新型コロナの後遺症の一覧と症状が長引くときの対処法について

公開日:2022.12.09 更新日:2023.12.25

コロナ後遺症
新型コロナウイルスは感染した時の症状だけではなく、後遺症としてさまざまな症状を引き起こします。


症状も数週間くらいのものから、数ヶ月から1年と、長期間症状が続いてしまう方もいます。

今回は新型コロナ感染症の後遺症に多い症状と症状が長引く時にどうすればいいのかについて解説します。




新型コロナの主な後遺症について


コロナ後遺症

新型コロナウイルス感染後72.5%の方がなんらかの後遺症があるといわれています。

それぞれどのような症状がでるのか、順番にみていきましょう。

倦怠感、疲労感

だるい、疲れやすいという症状は40%と高い頻度でみられます。

その他にもブレインフォグと呼ばれる「頭の中にフォグ(霧)がかかったような状態」となり、集中力が低下したり、記憶の障害などが出ることなどがあります。

このブレインフォグなどの神経症状は、感染による症状が強く集中治療室で治療を要するような重症な方や、喫煙、女性、肥満、糖尿病の合併などがあると起こりやすいことがわかっています。

息切れ

息切れも36%と高頻度な後遺症の症状です。

コロナウイルス感染は単に肺炎を起こすだけではなく、心筋梗塞や心不全、不整脈、脳梗塞などの血管病変を起こすウイルスであることがわかっています。

心不全などからくる息切れや、肺炎による肺の機能低下による息切れなどが原因と考えられます。

◆動悸や息切れが治らない|原因はコロナの後遺症?ストレス?対処方法について解説

嗅覚障害

流行しているコロナウイルスの型にもよりますが、嗅覚障害は24%程度といわれています。

臭いがしない、変な臭いがするなどの症状がでます。

嗅覚障害はほとんどは1週間程度で改善するといわれています。

しかし、中には長期的に症状が残る場合もあります。

◆新型コロナ感染症の後遺症に多い味覚・嗅覚障害の治し方|亜鉛不足が原因?

不安

新型コロナウイルスが精神面に及ぼす影響は非常に大きく、コロナ禍のストレスや未知のウイルスへの恐怖からくる不安などが問題視されていました。

コロナ感染の後遺症としても、およそ22%の患者さんで不安や睡眠障害などの精神症状がでるといわれています。



コロナ感染で肺炎を起こすと、ダメージを受けた部分の肺機能が低下して咳や息苦しさの原因になります。

肺炎を起こさず、肺機能検査をしても異常がない場合にも17%程度で咳が長期的に残ってしまうことがあります。

味覚障害

コロナ感染後から、16%程度に味覚障害が出るといわれています。

味を感じにくい、味がしない、変な味がするなどが特徴的です。

◆新型コロナ感染症の後遺症に多い味覚・嗅覚障害の治し方|亜鉛不足が原因?


風邪やインフルエンザの後遺症との違い


コロナ後遺症

コロナ感染以外の風邪やインフルエンザウイルス感染症でも、後遺症が出ることがあります。

風邪はかぜ症候群というさまざまな感染症の総称で、以下のウイルスなどが原因となり、鼻水、鼻づまり、喉の痛みなどの風邪症状を引き起こします。

  • ライノウイルス
  • コロナウイルス(新型以外)
  • RSウイルス
  • パラインフルエンザウイルス
  • 細菌
  • マイコプラズマ

風邪は通常は後遺症を残さずに治ることがほとんどです。

しかし、肺炎、気管支喘息、中耳炎、ごく稀ではありますが心筋炎を合併することがあります。

このような合併症を起こすと後遺症を残す可能性が出てきます。

肺炎、気管支喘息の症状としては咳や呼吸困難、中耳炎は聴こえにくさなどがでることがあります。

心筋炎は不整脈や心不全を起こすために、治療期間が長くなる傾向にあり、心機能の低下に時間を要する場合があります。

インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症ですが、風邪よりも強い症状がでるのが特徴です。

また、合併症も起こりやすいといわれています。

インフルエンザで多い合併症としては、脳症、肺炎、心筋炎があります。

特にインフルエンザ脳症は10-35%と頻度が高く、特に5〜9歳のお子さんで起こりやすい怖い合併症です。

頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害などを起こし、命に関わる合併症です。

命は助かっても、長い期間意識障害が続いたり、知能障害、けいれん、麻痺などを起こす可能性があります。

新型コロナウイルス以外の後遺症と比較すると、新型コロナの後遺症の頻度は非常に高いです。

だるいだけなどの軽い症状から息苦しさ・動悸などの生活に支障がでるものまでさまざまであることが大きな違いです。

◆インフルエンザワクチンの副反応・副作用で起こる症状や出やすい人の特徴について解説!

新型コロナ感染症の後遺症が出やすい人の特徴


コロナ後遺症

コロナ後遺症の症状が出やすいリスク因子としては高齢、新型コロナ感染症急性期の症状の数が多いなどが挙げられます。

感染した時に肺炎を合併し、集中治療室で治療を要したような方は、後々の後遺症の数も、症状の程度も強くなる傾向があります。

また男女比を見ると、女性の方が後遺症の症状が長くつづく傾向があることがわかっています。

新型コロナ感染症の後遺症が回復する時期について


コロナ後遺症

後遺症の症状がどれくらい続くのかについては非常に個人差が大きいのです。

大半は時間経過とともに数週間程度で改善しますが、中には1年後も症状が残る方がいらっしゃいます。

新型コロナ感染症の後遺症は他人にもうつる可能性はあるのか


コロナ後遺症

新型コロナ感染症の急性期(発症2日前〜発症後7-10日)をすぎ、後遺症症状のみがある状態の場合、周りの方に感染をうつしてしまうリスクは低いと考えられます。

ただし、最近では変異株も複数見つかっており、一度罹患して後遺症のみがある状態でも、新型コロナに再感染してしまうことがあります。

引き続き感染予防対策を取った上で生活しましょう。



新型コロナワクチンは後遺症に効果があるのか


コロナ後遺症

新型コロナワクチン接種をして感染を予防できると、後遺症のでるリスクを減少させることができます。

ワクチンの予防効果は年齢によって若干変わります。

高齢者に対する発症予防効果はファイザー社、モデルナ社、武田社のいずれのワクチンも90%以上と報告されています。

ワクチンがすでにある後遺症を改善するかどうかは、研究結果はまだ出ておらずはっきりしません。

現時点では、感染してしまうまえにワクチン接種とマスク、手洗いなどの感染予防策が重要だと考えられます。

◆インフルエンザワクチンにかかる費用や値段はどれくらい?メーカーの種類によって効果は変わる?

もし症状が長引くときはどうすればいい?


コロナ後遺症

新型コロナ感染から時間がたっても症状が改善されない場合には、一度病院を受診しましょう。

後遺症の症状の多くは、後遺症だけに特徴的な症状ではなく、他の病気でも起こりえます。

まずは、後遺症なのか、それ以外の病気がないかどうかを調べる必要があります。

◆風邪をひいたかも・・病院に行くべきタイミングはいつ?風邪と症状が似ている病気の見分け方

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科・在宅クリニックでは、症状で辛い場合に、ご自宅にお伺いして診察を受けることができます。

後遺症に対しての特効薬というものはなく、症状に応じて薬を調節する対症療法が中心となります。

現在お困りの症状に対して適切な薬の処方や調節をさせていただきます。

症状でお困りの際にはご相談ください。



まとめ


今回は、新型コロナ感染症の後遺症に多い症状と症状が長引く時にどうすればいいのか解説しました。

新型コロナの後遺症は症状や程度も個人差が大きいです。

また、後遺症の症状に長い期間、苦しむ方もいらっしゃいます。

できることとしては、ワクチンや感染予防で新型コロナ感染にならないように気をつけていただくことが重要です。

新型コロナ感染症になってしまって感染症状や、後遺症にお困りの際には、医師の診察を受けましょう。

参考文献

新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 罹患後症状のマネジメント

日本呼吸器学会「かぜ症候群」

国立感染症研究所「インフルエンザとは」

厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」

この記事の監修医師

監修医師: 救急科専門医 新井 久美子 

監修医師: 福井 康大