西春内科・在宅クリニック

ブログ

花粉症で頭痛が起こる原因は?カロナールなどの鎮痛剤が有効かを解説

 

花粉症は花粉が様々な経路から体内に侵入することで起きるアレルギー反応です。

 

花粉症の症状として鼻水や目のかゆみはよく知られていますが、頭痛が起こることもあります。

 

どのようなときに花粉症による頭痛を疑うかを知っておくことで、早い段階で医療機関にかかることにもつながります。

 

花粉症による頭痛であれば花粉症の治療を行うことで症状改善を見込めるため、ぜひ記事の内容をご参考ください。

 

 

花粉症で頭痛が起こる原因

 

 

副鼻腔に炎症が起こる

 

花粉症では、花粉が体内に侵入することでアレルギー反応が起こり、鼻炎や結膜炎などの炎症を生じます。

 

この炎症によって粘膜が腫れたり血管が拡張することで、かゆみや痛み、充血、鼻汁などの不快な症状が起こります。

 

花粉症の炎症は副鼻腔という鼻や目の周囲にある空洞でも生じることがあります。

 

副鼻腔に炎症が起こると、鼻づまりや、額、目の奥、頬などに痛みが生じ、これが頭痛として感じられます。

 

化学物質やサイトカインの放出

 

花粉症でアレルギー反応が起こると、様々な化学物質やサイトカイン(炎症性物質)が放出され、これらが脳内に作用することで頭痛が引き起こされます。

 

関連記事:花粉症の治し方はある?喉のイガイガや目の腫れの対処法を解説

 

花粉症による頭痛の特徴

 

 

額・目の奥・頬などに感じる痛み

 

副鼻腔の炎症によって起こる頭痛では、以下に鈍い痛みが生じるので、顔の表面に近い部分の痛みとして感じられます。

 

  • 目の奥

 

同じ頭痛でも、風邪をひいた際の頭痛は、一般に頭全体に感じられ、鈍い圧迫感やうずくような痛み、頭が重いような痛みとなります。

 

片頭痛では一般に頭の片側にズキン、ズキンと脈打つように痛みます。

 

頭を締め付けられるような圧迫感、頭全体が重い感覚

 

化学物質やサイトカインによる頭痛では頭を締め付けられるような圧迫感、頭全体が重い感覚が生じます。

 

風邪に伴う頭痛とは見分けることが難しい場合もあります。

 

 

花粉症による頭痛の対処と予防方法

 

 

病院を受診

 

花粉症による症状はある程度薬で抑えることが可能ですので、我慢せずに病院を受診しましょう。

 

花粉症の治療として用いられる抗アレルギー薬は、花粉の飛散が始まる少し前から始めることで、症状の悪化を防ぐことが可能になります。

 

最も患者数が多いスギ花粉の飛散は、例年2月ごろからピークを迎えるため、毎年花粉症に悩まされる人は冬のうちから病院に相談しておきましょう。

 

市販の花粉症の薬を服用

 

症状が軽度で、病院になかなか行けない場合には、市販薬でアレルギー症状を抑えることも可能です。

 

花粉症の市販薬には様々な種類があります。

 

フェキソフェナジン塩酸塩やエピナスチン塩酸塩は抗アレルギー薬の代表的な成分で、副作用が少なく眠くなりにくいのが特徴です。

 

注意点としては、常用薬がある場合飲み合わせが問題になる可能性がありますので、市販薬を使用する際は添付文書をよく確認してから服用するようにしましょう。

 

花粉との接触を避ける

 

花粉症による症状を軽減するためには、アレルゲンである花粉との接触を避けることが重要です。

 

花粉の飛散が多いと予想される日に外出する場合は、できるだけマスクやメガネ、帽子などの着用を心がけましょう。

 

家の中への花粉の流入を防ぐ

 

家の中に花粉を持ち込まないように、帰宅したら、洋服をよくはたいてから家に入りましょう。

 

また外部からの花粉の流入を避けるため換気は必要なときだけに限定して行うようにしたり、洗濯ものを干すときは部屋干しがおすすめです。

 

関連記事:花粉症と風邪の違い|花粉症でも受診は必要?その理由は?

 

花粉症による頭痛に解熱鎮痛剤は有効?

 

 

花粉症の治療としては抗アレルギー薬を使用することが一般的ですが、抗アレルギー薬を使用していても頭痛が完全にはよくならない場合も多々あります。

 

一般的に頭痛薬として用いられる、ロキソプロフェン、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬や、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬は、花粉症による頭痛に対しても有効な場合が多いです。

 

必要に応じて、併用しましょう。

 

 

花粉症で引き起こされる頭痛以外の症状と対策

 

 

鼻水・くしゃみ

 

花粉との接触を避けるためにマスクをすること、鼻の粘膜の細胞から放出されるヒスタミンという化学物質が主に関わるため、抗ヒスタミン薬の内服や点鼻薬が有効です。

 

鼻づまり

 

鼻の粘膜の細胞から放出されるロイコトリエンという化学物質が主に関わるため、抗ロイコトリエン薬の内服や、炎症を抑えるためにステロイド点鼻薬が有効です。

 

 

気道の過敏性が高まることによって症状が悪化します。

 

咳喘息などの慢性的な咳がある場合はその治療をしっかり受けましょう。

 

喉のかゆみ・不快感

 

のどの粘膜に花粉が付着して生じるため、うがいを心がけましょう。

 

目のかゆみ

 

目の粘膜の細胞から放出されるヒスタミンという化学物質が主に関わるため、抗ヒスタミン薬の内服や点眼薬が有効です。

 

炎症が強い場合には炎症を抑えるためにステロイド点眼薬が有効ですが、長期的な使用には注意が必要です。

 

肌荒れ

 

花粉によって皮膚炎が生じることもあります。

 

皮膚炎が起こると肌の乾燥や赤み、かゆみなどの症状が出ます。

 

皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し花粉もより侵入しやすくなるので、保湿を心がけましょう。

 

関連記事:花粉による肌荒れを防ぐには?スキンケアと生活習慣のポイント

 

西春内科・在宅クリニックでできる対応

 

当院では花粉症を含め、アレルギー疾患全般の診療を行っております。

 

花粉症では頭痛をはじめ多岐に渡る症状が出現するので、症状に合わせた治療選択が重要です。

 

また、アレルゲン物質を特定するための血液検査も可能です。

 

原因や症状に応じて、舌下免疫療法も対応しております。

 

オンライン診療も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

まとめ

 

今回は、花粉症による頭痛について解説いたしました。

 

花粉症による頭痛であれば花粉症の治療を行うことで症状改善を見込めるため、ぜひ記事の内容をご参考ください。

花粉による肌荒れはなぜ起きる?|原因やスキンケア対策を解説



花粉症の症状
で困っているかたは多いのではないでしょうか。

くしゃみ、鼻水や目のかゆみなどが特に有名な症状ですが、花粉による肌荒れがあることもご存知ですか?

この症状の正式名称は花粉皮膚炎といいます。

毎年、花粉の多い時期の肌荒れやかゆみ、ブツブツなどが出ることで日常生活に支障が出てお困りの方へ。

今回は、花粉による肌荒れの原因とその症状、治療法、予防法に関して詳しく解説していきます。



花粉による肌荒れの原因は?




花粉による肌荒れの原因は花粉が皮膚に直接接触することで起こります

これは乾燥などで皮膚の保護機能が低下しているときに起こりやすい原因です。

また花粉に対するアレルギー反応が全身症状を引き起こすことで生じる皮膚症状もあります。

特にスギ花粉が花粉による肌荒れを引き起こしやすいとされています。

2月から4月の花粉の時期に繰り返し症状が強く出ることが多いです。

その他にイネ科ブタクサの花粉も肌荒れを起こすことがあります。

関連記事:花粉症に悩む人たちへ:花粉症の原因と症状について

関連記事:花粉で喉が痛い・咳が止まらない時の対処法|インフルエンザとの違いは?

花粉による肌荒れとニキビの違い




花粉による肌荒れもニキビもブツブツができることがあり、その2つはどのように区別するのでしょうか?

以下に花粉による肌荒れとニキビの特徴をお答えします。

花粉皮膚炎

 

  • 特定の季節に限定し起こる、特に春先に症状が出ることが多い
  • 頸部などの肌を露出している部位にできやすい
  • 鼻水や目のかゆみなどの特徴的な花粉症の症状を合併する

ニキビ(尋常性ざ瘡)


  • 皮脂分泌が活発になることで毛穴がつまって起こる炎症が原因
  • 前額部(おでこ)、頬、口の周り、下あごなどにできることが多い
  • 中学生から高校生の年齢にできやすく、その後は出来づらくなる
  • 女性ではホルモンの影響で生理前にできやすくなる
  • 季節を問わず出来るが夏に悪化することが多い



花粉による肌荒れが起きやすい人の特徴




花粉による肌荒れは個人差があり、症状が出やすい人がいます。

花粉による肌荒れが起こりやすい方に以下の特徴が挙げられます。

  • アトピー性皮膚炎の既往歴がある、またはご家族にアトピー性皮膚炎の方がいる
  • 花粉に対するアレルギーがあり、花粉症の症状が出ている


これらの特徴を持つ方は花粉が多い時期に肌荒れの症状が出現・悪化する可能性が高いため注意が必要です

特にアトピー性皮膚炎の既往や家族歴がある方が強く症状が出ることがあります

ただ比較的少数ではありますが、アトピー性皮膚炎の病歴がない方でも花粉による肌荒れが起こることがあります

関連記事:花粉による肌荒れを防ぐには?スキンケアと生活習慣のポイント

花粉による肌荒れが起きやすい部分




花粉による肌荒れは花粉が直接皮膚にくっつくことで起こります

そのため、顔や首に肌荒れが出ることが多いです。

特に目の周りは皮膚が薄く肌の保護機能が弱いため、花粉による肌荒れが起きやすいです。

また花粉症による目のかゆみから目の周りをこすることも花粉による肌荒れを悪化させる要因になります

肌荒れの症状として目の周りが赤くなり浮腫(むくみ、ふしゅ)を起こすことが特徴です。



花粉による肌荒れを少しでも早く治す方法




上で述べた通り、花粉が直接肌に触れることで花粉による肌荒れが起こります。

そのため原因となる花粉の接触を減らすことが症状の改善と予防に有用です。

具体的には以下の対策があります。

外出時にできる対策


花粉に肌が直接触れないように外出時にマスクやメガネで顔を保護します。

またはマフラーや帽子の着用も花粉への接触を減らす効果があります。


ご自宅でできる対策


帰宅した直後に花粉のついた衣服を着替え、シャワーを浴びることでご自宅へ花粉を持ちこむことを防ぎます

また、晴天時や強風時には花粉の飛散量が多いです。

それらの天候の場合は外出を控えることも予防と症状の改善に有効です。

空気洗浄機は部屋に飛び散る花粉を抑える効果があります。

ヨーグルトなどの発酵性乳製品が腸内細菌のバランスを整えることで、花粉症による全身のアレルギー症状を抑えることが報告されています。

加えて過労や睡眠不足も症状の増悪を引き起こすため、十分な睡眠を含めた休息も有効です。

関連記事:花粉症に効く舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)って?費用・期間・効果は?

花粉による肌荒れを防ぐためのスキンケア対策




花粉による肌荒れに対してご自身でできるスキンケアとして以下の注意点があります。

まず肌荒れがあるからといって過度に皮膚を洗浄することは逆効果です。

これは過度な洗浄によって皮膚上層の角層バリア機能が傷害されることで、花粉に対するバリア機能が低下することによります

同様に以下なども角層バリア機能を低下させる原因になるため、花粉の時期には特に注意してください

  • 過度な化粧
  • 化粧落とし
  • シャンプー
  • リンス

花粉の接触を減らしバリア機能を維持するためには、ワセリンによるスキンケアが花粉による肌荒れに最も効果的です。

ワセリンにより皮膚に直接接触する花粉をブロックします

さらに皮膚の乾燥を抑えることで角質バリア機能の向上をもたらします。

ただしワセリンは大量に塗布するとベタつくため、少量のワセリンを薄く伸ばして使用することがおすすめです

外出した際はワセリンの表面についた花粉を落とすために、シャワーで洗い流すことも効果的です。

花粉による肌荒れは強いかゆみを起こすことがあります

かきむしることで角質バリア機能の低下を起こすので、かきむしらないことも必要です



病院やクリニックでの処方について




上述の予防法やスキンケアを行っても花粉による肌荒れの症状がひどい場合があります

その際には、病院またはクリニックにて処方されるお薬での治療をおすすめいたします。

処方される治療薬は塗り薬内服薬に分かれ、以下で解説しています。

塗り薬
塗り薬は外用ステロイド剤であり、部位にあった強さのステロイドを使い分けます。

具体的には以下の通りです。

皮膚が厚い体幹や手足→強めのステロイド

皮膚の薄い顔面→弱めのステロイド

また皮膚炎の症状が強い場合はタクロリムス(商品名:プロトピック)という免疫機能を調整する塗り薬を使うこともあります。

内服薬

内服薬は花粉症そのものの治療のために抗ヒスタミン薬の内服を行います。

抗ヒスタミン薬により花粉による肌荒れのみでなく、鼻水やくしゃみなどといった花粉症の症状も抑えることが可能です。

肌荒れによるかゆみを抑えることも症状の改善に有効です。



西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、花粉による肌荒れの治療のための塗り薬や内服薬の処方を行っています。

花粉による肌荒れの治療はステロイド治療が有用になってきます。

適切なステロイド治療を行うことで、副作用などを起こさないように治療を行うことが可能です。

肌荒れの症状でお悩みなら、ぜひお気軽にご相談ください。

当院では花粉症やアレルギーの治療として舌下免疫療法も行っております。

・舌下免疫療法に関する内容はこちら



まとめ


今回は、花粉による肌荒れの原因とその症状、治療法、予防法に関して解説しました。

毎年繰り返す花粉症の症状でお困りの方は多いと思います。

この記事が少しでも役立てば幸いです。

少しでも花粉による肌荒れで悩んでいる、困っているようでしたら一度西春内科在宅クリニックへ受診してみてはいかがでしょうか

お気軽にご相談ください。


【参考文献】

・加藤雪彦「花粉皮膚炎」 

・横関博雄「スギ花粉症は全身疾患に-スギ花粉皮膚炎の特徴と治療」

・横関博雄「スギ花粉症と皮膚炎(スギ花粉抗原による空気伝搬性接触皮膚炎)」 

・佐伯秀久「スギ花粉症の皮膚症状への対策」

舌下免疫療法のメリット|どんなアレルギーに有効?

舌下免疫療法

 

こんにちは!西春内科・在宅クリニック院長の島原です。

 

花粉症の患者様が増える時期になりました。

 

ご自身や身の回りの方など、アレルギーでお悩みの方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、今回はアレルギーの根本的治療方法として舌下免疫療法についてご紹介いたします。

 

有効となるアレルギーや副作用、注意点などについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

舌下免疫療法とは?

 

舌下免疫療法

 

アレルギー性疾患にはさまざまなものがありますが、日本では以下などによる通年性アレルギー性鼻炎がよくみられます。

 

  • スギ花粉による花粉症
  • ダニ
  • カビ
  • 昆虫
  • ペットの毛

花粉症やアレルギー性鼻炎の一般的な治療法は、内服薬、点眼薬、点鼻薬などを使用し、せき、くしゃみ、鼻水、目の腫れやかゆみといった、すでに発症しているアレルギー症状をやわらげるものです。

 

ただこういった薬物療法では十分に症状が軽減されず、日常生活に支障をきたしてしまうケースも多くあります。

 

こういったケースで次の治療選択肢として、アレルゲン免疫療法があります。


アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因となっているアレルゲンを少量から体内へ投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を根本から起こりにくくする治療法です。


アレルゲン免疫療法ではこれまでは治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が主流でしたが、近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で簡単に服用できるようになりました。


「舌下免疫療法」は、スギ花粉症またはダニによる通年性アレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが治療を受けることができます。


以下で舌下免疫療法について詳しく解説していきます。

 

関連記事:花粉症に効く注射とは?費用や効果を解説

 

舌下免疫療法のメリット

 

舌下免疫療法

 

根本的な体質改善

舌下免疫療法は、アレルギーの原因となっているアレルゲンを少量から体内へ投与することで、体をアレルゲンに慣らし、根本的に体質を改善することによって、アレルギー症状そのものを起こりにくくする、というものです。


アレルギー反応を根本から抑えることで、不快な症状が大幅に軽減されることが期待できます。

 

また、頻繁に鼻や目を擦ることによって皮膚が荒れたりすることもなくなり、アレルギー治療薬特有の、眠気が出てしまう、といったこともないので、日常生活を落ち着いて過ごすことができます。


自宅で治療可能

「皮下免疫療法」では、病院で注射を打つため、痛みを伴い、また治療の始めは徐々に増量するため頻回な通院が必要になります。

 

一方、「舌下免疫療法」は、1日1回、治療薬を舌の下に置いて、しばらくそのままにしてから飲み込むという治療法で、痛みがなく、自宅で服用できます。


保険適用

舌下免疫療法は高額な自費診療ではなく保険適用の治療です。

 

3割負担の方ですと、一か月の平均費用は以下の通りです。

 

アレルギー種類

治療薬の費用

スギ花粉

1,800円前後

ダニアレルギー

2,000円前後

 

なお、この金額に診療費や検査費などが加わります。


対象年齢が幅広い

舌下免疫療法は一般に5歳以上65歳未満の方が治療対象です。


お子さんでもスギ花粉症・ダニによる通年性アレルギー性鼻炎を治療でき、「子ども医療費助成制度」の対象にあたるため、対象のお子さんは自己負担なしで治療を受けられます。

 

 

舌下免疫療法はどんなアレルギーに有効?

 

舌下免疫療法

 

現在日本では、スギ花粉症とダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対する治療薬が保険適応となっています。

 

アレルギー種類

治療薬

スギ花粉症

シダキュア(鳥居薬品)

ダニアレルギー

ミティキュア(鳥居薬品)
アシテア(塩野義製薬)


なお、スギ花粉症の舌下免疫療法においては、スギと共通のアレルゲンをもつヒノキ花粉症にも一定の効果がある可能性が示唆されています。

 

関連記事:花粉症の症状まとめ|喉のイガイガの治し方はある?

 

舌下免疫療法の副作用

 

舌下免疫療法

 

舌下免疫療法では副作用として、以下などがあらわれることがあります。

 

  • 口の中のむくみやかゆみ
  • 不快感
  • 唇の腫れ
  • 喉の不快感
  • 耳のかゆみ

 

副作用の症状の多くは軽微で、治療を続けるうちに自然に軽快することが期待できます。


一方で非常にまれですが重篤なアレルギー反応としてアナフィラキシーを起こすことがあります。

 

アナフィラキシーとは急性の過敏反応によって全身の蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛、嘔吐などの消化器症状や息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(血圧低下、意識の混濁など)が見られる疾患で、多くは服用後30分以内にあらわれます。

 

万が一、疑わしい症状がでたら直ちに医療機関を受診する必要があります。

 

 

舌下免疫療法の注意点

 

舌下免疫療法

 

効果が出るのに時間がかかる

舌下免疫療法は少しずつアレルゲンを投与し、体をアレルゲンに慣らしていくことでアレルギー反応を起こしにくくする治療法なので、効果が得られるのに1~3か月程度を要します。


長期間の薬の服用が必要

舌下免疫療法は少しずつアレルゲンを体を慣らしていくことで徐々に効果が高まっていくことを期待できる治療法なので、最大効果を得るためには一時的な治療ではなく長期的な継続が必要となります。

 

基本的には3年以上治療を継続することが推薦されています。

 

長期間の治療を完遂できれば、治療終了後も長期にわたり症状をおさえることが期待できます。


時期によっては治療を開始できない

スギ花粉が飛んでいる時期は体がスギ花粉のアレルゲンに対して過敏になっているため、スギ花粉症に対する舌下免疫療法を新たに開始することはできません。

 

医療機関にもよりますがスギ花粉の飛んでいない6~11月ごろに治療を開始することが一般的です。


なおダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法は、時期に関係なくいつでも開始できます。


副作用が起こることがある

舌下免疫療法はアレルゲンを投与する治療法なので服用後にアレルギー反応がおこるおそれがあります。

 

多くは軽い副作用ですがまれに重篤なアレルギー反応が発現するおそれがあるため注意が必要です。

 

なお、副作用の発現を防ぐため、服用前後2時間は、激しい運動やアルコール摂取、入浴は避ける必要があります。


治療を受けられない人がいる

重症気管支喘息のある方は治療を受けることはできません。


またそれ以外でも、以下の方は基本的に治療を勧められません。

 

  • 5歳未満の小さなお子さんや65歳以上の方
  • 悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全症などがある方
  • 気管支喘息の方
  • 妊婦、授乳婦
  • 全身性ステロイド薬を使用している方
  • 非選択的β遮断薬を使用している方
  • 三環系抗うつ薬やMAO阻害薬を使用している方
  • 口腔内の術後や炎症などがある方
  • 重度の心疾患・肺疾患・高血圧がある方

 

関連記事:花粉による肌荒れはなぜ起きる?|原因やスキンケア対策を解説

 

西春内科・在宅クリニックでできること

当院では内科外来で舌下免疫療法を行っております。

 

最初に問診、診察および、アレルゲンを確定するための血液検査などを行い、スギもしくはダニに対する抗体反応が陽性となるかどうかを確認します。

 

確定診断がつけば、治療を開始します。

 

急性アレルギー反応の経過観察のため1回目の服用は院内で行っていただきます。

 

問題なければ翌日からは自宅での服用を行います。

 

つらいアレルギー症状でお困りの方、なんとか耐えながら日常生活を送っている方も、舌下免疫療法を行って大幅に症状の軽減が得られ、その後快適に過ごされている例も多く経験しております。

 

舌下免疫療法に関して詳しくお聞きになりたい場合はお気軽にご連絡ください。

 

 

まとめ

今回は舌下免疫療法に関して解説をさせていただきました。

 

一般的な治療法で改善しないアレルギー症状でお困りの方は、次の治療選択肢として、舌下免疫療法があることを知っていただき、ご検討いただければと思います。

肺がんの気をつけてほしい初期症状や原因、ステージ(進行度)について

はじめに

肺は、機能的に呼吸を通じて酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する役割を生体内では担っております。

 

通常では左右にひとつずつあり、心臓が少し左側にあるため、左肺は右肺よりも少し小さい構造になっています。

 

また、右肺は上葉、中葉、下葉3つに分かれていて、左肺は上葉、下葉の2つに分岐した構成になっています。

 

このような構造を呈している肺という臓器に悪性腫瘍が形成される「肺がん」については、がん死亡者数第1位(男性1位、女性2位、男女計1位)の疾患です。

 

一方で、罹患者数で評価してみると、全体の第3位(男性2位、女性4位、男女計3位)となっています。

  

これらのことから、肺がんは胃がんや大腸がん、あるいは乳がんなどと比較して早期発見が難しく、発見された際にはすでにかなり進行している状況であることが多いです。

 

ゆえに、肺がんを早期発見することは重要な観点と考えられます。



肺がんについて



肺がんについての説明

がんの死亡者数の中でも肺がんが最も多い?

 

これまでの統計より、男性は大体10人にひとり、女性はおよそ21人にひとりの割合で、一生のうちに「肺がん」と診断されています。

 

肺がんと新たに診断される人の数は年々増加しており、2015年には約11万人(男性 約8万人、女性約3万人)が肺がんと診断されています。

 

男女別では、男性の方が女性の約2倍程度多く罹患しており、年齢が上昇すればするほど罹患率も高くなり、特に60歳以降になると急激に増加すると指摘されています。

 

2018年の厚生労働省の報告では、肺がんは日本人のがんによる死亡数の第1位を占めているとのことです。

 

肺がんは現在のところ世界的に増加傾向にあります。

 

英国、米国では喫煙率の低下に伴い肺がんの罹患率は減少しはじめている一方で、本邦では年々増加する一途です。

 

すでに我が国の男性では肺がんは胃がんを抜いて死亡率の最も高いがんになっていて、最近では女性にも増えてきている傾向があります。

 

ほかの臓器に転移しやすい

 

肺がんは、腫瘍が認められる患側はもちろんのこと、その反対側の肺実質やその他の臓器である脳、骨、肝臓、副腎、リンパ節などに転移しやすいと考えられています。

 

転移形態は、肺で構成されたがん細胞が血液やリンパ液の循環に乗じて、他臓器に移動して増殖するために引き起こされます。

 

しかし、特に肺では多くの血管やリンパ管が構造的に張りめぐらされて存在するため、悪性腫瘍が他の臓器に波及しやすいと考えられます。

 

肺がんの種類について

 

肺がんは、その組織型の違いによって、「小細胞肺がん」「非小細胞肺がん」に分類されています。

 

その中でも、大多数を占めているのは「非小細胞肺がん」であり、さらに「腺がん」、「扁平上皮がん」、「大細胞がん」に分けられています。

 

腺がん

 

腺がんというのは、唾液が分泌される唾液腺や胃液を分泌している胃腺など腺組織とよく類似した形状を呈しているがんのタイプであり、多くの場合には肺の比較的末梢に位置する肺野部に認められます。

 

一般的に、腺がんは女性やタバコを吸わない非喫煙者にできる肺がんの種類であり、その割合は肺がん全体のおよそ半分程度を占めると言われています。

 

扁平上皮がん

 

扁平上皮がんは、皮膚や粘膜などを構成する組織である扁平上皮に類似した形状をしているがんのタイプです。

喫煙との関係がとても濃厚とされ、大部分は肺の入口部に近い肺門部に形成されやすく、その割合は肺がん全体のおよそ30%程度を占めます。

 

大細胞がん

 

大細胞がんは、腺や扁平上皮などを始めとする身体における正常組織に類似した部分を認めないがんの中で、細胞の大きなタイプを大細胞がんと呼称しています。

多くは腺がんと同様に肺野部に形成されますが、その発症割合は肺がんのなかでも数%を占める程度です。

 

小細胞がん

 

小細胞がんは、腺や扁平上皮などを始めとする身体における正常組織に類似した部分を認めないがんの中で細胞の小さなタイプです。

他の組織型と比較して発育成長が速く、他臓器へ転移もしやすいのが特徴的です。

 

小細胞がんの多くは肺の入口部に近い肺門部に形成されやすく、その割合としては肺がん全体のおよそ10%前後を占めています。

 

 肺がんとなる原因


肺がんとなる原因


たばこ

 

肺がんは一般的に喫煙歴と深い関係にあることが多く、本疾患を予防するうえで禁煙は欠かせません。

 

何より見逃してはいけない事実として、喫煙は肺がんの危険因子の重要な要素であることです。

 

喫煙者は非喫煙者と比べて男性で約4倍、女性では3倍近く肺がんになりやすいと言われています。

 

さらに、喫煙行為を始めた年齢が若ければ若いほど、また喫煙量が多ければ多いほど肺がんを発症するリスクが高くなります。

 

そして、受動喫煙(周囲に流れるたばこの煙を吸うこと)も肺がんのリスクを2~3割程度高めることが知られてきました。

 

遺伝

 

肺がんは、通常では肺細胞の遺伝子に傷がつくことで発生すると考えられています。細胞に傷をつける原因は様々ですが、最大の原因としてたばこの影響が指摘されています。

 

実際のところ、両親や兄弟、近い親戚などに肺がん発症者がいると、本人も肺がんを罹患する危険性が高くなる理由は解明されていません。

 

一方で、例えば家族の誰かが喫煙していると他の家族もたばこの煙を吸う機会が多くなる、あるいは同居者の受動喫煙などの影響もあって同様の生活習慣を共有しているという環境因子と肺がん発症リスクとの関連性が示されています。

 

今後は、もともとの体質に関係する遺伝子タイプ、もしくは遺伝子タイプと喫煙習慣などの環境要因との相互研究を進めることで肺がん発症のメカニズムをさらに解明できることが期待されています。

 

大気汚染

 

呼吸器系悪性腫瘍のひとつである肺がんの原因はタバコだけではなく、いわゆるPM10やPM2.5などを始めとする大気汚染物質もその発症リスクになると考えられています。

 

職業的に石綿などに曝露せざるを得ない状況や大気汚染が肺がんを発生するリスクを高めると言われています。

 

世界保健機関によると、年間でおよそ120万人の死亡が大気汚染という原因が影響して引き起こされており、肺がんで死亡する人の約10%が大気汚染によると推測されています。

 

今後は、世界レベルで大気汚染濃度を減少する試みに取り組むことで全体的に公衆衛生課題が改善して肺がんの発症リスクを少しでも低下させることが期待されるところです。

 

女性ホルモン

 

近年のさまざまな調査研究から、実は「女性ホルモン」が肺がんのリスク因子として有力視されてきています。

 

例えば、月経期間が長い女性や、エストロゲン補充療法を受けたことのある女性に、肺がんの発症率が高いことが従来から問題視されてきた経緯があり、これらの事実から肺がんにおけるエストロゲンの関連性についての研究が進められました。

 

その成果があって、現在ではエストロゲンの体内合成にかかわる遺伝子と、特に肺腺がんとの関係や発症の仕組みが解明されつつあります。

 

エストロゲンというホルモンに関しては高脂血症や高血圧の予防にも役立つ重要な女性ホルモンである一方で、月経期間の長い女性やエストロゲン補充療法を受けた経験がある女性の場合には、通常よりも肺腺がんのリスクが高くなることを忘れないでおきましょう。

 

 肺がんのステージと生存率


肺がんの生存率とステージについて


肺がん
ステージ1

 

肺がんに伴う症状としては、大きく分けて原発巣やリンパ節転移による症状、あるいは遠隔転移に合併する症状に分類することができます。

 

肺がん自体が他の悪性腫瘍と比較して自覚症状が出現しにくい疾患として代表的です。

特に早期的な段階であるステージ1では無自覚で経過することが多く、時に初期症状として咳や血痰、食欲減退などが認められることがあります。

 

がんの生存率は、性別、生まれた年、年齢が同じ人と比べどのくらいかで表示されていて、統計的に5年生存率がよく用いられており、がんと診断されてから5年後に生存している割合を意味しています。

 

この生存率に応じて、治療効果の指標として捉えることが出来ますし、多くのがん疾患において治療して5年間再発しなければ、今後再発する可能性が低くなるという考え方のもとで、5年という基準を設けられています。

 

ステージ別の肺がん患者さんの5年生存率は、ステージ1で約77%と考えられています。

 

肺がんステージ2

 

ステージ2における典型的な症状としては、慢性的な咳嗽、息切れ、血が混じる痰、顔面や頸部領域の腫脹、体重減少などが挙げられます。

 

ステージ別の肺がん患者さんの5年実測生存率は、ステージ2でおよそ45%程度であると考えられています。

 

肺がんステージ3

 

がんがステージ3まで進行してくると、慢性的に継続する咳嗽、胸部から腕や肩にかけての痛み、長期的に続く血痰、声が枯れる嗄声症状などが現れます。

 

肺がんの腫瘍そのものが大きくなることで咳嗽や血痰などの呼吸器症状、もしくは転移したリンパ節が近傍の反回神経を巻き込むことで嗄声症状が現れることがあります。

 

これらは主に胸部内でがん病巣が進展することによって引き起こされる徴候であると考えられます。

 

ステージ別の肺がん患者さんの5年生存率は、ステージ3で約23%と言われています。

 

肺がんステージ4

 

がんが最終段階であるステージ4に進行すると、喘鳴、呼吸困難などを引き起こして、さらに悪化進展すると、胸部痛などに加えて骨転移に伴う疼痛症状、あるいは脳転移に合併して出現する痙攣などを代表とする脳神経症状などが認められます。

 

肺がん自体の予後が他の悪性腫瘍と比較して不良である理由のひとつは、肺がんそのものによって自覚症状が出現しにくいために、がん病巣がある程度進行して有意な症状が出現して初めて医療機関を受診される患者さんが多いためと考えられています。

 

ステージ別の肺がん患者さんの5年実測生存率は、ステージ4で約6%と極めて低値であるという統計結果が挙げられます。

 

これまで述べてきたデータから、り早期に治療を開始した人の方が、5年生存率が明らかに高いことが容易に理解できます。

 

自分も心配だなと思った時の対処方


肺がんと疑わしいとき


何科にいけばいい?

 

肺がんは早期発見が非常に重要な観点となります。

 

肺がんでは初期症状として、慢性的な咳嗽、痰(特に血痰)、胸痛、呼吸困難などの症状が認められることが知られています。

 

ゆえに、このような症状を自覚した場合には早期的に呼吸器内科、あるいは呼吸器外科のある病院またはクリニックに受診して、精密検査を受けるように相談しましょう。

 

検診でがん発覚のきっかけや早期発見

 

肺がんを事前に予防する手段として「がん検診」は重要な視点となり得ます。

 

その目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことであり、何よりもがんによる死亡を減少させることに尽きます。

 

わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針」で各種の検診方法が定められています。

 

その中でも提唱されているように年齢が40歳以上の方は少なくとも1年に1回は肺がん検診を受けてくださいね。

 

ほとんどの自治体では、検診費用の多くを公費で賄っており、ごく一部の自己負担で検診を受けることが出来る仕組みが整っています。

 

検診の具体的なプログラムとしては、胸部X線検査、喀痰細胞診および問診が主要項目となります。

 

特に問診内容では、

 

  • 自覚症状の有無
  • 喫煙歴の長さ
  • 妊娠の可能性の有無
  • 過去の検診の受診状況

 

などを確認することになります。

 

したがって、受診した検診の検査結果が「要精密検査(肺がんの疑いあり)」となった場合には、必ず医療機関などで精密検査を受けるように心がけましょう。

 

病院での検査と治療について



手術

 

肺がんに対する治療方法を決定する際には、その組織型やがんの進行度(ステージ)、全身状態、年齢、合併症などを総合的に検討します。

 

手術治療を行う適応は、Ⅰ期、Ⅱ期の非小細胞肺がん、あるいはⅠ期、ⅡA期の小細胞肺がんという風に比較的早期のがん病巣が対象とされており、手術によって悪性腫瘍を切除しきることができると判断された場合に実施されます。

 

実際に、手術ができるかどうかについては、術前の全身状態を色々な検査結果に基づいて評価し、術後の順調な回復を目指すために術前には1カ月以上の禁煙を提唱されます。

 

これまでの一般的な手術方法としては、胸部の皮膚表面を20cm程度切開して、肋骨間からアプローチする開胸手術が実施されてきましたが、近年では胸腔鏡を挿入してモニター画面を見ながら進める低侵襲手術が広く普及しています。

 

化学・放射線治療

 

一般的に放射線治療とは、高いエネルギーを有する放射線を照射してがん細胞を狙って病巣を消滅させる効果を期待して行う治療法です。

 

がん自体の進行抑制として積極的に施行されるケースもあれば、末期がんに伴う身体症状の緩和を目的として実施される場合もあります。

 

特に、全身状態が良好であれば、抗がん薬を投与できると判断される場合には、放射線治療と同時に化学療法を併用して実施することがあります(化学・放射線療法)

 

この場合には、放射線治療と抗がん薬治療を同時期に施行したほうが、時期を分けて使用するよりも治療効果が上がると考えられていますが、急性の副作用が出現して治療を継続できない状態に陥る可能性も指摘されています。

 

薬物治療

 

薬物治療とは、薬剤を点滴や内服で体内に投与して、がんの増殖を抑制して病巣進展を遅らせる効果を期待して行う治療となります。

 

体内に投与された薬物は全身を循環するので、肺実質以外の他の臓器に転移を認める際にも効果的ですし、手術や放射線治療などと組み合わせてがんの再発や転移を予防することを目的として実施されるケースもあります。

 

その治療効果は、X線検査やCT検査などの画像検査、あるいは簡便に血液検査で判定できる腫瘍マーカーなどを測定して判定することが多いです。

 

通常では、肺がんの薬物療法で主に投与される薬剤としては、大きく分類すると

  • 細胞障害性抗がん薬
  • 分子標的薬
  • 免疫チェックポイント阻害薬


が知られています。

 

現実的に、どの薬剤を実際に投与するかは肺がんの組織分類、病期、全身状態などを総合的に考慮して個々の背景によって判断されることになります。

 

関連記事:喫煙は肺がん発症の高リスク?人間ドックで「胸部CT検査」を勧める理由とは?|BeMEC

 

西春内科在宅クリニックができる対応

 

肺がんは、早期発見により十分に治療が可能な病気です。

 

万が一、検診や人間ドックで肺がんの可能性を疑われた場合は、可能な限り早期的に精密検査を受けられることをお勧めします。

 

西春内科・在宅クリニックでは、常勤の内科医師の診察により、肺がんの診断、治療をサポートすることが出来ます。また、健康診断も実施しております。

 

当院の健康診断についてはこちらをご参照ください。

 

まとめ

 

日本人の二人に一人ががんになると言われている時代です。

 

これまでの研究から年間約8万人が罹患してそのうちの7万人が死亡すると言った具合に全体の癌の中でも最も死亡数が多いのが肺がんという病気です。

 

肺がんの主な原因はタバコです。

 

喫煙による肺がんの発症リスクは、喫煙しない人と比較して男性で約5倍、女性で概ね3倍程度とされています。

 

いわゆるタバコには約60種類の発がん物質が含まれており、肺や気管支が繰り返して発癌性物質に暴露されることにより細胞に遺伝子変異が起こり、この遺伝子変異が積み重なると肺がんになると考えられています。

 

その他にも、受動喫煙、周囲の環境、食生活、放射線、薬品などがリスク因子として挙げられます。

 

肺がんは現在のところ、多くの癌のなかで男性では死亡原因の第1位、女性では第2位であり、その他の癌腫と比較すると、発見が遅れがちで死亡率も高く、早期発見および予防対策が非常に重視されています。

 

本人が禁煙するのはもちろんのこと、家族全体で禁煙に取り組みましょう。

 

そして、普段から規則正しい日常生活を心掛けて、バランスのとれた食事を摂取するように意識して取り組みましょう。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

 

参考文献

 

1)おしえて肺がんのこと:https://oshiete-gan.jp/lung/about/statistic/

 

2)肺がんには、どんな種類がありますか?:https://p.ono-oncology.jp/

 

3)肺がん・治療:https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment.html

知ってほしい脳卒中の危険な前兆・症状や脳梗塞との違いは?

■はじめに

 

脳卒中とは、脳の血管障害(脳梗塞や脳出血など)により、突然倒れてしまったり、様子がおかしくなったりする病気です。

 

三大疾病の一つとしてよく知られており、生活習慣病と関わりが深く、予防には禁煙や食生活や運動習慣に気をつけることが大事であることも有名です。

 

脳卒中は後遺症により介護が必要となる病気としても知られており、漠然と怖いというイメージがあると思いますが、脳卒中がどのような病気であるか、どんな症状の時に医療機関への受診が必要であるのかなどについてはあまり知らない方も多いと思います。

 

ここでは脳卒中がどんな病気であるのかについて詳しく説明したいと思います。



脳卒中とは


脳卒中とは“脳梗塞”、“脳出血”、“くも膜下出血”などの脳血管疾患を指す言葉です。

 

脳卒中の「卒」は「突然に」、「中」は「中る(あたる)」という意味があり、脳卒中は「脳の病気で突然に何かにあたったようになる(倒れる)」という意味です。


(※「卒」は「突然に」という意味があり、卒倒や卒然などで使われます。「中」は「中る(あたる):物事に直面する、身体などにぐあいの悪い触れ方をする」という意味があり、中毒などで使われます。)

 

 三大疾病の一つ


脳卒中(脳血管疾患)は悪性新生物、心疾患、老衰に続いて、日本人の死因の第4位となっている病気です。

 

脳卒中は現在では死因の第4位となっていますが、1940年代に結核での死亡が少なくなって以降の1970年代までは死因の第1位であり、その後に悪性新生物や心疾患による死亡数が脳血管疾患を上回るも2011年までは死因の第3位であったことから、現在でも 疾病の一つとされています。

 

再発率が高く、後遺症が残ることも


脳卒中(脳血管疾患)は、後遺症を残す病気としてもよく知られています。

 

脳梗塞や脳出血では障害を受ける部分によって、麻痺や感覚障害、認知機能低下などに代表される高次機能障害などの様々な症状が出現し、後遺症として症状が残ることで日常生活に大きな影響を与えます。

厚生労働省による平成28年国民生活基礎調査の概要によると、介護が必要となる主な原因の第2となっています。

 

また、再発も起こしやすい病気であり、軽い症状で発症したとしても十分な再発予防ができていない場合には、より重い症状で再発してしまい、重度の後遺症を残すこともあります。

 

近年は治療法の発達により、発症してすぐに治療を行うことで後遺症を軽くできることも増えてきましたが、何かしらの後遺症が残ることも多いため、発症予防や再発予防が特に重要です。

 

今後、高齢化に伴い患者数は増加される


脳卒中は、動脈硬化や微小血管の障害、不整脈、動脈瘤などが原因となって発症する病気で、高齢になるほど発症しやすくなります。

 

高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、罹病期間(発症してからの期間)が長くなるほど血管への障害は大きくなりますし、心臓などの他の臓器の機能低下によっても脳卒中は発症しやすくなります。

 

近年も健康への意識の高まりや治療の発達、介護の充実などにより平均寿命は徐々に延長し、高齢化は徐々に進行しています。

 

今後は高齢化の進行に伴いさらなる患者数の増加が想定されますが、高齢者の脳卒中では多くの場合に介護が必要となり、転倒もしやすくなるため、若いときから生活習慣などを意識して健康維持に努めることが重要です。

 

関連記事:脳神経外科の名医にかかるには ②脳血管疾患|BeMEC

 

脳卒中の種類について


前述のように脳卒中とは脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などを含んだ病名で、脳血管疾患の全般を指します。

 

ここでは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血について詳しい説明とその原因について解説していきます。

 

脳梗塞


脳梗塞とは、脳に血流を送る動脈が動脈硬化などにより狭くなったり、血栓などにより閉塞したりすることで、酸素や栄養が足りなくなって脳細胞が壊死してしまう病気です。

 

脳梗塞はその によって大きく以下のように分けられます。

 

「ラクナ梗塞」

→脳内の小動脈病変が原因

 

「アテローム血栓性脳梗塞」

→頸部~頭蓋内の比較的大きな動脈のアテローム硬化(動脈硬化)が原因

 

「心原性脳塞栓症」

→不整脈や心筋梗塞、心臓弁膜症など心臓が原因となる

 

「その他」

→先天性な要因や悪性腫瘍などにより血の固まりやすさが亢進することや静脈の血液が動脈に流れ込む病気(肺動静脈瘻や卵円孔開存症など)などが原因

 

原因によって治療法が異なりますが、脳梗塞の90%以上がラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞のどれかにあてはまり、そのどれもが高血圧や糖尿病などの生活習慣病との関わりが大きく、生活習慣の改善や生活習慣病の治療が予防に有用です。

 

脳出血


脳出血とは、脳内を走行する動脈が破れて脳の中に出血をしてしまう病気です。

 

脳出血は交通事故などの高エネルギー外傷で起こりますが、高血圧による血管障害やもやもや病、アミロイドアンギオパチーなどの疾患を背景に発症する非外傷性のものもあります。

 

非外傷性の脳出血の原因のほとんどは高血圧であり、もやもや病やアミロイドアンギオパチーなどの疾患がある場合も血圧を下げることで脳出血の発症リスクを下げることができます。

 

症状は脳梗塞も脳出血も麻痺や感覚障害、認知機能障害や空間無視などの高次機能障害など、障害を受ける部位により様々ですが、脳梗塞では基本的には頭痛を感じない一方で、脳出血では多くの場合に頭痛を伴います。

 

くも膜下出血


くも膜下出血とは、脳の動脈が破れて脳の周りのくも膜下腔に出血をしてしまう病気です。

 

脳出血とは異なり、脳の内部に分岐する前の脳の周りを走行する動脈が破れて出血することで発症し、その原因の多く (脳の血管にできる“こぶ”)の破裂です。

 

脳動脈瘤は破裂するまでは症状がなく、脳ドックなどでの検査で偶然に見つかることも多いです。

 

脳動脈瘤ができる原因は今のところ不明ですが、大きさが5mm以上では1年間あたりの破裂率が1%以上といわれており、予防的に血管内治療や開頭術などの手術などを行うこともあります。

 

バッドで殴られたような突然の強い頭痛で発症することが多く、意識障害を伴います。

脳梗塞や脳出血とは異なり、麻痺や感覚障害などは出ないことが多いです。

 

脳卒中の原因と予防


脳卒中には、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などが含まれること、各疾患の原因などについて前項で説明しました。

 

原因には様々なものがあるため一概にはいえませんが、脳梗塞や脳出血の原因の多くに、高血圧やその他の動脈硬化のリスクファクター(高脂血症、糖尿病、喫煙、飲酒、メタボリックシンドロームなど)が深く関わっており、脳卒中の発症予防には生活習慣の改善と生活習慣病の治療が非常に重要です。

 

ここでは脳卒中の原因と関与の深い生活習慣病や改善すべき生活習慣について説明します。

 

動脈硬化


動脈には、心臓の収縮に伴う圧力に耐えるため、動脈壁(内膜・中膜・外膜)が存在します。

 

血液と細胞との酸素やエネルギーのやりとりは内膜を介して行われますが、エネルギー源としてのコレステロールなどの脂質が変性したりあふれたりすることで、内膜の下にたまった状態を動脈硬化といいます。

 

動脈硬化が起こること自体での症状などはありませんが、動脈硬化により血管が狭くなることで冠動脈疾患や脳卒中の原因となったり、血管の弾性が乏しくなって高血圧を悪化させたりと、動脈硬化は全身に様々な問題を引き起こすため、予防や治療が必要です。

 

予防には、食事療法や運動療法、禁煙、節酒(日本酒1合/日以下)、肥満の改善(BMI:25未満の維持)などの生活習慣改善が重要です。

 

食事については塩分や脂質を控え、魚や野菜、果物などを中心とした食事を心がけましょう。

運動については過度な負荷をかけた運動では骨や筋肉を痛める可能性もあるため、ウォーキングや軽いランニング、水泳などの中強度の有酸素運動を1日30分以上行うことが推奨されています。

 

高血圧症


高血圧は脳出血と脳梗塞に共通の最大の危険因子です。

 

血圧の値と脳卒中の発症率との関係は正の相関関係にあり、血圧が高いほど脳卒中の発症リスクは高くなります。

高血圧治療ガイドライン2019では、診察室血圧で140/90 (mmHg)、家庭血圧で135/85 (mmHg)を超えると高血圧という診断になること、75歳未満の人や冠動脈疾患や脳血管疾患の既往があるなどのリスクのある人は診察室血圧で130/80 (mmHg)以下、家庭血圧で125/75(mmHg)以下にコントロールすることが好ましいとされています。

 

一方で、脳卒中治療ガイドライン2021では、脳卒中のリスクの高い人では血圧は120/70 (mmHg)以下にコントロールをすることが好ましいとされており、低血圧の副作用が出ない範囲でできるだけ血圧を下げることが脳卒中の予防に重要です。

 

非薬物療法としては、動脈硬化の項で記載した予防に準じますが、その中でも減塩(推奨は塩分摂取量6g/日)が特に重要とされており、食事には特に注意が必要です。

その他にストレスを避ける、冬季には防寒をしっかりと行うなども有効とされています。

 

▼高血圧・脂質異常症については以下の記事を参考にしてください。

気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です

 

高脂血症


高脂血症は、コレステロールまたはトリグリセリドが高値である状態であり、動脈硬化を引き起こす大きな要因の一つです。

 

特にアテローム血栓性脳梗塞の大きな危険因子であり、脳梗塞や糖尿病で治療中の人ではLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が正常値であっても、スタチンを内服してLDLコレステロール 80 mg/dl未満にすることで脳梗塞の発症率や再発率が下がるという報告もあります。

 

非薬物療法としては、動脈硬化の項で記載した予防に準じます。

食事では豚や牛の油に多く含まれる不飽和脂肪酸の摂取を控え、野菜や魚(特にDHA/EPAを多く含む青魚など)の摂取を心がけると良いでしょう。


▼高血圧・脂質異常症については以下の記事を参考にしてください。

気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です

 

糖尿病


糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子であり、日本糖尿病学会ではHbA1c 7%未満(非薬物療法のみで可能であれば、HbA1c 6%未満)を目指すことを推奨しています。

 

非薬物療法としては動脈硬化の項で記載した予防に準じますが、その中でも食事療法が特に有用で身長や活動量に応じて適正なエネルギー摂取量としつつ、バランスをとれた食事をすることが推奨されます。

 

力仕事をしているなど運動量が多い場合にはその限りではないですが、

1日の目安としては

身長150cmでは1300~1800kcal

身長160cmでは1400~2000kcal

身長170cmでは1600~2300kcalが目安となります。

また適度な運動や減量も重要です。

 

▼糖尿病については以下の記事を参考にしてください。

関連記事:知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について

喫煙


喫煙も高血圧や動脈硬化などのリスクとなるため、禁煙を心がけましょう。

ただちに禁煙をしたいのに禁煙ができないという場合には、ニコチン依存症のスクリーニングテストで5点以上など一定の条件を満たす必要はありますが、禁煙外来の受診も可能です。

 

飲酒


過度な飲酒は高血圧や動脈硬化、脳卒中の危険因子となります。

個人差はありますが、エタノール換算で20-30ml(日本酒1合、ビール500ml)/日以下であれば、血圧の上昇を抑えるなどの良い影響も与えるとされており、節度を持った飲酒であれば大きな問題はないとされています。

 

睡眠時無呼吸症候群


睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中や心疾患の危険因子であり、高血圧などの生活習慣病も悪化させます。

睡眠時無呼吸症候群がある場合にはマウスピースの装着やC-PAP(持続陽圧呼吸療法)などで治療を行うことが好ましいです。

 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は肥満との関連性が強く、減量などにより改善することもあります。

 

脳卒中の前兆、症状


脳卒中では主に以下の症状が突然出現します。

  1. 呂律が回らない、うまく話せない
  2. 様子が明らかにおかしい、意思疎通ができない
  3. 左右のどちらかの麻痺(顔や手足)
  4. 左右のどちらかの感覚障害、しびれ(顔や手足)
  5. 視野がかける(左右の眼のどちらで見ても、同じ場所の視野がかける)


※片目のみ視野がかける場合には網膜剥離などの眼科疾患が疑われます。

  1. 激しい頭痛、嘔吐
  2. 安静時でも持続するめまい、ふらつき
  3. 意識障害、共同偏視(両側の眼が左右の同じ方向に偏って位置する状態)

 

脳卒中は発症早期に治療を行うことで、症状の悪化を防いだり、後遺症を軽くしたりできる可能性があり、発症後の迅速な受診が重要です。

 

突然これらの症状が見られた場合には救急要請するなどをして迅速に医療機関に受診しましょう。

 

 西春内科在宅クリニックができる対応


脳卒中は診断にCTやMRIなどの画像検査が重要です。

発症早期では症状を改善したり、悪化を予防したりする治療が行える可能性もあることから、脳神経内科や脳神経外科のいる急性期病院への緊急の受診が必要です。

 

また、診断後も再発したり、症状が悪化したりするリスクもあることから入院での検査や治療が必要となります。

 

そのため、西春内科在宅クリニックでは脳卒中の急性期治療を行うことはできませんが、急性期治療を終えて内服薬での再発予防を行う状況となりましたら、引き続き外来で治療を継続することは可能です。

 

後遺症などにより外来通院が困難になった場合には往診での対応も行っております。

 

また、症状が出現した際に救急要請を行うべきか困った場合など、何かお困りの際のご相談は受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

 

まとめ


脳卒中は突然に発症し、後遺症を残したり、死亡したりすることがある緊急性の高い病気です。

 

脳梗塞では詰まった血管を再開通させる血栓溶解療法や血管内治療(血栓回収術や血管拡張術)、脳出血やくも膜下出血では血管内治療(コイル塞栓術)や開頭手術(血腫除去術や減圧術)など、発症早期であれば症状を改善したり、症状の悪化を防いだりする治療を行える可能性があります。

したがって、脳卒中を発症した場合には、すぐに脳神経内科や脳神経外科のある急性期病院への受診をしましょう。

 

医療の発達や十分なリハビリテーションにより、脳梗塞発症後も大きな後遺症を残さずにすむ人は増えてきていますが、それでも多くの方が介護を要したり、仕事内容を変更する必要が出てきたりと元の生活に戻れない人も多くいらっしゃいます。

 

そのため、脳卒中にならないための予防も非常に重要です。

生活習慣の改善や生活習慣病の治療が発症予防に重要ですので、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣について、改めて考えてみてください。

 

 

【参考文献】

脳卒中ガイドライン「Ⅱ.脳梗塞・TIA

東京大学脳神経外科

脳卒中ガイドライン「Ⅴ.無症候性脳血管障害」

日本動脈硬化学会

糖尿病診療ガイドライン2019

大塚製薬

脳神経外科高瀬クリニック

 

大塚製薬:https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/stroke/about/
脳卒中ガイドライン:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_02.pdf
東京大学脳神経外科:https://www.h.u-tokyo.ac.jp/neurosurg/rinsho/SAH.htm
脳卒中ガイドライン:https://www.jsts.gr.jp/guideline/235_240.pdf
日本動脈硬化学会:https://www.j-athero.org/jp/general/2_atherosclerosis/
糖尿病診療ガイドライン2019:http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-03.pdf

大腸がんとは?症状やステージについても解説【医師監修】

2018年の人口動態統計によると、日本において、一生のうちにがんと診断される割合は、は男女ともに50%を超えています。


つまり、2人に1人はがんを経験するということです。がんで亡くなった人の数のうち、大腸がんが原因だった人は、女性が1位、男性で3位と、がんの中でも大変身近ながんと言えます。


この20年で大腸がんによる死亡数は1.5倍に増加しており、特に生活習慣の欧米化(高脂肪・低繊維食)が関与していると考えられています。


この記事を参考にして大腸がんにならないよう生活習慣を今一度見直してみましょう。

必要であれば検査を受けることもおすすめします。



大腸がんについて




まず大腸の役割を確認しましょう。口から食べた食物は、
食道、胃、十二指腸、小腸を通過し、大腸に到達します。

 

大腸は、結腸と直腸に分かれ、最後は肛門に繋がっています。

 

胃や十二指腸、小腸を通る間に、食物の消化や栄養分の吸収はおおむね完了しており、大腸には便となって到達します。

 

到達時は液状である便から、水分や塩分を吸収して固形の便を作っていきます。

 

直腸まで便が移動すると便意を感じ、排便反射が起きて排便に至り、肛門から排泄されます。

 

その他にも、大腸には、大腸菌や乳酸菌など100種類以上の細菌が存在するとされ、胃や小腸で消化されない食物繊維をエネルギー源に分解したり、感染を予防したりする働きもあります。

 

その大腸(結腸+直腸)にできるがんが大腸がんです。大腸がんは、結腸がん直腸がんに分かれます。

 

大腸がんにかかる年齢は、30代まではほとんどみられませんが、40代から少しずつ、そして50代から増加しはじめ、高齢になるほどり患しやすくなります


男性に多い傾向がみられますが、女性のがん死亡原因第1位であるので、男女ともに注意が必要です。この20年で大腸がんによる死亡数は1.5倍に増加しているのも特徴です。

大腸がんを引き起こす要因


多くのがんに言えることですが、がんを引き起こす要因に
生活習慣は深くかかわっています。

 

特に、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの生活習慣はとても大切です。

 

国立がん研究センターの報告によると、年齢40歳から69歳の男女で行った調査において、この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計を示しています。

 

大腸がんでは、特に生活習慣の影響が大きいと言われています。

 

生活習慣が主な要因


大腸がんの発生は、生活習慣と関わりがあるとされています。
赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取、飲酒、喫煙により大腸がんの発生する危険性が高まります。

 

特に、体脂肪が多い肥満体型の人は十分注意が必要です。

 

肥満は、WCRF(世界がん研究基金)2011年の改訂版では、男性でBMI(Body Mass Index)が30以上結腸がんのリスクが1.4倍、直腸がんは1.16倍という結果でした。

 

痩せている人に比べて太っている男性は、2.0倍結腸がんに、1.4倍直腸がんになりやすく、女性は、1.3倍結腸がんに、1.3倍直腸がんになりやすいことが分かっています。

 

また、女性では閉経後の肥満がリスクになります。大雑把に言えば、肥満であることは、約30%大腸がんになりやすくなるということです。

遺伝的要因


大腸がんになる要因においては、
遺伝的要因よりも、食生活等の環境的な要因の方が、影響が大きいと考えられています。

 

しかし、割合としては少ないものの、大腸がんの一部においては、遺伝的要因で発生することが明らかになっている大腸がんもあります。

 

遺伝的要因について1つずつ説明したいと思います。

家族性大腸ポリポーシス


若い年代で大腸に数百個から無数のポリープ(良性のできもの)ができ、放置すれば100%がん化する(良性が悪性となる)遺伝性の病気です。

 

大腸がん全体の約1%を占めています。

 

遺伝性非ポリポーシス大腸がん


ポリープ(良性のできもの)を伴わない大腸がんで、「親子等の近親者に大腸がんの人が3人以上いる」「大腸がんの発生が2世代以上にわたる」「そのなかに50歳未満で大腸がんと診断された人がいる」という条件がそろった場合に、この病気を疑う必要があります。

 

つまり、家族に大腸がんになった人がたくさんいるという人は、検査をより積極的に受ける必要があります。

 

大腸がんの全体の約5%を占めています。

 

大腸がんのステージについて


がんには、進行具合に応じてステージというものがあります。

 

がんのステージは、ステージ0期か4期まで5段階あり、ステージ4がもっとも進行している(悪化した)状態です。

 

がんのステージは、T(がんの大きさ) N(リンパ節への転移の有無) M(他の臓器への転移)という3つの要素を組み合わせて判定されます(TNM分類)。

 

そして、各ステージに応じた治療が行われます。当然、がんの大きさが大きいほど、リンパ節や多臓器への転移が広がっているほど、ステージは悪く判定されます。

 

大腸がんは早期の場合、ほとんどが無症状です。進行すると少しずつ症状が出現します。

 

代表的な症状としては血便(便に血が混じる、徐々に貧血になる)、便秘や下痢が続く、便が細くなる、腹痛や嘔吐、などが挙げられます。

 

大腸がんの位置により出やすい症状は異なります。大腸に届いたばかりの便は、まだまだ水分が多く、固まりきっていないため、進行しても症状が目立たないことが多いと言われています。

 

じわじわと出血し貧血になった、お腹にしこりがある、と言った症状で発見されることがあります。

 

一方で、便が硬くなった大腸の後半部分のがんでは、便の通りが悪くなることによる腹痛、嘔吐が起こりやすいとされ、血便や便が細くなるといった症状も認めやすくなります。

 

しかし、がんが進行していても「自覚症状がなかった」という患者さんが多いのも事実ですので、やはり検診がとても大切です。

 

西春内科・在宅クリニックの健康診断について

ステージ0,1


大腸は管の形をしていて(バームクーヘンみたい)、中は便が通るために空洞になっています。

 

大腸の内側、つまり空洞側は粘膜になっていて、大腸の外側は漿膜(しょうまく)と呼びます。

 

内側の粘膜と外側の漿膜の間に、大腸を動かす筋肉(筋層)があり、大雑把に言うと、大腸はこの3層に分かれています。

 

大腸がんは基本的に粘膜の部分から発生し、徐々に筋層、漿膜の方へ大きくなります。

 

粘膜の部分だけでがんがとどまっているものをステージ0、粘膜より深く進行したけれど、筋層の部分でとどまっているものをステージ1と呼びます。

 

尚、5年生存率は、ステージ0が97.3%、ステージ1でも94.4%です。

 

ステージ2


がんが筋層を超えてしまうと、ステージ2以上
となります。

 

リンパ節への転移が無い場合はステージ2と診断されます。尚、5年生存率は89.0%です。

 

ステージ3


がんの大きさや、深さなどに関係なく、
リンパ節に転移してしまうと、ステージ3と診断されます。

 

尚、5年生存率は77.5%です

 

ステージ4


がんの大きさや、深さなどに関係なく、
他の臓器に転移してしまった場合、ステージ4と診断されます。

 

大腸がんでは、特に肺や肝臓などに転移しやすいです。尚、5年生存率は18.8%です。

 

尚、上記に記載する5年生存率は、国立がん研究センター がん対策情報センターが報告している「がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2012-2013年5年生存率集計」を参考にしています。


また、今回は大腸がん全体の5年生存率を記載していますが、正確には大腸がんは、結腸がんと直腸がんに分かれ、
5年生存率にも若干の差があります。あくまで参考程度としていただけたらと思います。

 

 大腸がんと間違いやすい痔・血便との違い


大腸がんは、大腸の内側、つまり
便が通る側の粘膜で発生します。

 

がん細胞は出血しやすく、痛みなどは無いのですが、表面にじわじわと血が滲んでいます。量が少ないと、肉眼では分かりにくいため、便潜血検査が有用ですが、出血の量が増えると肉眼でもわかるようになります。

 

赤い血の混じった便を見た時、「痔だと思っていた」「肛門が切れただけだと思っていた」と油断してはいけません。

 

赤い血の混じる便が出る病気は、大腸がんや、痔以外にも、何らかの大腸炎(虚血性腸炎

、潰瘍性大腸炎、感染性腸炎、など)や、大腸憩室からの出血、クローン病など様々です。

 

出血が多ければ、当然貧血になってしまいますが、出血が少ないからといって軽症であるとは限りません。

大腸がんの検査の種類 


大腸がんの検査には、
スクリーニング検査と精密検査があります。

 

スクリーニング検査


スクリーニング検査とは、主に
無症状の方を対象に、病気の疑いのある人を発見することを目的に行う検査です。

 

大腸がんのスクリーニング検査に、「便潜血検査」があります。

簡単な検診であっても広く行われているので、多くの方がすでに、「便潜血検査」を受けたことがあるのではないでしょうか。

 

大腸がんでは、がん細胞から出血し、便に血が混ざることがあります。便器の中を見ても、出血が微量だと肉眼ではわかりません。

 

そこで採取した便に試薬を混ぜ、その変化で血液の混入判定を行う検査が便潜血検査です。便の中に血液が混じっていれば、便潜血検査陽性です。

 

当然、硬い便で肛門が切れてしまっていたり、痔があったりして、血が混じっても、検査は陽性となります。

 

実際、便潜血陽性の方から大腸がんが見つかる確率は、2~3%程度です。

 

しかし、一度でも陽性になったのであれば、精密検査を受けるようにしましょう。

 

精密検査


便潜血検査にて陽性と判定されたら、
精密検査を受けるようにしましょう。

 

精密検査には、いくつかの検査がありますが、大腸がんの早期発見・治療のためには「大腸内視鏡検査」が最も有用です。

 

おそらく検査の陽性判定をもって病院受診をすると、この検査を提案されることが大半だと思います。

 

「大腸内視鏡検査」は、先端に小型カメラが付いている内視鏡という細長い管を、肛門から入れて行う検査です。

 

大腸の内部を映し出すモニター画面を見て、肉眼で確認できることが強みです。

 

また、ポリープ(良性腫瘍)や早期のがんが見つかった場合、その場で内視鏡を使って組織を採取することや、その場で切除できる場合もあります。

 

また、見つかったがんが進行していると疑われた場合は、CT、MRI検査やエコー検査などを行い、全身にがんが広がっていないか(転移していないか)という検査が追加になることもあります。

 

早期発見で生存率が上がる?


大腸がん検診を受けることで、大腸がんによって
死亡する確率を約60~80%減らせるという調査結果が報告されています。

 

そのため、厚生労働省も大腸がん患者が増え始める40代になったら、毎年大腸がん検診を受けることを推奨しています。

 

しかしながら、日本は他の先進諸国と比べて、がん検診の受診率は低いと言われています。

 

実際、2019年のデータでは、日本における大腸がん検診の40~69歳の方の受診率は、男性で47.8%、女性で40.9%に留まっています。

大腸がんの治療(手術)について


大腸がんでは、ステージ2以上であれば、

 

基本的には外科的な手術治療になります。

 

ステージ1であっても、がんの状態によっては手術になりえます。また、化学療法(抗がん剤)や放射線療法の併用となることもあります。

 

しかし、ステージ1、もしくはそれよりも早期に発見することができれば、内視鏡治療でがんを取り除くことも可能です。

 

外科手術に比べて、体にかかる負担を軽減することができます。内視鏡治療は、早期発見によるとても大きなメリットの一つです。

 

内視鏡治療で、がんを取り除くことが難しい場合、外科的な手術を行います。

 

手術では、がんの部分だけでなく、がんが広がっている可能性のある部分や、その周囲にあるリンパ節も取り除きます。 

 

さらに、がんが周囲の臓器にまで及んでいる場合は、可能であればその臓器も一緒に取り除きます。

 

がんがある大腸の一部分を切り取った後は、残った腸同士をつなぎ合わせます。つなぎ合わせることができない場合には、人工肛門をおなかに作ることになります。

 

関連記事:大腸がんの治療と名医を受診するお勧めポイント|BeMEC

 

何科にいけばいい?


大腸がんを専門に扱う診療科は、
消化器内科や内視鏡内科などの内科、もしくは消化器外科になります。

 

「消化器」や「内視鏡」といった言葉が含まれている診療科を受診すると良いでしょう。

西春内科在宅クリニックができる対応


大腸がんは、
早期発見により十分に治療が可能な病気です。

 

検診で大腸がんの可能性を疑われた場合は、可能な限り大腸内視鏡検査を受けられることをお勧めします。

 

西春クリニックでは、常勤の内科医師の診察により、大腸がんの診断、治療をサポートします。

 

西春内科・在宅クリニックの健康診断について

西春内科・在宅クリニックのCT検査について

まとめ


食生活の欧米化により、大腸がんは年々増加傾向にあります。
食生活などの生活習慣を見直してみましょう。

 

また、大腸がんは自覚症状に乏しい病気ですので、検診がとても大切です。

 

早期発見により、治る可能性はかなり高くなるため、検診で異常が見つかった場合は、後回しにせず、最寄りの病院へ相談するようにしましょう。

こちらの記事もオススメ

 



 参考資料

大腸がん(結腸がん・直腸がん):[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

データで見るがん検診|知っておきたいがん検診 (med.or.jp)

最新がん統計:[国立がん研究センター がん統計] (ganjoho.jp)

大腸のしくみと働き – カプセル内視鏡と大腸・小腸疾患、クローン病に関するお役立ち情報サイト【飲むだけカプセル内視鏡】 (nomu-capsule.jp)

科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

大腸がんのステージ(病期)分類と治療方針|大腸がんを学ぶ|がんを学ぶ ファイザー (ganclass.jp)

大腸がんの「ステージ」 – 大腸がん情報サイト (daichougan.info)

大腸がん検診 – 大腸がん情報サイト (daichougan.info)

103E.pdf (ganjoho.jp)

胃がんの症状を解説!胃潰瘍や胃炎との違いは?【早めの検診を】

はじめに

胃がんはかつて日本人のがん死亡率の第1位でしたが近年は減少傾向で、2020年厚生労働省の部位別がん死亡者数では男性では肺がんを下回り第2位、女性で第5位です。

 

しかし、胃がんになる人の数は比較的多く、2018年に診断された人は男性で約9万人、女性で約4万人います。

 

つまり、胃がんは治癒する人が増えてきているガンと言えます。

 

これには、日本では胃がんの早期発見・早期治療の進歩が著しいためと考えられます。

 

そこで今回は胃がんについて詳しく解説していきたいと思います。



胃がんについて


胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって
無秩序に増殖を繰り返しておこる病気です。

 

検診などで見つけられる大きさになるまでには、何年もかかるといわれています。

 

胃がんとなる要因


胃がんとなる要因は?


胃がんが
発症するメカニズムは完全にはわかっていません。

 

しかし、胃がん発症のリスクを高める要因はわかってきています。

 

そのほか、塩分の多い食事、野菜や果物の摂取不足、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどの生活習慣が要因となって、胃がんが起こるとされています。

 

ここではひとつずつ胃がんの要因となりうるものについて見ていきましょう。

 

ピロリ菌感染

 

胃がんの発生リスクを高める要因として、まずピロリ菌の感染が挙げられます。

 

ピロリ菌感染による慢性的な胃粘膜の炎症は、胃がんの主原因の1つとされています。

 

ピロリ菌は感染すると胃に炎症を起こす細菌です。50歳以上の方は約70%以上の方がピロリ菌に感染しているとされています。

 

胃がんの重要な危険因子のひとつとされますが、感染した人の全てが胃がんになるわけではありません。

 

肥満

 

肥満が発がんに及ぼすメカニズムは様々言われていますが、肥満になるとインスリンが十分に働かなくなり、インスリンが過剰に分泌されてしまう高インスリン血症の状態が起きることで、発がんリスクを上げると考えられます。

 

ただし、痩せすぎによってがんのリスクが上がることも知られており、過度の肥満や痩せはどちらも注意が必要です。

 

塩分の過剰摂取

 

塩分の過剰摂取は胃がんのリスクを上げる可能性が大きいとされています。

 

高濃度の塩分は胃粘膜を保護する粘液を破壊し、胃酸による胃粘膜の炎症や、ピロリ菌の持続感染を引き起こしたりすることにより、胃がんのリスクを高めると考えられています。

 

喫煙

 

たばこが肺がんの原因として有名ですが、胃がんをはじめとするさまざまながんの原因となることが科学的に明らかにされています。

 

また、たばこを吸うと、本人だけでなく、吸わない人にも健康被害を引き起こすため注意が必要です。

 

現在たばこを吸っている人も、禁煙することによってがんになるリスクを下げることができます

◆痛風の前兆とは?痛風になりやすい食べ物や食事による原因

 

胃がんのステージについて 


胃がんのステージは、

  • がんの深達度(T因子):胃がんが胃の壁のどの深さまで進んでいるか、
  • リンパ節転移の数(N因子):がんがいくつのリンパ節に転移しているか
  • 遠隔転移(M因子):がんが他臓器へ転移しているか

 

というT/N/Mの3つの要素でステージを判断します。

 

そして、それらを組み合わせて最終的にステージIA~IV期に分類します

 

IA期が最も早期のがんで、IVが最も進行したがんです。

IA~IB期は、早期胃がんと言われる段階で、手術で治る可能性が高い病期です。

中でもIA期であれば内視鏡治療や腹腔鏡下手術などの低侵襲の治療が可能になります。

II期は中程度に進んだがんで、手術で根治が期待できますが、その後に化学療法を行うことが有効とわかっています。

再発を防ぐために抗がん剤投与までを一連の治療とします。

IIIA、IIIB期はある程度進行しているもののまだ手術によって治る可能性のある病期です。

手術単独では再発率があがってきてしまうため、手術後あるいは手術前の化学療法を組み合わせることが必要です。

IV期は胃がんが進行して転移している状態です。

遠隔転移(肝転移・肺転移など)や腹膜播種(お腹の中に癌細胞がまき散らされている状態)を認める場合に診断します。

手術治療で根治を目指すことが困難なため化学療法を中心に治療を行います。


ステージ
Ⅳをまとめると以下のようになります。

ステージⅠ 

自覚症状はほとんどありません。検診などを受けなければ見つからない段階と考えてください。5年生存率は91.2%とされています。

 

ステージⅡ 

自覚症状はほとんどありませんが、時に胃痛などを自覚する場合もあります。5年生存率は80.9%とされています。

 

ステージⅢ 

胃痛を自覚したり、採血での貧血を顕在化してくる段階です。症状としては腹痛、腹部膨満感、嘔気嘔吐、黒色便などです。この段階では5年生存率 54.7%程度です。

 

ステージⅣ 

遠隔転移がある段階で、腹痛・腹部の膨満感・嘔吐・吐き気・胸やけ・黒色便・吐血・貧血などの症状がみられると思われます。ただし、中には全く自覚症状がない状態の方もいますので注意が必要です。5年生存率は9.4%程度です。

 

 

 胃がんの症状や前兆として気をつけてほしいこと 

 
胃がんの前兆とは


初期症状や前兆


胃がんは、
早期の段階では自覚症状がほとんどありません。

 

また、かなり進行しても症状がない場合があり注意が必要です。

 

その中でも胃がんの代表的な症状は、胃(みぞおち周囲)の痛み・腹部の不快感・腹部の違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などです。

 

時に食事がつかえる、体重が減るといった症状が出現する場合もありますが、それらの症状は進行胃がんを示唆する症状になります

 

進行した状態になると吐血や黒色の便が出る


胃のがん部分は粘膜がガン細胞に取って代わられているため、
同部位は容易に出血しやすくなっています。

 

そのため、気が付かない間に胃の中で出血することによって貧血をきたしたり、血液が便に交じって黒い便がでたりするという症状が出ることもあります。

 

また腹痛などがなくてもそれらが発見のきっかけになる場合もあります。

 

胃炎や胃潰瘍でも吐血や黒色の便が出る


吐血や黒便は、胃がんだけにみられる症状ではなく、
胃炎や胃潰瘍の場合でも同様の症状が起こります。

 

そのため、胃炎や胃潰瘍などを疑い内視鏡検査を行ったときに偶然に胃がんが見つかることもあります。

 

胃炎や胃潰瘍と、胃がんの見分けは、内視鏡検査で細胞の検査(病理学的検査)をしない限り断定はできません。

 

検査した方が良い症状のチェック項目


胃(みぞおち周囲)の痛み

  • 腹部の不快感
  • 腹部の違和感
  • 胸やけ、吐き気
  • 食欲不振
  • 食事がつかえる
  • 体重が減る

 

といった症状があり、これらの症状が1週間以上続くようならば早めに内視鏡検査を受けることをお勧めします。

 

胃がんの検査と治療について


胃がんの検査について


胃がんの検査と治療には以下のようなものがあります。

胃x線検査 


胃x線検査は
リウムをのんで、胃の形や粘膜などの状態や変化をX線写真で確認する検査です。

 

胃がんが存在すると、胃の形態に変化があるためそれを見つけることで胃がんを疑うことができます。

 

胃内視線検査


胃内視線検査とは
内視鏡を用いて胃の内部を直接見て、がんが疑われる部分や、その広がり(範囲)と深さを調べる検査です。

 

胃がん診断にとって最も重要な検査です。

進行度によって治療は異なる


胃がんの治療法には、
内視鏡治療、手術、薬物療法などさまざまです。

 

どの治療法を選択するかはガイドラインの定めた標準治療に基づいて行われることが多く、患者の状態や年齢、希望なども含めて担当医と共に協議の上決めていきます。

 

以下は簡単にステージ別の治療方針を記載します。

ステージⅠ 

粘膜層までの早期癌の場合は、内視鏡手術で根治が目指せる場合もあります。リンパ節転移の有無などを調べて治療方針を決定します。

 

ステージⅠ(粘膜下層)~Ⅲ 

この段階では手術加療が主です。手術後に判明したリンパ節転移の有無や、癌の進行度によっては抗がん剤治療を組み合わせる場合もあります。

 

ステージⅣ

手術のみでは根治が難しいため、抗がん剤治療などを最優先させる段階です。特定の転移の状況では手術が選択肢にあがることもあります。

 


関連記事:胃がんの診断・治療と名医を受診するお勧めポイント|BeMEC

何科にいけばいい?


胃がんを心配するような症状があれば、まずはかかりつけのクリニックや、
消化器内科を受診してください。

 

早期発見と定期的な検診を


胃がんは、早期の段階で見つかれば根治の可能性が高くなりますが、早期の場合は自覚症状がないことがほとんどです。

健康診断を定期的に受けることが大切になってきます。

 

西春内科在宅クリニックができる対応


当院では、最先端のCT装置を完備しており、
健康診断などにより胃がんの早期発見・早期治療に努めます。

 

日々の定期受診、採血などを行うことで胃がんの初期症状に気が付くことができます。

 

また、ただの腹痛などで受診された場合も、CT検査を用いることで正確に病状を評価することができます。



 

まとめ


胃がんは、悪性腫瘍の中でも死因上位を占める存在ですが、
早期発見できれば治癒が目指せる時代となってきました。

 

早期発見・早期治療がカギになります。

 

もし気になる症状があれば早めにかかりつけ医や消化器内科を受診するようにしてくださいね。

◆関連記事:乳がんのしこりは痛みがない?なりやすい人の特徴や検査についても

 

参考文献


・国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/factor.html

 

・東北ろうさい病院
https://www.tohokuh.johas.go.jp/expert/receive/

 

【監修医師】

外科専門医 Dr.梅村 将成

あかぎれを早く治す方法とは?できやすい部位や予防方法を解説



あかぎれは
、皮膚の水分や脂分が抜け、肌の潤いが無くなることで起こる症状です。

 

最初はかゆみを伴い、ひび割れの状態となり、ひび割れから症状が悪化するとあかぎれになります。

 

本記事では、あかぎれを早く治す方法や、予防方法などを詳しく解説しています。

 

あかぎれを早く治す方法とは?




治癒促進タイプの絆創膏を使用

あかぎれを早く治す方法として、治癒促進タイプの絆創膏がおすすめです。

 

傷を保護し、痛みを和らげ治すのに適した潤った環境を作り、皮膚がきれいに再生するのを促します。

 

指を動かしたり曲げる手仕事の方には不織布タイプ、水仕事の多い方は防水タイプなど生活スタイルに合わせたタイプを選ぶことがおすすめです。

 

患部を清潔に保つ

ひび割れやあかぎれができたら、患部を清潔に保つことが重要です。

 

あかぎれは放っておくと、傷が広がったり雑菌が入ったりして、症状がさらに悪化してしまいます。

 

手洗いをして清潔に保つことは大切ですが、洗いすぎは厳禁です。

 

何度も洗いすぎることで、手の皮脂が余分に洗い流されることにより、乾燥が進み、症状を悪化させることがあります。

 

水仕事で洗剤や石鹸を多く使用する人ほど患部がダメージを受けやすくなります。

 

洗浄剤はできるだけ低刺激性のものを使用し、優しく洗うようにしましょう。

 

こまめな保湿

あかぎれができる主な原因は乾燥ですので、市販薬などの保湿剤で皮膚を乾燥させないように保護しましょう。

 

保湿することで、肌に一定量の水分が保たれ、肌のバリア機能として、肌を乾燥や洗浄などから守ってくれます。

 

皮膚が潤えば、ひび割れやあかぎれを抑えることができるため、肌が乾燥しやすい人ほど保湿がおすすめです。

 

手袋であかぎれを保護

あかぎれになった指先などは、炎症を起こして敏感な状態になっているので、少しの刺激にも弱くなっています。

 

手袋などを使用し、患部を守ってあげることで、症状の悪化を防いでくれます。

 

皮膚科を受診

あかぎれは自分でケアすることもできますが、毎日の水仕事などで一向に症状が改善しない場合は、医療機関の受診をおすすめします。

 

痛みが引かない場合や赤くはれている場合などは早めに皮膚科に相談しましょう。

 

傷口に雑菌が入って腫れている場合には、外用薬だけでなく、抗生物質などの飲み薬など処方をされることもあります。

 

あかぎれができる原因

 

 

人間の皮膚は3つの層から成り立っており、一番外側に「表皮」と呼ばれる層があり表皮の一番外側の部分が「角質」です。

 

表皮の内側に「真皮」と呼ばれる層、さらにその奥に「皮下組織」があります。

 

表皮は外的刺激から体を保護し、皮膚に含まれる水分を逃がさないようにする役割があります。

 

夏は湿度があって皮膚の乾燥は進みませんが、冬は汗や皮脂の分泌が低下するため、肌が乾燥しやすい状態です。

 

肌が乾燥した状態で、洗剤、石鹸、アルコール消毒などに何度も肌が触れることで、皮膚から水分や脂分がぬけてしまい、その結果、表皮が乾燥して肌がかさついたり、突っ張るような感じになります。

 

さらに乾燥が進むと、表皮が硬く・厚くなり、本来持っている柔軟性や弾力性を失い、ひび割れや炎症を起こします。

 

ひび割れがさらにひどくなり真皮にまで到達した状態があかぎれです。

 

そのまま放置すると血管や神経まで損傷が広がり、痛みや赤み、出血などを伴うことがあります。

 

あかぎれの主な症状

 

 

皮膚は肌表面を覆っている表皮とその奥の真皮に分けられますが、あかぎれは表皮だけでなく、その奥にある真皮まで亀裂が入っている状態です。

 

乾燥して硬くなった皮膚が割れ、痛みや痒み、腫れなどの炎症を伴います。

 

あかぎれができやすい部位

 

 

手の指

手の指は、あかぎれが最もできやすい場所で、指先は何かに触れていることが多く、水仕事によって皮脂がながされてしまうことも少なくありません。

 

潤いに必要な水分まで抜け出てしまうと、非常に乾燥しやすくなってしまいます。

 

乾燥した状態で指を曲げたり伸ばしたりして皮膚が引っ張られると、亀裂が入ってしまいます。

 

よく使う部分なので、なかなか治りにくく、再発しやすいのが特徴です。

 

手の甲

指と同様に、常に外部に露出していて、また水仕事などで乾燥しやすくなっています。

 

皮膚が張っている関節部分などは、特にひび割れしやすくなります。

 

かかと

足の皮脂腺は、手の指ほど多くないため、擦れなどによって乾燥してしまうことも少なくありません。

 

かかと周辺は、皮膚が乾燥しやすく、すぐにカサカサになってしまい、体重を支えることで皮膚が硬くなります。

 

歩いたり走ったりすることが多い人ほど、踵にあかぎれができやすくなります。

 

あかぎれの予防方法

 

 

丁寧な保湿

手洗いや食器洗いなど水仕事をした後は、忘れずに丁寧に保湿するようにしましょう。

 

手洗いの度に保湿は少し面倒ですが、保湿を怠ると乾燥が進みあかぎれができやすくなってしまいます。

 

こまめな保湿があかぎれができるのを防ぐポイントです。

 

水仕事ではゴム手袋着用

毎日の食事の後片付けでの食器洗いは、あかぎれの大敵です!

 

洗浄力が強い洗剤や水が直接触れることで、乾燥を促してしまいます。

 

面倒でもゴム手袋をつけることで、手の油分が奪われるのを防ぎ、刺激を減らすことができます。

 

あかぎれができる前からゴム手袋を使用して、あかぎれにならないように予防することが大切です。

 

手洗い時の水温と拭き方に注意

手洗いをする際、温度の高いお湯を使うと、皮膚の油分が奪われ、乾燥しやすくなってしまいます。

 

手洗い時は、ぬるいと感じるくらいの水温で手洗いするとよいでしょう。

 

また、手洗い後に手を濡れたままにすると、水分が蒸発しやすくなりかえって乾燥しやすくなってしまいます。

 

タオルやペーパーなどで軽く押さえ水分をふき取るようにしましょう。

 

西春内科・在宅クリニックでできること

当院では、症状に合わせた処置や保湿剤などお薬の処方、アドバイスなど行うことが可能です。

 

日常生活で、手や足は必ず使いますので、まずは、あかぎれにならないよう、予防することが重要になります。

 

上記で述べた、予防法などが、皆様の体の健康に役に立てばと思います。

 

まとめ

あかぎれは、皮膚の水分や脂分が失われることで発生する症状です。

 

特に手の指先、手の甲、かかとによく見られ、放置すると症状が悪化する可能性があります。

 

治療には以下の方法が効果的です。

 

  • 治癒促進タイプの絆創膏の使用で傷を保護
  • 患部を清潔に保ち、過度な洗浄は避ける
  • こまめな保湿で皮膚の乾燥を防ぐ
  • 手袋などで患部を保護
  • 症状が改善しない場合は皮膚科を受診

 

予防には日常的なケアが重要で、特に水仕事の後は丁寧な保湿を心がけましょう。

 

また、食器洗いなどの際はゴム手袋を着用し、手洗い時はぬるめの水を使用することで、皮膚の乾燥を防ぐことができます。

 

症状の改善と予防には、継続的なケアを意識的に行うことが大切です。

誤嚥性肺炎の末期症状とは?急変したときの対処法を徹底解説!

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、口や喉から誤って食べ物や飲み物が気管から気管支・肺へ入り込み、肺炎の状態を引き起こす疾患です。
 
主に以下に該当する人が発症しやすく、重症化することもあります。
 
  • 高齢者や認知症患者
  • 嚥下障害を持つ人
  • 寝たきりの人など(身体機能が低下している人)

 

また、この誤嚥性肺炎は日本の死亡原因の第3位であるほど一般的で、患者様背景からも重症化しやすく、致死的になりやすい病気です。

 

同居ご家族に食事中にムセこんでしまう方、良く肺炎を起こす方がいらっしゃれば、それは誤嚥性肺炎である可能性が高いです。

 

今回は、誤嚥性肺炎の原因や、症状、急変時の対応法について解説していきます。

 

 

誤嚥性肺炎になる原因


誤嚥性肺炎

高齢者が誤嚥性肺炎になりやすい理由は、口腔内や喉の筋肉の衰えや嚥下機能の低下が原因とされています。

 

以下などの疾患を患っている場合は、嚥下機能が低下する傾向にあります。

  • 認知症やパーキンソン病などの神経疾患
  • 脳梗塞・脳出血などの頭蓋内疾患


また、口腔内の先天的な異常や口腔内の環境(歯磨きやうがいをしない)に加えて、活動性が低下し寝ている時間が長くなればなるほど、誤嚥性肺炎は引き起こしやすくなります。

 

また、加齢に伴う嚥下機能の低下は、ほぼほぼ必発です。

 

さらに、高齢者の場合、免疫力が低下していることがあり、細菌やウイルスに感染しやすくなっています。

 

関連記事:RSウイルスに高齢者が感染すると危険?重症化や死亡のリスクについても

 

誤嚥性肺炎の初期症状


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎の症状については、以下のような症状があります。

 

初期症状

  • 発熱
  • 息切れ
  • 胸痛 など

また、高齢者や基礎疾患を持つ人の場合、症状があまり現れない「無症状誤嚥性肺炎」という状態になることがあります。

 

そのため、定期的な健康診断や医療機関の受診が重要です。

 

 

誤嚥性肺炎の末期症状




先述した悪化した場合の症状がさらに増悪すると下記のような症状へ移行します。

 

悪化した場合の症状

  • 呼吸困難
  • 酸素不足
  • 意識障害
  • 低血圧
  • 心拍数の増加
  • 体温の上昇 など

 

酸素不足から呼吸困難へ移行すると意識レベルが低下し、次第に血圧が下降して最悪の場合、死に至ります

 

看る側としては患者さんが熱にうなされている様子や呼吸が苦しそうな様子などが見られたら、すぐに救急車を呼びましょう。

 

あるいは入院中であればナースコールを押してください。

 

関連記事:骨粗鬆症の薬が危険といわれる理由|副作用や注射治療について解説

 

誤嚥性肺炎で急変したときの対応


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎で急変した場合の対応法は、以下のようなものがあります。

救急車の呼び出し

急変が起きた場合は、すぐに救急車を呼び出すことが必要です。

人工呼吸や酸素投与

呼吸が困難な場合は、人工呼吸や酸素投与を行います。

抗生物質の投与

誤嚥性肺炎の原因菌によっては、抗生物質の投与が必要となります。

症状に応じた治療

症状や病態に応じて、適切な治療を行います。
重症の場合には、集中治療室での治療が必要となることがあります。

 

 

誤嚥性肺炎の治療について


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎の治療には、以下のような方法があります。

抗生物質の投与

誤嚥性肺炎の原因菌によっては、抗生物質の投与が必要となります。

気道確保・酸素投与

呼吸が困難な場合には、人工呼吸や酸素投与、気管挿管などによって気道を確保します。

栄養補給

誤嚥性肺炎治療中、再度誤嚥性肺炎を起こす可能性が高いので、経口摂取は控えて頂くことが大半です。
ですから、点滴栄養や鼻からの栄養補給(経鼻栄養)・胃から直接の栄養補給(経腸栄養)が必要となることがあります。

リハビリテーション

嚥下機能の評価や運動療法などによって、誤嚥性肺炎の再発防止や回復を促します。

 

関連記事:【高齢者に多い骨折】骨粗しょう症とは?薬を飲みたくない人向けの予防法や治療法はある?

 

誤嚥性肺炎は治るのか


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は治ることがほとんどですが、患者の状態や治療の遅れによっては、合併症や死亡することもあります。

 

高齢者や基礎疾患を持つ人、免疫力の低下している人は、治療が困難となることがあります。

 

また、誤嚥性肺炎を引き起こす方は元々嚥下機能が低下していることが多いため、今後も繰り返し引き起こすことが非常に多いです。

 

つまり、一時的には治療により回復しますが、根本的な原因を解決させることは難しいことが多いということです。

 

そのため、予防が重要であり、定期的な健康診断や医療機関の受診が必要です。

 

誤嚥性肺炎を発症した場合は、早期の治療が重要になります。

 

 

高齢者が誤嚥性肺炎にならないための予防対策


誤嚥性肺炎

高齢者が誤嚥性肺炎にならないためには、以下の予防対策が有効です。

 

これらの予防対策を実践することで、高齢者の誤嚥性肺炎発症リスクを低減することができます。

嚥下機能の評価

高齢者は嚥下機能が低下することが多いため、定期的に嚥下機能の評価を受けることが大切です。

栄養バランスの良い食事

栄養バランスの良い食事を心がけ、口内や歯の清掃にも注意しましょう。

嚥下のサポート

食事中には、胸やけ、吐き気、喉の痛み、痰の増加などの症状がある場合には、医師に相談して嚥下のサポートを受けましょう。

適切な姿勢

食事中には、適切な姿勢を保つことが大切です。

横になっていたり、首を伸ばしすぎたりしないようにしましょう。

口腔ケア

口腔内の清潔を保ち、口腔ケアを行うことも予防対策の一つです。

運動

適度な運動を行い、筋力を維持することも誤嚥性肺炎予防に効果的です。

 

関連記事:高血圧の原因になりやすい食事や食べてはいけないものとは?

 

西春内科在宅クリニックができる対応

西春内科・在宅クリニックでは、在宅診療を行っており、誤嚥性肺炎の患者様のご対応をさせて頂くことが非常に多いです。

 

上記の治療をご自宅で行うことも可能です。

 

また、誤嚥性肺炎を引き起こさないよう予防する飲み込みのリハビリテーションや食事指導も、他の医療機関と協力し行っております。

 

飲み込みに不安があるご家族様がいらっしゃったり、誤嚥性肺炎で複数回の入院歴・治療礫のある方は、是非いつでもご相談下さい。




まとめ

高齢化社会となり、ますます一般的となっている誤嚥性肺炎

 

日本の死亡原因の第3位になっていることからも分かる通り、軽症〜死亡に至るまでの重症、様々な状態となります。

 

治療は可能で大半の方が退院・回復されますが、一度誤嚥性肺炎を引き起こすと体力は低下します。

 

最も大切なのは予防ですから、少しでも飲み込みに不安があれば、積極的に医療機関を受診してくださいね。

新型コロナの味覚障害はいつからいつまで?治るまでの期間や治し方を解説

コロナ味覚障害
日本での新型コロナウイルス感染者の中で味覚障害の発生数は、過去の全国調査で年間約24万人と報告されています。

 

決して少ない人数ではなく、味覚障害は誰にでも生じる可能性のある症状です。

 

新型コロナウイルス感染症に罹患した後、ほとんどの方は時間とともに症状が改善します。

 

しかし、後遺症として味覚障害になってしまう人が存在しています。

 

新型コロナウイルス感染症にかかると回復した後にも後遺症として、以下の症状などが見受けられる場合もあります。

  • 微熱・発熱
  • 呼吸困難
  • 倦怠感
  • 脱毛
  • 集中力の低下
  • 精神症状

厚生労働省が改訂した後遺症についての診療の手引きによれば、日本で新型コロナウイルスの代表的な後遺症として以下の症状を含む約20種類の症状が挙げられています。

  • 疲労感・倦怠感
  • 関節痛
  • 嗅覚障害
  • 味覚障害
  • 睡眠障害


後遺症に関して現時点でも不明なことが多く、国内外を含めてさまざまな調査が行われている段階です。

 

今回は、新型コロナウイルス感染症の後遺症である味覚障害や嗅覚障害に関する発症原因や治療方法などについて解説していきます。



新型コロナによる味覚障害の原因


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症や、その後遺症の特徴的な症状として話題になった嗅覚障害は、「嗅細胞」と呼ばれるにおいを感じる細胞がダメージを受けることによって出現することが段々とわかってきました。

 

新型コロナウイルスは、細胞の表面にあるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体という細胞と結合して細胞内に入り込んで増殖します。

 

このACE2受容体は鼻の上皮細胞で多く発現しています。

 

また、このACE2受容体の発現は小児では少なく、年齢を重ねるにしたがって多くなることが報告されています。

 

味覚障害自体の症状は匂いの感覚が弱くなる、あるいは匂いをまったく感じなくなる嗅覚障害に伴う風味障害も同時に発生することによって出現する場合が多くあります。

 

関連記事:倦怠感・だるさが続くのは新型コロナ?後遺症や治療方法などを解説

 

味覚障害のセルフチェック


コロナ味覚障害

新型コロナ後遺症では、味覚障害がみられることがあります。

 

味覚障害とは味に対する感度が低下して、味を感じなくなる状態のことです。

 

特に30歳代以下の若年者に多いといわれています。

 

味覚障害には、以下のチェック項目のなかで1つでも該当すれば、味覚障害である可能性があります。

  • 味を感じない
  • 食べ物がおいしくない
  • 本来の味と違って感じる
  • 常に口の中が苦い
  • 甘みや酸味、塩味など特定の味が分からない
  • 調味料をいつもより多く使うようになった


軽度の嗅覚障害は自覚されにくいことから、客観的な嗅覚検査を行い嗅覚障害の早期診断につなげることが重要です。

 

「簡易嗅覚確認キット」では、嗅覚のみを刺激するニオイ物質を選択して、1キットで複数回利用できる検査手段となっています。

 

以下の症状など嗅覚異常を感じた場合は、ウイルス感染により嗅粘膜がダメージを受けている可能性が考えられます。

  • 急に匂いを感じなくなる
  • 何もないところで匂いがする
  • いつもと同じように匂いが感じられない

 

 

味覚障害はいつからいつまで?治るまでの期間は


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症での味覚障害自体は自然に回復することも多くあります。

 

症状を有する人の60〜80%は2週間以内に改善するとの報告が多く、決して治療を急ぐ必要はありません。

 

味覚障害が出る際には、以下のケースがあります。

  • 新型コロナ後遺症として病気になりはじめの時期から持続するケース
  • 発症直後から回復した後に新たに出現するケース


症状の程度は変化しやすくいったん症状が治まった後に再び症状が現れることもあります。

 

味覚障害や嗅覚障害が治るまでの期間については、症状の経過は個人差があり、一般的に感染後1か月程度で自然に治癒する例が多いと考えられています。

 

後遺症全般では、半数以上が5か月以内に症状の改善を自覚する一方で、1年以上後遺症が続くケースも見受けられます。

 

関連記事:コロナ後遺症による倦怠感の特徴は?受診の目安や対処法について解説

 

そもそも味覚障害とは?


コロナ味覚障害

味覚障害とは

味に対する感度が鈍くなり、味を感じなくなったり、味が分かりづらくなったりする症状全般を「味覚障害」と呼んでいます。

 

味覚障害を発症する人の数は、高齢化やストレスを感じやすい社会のなかで増加傾向を示しています。

 

通常、口に入れた食べ物の味を脳に伝達する「味蕾(みらい)(*1)」という味覚受容器の数が減少すると、味覚が減退して、味覚障害を生じます。

 

味覚異常の原因のうち、ほとんどが味蕾の減少によるものです。

 

しかし、脳腫瘍や外傷などが原因で神経に異常が生じて味が分からなくなる、神経性の味覚障害も存在します。

 

味覚障害の症状は「味覚低下」と「異味覚」の大きく2種類に分けられています。

 

味覚には以下の5種類が存在しています。

 

  • 甘味
  • 酸味
  • 塩味
  • 苦味
  • うま味

 

味覚低下とは、これらの5つの味覚が減退したり、全く感じなくなったりする症状のことです。

 

稀にある特定の味だけを感じなくなることもありますが、ほとんどの例では5つの味覚全てにおいて感度が低下すると言われています。

 

異味覚とは、本来は感じるはずのない味を感じる症状を指しています。

 

例えば口の中で常に渋味が感じられるといった症状が認められます。


味蕾(みらい)(*1)=味細胞の集まりで、甘味・苦味・塩味・酸味などを感じることができる


味覚障害の原因

味覚障害を引き起こす原因について、未だ解明されていない点も多いです。

 

特定の原因だけでなく、複雑な要因が影響し合っている例もあると考えられています。

 

現時点で判明している代表的な原因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 加齢
  • 栄養不足
  • 薬の副作用
  • 慢性的な病気


特に、加齢に伴って味覚障害が多くみられるといわれています。

 

高齢者では加齢によって味蕾の数が減少し、味蕾が味を感じる機能自体も年齢を重ねるごとに低下してしまうのです。

 

そのため、高齢者では味覚障害を生じやすい傾向にあります。

 

若い世代でも、ストレスや偏食などのさまざまな要因によって、味覚障害を起こす場合があります。

味蕾の減少を予防するには

味蕾の新陳代謝に必要不可欠なのが、「亜鉛」という栄養素です。

 

食事から亜鉛の摂取量が不足すると、味蕾に機能低下が生じて味覚に異常が出現する場合があります。

 

亜鉛以外にも、鉄分の摂取不足で鉄欠乏性貧血の状態になると、舌の表面が赤くつるつるになり、味覚障害が起こる場合もあると言われています。

 

さらに、鉄の吸収には「ビタミン」が関連しています。

 

亜鉛や鉄だけでなく、ビタミン不足にも注意することが必要です。

 

ビタミンの中でも「ビタミンB12」の摂取が不足すると、舌の粘膜に異常を生じて味覚障害の原因になることがあります。

 

ビタミンB12以外にも、ビタミンB2の摂取不足によって、口内炎や舌炎といった症状が引き起こされることで味を感じにくくなる場合もあります。

病気の薬の副作用や病気自体が原因になることも

以下の病気などの薬の副作用でも味覚障害を生じることもあります。

 

しかし、多くの場合には服薬の中止と共に徐々に味覚が改善します。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 関節リウマチ
  • パーキンソン病
  • 消化性潰瘍


その他、がんや中耳炎、精神疾患などの病気そのものが原因で味覚障害が生じる場合もあります。

 

特に心身症、神経症、うつなどが関連している心因性の味覚障害については、60代の女性に圧倒的に多く発症するといわれています。

 

新型コロナウイルス後遺症以外での嗅覚障害の原因として最も多いのは慢性副鼻腔炎です。

 

慢性副鼻腔炎は、鼻汁が漏出して鼻づまりを引き起こすなどの慢性的な症状が12週間以上に渡ってなかなか改善しない状態を指しています。

 

この病気は、風邪症状に関連して細菌感染をベースにして急性副鼻腔炎の状態から続発することが知られています。

 

成人では鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)(*2)、小児ではアデノイド肥大(*3)なども発症のリスク因子と捉えられています。


鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)(*2)=鼻中隔が強く曲がっているために、いつも鼻がつまったり、鼻出血が多くなったり、口呼吸やいびきなどの症状

アデノイド肥大(*3)=鼻の突き当たりの部分であり、鼻からのどに移行する部分でもある上咽頭にあるリンパ組織のかたまりをアデノイドいい、このアデノイドが色々な原因で大きくなり、鼻や耳に様々な症状を引き起こすこと


 

 

亜鉛が味覚障害に効果がある?


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症の後遺症としての味覚障害では亜鉛を摂取することで有効性があるかどうかはケースバイケースです。

 

亜鉛不足での味覚障害と診断された場合には、亜鉛を含む薬が処方されるケースが多くなっています。

 

栄養不足が原因の味覚障害では、不足している栄養素を補給することで、すぐに症状の改善がみられるケースもあります。

 

亜鉛の内服薬には、飲み合わせに注意が必要な薬もあります。

 

市販薬などを併用する場合は、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。

亜鉛を多く摂取できる食べ物は?

亜鉛は、以下の食材などに多く含まれています。

  • 生かき
  • 煮干し
  • しらす
  • かつお節
  • ほたて
  • うなぎ蒲焼き
  • 豚レバー
  • 鶏肉
  • 枝豆
  • たけのこ
  • ごぼう
  • 納豆
  • あずき
  • そば
  • 牛乳
  • チーズ


亜鉛とは体内に存在する量が最も多いミネラルであり、生命維持に欠かせない役割を担っている栄養素のひとつです。

 

18歳以上の亜鉛の推奨摂取量は男性では10〜11mg、女性では8mg程度です。

 

厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、亜鉛の平均摂取量は20歳以上の男性で9.2mg、女性で7.7mgになります。

 

そのことから、男女共に推奨されている摂取量よりも実際の摂取量が下回っていることがわかります。

 

亜鉛は主に骨格筋・皮膚・肝臓・膵臓・前立腺・脳・腎臓などの臓器に存在しています。

 

約300種類以上の酵素の構成要素として重要な働きを担っている必須ミネラルの1つです。

 

人の身体は基本的には亜鉛を作り出すことができませんので、普段の食事やサプリメントなどから亜鉛を摂取する必要があります。

 

味覚障害予防のためには、日々の食生活が重要です。

 

普段の食生活で心がけたいことは、以下などが挙げられます。

  • 栄養バランスよく亜鉛や鉄分が多く含まれる食品を積極的に摂取する
  • たんぱく質やビタミンを同時に摂取して鉄分の吸収率を上げる

 

関連記事:動悸や息切れが治らない|原因はコロナの後遺症?ストレス?対処方法について解説

 

漢方による味覚障害の治し方


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症の後遺症、あるいは原因が特定できない味覚・嗅覚障害に対しては、漢方薬の使用が検討されることもあります。

 

漢方薬のなかでも、特に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) という漢方薬が味覚・嗅覚障害の症状に対して有効だということがわかってきています。

 

過去の調査では、風邪症状後に特に嗅覚障害を訴える患者さんに当帰芍薬散を服用してもらったところ、3か月で3割以上の人に症状の改善がみられました。


同時に、1年の期間に漢方薬の服用を続けた場合は約8割が症状改善したという報告があります。

 

当帰芍薬散を服用した場合は、自然治癒の場合と比べて、特に嗅覚障害に対する高い治療効果が得られています。

 

さらに、通常嗅覚障害の治療で使用されるステロイド薬と比較しても、当帰芍薬散のほうが高い治療効果を示したとも言われています。

 

味覚障害や嗅覚障害が短期間で劇的に改善する治療法は、現状見つかっていません。

 

しかし、当帰芍薬散の服用を中心に効果的な治療を地道に続けるのが、症状改善に向けた一番の近道と考えられます。

 

その場合は、病院での治療とコロナ専門外来を受診されることをお勧めします。



西春内科在宅クリニックができる対応

味覚・嗅覚障害は通常、自然治癒するとされているため、休息を取ったり生活習慣を整えたりして過ごすことが大切です。

 

しかし、これらの症状が2週間以上続くなど気になる症状がある場合は、西春内科・在宅クリニックを始め、かかりつけ医や近隣の医療機関に相談してください。

 

西春内科・在宅クリニックでは、後遺症に悩む患者さんの症状をお伺いして後遺症が少しでも早く改善されるよう症状に合わせた治療や処置を行っています。

 

新型コロナウイルス感染症に関連した味覚・嗅覚障害が疑われる場合には、嗅覚刺激療法、漢方薬、ステロイド点鼻などの治療を組み合わせて対応します。

 

もし、ご家族や自身について気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。

 

また、当クリニックはオンライン診療も行っております。

 

ご自宅にいながら診察からお薬の処方まで受けることが出来ます。

 

 

まとめ


新型コロナウイルスは肺炎などの呼吸器感染症を発症するとともに味覚障害や嗅覚障害を認めるケースもちらほら見受けられています。

 

後遺症が起こるメカニズムがわかっても、長い間、味覚や嗅覚の異常に悩まされている人は、希望が持てなくなることもあるでしょう。

 

新型コロナウイルス感染症に感染していから、以下の気になる症状などがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 味を感じにくい
  • 変な味がする
  • 食べ物の味が以前と変わった
  • においを感じない
  • 変なにおいがする
  • 何をかいでも嫌なにおいがする


味覚障害や嗅覚障害を認める際には、新型コロナウイルスに感染して後遺症を患っている可能性も想定されます。

 

速やかに最寄りのクリニックや診療所を始めとする医療機関や相談窓口に足を運ぶことをお勧めします。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

参考文献

生労働省HP「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について」

eHealth clinic HP「新型コロナウイルス感染症の後遺症にある味覚障害の特徴とは? ~特に30歳代以下の方に多く発症している~」

アクセス

住所:〒481-0041 愛知県北名古屋市九之坪北浦31(メガネ赤札堂の真向かい)

グーグルマップ詳細はこちら >

電話

LINE友達追加

WEB予約

電話問い合わせ LINE友達登録 web予約