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狭心症の原因や症状、治療について|心筋梗塞との違いは何?前兆がある?

「最近すぐに息があがって胸が苦しくなる」

「急に胸が痛くなることがある」


このような症状に心当たりはありませんか?


それ、もしかして狭心症かもしれません。


放っていると、心筋梗塞で命を落としてしまったり心不全に陥ってしまう危険があることをご存じですか?


今回はそんな怖い心臓の病気、狭心症について解説していきます。


心筋梗塞との違いなどについても触れていきますので、是非最後までご覧ください。


 狭心症とは

 

狭心症とは、心臓自体に血液を届ける血管である冠動脈が狭くなることで、心臓の筋肉が血流不足に陥る病気のことです。

 

そもそも心臓というのは、全身の臓器に血液を送り届けるためのポンプの役割を果たしている臓器です。

 

心臓がドックン、ドックン、と規則正しく動くことにより全身に血流が行きわたり、そして筋肉を動かしたり食べ物を消化吸収出来たりするのです。


ただその心臓自体にも血液が行きわたらないと心臓が動くことができなくなってしまいます。

 

そのための血管が冠動脈という血管で心臓をぐるっと取り囲むように表面を走っています。


この冠動脈がさまざまな原因で狭くなったり、最終的には詰まったりすることがあります。

 

このようにして冠動脈の血流が不足することで一時的に痛みを生じるのが狭心症という病気です。

 

動脈硬化が原因

 

では、このような狭心症はなぜ起こってしまうのでしょうか。

 

繰り返しになりますが、狭心症は冠動脈という血管が狭くなることが問題です。

いわゆる
「パイプのトラブル」です。

 

血管というだけあって、中には絶えず血液が流れています。

体の隅々まで張り巡らされた血管は、さながら水道の配管と同じようなものなのです。

 

そして水道管と同じように、経年変化で硬くなってヒビが入ったり、どろどろしたものが流れたことで内部にぬめりなどが生じます。

このように
血管が硬く脆くなることを動脈硬化といいます。

 

動脈硬化の初期には血管の内側の膜が分厚くなったり脂肪分などが沈着したりすることでプラーク(粥腫とも言います)と呼ばれるものが発生します。

プラークが成長して血管の中を狭めてしまうのです。

 

 動脈硬化は全身のあらゆる血管に起こりますが、冠動脈が硬化することで狭心症や心筋梗塞の原因になります。

 

心筋梗塞に関しては、日本人の危険因子は、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴、脂質異常症(高コレステロール血症)と報告されており 、狭心症も共通すると考えられます。

 

このような「パイプのトラブル」の原因となる要素をさらっとご紹介していきます。

 

高血圧や脂質異常症 


血圧が高いと、
血管に負担がかかることはご想像いただけると思います。

 

医学的には血管内皮細胞が障害されやすく、動脈硬化の原因になります。

 

また血液中の脂肪分が増えることでプラークの生成が促進され、これも粥状硬化症という動脈硬化の一つのパターンになります。

 

高血圧、脂質異常症に関してはこちらの記事に詳しくまとめていますので、ご参照ください。

 

糖尿病


糖尿病においても、
末梢の細い血管において血管内皮細胞が障害されやすいことが知られています。

 

また血液の粘性が高くなり、より閉塞しやすい状態になるとも考えられます。

 

糖尿病についてはこちら記事に詳しくまとめていますので、ご参照ください。

 

高尿酸血症 


高尿酸血症が
動脈硬化性疾患の危険因子であるかどうかは長年議論されており、現在のところは十分な結論は得られていない状況です。

 

ただ最近の報告では、高血圧や冠動脈疾患の危険因子である可能性が高まっています。

 

高尿酸血症についてはこちらの記事に詳しくまとめていますので、ご参照ください。

 

その他(喫煙や腎臓病、ストレス、肥満、遺伝など)


目に見えるもので注意していただきやすいのが、
肥満です。

 

体重が増えると、血圧が高くなりやすくなり動脈硬化のリスクが増えます。


また、肥満の原因には
食生活の乱れや運動不足が背景にあると想像されます。

塩分、糖分、脂肪分の多い食事をしていると、高血圧や糖尿病、脂質異常症の原因になります。

 

また生活習慣病と並んで、心筋梗塞のリスクが高くなるのが喫煙です。


特に現在吸っていることが危険で、
やめるのが早ければ早いほど良いです。

欧米諸国では禁煙により心筋梗塞などが激減していると報告されています。

 

そして意外に侮れないのが、ストレスです。

慢性的なストレスにより緊張状態が続いたりすることで自律神経がバランスをとりにくくなることがあります。

血圧の上下が激しくなったりすることが考えられます。

 

あと一点、狭心症自体が遺伝するわけではないですが、家族歴は非常に重要な要素の一つです。


特に若くして発症した心筋梗塞などは生活習慣病だけでなく、血管それ自体になんらかの遺伝的異常が隠れている可能性があります。

 

Marfan症候群では血管が裂けやすいため大動脈解離などの血管の病気を発症しやすくなります。

 

また、家族性高コレステロール血症という病気もあり、調べてみると実は遺伝的要素が隠れていたということがありえるのです。

 

狭心症の種類と症状

 

狭心症の種類

 

少し専門的な話になりますが、古典的には狭心症を3つのパターンに分けます。

 

労作性狭心症、不安定狭心症、異形狭心症(冠攣縮性狭心症)の3つです。

 

労作性狭心症は不安定狭心症との対比で安定狭心症と呼ばれることもあります。

病変の安定具合や治療の内容などの点で違いがあります。1つずつ詳しく見ていきましょう。


労作性狭心症

 

労作性狭心症とは、最も古典的な狭心症です。

プラークなどにより冠動脈が徐々に徐々に狭くなっていき、労作時に相対的に血流が足りなくなるため一時的に痛みが生じる病気です。

 

走ったり、重いものを持ち上げたりする際には全身の組織と同じように心臓も酸素をたくさん欲しがります。

安静にしているだけなら多少血流が遅くても問題ないですが、狭くなった血管ではフルパワーの血流が得られないため症状が生じるのです。

 

プラークの形成は1日2日の問題ではなく、何か月、何年といったスパンで進みますので病状としては安定している状態です。

 

不安定狭心症

 

労作性狭心症が徐々に徐々に進行していくのに対して、急激に進行していくものを不安定狭心症といいます。

 

徐々にできていたプラークにあるとき亀裂が入ったりすることで、その断面に血液が塊(血栓)を生じます。

この血栓の形成はプラーク形成とは
違い数分や数時間などのスピードで進みます

 

鼻血が出ても抑えていれば数分で止まりますよね。

そのような速度で血栓が形成される、すなわち進行するため非常に不安定な状態です。

 

狭心症といっても不安定狭心症は(ST上昇型)心筋梗塞と並んで急性冠症候群という概念に含まれます。


心筋梗塞についての記事を別に作成しておりますので、不安定狭心症についてもっと知りたいという方は
こちらの記事をご参照ください。

 

異形狭心症(冠攣縮性狭心症)

 

これは上2つと違って、冠動脈の攣縮が原因です。

攣縮と書くとわかりにくいですが、ズバリ
「血管が攣(ツ)っている」状態です。

 

夏場にスポーツをしていると足がツったりした経験をお持ちの方も多いと思います。

足がツると痛くてうまく動けないですよね。

あれと同じで血管がツってうまく血液が流れることができず、痛みも生じるというわけです。

 

そして夜中に寝ているときに急に足がツった経験もないでしょうか。

そうなんです、血管がツる病気なので、夜中から早朝にかけての安静時にも起こることが多いんです。

 

 明け方に急に胸が痛くなって数分でよくなったとなれば冠攣縮性狭心症の可能性が非常に高いです。 

 

どんな症状がある?

 

「せんせー、そんな教科書みたいなのはいいからさ!どんな症状がやばいのか教えてよ!」という方もいらっしゃると思います。

 

こまごまとした分類なんかはさておき、どのような症状がでると狭心症の可能性があるのでしょうか。

動脈カテーテル検査や冠動脈CT検査など、いろいろな検査が開発されてきた現代でも、病歴というのは最も重要な情報の一つです。

 

診断を左右する、症状について掘り下げていきます。

 

息切れや胸の痛み、締め付けられるような圧迫感

 

典型的な狭心症の症状は、なんと250年も前から言及されています。


運動などの負荷がかかった際に
胸の真ん中あたりの絞扼感・痛みです。

肩や腕などに放散して、
冷や汗なども伴います。

そして安静にしていると数分から十数分程度で軽快するのが典型的な
狭心症状です。


胸痛や圧迫感は、ある程度の広さであることが多く、
指1本でココといえる痛みは狭心症ではない可能性が高いです。

 

心筋梗塞との違いは? 

 

「うーん、狭心症が怖い病気だってことはわかったけど、よく耳にする心筋梗塞とも違うの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

狭心症と心筋梗塞という分け方は少し古い言い方であり説明が難しいのです。

 

語弊を恐れずにざっくりと言うならば、血管が狭くなってきていて運動したときなどに一時的にギューッと痛むものが狭心症、完全に詰まったり急激に細くなったりすることで長時間痛みが生じたり心臓の筋肉が壊死したりするものが心筋梗塞と思っていただいてよいと思います。

 

狭心症は心臓の筋肉に障害がない、あっても少ない

 

狭心症は一時的な虚血により痛みが生じるものであり、基本的には心臓の筋肉には障害はないと言ってもよいでしょう。

 

対して心筋梗塞は虚血時間が長いためどんどん心筋細胞が壊死していきます。

結果、心臓の働きが悪くなることが多いです。

 

もちろん狭心症の発作を繰り返していたり、慢性的な血流不足によって徐々に心臓の筋肉がへばってくることはありますので油断は禁物です。

 

狭心症は胸の痛みが一時的なもの

 

痛みは主観的な指標であり断言はできませんが、狭心症に比べて心筋梗塞の方が痛みが強く、長い傾向にあります。

 

また、顎、肩、背中などにも痛みが広がることがあります。

中にはモルヒネを必要とするような激しい痛みを生じることもあります。

 

先述の通り、狭心症であれば胸痛は長くは続きません。

数分程度が多く、長くても
15~20分程度です。

胸痛が20分以上続く場合には心筋梗塞の可能性が高いです。

 

狭心症を放置すれば、心筋梗塞につながる

 

先ほども少し触れましたが、狭心症・心筋梗塞は「パイプのトラブル」です。

 

多くは時間をかけて徐々に硬く、狭くなっていきます。

この時点で心
臓が血流不足のサインを出してくれれば狭心症と診断することができるのですが、

 

不運にもSOSが出ず、最終的に急激に進行したり詰まったりしたときに心筋梗塞になってしまいます。

 

心筋梗塞になると命を落とす危険性も

 

心筋梗塞が怖いのは、死亡率が高いということです。

 

厚生労働省の2020年の集計では、がんに次いで2番目に多い死因(15%)と報告されています。

 

 そして我が国における様々な研究で、典型的な心筋梗塞の患者のうち7~10%が入院中に亡くなってしまうと報告されています。 

 

さらに初回の治療を乗り切って退院した後も油断できないのが心筋梗塞の怖いところです。

 

血流が不足して壊死してしまった心臓の筋肉は多少は回復するものの、元通りにはなりません。

全身に血流を送るポンプの機能が弱くなってしまい、
さまざまな合併症を引き起こしてしまう恐れがあります。

 

典型的な心筋梗塞を患った患者において、退院後6か月以内の死亡率は4.8%  、退院後2年での死亡率は6.3% と報告されており、20人に1人以上が亡くなってしまう恐ろしい病気なのです。

 

心筋梗塞についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。   

 

どんな検査・治療をするのか 

さて、そのような怖い狭心症はどうやって見つけることができるのでしょうか。

 

近年は検査機器の発達によってますます負担の少ない検査で精度の高い検査が受けられるようになってきています。

 

また、治療方法も年々進化を重ねており、昔は開胸手術しかありませんでしたが、カテーテル治療などの発展はめざましいです。

 

ここからは狭心症の診断や治療について解説していきます。

 

主な検査方法

 

主な検査方法として

  • 12誘導心電図
  • 運動負荷心電図
  • ホルター心電図
  • 心エコー
  • 薬物負荷心エコー
  • 心筋シンチグラフィ(SPECT)
  • 冠動脈CT
  • カテーテル検査(CAG:冠動脈造影) 

 

などが挙げられます。特にカテーテル検査がゴールデン・スタンダードです。

 

冠動脈に直接造影剤を注入し、レントゲンで透かして見ることで狭くなっている部分が一目瞭然です。

ただ、穿刺部位の痛みがあったり、造影剤の負担、被爆、などの問題から気軽に日帰りで行うのは難しい検査です。

多くの施設では1泊2日などのパスを使用しています。


そんな検査の負担をなるべく減らしながら診断を補助するために様々な検査を組み合わせます。

心電図は全く体に負担をかけずに数分でできる検査にも関わらず、得られる情報が非常に多い良い検査です。

 

また最近の報告では、血管の半分以上狭くなっている病変では冠動脈CTもカテーテル検査に匹敵すると言われています。

 

主な治療法

 

治療法も日進月歩で進化しています。

狭心症は「パイプのトラブル」ですから、これ以上
ぬめり詰まりなどを起こさないようにコントロールしていくことが大事になります。

 

またパイプを広げてやれば血流は良くなり症状も改善します。

柱は、
生活習慣改善、薬物療法、カテーテル治療、手術です。

 

具体的には、

  • 禁煙
  • 体重管理
  • 運動療法
  • 血圧、コレステロール、糖尿などの生活習慣病への投薬
  • 硝酸薬
  • β遮断薬
  • Ca拮抗薬
  • ニコランジル
  • カテーテル治療(PCI:経皮的冠動脈インターベンション)
  • 冠動脈バイパス術


などが挙げられます。

 

こまごまと列挙してしまい分かりにくいかもしれませんが、何よりも生活習慣改善と、生活習慣病の是正です。

 

カテーテル治療は1泊2日や2泊3日などでできる点が、開胸手術よりも良い点です。

 

ただ複数箇所の狭心症や、不安定な状態、その他の弁膜症などの合併もある場合には開胸手術が依然として素晴らしい成績を収めています。

 

胸の圧迫感などがあれば早めの診断を

 

色々な検査、治療をずらーっと書いてしまったので、頭がパンクしそうな方もいらっしゃるかもしれません。

 

一番大事なのは、個人個人の状態、状況に合わせてベストな検査・治療を選択できることだと思います。

 

施設の設備によって行える検査にも違いがありますし、病気の状態によって手術が必要かどうかも変わってきます。

その時々でできることをしっかりと行い、心臓発作を起こさないのが良いと思います。

 

早期発見・早期治療が大事ですので、気になることがあれば一度ご相談に来られてはいかがでしょうか。

早めの受診をおすすめします。

 

西春内科在宅クリニックができる対応

上で少し触れましたが、当院では様々な生活習慣病の早期発見・早期治療に努めています。

 

健康診断も実施しており、血圧やコレステロール、血糖値などを検査することができます。

 

また、心電図検査や胸部レントゲン検査も行っております。CTや超音波検査の設備もあり、様々な角度から検査を行うことができます。

 

まとめ

今回は恐ろしい心臓の病気、狭心症についてまとめてみました。

 

不安定狭心症であったり心筋梗塞に至ってしまうと、がんや脳卒中などと並んで死亡率の高い非常に怖い病気です。

 

予防と早期発見がとても大事ですので、この機会に生活習慣病の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

 

血圧、コレステロール、糖尿などに関して不安をお持ちの方は一度健康診断を受けてみるのがよいかもしれません。

 

それ以外にも「息が上がりやすい」とか「胸が痛くなることがある」といった症状をお持ちの方は一度受診してみることをお勧めします。

 

この記事が皆様のお役に立てれば嬉しく思います。最後までご覧くださりありがとうございました。

参考文献

 

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4) Yasue H, et al. Coronary spasm: clinical features and pathogenesis. Intern Med 1997;36:760-5.

5) 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン. 日本循環器学会 編. 2013

6) Osler W. The Lumleian lectures on angina pectoris. Lanceet 1910;175:973-7.

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8) 令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数の状況). 厚生労働省.

9) Kunihiro Kinjo, et al. Prognostic significance of atrial fibrillation/atrial flutter in patients with acute myocardial infarction treated with percutaneous coronary intervention. Am J Cardiol. 2003 Nov 15;92(10):1150-4.

10) Masaharu Ishihara, et al. Clinical Presentation, Management and Outcome of Japanese Patients With Acute Myocardial Infarction in the Troponin Era – Japanese Registry of Acute Myocardial Infarction Diagnosed by Universal Definition (J-MINUET) -. Circ J. 2015;79(6):1255-62.

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12) Robert J Goldberg, et al. Six-month outcomes in a multinational registry of patients hospitalized with an acute coronary syndrome (the Global Registry of Acute Coronary Events [GRACE]). Am J Cardiol. 2004 Feb 1;93(3):288-93.

13) Hiroyuki Daida, et al. Management and two-year long-term clinical outcome of acute coronary syndrome in Japan: prevention of atherothrombotic incidents following ischemic coronary attack (PACIFI8) registry. Circ J. 2013;77(4):934-43.

14) 慢性冠動脈疾患診断ガイドライン. 日本循環器学会 編. 2019

15) Deepak L Bhatt, et al. Diagnosis and Treatment of Acute Coronary Syndromes: A Review. JAMA. 2022 Feb 15;327(7):662-675.

16) 安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン. 日本循環器学会 編. 2019



この記事の監修医師



西春内科・在宅クリニック 福井 康大院長

経歴

三重大学医学部医学科 卒業

三重県立総合医療センター 

N2 clinic

 

 ★詳しいプロフィールはこちらを参照してください。





知ってほしい脳卒中の危険な前兆・症状や脳梗塞との違いは?

■はじめに

 

脳卒中とは、脳の血管障害(脳梗塞や脳出血など)により、突然倒れてしまったり、様子がおかしくなったりする病気です。

 

三大疾病の一つとしてよく知られており、生活習慣病と関わりが深く、予防には禁煙や食生活や運動習慣に気をつけることが大事であることも有名です。

 

脳卒中は後遺症により介護が必要となる病気としても知られており、漠然と怖いというイメージがあると思いますが、脳卒中がどのような病気であるか、どんな症状の時に医療機関への受診が必要であるのかなどについてはあまり知らない方も多いと思います。

 

ここでは脳卒中がどんな病気であるのかについて詳しく説明したいと思います。

 

脳卒中とは


脳卒中とは“脳梗塞”、“脳出血”、“くも膜下出血”などの脳血管疾患を指す言葉です。

 

脳卒中の「卒」は「突然に」、「中」は「中る(あたる)」という意味があり、脳卒中は「脳の病気で突然に何かにあたったようになる(倒れる)」という意味です。


(※「卒」は「突然に」という意味があり、卒倒や卒然などで使われます。「中」は「中る(あたる):物事に直面する、身体などにぐあいの悪い触れ方をする」という意味があり、中毒などで使われます。)

 

 三大疾病の一つ


脳卒中(脳血管疾患)は悪性新生物、心疾患、老衰に続いて、日本人の死因の第4位となっている病気です。

 

脳卒中は現在では死因の第4位となっていますが、1940年代に結核での死亡が少なくなって以降の1970年代までは死因の第1位であり、その後に悪性新生物や心疾患による死亡数が脳血管疾患を上回るも2011年までは死因の第3位であったことから、現在でも 疾病の一つとされています。

 

再発率が高く、後遺症が残ることも


脳卒中(脳血管疾患)は、後遺症を残す病気としてもよく知られています。

 

脳梗塞や脳出血では障害を受ける部分によって、麻痺や感覚障害、認知機能低下などに代表される高次機能障害などの様々な症状が出現し、後遺症として症状が残ることで日常生活に大きな影響を与えます。

厚生労働省による平成28年国民生活基礎調査の概要によると、介護が必要となる主な原因の第2となっています。

 

また、再発も起こしやすい病気であり、軽い症状で発症したとしても十分な再発予防ができていない場合には、より重い症状で再発してしまい、重度の後遺症を残すこともあります。

 

近年は治療法の発達により、発症してすぐに治療を行うことで後遺症を軽くできることも増えてきましたが、何かしらの後遺症が残ることも多いため、発症予防や再発予防が特に重要です。

 

今後、高齢化に伴い患者数は増加される


脳卒中は、動脈硬化や微小血管の障害、不整脈、動脈瘤などが原因となって発症する病気で、高齢になるほど発症しやすくなります。

 

高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、罹病期間(発症してからの期間)が長くなるほど血管への障害は大きくなりますし、心臓などの他の臓器の機能低下によっても脳卒中は発症しやすくなります。

 

近年も健康への意識の高まりや治療の発達、介護の充実などにより平均寿命は徐々に延長し、高齢化は徐々に進行しています。

 

今後は高齢化の進行に伴いさらなる患者数の増加が想定されますが、高齢者の脳卒中では多くの場合に介護が必要となり、転倒もしやすくなるため、若いときから生活習慣などを意識して健康維持に努めることが重要です。

 

脳卒中の種類について


前述のように脳卒中とは脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などを含んだ病名で、脳血管疾患の全般を指します。

 

ここでは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血について詳しい説明とその原因について解説していきます。

 

脳梗塞


脳梗塞とは、脳に血流を送る動脈が動脈硬化などにより狭くなったり、血栓などにより閉塞したりすることで、酸素や栄養が足りなくなって脳細胞が壊死してしまう病気です。

 

脳梗塞はその によって大きく以下のように分けられます。

 

「ラクナ梗塞」

→脳内の小動脈病変が原因

 

「アテローム血栓性脳梗塞」

→頸部~頭蓋内の比較的大きな動脈のアテローム硬化(動脈硬化)が原因

 

「心原性脳塞栓症」

→不整脈や心筋梗塞、心臓弁膜症など心臓が原因となる

 

「その他」

→先天性な要因や悪性腫瘍などにより血の固まりやすさが亢進することや静脈の血液が動脈に流れ込む病気(肺動静脈瘻や卵円孔開存症など)などが原因

 

原因によって治療法が異なりますが、脳梗塞の90%以上がラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞のどれかにあてはまり、そのどれもが高血圧や糖尿病などの生活習慣病との関わりが大きく、生活習慣の改善や生活習慣病の治療が予防に有用です。

 

脳出血


脳出血とは、脳内を走行する動脈が破れて脳の中に出血をしてしまう病気です。

 

脳出血は交通事故などの高エネルギー外傷で起こりますが、高血圧による血管障害やもやもや病、アミロイドアンギオパチーなどの疾患を背景に発症する非外傷性のものもあります。

 

非外傷性の脳出血の原因のほとんどは高血圧であり、もやもや病やアミロイドアンギオパチーなどの疾患がある場合も血圧を下げることで脳出血の発症リスクを下げることができます。

 

症状は脳梗塞も脳出血も麻痺や感覚障害、認知機能障害や空間無視などの高次機能障害など、障害を受ける部位により様々ですが、脳梗塞では基本的には頭痛を感じない一方で、脳出血では多くの場合に頭痛を伴います。

 

くも膜下出血


くも膜下出血とは、脳の動脈が破れて脳の周りのくも膜下腔に出血をしてしまう病気です。

 

脳出血とは異なり、脳の内部に分岐する前の脳の周りを走行する動脈が破れて出血することで発症し、その原因の多く (脳の血管にできる“こぶ”)の破裂です。

 

脳動脈瘤は破裂するまでは症状がなく、脳ドックなどでの検査で偶然に見つかることも多いです。

 

脳動脈瘤ができる原因は今のところ不明ですが、大きさが5mm以上では1年間あたりの破裂率が1%以上といわれており、予防的に血管内治療や開頭術などの手術などを行うこともあります。

 

バッドで殴られたような突然の強い頭痛で発症することが多く、意識障害を伴います。

脳梗塞や脳出血とは異なり、麻痺や感覚障害などは出ないことが多いです。

 

脳卒中の原因と予防


脳卒中には、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などが含まれること、各疾患の原因などについて前項で説明しました。

 

原因には様々なものがあるため一概にはいえませんが、脳梗塞や脳出血の原因の多くに、高血圧やその他の動脈硬化のリスクファクター(高脂血症、糖尿病、喫煙、飲酒、メタボリックシンドロームなど)が深く関わっており、脳卒中の発症予防には生活習慣の改善と生活習慣病の治療が非常に重要です。

 

ここでは脳卒中の原因と関与の深い生活習慣病や改善すべき生活習慣について説明します。

 

動脈硬化


動脈には、心臓の収縮に伴う圧力に耐えるため、動脈壁(内膜・中膜・外膜)が存在します。

 

血液と細胞との酸素やエネルギーのやりとりは内膜を介して行われますが、エネルギー源としてのコレステロールなどの脂質が変性したりあふれたりすることで、内膜の下にたまった状態を動脈硬化といいます。

 

動脈硬化が起こること自体での症状などはありませんが、動脈硬化により血管が狭くなることで冠動脈疾患や脳卒中の原因となったり、血管の弾性が乏しくなって高血圧を悪化させたりと、動脈硬化は全身に様々な問題を引き起こすため、予防や治療が必要です。

 

予防には、食事療法や運動療法、禁煙、節酒(日本酒1合/日以下)、肥満の改善(BMI:25未満の維持)などの生活習慣改善が重要です。

 

食事については塩分や脂質を控え、魚や野菜、果物などを中心とした食事を心がけましょう。

運動については過度な負荷をかけた運動では骨や筋肉を痛める可能性もあるため、ウォーキングや軽いランニング、水泳などの中強度の有酸素運動を1日30分以上行うことが推奨されています。

 

高血圧症


高血圧は脳出血と脳梗塞に共通の最大の危険因子です。

 

血圧の値と脳卒中の発症率との関係は正の相関関係にあり、血圧が高いほど脳卒中の発症リスクは高くなります。

高血圧治療ガイドライン2019では、診察室血圧で140/90 (mmHg)、家庭血圧で135/85 (mmHg)を超えると高血圧という診断になること、75歳未満の人や冠動脈疾患や脳血管疾患の既往があるなどのリスクのある人は診察室血圧で130/80 (mmHg)以下、家庭血圧で125/75(mmHg)以下にコントロールすることが好ましいとされています。

 

一方で、脳卒中治療ガイドライン2021では、脳卒中のリスクの高い人では血圧は120/70 (mmHg)以下にコントロールをすることが好ましいとされており、低血圧の副作用が出ない範囲でできるだけ血圧を下げることが脳卒中の予防に重要です。

 

非薬物療法としては、動脈硬化の項で記載した予防に準じますが、その中でも減塩(推奨は塩分摂取量6g/日)が特に重要とされており、食事には特に注意が必要です。

その他にストレスを避ける、冬季には防寒をしっかりと行うなども有効とされています。

 

▼高血圧・脂質異常症については以下の記事を参考にしてください。

気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です

 

高脂血症


高脂血症は、コレステロールまたはトリグリセリドが高値である状態であり、動脈硬化を引き起こす大きな要因の一つです。

 

特にアテローム血栓性脳梗塞の大きな危険因子であり、脳梗塞や糖尿病で治療中の人ではLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が正常値であっても、スタチンを内服してLDLコレステロール 80 mg/dl未満にすることで脳梗塞の発症率や再発率が下がるという報告もあります。

 

非薬物療法としては、動脈硬化の項で記載した予防に準じます。

食事では豚や牛の油に多く含まれる不飽和脂肪酸の摂取を控え、野菜や魚(特にDHA/EPAを多く含む青魚など)の摂取を心がけると良いでしょう。


▼高血圧・脂質異常症については以下の記事を参考にしてください。

気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です

 

糖尿病


糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子であり、日本糖尿病学会ではHbA1c 7%未満(非薬物療法のみで可能であれば、HbA1c 6%未満)を目指すことを推奨しています。

 

非薬物療法としては動脈硬化の項で記載した予防に準じますが、その中でも食事療法が特に有用で身長や活動量に応じて適正なエネルギー摂取量としつつ、バランスをとれた食事をすることが推奨されます。

 

力仕事をしているなど運動量が多い場合にはその限りではないですが、

1日の目安としては

身長150cmでは1300~1800kcal

身長160cmでは1400~2000kcal

身長170cmでは1600~2300kcalが目安となります。

また適度な運動や減量も重要です。

 

▼糖尿病については以下の記事を参考にしてください。

関連記事:知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について

喫煙


喫煙も高血圧や動脈硬化などのリスクとなるため、禁煙を心がけましょう。

ただちに禁煙をしたいのに禁煙ができないという場合には、ニコチン依存症のスクリーニングテストで5点以上など一定の条件を満たす必要はありますが、禁煙外来の受診も可能です。

 

飲酒


過度な飲酒は高血圧や動脈硬化、脳卒中の危険因子となります。

個人差はありますが、エタノール換算で20-30ml(日本酒1合、ビール500ml)/日以下であれば、血圧の上昇を抑えるなどの良い影響も与えるとされており、節度を持った飲酒であれば大きな問題はないとされています。

 

睡眠時無呼吸症候群


睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中や心疾患の危険因子であり、高血圧などの生活習慣病も悪化させます。

睡眠時無呼吸症候群がある場合にはマウスピースの装着やC-PAP(持続陽圧呼吸療法)などで治療を行うことが好ましいです。

 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は肥満との関連性が強く、減量などにより改善することもあります。

 

こんな症状があればすぐに病院へ


脳卒中では主に以下の症状が突然出現します。

  1. 呂律が回らない、うまく話せない
  2. 様子が明らかにおかしい、意思疎通ができない
  3. 左右のどちらかの麻痺(顔や手足)
  4. 左右のどちらかの感覚障害、しびれ(顔や手足)
  5. 視野がかける(左右の眼のどちらで見ても、同じ場所の視野がかける)


※片目のみ視野がかける場合には網膜剥離などの眼科疾患が疑われます。

  1. 激しい頭痛、嘔吐
  2. 安静時でも持続するめまい、ふらつき
  3. 意識障害、共同偏視(両側の眼が左右の同じ方向に偏って位置する状態)

 

脳卒中は発症早期に治療を行うことで、症状の悪化を防いだり、後遺症を軽くしたりできる可能性があり、発症後の迅速な受診が重要です。

 

突然これらの症状が見られた場合には救急要請するなどをして迅速に医療機関に受診しましょう。

 

 西春内科在宅クリニックができる対応


脳卒中は診断にCTやMRIなどの画像検査が重要です。

発症早期では症状を改善したり、悪化を予防したりする治療が行える可能性もあることから、脳神経内科や脳神経外科のいる急性期病院への緊急の受診が必要です。

 

また、診断後も再発したり、症状が悪化したりするリスクもあることから入院での検査や治療が必要となります。

 

そのため、西春内科在宅クリニックでは脳卒中の急性期治療を行うことはできませんが、急性期治療を終えて内服薬での再発予防を行う状況となりましたら、引き続き外来で治療を継続することは可能です。

 

後遺症などにより外来通院が困難になった場合には往診での対応も行っております。

 

また、症状が出現した際に救急要請を行うべきか困った場合など、何かお困りの際のご相談は受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

 

まとめ


脳卒中は突然に発症し、後遺症を残したり、死亡したりすることがある緊急性の高い病気です。

 

脳梗塞では詰まった血管を再開通させる血栓溶解療法や血管内治療(血栓回収術や血管拡張術)、脳出血やくも膜下出血では血管内治療(コイル塞栓術)や開頭手術(血腫除去術や減圧術)など、発症早期であれば症状を改善したり、症状の悪化を防いだりする治療を行える可能性があります。

したがって、脳卒中を発症した場合には、すぐに脳神経内科や脳神経外科のある急性期病院への受診をしましょう。

 

医療の発達や十分なリハビリテーションにより、脳梗塞発症後も大きな後遺症を残さずにすむ人は増えてきていますが、それでも多くの方が介護を要したり、仕事内容を変更する必要が出てきたりと元の生活に戻れない人も多くいらっしゃいます。

 

そのため、脳卒中にならないための予防も非常に重要です。

生活習慣の改善や生活習慣病の治療が発症予防に重要ですので、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣について、改めて考えてみてください。

 

 

【参考文献】

脳卒中ガイドライン「Ⅱ.脳梗塞・TIA

東京大学脳神経外科

脳卒中ガイドライン「Ⅴ.無症候性脳血管障害」

日本動脈硬化学会

糖尿病診療ガイドライン2019

大塚製薬

脳神経外科高瀬クリニック

 

【監修医師】




脳神経内科 中村医師

 

脳神経外科高瀬クリニック:https://takase-clinic.jp/stroke/

 

大塚製薬:https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/stroke/about/

 

脳卒中ガイドライン:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_02.pdf

 

東京大学脳神経外科:https://www.h.u-tokyo.ac.jp/neurosurg/rinsho/SAH.htm


脳卒中ガイドライン:https://www.jsts.gr.jp/guideline/235_240.pdf

 

日本動脈硬化学会:https://www.j-athero.org/jp/general/2_atherosclerosis/

 

糖尿病診療ガイドライン2019:http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-03.pdf

高尿酸血症ってどんな病気?合併症や痛風について

はじめに


高尿酸血症について知っていますか?

様々な原因により血液中の尿酸が異常に高くなった状態が続くことにより、
尿酸が足の指などの関節などに沈着して腫れ上がり、激痛を生じることもある病気です。


かつてはお金持ちの病気と考えられ「贅沢病」といわれていましたが、現代においても
生活習慣(環境要因)が深く関係する生活習慣病のひとつです。


ただし、生活習慣のみならず、遺伝要因が関与している病型や併存する他や、使用している薬物に起因する
二次性高尿酸血症もあります。

 

高尿酸血症とは


高尿酸血症とは様々な原因により
血液中の尿酸が異常に高くなった状態のことを指し、後述するいくつかの合併症の引き金となります。

 

尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が「高尿酸血症」


高尿酸血症は、尿酸塩沈着症(痛風関節炎、腎障害など)の病因であり、性別、年齢を問わず、
「血清尿酸値が7.0mg/dlを超えるもの」と定義されます。*

*出典:2019年改訂高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会 編

 

高尿酸血症は産生過剰型と排泄低下型に分けられる


高尿酸血症には下記の2つの病型があります。

さらに双方を併せ持った
「混合型」もあります。

排泄低下型


排泄低下型とは、高尿酸血症全体の
約60%を占める多数派です。

尿検査により
クリアランスというものを測定することで診断をすることができます。

産生過剰型


産生過剰型とは、高尿酸血症全体の
約10%を占めます。

尿酸の産生量そのものが増加しているものを指しますが、最近までは腸管からの排泄が低下する腎外排泄低下型の病型もここに含められていました。


これらを区別するのは一般的な検査では困難であり、最近ではこれらをまとめて「腎負荷型高尿酸血症」という呼び方をするようになってきています。

 

高尿酸血症は食事や飲酒などの生活習慣が原因


食事・飲酒といった
生活習慣(環境要因)が大きく関係しています。肥満、アルコール、特定の食品の過剰摂取がリスクとなります。

疫学的には
女性よりも男性の方が多くなっており、高尿酸血症により引き起こされる痛風の発生率は、30歳以上の男性では1%を超えています。

 

尿酸値が高くても痛みなどの自覚症状がない


痛風のイメージが強い高尿酸血症ですが、痛風は尿酸ナトリウム1水和物(MSU)結晶による
急性関節炎を起こした状態のことを指します。

尿酸値が高くても無症候性高尿酸血症もあり、
必ずしも痛みを感じるとは限りません。

 

尿酸値が高いとさまざまな疾患のリスクが高まる


値が高いと無症候性高尿酸血症もありますが、逆に言いますと、
高尿酸血症は痛風発作の必須条件であり、高尿酸血症を来たす種々の要因が痛風のリスクとなります。


そして、尿酸値が高いことは、痛風だけに限らず、
尿路結石、腎障害、メタボリックシンドローム、高血圧・心血管疾患のリスクにもなります。

 

高尿酸血症が引き起こす病気や合併症


高尿酸血症はさまざまな病気や合併症を引き起こします。1つずつ詳しく解説していきます。 

痛風


「尿酸ナトリウム1水和物(MSU)結晶」
という尿酸の結晶が関節に沈着することにより、足の親指の付け根や足首などに激痛を伴う腫脹を起こします。

関節炎の一種であり、正確にはこの関節炎のことを痛風発作、痛風発作を起こすしたあとのことを痛風と呼びます。

 

尿路結石


尿中の尿酸濃度が高まり、結晶化した尿酸が尿路(尿管・膀胱・尿道)の内部で石を作る
「尿路結石」になりやすくなり、激しい痛みを引き起こします。


結石は特に酸性環境下でより固まる性質を持つことから、尿が酸性に寄っている高尿酸血症の患者さんは
再発にも注意が必要です。

 

腎障害


高尿酸血症は慢性腎臓病の発症に関連しており、また、
血清尿酸値高値はその腎障害の進展に関連することがわかっています。


さらに、
尿酸の70%は腎臓から排泄されるため、慢性腎臓病があると、高尿酸血症の悪化に拍車をかけて悪循環となってしまいます。

 

メタボリックシンドローム


メタボリックシンドロームの定義や詳しい説明はここでは割愛しますが、
高尿酸血症そのものはメタボリックシンドロームの診断基準には含まれていません。


しかしながら、血清尿酸値が高いほどメタボリックシンドロームの割合が高まり、逆に、メ
タボリックシンドロームの構成因子(内臓脂肪、高血圧、血清中性脂肪高値、インスリン抵抗性)が多いほど血清尿酸値が高いことがわかっています。


メタボリックシンドロームは、動脈硬化を通じて脳血管疾患や心血管疾患の危険因子となるため、
高尿酸血症を放置するとこれらの発症リスクを高めることとなります。

 

高尿酸血症は高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を合併しやすい


血清尿酸値が高い人の中でも特に若年者や肥満者、女性に置いては、
高血圧の割合が高いとされています。


血清尿酸値を上昇させる原因としてプリン体を多く含む食品が注目されがちですが、食事全体の量が多いだけでも上昇します。

このため、必然的に、脂質異常症や糖尿病を引き起こす生活習慣と重複することが多くなります。

 

高血圧・脂質異常症


高血圧・脂質異常症については以下の記事を参考にしてください。

関連記事:気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です


糖尿病


糖尿病については以下の記事を参考にしてください。

関連記事:知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について


 

高尿酸血症の予防法


高尿酸血症は、環境要因のみによって発症するものではありませんが、
生命予後に関連する肥満、高血圧、糖代謝異常、脂質異常などともに、関連する生活習慣を改善するなど、自身でもできることを意識的に積み重ねていくことが大切です。

 

生活習慣の改善が第一


薬物療法の有無に関わらず、
食事療法、飲酒制限、運動療法が基本となります。

食事管理


BMI(肥満度指数)や体脂肪率が高くなると血清尿酸値も高くなります。

生活習慣病一般に当てはまることですが、前提として
適正なエネルギーの摂取が重要です。


さらに、血清尿酸値の上昇をもたらすプリン体の摂取を控えるために、
肉類や魚の過剰摂取を避け、野菜の摂取を心がけましょう。

 

アルコールを控える


血清尿酸値に影響を与えるのはビールだけと思われがちですが、アルコールが肝臓で代謝される際に上昇するため、そうではありません。


しかし、酒類そのものに含まれるプリン体も影響するため、
酵母、麦芽由来のプリン体を多く含むビールの方が、蒸留酒やワインよりも血清尿酸値を上昇させます。

 

水を飲む


血清尿酸値は脱水によっても悪化するため、
適度な水分摂取は効果的です。

 

適度な運動


適度な運動は、肥満を是正しメタボリックシンドロームを改善することによる効果が期待されます。

一般にメタボリックシンドロームにおける運動療法は有酸素運動とレジスタンス(筋肉トレーニングなど)運動を組み合わせることが効果的とされていますが、短時間の激しいレジスタンス運動が血清尿酸値を上昇させてしまうため、痛風の患者さん(痛風発作歴のある患者さん)は、
低強度の運動が推奨されます。

   

 病院での診察


過去に健診などで高尿酸血症の指摘歴があったり、痛風発作歴がある場合は容易に診察できることもありますが、健診異常の指摘歴がなかったり、初発症状の場合には、
それ以外の関節炎との鑑別が必要になります。

 

高尿酸血症や痛風の診察は内科へ


内科では
血液検査で血清尿酸値を測定し、身体所見と併せて診断の一助とします。

 

尿酸値が高いと痛風発作の発症率は高まる


血清尿酸値と痛風発作の発症率は相関するため、
適正な値を維持することが大切です。

発作歴の有無や併存疾患によって、血清尿酸値の治療目標値は変わってきます。

 

食事療法や運動療法、痛風等で痛みがあれば薬物療法を行う


大前提は
食事療法、飲酒制限、運動療法です。

また、発作による疼痛に対しては薬物療法を行いますが、関節炎の発作極期とそれ以外とでは治療法は異なります。


血清尿酸値を急激に下げると症状が悪化
することもありますので、状況を見ながら至適尿酸値を目指していきます。

 

西春内科在宅クリニックができる対応


痛風発作による疼痛と診断できた場合には
症状を和らげる薬物療法を行います。

その後も、至適尿酸値を維持できるよう、フォローを行ってまいります。


何かお困りの際のご相談は受け付けておりますので、
お気軽にご相談ください。



 

まとめ


いかがでしたか?痛風は単なる贅沢病、関節痛ではなく、その背景疾患である高尿酸血症は、様々なリスクをはらんだ状態であることが伝わりますと幸いです。


いまいちど、
健診結果や血液検査結果を確認されてみることをお勧めいたします。


【監修医師】

糖尿病・内分泌内科 田中佑資Dr

【生活習慣病の方に知ってほしい】心筋梗塞の症状や前兆について


はじめに

この前の健康診断でコレステロールの値が高いと言われた
血圧高いから塩分に注意するように言われた


このようなことに心当たりはありませんか?


高血圧や脂質異常症(高コレステロール血症などとも表現します)を放置していると、心筋梗塞で命を落としてしまう危険がある
ことをご存じですか?


今回はそんな怖い心臓の病気、心筋梗塞について解説していきます。


 心筋梗塞について

心筋梗塞とは、心臓自体に血液を届ける血管である冠動脈が詰まったりすることで心臓の筋肉が死んでしまう病気のことです。そもそも心臓は全身の臓器に血液を送り届けるためのポンプの役割を果たしている臓器です。


心臓がドックン、ドックン、と規則正しく動くことにより全身に血流が行きわたり、そして筋肉を動かしたり食べ物を消化吸収出来たりするのです。ただその心臓自体にも血液が行きわたらないと心臓が動くことができなくなってしまいます。そのための血管が冠動脈という

血管で心臓をぐるっと取り囲むように表面を走っています。この冠動脈がさまざまな原因で狭くなったり、最終的には詰まったりすることがあります。


このようにして冠動脈の血流が途絶えたり、急激に不足することにより心臓の筋肉が壊死していく病気が心筋梗塞です。

心筋梗塞のほとんどが突然くる急性心筋梗塞


さて、心筋梗塞はどのようにして起こるのでしょうか。血管は水道管と同じで、経年劣化もしますし、流れるものによってはぬめりが起きやすかったりします。そのような要因から
血管の多くは時間をかけて徐々に硬く、狭くなっていきます。


この時点で心臓が血流不足のサインを出してくれれば狭心症と診断することができるのですが、不運にもSOSが出ず、最終的に急激に進行したり詰まったりしたときに心筋梗塞になってしまいます。ですので心筋梗塞のほとんどが急激な胸痛をもたらします。


急性心筋梗塞を含む急性冠症候群において7割以上の患者に胸痛の症状があったと報告されています。

なかでも心筋梗塞の胸痛は急激に発生し、特に長く続くことが特徴です。痛み始めてから数分以内にピークに達し、その後20分以上続くと、かなり心筋梗塞が疑わしい痛み方になります。


日本人に多い死因でがんの次に心疾患その中でも急性心筋梗塞の割合が高い


急激な胸痛に加えて
心筋梗塞が怖いのは、死亡率が高いということです。


厚生労働省の2020年の集計では、がんに次いで2番目に多い死因(15%)と報告されています。
3) そして我が国における様々な研究で、典型的な心筋梗塞の患者のうち7~10%が入院中に亡くなってしまうと報告されています。
4-6) そして初回の治療を乗り切って退院した後も油断できないのが心筋梗塞の怖いところです。


血流が不足して壊死してしまった心臓の筋肉は多少は回復するものの、元通りにはなりません。全身に血流を送るポンプの機能が弱くなってしまい、さまざまな合併症を引き起こしてしまう恐れがあります。


典型的な心筋梗塞を患った患者において、退院後6か月以内の死亡率は4.8% 7) 、退院後2年での死亡率は6.3% 8) と報告されており、20人に1人以上が亡くなってしまう恐ろしい病気なのです。

心筋梗塞は突然死してしまうこともある


多くが急激な胸痛を生じる心筋梗塞ですが、怖いことに突然死してしまうこともあります。


特に怖いのが不整脈と心臓破裂です。激烈な胸痛により神経がたかぶり、身体は興奮状態となります(交感神経の作用です)。これにより興奮ホルモンが多量に分泌され、刺激された心臓がリズムを取り損ねてしまった状態が不整脈です。


不整脈にも種類がありますが、なかでも心室細動という不整脈は左心室がけいれんしており、有効な拍出がなくなってしまうため数分で命を落としてしまいます。


また、壊死してボロボロになった心臓に興奮ホルモンの刺激が強すぎて心臓が破裂してしまうこともあり、これも同じように突然死の原因になります。


あとで述べますが、このような怖い合併症を起こさないようにということも含めて、心筋梗塞は時間との闘いなのです。


心筋梗塞と狭心症との違いは?


「うーん、心筋梗塞が怖い病気だってことはわかったけど、よく耳にする狭心症とも違うの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。


狭心症と心筋梗塞という分け方は少し古い言い方であり説明が難しいのです。語弊を恐れずにざっくりと言うならば、血管が狭くなってきていて運動したときなどに一時的にギューッと痛むものが狭心症、完全に詰まったり急激に細くなったりすることで長時間痛みが生じたり心臓の筋肉が壊死したりするものが心筋梗塞と思っていただいてよいと思います。

狭心症とは


狭心症といっても、
不安定狭心症は(ST上昇型)心筋梗塞と並んで急性冠症候群という概念に含まれます。


安定した労作性狭心症や冠攣縮性狭心症などについて別の記事を作成しています。狭心症についてもっと知りたいという方はこちら(現在、作成中)の記事をご参照ください。

心筋梗塞は狭心症に比べて胸の痛みが強い


急性心筋梗塞を含む急性冠症候群において、
最も典型的な症状は胸痛です。

痛みは主観的な指標であり断言はできませんが、狭心症に比べて心筋梗塞の方が痛みが強く、長い傾向にあります。


また、顎、肩、背中などにも痛みが広がることがあります。中にはモルヒネを必要とするような激しい痛みを生じることもあります。

心筋梗塞は痛みが長く続く(30分ほど)


先ほど少し触れましたが、狭心症であれば胸痛は長くは続きません。
数分程度が多く、長くても15~20分程度です。胸痛が20分以上続く場合には心筋梗塞の可能性が高いです。

心筋梗塞は冷汗や意識が遠のくことも


また、随伴症状として
冷や汗、呼吸困難、吐き気、嘔吐、失神などを生じることもあります。 

とくに糖尿病を患っている方や高齢者は痛みを感じにくいことがあり、意識消失などが唯一の症状として搬送されることもあります。


心筋梗塞を引き起こす原因は


ではこのような心筋梗塞はなぜ起こってしまうのでしょうか。繰り返しになりますが、心筋梗塞は冠動脈という血管が詰まったりすることが問題です。


いわゆる「パイプのトラブル」です。水道管と同じように、経年変化で硬くなってヒビが入ったり、どろどろしたものが流れたことで内部にぬめりなどが生じることが原因になります。

心筋梗塞は冠動脈硬化が原因


血管が硬く脆くなることを
動脈硬化といいます。動脈硬化は全身のあらゆる血管に起こりますが、冠動脈が硬化することで狭心症や心筋梗塞の原因になります。


動脈硬化の初期には血管の内側の膜が分厚くなったり脂肪分などが沈着したりすることでプラーク(粥腫とも言います)と呼ばれるものが発生します。プラークが成長して血管の中を狭めてしまうのです。

心筋梗塞は冠動脈硬化を招く危険因子


日本人の心筋梗塞において危険因子は、
高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴、脂質異常症(高コレステロール血症)です。

高血圧・脂質異常症


血圧が高いと、血管に負担がかかることはご想像いただけると思います。医学的には血
管内皮細胞が障害されやすく、動脈硬化の原因になります。


また血液中の脂肪分が増えることでプラークの生成が促進され、これも粥状硬化症という動脈硬化の一つのパターンになります。


高血圧、脂質異常症に関してはこちらの記事に詳しくまとめていますので、ご参照ください。

糖尿病


糖尿病においても、末梢の細い血管において
血管内皮細胞が障害されやすいことが知られています。また血液の粘性が高くなり、より閉塞しやすい状態になるとも考えられます。


糖尿病についてはこちらの記事に詳しくまとめていますので、ご参照ください。

肥満


目に見えるもので注意していただきやすいのが、肥満です。
体重が増えると、血圧が高くなりやすくなり動脈硬化のリスクが増えます。


また肥満の原因には食生活の乱れや運動不足が背景にあると想像されます。塩分、糖分、脂肪分の多い食事をしていると、高血圧や糖尿病、脂質異常症の原因になります。

喫煙


生活習慣病と並んで、
心筋梗塞のリスクが高くなるのが喫煙です。


余談ですがDick Cheney 元アメリカ副大統領はヘビースモーカーで37歳から狭心症発作を繰り返し、このような重要職に就くのは不適切と言われたそうです。特に現在吸っていることが危険で、やめるのが早ければ早いほど良いです。欧米諸国では禁煙により心筋梗塞などが激減していると報告されています。

ストレス


意外に侮れないのが、ストレスです。
慢性的なストレスにより緊張状態が続いたりすることで自律神経がバランスをとりにくくなることがあります。

血圧の上下が激しくなったりすることが考えられます。

遺伝


心筋梗塞自体が遺伝するとは言えませんが、
家族歴は非常に重要な要素の一つです。

特に若くして発症した心筋梗塞などは生活習慣病だけでなく、血管それ自体になんらかの遺伝的異常が隠れている可能性があります。


Marfan症候群では血管が裂けやすいため大動脈解離などの血管の病気を発症しやすくなります。
また、家族性高コレステロール血症という病気もあり、調べてみると実は遺伝的要素が隠れていたということがありえるのです。

   

 もし心筋梗塞を発症してしまったら

発症してから1~2時間が予後を決める、すぐに救急車を呼ぶ



先ほど少し述べましたが、
心筋梗塞の治療は時間との戦いです。血流が得られなくなった心筋細胞は虚血の時間が長くなればなるほど壊死が進んでいきます。

壊死が進むほど、破裂などの合併症のリスクも上がりますし、心臓の機能が足りなくなり心不全を起こしやすくなります。


また急性期を乗り切った後の心臓の機能も悪くなる可能性が上がります。

心筋梗塞は一分一秒を争う病気なのです。


発症から3時間以内に治療すれば、後遺障害なく退院できることも


心筋梗塞の予後は、ズバリ
発症からいかに迅速に血流を再開(再灌流)させるかに依存します。


本邦における大規模研究でも、発症から3時間以内の早期に再灌流できた症例では良好な成績が得られたのに対し、総虚血時間が長くなるに連れて治療成績が悪化していました。

ただし、発症2時間以内の早期来院例では、来院から再灌流までの時間が90分以内を達成していれば、長期臨床成績は有意に良好でした。


 90分、2時間、3時間など様々な指標が出ていますが、「血流の悪い時間をなるべく短くする」ことが重要なのは間違いありません。早期治療ができれば、元通りの生活ができる可能性が十分にあります。

発症する前に循環器内科などで定期的な受診を


1分1秒を争う心筋梗塞ですが、時間は刻々と過ぎていきます。

仮に症状が出てすぐに119番通報して救急要請をしても、状況の説明、救急車の移動時間などでも時間はとられていきます。

我々医療者としては
診断から治療(血流再開)までの時間を少しでも削ることができるよう日夜努力していますが、残念ながら患者さま全員に確実に早急な血流再開をもたらすには至っていません。


心筋梗塞は、起こさないように血管のトラブルを早期発見しておくことが重要な病気なのです。

生活習慣病を見直すことが大事


「せんせー、結局予防と早期発見が大事なのはわかったから、何に気を付けたらいいか教えてよ~!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。


繰り返しになりますが狭心症や心筋梗塞といった血管のトラブルは、水道管のぬめり・つまりと同じようなものです。身体中に張り巡らされた水道管にあたる血管に負担をかけないことが重要になります。


具体的に気を付けるべきことは、ズバリ、血圧、血糖値、コレステロール、喫煙です。生活習慣病を見直すことが非常に大事なのです。


当院でも高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を早期に発見、介入することで、少しでも皆さんが元気でお過ごしいただけるよう努めています。当院の健康診断でコレステロールや血糖などを測ることもできます。心当たりのある方は、一度相談に来てみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。


西春内科在宅クリニックができる対応

上で少し触れましたが、当院では様々な生活習慣病の早期発見・早期治療に努めています。

健康診断も実施しており、血圧やコレステロール、血糖値などを検査することができます。

また心電図検査や胸部レントゲン検査も行っております。
CTや超音波検査の設備もあり、様々な角度から検査を行うことができます。


  まとめ

今回は恐ろしい心臓の病気、心筋梗塞についてまとめてみました。

がんや脳卒中などと並んで死亡率の高い非常に怖い病気です。

予防と早期発見がとても大事ですので、この機会に生活習慣病の見直しをしてみてはいかがでしょうか。


血圧、コレステロール、糖尿などに関して不安をお持ちの方、それ以外にも気になることがある方は一度受診してみることをお勧めします。この記事が皆様のお役に立てれば嬉しく思います。最後までご覧くださりありがとうございました。

参考文献

1) Deepak L Bhatt, et al. Diagnosis and Treatment of Acute Coronary Syndromes: A Review. JAMA. 2022 Feb 15;327(7):662-675.

2) 急性冠症候群ガイドライン. 日本循環器学会 編. 2018. 

3) 令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数の状況). 厚生労働省.

4) Kunihiro Kinjo, et al. Prognostic significance of atrial fibrillation/atrial flutter in patients with acute myocardial infarction treated with percutaneous coronary intervention. Am J Cardiol. 2003 Nov 15;92(10):1150-4.

5) Masaharu Ishihara, et al. Clinical Presentation, Management and Outcome of Japanese Patients With Acute Myocardial Infarction in the Troponin Era – Japanese Registry of Acute Myocardial Infarction Diagnosed by Universal Definition (J-MINUET) -. Circ J. 2015;79(6):1255-62.

6) Hiroshi Kasanuki, et al. A large-scale prospective cohort study on the current status of therapeutic modalities for acute myocardial infarction in Japan: rationale and initial results of the HIJAMI Registry. Am Heart J. 2005 Sep;150(3):411-8.

7) Robert J Goldberg, et al. Six-month outcomes in a multinational registry of patients hospitalized with an acute coronary syndrome (the Global Registry of Acute Coronary Events [GRACE]). Am J Cardiol. 2004 Feb 1;93(3):288-93.

8) Hiroyuki Daida, et al. Management and two-year long-term clinical outcome of acute coronary syndrome in Japan: prevention of atherothrombotic incidents following ischemic coronary attack (PACIFIC) registry. Circ J. 2013;77(4):934-43.

9) Peter Libby, et al. Inflammation and atherosclerosis. Circulation. 2002 Mar 5;105(9):1135-43.

10) Hiroaki Kawano, et al. Sex differences of risk factors for acute myocardial infarction in Japanese patients. Circ J. 2006 May;70(5):513-7.

11) Hiroki Shiomi, et al. Association of onset to balloon and door to balloon time with long term clinical outcome in patients with ST elevation acute myocardial infarction having primary percutaneous coronary intervention: observational study. BMJ. 2012 May

23;344:e3257.

この記事の監修医師



西春内科・在宅クリニック 福井 康大院長

経歴

  • 三重大学医学部医学科 卒業
  • 三重県立総合医療センター 
  • N2 clinic

 ★詳しいプロフィールはこちらを参照してください。


 

 

 

知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について

糖尿病

厚生労働省の平成28年(2016)「国民健康・栄養調査」
によると、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病患者)が約1000万人、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病の予備群)まで含めると、推計で2000万人いると推計されており、日本人にとってたいへん身近な病気と言えます。

糖尿病では、喉が渇く、疲れやすい、頻繁にトイレに行くようになった、肥満だったのに急にやせた、などの症状がみられますが、初期の段階では症状に乏しく、健康診断や、ほかの病気の検査をしている時に偶然見つかるということもしばしばです。また糖尿病予備軍であっても、心筋梗塞や脳梗塞のリスクになるとも言われているので、なるべく早く治療を開始することが大切です。

 

糖尿病とは


糖分(正確にはブドウ糖)は、生きていくのに大切なエネルギーになるので、通常であれば尿から捨てられることはありません。糖尿病は、文字通り、大事なブドウ糖が尿から出てしまう病気です。
そのメカニズムを簡単にまとめてみます。

みなさんが摂取したお米やパンなどの炭水化物や砂糖は、ブドウ糖に分解され、血液の中へ吸収されます。血液に溶けているブドウ糖の量を測定したものが血糖値です。


私たちの細胞の一つ一つ、みな血液に流れるブドウを取り込むことでエネルギーを作り出し生きています。血糖値が著しく低くなれば、細胞が生きていけない、つまり人間は死んでしまいます。また血糖値が高すぎる状態が続くと、神経や血管を傷つけてしまうことが分かっています。そのため、血糖値は、高過ぎず、低すぎず、一定の範囲におさまるような仕組みが体にはあります。


尚、血液からブドウ糖を細胞に取り込むときに必要なのが、すい臓で作られるインスリンというホルモンです。食事によって血糖値が上がると、インスリンが分泌され、ブドウ糖が細胞内に取り込こまれエネルギーに変わり、余ったものは肝臓や筋肉、脂肪組織などの細胞に取り込まれ貯蔵されます。インスリンによって血糖値は下がり、また一定の範囲内におさまります。


炭水化物や砂糖を多く摂取すれば、その分インスリンもたくさん出さなければなりません。その状態が長く続けば、すい臓は疲弊し、インスリンを出す力が弱まってしまいます。また、肝臓や筋肉、脂肪といった貯蔵庫もいっぱいとなり、ブドウ糖を貯めておく本来の役割を果たせなくなります。

インスリンが出ない、貯蔵庫に貯められないという結果、血液の中は行き場を失ったブドウ糖で溢れかえり、最終的には尿からも捨てられることになるのです。これが糖尿病(正確には2型糖尿病)のメカニズムです。

 

糖尿病の考えられる原因


糖尿病の原因は、すい臓が疲れてしまって、インスリンを十分に出すことができなくなることにあります。
また、繰り返し大量のインスリンが出ることで、肝臓や筋肉、脂肪組織といった貯蔵庫に蓄えられなくなってしまうことも重要な原因です。

加齢や偏った食事、運動不足、肥満、遺伝が関係する
当然炭水化物や砂糖のようなものばかり食べていると、インスリンの出動機会が増えてしまいます。
また、当然人間は加齢より臓器の力は衰えていくので、若いころと同じような食生活では、すい臓はついてこれなくなります。また、筋肉は重要なブドウ糖の貯蔵庫であり、適度な運動によって筋肉を維持しなければなりません。狭い貯蔵庫だとすぐにいっぱいとなり、余ったブドウ糖が血液の中に残り血糖値は上昇してしまいます。さらに、内臓脂肪が過剰に蓄積すると、インスリンの働きを邪魔することがわかっています。


遺伝には先天的、後天的と2つの側面があります。

すい臓の働きが弱い家系に生まれた人は、少しすい臓に負担がかかった場合であっても、すい臓が疲弊してしまいます(先天的)。

すい臓が丈夫な家系に生まれた人でも、食生活は家族で共有されていることも多く、親子で似た体形の家庭も多いのではないでしょうか。
その場合、糖尿病が子供へ引き継がれていくケースがみられます(後天的)。

1型と2型にわかれる 


糖尿病は1型と2型の2種類に分けられます。

1型糖尿病は、外敵から身を守るはずの免疫システムが、誤って自分自身を攻撃してしまい、その際にすい臓が破壊されてインスリンがでなくなってしまったために、細胞にブドウ糖を取り込むことができなくなったという糖尿病です。

生活習慣病と言われ、一般的に身近なのが2型糖尿病です。

1型糖尿病


1型糖尿病の90%が、前述したように、免疫システムの誤作動(自己免疫性)ですが、10%は原因不明(特発性)です。甲状腺の病気を併発することもあります。

また、1型糖尿病の発症に、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)や麻疹ウイルス(はしか)などの感染が関係しているのでは、という報告もあります。

1型糖尿病の多くは小児期から思春期にかけて発症することが多いですが、成人でも発症することはあります。2型糖尿病とは異なり、生活習慣とは無関係であり、通常遺伝することはありません。

2型糖尿病


2型糖尿病は前述のように、すい臓の疲弊によるインスリン分泌の低下が原因です。

一般的に40歳以上から増加傾向にはありますが、近年は若年化も進んでいます。パンやおにぎり、カップラーメンなど、炭水化物は安価で入手できることもあって、貧困が2型糖尿病を助長していると指摘する人もいます。

一般的な糖尿病は2型を指す


糖尿病の90から95%が2型になり、一般的に糖尿病というと2型を指すことが多いです。

男性の割合が高い

2型糖尿病は女性よりも男性の割合が高いことが知られています。内臓脂肪が過剰に蓄積すると、インスリンの働きの邪魔をすることがわかっていますが、閉経前の女性は、女性ホルモンの働きによって内臓脂肪が蓄積しにくくなっているためです。
(内臓脂肪と皮下脂肪は異なり、女性は皮下脂肪がつきやすい特徴があります。)

 

糖尿病はどんな症状があるか


糖尿病は、血液中にブドウ糖が溢れかえり、血がドロドロになることによって、様々な症状を引き起こします。血液は全身に流れているため、身体のいたるところで病気の影響が出ます。ブドウ糖で血液がドロドロにならない様に、すい臓はインスリンを出して、限界まで頑張りますが、徐々に無理が効かなくなってきた頃から少しずつ症状がで始めるため、初期の症状には気づきにくいことも多いです。

喉が乾く


細胞達にとってブドウ糖は、大切なエネルギーとなる物質なので、本来は体の外に捨てることはありません。しかし、糖尿病になると、インスリンの欠乏によって、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むことができなくなります。血糖値が高すぎても低すぎても体に毒になります。

そのため、ブドウ糖を尿として体の外に排出することになるのですが、当然ながら尿を作るには水分が必要です。小学生の頃の理科の実験を覚えていますでしょうか。水に角砂糖を溶かす際に、砂糖の量が増えれば増えるほど、溶かすのに必要な水の量も増えます。

同様に、血液中に溢れかえったブドウ糖を尿に溶かして体外へ捨てるために、水分を大量に利用してしまいます。結果として体は脱水状態となり、喉が渇きます。

頻尿


続きになります。糖尿病の主症状として喉が渇く理由について解説しました。のどが渇けば、当然水分をたくさん取るようになります。結果としておしっこに行く回数が増えることになります。

糖尿病では「口喝」「多飲」「多尿」が3つで1セットであると、私が学生時代には習ったものです。


ここで気を付けて頂きたいのは、そもそもブドウ糖を尿として捨てるために、ブドウ糖を溶かす水分が必要となり、喉が渇くというメカニズムでした。もし糖尿病の患者さんが、喉が渇いた時に甘いジュースを飲んでしまったらどうなるでしょう。体の中のブドウ糖はますます増えて、増えたブドウ糖を捨てるための水分はさらに必要となり、悪循環に陥ります。

体重減少


糖尿病の患者さんのイメージと言えば、太っているイメージをお持ちの方は多いと思います。炭水化物や砂糖の過剰摂取により、血糖値が高い状態が続くと、インスリンの分泌量が増え、一生懸命体内に取り込み、余ったものは脂肪組織などにため込むため、肥満となります。

しかし、病状が進行し、すい臓が疲弊してしまうと、インスリンを出すことができなくなり、人間は血液中のブドウ糖を体内に取り込む術(すべ)を失います。細胞達は、ブドウ糖を取り込むことで、エネルギーを作って体を動かしたり、細胞を修復したり、作ったりなどしています。もし取り込むことができなくなったら、どこからかブドウ糖に変わるエネルギーを調達してこなくてはなりません。その時は、自らの筋肉や脂肪を分解して補います。

結果としてどんどん体重は落ちていくことになります。痩せてきたと言って焦って食べたとしても、食物中にある糖分(ブドウ糖)を細胞の中に取り込むために必要なインスリンが無ければ、もはや栄養に変わることはありません。

手足の麻痺や鈍化


高血糖状態が続くと、血管や神経を傷つけてしまうことが分かっています。

糖尿病では特に、「靴下手袋型」と呼ばれ、左右両方の手先足先の神経のしびれや、感覚麻痺などの症状がみられます。

眼がかすむ


人は物を見る際に、網膜という目の奥の組織に映し出し、視神経を通して脳で読み取るという作業をしています。

この網膜という組織で、溢れかえったブドウ糖によって血流が阻害されると、栄養や酸素が網膜の細胞内に十分に行きわたらずに、目がかすむようになります。

ED


EDの原因にはさまざまありますが、糖尿病も代表的な原因の一つです。
血糖値が高い状態が続くと、神経や血管を傷つけてしまうことが分かっています。

糖尿病では、陰茎にある血管が傷つき、血流が悪くなります。さらに、陰茎に張り巡らされている神経にも障害が起き、脳へ刺激の伝達が悪くなり、勃起が困難となります。


米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の調査によると、糖尿病のある男性は、糖尿病のない男性に比べ、EDを発症する割合が2〜3倍高いことが報告されています。とくに45歳以下の男性については、EDが糖尿病を早期発見するための指標になる可能性があるのではと指摘されています。

 

悪化すれば嘔吐や全身倦怠感も


糖尿病は細胞達のエネルギーとなるブドウ糖を体内に取り込めず、血液中に溢れかえったブドウ糖を尿から捨ててしまう病気です。言い換えると、常にエネルギー不足に陥った状態で、すぐに疲れを感じるようになります。

糖尿病のその他の合併症として、胃の運動障害、胃酸の分泌障害があります。そのため、吐き気や嘔吐がみられることがあります。

危険な合併症を引き起こすことも


糖尿病は、溢れかえったブドウ糖によって、血管や神経を傷つけてしまう病気です。血管や神経は全身に張り巡らされているので、体のいたるところで糖尿病の影響が出ることになります。

大量のブドウとで血液がドロドロしていると、特に細い血管では、簡単に詰まる、破れるなどして、傷ついてしまいます。また、神経では、体の末端部で障害を受けやすい特徴があります。

糖尿病網膜症


人は物を見る際に、網膜という目の奥の組織に映し出し、視神経を通して脳で読み取るという作業をしています。網膜では、詳細な映像を映し出すために、細胞が密集しているため、それに伴い血管も豊富です。

糖尿病で溢れかえったブドウ糖により、血液の流れが邪魔されると、網膜の細胞に栄養や酸素が十分に届かず、細胞が本来の仕事ができず、目がかすむなどの症状が出ます。

さらに、網膜を栄養している血管が傷つき、破れてしまうと、網膜出血を起こすなどし、重症化すると失明する可能性があります。

糖尿病神経障害


糖尿病によっておこる神経障害では、「靴下手袋型」と呼ばれ、左右両方の手先足先の神経のしびれや、感覚麻痺などの症状がみられるという特徴があります。また、足が良くつるようになったというのも、糖尿病の症状であることがあります。

糖尿病性腎症


あまりなじみが無いかもしれませんが、腎臓内には、「糸球体」と呼ばれる毛細血管(とても細い血管)の塊があります。細い血管というのは、血液中に溢れかえったブドウ糖によって、破れたり、詰まったりしやすいので、どうしても障害を受けやすくなります。障害を受けた閣下、腎臓の機能が低下した病気を糖尿病性腎症と呼びます。

全身の細胞一つ一つ、みな生きているので、当然老廃物が出ます。老廃物は血液中に流され、腎臓によって処理され、尿として体の外に排泄されます。腎臓が機能しないと、私たちのからだは、ゴミを捨てられないゴミ屋敷状態となり、放置すれば死に至ります。

そのため、糖尿病によって腎臓が使えなくなってしまった方は、血液透析と言って、腎臓の代わりになる機械で、血液をきれいにしてもらう必要が出てきます。

関連記事:気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です



心筋梗塞


糖尿病によって、網膜や腎臓といった細い血管がある臓器が傷つきやすいのですが、ブドウ糖でドロドロした血液は全身の血管のいたるところを傷つけます。

心臓に栄養や酸素を送っている血管が傷つき、完全に血管が詰まってしまうと、心筋梗塞を引き起こします。

関連記事:心不全について!もしものために知っておきたい心不全の症状や治療について

関連記事:【生活習慣病の方に知ってほしい】心筋梗塞の症状や前兆について



狭心症


狭心症とは、心筋梗塞になる一歩手前の段階です。

脳梗塞・脳卒中


脳の周囲にはたくさんの血管が張り巡らされています。大量のブドウ糖でドロドロした血液は、血流の流れを悪くし、細い血管は詰まったり、破けたりします。脳の血管が詰まった病気を脳梗塞、脳の血管が破れた病気を脳出血と言います。

脳梗塞や脳出血など、脳の血管の障害が原因でおこる病気の総称を脳卒中と呼びます。


関連記事:脳梗塞後遺症について知りたい|どんな症状やリハビリがある?



高尿酸血症


尿酸値が高い状態を高尿酸血症と呼び、痛風の原因となります。尿酸値が上がりやすい生活習慣とは、過食、大量飲酒、運動不足、肥満などであり、糖尿病を招く生活習慣とほとんど変わらないためです。


関連記事:気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です



足えそ


えそ(壊疽)とは、皮膚や筋肉といった組織が壊死する、大雑把に言うと腐るということです。糖尿病では、足先から徐々に壊疽していく現象が見られます。上述した合併症のすべての要素が詰まっています。


まず、糖尿病では足先の神経の感覚麻痺がおこります。感覚が麻痺したために、怪我をしたことに気づくことができません。特に足裏などは、普段から気に留める機会が少ないので、なおさらです。


また、足先は心臓から最も遠く、ただでさえ血流が滞りがちです。そこにブドウ糖によってドロドロになった血液によって、さらに血流が滞ることで、足先の細胞達は生きていくことが難しくなります。


それらに追い打ちをかけるように、糖尿病になると、白血球などばい菌と戦う免疫の働きが弱まることが分かっており、怪我の傷が治らなくなってしまいます。
そのようにして足が壊疽してしまうと、足を切断しなければならなくなります。

認知症


糖尿病の方はそうでない方と比べると、アルツハイマー型認知症に約1.5倍なりやすく、脳血管性認知症に約2.5倍なりやすいと報告されています。

 

病院での検査と予防法 


血液の中に溶けているブドウ糖の値を血糖値と呼びます。血糖値は高すぎても、低すぎても、体に毒であるため、一定の範囲内におさまるように調節されています。

しかし、血糖値を下げる(血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む)ホルモンであるインスリンが、製造元のすい臓が疲弊したために作られなくなると、血糖値を下げることができなくなり、血糖値が高い状態が続いてしまいます。

病院での検査では血糖値をさまざまな方法で測定し、糖尿病かどうかを確認していくことになります。

随時血糖検査


血糖値は食事をすれば当然上昇し、お腹が空く頃には低くなるなど、常に一定の値を示すわけではありません。随時血糖検査とは、「食事をとった」「さっきおやつたべた」など関係なく、とりあえず血液をとったタイミングでの血糖値を調べる検査です。


この随時血糖値が200㎎/dl以上の場合、糖尿病の疑いがあります。

早朝空腹時血糖検査


朝起きた時は、多くの人にとってお腹が空いている状態と言えます。正確には、8時間以上食事をしていない、糖分が入った飲み物を飲んでいない状態が必要です。

糖分(正確には分解されたブドウ糖)が新たに血液中に入ってこなければ、基本的に血糖値が高い状態で保たれることはありません。つまり、早朝空腹時に血糖値を測定し、その値が高いということは、糖尿病の疑いがあります。


具体的には、早朝空腹時血糖が126㎎/dl以上は糖尿病の疑いがあります。逆に110mg/dl未満であれば正常です。

75gOGTT


75gOGTTとは、75g経口ブドウ糖負荷試験のことを指します。早朝空腹時の血糖値を測定したのちに、
ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの)を飲み、30分、1時間と2時間後にそれぞれ採血し、血糖値を測るという検査です。

糖尿病でない方は、30分から1時間後に血糖値がピークに達したあと、2時間後には早朝空腹時血糖に近い値まで、血糖値は下がります。しかし、糖尿病になると、2時間たっても血糖値の下がりが不十分だったり、高いままであったりします。

具体的には、75gOGTTの2時間値が200㎎/dl以上であった場合は糖尿病の疑いがあります。また、この検査で140mg/dl未満まで血糖値が下がっていれば正常です。

症状が見られた場合は検査を勧めます


喉が渇く、トイレが近くなる(頻尿)、体重が減る、手足がしびれる、目がかすむ、ED、吐き気、体がだるい、などの症状を説明してきました。糖尿病は血液の中でブドウ糖が溢れかえり、その結果、血管や神経を傷つけてしまう病気です。

血管や神経は全身に張り巡らされていることもあり、その症状は多岐に渡ります。食生活が乱れている方、飲酒や喫煙が多い方、運動不足な方、年齢とともに体重が増えてきた方などは、思い当たる症状があれば早めの受診をお勧めします。

また、症状に気が付きにくい病気でもあるので、健康診断は毎年受けられることが望ましいでしょう。

診断されたらまずは食事療法と運動療法


糖尿病は、血液中に溢れかえったブドウ糖が血管や神経を傷つけてしまう病気です。なぜ、ブドウ糖が血液中に溢れかえってしまうのか。それは、摂取する糖分(分解されるとブドウ糖)が多すぎて、インスリンを製造する工場であるすい臓が疲弊し、インスリンが分泌されなくなってしまうからです。

血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むためのホルモンであるインスリンでした。
つまり、摂取する糖分を減らし、すい臓を休ませてあげることが一番の治療になります。

また、インスリンでブドウ糖を細胞内に取り込む際に、余ったブドウ糖は肝臓、筋肉、脂肪組織などに蓄えるのでした。

つまり、適度な運動によって筋肉を維持すること、そして脂肪を燃焼させて貯蔵庫を開けておくことは、とても大切です。特に内臓脂肪が蓄積してしまうと、インスリンの働きを邪魔してしまいます。

 

西春内科在宅クリニックができる対応


糖尿病は血管や神経を傷つけるため、全身にさまざまな病気を引き起こすきっかけとなる病気と言えます。健康診断で糖尿病の可能性を指摘された方はもちろん、日常生活の乱れを自覚していて、糖尿病の症状かもと気づかれた方は、早めに受診することをお勧めします。

 

西春内科クリニックでは、内科医常勤医の診察のもと、適切な検査を行い、糖尿病の診断が可能です。

糖尿病の診断があった場合は、生活指導や、必要に応じてお薬の治療を行います。定期的な通院を行うことで、糖尿病の状態を確認しつつ、合併症の発症を予防していくことも大切です。

人は自分に甘く、誰かに見られている(医師に定期的に血糖値を確認される)と言うことが、治療へのモチベーションとなることもあります。

 

まとめ


糖尿病は、放置すれば、失明、血液透析、下肢の切断などにつながる恐ろしい病気です。さらに、脳梗塞、心筋梗塞、アルツハイマー型認知症など、さまざまな病気の原因や、それらの病気自体を悪化させる可能性もあります。「ちょっと血糖値が高かっただけ」などと、油断しないようにしましょう。

 

参考資料

糖尿病|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

糖尿病に関する統計・調査と社会的な取組み | 糖尿病情報センター (ncgm.go.jp)

糖尿病の診断基準 | 糖尿病 | バリューHR (sageru.jp)

糖尿病ネットワーク Diabetes Net. (dm-net.co.jp)

インスリン抵抗性とインスリンの分泌低下とは? 血糖値が高くなる2つの原因 | NHK健康チャンネル

1型糖尿病|一般の皆様へ|日本内分泌学会 (j-endo.jp)

1型糖尿病 概要 – 小児慢性特定疾病情報センター (shouman.jp)

認知症 | 糖尿病情報センター (ncgm.go.jp)


 【監修医師】

精神科専門医 Dr.竹下 理

気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です

生活習慣病と言われる高血圧と脂質異常症は危ない病気を引き起こすかもしれません。

高血圧症について


高血圧症は、その発症の原因から「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の二つに分類されます。

そのうち本態性高血圧は、一次性高血圧と呼ぶこともある高血圧で、日々の食生活などが原因になる高血圧です。逆に二次性高血圧は、原因となる疾患が別にある高血圧を指します。

 本態性高血圧(日本人のほとんどがこれ)


日本人の高血圧症のうち、90%~95%は本態性高血圧と言われています。本態性高血圧は、一次性高血圧ともいわれ、明確な原因が指摘できない高血圧です。

原因がないわけではなく、いろいろな要素が組み合わさって高血圧になっていきます。この本態性高血圧では特に自覚症状がないことが多く、健診などで指摘されないと意識することが少ないかもしれません。

日本人では食塩の過剰摂取がもっとも大きな原因で、その他に肥満・飲酒・運動不足・ストレス・遺伝的体質などが考えられます。

 二次性高血圧


本態性高血圧と異なり、高血圧になった原因を特定できるものを二次性高血圧とよびます。

その原因には①腎実質性、②腎血管性、③内分泌性、④血管性、⑤脳・中枢神経性、⑥遺伝性、⑦薬剤性などに細分化されます。

自覚症状が乏しい本態性高血圧に比べて、二次性高血圧は高血圧になる原疾患があるため、何かしらの症状が出現する場合があります。そして、二次性高血圧はその原疾患を治療できれば、高血圧が治癒したり容易にコントロールできるようになったりします。

しかし、実は二次性高血圧であるが、自覚症状などが乏しいため気が付かれず、本態性高血圧として治療をされれている方が多いのも実情です。

本態性高血圧よりも二次性高血圧を疑う状況は、若年で発症する高血圧、急速に発症した高血圧、治療抵抗性の高血圧、臓器障害を強く伴う高血圧、夜間高血圧、低カリウム血症などの電解質異常を伴う高血圧などです。
 

病院と家庭で測る血圧の基準がある


血圧は常時一定であるものではなく、1日の中でも時間帯や測定する状況で変動があります。

その中でも、病院で測定する病院血圧(診察室血圧)と家庭で測定する家庭血圧は明らかに異なることが多いため、別の基準が設けられています。

その理由には、病院で血圧測定する時は、病院という環境に緊張される方が多く、家庭などのリラックスした状態で測るよりも血圧が高くなることが知られています。

中には、病院で測定したときのみ異常に高血圧になる方もいらっしゃり、白衣高血圧と呼ばれています。
そのため、高血圧の基準とされる値は、家庭血圧が病院血圧よりも低く設定されています。

また、降圧治療の評価のためにも家庭血圧を測定して主治医に報告することが大切です。

病院基準


病院における高血圧の診断基準は、上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上となります。

さらに高血圧の程度によってⅠ~Ⅲ度に分類され、140~159/90~99mmHgがⅠ度高血圧、160~179/100~109mmHgがⅡ度高血圧、180/110mmHg以上がⅢ度高血圧です。

家庭基準


家庭血圧による高血圧の基準値は、135/85 mmHg以上です。なれた自宅でリラックスして測られることが多いため、診察室血圧よりも5 mmHg低い基準値となっています。

つまり家庭血圧が高い方は、同じ病院血圧の人と比較して、より重症であると判断ができます。
そして、最近の研究では脳卒中や心筋梗塞などの高血圧に伴う病気の発症を予測する方法として、病院血圧よりも家庭血圧のほうが優れていることが分かってきました。

そのため、診察室血圧と家庭血圧の数値に大きな差がある場合、家庭血圧の数値を優先して高血圧の診断を行うようになっています。
 

脂質異常症について


血液検査の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。

脂質の異常には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の3種類の異常があります。

これらそれぞれの脂肪の異常が単独である場合と、複数の異常脂質異常が同時にみられる場合があります。

メタボリックシンドロームの診断基準に用いられる脂質はHDLコレステロール、トリグリセライドであるため、それらが重要だと考える方もいるでしょう。

しかし、LDLコレステロールはそれ単独でも強力に動脈硬化を進行させるため、メタボリックシンドロームの有無に関係なく、LDLコレステロールの値にも注意する必要があります。

以前は高脂血症と呼ばれていましたが、善玉のHDLコレステロールが低い場合も問題があることが判明し、それを高脂血症と呼ぶのは適当でないことなどから、診断名を高脂血症から脂質異常症となりました。

高LDLコレステロール血症


増えすぎると動脈硬化を起こして心筋梗塞や脳梗塞を発症させるもので、俗に言う悪玉コレステロールです。

悪玉と言っても人体で重要な役割も果たしているため数値が通常の範囲であれば全く問題ありませんが、過剰に存在すると余分なLDLコレステロールが血管壁にたまってしまいます。

それは活性酸素の影響で酸化され、さらに蓄積し血管を細くさせ心筋梗塞や狭心症・脳梗塞などの動脈硬化性疾患を誘発させます。

LDLコレステロールの正常範囲は140mg/dl未満です。140mg/dl以上の場合は高LDLコレステロール血症になります。

 HDLコレステロール血症


余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑える機能を持つものであり、善玉コレステロールとも言われています。増えすぎたコレステロールが動脈硬化を促進するのとは反対に、動脈硬化を抑制する働きがあるので善玉コレステロールといわれます。

日々の生活の中では、LDLコレステロールを減らしHDLコレステロールを増やすことが、健康的な生活とも言えます。運動不足や喫煙がHDLコレステロールを下げる原因になると考えられているため、低HDLコレステロール血症で困っている方は注意してみてください。

高トリグリセライド血症


トリグリセライドは中性脂肪と呼ばれ、肉や魚・食用油など食品中の脂質であり、単なる脂肪と認識してもらっても間違いありません。

中性脂肪は人にとっては重要なエネルギー源であり、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の摂取にも不可欠ですが、とりすぎると肥満をまねき、生活習慣病を引き起こします。

血液中の中性脂肪は食事によって深く影響を受け、メタボリックシンドロームの診断基準にも記載があります。高トリグリセライド血症で悩む方は、日々の食事の中や生活習慣を見直す必要があり、食事では特に脂っこいものを節制する必要があります。


関連記事:知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について



高血圧症と脂質異常症に共通する原因

運動不足


WHOは、運動不足を世界の死亡に対する第4位の危険因子として位置付けています。また、運動不足は肥満の原因にもなり、肥満が高血圧や脂質異常症の原因となるためです。


日々の健康維持のためには、適切な運動の実施が欠かせず、適切な運動をすることは脳心血管病の発症を予防することができます。

高血圧症においては運動で改善することが知られており、運動療法とも言われます。運動の頻度は定期的に実施し、1回30分以上、ややきついと感じるくらいの有酸素運動が勧められています。

肥満


肥満はただ体重が重いことを指すよりも、過剰な体脂肪がついてしまっていることを指します。肥満患者では動脈硬化の原因となる内蔵脂肪が過剰なため、血圧が高くなりやすいことがわかってきました。

国民の3~4人に1人が高血圧といわれていますが、肥満の人では2人に1人の割合に増えます。

高血圧の状態が続くと血管の壁の内側に傷がつき、そこに血液中のコレステロールなどがたまって動脈硬化を招き、やがて狭心症や心筋梗塞などの病気を引き起こします。

自覚症状がないため気が付きにくいですが、肥満を改善することは健康に生きるためにとても大事になります。

塩分の摂りすぎ


不健康な食事として高カロリー食や塩分過多による食事が挙げられます。

そのうち、なぜ塩分を過剰に摂取することが不健康とされるかというと、塩分は水を含む性質があるため、過剰に塩分摂取すると体内にナトリウムと水が貯まり、血液の量が増加し血圧が上がると考えられています。

時折塩分過剰になることはさほど問題ありませんが、普段から塩分の食事を続けることは高血圧などの原因になり注意が必要です。

飲酒


アルコール摂取により大きく影響を受ける脂質は、トリグリセライドとHDLコレステロールです。アルコールをすると肝臓がトリグリセライドを作るため、血液中に漏れる高トリグリセライド血症になることにもあります。

そして肝臓に残ったトリグリセライドは肝臓に溜まり脂肪肝の原因となります。適量のアルコール摂取はHDLコレステロールの合成・分泌を増やし、分解を低下させる働きがあることも知られており、これが適量の飲酒であれば、血圧を上げずに脳血管障害・冠動脈疾患の発生を低下させると言われている原因です。

ただ、過度なアルコール摂取は肥満や高血圧を引き起こすため脳血管障害・冠動脈疾患の危険因子になるため注意が必要です。

ストレス過多


緊張すると血圧が上がるということは聞いたことがあるかもしれません。その典型例は、先ほど紹介した白衣高血圧(病院高血圧)です。

つまり過度の緊張やストレスは、血圧の上昇と深い関連があります。高血圧患者で食事などに気をつかっている人でも、ストレスについては無関心ということが少なくありません。

ストレスが直接高血圧の原因になることもあるため、ストレスが強い環境にさらされ続けるのは避けなければいけません。血圧をコントロールするためにも自分のストレスや、その解消方法について理解しておくことが大切です。


関連記事:知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について



命にかかわる合併症を引き起こすことも


生活習慣病には高血圧、脂質異常症、糖尿病などいくつかありますが、そのいずれにおいても初期の段階では自覚症状がほとんどありません。

しかし生活習慣は症状がないからといって放置しておくと、気づかないうちに進行し動脈硬化を進行させ血管にダメージを与えていきます。

そして血管が関係する病気はある日突然発症します。特に血管が関与する病気の中でも狭心症や心筋梗塞、脳卒中などは1度の発症で命を落とすことにもつながります。

ここに生活習慣病がサイレントキラーと呼ばれている所以があります。

心筋梗塞などが起こり手遅れになる前に、高血圧・脂質異常症と診断されたら、症状がなくても食事や運動など生活習慣を見直しましょう。また治療に前向きに取り組み、生活習慣病の予防に努めることが重要です。

関連記事:
【生活習慣病の方に知ってほしい】心筋梗塞の症状や前兆について



西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、内科診察・血液検査が可能です。高血圧に対しては家庭血圧・病院血圧の評価や必要時の内服処方を外来で行うことができ、また脂質異常症に対してはLDLコレステロール値や中性脂肪などの採血検査・評価・投薬治療が可能です。

まとめ

不健康な食事や運動不足、喫煙、アルコール過剰摂取といった生活習慣は、高血圧や脂質異常症の原因になるほか、いずれは心筋梗塞や脳卒中といった重要な病気につながるため注意が必要です。

高血圧や脂質異常症といった生活習慣病はほとんど自覚症状がないため自分で気づかない方も多いですが、予防のためにも日頃からバランス取れた食事、運動、体重のコントロール、お酒の量を減らす、禁煙を心がけることが大切です。

 

 【参考文献】

 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 

【監修医師】

外科専門医 Dr.梅村 将成

 

熱中症の対策方法教えます。

ご無沙汰しております。副院長の朝岡です!
熱中症

内科外来・発熱外来・ワクチン接種と様々な業務を行わせてもらって、毎日楽しく業務をさせて頂いております。
北名古屋市の皆様は温かいこともあって、非常にお話しがしやすくて、ついつい話しが盛り上がってしまいます(笑)

最近は日も照ってきたので、日中は熱くなって、しんどい思いをされている方が多いのではないでしょうか
僕も子供の散歩や公園で一緒に遊んだりしていると頭がぼーとすることが多くなりました。

そろそろ熱中症の方がでてもおかしくないので、熱中症について一度お話ししておきますね。

 

 

熱中症とは『暑熱環境における身体適応障害によっておこる状態の総称』のことです。つまりは『熱くてカラダが変な感じがする』ことを熱中症といいます。

 まず熱中症に似た言葉で日射病、熱射病、熱性虚脱、熱性失神、熱性浮腫、熱痙攣、熱疲労、無汗性日射病などとありますが広義の意味で熱中症といいます。熱中症による死亡者は1年あたり500人程度と非常に多いです。そのうち80%程度を60歳以上の方が占めており、熱中症関連死は屋内で起きることも多く、ご高齢、独居、日常生活動作の低下や精神疾患、心疾患などの基礎疾患を持っている方は特に気を付ける必要があります。

暑さ指標
参考:熱中症ガイドライン 2015年

ところで皆さん、外の気温が何度以上だと熱中症になるかご存じですか?

実は気温が31℃超えると、熱中症患者が急増して、気温が35℃超えると熱中症による搬送患者が大量発生することがわかっています。身体に熱がこもってしまうことで起きる現象なので、実は気温以外にも条件があります。身体への熱の出入りに関係する気象条件は気温、湿度、風速、放射熱(太陽からの日射、地表面からの反射)があります。もちろん最も寄与する気象要素は『気温』なのですが、日本では特に湿度が高く、低い温度でも熱中症になる方が多い国の一つです。また熱中症の発生ピークは梅雨の前後で、最も湿度が高い時期になります。

参考:熱中症ガイドライン 2015年

 熱中症の症状に応じて、重症度が3つの分類で分けられ、その症状に応じて対応が変わってきます。症状は様々で、めまい、失神(立ちくらみ)、生あくび、大量の発汗、強い口渇感、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、痙攣、せん妄、小脳失調といった症状があります。特に痙攣や動けないなどがあれば、救急車をすぐに呼んで早期加療が大切になります。

 

熱中症の治療についてですが、予防が一番大切になります。

生活する居住区は変えられませんし、直射日光が当たるのも日傘や帽子ぐらいの対処しかありません。体温が熱くなったら、体温を覚ませるような日陰や涼しい場所への移動が大切です。また汗などの脱水も起きてしまうので。十分に塩分と水分の補給が大切です。

塩分と水分の両者を適切に含んだもの(0.1~0.2%の食塩水)を十分に摂取することが推奨されており、実際は経口補水液の接種が勧められます。

熱中症では水分とともにNaなどの電解質異常の喪失があるので、塩分の補給が必要です。下記の表にある通り、スポーツドリンクの補給だとNaの塩分量が倍量必要というのがわかります。また梅昆布茶みそ汁などもミネラル、塩分が豊富に含まれており、熱中症の予防に有効と考えられています。

高齢者は夏場では特に脱水症が生じやすく、また脱水に自分では気づきにくいことも多いです。さらにお茶などの塩分が少ない嗜好があり、自分では水分補給をしているつもりでも結果的に電解質が補給されていない場合が多くあります。

参考:熱中症ガイドライン 2015年


また、もし熱中症が起きてしまった場合は、生命を脅かす合併症がない限り、水槽に使って体を冷やしたり、大量の水を噴霧させるなどして、できるだけ早期から冷却処置を行うことが推奨されています。重症の熱中症では様々な臓器障害などを引き起こすことが分かっていますが、早期より治療を受ければ後遺障害を残すことが少ないこともわかっています。この中でも主な後遺障害は中枢神経障害であり、その症状押しては小脳失調やパーキンソン症候群などであり、注意が必要です。

 

以上、熱中症について一つでもためにになる話があれば嬉しい限りです。当院でも病気のご相談はいつでも承っております。いつでもいいので待ってますね^^

 

 

参考文献:

熱中症ガイドライン 2015年

監修医師:
朝岡龍博副院長
耳鼻咽喉科 朝岡 龍博
☆プロフィールはこちら

 

脳梗塞後遺症について知りたい|どんな症状やリハビリがある?

脳梗塞ってよく聞きますよね。脳梗塞の発症率 は40歳以上で10万人に600人と言われており、親族を見渡すと脳梗塞を発症した経験がある人は多いと思います。脳梗塞は医療の発展により後遺症を残さないこともありますが、何かしらの後遺症を残すことが多く、厚生労働省の報告でも介護が必要となる原因の第2位となっています。

 

脳梗塞は怖い病気ではありますが、どんな病気なのか、どのような後遺症が残るのかについてはよく知らない人が多いと思います。ここでは脳梗塞について詳しく紹介しようと思います。

 

脳梗塞について

脳卒中のうちの一つが脳梗塞

「脳卒中」、「脳溢血」、「脳梗塞」、「脳出血」など様々な用語を聞いたことがあると思います。どれも脳血管疾患を指す言葉にはなりますが、正直よくわからないという方が多いと思います。まずはこれらの用語はどのようなものか説明します。

 

脳梗塞は脳を栄養する血管の狭窄や閉塞により、血流が不足して脳細胞が壊死してしまう病気です。脳出血は脳を栄養する血管が破れることで脳内に出血をしてしまう病気です。脳卒中は「卒然として(急に)邪風に中(あた)る」が語源となっており、脳梗塞と脳出血を合わせた病名です。脳溢血は脳出血とほぼ同義で使われる用語で通称に近いものです。

 

ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、その他に分けられる

脳梗塞は脳を栄養する血管(動脈)が細くなったり、血の塊などで閉塞したりすることで発症する病気です。

 

脳梗塞はその原因によって、脳内の小動脈病変が原因となる「ラクナ梗塞」、頸部~頭蓋内の比較的大きな動脈のアテローム硬化(動脈硬化)が原因となる「アテローム血栓性脳梗塞」、不整脈や心筋梗塞、心臓弁膜症など心臓が原因となる「心原性脳塞栓症」、先天性な要因や悪性腫瘍などにより血の固まりやすさが亢進することや静脈の血液が動脈に流れ込む病気(肺動静脈瘻や卵円孔開存症など)などが原因となる「その他」に大きく分けられます 

 

脳梗塞の原因は? 

脳梗塞はそのタイプ(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、その他)により原因が異なります。

 

ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞では高血圧や糖尿病などにより動脈に負担がかかり、動脈硬化や小血管の障害が進行することが大きな原因となります。特にラクナ梗塞は高血圧の関与が大きいといわれています。

 

動脈硬化は生活習慣病の一つとしてもよく知られているため、リスクファクターや予防法についても聞いたことがある方は多いと思いますが、動脈硬化の代表的なリスクファクターは喫煙、飲酒、肥満、高血圧、脂質異常症/高コレステロール血症、糖尿病です。

 

自身でできる予防法としては、禁煙、節酒、食事療法(食べ過ぎに注意する、バランスの取れた食事をする、塩分を控える)や運動療法(1日30分以上の散歩をするなど、各個人の運動機能に合わせた有酸素運動)などがありますが、健康診断で異常を指摘される場合には医療機関で内服治療を受けることも重要です。

 

心原性脳塞栓症の主な原因は心房細動です。心房細動とは心臓を流れる電気信号の乱れによって心房が小刻みに震えて、心拍も不規則となる病気です。

 

心房が小刻みに震えて血液が心房内に滞ることで、心房内に血栓ができ、脳梗塞の原因となります。

 

心房細動は他の不整脈と同じく、不整脈が出ているときに心電図などの検査をうけないと診断ができない病気であり、診断が難しい場合もありますが、重症な脳梗塞の原因となるため心房細動の指摘を受けた場合には抗凝固薬を服用しましょう。

 

心房細動は加齢による影響が大きく、60歳以降で頻度が増加します病気で予防は困難ですが、肥満、多量の飲酒、ストレス、睡眠不足も原因となるため、節酒や規則正しい生活を心がけましょう。



【関連記事】高血圧や脂質異常症の生活習慣病が引き金に

 

脳梗塞の完治する確率は?

血栓溶解療法や血栓回収療法などの急性期治療の発達により、発症してすぐに治療を受けることで重症の脳梗塞でも後遺症を残さずに退院できるケースも増えてきましたが、一般に脳梗塞を発症するとほぼ完治する人が2割で、約7割は何かしらの後遺症を残すといわれています。

 

厚生労働省の報告では脳梗塞発症後の復職率は5~6割です。脳梗塞の症状の改善にはリハビリテーションが重要で、特に発症から3か月以内の急性期はリハビリテーションにより症状の改善が期待できることから、リハビリテーション後となる発症から3~6か月ごろに復職する人が多いです。一方で復職する人の15%程度は発症の1年後以降に復職しています。

  

なぜ脳梗塞後遺症になってしまうのか

脳細胞が壊死してしまう

脳梗塞は血流が不足することで脳細胞が壊死してしまうことで発症します。リハビリテーションなどの訓練により残った周囲の神経細胞が壊死した細胞の役割の一部を肩代わりしますが、壊死してしまった脳細胞は再生しないため後遺症が残ります。

 

脳細胞は脳の部位ごとで運動や感覚、記憶などの情報処理などそれぞれの役割を持っており、どこの脳細胞が障害を受けるかにより症状が異なります。脳はいろいろな場所と電気信号をやりとりしながら役割をはたしているため、明確に役割を線引きすることは困難ですが、ここでは簡単に脳の部位ごとの役割と障害されるとどのような症状がでるかについて紹介します。

大脳


前頭葉

前頭葉の役割は思考力、判断力、集中力、気分のコントロールなど幅広く、運動や言葉の一部の機能もつかさどっています。運動をつかさどる部位(中心前回) や運動の信号を伝える経路(錐体路)が障害されると手足や顔が上手く動かせなくなりますまた言葉をつかさどる部位(Broca野)が障害されると言葉の理解はできるものの発語がしづらくなり、たどたどしい会話になります。特徴的な機能ない部位の障害でも集中力が低下する、怒りっぽくなる、物覚えが悪くなるなどの症状が出現します。

 

頭頂葉

頭頂葉は感覚をつかさどっており、体の感覚から集めた情報の処理や計算の役割を担っています。感覚をつかさどる部位(中心後回)や感覚の信号を伝える経路(皮質脊髄路や脊髄視床路)が障害されると、感覚鈍麻やしびれが出現します。

 

その他の障害により障害された脳と反対側を無視してしまう、左右がわからない、計算ができないなどの症状が出現します。

 

側頭葉

側頭葉は記憶や本能・情動、言葉の理解に関わる役割を担っています。側頭葉の内側にある海馬は記憶に関して重要な役割を果たしており、アルツハイマー型認知症で障害される場所としても知られています。

 

脳梗塞にはなりにくいですが、一過性の虚血により健忘となることがあります。言葉をつかさどる部位(Wernicke野)が障害されると、言葉が理解できなくなったり、話そうとしても意味不明な単語や文章となってしまったりします。

 

後頭葉

後頭葉は視覚をつかさどっています。後頭葉が障害されると、障害を受けた脳と反対側の視野がかけて見えなくなります。

小脳

小脳は目的となるような体の動きをスムーズに行えるように調整したり、一連の動作が効率よく行えるようにプログラムしたり、体のバランスをとったりする役割を担っています。

小脳が障害を受けるとめまいがしたり、動作がぎこちなくってものを取ろうとしてもずれてしまったり、体は動かせるけれども思うように動かなかったりします。

脳幹

脳幹は大脳からの命令や大脳に送る情報のすべてが通る部位であり、意識や呼吸など生命の維持に直結するような重要な役割を担っています。

中脳・橋・延髄に分けられ、中脳や橋は意識を、延髄は呼吸をつかさどっており、障害を受けることで目が覚めなくなったり、呼吸が止まってしまったりします。また体と大脳とをつなぐ経路の障害により、運動や感覚も障害されます。

 

脳梗塞後遺症の症状

麻痺

運動に関わる領域に障害を受けると、筋肉に体を動かす命令が出せなくなることで体が動かせなくなります。手足の動きが悪くなれば日常生活に支障があり、顔の動きが悪くなれば後述の嚥下障害や構音障害につながります。また、筋力は改善しても箸を使うことが困難になるなどの巧緻性の低下も問題になります。

 

リハビリテーションを行って動作訓練を繰り返すことでできるだけ症状の軽減を目指すことが重要です。また重度の麻痺では、自発的にはほとんど手足が動かせなくなることもあります。筋肉を全く動かさないと筋肉が固まってしまい(拘縮)、膝を曲げたり肘を曲げたりと関節を動かせなくなってしまうため、拘縮予防のためにリハビリテーションが重要となります。

 

感覚障害

感覚の障害は障害の強さによって、全く感覚がわからない(感覚脱失)、感覚があるけど鈍い(感覚鈍麻)、しびれた感覚がある(異常感覚)と症状が異なります。感覚に関わる領域に障害を受けると、重度の障害であれば感覚脱失となり、その後に症状が改善してくるにつれて異常感覚が出現します。

 

後遺症としては異常感覚が問題となることが多く、びりびりとしたしびれや痛みが残ります。市販の痛み止めは効きづらく、気圧や気温の変化などでしびれの程度の変動があり、痛みが慢性化することがストレスとなって痛みが悪化することも少なくありません。神経のしびれや痛みは内服薬のみでは取り除くことが難しい場合も少なくなく、症状がひどい場合にはペインクリニックへの通院が必要です。

 

失語

失語とは言葉や文字でものごとを表現したり、理解したりする能力の障害をことです。口や舌が上手く動かないことで言葉をうまく作れない構音障害でもうまく話すことができなくなりますが、文字など他の手段を使えば問題なくコミュニケーションが取れる点で明確に区別されます。

 

失語には大きく分けて言葉の理解ができなくなる“感覚性失語”と言葉を表出することが困難になる“運動性失語”に分けられ、特に感覚性失語では言葉や文字を含めてコミュニケーションが取れなくなるため、介護の負担が大きくなります。

 

視野障害

視野障害とは視野の一部が欠損する障害のことで、眼の疾患で起こりやすい視力障害とは異なります。脳梗塞による視野障害では、左右のどちらの目で見ても同じ部分の視野がかける点が眼の疾患と異なります。見えていない部分があることを意識して生活することで日常生活に戻れることが多いです。

 

嚥下障害

嚥下障害とは物を飲み込む機能(嚥下機能)の障害です。もともと飲み込む機能が弱くなってきている高齢者で起こりやすく、誤嚥性肺炎の原因となります。食事を一口サイズにしたり、ゼリー状にしたりすることで食事を再開できる場合もありますが、障害が強い場合には口から食べることが困難になることがあります。

 

また、さらに障害が強い場合には唾液の誤嚥などにより、何も食べてなくても誤嚥性肺炎を繰り返してしまうこともあります。嚥下機能は本人の意欲による影響もあり、好きなものであれば食べられる場合もありますが、誤嚥性肺炎を発症するたびに嚥下機能はさらに落ちていくため、注意しましょう。

 

構音障害

構音障害とは口や舌が動かせないことで発音が上手くできなくなる症状です。呂律がまわらなくなり、話している内容が聞き取りにくくなりますが、失語と異なり、言葉の聞き取りや文字によるコミュニケーションは問題なく行うことができます。口や舌の動きが大きく関与する嚥下機能にも障害がでることが多いです。

 

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは脳梗塞を含む脳損傷に起因した認知機能障害全般を指す言葉で、覚える、集中する、順序立てて考える、理性的な行動をするなど社会的な生活をすることに必要な能力が障害されることを指します。

 

以前できていたことができなくなったり、性格が変わってしまったりと社会生活における影響は大きい一方で、特定の何かができないわけではなく、周囲の理解が得られにくい症状でもあります。脳損傷後にこのような症状が起こりうることを理解することが重要です。

 

うつ・感情障害

脳梗塞を発症すると高次機能障害による意欲低下や以前行えていたことができなくなることへのストレス、周囲へ負担をかけてしまうことへのストレスから、うつとなることが多いです。

 

脳梗塞の機能改善には十分に栄養を取って、リハビリテーションに取り組むことが重要ですが、うつになると食事が喉を通らなくなり、リハビリテーションにも取り組めなくなってしまうため、うつへの対応は重要です。

 

うつ病の薬は眠気や活動性の低下につながるものも多く、家族からの元気づけや趣味や楽しみを作るなど前向きになれるような取り組みが重要です。

 

リハビリについて

リハビリは3段階にわけられる

脳梗塞のリハビリテーションには脳梗塞の治療や再発予防を行う急性期、症状の改善や日常生活に戻ることに目標とする回復期、現状の機能を維持することを目標とする維持期(生活期)に分かれます。それぞれ行う場所やリハビリテーションの目標が異なるため、以下で説明いたします。

急性期:病院

急性期は脳卒中センターや3次救急病院などの急性期病院に入院し、脳梗塞の治療を行いながら原因を調べ、脳梗塞を再発しないための治療法を決定する期間です。入院後(脳梗塞発症後)2~3週間程度であることが多いです。

 

発症早期は発症した本人もどの程度の行動ができるか理解できていないため、誤嚥や転倒などの問題が起きやすく、また様々な治療薬が開始されることから合併症を起こしやすい時期であり、リハビリテーションは機能評価と機能改善を目的として合併症に注意しながら行います。

回復期:リハビリ専門の病院

回復期は急性期治療が終わった後、リハビリテーションを専門とした病院で日常生活に戻ることを目標に生活動作の訓練を行う期間です。症状が軽微な場合には回復期を飛ばしたり、期間を短くしたりすることもありますが、多くの場合には1~2か月かけてリハビリテーションを行います。

 

ここでは退院した後の生活を想定したリハビリテーションを行いながら、どの程度の後遺症が残るかを想定して退院後の生活に必要な社会サービス(介護保険など)の調整を行います。仕事への復帰を目指す場合には仕事に必要な能力を中心としたリハビリテーションを行うなど、個人の能力や生活背景に応じたリハビリテーションを行います。

維持期(生活期):自宅・施設(グループホームや老人保健施設など)

維持期(生活期)は病因を退院した後、トイレでの排泄や入浴などが安全に行えるように訓練したり、外出をするなど活動範囲を広げたり、廃用などによる機能低下を予防したりする目的でリハビリテーションを行う期間です。

 

脳梗塞で後遺症が残ってしまうと、退院後にあまり動かずにベッドの上を中心とした生活をしてしまったり、障害のない手足を頼って障害がある手足を使わなかったりしてしまうことが少なくありません。入院中と異なりリハビリテーションの頻度少なくなるため、転倒などには注意しつつ積極的に運動をすることが重要です。

 

西春内科在宅クリニックができる対応

西春内科在宅クリニックでは外来診療、定期往診、時間外の緊急往診を行うことが可能で、患者様が望む形での医療の提供を行うことができます。脳梗塞後遺症の症状が変動して心配である場合には電話対応や緊急往診、麻痺や高次脳機能障害が悪化して通院が困難になってしまった場合には定期往診と様々な状況に対応いたします。

 

まとめ

急性期治療の発達や積極的なリハビリテーションにより脳梗塞を発症しても元の生活に戻れる人も増えてきましたが、重度の後遺症を残す人も少なくなく、介護が必要となる原因の第2位となっています。後遺症にはよく知られている麻痺や感覚障害だけでなく、あまり知られていないものの生活に大きな影響がある失語や高次脳障害など様々なものがあります。

 

脳梗塞後の後遺症を持つ人は日常生活に困難を抱えており、家族や介助者を含めて周囲の人が症状を理解して対応することが非常に大きな助けになります。また、再発することもある病気ですので新たな神経症状が出現したり、明らかに症状が悪化したりする場合には医療機関に受診してください。

関連記事:
脳挫傷で後遺症は残る?症状やその後の回復について


【参考文献】


【監修医師】
医者 医師
脳神経内科 中村医師

心不全について!もしものために知っておきたい心不全の症状や治療について

心不全は命にかかわる危険な状態です。前兆を掴んで早期予防しましょう!

心臓の働き、心不全とは

心不全の概要

 
心臓は肺と連携して酸素を十分含んだ血液を全身の組織へ送るのが仕事です。全身の組織へ血液を送る際の血管を「動脈」と言います。また、酸素を使い終わった血液が心臓へ戻ってくる際の血管を「静脈」と言います。

 

心臓→動脈→組織→静脈→心臓
と一方向性の血液の流れが維持されることで私達の全身の循環は成り立っています。続いて心臓と肺の血液の流れを説明します。

 

組織で酸素が使われた静脈の血液は心臓へ戻った後、肺で酸素を付加され、再度心臓へ戻されます。その後、心臓から酸素が十分含まれた動脈の血液が全身の各組織へ送られます。

 

この心臓、肺の一連の血液の流れを①右心系、②左心系に分類します。右心系とは静脈の血液が心臓へ戻り、心臓から肺へ静脈の血液を送るまでの経路です。一方、左心系とは肺からの動脈の血液が心臓へ戻り、心臓から全身の組織へ送られるまでの経路です。

 

心臓と肺の関係を深く理解するために、血液の流れをさらに細かく説明します。心臓の右心系、左心系にはそれぞれ「心房」、「心室」という部屋があります。右心系は「右心房」、「右心室」、左心系は「左心房」、「左心室」と呼ばれます。それぞれの部屋を「弁」と呼ばれる水門が隔てています。

 

右心房と右心室を隔てている弁が「三尖弁」、右心室と肺を隔てている弁が「肺動脈弁」、左心房と左心室を隔てているのが「僧帽弁」、左心室と動脈を隔てているのが「大動脈弁」と名付けられています。

 

今までの全身の血液循環をまとめますと、
静脈→右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺→左心房→僧帽弁→左心室→大動脈弁→動脈

と言うのが詳細に説明した血液の流れになります。

病名ではなく状態のこと

心不全とは上記の心臓→動脈→組織→静脈→心臓の血液の流れが何かしらの原因で妨げられてしまう状態を意味します。心不全は場所(①右心系、②左心系)、時期(①急性、②慢性)で分類することができます。例えば突然右心系に問題が生じ、心不全の状態となった際は急性右心不全と言う表現になります。

 

心不全の種類 場所の分類

右心不全(右心系の異常)

右心系の血液の流れを妨げる要因が出現してしまった状態です。三尖弁・肺動脈弁疾患、虚血性心疾患、心臓の筋肉の異常・炎症、先天的な心臓の構造異常、左心不全に続発するもの、肺疾患などが挙げられます。

 

左心不全(左心系の異常)

左心系の血液の流れを妨げる要因が出現してしまった状態です。虚血性心疾患、心臓の筋肉の異常・炎症、僧帽弁・大動脈弁疾患、貧血、高血圧症、不整脈などが挙げられます。

 

心不全の種類 時期の分類

急性心不全

突然心不全を発症してしまった状態です。入院を要する緊急事態であったり、状態によっては命に関わる状態です。

 

慢性心不全

心不全が長い時間続いている状態です。内服の薬等で状態が安定し、自宅で過ごせることが多いです。

 

急性心不全、慢性心不全の関係

急性心不全で入院を要した場合、原因が解決できれば、元の元気な心臓に戻ることが可能です。一方で心不全の原因が解決できず、残ってしまう場合は慢性心不全として薬の内服を継続することになります。慢性心不全の人の心機能がさらに悪化すると入院加療が必要となることがあります。

 

 

代表的な心不全の原因


虚血性心疾患

心臓は筋肉の塊であり、心臓自身も動脈からの血液を受け取って活動しています。心臓へ血液を供給している動脈は「冠動脈」と呼ばれ、主に①右冠動脈、②左冠動脈前下行枝、③左冠動脈回旋枝の3種類があります。

 

冠動脈が動脈硬化などで狭くなってしまい、心臓への動脈の血液が減少してしまう疾患を「狭心症」、冠動脈が閉塞し心臓の筋肉が壊死してしまう疾患を「心筋梗塞」と言います。いずれも心不全の原因となります。「虚血性心疾患」はそうした狭心症、心筋梗塞の総称です。

 

狭心症、心筋梗塞の状態次第では内服だけで解決できず、追加治療が必要になることがあります。具体的にはステントと言う金属の筒を使用して冠状動脈をカテーテルで広げる「経皮的冠状動脈形成術」、心臓の周りの血管を心臓の血管へ縫い付けることで血流を再開させる「冠動脈バイパス術」があります。冠動脈の狭窄・閉塞の場所、数によって術式が選択されます。




高血圧性心疾患

高い血圧を放置してしまうと心臓の筋肉の壁が分厚くなり、「心肥大」という状態になります。イメージとしては手足の筋力トレーニングをすると筋肉が大きくなることと一緒です。

 

ただし、心臓の場合は心肥大になると心臓の運動効率が落ちてしまい、全身へ血液を送る能力が悪くなってしまいます。

 

また、高い血圧に心臓が晒され続けると圧に耐えられなくなり、心臓の機能が低下してしまいます。いずれも心不全の原因となります。高血圧を放置せず、生活習慣(塩分、食事節制)、適切な内服を継続することが肝要です。

 

弁膜症

組織→静脈→心臓→肺→心臓→動脈→組織と言う一連の血液の流れを維持するために心臓の中には水門の役割をする「弁」が存在します。弁が壊れ、逆流してしまうことを閉鎖不全、固くなって開閉し辛くなることを狭窄と言います。いずれも血液の流れが妨げられ、心不全の原因となります。「弁膜症」とは弁に異常を来した疾患の総称です。

 

心臓には三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁の4つの弁が存在します。それぞれの弁で閉鎖不全、狭窄が生じるメカニズムは異なりますが、弁自体に問題が生じたり、弁周囲の心臓環境の影響を受けることで異常を来すことが多いです。

 

内服の治療でコントロールが不良な場合は手術が必要になります。異常を生じた弁の場所により、「弁置換術(人工弁の交換)」または「弁形成術(自己弁の修復)」のいずれかが選択されます。

 

その他(心筋症、心筋炎、先天性心疾患、不整脈、肺疾患、薬剤)

他にも心不全となる原因があります。


「心筋症」

心臓の筋肉自体の問題です。遺伝的な要素と、高血圧などによる心肥大による後天性の要素があります。

「心筋炎」

心臓の筋肉に細菌、ウイルスなどが感染し、心臓の運動が妨げられます。


「先天性心疾患」

生まれつき心臓の構造に異常があり、本来の血液の流れが妨げられます。


「不整脈」

不整脈は心臓のリズムが乱れてしまう疾患の総称です。脈が早くなってしまうもの、遅くなってしまうもの、心臓の中に血栓ができてしまうもの、出現すると命に関わるものなど様々な種類があります。いずれにしても脈の乱れにより、全身に血液を送る動きが妨げられてしまいます。


「肺疾患」

肺の機能が損なわれてしまうと静脈の血液に酸素が付加できなったり、肺から心臓へ流れる血液が減少することで全身の循環が妨げられます。


「薬剤」

薬の種類によっては副反応で心臓、肺の機能が損なわれてしまうことがあります。


「貧血」

貧血になると血液の酸素が薄くなります。酸素が薄い血液は心臓、全身の組織に負担がかかります。貧血の原因は多岐に渡るため、血液検査で貧血を指摘されましたら、かかりつけ医に相談して下さい。

 

心不全になりやすい人

心不全を100%予防することは難しいですが、生活習慣の見直しをすることで心不全を回避する可能性を高めることができます。

 

生活習慣病の方

心臓に影響を与える因子として生活習慣病(高血圧症、脂質代謝異常症、糖尿病、高尿酸血症)、喫煙、大量飲酒が挙げられます。これらは生活習慣の是正、適切な内服の継続によりコントロールが可能です。

関連記事:高血圧と脂質異常症については

既に持病を抱えている方

持病によっては心臓、肺へ影響を与える病態、薬の内服をしている可能性があります。かかりつけの医師に一度相談して下さい。

 

心不全の症状でこの症状があれば危険

血液循環の破綻により一方向性であった血液の流れが滞り、渋滞を起こすことが原因で症状が出現します。血液循環の破綻がどこで起こるかによって多彩な症状を示します。その中でも代表的な症状は以下となります。

動機・息切れ

心不全により心臓に血液が貯留、拡大、心臓の筋肉が引き伸ばされることで様々な不整脈が引き起こされます。脈拍が極端に早くなると息切れが生じることがあります。

 

呼吸困難

血液循環が滞ると体に水分が貯留し、体重が増えたり、肺に水が溜まったりすることで呼吸が苦しくなります。横になると呼吸が苦しく、体を起こすと少し楽になる状態を「起座呼吸」と言い、心不全の典型的な呼吸様式です。

 

むくみ

体液貯留により全身の組織がむくみ、顔や手足のむくみで気づく場合が多いです。体重増加も顕著であり、重症な場合、数日で5kg程度増加する場合があります。

 

その他(食欲低下、手足の冷え、脱力感・疲労感)

その他、消化管がむくんで食欲が落ちたり、末梢の循環不全により手足が冷えたり、脱力感や疲れ易さを感じることがあります。

心不全の初期症状は気づきにくい場合があります。例えば、以前より連続して歩ける距離が短くなった、階段昇降が少し辛くなった、外出すると途中で休憩を挟むことが多くなった、連続して喋り続けると息が続かない…この様な症状は心不全の初期段階かもしれません。

 

放置をすれば命を失う危険性が非常に高い

症状が年齢、体力の衰えと自己判断し、医療機関の受診が遅れると命にかかわる場合があります。   

 

治療や予防について

 

放置をせず、すぐに病院へ

気になる症状がございましたら、かかりつけの医療機関へ躊躇せずに相談してみましょう。早期発見、早期治療が重要です。

 

内科または循環器科の受診を

医療機関にはそれぞれ専門科があります。可能であれば内科、循環器科を選びましょう。

 

心不全にならないためにできること

生活習慣の見直し(運動、食事、塩分制限、禁煙、節酒など)、持病のコントロール(高血圧症、脂質代謝異常症、糖尿病、高尿酸血症など)、ストレスを溜め込まない、定期的な健診を心掛けましょう。

 

西春内科在宅クリニックができる対応

心不全の早期発見には、様々な検査(採血検査・尿検査・超音波検査・胸部レントゲン・胸部CTなど)が必要です。
当院では上記全ての検査が可能ですので、お気軽にご相談ください。

専門的な治療が必要と判断した場合は、直ちに専門医療機関へご紹介します。

 

まとめ

心不全は生活習慣の見直しや前兆を早く掴むことで予防できる可能性があります。気になる症状はかかりつけ医に相談してみましょう。

この記事の監修医師



西春内科・在宅クリニック 福井 康大院長

※プロフィールはこちらを参照してください。

 

経歴

    • 三重大学医学部医学科 卒業
    • 三重県立総合医療センター
    • N2 clinic

西春内科・在宅クリニック副院長、朝岡就任!

西春内科在宅クリニック集合写真
初めまして。
今年の4月より西春内科・在宅クリニックの副院長に就任させて頂きました朝岡 龍博といいます。

さっそく自己紹介させて頂きます。愛知県刈谷市で幼少期を過ごし、父親の仕事の関係で5年ほどアメリカに在住していました。なので英語は日常会話であれば問題なく話すことができます。

出身大学は名古屋市立大学で初期研修は豊橋市民病院で研鑽を積み、耳鼻咽喉科を豊橋市民病院、名古屋市立大学病院、一宮市立市民病院で勤務を務め、この度この西春内科・在宅クリニックに就任させていただくことになりました。
もともと他人のために自分の力を使いたいという思いから医師を志していました。地域の中核病院で耳鼻科での頭頚部がん患者様の加療経験を通して、がん患者様の在宅でのケアにつき、自分が何か出来ないかと自問自答するようになりました。

西春内科・在宅クリニックと提携している『家来るドクター』の医師として救急往診をたくさん行わせて頂き、病院での診療だけでは知り得なかった家庭環境等の事情を間近に経験することができ、自分を必要としている患者様にたくさん出会えることができました。そんな中、西春内科・在宅クリニックの福井院長や沢山のスタッフの方とお話しさせて頂き、お互いに目指す医療理念やその先の目標が一致したこともあり、4月から西春内科・在宅クリニック副院長としてお世話になることになりました。

31歳、既婚者であり、素敵な奥さんと、2人の子供がいます。趣味はサッカー、バスケットボール。好きな食べ物はチーズナンです。これからもこちらのブログにて趣味等や興味をもったことなど、有益なこと、無駄なことも含め書いていく所存です。

北名古屋市の地域医療を支えられるようにこれから従事させていただきますので、皆様よろしくお願いします。

4月12日
耳鼻咽喉科 朝岡 龍博

アクセス

住所:〒481-0041 愛知県北名古屋市九之坪北浦31(メガネ赤札堂の真向かい)

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