骨折によって寝たきりになってしまわないようにしっかりと治療を受けることが大切です。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科・在宅クリニックでは、丁寧な問診と診察を行い、レントゲンなどを用いて診断をします。
痛みがある場合、鎮痛剤などの処方を行えますのでまずはお気軽にご相談ください。
当院だけでは症状が悪化していると判断した場合には近隣の病院へ紹介することもできます。
まとめ
今回は、圧迫骨折が高齢者に多い理由や、放置した際のリスク、治療方法などについて詳しく解説しました。
圧迫骨折は高齢の方によく起こる背骨の骨折です。
痛みがよくなるまで数週間、治るまで数ヶ月かかります。
また、ほとんどの場合で骨粗しょう症が原因です。
放置しておくことで痛みが長引いたり、さらに骨折を起こしてしまうことがあります。
そのため、初期の段階からしっかりと治療をすることが大切です。
お困りの症状がありましたらいつでもご相談ください。
参考文献
‣日本整形外科学会.脊椎椎体骨折
‣日本骨折治療学会.骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折
‣日本整形外科学会.骨粗鬆症(骨粗しょう症)
‣腰椎圧迫骨折の原因・症状・治療法などについて解説
‣圧迫骨折でやってはいけないことは?正しい動作とリハビリを解説
‣圧迫骨折とは?自宅療養のポイントや痛みを和らげるコツを解説
ストレス性胃腸炎とは?何日で治る?仕事は休むべき?
ストレス社会ともいわれる現代、多くの人がストレスが原因で様々な不調を抱えています。
ストレス性胃腸炎はその代表的なもののひとつ。
これらを治すには原因となるストレッサーから離れることが一番ですが、仕事や人間関係など、すぐには離れられないことがストレッサーとなっている場合もあるでしょう。
本記事ではストレス性胃腸炎は何日で治るのか、また、症状が出た時にどのように対処すればよいのかお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
ストレス性胃腸炎とは?何が原因?
ストレス性胃腸炎とは、ストレスが原因で胃腸といった消化器官に様々な症状を呈する疾患を総称したものです。
過敏性腸症候群などもこの中に含まれます。
ここでは、ストレスがかかることでどのようにして胃腸に症状が出るのか見ていきましょう。
過剰に消化液が分泌される
胃酸などの消化液の分泌量はホルモンの働きによって調節されています。
しかしストレスによってホルモンバランスが乱れることで、必要以上に消化液が分泌されるようになります。
それによって胃や腸の内部がただれたり荒れたりしてしまうと、痛みを引き起こすことがあるのです。
胃腸の働きが弱くなる
「胃は第二の心」という言葉があるように、胃は精神的な影響を非常に受けやすい臓器とされています。
強いストレスがかかると、先述した胃酸が過剰分泌されるのとは反対に胃腸の働きが弱まることもあり、こうした状態になると消化不良に陥り、胃のもたれを感じたり便秘になったりすることがあります。
ストレス性胃腸炎というと急な腹痛や下痢を想像することが多いかと思いますが、胃腸の働きが弱まることで様々な症状を起こすパターンもあるということを覚えておくと良いでしょう。
関連記事:高脂血症になりやすい原因とは?脂質異常症との違いや治療について
関連記事:気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です
ストレス性胃腸炎は何日で治る?
結論から言うと、ストレス性胃腸炎は人によって症状や重症度も様々。
そのため「何日で治ります」と断定することはできないのが現状です。
数日休めば症状自体は落ち着くケースも
強いストレスによって一時的に胃の働きが過剰になったり弱まっているパターンでは、少し休むことで症状自体が落ち着くケースもあります。
しかし、これはあくまで一時的なものなので、また強いストレスに晒されれば再び症状が現れてしまうでしょう。
こうした状態が長い期間続いている場合は慢性的なストレス性胃腸炎となっている可能性が高いので注意が必要です。
完治させるにはストレッサーの排除が必要
先ほども述べたとおり、ストレス性胃腸炎を完治させるには、大元の原因となっているストレッサーを排除する必要しなければなりません。
とはいえ、仕事や学校など、切り離したいからといってすぐに切り離せるものではないことがストレッサーになっているケースは多いです。
こうした場合にはまず医師に相談し、症状に対して適切な治療を行いながら、少しずつでもストレッサーから離れられるように動いていく必要があるでしょう。
ストレス性胃腸炎かな?と思ったら
ストレス性胃腸炎は、その他の消化器系疾患と症状がよく似通っており、特定するのが難しいです。
下記にセルフチェック項目を用意したので、最近胃腸の調子が悪いという方はチェックしてみてください。
- 緊張で胃がキリキリする
- みぞおちのあたりがむかむかする
- 食べた物が胃に残っている感じがある
- 胃酸が喉まで上がってくることが多い
- 起床時に胃のむかつきや吐き気がある
- 食欲が湧かない
- 便秘や下痢を起こすことが多い
- 寝付きが悪く、眠りが浅い
- 寝ても疲れが取れない
- 肩こりや腰痛がある
- 何に対してもやる気が起きない
- 些細なことでイライラする
- 記憶力が低下してきた
- 集中力が続かなくなってきた
- 悩みや不安なことがある
- 周囲に気をつかうことが多いと感じる
- 生活リズムが不規則である
- リラックスできる時間がない
一見関係なさそうな症状もありますが、消化器系の不調に加えて上記のチェック項目に多く該当するほど、ストレス性胃腸炎である可能性が高いといえます。
ここからは、ストレス性胃腸炎になったときの対処について説明します。
安静にする
腹痛や下痢、便秘など、消化器系の症状が見られたら、まずは安静にするのが第一です。
人間は日常生活の中で自覚できないストレスを多く受けていますが、健康体でいるときは体にまで不調が現れることは極めて稀です。
しかし、ストレス性胃腸炎のときは体がストレスに対して敏感になっているため、些細なストレスでも症状が悪化する恐れが。
そのため、不調の原因としてストレスが考えられる場合は、できるだけ体が外部からの様々な刺激を受けにくいような状況を作ることが必要です。
水分と塩分を補給する
ストレス性胃腸炎で下痢や嘔吐などがある場合は、水分と塩分の摂取を欠かさないようにしましょう。
下痢や嘔吐が続くと、体内から水分と塩分などのミネラルが徐々に失われていき、脱水症状に陥ってしまいます。
脱水状態が続くとふらついたり意識がもうろうとするなどといった症状が起こり、倒れた際に頭をぶつけるなど、二次的な被害に繋がる恐れも。
そのため胃腸炎のときは、食欲がなくてもこまめに水分と塩分を摂取をすること必須です。
スポーツドリンクや経口補水液を摂取するようにしましょう。
ちなみに、緑茶やコーヒーはカフェインを多く含んでおり、利尿作用が強いため、水分補給として飲むのには適していません。
食事は刺激物を避け消化吸収のよいものを摂る
下痢や嘔吐などが激しいときは無理に食事を摂る必要はありませんが、症状が軽快し食欲が戻ってきたら食べる物に気を配る必要があります。
基本的には消化と吸収のよいものが胃腸に負担をかけにくくておすすめです。
以下に消化と吸収のよい食べ物の例を挙げますので、参考にしてみてください。
- おかゆ
- うどん
- 大豆製品
- 野菜(白菜、大根、キャベツなど水分を多く含むもの)
- 乳製品
- 果物(リンゴ・バナナなど)
反対に揚げ物や味の濃いもの、刺激物は胃腸への負担が大きいため避けるようにしましょう。
薬を飲む
どうしても耐えられない症状があるときは、薬を服用するのも選択肢のひとつになります。
ただし症状に合わせて適切な薬を飲まないと逆効果になってしまう可能性もあるため、できれば医師から診断を受けて処方された薬を飲むのが良いでしょう。
悪い例をひとつ挙げるとするなら、消化不良を起こしているときに胃の働きを弱めて胃酸の分泌を抑える薬を飲んでしまうと、さらに胃腸の働きが弱くなり、胃のむかつきが強くなったり嘔吐したりしてしまう恐れがあります。
薬を服用する場合は、それぞれの症状に対してピンポイントに作用するものを選ぶことが重要です。
医師に相談する
ストレス性胃腸炎はストレッサーから離れない限り完治させるのは難しいですが、仕事や学校などが原因である場合、そう簡単には離れられないケースも多いでしょう。
そのため症状に対して向き合いながら、ある程度の期間治療を行っていく必要があります。
また、適切な治療を行っていくためには医師の協力が不可欠です。
症状が現れたら、まずは先述した安静、水分(塩分)摂取、消化吸収のよい食事といった対応をとり、体が動く状態になったらかかりつけの医師へ相談するようにしましょう。
ストレス性胃腸炎のときは仕事を休むべき?
下痢や嘔吐などの症状がある場合は仕事や学校などを休まなければならないこともあるでしょう。
また、症状が軽快しても再びストレスに晒されてぶり返すこともあるため、どれくらいの期間休むべきかは慎重な判断が必要です。
当院の見解としては、ストレスの原因がどこにあるのかで対応が少し変わると考えます。
原因が仕事・学校の場合
一番強いストレスの原因となっているのが仕事や学校の場合は、症状や重症度によって一人ひとり期間は異なるかと思います。
しかし、とにかく一度しっかり休養することが重要です。
職場や学校で過ごす時間は1日の中の大部分を占めているため、長時間ストレスに晒され続けることになってしまい大変危険です。
医師に相談した際に診断書を作成してもらい、症状が軽快するまで療養に専念しましょう。
原因が仕事・学校以外の場合
ストレッサーが仕事や学校以外の場合は、最もひどい症状の山を過ぎたら、体調を見つつ学校や仕事に復帰しても問題ないでしょう。
ただし、仕事や学校が原因ではないからとって無理は絶対に禁物です。
必ず医師に相談し、指示された休むべきサインが出たら無理せず休むようにしましょう。
ストレス性胃腸炎はうつる?
ストレス性胃腸炎の原因は名前のとおりストレスであり、ウイルスや細菌ではないため直接的にうつることはないと考えられます。
ただし嘔吐の症状がある場合は、吐しゃ物に感染性の物質が含まれていると他人にうつる恐れがあるため、処理する際には注意しましょう。
ストレス性胃腸炎と虫垂炎の違い
突然の腹痛を訴えることからストレス性胃腸炎と間違えられやすい急性虫垂炎は、虫垂と呼ばれる袋状構造をする臓器に炎症・細菌感染が起きることで発症する病気です。
「盲腸」というと聞きなじみのある方もおられるのではないでしょうか?
腹痛・下痢・嘔吐・発熱が出現するなど腸炎と症状は似ていますが、最大の違いは、虫垂炎では痛みが定点的に起こることで、治療方針もストレス性胃腸炎と大きく異なります。
虫垂炎に関して詳しく知りたい方は、下記URLを参照してください。
関連記事:虫垂炎の原因や症状について知りたい!治療や手術は?
腹痛で悩む人はCT検査をおすすめ
腹痛を主症状とする疾患は多岐に渡り、それぞれで原因が異なります。
原因が異なれば治療法も異なるため、できる限り正確に診断することが早期回復への近道です。
腹部CTは腹部臓器を網羅的に検査することができるため、腹痛の原因を正確に診断できます。
腹痛で悩む方には、腹部CTは最適な検査の一つと言えます。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックにはCT機器を導入しており、常勤医にはレントゲンやCT画像の読影の専門家である放射線科専門医がおります。
腹部CT検査により急性腸炎を含む治療が必要な病変が見つかった場合には、消化器外科の手術が可能な診療を行っている病院をご紹介させていただきます。
まとめ
急性腸炎は一口に腸炎と言っても原因や対処法はさまざまです。
また急性腸炎に類似した疾患には命に関わる病気もあるため注意が必要な場合もあります。
腹痛や下痢・嘔吐で悩む人は、早めに医療機関を受診し、相談してみてくださいね。
参考文献
脱水症状の治し方を解説|速攻で効く方法やなりやすい人の特徴を紹介
脱水症状は、体内の水分と電解質のバランスが乱れることで引き起こされます。
水分不足は体の正常な機能に悪影響を及ぼし、症状が進行すると重篤な健康問題に発展する可能性があります。
特に、暑い気候や運動によって多量の汗をかくことや、下痢や吐き気などの症状がある場合は、脱水症状になりやすく注意が必要です。
この記事では脱水症状になりやすい人の特徴や下痢や吐き気が脱水症状を引き起こす理由、そして脱水症状になった際の速攻で効く治し方・対処法について解説します。
脱水症状になったときの速攻で効く治し方・対処法
脱水症状になった場合、以下の対処法を試してみてください。
水分補給を行う
脱水症状を改善するためには、こまめな水分補給が必要です。
飲み物としては、以下などが適しています。
- 清涼飲料水
- スポーツドリンク
- 水
- ハーブティー
特に体温が上昇している場合や激しい運動後は、スポーツドリンクなどで電解質も補給すると効果的です。
塩分を摂取する
汗によって失われた塩分を補うために、食事や飲み物に塩分を含んだものを摂取しましょう。
塩分の摂取によって水分吸収が促進され、脱水症状の改善に寄与します。
ただし、塩分の摂りすぎには注意が必要です。
経口補水液を使用する
脱水症状が進行している場合や症状が重い場合には、経口補水液(オーラルリアハイドレーションソリューション)を使用することがあります。
経口補水液には体内の水分と電解質を適切に補う成分が含まれており、効果的な水分補給を行うことができます。
適切な食事を摂る
脱水症状の改善には、バランスの取れた食事も重要です。
水分を含む果物や野菜、スープ、ジュースなどの摂取によって、水分と栄養素を補給することができます。
休息を取る
脱水症状が進行している場合や体調が悪い場合は、適切な休息を取ることが必要です。
体の負荷を軽減し、体内の水分の回復を促します。
脱水症状が重度である場合や症状が持続する場合は、医師の診断と指示に従いましょう。
また、個人の状況や健康状態に合わせて適切な対処法を選択することも重要です。
また、脱水症状になった際の治し方・対処法は以下です。
- こまめな水分補給
(清涼飲料水、スポーツドリンク、水、ハーブティーなど) - 塩分を摂取することで水分吸収を促進
(食べ物や飲み物に塩分を含んだものを摂取) - 経口補水液を使用
- 脱水症状が進行している場合や症状が重い場合には医療機関を受診
- バランスの取れた食事を摂る
- 水分を含む果物や野菜、スープ、ジュースなどを摂取
- 適切な休息を取る
- 体の負荷を軽減し、体内の水分の回復を促す
脱水症状は早期に適切な対処をすることが重要です。
重度の脱水症状や持続的な症状がある場合には、医師に相談し、適切な処置を受けることをおすすめします。
脱水症状の症状について
脱水症状の症状は以下などです。
これらの症状は、脱水症状が進行した場合によく見られるものです。
ただし、個人によって症状の出方や程度は異なる場合があります。
早期に脱水症状を察知し、適切な対処を行うことが重要です。
頭痛
脱水症状になると、体内の水分不足によって血液の循環が悪くなります。
これにより、脳への酸素や栄養の供給が減少し、頭痛が生じることがあります。
頭痛は脱水症状の初期段階でよく見られる症状です。
吐き気
脱水症状が進行すると、胃や消化器系の正常な機能が乱れることがあります。
これにより、吐き気や嘔吐の症状が現れることがあります。
また、水分不足によって血液中の電解質濃度が変化し、吐き気を引き起こすこともあります。
下痢
脱水症状は、腸内の水分の吸収能力を低下させるため、下痢を引き起こす可能性があります。
水分不足によって腸の運動が活発になり、便が軟化しやすくなるためです。
下痢によってさらに水分が失われ、脱水症状が悪化する恐れがあります。
熱
脱水症状では、体温調節がうまく機能しなくなることがあります。
その結果、体温が上昇し、発熱が生じることがあります。
脱水症状によって熱中症のリスクも高まるため、早めの対処が必要です。
しびれ
脱水症状になると、神経細胞の正常な機能が妨げられることがあります。
これにより、手足の痺れを感じることがあります。
神経伝達に必要な水分や電解質の不足が関与している可能性があります。
寒気と震え
脱水症状が進行すると、体内の水分不足によって体温調節が乱れます。
これにより、体温が下がり寒気や震えが生じることがあります。
脱水症状による低体温は、重篤な状態であり、速やかな処置が必要です。
脱水症状になりやすい人の特徴
脱水症状になりやすい人には、以下のような特徴があります。
高齢者
高齢者は、体内の水分調節機能が低下しているため、脱水症状になりやすい傾向があります。
また、高齢者の場合、水分の摂取量が十分ではない場合や、尿の排出能力が低下している場合も脱水症状が発生しやすくなります。
乳幼児と小さな子供
乳幼児や小さな子供は体表面積に対して体重が大きく、体水分量が多いため水分の需要が高いです。
また、子供は自己認識や自己管理能力が未発達であり、水分補給や適切な摂食に関して十分な注意が必要です。
激しい運動をする人
高強度の運動や長時間の運動を行うと、体内から多くの水分が失われます。
特に暑い気候下での運動や競技においては、発汗による水分喪失が顕著であり、脱水症状が発生しやすくなります。
運動前後の適切な水分補給が重要です。
慢性的な疾患を持つ人
慢性的な疾患や薬物治療を受けている人は、尿量や排尿頻度が変動し、体内の水分バランスが崩れやすい傾向があります。
また、一部の疾患や薬物は利尿作用を持ち、脱水症状のリスクを高めることがあります。
高温環境下で働く人
高温環境下での労働や作業は、発汗による水分喪失が増加し、脱水症状のリスクが高まります。
建設現場や屋外での労働、農作業など、高温多湿の環境で働く人は水分補給に特に注意を払う必要があります。
関連記事:高齢者の便秘は危険?主な原因や解消方法、病院での治療を解説
脱水症状で下痢や吐き気、頭痛が起きる理由
脱水症状によって下痢、吐き気、頭痛が起きる理由を解説していきます。
下痢
脱水症状による下痢の主な原因は、腸の水分吸収機能の低下です。
通常、腸壁は水分を吸収して固形の便を形成しますが、体内の水分不足によって腸壁の水分吸収が妨げられます。
その結果、便が軟らかくなり、下痢が起こりやすくなります。
また、脱水症状によって腸の運動が活発化し、便が急速に腸を通過することも下痢の原因となります。
吐き気
脱水症状が進行すると、体内の電解質バランスが乱れることがあります。
特にナトリウムやカリウムの減少が起こると、消化器系の正常な機能が妨げられ、吐き気や嘔吐の症状が現れることがあります。
また、脱水症状によって胃液の分泌が増加し、胃の刺激が強くなることも吐き気を引き起こす原因となります。
頭痛
脱水症状になると、体内の水分不足によって血液の循環が悪くなります。
これにより、脳への酸素や栄養の供給が減少し、頭痛が生じることがあります。
また、脱水症状に伴って血液中の電解質濃度が変動し、神経細胞の正常な機能が妨げられることも頭痛の原因となります。
脱水症状によって下痢、吐き気、頭痛が起きるのは、体内の水分と電解質のバランスが乱れるためです。
これらの症状は早期に対処する必要があります。
適切な水分補給と必要な栄養素の摂取が重要です。
関連記事:高齢者がなりやすい肺炎の症状|急変したときの対応や治療について
脱水症状かもしれないと思ったときのセルフチェック
脱水症状の疑いがあるかどうかのセルフチェックです。
以下を参考にしてみましょう。
脱水症状の疑いがある場合は、医師や専門家に相談することをおすすめします。
- 口渇感が強い
- 尿の色が濃い
- 尿の頻度が少ない
- 体重の変化を記録
- 体重が急激に減少している
- 疲労感や倦怠感がある
口やのどが渇いているかどうか
口やのどが渇いている感じがあるかを確認しましょう。
乾いた口や強いのどの渇きは、脱水症状の兆候となる場合があります。
尿の色を確認する
トイレで排尿をした後、尿の色を確認しましょう。
通常、十分な水分摂取をしている場合、尿は薄い黄色や透明な色をしています。
しかし、尿が濃い黄色や茶色がかっていたら要注意です。
尿の頻度をチェックする
通常、適切な水分摂取をしている場合、尿は数時間に一度出るのが一般的です。
脱水症状では尿の頻度が減少し、排尿回数が極端に少なくなることがあります。
体重の変化を記録する
日々の体重の変化を記録しておきましょう。
水分不足による脱水症状では、体重が急激に減少することがあります。
特に暑い季節や激しい運動を行った後は、体重の変動に注意が必要です。
疲労感や倦怠感があるかどうか
脱水症状になると、疲労感や倦怠感が強く現れることがあります。
体内の水分不足によってエネルギー供給が妨げられるため、疲労感が増加することがあります。
脱水症状で病院に行くべき目安
脱水症状は軽度から重度まで症状の程度によって異なります。
重度の症状が現れている場合
- 意識障害やめまい、ひどいめまい、めまいが続くなどの症状がある
- ひどい頭痛やひどい吐き気、嘔吐が頻繁に起こる
- 極度の口渇や喉の渇き、水分摂取後でも十分な改善が見られない
高リスクなグループに属している場合
- 年齢が高い方や乳幼児、高齢者など、特に水分バランスが維持しづらい
- 慢性的な疾患(腎臓疾患、心臓疾患など)を持っている
- 発熱や下痢、嘔吐などの症状が長期間続いている
症状が重篤化している場合
- 脱水症状の症状が進行しており、自己処置や水分補給では改善が見られない
- 脱水症状に加えて、血尿や尿量の減少、意識障害、冷や汗や冷感、極端な疲労感などの異常症状がある
これらの目安は一般的なケースに基づいており、個別の状況によって異なる場合もあります。
上記に当てはまらない場合にも、脱水症状が続く場合や不安がある場合には医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
脱水症状は何日で治る?
脱水症状の治癒期間は、その原因や症状の重症度、個人の健康状態などによって異なります。
一般的には、脱水症状が改善されるまでの期間は数時間から数日程度とされています。
軽度の脱水症状であれば、水分補給や適切な休息を取ることで症状が改善されることが多いです。
通常、軽度の脱水症状は数時間から1日程度で回復する場合があります。
しかし、症状が重度である場合や背後に潜在的な疾患がある場合、治癒にはより長い期間がかかる可能性があります。
例えば、以下などは治癒には数日から数週間以上かかることもあります。
- 病原体による感染症によって脱水症状が引き起こされた場合
- 慢性的な病気が背後にある場合
重要なのは、脱水症状が続く場合や症状が悪化する場合には、早期に医師に相談することです。
脱水症状の治癒期間は、個人の状態や症状の重症度によって異なります。
自己判断せず、医師の指示に従い、必要な治療を受けることがおすすめです。
西春内科・在宅クリニックができる対応
西春内科・在宅クリニックでは、脱水症状に対する適切な対応を行っています。
脱水症状を適切に診断し、症状の原因や重症度を判断し、適切な治療方法や処方薬を提案します。
必要に応じて経口補水液や点滴を用いた適切な水分補給を行い、体液バランスを正常化させます。
まとめ
脱水症状は、体内の水分不足によって引き起こされる状態であり、暑い環境や過度の運動、病気などが原因となります。
脱水症状には以下などの症状が現れます。
- 頭痛
- 吐き気
- 下痢
- 熱
- しびれ
- 寒気
- 震え
脱水症状が起きると、体内の水分バランスが乱れ、重篤な症状や合併症が生じる可能性があります。
そのため、適切な対処法や予防策が重要です。
脱水症状を予防するためには、十分な水分摂取と塩分の補給が必要になります。
特に暑い環境や運動時は、積極的に水分を摂ることが重要です。
西春内科・在宅クリニックでは、脱水症状に対して的確な診断と治療を提供しています。
脱水症状の重要なポイントは、早期の予防と適切な対処です。
適切な水分摂取や医師の指示に従い、脱水症状を予防・管理することが大切です。
参考文献
‣World Health Organization. (2005). The Treatment of Diarrhea: A Manual for Physicians and Other Senior Health
‣Workers. Retrieved
‣National Health Service. (2021). Dehydration. Retrieved
‣Mayo Clinic. (2021). Dehydration. Retrieved
‣American Academy of Family Physicians. (2020). Dehydration. Retrieved
‣UpToDate. (2021). Dehydration in adults. Retrieved