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咳喘息は喘息ではない?違いや症状のチェック項目をご紹介

咳喘息

みなさんは咳喘息と言う病気をご存じでしょうか。

咳喘息は、咳を唯一の症状として、それが2か月以上続く病気です。

今回は、そんな咳喘息と喘息との違いや、咳喘息を放置するリスクなどについて詳しく解説していきます。

最近なかなか咳が止まらないと感じている方は、是非記事を読んでいただき、必要に応じて最寄りの医療機関に相談してみて下さい。



咳喘息とは?


咳喘息

長い期間、咳がとまらないため病院に受診したら、咳喘息と言われた方もいらっしゃるかもしれません。

咳喘息とは、一般的に喘息(気管支喘息)と言われる疾患の一種なのです。

しかし、典型的な喘息のように、「ヒューヒュー」と言った笛のような呼吸音や呼吸困難感などの症状は伴わず、咳だけが唯一の症状である病気です。

ただ、咳喘息の約30パーセントで気管支喘息に移行すると言われており、早い段階から治療を行うことが推奨されてします。

どうして咳喘息を発症してしまうのでしょうか。

そのためには、まず私たちの呼吸について、大まかに理解しておかなければなりません。

まず、鼻や口から吸いこんだ空気は、気道と呼ばれる空気の通り道を経て、肺に送られます。

気道には、加温、加湿、クリーナーの役割が備わっており、最終的に肺の中が無菌状態になるように外敵から守ってくれています。

なぜなら、空気には酸素以外にも様々なものが混ざっているからです。

目に見えないウイルスや、ばい菌、ダニやほこり、その他のアレルギー物質などは、体内への侵入を防がなければなりません。

そういった異物を体内へ侵入させない仕組みが気道には備わっています。

そして、実際に体外へ追い出そうとするのが、咳の役割です。

咳は生体防御反応の一種なのです。

さて、咳喘息では、好酸球と言う炎症を引き起こす白血球の一種が、何らかの原因によって気道に集まってきてしまい、そこで炎症を起こしてしまいます。

気道に炎症が起きてしまうと、ちょっとした刺激で咳が出てしまうのです。

実際に、咳喘息のきっかけとなるのは、風邪をひいた時や、たばこの煙、またほこりやダニ、花粉、動物の毛などといったアレルギー物質を吸い込んだ時、その他にも過労やストレスと言った場合もあります。

▶アトピー咳嗽の原因はストレス?症状のチェック項目や治し方を紹介


咳喘息と喘息の違い


咳喘息

咳喘息と喘息は両方とも、気道に炎症が起こっている状態と言う点では一緒です。

しかし、炎症が起こった結果、生じる症状に差があります。

咳喘息炎症が起こった結果、気道の組織が敏感になってしまい、ちょっとした刺激で咳が出てしまう
喘息炎症が起こった結果、気道の筋肉などの組織がむくみ、空気の通り道が狭くなってしまう場合や、炎症によって痰が増えて空気の通り道の邪魔になってしまう場合


空気の通り道が狭くなっているので、笛などの楽器で経験があるように、狭いところを空気が通り抜けると「ヒューヒュー」と音がしますよね

それに、十分に空気が肺まで届かない、または体から空気を吐き出せないとなると、息苦しさを感じるようになります。

つまり、咳喘息だから軽症、喘息だから重症ということではないので(呼吸困難感が無い分、咳喘息の方が辛さを感じないかもしれませんが)注意が必要です。

また、咳喘息であっても、気道は狭くはなっていますが、炎症が繰り返されることによって、さらに気道が狭くなったり、痰が増えてきたりと、喘息と変わらない状態になっていく恐れもあります。

そのため、咳が続く場合は、一度最寄りの医療機関に相談するようにしてみましょう。



咳喘息を放置するリスク


咳喘息

咳喘息をほっておくと、どうなるのでしょうか。

自然に治る場合もあるのですが、統計上は適切に治療を受けないと30~40%の人が喘息に移行してしまうと言われています。

また、咳喘息の様に、咳が長引く病気達を「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼びます。

咳喘息以外にも慢性咳嗽の原因となる病気はあるため、自己判断はとても危険です。

咳が長引く場合は、最寄りの医療機関に相談するようにしてください。

尚、2年間適切に治療をすれば、喘息への移行を防げるという報告もあります。

▶高齢者に多い誤嚥性肺炎は治るのか|急変したときの対応法について

咳喘息かもしれない症状のチェック項目


咳喘息

診断に際しては、病歴や身体症状を確認した上で総合的に判断されます。

下記に咳喘息の診断基準を簡易的に示します。


① 喘鳴(ヒューヒューなどの呼吸音)を伴わない咳が8週間以上続く
② 気管支拡張薬が有効である
③ 気管支喘息にかかったことはない
④ 8週間以内に風邪などを引いていない(咳が出始めてからは風邪をひいていない)
⑤ 気道が過敏になっている
⑥ 咳を引き起こすアレルギー物質などに反応して咳がでる
⑦ 胸部レントゲンで異常はみつからない


※さらに簡略化して①②を満たせば咳喘息と診断されることがあります。

また、「からだケアナビ」にわかりやすいチェックシートがあったので、こちらも参考にしてみてください。


□咳が一旦出るとせき込んで止まらなくなる
□夜、横になるとせきこんで寝付きにくい
□夜中にせき込んで目が覚めることがある
□冷気、寒暖差でせき込む
□電車や人ごみの中でせき込む
□たばこの煙や強い香水が苦手
□風邪の後に激しい咳が続いた経験がある
□咳は激しいが息苦しさやゼイゼイと言う音はない
□子供のころ、小児喘息だった
□喉のイガイガを取り除こうと咳をした結果、せき込む


※上記の項目に3つ以上当てはまる場合は咳喘息の可能性があります。



咳喘息は自然治癒するの?


咳喘息

咳喘息は気道の炎症によって起こることは既に解説しました。

自然に炎症が改善することは勿論あるのですが、咳喘息は繰り返す可能性があります。

咳喘息、すなわち気道の炎症が繰り返されるとどうなるでしょうか。

例えば、皮膚の一部分を何度も火傷してしまったとしましょう。

 1回目は多少きれに治っても、何度も繰り返すと皮膚が硬くなったと言う話を耳にしたことはないでしょうか。

これはすべての細胞にいえることですが、炎症が起こって破壊、その後に修復といった過程が繰り返されると、細胞は完全に元に戻ることが難しくなり、伸縮性が失われ、固くなってしまうのです。

結果として、気道は本来の働きが出来にくくなり、より発作を起こしやすくなってしまう悪循環に陥りますし、咳喘息以外にも気道や肺の病気にかかってしまった際にも重症化してしまう原因になります。

自然治癒には期待しすぎることなく、適切に治療を行うことがとても大切です

▶高齢者がなりやすい肺炎の症状|急変したときの対応や治療について

咳喘息の治療について


咳喘息

診断と治療を兼ねて、気管支拡張薬を使用します。

咳喘息においては、吸入による気管支拡張薬により症状が良くなることが、診断に繋がります。

逆に言えば、気管支拡張薬を使ったのに改善が見られない場合は、他の病気を疑うことになります。

咳喘息は気道の炎症によって起こることは既に解説しました。

気管支拡張薬には炎症を抑える効果はありません。

咳喘息と診断された場合には、炎症が再び起こらないように、吸入ステロイド薬を継続していくことになります。

尚、2年間適切に治療をすれば、喘息への移行を防げるという報告があります。

▶乾燥で咳が止まらないのはなぜ?咳の特徴や悪化させないための方法を紹介

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、常勤医師にて、つらい咳症状に対して丁寧に診察を行い、必要に応じて検査を行い、治療に結び付けていきます。

クリニックには珍しい、CTを導入してるのでCT撮影など、より詳しい検査も可能となっています。

咳が止まらない等、お困りの症状ございましたらお気軽にご相談下さい。



まとめ


長引く咳は、咳喘息である可能性があります。

咳喘息は自然におさまる可能性もありますが、再発を繰り返すうちに喘息に移行してしまう恐れもあり、油断できない病気です。

適切に治療をすることで喘息への移行を防ぐこともできます。

是非、咳がとまらないと心配になった際には、最寄りの医療機関に相談するようにしてください。


参考文献

乾燥する季節は咳喘息にご用心 | 知っておきたい病気・医療 | からだケアナビ 

高齢者の運動はフレイル予防になる?おすすめの方法や1日の目安を紹介

高齢者運動

健康寿命とは寝たきりにならず、健康的に過ごせるまでの期間のことを言います。

高齢者にとって健康寿命を伸ばすためには健康的な食事だけではなく、運動が必要不可欠です。

運動をすることで筋力、心肺機能が向上し、運動機能だけでなく、認知機能の維持にも役立ちます。

この記事では高齢者にとって運動が必要な理由、運動量の目安、運動方法などについて詳しく解説していきます。

ぜひ最後までご覧になって参考にしてみてください。



高齢者にとって運動が必要な理由


高齢者運動

高齢者にとって、運動が必要な理由はいくつかあります。

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

生活習慣病の予防


生活習慣病とは高血圧や糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの不摂生や運動不足によって発症リスクが高まる病気全体のことを言います。

運動することによって、これらの病気を予防し、健康な身体を維持することができます。

フレイルの予防


フレイルとは、高齢者の虚弱状態を意味します。

運動をして運動能力を高めて、筋肉をつけることによってフレイルを予防することができます。

フレイルについて詳しく以下からご確認いただけます。

▶︎介護が必要になる原因で多いフレイル(高齢による衰弱)とはどんな状態なのか?

サルコペニアの予防


サルコペニアとは筋肉量が減少してしまっている状態を意味します。

運動によって筋肉を使うことで、筋肉量を維持、向上させ、サルコペニアを予防することが可能です。

サルコペニアについて詳しく以下からご確認いただけます。

▶︎【加齢による筋肉量の低下】サルコペニアとは?症状やフレイルとの違い、診断基準について

認知症の予防


運動によって認知症のリスクが軽減し、認知機能が改善する可能性があります。

認知症について詳しくは以下からご確認いただけます。

▶︎アルツハイマーと認知症の違いは?原因や初期症状、なりやすい人の特徴について

免疫力低下の予防


運動は免疫機能を向上させ、風邪を引きにくくする健康な身体を維持することに有効です。

▶︎免疫力を高める方法や食べ物について|低下してしまう原因も解説

運動が必要かもしれない高齢者の特徴


高齢者運動

運動が必要かもしれない高齢者の方の特徴について解説していきます。

当てはまる方は、早めに運動療法を取り入れることを検討してみてください。


☑以前よりも歩くスピードが遅くなった
☑以前よりも転びやすくなった
☑最近疲れやすさを感じる
☑立ち上がるのが難しいと感じる
☑長い距離を歩くことができない
☑最近体重が増加してきた

 
これらの特徴がある方は、日常生活に運動を取り入れることが効果的です。



健康寿命を伸ばすために必要な運動とは


高齢者運動

高齢者の健康寿命を伸ばすために必要な運動はストレッチや体操、有酸素運動、筋力トレーニングなどです。

それぞれの具体的な方法は、後の【おすすめ運動法】にて詳しく解説していきます。



高齢者にとっての1日の運動量の目安は?


高齢者運動

高齢者にとっての1日の運動量の目安について厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」に示された基準をみてみましょう。

30分以上の運動を週2日以上行う


厚生労働省の基準では、日本人の全世代に向けた運動量の目安を30分以上・週2日以上としています。

筋力や持久力を向上するため、高齢者でもこのペースでの運動が必要とされるでしょう。

具体的に取り組みやすい回数で運動を始め、30分以上・週2回以上を目指してください。

生活活動も含めて毎日40分以上動く


65歳以上では、「横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分以上行う」ことが基準になっています。

これは、寝ている時間が長くなることで身体の代謝が落ちてしまうので、できるだけ活動して、生活習慣病や生活機能の低下を防ぐことを目的としています。

運動以外にも、洗濯や掃除、買い物での移動など、日常生活での活動を意識してみましょう。

1日10分動く時間を増やす


運動習慣がない人にとって、いきなり30分以上運動をすることはなかなか難しいと考えられます。

その場合、まずは1日10分程度もいいので、動く時間を増やすことがおすすめです。

▶︎高齢者の足のむくみの原因とは|放っておくと危険な理由も解説

高齢者向け:おすすめの運動方法


高齢者運動

有酸素運動


始めやすい運動として有酸素運動があります。

高齢者の方では膝に負担が少ないウォーキングが特におすすめです。

ウォーキング時は、歩幅をいつもより大きくしてややきついと感じる程度のスピードで、背筋と膝をしっかりと伸ばし、腕をしっかり振って歩くことを意識してみてください。

週に2回以上、1回30分以上は運動する習慣をつけるように意識してみましょう。

有酸素運動はウォーキングの他にも、より膝に負担がすくない水中歩行、サイクリングなどもおすすめです。

ストレッチ、体操


ストレッチや体操は、室内でも手軽にできます。

体が硬くなってしまうことで、痛みに繋がったり、運動機能も低下してしまいます。

テレビを見ながら、リビングでゆっくりしているときなど、色々なタイミングで取り入れてみましょう。

筋力トレーニング


筋肉は使えば使うほど、大きく強くなります。

筋力がつくことで、転びにくくなり、歩行もしやすくなります。

転倒予防にぜひ取り入れてください。

筋力トレーニングはかかとの上げ下げ、スクワット、ももあげ、腕立て伏せなど、自分の体重を使って行う方法がおすすめです。

▶︎健康寿命を伸ばすためのポイントや気をつけるべき病気や疾患とは

西春内科在宅クリニックができる対応


基本的には運動療法はご自宅やリハビリ施設、ジムなど個人で行うことが大切です。

西春内科在宅クリニックでは、生活習慣病がある方や、転びやすくなっている高齢者の方に対して運動療法の必要性、内容について具体的に指導することが可能です。

わからないこと、聞きたいことがありましたらいつでもお気軽にご相談ください。



まとめ


健康寿命とは寝たきりにならず、健康的に過ごせるまでの期間
のことを言います。

高齢者にとって健康寿命を伸ばすためには運動を行うことが必要です。

この記事で紹介した運動を取り入れて、健康的な身体を目指してください。

ご不明な点があればいつでもお気軽にご相談ください。

参考文献
‣健康長寿ネット. 健康長寿を実現する運動
‣高齢者が運動を行う必要性と効果は?健康長寿を実現させるためのおすすめの運動など
‣厚生労働省.「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」について

アトピー咳嗽の原因はストレス?症状のチェック項目や治し方を紹介

アトピー咳嗽

咳は多くの人々が経験するとても一般的な症状の一つです。


しかし、その背後にはさまざまな原因が隠れていることがあります。

特に、咳が長引き、特定の時期や状況で症状が顕著になる場合、単なる風邪や環境の変化だけでなく、アトピー咳嗽の可能性も考える必要が出てきます。

アトピー咳嗽(がいそう)とは、アトピー性皮膚炎やアトピー性鼻炎と同じく、アトピーの一部として分類される疾患です。

主な症状は咳であり、特に夜間や早朝に症状が増強することが多いとされています。

さらに、アトピー咳嗽の特徴として、咳が数週間以上にわたり持続することが指摘されています。

この症状は一般的な風邪の咳や季節性のアレルギーによる咳とは異なります。

アトピー咳嗽は、体内の免疫反応や炎症が関与していると考えられており、特定の刺激やストレスが症状を悪化させることがあります。

また、このアトピー咳嗽は、一般的な認知度はまだ高くないかもしれませんが、適切な知識や対応があれば、日常生活の質を大きく向上させることが可能です。

この記事では、アトピー咳嗽の詳しい原因や症状、そしてその対処法について詳しく解説していきます。



アトピー咳嗽の原因


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、その名称からも伺える通り、アトピー性の疾患の一つです。

しかし、アトピー咳嗽の特性や原因について、詳しく知っている人はまだ少ないかもしれません。

以下、この疾患の原因や簡単な概要について解説します。

疾患の概要


アトピー咳嗽は、アトピー性の免疫反応が原因となる、気道の炎症を主症状とする疾患です。

一般的にアトピーとは、体が過敏に反応することで、炎症や症状が生じる状態を指します。

アトピー咳嗽では、この過敏反応が気道において生じ、持続的な咳という症状が現れます。

ストレスとの関係


ストレスはアトピー咳嗽の原因や悪化要因の一つとして知られています。

ストレスが加わることで、体の免疫バランスが乱れることがあり、これがアトピー性の反応を引き起こす要因となり得ます。

特に、持続的なストレスや過度な緊張は、気道の炎症を引き起こす可能性が高まります。

日常生活の中でのストレス管理は、アトピー咳嗽の予防や治療において非常に重要な要素となります。

その他の原因


アトピー咳嗽の原因は、ストレスのみならず、様々な要因が絡み合っています。

アトピー咳嗽では咳が出やすくなっており、通常では反応しないような様々な環境要因(タバコの煙や会話など)や遺伝、乾燥した空気や冷たい空気への暴露、そして一部の食物や薬物も引き金となって頑固な咳を引き起こします。

 

アトピー咳嗽は、多様な原因が絡み合った結果、気道の過敏反応としての咳が主な症状として現れる疾患です。

ストレスもその重要な要因の一つとして位置づけられ、日常生活の中での適切なストレス管理が病状のコントロールに寄与すると考えられます。

また多様な原因で増悪することもあり、アトピー咳嗽の原因や概要を理解することは、その治療や予防、そして日常生活の質の向上に繋がります。

▶︎乾燥で咳が止まらないのはなぜ?咳の特徴や悪化させないための方法を紹介

アトピー咳嗽かもしれない症状チェック項目


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、一見すると通常の風邪や他の疾患に起因する咳と区別が難しいことがあります。

しかし、アトピー咳嗽には特有の症状や咳の特徴があります。

以下に、アトピー咳嗽である可能性が高まる症状のチェック項目の特徴を一つづつ解説します。

持続するドライな咳


アトピー咳嗽の最も一般的な特徴は、持続する乾いた咳です。

この咳は、痰が伴わないことが多いのですが、症状が進行すると痰がからむこともあります。

痰の特徴


アトピー咳嗽の場合、痰が絡むときは、その痰は粘性が高く、透明または白色のことが多いです。

このような痰の特徴は、気道の炎症や過敏反応の結果として現れるものです。

夜間や早朝の咳


夜間や早朝、特に寝起きの時間帯に咳が強くなることもアトピー咳嗽の典型的な症状の一つです。

これは、横になることで気道の状態が変わり、炎症が強まることが原因とされています。

特定の刺激による咳の悪化


強い香りや冷たい空気、乾燥した環境、またはタバコの煙など特定のアレルゲンに触れた際に咳が悪化することがあります。

これは、アトピーの過敏反応が気道で生じていることを示唆しています。

声のかすれや喉の痒み


咳だけでなく、声のかすれや喉の痒みもアトピー咳嗽の症状として現れることがあります。

これは、気道の炎症が声帯や喉の周辺にも影響を及ぼしていることを示しています。

過去のアトピー歴


アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎など、他のアトピー性疾患の既往歴がある場合、アトピー咳嗽のリスクが高まることが知られています。

効果的な治療の反応


アトピー咳嗽の疑いがある場合、アトピー性の炎症を抑制する治療が効果的であることが多いです。

例えば、ステロイド薬の吸入などが効果的である場合、アトピー咳嗽である可能性が高まります。


以上のチェック項目を通じて、自分の咳がアトピー咳嗽に起因するものなのか、一般的な咳とは異なる特性や症状があるのかを把握することができます。

もし複数の項目に該当する症状がある場合には、早めに専門医の診断を受けることをおすすめします。



アトピー咳嗽はうつる可能性があるの?


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽についての理解が深まってくると、多くの人々が次に抱く疑問は「この疾患は他人にうつるのか?」ということでしょう。

ここでは、アトピー咳嗽が他人に感染する可能性について、科学的な背景とともに詳しく解説します。

アトピー咳嗽の本質


まず基本的に理解すべきことは、アトピー咳嗽は感染性の疾患ではないということです。

アトピーは体の免疫システムが過敏に反応することで起こる疾患であり、特定のウイルスや細菌によって引き起こされるものではありません。

感染とアトピーの違い


一般的な感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が体に侵入することで症状が現れます。

これに対して、アトピー性の疾患は、外部の刺激やアレルゲンに対する体の過敏な反応が原因となっています。

したがって、他人からの感染によってアトピー咳嗽が発症することは考えられません。

遺伝的要因


アトピー性疾患の背後には遺伝的な要因が関与していることが知られています。

つまり、家族内でアトピー性疾患を持つ人がいると、同じ家族内でアトピーが発症するリスクは高まるとされています。

これは「感染」ではなく、遺伝的な素因の結果です。

環境要因の影響


アトピー咳嗽の発症には、遺伝的要因以外にも環境的な要因が影響していることが指摘されています。

一定のアレルゲンにさらされること、生活環境の変化、ストレスなどがアトピーの症状を引き起こすトリガーとなることがあります。

他の疾患との混同


アトピー咳嗽の症状は、他の感染症の症状と似ていることがあります。

しかし、これは症状の類似性に過ぎず、アトピー咳嗽自体が感染するわけではありません。

上記のことを考慮し、疾患の理解を深め、正確な情報を得ることが重要です。

また、アトピー咳嗽を疑う症状が現れた場合には、早めに専門医の診断を受けることをおすすめします。

▶︎免疫力を高める方法や食べ物について|低下してしまう原因も解説

咳喘息やコロナとの違いは?


アトピー咳嗽

咳や呼吸に関する症状をもたらす疾患や状態は多岐にわたります。

特にアトピー咳嗽、咳喘息、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、一般の人々の間でも大きな関心を集めています。

それぞれの疾患や状態が持つ特徴や違いを知ることで、適切な対応や治療方法を選択する手助けとなります。

アトピー咳嗽

原因
アトピー性疾患の一つで、体の免疫システムが過敏に反応し、炎症を引き起こす。

主な症状や特徴
長期間持続する乾いた咳、咽頭違和感、夜間から明け方の増悪、会話や喫煙、冷気など特定の状況で増悪しやすい、咳止めや気管支拡張薬が効かない、など

感染性
アトピー咳嗽自体は感染しない。


咳喘息

原因
喘息の一形態であり、気道が炎症を起こし狭くなることによって引き起こされる。

主な症状
咳が主な症状で、夜間や早朝に悪化することが多い。喘息の典型的な「ゼーゼー」する呼吸音は少ない。女性に多い傾向

感染
咳喘息自体は感染しない。


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

原因
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症。

主な症状
発熱、乾いた咳、息切れ、筋肉痛、疲労感など。肺炎を引き起こすと重症化に至るケースもある。
味覚や嗅覚障害をもたらすこともある。

感染
他人に感染する可能性がある。
感染経路は主に飛沫感染。


疾患の違いのポイント

発症のメカニズム
アトピー咳嗽や咳喘息は、体内の免疫システムや気道の炎症反応が関与するが、COVID-19はウイルス感染によるもの。

感染性
アトピー咳嗽や咳喘息は感染症ではないため、他人に感染するリスクはない。
一方、COVID-19は感染症であるため、飛沫を介して他人に感染する可能性がある。

治療方法
アトピー咳嗽や咳喘息の治療は、主に症状を和らげるための薬や、ステロイド薬、原因となるアレルギー物質を避けることなどが中心となる。
COVID-19の場合は、ウイルスに対する薬や症状を和らげる治療が一般的に行われる。


咳や呼吸に関する症状が現れたとき、それが何によるものか正確に判断することは難しいことが多いです。

しかし、その症状の背後にある疾患や状態を理解することで、適切な診断や治療を受けることができます。

何か症状が気になる場合は、必ず医師に相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。


アトピー咳嗽は自然治癒する?


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽の患者さんやそのご家族からよく受ける質問の一つに、「アトピー咳嗽は自然治癒するのか?」というものがあります。

この質問の背景には、患者さんたちの強い願望があるのは間違いありません。

誰しも、薬や治療を行わずに自然に治ることを望むものです。

では、アトピー咳嗽は実際に自然治癒するのでしょうか。

アトピー咳嗽の特徴と成り立ち


アトピー咳嗽は、体の免疫反応が過敏になることで発症する疾患の一つです。

乾いた咳が長期にわたり持続し、夜間や明け方に増悪することが主な症状として現れることが多いです。

自然治癒する可能性


一般的に、ある疾患や症状が自然治癒するかどうかは、その疾患の原因や成り立ち、患者の体質や生活環境など多くの要因が関係してきます。

アトピー咳嗽についても、完全に自然治癒するかは一概には言えません。

しかし、以下のようなケースでは自然治癒の可能性が考えられます。

初期段階や軽度の症状


初期段階や軽度の症状の場合、体の自然な免疫反応や生活習慣の改善、ストレスの軽減などで症状が改善されることがあります。

原因となる刺激物の除去


アトピー咳嗽の原因となる刺激物(例: アレルギー物質、タバコ、寒暖差など)を適切に避けることで、症状が改善されることが期待されます。

成長とともに


お子さんの場合、成長とともに体質が変わることでアレルゲンに対する過敏性が変化しアトピー咳嗽の症状が改善されることもあります。

自然治癒を待つリスク


アトピー咳嗽の症状が強い場合や非常に長期間続く場合、自然治癒を待つだけではなく、適切な治療を受けることが重要です。

長期間症状が放置されると、日常生活に影響を及ぼすだけでなく、他の疾患の症状に気付かなかったり、他の疾患を起こすリスクも高まることが考えられます。

アトピー咳嗽が自然治癒するかどうかは、個人の体質や症状の程度、生活環境の変化など多くの要因によって異なります。

自然治癒を期待することはできますが、症状が長期化している場合には適切な診断や治療を受けることで、より早く症状の改善を目指すことが最善の策と言えるでしょう。

▶︎新型コロナの後遺症の一覧と症状が長引くときの対処法


アトピー咳嗽の治し方


アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、その名の通りアトピー性の反応が原因となる咳の一種です。

こちらでは、アトピー咳嗽の治し方として、市販薬からクリニックでの治療方法までを詳しく解説します。

市販薬による対処法


アレグラ、アレジオンなどアトピー症状を和らげる抗アレルギー薬を内服することで過剰なアレルギー反応を抑制し、症状緩和に繋がることが期待できます。

アトピー咳嗽の症状が軽度の場合には、このような市販薬での対処も一つの選択肢です。

ただし、効果の現れ方は個人差があるため、内服していても症状が続く場合には医師の診断を受けることが推奨されます。

また、薬局では様々な抗アレルギー薬が市販されています。

効果や内服後の眠気の程度などそれぞれの薬の特徴や効果、副作用などを理解した上で選択することが重要です。

分からない場合には医師や薬剤師に相談してみましょう。

クリニックでの治療方法

アレルギー検査


アトピー咳嗽の原因となるアレルギー物質を特定するための検査を受けることが可能です。
原因となる物質を特定することで、それを避ける生活習慣の指導や、特定の治療法の選択が可能となります。

吸入ステロイド薬


重度のアトピー咳嗽の場合、吸入ステロイドの使用が推奨されることがあります。
炎症を抑制する効果があり、咳の症状を和らげることが期待されます。

免疫療法


アレルギーの原因となる物質に対する体の反応を緩和させる治療法。
アトピー咳嗽の原因となるアレルギー物質を微量から徐々に増やして接種し、体の過敏な反応を抑制することを目的としています。
長期にわたって治療が必要なケースもあるため、適応や注意点など医療機関でしっかりと説明を受けるようにしましょう。

生活習慣の指導


アレルギー物質を避けるための生活習慣の指導や、ストレスを軽減するためのアドバイスなどが含まれます。
日常生活の中での工夫や改善点を見つけ出すことで、症状の軽減や再発の予防に繋がります。

アトピー咳嗽の治し方は、症状の重度や個人の体質、生活環境などに応じて異なります。

市販薬での対処から、専門のクリニックでの治療まで、様々な選択肢がありますので、自身の症状や状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

症状が続く場合や重度の場合には、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

西春内科在宅クリニックができる対応

 

アトピー咳嗽は、一般的な風邪の咳とは異なり、アトピー性の反応が原因となる特殊な咳です。

西春内科・在宅クリニックでは、手寧な問診・診察を行い、原因特定のための検査を行います。

アレルギー性の反応だった場合、吸入ステロイドの処方やアレルギー薬の投与など、具体的な治療方法を実施

生活環境などをお伺いし、掃除の方法や、ペットとのかかわり方の指導など必要に応じた指導を行います。

また、当院ではアレルギーの原因物質に少しずつ身体を慣らしていく舌下免疫療法を行うことが出来ます。

咳が長く続いている場合原因が様々ですので、まずはお気軽にご相談ください。

舌下免疫療法について詳しくは以下をご確認下さい。

花粉症に効く舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)って?費用・期間・効果は?




まとめ

 

アトピー咳嗽という疾患は、多くの人々の生活の中で注目されるべきトピックとなっています。

本記事を通じて、少しでも理解の手助けになったのであれば幸いです。

アトピー咳嗽は、特有の症状や原因を持つ疾患ですが、最も注目すべきはその原因と治療法の多様性です。

ストレスや環境要因がその発症に関与しているとされ、特に現代社会においては、日常の生活の中での対応が求められます。

痰がからむ症状や持続的な咳は、我々の日常における健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。

一方で、販薬やクリニックでの治療、生活習慣の見直しといった多岐にわたる治療法が存在します。

市販薬を使用する際は、効果・副作用を理解して使用することが大切です。

また、市販薬を使用していても症状が長引く場合は医療機関に相談しましょう。

参考文献

‣Irwin RS, Baumann MH, Bolser DC, et al. Diagnosis and management of cough executive summary: ACCP evidence-based clinical practice guidelines. Chest. 2006;129(1_suppl):1S-23S.
‣Fujimura M, Ogawa H, Nishizawa Y, Nishi K. Comparison of atopic cough with cough variant asthma: is atopic cough a precursor of asthma? Thorax. 2003;58(1):14-18.
‣Fujimura M. Pathophysiology, diagnosis and treatment of cough in atopic bronchial asthma and atopic cough. Allergology International. 2008;57(3):265-270.

乾燥で咳が止まらないのはなぜ?咳の特徴や悪化させないための方法を紹介

乾燥咳

秋も次第に深まり、ずいぶんと空気が乾燥するようになってきました。

乾燥すると咳がでて困ると言う方もいらっしゃるかと思います。

今回はそんな空気の乾燥と、咳について解説を行いたいと思います。



乾燥で咳が止まらない原因


乾燥咳

空気が乾燥すると、喉ではいったいどの様な変化が起こっているのでしょうか。

まず、人間が呼吸によって空気を取り込むのは、空気中に溶けている酸素を体内に取り込むためです。

酸素は体内に取り込まれると、食事から吸収した栄養分子と酸化反応を起こし、人間の細胞が活動するエネルギーを生み出します。

エネルギーを取り出すと、二酸化炭素が生れますが、それをさらに肺を通じて体外へ排出するまでの過程を、呼吸と呼んでいます。

鼻や口から取り込んだ空気が肺に届くまでを気道と呼びます。

気道には、加温、加湿、クリーナーの役割が備わっており、肺の中が無菌状態になるように保っています。

空気には当然酸素以外にも様々なものが混ざっています。

目に見えないウイルスやばい菌、ダニやほこり、その他のアレルギー物質などは、体内への侵入を防がなければなりません。

そういった異物を体内へ侵入させない、体外へ追い出そうとするのが、咳の役割です。

咳は生体防御反応の一種になります。

また、咳には気道にたまった痰を、体外に排出する役割もあります。

気道の表面には、細かい毛と、粘液が存在しており、潤った状態を維持して保護しています。

この粘液が、ウイルスやばい菌、ほこりなどをからめとったものが痰となり、細かい毛によって運ばれていき、最後は咳によって体外へ排出される仕組みになっています。

しかし、空気が乾燥するとそれらの防御機能が低下してしまい、気道は炎症や感染症を起こしやすくなってしまい、咳や痰が出やすくなってしまうのです。

▶︎免疫力を高める方法や食べ物について|低下してしまう原因も解説

乾燥による咳の特徴とは


乾燥咳

咳空気の乾燥によって咳がでる、場合によっては痰が出るという事は、気道の防御機能が低下して、すでに何らかの炎症や感染症に罹患してしまった可能性が高いと言えます。

また、病的な咳は、続いている期間によって3種類に分けられます。

① 急性咳そう(3週間未満の咳)
ウイルスやばい菌などの感染症、気管支炎などが該当します。乾燥によって生じた咳であれば、おおむね急性咳そうにあたります。

② 遅延性咳そう(3週間以上8週間未満の咳)
急性咳そうの原因となった感染症が治ったあとに、咳だけが残るケースがほとんどです。

③ 慢性咳そう(8週間以上続く咳)
咳喘息、副鼻腔炎、後鼻漏、逆流性食道炎、心因性や薬剤性など



咳喘息かもしれないチェック項目


乾燥咳

長い期間咳がとまらないため病院に受診したら、咳喘息と言われた方もいらっしゃるかもしれません。

咳喘息とは、一般的に喘息(気管支喘息)と言われる疾患の一種なのですが、典型的な喘息のように、「ヒューヒュー」と言った笛のような呼吸音や呼吸困難感などの症状は伴わず、咳だけが唯一の症状である病気です。

ただ、咳喘息の約30パーセントで気管支喘息に移行すると言われており、早い段階から治療を行うことが推奨されてします。

診断に際しては、病歴や身体症状を確認した上で総合的に判断されますが、下記に咳喘息の診断基準を簡易的に示します。

① 喘鳴(ヒューヒューなどの呼吸音)を伴わない咳が8週間以上続く
② 気管支拡張薬が有効である
③ 気管支喘息にかかったことはない
④ 8週間以内に風邪などを引いていない
⑤ 気道が過敏になっている
⑥ 咳を引き起こすアレルギー物質などに反応して咳がでる
⑦ 胸部レントゲンで以上はみつからない

※さらに簡略化して①②を満たせば咳喘息と診断されることがあります。

また、「からだケアナビ」にわかりやすいチェックシートがあったので、こちらも参考にしてみてください。

□咳が一旦出るとせき込んで止まらなくなる
□夜、横になるとせきこんで寝付きにくい
□夜中にせき込んで目が覚めることがある
□冷気、寒暖差でせき込む
□電車や人ごみの中でせき込む
□たばこの煙や強い香水が苦手
□風邪の後に激しい咳が続いた経験がある
□咳は激しいが息苦しさやゼイゼイと言う音はない
□子供のころ、小児喘息だった
□喉のイガイガを取り除こうと咳をした結果、せき込む

上記の項目に3つ以上当てはまる場合は咳喘息の可能性があります。

▶︎高齢者がなりやすい肺炎の症状|急変したときの対応や治療について

咳を悪化させてしまうかもしれない要因


乾燥咳

咳を悪化させるかもしれない要因として以下のものがあります。

① 喫煙もしくは受動喫煙
② アレルギー物質(花粉やハウスダスト、ダニ、ほこり、ペットの毛など)
③ アルコール
④ アスベストなど環境的な要因
⑤ 逆流性食道炎や後鼻漏といった身体的な疾患
⑥ 薬の副作用
⑦ ストレスの蓄積



乾燥による咳を止める・抑える方法は?


乾燥咳

乾燥により気道の防御機能が低下してしまうことを解説しました。

まずは、室内の空気を乾燥させない対策が重要と言えます。

加湿器を用いたり、洗濯物を部屋干しにする、洗面器やバケツなどに水を張って置いておくなど、室内が乾燥しない工夫をしましょう。

湿度計は自宅に無い方も多いかと思いますが、現在の湿度がどのくらいかを客観的に把握することはとても重要なので、是非購入をご検討ください。

ちなみに、室温が25℃~28℃くらいであれば、湿度は50%~60%が適正とされています。

また室温が18℃~25℃くらいであれば、湿度は40%~50%が適正とされています。

また喉のうるおいを手助けする方法とてしては、水分をしっかりとることや、のど飴などを使用すること、さらにはこまめにうがいすること、マスクを着用すること、などが挙げられます。

いずれにせよ、乾燥は咳を誘発、悪化する可能性があるので、十分に対策をとるようにしましょう。

▶︎高齢者に多い誤嚥性肺炎は治るのか|急変したときの対応法について

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、常勤の内科医にて、つらい咳症状に対して丁寧に診察を行い、必要に応じて検査を行い、治療に結び付けていきます。

CT撮影など、より詳しい検査も可能となっています。

咳の症状でお悩みの場合、まずはお気軽にご相談ください。



まとめ


空気の乾燥は、気道の防御機能を低下させて、ウイルスやばい菌の侵入を許してしまうことで、感染症にかかりやすくしてしまいます。

油断せず、甘く見ず、しっかりと室内を加湿したり、こまめに水分をとったり、うがいをするなどして、元気に秋、そして冬を乗り切っていきましょう。

参考文献

乾燥する季節は咳喘息にご用心 | 知っておきたい病気・医療 | からだケアナビ

免疫力を高める方法や食べ物について|低下してしまう原因も解説

免疫力

免疫力は人が生きていく上で不可欠な機能
です。

しかし、自分でコントロールするのはなかなか難しいものですが、少し生活習慣を変えるだけで免疫力をアップすることができます!

今回は、そんな秘訣を本コラムでご紹介します。



免疫について

 

“免疫”とは?


免疫ってまずなんでしょうか?

なんとなく体を良い方向にもっていってくれる体の機能の一つという認識だと思います。

その認識で正解です!

ここではまず、その一つの機能としての免疫について、どういう戦略が体の中で展開しているのかを深掘りしていきましょう。

免疫力

“免疫”の定義


“疫病”(集団発生する伝染病)を“免ずる”(許して取り除く)と書きます。

国際空港など行くと、免税店がありますが、これは”税金”を”免ずる”お店で、出国者に対して消費税・関税・酒税・たばこ税等を免除して販売しています。

それと同じ言葉の作りで、”免疫”とは、体からするとあまり入ってきてほしくない税金(伝染病)を免除してくれるありがたい機能です。

免疫力

体の中での免疫反応について


免疫は血液や組織の中に存在する免疫細胞が担っています。

免疫細胞は、血液検査で白血球という項目が出てくると思いますが、この白血球が主に免疫細胞です。

白血球の中には、以下が存在し、それぞれ異なった役割があります。

  • 好中球
  • リンパ球
  • 単球
  • 好酸球
  • 好塩基球

好中球

 

白血球の中で最も割合が多い血球です。

微生物の中で特に細菌を捕食します(これを食作用といいます)。

細菌感染に対する免疫反応として非常に大切な役割を果たします。

リンパ球

 

T細胞とB細胞とNK(ナチュラルキラー)細胞が存在します。

T細胞、B細胞はこれらの細胞がお互いに関連しあって、B細胞は抗体を産生してウイルス自体をやっつけたり(液性免疫)、T細胞はウイルスに感染した細胞を破壊したり(細胞性免疫)します。

また、NK細胞は常に全身をパトロールしている免疫細胞で、ウイルス感染した異常な細胞や、がん細胞などが存在していた場合は、これらを認識した上で破壊します。

単球

 

単球も好中球と同様に食作用があります。

これが血液中から組織に移行すると、マクロファージという細胞になり、組織におけるゴミ(死んだ組織など)や侵入してきた異物を食作用により除去してくれます。

リンパ球に『こんなやつが入ってきたよ!』って教えてくれる役割もあります。

好酸球

 

寄生虫感染に対する血球です。

現在はあまり寄生虫感染症の患者さんが少ないため、アレルギーに関する血球という認識です。

好塩基球

 

こちらもアレルギーに関する血球です。

免疫力

白血球のうち、これらの血球が血液中に何%ずつ存在しているかが、採血検査を考える上では大切になります。

例えば、好中球が増えている場合は、体の中で細菌感染が起きているのかな?などといったように考えることができます。

免疫力

自然免疫と獲得免疫について


免疫が働いて、細菌やウイルスといった微生物を撃退するときに、1-2で挙げた免疫細胞が働きます。

しかし、その攻撃対象となる微生物に特異的に作用する免疫(特異的な免疫)なのか、どんな微生物に対しても広く作用する免疫(非特異的な免疫)なのかということが免疫学では非常に大切になってきます。

この二つは以下のような名前の分類があります。

攻撃対象が決まった免疫(特異的な免疫)・・・獲得免疫
どんな微生物にも作用する免疫(非特異的な免疫)・・・自然免疫

ともに先ほど述べた白血球の細胞が複雑に作用して起こる免疫反応ですが、簡単に言ってしまえば、

自然免疫は、免疫細胞の表面に存在するアンテナのようなものが危険な異物と察知すると、その対象を免疫細胞が食べたり、攻撃を加えるような免疫反応です。

一方で、獲得免疫は、攻撃対象を決めてそれのみを攻撃するスマートな反応と考えるとよいでしょう。

どのような反応かというと、体に入ってきた微生物を自然免疫細胞が食べ、その情報をリンパ球に情報伝達します。

リンパ球は情報を認知すると

キラーT細胞がその情報の異物のみを食べたり、攻撃し、B細胞は液性免疫としてその情報の異物に対する抗体を作り、異物を攻撃します。

抗体が異物に付着すると、そこで炎症反応が起こるようになったり、自然免疫細胞に対して、『これは美味しいよ!』といった情報を与えることになり、自然免疫細胞に食べられてしまいます。

免疫力

自然免疫と獲得免疫は別に働く免疫反応ではなく、このようにお互いに連動して働く免疫反応なのです。

大きく自然免疫と獲得免疫での異なる点は、攻撃対象となる異物の情報を学習するかということです。

つまり、獲得免疫のおかげで、次に同じ異物が入ってきた際に、強力でなおかつ迅速な免疫反応を行うことができます。

免疫力

▶︎MRSAとは?感染経路や症状を解説|高齢者がなりやすい理由も

 

免疫力が低下するとどんな影響がある?


免疫反応の司令塔として最も重要な役割を果たしているのがリンパ球です。

このリンパ球の機能低下をきたすと、いわゆる『免疫力が低下する』という状態を起こします。

それでは、免疫力の低下が起こるとどのようなことが起こるのでしょうか?

まず免疫とは、広い意味で、『自己と他者(非自己)を区別し、非自己を排除する仕組み』と言い換えることができます。

免疫力

ここでいう非自己とは、ここまでにで出てきた微生物(細菌やウイルス)が主たるものとなりますが、他にもアレルギーの原因となる花粉やホコリなどの、絶対的に人体に有害ではない異物も非自己に入ります。

つまり、免疫力が低下するということは、これらの非自己を排除する機能が低下するということを意味します。

それに伴い以下のようなことが起こりやすくなる。



感染をおこしやすい


以下のいくつかの例から、みていきましょう。

免疫力が正常な人は、カゼウイルスにかかっても、先ほど述べたように自然免疫、獲得免疫が働いてウイルスの増殖を抑えてくれるので、1週間程度で治癒します。

しかし、免疫力が低下している人では、容易に肺炎を起こしたり、全身に炎症を起こしたりします。

基本的に真菌(カビ)は、全身のいたるところに存在はしていますが、免疫が抑え付けてくれるので発症しません。

それ故に生体と共存して生きている存在です。

しかし、免疫力が落ちた人では、真菌感染症が発症します。

口唇ヘルペスや帯状疱疹はヘルペス属というウイルスの分類にあるウイルス感染症です。

ヘルペスウイルスは多くの人が成人する前に感染をおこし、潜伏感染(感染しているが、活動性がなく無害である状態)しています。

これは免疫が働くことで、人体に悪影響を及ぼさないように抑えつけているからです。

しかし、免疫力が落ちた人では、このストッパーの役割となっている免疫が有効に働かず、口の周りや皮膚に水疱を伴う皮疹をおこします。

つまり、健康と思われていた人が、突然カビの感染に罹患したり、帯状疱疹を起こしたりというエピソードがあった場合は、逆説的にその患者さんの免疫力か落ちているんだな?その背景には何かあるかな?と考える材料になります。

免疫力

アレルギー反応をおこしやすい


アレルギーとは、通常では特に無害な物質が、生体の過敏反応により、その物質を非自己として認識して異物として排除しようとする反応です。

とくにその過敏反応には先ほど述べた獲得免疫が関与しており、免疫細胞が抗体を産生したり、異物を攻撃したりします。

アレルギーがおこりやすい状態とは、免疫力が低下しているというよりは、免疫のバランスが悪いという表現が正しいでしょう。

がんが発症しやすい


人間の体は約60兆個の細胞で構成されていますが、そのうち約2%が新陳代謝などで毎日生まれ変わっています。

今この瞬間にも多くの細胞が生まれ、死んでいっているのです。

これらの体を構成する正常細胞は細胞分裂(細胞内でDNAを複製させる)を繰り返して細胞数を増やしますが、これは時計のような精密機械が時を刻むような緻密なシステムです。

そして、ほんの小さな時間のずれが大きな時間のずれを引き起こすように、小さなDNAの複製ミスが異常な細胞を生じさせます。

これが、がん細胞が発生する原因となり、1日になんと人間の体の中では3000から5000個のがん細胞が生み出されています。

しかし、毎日がん細胞がこれだけ産生されていたら、ほとんどの人間がすぐにがんになってしまいます。

ここで、がん細胞をやっつけてくれるのが免疫細胞になります。

がん細胞は普通の細胞で表面を構成するタンパク質が異なるために、免疫細胞によって非自己と認識されます。

それによって標的とされたがん細胞は、免疫細胞によって破壊されてしまうのです。

免疫力

▶︎健康寿命を伸ばすためのポイントや気をつけるべき病気や疾患とは

免疫力が低下する原因は?


それでは、免疫が低下する原因を議論する前に、免疫に影響を与える因子について考えてみましょう。

一概には言えませんが、大原則として『免疫力の70%は腸内環境が関与し、後の30%が心・神経が関与』しています。

なんで、免疫なのに腸や心なの?という疑問は出てくると思いますが、ここで解説していこうと思います。

免疫と腸内環境について

免疫力の70%は腸内環境が関与すると言いましたが、これは腸には免疫細胞の約7割が粘膜、特に小腸粘膜に集まっているからです。

この免疫細胞を活性化するのが腸内細菌なので、免疫力を高めるためには、よい腸内細菌を増やすことが大切になります。

免疫力

食物は、口から食道、胃を経て十二指腸、小腸、大腸の腸管へと運ばれ、肛門から便として排泄されますが、この過程で栄養や水分を吸収します。

この食物として、この1本の管である消化管に入ってくるものの中には人体に有益なものもあれば、有害なものもあります。

腸は、その食物を体内に取り入れてよいかどうかを瞬時に見分ける働きをしてくれます。

それとともに、食物に含まれる病原菌などから、身を守るために、腸には強力な免疫機能が必要です。

腸の特に回腸にはパイエル板という腸管特有の免疫組織が存在します。

そして、この特有の免疫組織を活性化しているのが、3万種類、1000兆個以上生息している腸内細菌です。

腸管は腸内細菌を通じて、免疫反応を高めるだけでなく、過剰な免疫反応により人体に悪影響が出ないように調整する役割もあります。

免疫力

これらのことから、腸管内の状態が悪いということは、全身の免疫系の70%に対して悪影響を及ぼしていることになります。

免疫と心・神経について


これまで、免疫系は人体の中で脳の支配を受けない独立した生体維持機能と考えられてきましたが、最近になって免疫系と精神神経系の関与が論じられるようになってきました。

また、脳から免疫系への指令のみならず、免疫系から脳への情報伝達もあり相互に影響しています。

免疫力

人体には、恒常性(ホメオスタシス)という機能が備わっています。

これは簡単に言うと人体をよいバランスに維持するための機能です。

そして、このホメオスタシスを構成する系統として免疫系内分泌系神経系の3系統があり、これらの臓器がこっそり人間が快適に生活する上での調整を行ってくれています。

免疫力



免疫系


これまで説明してきた通りの系です。

内分泌系


ホルモンという情報伝達物質が血液中に分泌され、それぞれの臓器に働きかけます。

例えば、甘いものを食べすぎて血糖値が急激に上昇したら、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、血液中の糖を細胞の中にしまい込み、血糖値を下げる方向にはたらきます。

免疫力

神経系

 

神経には随意神経と不随意神経といって、自分の意思でコントロールできる(随意)神経とコントロールできない(不随意)神経がありますが、ホメオスタシスに関与するのは不随意神経です。

特に不随意神経の中で大切なのが、自律神経です。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つがあり、交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキとしてその臓器に対して働きます。

特に交感神経はノルアドレナリンが興奮性の伝達物質(アクセル)として、副交感神経はアセチルコリンが抑制性の伝達物質(ブレーキ)としてはたらいています。

これらによって交感神経は、人体に危険が迫った際に、体を興奮状態にさせ臨戦体制にします。

一方で、副交感神経は人体の緊張をほぐし、リラックスさせる方向に作用します。

これら、交感神経と副交感神経がお互いバランスをとりあいながら働くことが大切です。

免疫力

どのように神経系と内分泌系が関連し、免疫系に作用してくれるのでしょうか?

まず、神経系と内分泌系の関連については、わかりやすいかと思います。

内分泌系の臓器、例えば甲状腺、膵臓、副腎などは、自律神経(アクセルとして交感神経、ブレーキとして副交感神経)線維が臓器内に密に入り込んでいます。

それによって、意思とは関係なく調整がおこります。

一方で、内分泌系から出たホルモンが多すぎたり、少なすぎたりすると血流に乗ったホルモンの量を脳など神経系がモニタリングして、内分泌臓器への自律神経刺激の強度を調整することで、ホメオスタシスを維持しています。

これをフィードバック機構といいます。

免疫力

神経系、内分泌系と免疫系はどのように関連しているのでしょうか。

神経伝達物質の免疫系に及ぼす影響ですが、一般的に交感神経は免疫反応を抑制する方向にはたらき、副交感神経は免疫反応を強化するようにはたらくことが言われています。

特に自律神経の影響を強く受ける免疫細胞はリンパ球です。

リンパ球は全身に存在するリンパ節や免疫臓器に存在しますが、血液中にもある一定数のリンパ球が放出され、存在しています。

交感神経はリンパ節に働きかけ、リンパ球の放出を抑制し、副交感神経はリンパ節に働きかけ、リンパ球の放出を促するように作用するといわれています。

つまり、交感神経が強くはたらいていると、リンパ球の機能が低下し、それはつまり免疫力を低下させることに繋がります。

この自律神経の免疫への影響に関しては、この機序以外にも諸説報告されており、今回紹介した機序はその中の一つです。

免疫力

面白いことに神経系ではなく、内分泌臓器の中にも副腎髄質という交感神経と同様に働く臓器があります。

副腎髄質からは交感神経線維と同様のノルアドレナリンやアドレナリン、ドーパミンという物質が放出され、血液中に放出されます。

免疫力

次に、ホルモンの免疫系に及ぼす影響です。

ホルモンには各臓器ごとに役割の異なるホルモンが存在しますが、免疫機能と最も関係のあるホルモンは、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールです。

コルチゾールとは、体の中で作られるステロイドホルモンで、よく『ステロイドの薬は怖い』といったフレーズを聞くかもしれませんが、このステロイド薬とほぼ同一の物質です。

つまりステロイド薬というものは人体の中で作られている物質であり、詳細は省きますが適切に使用すれば怖くありません。

このコルチゾールというホルモンは、多くのリンパ球に細胞死(アポトーシス)を誘導します。

これによって、免疫の司令塔であるリンパ球が低下することで免疫力は低下します。

甲状腺ホルモンが白血球の自然免疫反応を高めるなど、その他のホルモンも免疫系への影響は各種ありますが、今回は割愛します。

免疫力

それでは、免疫系からの神経、内分泌系への影響はどのようなものでしょうか?

先ほど、1-3. でサイトカインという炎症を周囲の組織に知らせる物質の名前を出しました。

このサイトカインは免疫細胞が産生する伝達物質で、神経系における神経伝達物質や内分泌系におけるホルモンといった物質と類似した機能で、周囲の免疫細胞や組織への情報伝達するためのタンパク質です。

サイトカインには機能的にT細胞の調節に機能するもの、B細胞の抗体産生を調節するもの、腫瘍細胞に作用して直接増殖抑制や破壊を起こさせるもの、アレルギーの炎症に関与するものなど様々な機能を有するものがあります。

サイトカインは基本的には免疫系の相互作用に関連する物質とされていますが、実は免疫系から脳や内分泌系へ向けての作用もあります。

これら、免疫系、内分泌系、神経系の関連についてまとめると、以下の図のようになります。

これら3系統が、お互いに密接に連絡を取り合うことで、ホメオスタシスの維持がなされています。

免疫力

 

免疫力を高める方法:ストレスの緩和


現代人は、昔の人たちと比べて免疫力が低下しているといわれています。

その原因として、『現代人の精神的なストレスの質』が問題とされています。

ストレスは、外部からの刺激によって身体に起こる反応のことを言います。

一般的に、ストレスは精神的ストレスと身体的ストレスに分かれ、精神的ストレスは、仕事や家庭におけるトラブルによる『心への負担』で、身体的ストレスは、怪我や病気による『肉体への負担』です。

厚生労働省の「労働者健康状況調査」によれば「仕事や職業の環境でストレスを感じている」労働者の割合は、1982年には50.6%であったものが、2012年には60.9%になっており、現代人は強い精神的ストレスを感じていることがわかります。

免疫力

特に『現代人の精神的なストレスの質』とは、モノや情報が手軽に手に入る現代の社会では、物質的な要求は満たされやすいことで、顧客の要求も強くなる傾向にあり、それによってサービスやモノを提供する人々の達成目標が必然的に高く設定されやすくなります。

されに機械化、AIなど技術の進歩によって仕事の効率性が高まり、生産性も高まるように見えますが、実際のところは生産性は高まる分、働いているという自己の存在意義が感じにくくなったり、人と人との関係性が希薄になって孤立する人も増えています。

また、家庭環境にも変化が見られ、核家族化や両親共働きによる子供の心の発達への影響なども子供の心のストレスへの抵抗性を低下させる要因として危惧されています。

つまり、これまでになかった異質な精神的ストレスを感じやすい環境になってきているのです。

免疫力

現代人は慢性的に自分に負担をかけ続けることで、自律神経機能の異常を引き起こしているのです。

3の免疫が低下する原因で述べたように、交感神経が過剰になり続けている状態は、免疫力が低下する方向にはたらきます。

ストレスに対する緊急反応として、まず働く系は自律神経系であり、交感神経興奮により脳の視床下部からはノルアドレナリン、副腎髄質からアドレナリンが分泌され早い反応が起こります。

次に、少し遅れて内分泌系のゆっくりとした反応が起こります。

これらの急性、亜急性反応によって最終的に遅発的に免疫系が低下してきます(下図)。

免疫力

交感神経が過剰になり、上記のホルモンが産生されると、T細胞やNK細胞の機能が低下します。

特にこれらのストレスホルモンに最も影響を受けやすいのは、NK細胞です。

精神的ストレスにより、NK細胞の活性は数分で下がり、ストレスの度合いに応じて低下するといわれています。

そして、NK細胞の活性は、副交感神経刺激によって回復することも実験で示されています。

この現代のストレス環境で生きる上で、免疫力の向上のためには、副交感神経を刺激して、交感神経とのバランスをとってあげることが必要です。

それでは、ストレスを溜めないために、日常的にはどのようなことに気をつけるべきでしょうか。

いい人であることをやめる


いい人とは、他人から言わせたら『都合の』いい人であり、このような人は、我慢することが習慣化しています。

周囲の人たちも、この人に任せたら楽だという思考回路を形成してしまい、お願いしやすい人(都合のいい人)になってしまいます。

我慢することはストレスに繋がり、交感神経を持続的に活動状態にさせます。

いい人は早死にすると言われますが、免疫学的な観点からも正しい慣用句かと思われます。

自他共に認める『いい人』をやめて、断りたいことは断りましょう。

免疫力

主体的に生きよう


家族や友人含めて周囲の人間の指示に従って生きるのではなく、自分の考えを持ち、自分で人生をコントロールしているという感覚を持ちましょう。

主体性を持つことは楽しいです。

自分はこの業務をするのが好きだから、この仕事についていると考えている人と、いやいや仕事をしている人では、仕事に対する向き合い方も変わってきます。

そうすると、仕事に対するストレスの度合いも変わってきます。

そのためには、自分が本当は何がしたいのか?ということをよく考え、人生を見直す必要があります。

免疫力

よく笑おう


『笑い』は、人間が成長・発達する上で、他人に敵対心をなくさせるコミュニケーションのための武器です。

笑いがあれば人間関係は円滑になり、それによる対人ストレスはだいぶ緩和するのではないでしょうか。

営業職など顧客対応が必要な職種の方は対人関係でストレスを抱えることは多いですが、その中に笑いを取り入れることで、ストレスの緩和が期待できます。

また、『笑う』という行動は、神経・内分泌系から免疫系へと導く、心と体のプログラムを活性化して、免疫の上昇を導きます。

笑うことで、NK細胞活性が上昇するというデータもこれまでに数多く報告されています。

免疫力

お風呂に入ろう


入浴には副交感神経機能を高め、ストレスにより高まった交感神経を抑制する作用があります。

寝る1時間前を目安に、ぬるめのお湯(37〜39℃)に20分〜30分ゆっくり浸かるとよいでしょう。

42℃以上のお湯は交感神経機能を高めるように作用するために、控えましょう。

また、長時間の入浴は脱水を起こします。

脱水状態は、心臓へ戻ってくる血液が低下することから、心拍を増やすために交感神経が活性化されてしまうので、逆効果になります。

免疫力

『ゆっくり』を心がける

人間は焦っていると、交感神経が過剰に緊張している状態となります。

それがまたストレスにつながり悪循環となります。

例えば、仕事で上司から仕事のノルマなどを急かされると、逆に仕事のパフォーマンスが落ちることってありますよね。

他人から急かされる、もしくは自分を追い込んで焦らせるような習慣は慢性的な交感神経過剰状態を引き起こしています。

この習慣から脱却するためには、何事も『ゆっくり』やることが大切です。

人から急かされても、敢えて一呼吸おいて『ゆっくり手を動かして』みたり、『ゆっくり話してみる』ことが大切です。

また、『ゆっくり』やるためには、色々なことが準備できた状態でないといけません。

例えば、翌日の予定を前日の夜に決めて紙に書いておいたり、その心構えまで書いておくと準備万端です。

なにしろ、『明日の行動をやりやすくする』ことで、心への負担がだいぶ減るのです。

お母さんに、夜に明日の準備をしておきなさい!ってよく怒られましたが、あの発言にはそういう深い意味があったのです。

免疫力

 

 

免疫力を高める方法:睡眠の質の改善


睡眠は、夜間に心と体をメンテナンスしてくれる生物にとって欠かせない機能です。

睡眠中に記憶の整理や大脳の休養によるメンタルの安定化をしてくれるだけでなく、身体の細胞を修復して疲労を回復してくれます。

睡眠は、ただ寝てればよいというだけではなく、『睡眠の質』というものが大切になってきます。

免疫力

睡眠中の自律神経は基本的に副交感神経が優位となっています。

それによって交感神経系に傾いた自律神経のバランスの調和を睡眠が担ってくれます。

それゆえに、睡眠の質の低下は、神経―内分泌―免疫系に強く関連していると言われています。

睡眠障害では、神経内分泌ストレスにおいては、ノルアドレナリンやコルチゾールの上昇により高血圧や動脈硬化、心血管疾患の発症を高めるとともに、免疫学的にはNK細胞の数と機能ともに低下させ、がんの発症と関係することが指摘されています。

つまり、睡眠障害は、日本人の死因の1位の悪性腫瘍、2位の心疾患の両方を引き起こすリスクがあるのです。

免疫力

それでは、睡眠の質を高めるにはどのようなことにきをつけるべきでしょうか。

睡眠の質を高めるには睡眠のための準備として、睡眠の前後で何気なくやっている生活習慣を見直すことが大切になります。

就寝前後の食事


食事は寝る3時間前に済ませましょう。

食事という行為を自律神経の働きで分けて考えると、『噛む、飲み込む』という動作は交感神経が働き、『消化、吸収』という行動は副交感神経が働いています。

つまり、寝る前にもぐもぐ食べてしまうと、交感神経が働き自然な睡眠に入れません。

消化吸収するときに副交感神経が働くから眠くなるんじゃないの?と言われそうですが、睡眠に関する問題は消化吸収の後に出てきます。

消化吸収された食物のうち、炭水化物は分解され小腸から吸収されます。

その後、血液中に入り血糖値を上昇させます。

その血糖値の上昇が、反応性低血糖を起こし、さらにこれを是正しようと交感神経と副交感神経が交互に頑張ってしまいます。

この自律神経の変動が睡眠には悪影響を及ぼし、入眠障害や浅い睡眠などを起こして、睡眠の質を低下させる原因となります。

起きた時に、『寝たのに寝た気がしない』という経験はありませんか?

そんな時は多くが、この自律神経障害による睡眠の質の低下が考えられます。

免疫力

また、食後2〜3時間は胃に食物が残りますが、胃に食物が残留下状態で横になってしまうと、胃酸逆流の原因となります。

胃酸逆流は、睡眠中に起こると覚醒作用を起こすことで、睡眠障害の原因となります。

免疫力

次に起床後の食事(朝ごはん)に関してです。

朝ごはんはきちんと食べるようにしましょう。

朝は就寝中の副交感神経から交感神経に切り替わる時間帯であり、この切り替わりがうまくいくほど、すっきりした1日の始まりを迎えることができます。

噛む、飲み込む動作は交感神経を刺激します。

また、日中の活動性が高まる時間帯にエネルギーが供給されていることで、1日の代謝が高まり、太りにくくなります。

免疫力

睡眠前1時間のスマートフォン操作は控える


スマートフォンからはブルーライトがかなり出ています。

最近のスマホではブルーライトが自動でカットされるようにセットされているようですが、それでも完全ではありません。

ブルーライトは視神経を介して脳に働きかけ自律神経を強く刺激します。

ブルーライトは朝の太陽の光に含まれている光の成分であり、交感神経を活性化させます。

免疫力

就寝前にスマホを見続けることは脳を活動する方向に働きますので、睡眠の質を低下させる原因となりますので、就寝前1時間以内のスマホ操作は控えましょう。

一方で、起床時はまずカーテンを開けて、ブルーライトが含まれる朝日を浴びることで交感神経を優位にし、脳を活性化することで、活動的な1日をはじめることができます。

免疫力

就寝前に考えたり、悩むのはやめよう


考えることは、脳を活動させてしまうので、できるだけ考え事は就寝前にはしないよう心がけましょう。

特にネガティブな感情は、恐怖、心配といった情動をコントロールする脳の扁桃体を刺激します。

扁桃体が不快と判断すると、自律神経系に作用し交感神経に働き、脳を活動させるとともに、動悸や震えなど恐ろしいものに遭遇した時のような反応が身体的にも生じてしまい、寝るどころでなくなり、睡眠の質を低下させます。

免疫力


▶︎喉の痛みや咳が止まらない方必見、風邪を早く治す方法や風邪に効く薬の選び方

免疫力を高める方法:運動習慣

 

適度な運動は、免疫力の向上に寄与すると言われています。

『適度な』というところがポイントで、過度な運動は、免疫力を低下させることが実験的にわかっています。

適度とはどのようなものでしょうか?

これは運動強度(運動による体へ負担)と運動時間によって規定されています。

1時間以内の比較的短時間の運動では、運動強度に依存してリンパ球が増加し、好中級、単球、好酸球も軽度増加します。

特に、NK細胞は運動負荷で鋭敏に反応し、短時間、高強度の運動で、運動直後に平均で6倍まで増加し、運動終了後は、運動前の半数まで減少するといった劇的な変動を起こします。

運動習慣と感染リスクに関しては、Jカーブモデルが言われており、『適度』な運動習慣がある人は、感染しにくいですが、過度な運動はむしろ感染のリスクが高まります。

激しいトレーニングを継続するスポーツ選手は上気道感染(かぜ)の頻度が一般人より3倍も高いことが報告されています。

ウイルス感染の頻度が高いことから、T細胞昨日の低下が指摘されています(文献3より)。

免疫力
文献3より引用・改編

適度な運動が大切である理由がおわかりいただけたでしょうか。

過度な運動は免疫学的な観点からは、運動不足であることより身体に対して悪い影響があるのです。

日常生活には、無理のない適度な運動習慣を取り入れましょう。

適度な運動の運動量とは

ウォーキングなど、息が少し切れるくらいの中等度の運動を1日に20〜30分することです。

日常生活の中で、健康効果を高める適度な運動としては、水泳やジョギングなど有酸素運動が挙げられますが、手軽に行うことができるのが、ウォーキングです。

これまで運動習慣がなく、運動に対する抵抗がある方は、まずは歩くことから始めてみましょう。

免疫力

まずは、10分だけでもよいのです。

最初の1週間くらいは、身体的に何も変化はないでしょう。

しかし、そのかわりに1週間毎日続けることができたという自信につながります。

その自信は、運動を習慣化させるための原動力になります。

できたら、毎日の運動習慣をカレンダーにチェックし、何をどのくらいの時間やったかということを書くようにしましょう。

すると、毎日自分が習慣化できているということになり、非日常だった運動習慣が日常化するのです。



免疫力を高める方法:食事習慣

 

免疫力を高める上で最も大切なのは、食事習慣だと考えています。

食事は、当たり前のように毎日おこなっている身体活動ですが、良い食事習慣か悪い食事習慣かで、人生は大きく変わってきます。

3-1の免疫と腸内環境で述べましたが、人体の免疫力の70%は腸内細菌と腸管粘膜が担っています。

これらに直接的にアプローチすることができるのが毎日の食事になります。

免疫力

免疫力

腸内環境を整えるものとしては、乳酸菌やビフィズス菌以外にも酵母菌、麹菌、酢酸菌、納豆菌なども善玉菌として働きます。

具体的には、ヨーグルト、チーズ、味噌、納豆、キムチなどの漬物が推奨されます。

色々な種類の菌を取り入れた方がよいと言われ、これらの食材も一つの種類のものを食べ続けるのではなく、色々試して食べていくことが大切と言われています。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌にも種類が多数あり、ある人には合っている乳酸菌が、他の人には合わないということもあります。

人の数がたくさんいれば、その腸内環境も千差万別です。

自分に合った発酵食品を選択するのも大切なのです。

免疫力

また食物繊維には水に溶けるもの(水溶性)と、水に溶けない(不溶性)ものがあります。

水溶性食物繊維のほうが、腸内細菌は好んで食べますが、不溶性食物繊維にも腸内のカスや細菌の死骸を絡めとって、便として(便の量を増やして)まとめて排泄するという役割があり、水溶性、不溶性食物繊維ともに大切です。

免疫力

その他に免疫力を高めるために大切な食物について

番外編にはなってしまいますが、腸管免疫以外の視点で、免疫力を高めるために大切な食事について記します。

タンパク質とアミノ酸

 

免疫反応がおこるために必要なサイトカイン(情報伝達物質)やB細胞が産生する抗体は、タンパク質からできています。

つまり、タンパク質の摂取量が少ないと、これらの武器を作る材料不足ということになり、免疫力は絶対的に低下します。

ミネラル

 

亜鉛は、微生物が人体に入ってこないようにする皮膚や粘膜のバリア機能維持に大切ですが、免疫細胞の成長に欠かせない栄養素です。

日本のみならず、全世界的に摂取不足にあります。

ビタミン

 

各種ビタミンは、それぞれの免疫細胞の働きに影響を与えます。

ビタミンCは好中球、NK細胞、T細胞の働きに関与し、ビタミンB,D,Eなどそれぞれが免疫細胞の活性化の役割があります。

その中で、免疫力を高める観点から最近注目されているのが、ビタミンDです。

ビタミンDは、骨代謝に関与し、血液中のカルシウムの動態を司どるビタミンですが、最近、糖尿病やがん、精神疾患の発症など様々な研究データが発表されるようになってきました。

免疫に関してもビタミンDは関与しており、特に昨今の新型コロナ感染症では、ビタミンDの摂取量が低い人に重症化リスクがあると報告されています。

どうやらビタミンDには気道感染症を予防する効果が数多く報告されるようになってきています。

 

西春内科在宅クリニックができる対応


免疫力低下に伴う新型コロナウイルス感染を含む、上気道感染症は時に重症化することがあり、緊急を要することがあります。

西春内科在宅クリニックでは、まずは現在重症な状態にあるのかということを的確に判定し、重症度に応じた対応をさせていただきます。

発熱外来では、新型コロナウイルスPCR検査・抗原検査、インフルエンザ抗原検査も行えますので、発熱・風邪症状などでお困りの方はお気軽にご相談下さい。

新型コロナウイルス・インフルエンザ・帯状疱疹・肺炎球菌のワクチン接種も可能です。


免疫力

 

まとめ

 

免疫力の低下は数多くの疾患を引き起こします。

現在流行中のCOVID-19感染症は、ウイルスの特殊性もありますが、『人間の免疫力の大切さ』についても考えさせられることが多い感染症でした。

免疫には、ただ強い弱いだけなく、免疫のバランスが大切であり、人体に侵入してきた微生物に対して働きすぎても、働かなすぎても人体に害悪となります。

特にCOVID-19感染症に関しては、感染症というより、それにより二次的に生じた過剰な免疫反応が、基礎疾患の悪化などをもたらしたと言っていいでしょう。

制御性T細胞の話を文面に少しだけ出しましたが、実はこの免疫がしっかり働くか否かが、免疫の過剰を抑えることができ、コロナにかかわらず、様々な疾患を予防する上で大切になります。

なにごとにもバランスが大切ではありますが、免疫もそれぞれの系が強く出過ぎないようにバランスが大切となってきます。

そのためには、生体機能維持のための神経系、内分泌系、免疫系のバランスをとることが大切です。


『ストレス緩和』
『睡眠の質の向上』
『運動習慣』
『腸内環境を考えた食事習慣』


などのアプローチでホメオスタシスを調整していくことが大切です。

免疫力

参考文献

‣永井克也 自律神経による生体制御とその利用 化学と生物51. 3. 2013
‣藤原憲治 慢性疲労における睡眠障害および免疫系の動態に関する研究 京府医大誌 118(12) , 823-841, 2009
‣鈴木克彦 運動と免疫 日本補完代替医療学会誌 1(1), 31-40, 2004
‣藤田絋一郎 笑う免疫学 自分と他者を区別するふしぎなしくみ ちくまプリマー新書, 2016  
‣小林弘幸 免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず プレジデント社, 2020

高齢者に多い褥瘡(じょくそう)の好発部位や予防対策、治療方法を解説

褥瘡

寝たきり状態になってしまった時、気を付けたいのが【褥瘡(じょくそう)】です。

褥瘡とは、先にもお伝えしましたが、寝たきり状態が続いたり、活動量が少ない高齢者に起きやすい症状です。

初期段階では皮膚の赤みやふくらみが現れますが、進行してしまうと感染症や合併症のリスクが高まります。

今回は、そんな褥瘡の重症度や、治療、予防方法などについて詳しく解説していきます。



褥瘡とは


褥瘡

褥瘡とは一般的に「床ずれ」と呼ばれるもので、体重での圧迫で起こる皮膚の傷やただれのことです。

例えば、自分で動ける人は眠っていても寝返り等を行い、同じ部分に体重がかかり続けないようにしています。

しかしながら寝たきりになっている人は自分で身体を動かすことができず、同じ部分に体重がかかり続けてしまいます。

そのため、ずっと圧迫され続けている部分の血流が悪くなってしまい、皮膚などの細胞に酸素や栄養が届かなくなってしまいます。

その結果、細胞が壊れてしまい、傷や皮膚のただれ、潰瘍ができてしまうのです。

これが褥瘡です。

▶︎癬疥(かいせん)を放っておくとどうなる?うつる確率や高齢者に多い理由とは

褥瘡の好発部位


褥瘡

褥瘡は先述の通り、身体の同じ部分に体重がかかり続けてしまうことにより起こる物です。

そのため、褥瘡は身体の下の部分(床やベッドであれば床やベッドと接するところ、座っているのであれば床や椅子などと接するところなど)にできやすくなります。

つまり、その態勢の時に体重がかかりやすくなっている部分に多くできるのです。

例えば、あおむけでベッドに寝ている場合は、後頭部、おしり(仙骨など)の部分や肩甲骨、かかとなどに体重がかかり、褥瘡ができやすくなります。

横向きに寝ている場合は、肩やひじ、太ももの付け根の外側(大転子部)や腸骨、ひざなどに体重がかかりやすいため、褥瘡ができやすくなります。

車いすなど座った状態でずっといる場合にはおしり(尾骨や坐骨の部分)、背中やひじ等にできることもあります。

▶︎高齢者に多い圧迫骨折の自宅療養のポイントや治療について解説

ステージ別:褥瘡の重症度について


褥瘡は皮膚の圧迫による細胞の障害です。

褥瘡は、初めは体重による圧迫のため皮膚の赤み(発赤)を認めます。

短時間の圧迫であれば、赤みが出ている皮膚も圧迫を取ることでしばらく時間が経過するともとに戻ります。

しかしながらこのまま圧迫を続けてしまうと、発赤が消えなくなってしまいます。

これが褥瘡の始まりとなります(時には皮膚に赤みがなくても、皮膚の奥の方に触れることで硬さを感じることがあります)。

そしてさらにそのまま圧迫を続け褥瘡が進行していくと、次は皮下出血や水膨れなどを認めます。

さらにそのまま体重での圧迫を解除せずに放置すると、血流が悪くなることで皮膚がめくれてしまったり、傷ができてしまい、の傷がどんどん深くなっていきます。

褥瘡の重症度はどの部分まで障害されているか、その「深さ」により分類されます。

NPUAP(米国褥瘡諮問員会) のステージ分類とEPUAP(欧州褥瘡諮問委員会)のステージ分類を使用することが多いのですが、それらにおいて褥瘡の深さにより1-4までのステージに分類されます。

褥瘡

ステージⅠ圧迫をとっても消えない発赤。
皮膚には傷を認めない
ステージⅡ水ぶくれ、浅い潰瘍、皮膚、真皮がなくなるような傷
ステージⅢ皮膚の下の脂肪まで及ぶ傷。
ただしその奥にある骨、腱、筋肉には達していない。
骨や筋肉等は露出していない全層皮膚欠損
ステージⅣ深く、広くなった傷で、骨、腱、筋肉の露出してしまうような全層組織欠損

褥瘡を放置した場合、どんどん重症化してしまいます。

また、傷口を清潔に保たないと細菌などに感染してしまうこともあります。

そうなると全身の状態も悪くなりますし、感染などが起こっていると、最悪の場合、命にも関わりかねなくなってしまいます。

高齢者が褥瘡になりやすい理由


褥瘡

高齢者の場合、そもそも高齢者では若年者と違い、皮膚の弾力もなくなってしまいます。

そのため、体重などでの圧迫やずれに弱く、褥瘡を作りやすい皮膚になってしまっています。

また、筋肉や脂肪の量が落ちてしまっている場合が多くあります。

筋肉や脂肪が落ちてしまうと骨ばった身体になり、そこに圧迫がかかりやすくなってしまいます。

年齢により寝たきりになった場合などは筋肉量や脂肪もさらに少なくなりますし、そもそも身体を動かさないと関節が変形して固まってしまいます。

そのため同じ姿勢になってしまうことも多く、同じ場所に体重がかかりやすくなるため褥瘡もできやすくなってしまうのです。

また、高齢者では、糖尿病などでもともと血流が悪くなっている人の割合も多くなります。

認知症などであまり動かない人も多く、褥瘡ができやすい条件がそろいやすいことも一因となるでしょう。

▶︎高齢者における慢性疼痛とは?痛みの特徴や治療について解説

褥瘡の治療について


褥瘡

褥瘡は褥瘡ができてからどのぐらいの時期か、また、どのぐらいの重症度かによって変わってきます。

褥瘡ができてすぐの急性期(~3週間まで)は傷口を清潔に保ち、ドレッシング剤というシートで傷口を覆います。

これにより傷口の感染を予防し、傷口を湿潤な環境に保ちます。

場合によっては塗り薬を使用したり、痛みが強い場合は痛み止めを使うこともあります。

一方で、褥瘡ができて時間が経過した慢性期(3週間~)は傷口がどの程度の深さかによって治療が変わります。

褥瘡の中でも浅いものであれば塗り薬をぬる、先述のドレッシング剤を使用して傷口を保護します。

傷口が深い場合や、組織の一部が死んでしまった(壊死)場合はその死んだ組織をはさみやメスなどで切りとる処置を行います。

さらに深い場合は汚くなった組織や死んでしまった組織などを取り除くための手術や、褥瘡で組織が死んだりして皮膚がなくなった場合は、必要に応じてその部分を埋める手術を行ったりします。

時によっては皮膚や組織が一部なくなるような傷になってしまった場合、その傷口を覆い陰圧をかけることで傷口を閉じる処置もあります。

また、どの時期によっても傷口に細菌などが感染することがあります。

その場合は塗り薬や抗菌薬の飲み薬、点滴等で感染の治療を行っていきます。



褥瘡にならないための予防対策


褥瘡

褥瘡は同じ部分に体重などでの圧迫がかけられ続けることによって起こる物です。

そのため、体重が同じところにかかり続けないように身体の向きを変えることが予防では重要です(これを体位変換と言います)。

患者さん本人が動けない場合は家族など、周囲の介護者が定期的に身体を動かしてあげることが必要となります。

また、体重を分散させるように体圧を分散するような寝具を使用することも効果的でしょう。

布団やベッドに寝ている場合はシーツや洋服がよれてしわになっていると、その部分だけ圧迫が強くなったり皮膚の摩擦が強くなったりして褥瘡ができてしまうことがあるので、しわやよれを取ることも重要です。

さらに、皮膚自体がもろくなってしまうと褥瘡もおこりやすくなります。

しっかりと栄養を取り、状態を整えることも重要です。

栄養状態が悪くなってしまうと、筋肉や脂肪も少なくなり骨ばった身体になってしまい、そこに圧がかかりやすくなるため褥瘡ができやすくなってしまいます。

また、栄養状態が悪いと、万一褥瘡になったときも治りが悪くなります

皮膚を清潔に保ち、保湿などスキンケアを行うことも重要です。

例えば寝たきりの人の場合やトイレも行けずにおむつなどで生活せざるを得ない場合もありますが、褥瘡はそのおむつの中、おしりの部分にできることもあります。

そのため、褥瘡ができてしまったのであれば便や尿などで汚染されないように注意しなければなりません。

そして何より、褥瘡ができていないのか細かく観察しておくことも重要です。

褥瘡は一度なってしまうと治るまで時間がかかる物です。

褥瘡になりかけている部分を早期に見つけることができれば、傷が浅い、赤くなっているだけの状態で治療を開始することができますし、早期に治療を開始できれば治るのも早くなります。

▶︎MRSAとは?感染経路や症状を解説|高齢者がなりやすい理由も


西春内科在宅クリニックができる対応


在宅での褥瘡対応では、ヘルパーさんや家族が褥瘡を見るけることがおおいでしょう。

ただ、褥瘡と言われてもその見分け方、どのように注意すればいいかなどわからない場合が多くあります。

西春内科・在宅クリニックでは訪問診療を行っています。

ご自宅や施設に定期的にお伺いし診察を行いますので褥瘡が出来ていた場合速やかに治療を開始していただけます。

また、褥瘡ができてしまった後には、在宅でできる範囲の処置、薬の処方や皮膚を清潔に保ち、保湿するなどのケアの指導などを行って治療していきます。

万一褥瘡がひどくなってしまい、病院での処置が必要となれば、大きな病院に紹介することもできます。

まずはお気軽にご相談ください。



まとめ


褥瘡は寝たきりの人など、長時間同じ姿勢で動きにくい人になりやすい症状です。

そのような状況では誰でもなり得る症状です。

褥瘡は悪化すると骨付付近まで組織が傷ついてしまうこともあります。

また、細菌に感染してしまった場合、重症化することもあります。

褥瘡は、放置するとどんどん傷が深くなってしまうため、早期発見を行い早期に治療すること、そもそも褥瘡を作らないように定期的に身体を動かすなど予防に努めることが重要です。

参考文献

日本褥瘡学会 褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)
荒木真由美ら 持続吸引による陰圧閉鎖療法を導入した褥瘡ケアの一例 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 2000; vol4; 68-71

高齢者における慢性疼痛とは?痛みの特徴や治療について解説

慢性疼痛

「疼痛(とうつう)」とは、身体の一部に生じる不快な感覚や痛みを表します。

内の組織や神経に何らかのダメージや刺激が加わった際に体からのシグナルとして痛みが自覚されます。

このように、痛みは体の防御メカニズムの一つですが、起こってしまった時にはとても辛い症状です。

この記事では疼痛について原因や特徴、治療などについて解説していきます。

痛みについて理解を深めていき、日常生活に役立ててください。



慢性疼痛とは


慢性疼痛

痛みは患者さんが医療機関を受診するきっかけとして、非常に頻度が高い症状です。

痛みが出始めてからすぐの時期は急性疼痛と言われ、その痛みが長引いた場合を慢性疼痛と言います。

慢性疼痛の定義は痛みの部位にかかわらず3カ月以上痛みが続いた状態とされています。

慢性疼痛は全身の様々な部分で起こりえますが、癌による痛みを除いた場合には腰痛や膝関節痛などの筋骨格系の痛みが最も多い原因です。

▶︎ぎっくり腰になるかもしれない予兆|病院へ行くべき痛みレベルを解説

慢性疼痛になる原因

慢性疼痛

慢性疼痛は全身の様々な部分に起こる可能性があります。

部位としては、以下などが挙げられます。

  • 腰痛
  • 頭痛
  • 関節の痛み
  • 外傷や手術後に遷延する痛み
  • 神経の障害による疼痛
  • 原因の特定が困難な痛み(線維筋痛症、舌痛症、骨盤内慢性疼痛 他)

そのため、原因となる病気も多数存在します。

国民生活基礎調査によると、腰痛は慢性疼痛の中でも最も頻度が高い症状ですが、原因を特定することは困難なことが多いと報告されています。

実際に腰痛に関しては整形外科専門医が診察をして、画像検査を行なっても3割は原因が特定できないと言われています。

また、神経の損傷による慢性疼痛の場合には帯状疱疹後の神経痛、糖尿病による神経障害性の痛み、脊髄損傷や脳卒中後遺症としての疼痛などがあります。

▶︎高齢者に多い圧迫骨折の自宅療養のポイントや治療について解説

慢性疼痛はどんな痛み?特徴や種類について


慢性疼痛

痛みはメカニズムの違いから侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会的疼痛の3種類に分けられています。


侵害受容性疼痛

(しんがいじゅようせいとうつう)

切り傷、打撲、骨折などのケガにって、末梢神経の侵害受容器が刺激されることによって痛みを起こします。
 
神経障害性疼痛

(しんけいしょうがいせいとうつう)
腰椎ヘルニアや帯状疱疹、脳卒中などで感覚神経が障害されることによって起こるビリビリ、ジンジンとした神経の痛みです。

心理社会的疼痛

(しんりしゃかいてきとうつう)
心因性疼痛とも言われますが、慢性的もしくは強いストレスを蓄積することで身体に痛みを生じてしまう病気です。

これらのどの原因によっても慢性疼痛になる可能性があります。

慢性疼痛の場合には複数の要因が絡み合って悪化してしまっていると考えられます。

また、慢性疼痛では痛みだけではなく不眠や疲労感、抑うつなどの様々な症状を伴うこともあります。

▶︎高齢者の足のむくみの原因とは|放っておくと危険な理由も解説

慢性疼痛を訴えない高齢者が多い?


慢性疼痛

高齢者において慢性疼痛はよくある症状ですが、痛みを訴えない場合には痛みがないという誤った理解がされていることがあります。

高齢者においては慢性疼痛の頻度が非常に多くなっています。

平成25年の国民生活基礎調査において高齢者の方では「腰痛・肩こり・手足の関節の痛み」が多いと報告されています。

そのため、慢性疼痛を抱えながら生活している高齢者が多く存在することが推測されています。

しかし、高齢者に関わる側の問題として、

「痛みは加齢におけるごく普通のこと」
「患者が痛みを報告しないときには痛みは存在しない」

などの誤った理解がなされていることが指摘されています。

そのため、高齢者に関わる場合には、痛みを訴えていなくても、慢性疼痛によって生活が障害されてしまっている可能性を考えて向き合う必要があります。

▶︎癬疥(かいせん)を放っておくとどうなる?うつる確率や高齢者に多い理由とは

慢性疼痛の治療について


慢性疼痛

慢性疼痛の原因は多くあるので、痛みの原因が特定されている場合には根本的な治療が有効な場合があります。

しかし、根本的な治療が難しい場合や、原因がはっきりとしない場合には痛みのコントロールと予防が重要になってきます。

これは、慢性疼痛の痛みをゼロにすることは困難で、痛みの軽減と患者さんの生活の質(QOL)と日常生活動作(ADL)を改善することを目標にしています。

痛みのコントロールについては様々なお薬が使用できます。

ロキソプロフェンなどの消炎鎮痛薬、アセトアミノフェン、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤、プレガバリンやミロガバリン(神経障害性疼痛治療薬)、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬、筋弛緩薬、オピオイドチンつ薬などがあります。

これらのお薬を病気の内容に応じて使い分けていきます。

お薬以外の侵襲的治療としてはブロック注射や電気刺激法などが挙げられますが、適応となる病気が決まっているので、詳しくは担当医とよく相談することが必要です。

そのほかの非侵襲的治療としては運動療法や心理療法などがあり、いずれも効果があると報告されています。



西春内科在宅クリニックができる対応


慢性疼痛は長期に続き、完治することが非常に難しい症状の1つです。

そのため、いくつかのお薬を使用してコントロールしていく必要がありますが、痛みのため通院が難しいことも多く在宅医療のメリットは非常に大きいと言えます。

痛みの治療においてはまず原因をしっかりと調べることが大切です。

背中や関節の痛みであれば整形外科、神経の痛みであれば神経内科、お腹の痛みであれば消化器内科など専門医の診察を受けて診断をしっかりつけるようにしましょう。

その上で、痛みの根本的な治療が難しく、お薬でコントロールしていくという場合には、ぜひ当院にご相談ください。

がんによる痛みであればモルヒネなどの医療用麻薬を使用する場合もありますが、基本的には通常の鎮痛薬から使用していき、副作用がないか確認しながら量を増やしていきます。

その上で痛みのコントロールが難しい時には弱オピオイドという弱い医療用の麻薬から使用していき、徐々にお薬を強くしていきます。

それぞれのお薬にはいい面だけではなく、副作用をあるので、用法用量をしっかり守るようにしてください。

痛みが少しでも和らぐように、治療や、場合によっては専門医への紹介も行っていますので、心配な症状がある時にはぜひお気軽にご相談ください。



まとめ


慢性疼痛は様々な原因、病態が組み合わさることで、3ヶ月以上痛みが続く症状のことを言います。

治療にはまず、原因をしっかりと調べて根本的な治療を行うことが大切です。

しかし、中には原因がわからない場合や、根本的な治療がない、もしくはできないという場合もあることと思います。

そのような場合には、お薬で痛みをコントロールしていく治療になります。

しかし、痛みのため通院が難しいという場合も多いかと思います。

当院では、外来診療のみでなく訪問診療も行っています。

慢性の痛みで通院が困難等、相談したいことがありましたらいつでもご相談ください。

参考文献

慢性疼痛診療ガイドライン
平松万由子.「高齢者の慢性疼痛と生活への影響」

ぎっくり腰になるかもしれない予兆|病院へ行くべき痛みレベルを解説

ぎっくり腰

2019年の厚生労働省の調査では

病院を受診する理由として”腰痛”は男性で第一位、女性では肩こりに次ぐ第二位となっており、悩んでいる方がとても多い症状です。

中でも「ぎっくり腰」は突然起こり、動くこともできないほどの痛みがあることもあります。

今回は、ぎっくり腰の原因や症状、対処法などについて解説していきます。

急な腰痛で困っている方はぜひ参考にしてみてください。



ぎっくり腰の原因とは


ぎっくり腰

ぎっくり腰とは急に起こった強い腰痛を指す一般的に用いられている名称であり、病名や診断名ではありません。

そのため、ぎっくり腰の痛みの原因は様々であり、腰の中の関節の捻挫や軟骨である椎間板の損傷、腰を支える筋肉や靭帯の損傷などが考えられます。

しかし、足に痛みやしびれがあったり、力が入らないなどの症状があったりするときには椎間板ヘルニアや中年以上では腰部脊柱管狭窄症などの病気の可能性もあります。

さらに、がんが背骨に転移して痛みを生じたり、ばい菌による背骨や軟骨(椎間板)の化膿などの重大な原因が潜んでいることも時にあります。

そのため、腰痛がひどいときは整形外科を受診して診断を受けることが大切です。

▶︎高齢者に多い圧迫骨折の自宅療養のポイントや治療について解説

ぎっくり腰の症状と痛みレベル


ぎっくり腰

ぎっくり腰の症状は何か物を持ち上げようとしたときや、腰をねじるなどの動作をしたときなどに起こることが多いです。

しかし、朝起きた直後や何かしていなくても起こることもあります。

ここから、ぎっくり腰の症状と痛みのレベルについて解説していきます。

軽症の場合


軽度のぎっくり腰では、動作の時に少し痛みがある程度ですので、慎重に過ごせばいつもと同じような日常生活を送れます。

通常は1〜2週間程度で自然によくなることが多いのです。

しかし、腰痛の他に足の痛みやしびれなどの症状がある場合や、痛みが長引いているときには病院を受診することがお勧めです。

中程度の場合


痛みのレベルが中程度の時には日常生活が大変な程度の腰痛がみられるので、慎重に日常生活を送ることが必要です。

重度の場合


重度の腰痛では、痛みがひどく、立ったり座ったりする動作や、歩行も困難な状態になります。

痛みがひどい場合には動くのも大変ですが、診断をつけるためにも早めに整形外科を受診することが必要です。

▶︎高齢者の足のむくみの原因とは|放っておくと危険な理由も解説

筋膜性腰痛とぎっくり腰の違い




筋膜性腰痛とは、筋肉を覆っている筋膜がなんらかの理由で損傷したり炎症を起こすことで痛みを生じる腰痛のことを言います。

ぎっくり腰が腰痛全般を言うので、ぎっくり腰の方がより広い概念で、その中に筋膜性腰痛が含まれることとなります。

腰痛の原因を調べた近年の報告によれば、腰痛の原因の内訳は

  • 背骨の関節(椎間関節)由来が22%
  • 筋膜性腰痛が18%
  • 椎間板による痛みが13%
  • 脊柱管狭窄が11%
  • 椎間板ヘルニアが7%

と言われています。

そのため、筋膜性腰痛は腰痛の原因の中で比較的多いと考えられます。

▶︎高齢者に多い骨折の部位を解説|治癒期間や手術ができない場合について

ぎっくり腰の前兆・予兆チェックリスト




ぎっくり腰は突然起こることが多いのですが、前兆がある場合もあります。

ここからぎっくり腰の前兆、予兆について解説していきます。

✅寝返りでの腰の痛み
✅仰向けで寝ていると腰が痛む
✅起き上がる時、立ち上がる時に腰が痛む
✅前屈みで腰が痛む
✅座っていると腰が痛む
✅歩いた時や階段で腰が痛む
✅咳、くしゃみで腰に響く

これらのうち3つ以上あてはまる方はぎっくり腰になる可能性があります。

症状が悪化する前に早めに整形外科や整骨院で治療を受けることがお勧めです。

▶︎【加齢による筋肉量の低下】サルコペニアとは?症状やフレイルとの違い、診断基準について

ぎっくり腰になったときの対処法やツボ




ぎっくり腰になった時には痛みで動けなくなってしまい慌ててしまうことと思います。

まずは症状をしっかり確認して、すぐに病院を受診した方がよい症状があるか確認しましょう。

また腰痛の対処法とツボについても解説するので参考にしてください。

ぎっくり腰になった時に確認することとして、緊急性のある腰痛の可能性を除外することが必要です。

緊急性のある腰痛は下記のようなものです。

✅骨折
✅細菌の感染
✅大動脈解離など血管の病気

これらの病気の可能性がある症状は下記となっています。

✅高齢(もしくは未成年)
✅安静時の痛み
✅胸部の痛みを伴う、突然の激痛
✅癌の治療をしている、ステロイドなどの免疫を抑制する治療を行っている
✅最近体重が減少している
✅発熱
✅足の痺れ、麻痺などの神経の症状がある
✅排尿の問題(尿がでないなど)がある

上記のような症状があるときにはただのぎっくり腰ではない可能性が高いので早めに病院を受診するようにしましょう。

次にぎっくり腰の対処法について解説します。

安静

 

ぎっくり腰

急性期の痛くて動けないようなときは安静を保ち、動けるようになったら無理をしない範囲で動きましょう。

多少痛くても、痛みの範囲で動かすようにした方が治りは早いです。

お薬での治療

 

ぎっくり腰

病院を受診すると、痛み止めのお薬が処方されます。

飲み薬、坐薬、湿布などの種類があり、それぞれを組み合わせて炎症を抑えることで痛みを和らげます。

リハビリ、エクササイズ、マッサージ

 

ぎっくり腰

ストレッチやヨガ、ピラティスなどのエクササイズは運動療法と言われており、腰痛自体の治療や再発予防に有効です。

また、マッサージも痛みを和らげることが期待できます。

効果的なツボは腰を押してみて痛みがある部分です。

入浴後やベッドに入る前などに、心地よい程度の強さで押してあげることで痛みの改善に効果があります。

▶︎【高齢者に多い骨折】骨粗しょう症とは?薬を飲みたくない人向けの予防法や治療法はある?

ぎっくり腰で動けないときはどうすればいい?


ぎっくり腰

ぎっくり腰になってしまって動けないときは、まずは慌てずに症状を確認することが大切です。

先述した通り突然の激痛や発熱、足の痺れ、麻痺、尿がでないなどの症状がなければ緊急性は低いと考えられます。

そのため、無理をせずに安静にして、腰に負担がかからない楽な姿勢を取り、患部を冷やすようにしましょう。

また、痛み止めの薬を使って、痛みの範囲で腰のストレッチを行います。

痛みがよくなってきて動けるようになってきたら早めに病院を受診して診断をつけてもらい、治療を開始するようにしましょう。



病院やクリニックでの処方について


病院やクリニックを受診した際には痛み止めのお薬が処方されます。

痛み止めは飲み薬、坐薬、湿布、注射などの種類があります。

ここから、お薬の成分について解説していきます。

非ステロイド性抗炎症薬


ぎっくり腰

ロキソニンやイブプロフェン、アスピピリンといった薬剤で、炎症を抑えて痛みを和らげます。

腰痛に対して第一選択薬で市販薬も多く販売されています。

副作用として胃腸障害や腎機能障害、喘息などが起こり得ます。

アセトアミノフェン


ぎっくり腰

カロナールという薬剤名で販売されています。

こちらも腰痛に対して第一選択薬で、子供や高齢者でも安全に使用でき、非ステロイド性抗炎症薬よりも副作用が少ないというメリットがあります。

筋弛緩薬




筋弛緩薬とは、筋肉の緊張状態を緩和させる薬のことです。

ぎっくり腰では、筋肉の緊張が腰痛を悪化させていることがあります。

そのため筋肉を弛緩させることで、痛みを和らげる効果が期待できます。

オピオイド


ぎっくり腰

オピオイドとは「医療用麻薬」のことです。

非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンで効果が少ない時には作用が弱い弱オピオイドが処方されることがあります。

吐き気や便秘などの副作用がありますが、吐き気止めや便秘薬を使用することで問題なく使える方がほとんどです。



西春内科在宅クリニックができる対応


ぎっくり腰である急性腰痛症は発症した直後は激痛で動くことができませんが、多くの方は安静とお薬で自然によくなります。

しかし、腰痛をしっかり直すためにも整形外科の受診が望ましいです

痛みがひどい場合は別の病気の可能性もあります。

西春内科在宅クリニックでは、レントゲン検査が可能です。

丁寧な問診と身体検査を行い、必要に応じてレントゲン検査を行います。

症状を和らげるよう、鎮痛剤の処方も行えますのでまずはお気軽にご相談ください。

また、必要に応じて近隣の病院へ紹介することが可能です。



まとめ


ぎっくり腰とは急に起こった強い腰痛を指す名称です。

痛みの原因は様々であり、腰の中の関節の捻挫や軟骨である椎間板の損傷、腰を支える筋肉や靭帯の損傷などが考えられています。

痛みが強いときには安静、お薬での治療を行い、痛みが和らいできたら病院を受診して診断をつけてもらうようにしましょう。

また、痛みの範囲内でストレッチ、エクササイズを行うことが腰痛の再発予防にお勧めです。

お困りの症状がありましたらいつでもご相談ください。

参考文献
日本整形外科学会.ぎっくり腰
ぎっくり腰を即効で治す方法4選!痛みレベル別の症状と正しい治し方
筋膜性腰痛とぎっくり腰の違いってなに?
【ギックリ腰の前兆】チェックする方法
腰痛のツボを知って、痛みの軽減や予防をしよう

高齢者に多い圧迫骨折の自宅療養のポイントや治療について解説

圧迫骨折

圧迫骨折とは尻もちなどのケガで背中の骨(椎体)がつぶれて扁平になってしまう骨折です。

高齢の女性に起こりやすく、骨粗しょう症(こつそしょうしょう)によって骨が弱くなっていることが大きな原因です。

今回は、圧迫骨折が高齢者に多い理由や、放置した際のリスク、治療方法などについて詳しく解説していきます!

ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の治療に役立ててください。



圧迫骨折が高齢者に多い理由


圧迫骨折が高齢者に多い原因として、骨粗しょう症と背中の曲がりが挙げられます。

それぞれについて解説していきます。

骨粗しょう症とは


圧迫骨折

骨の量(骨量)が減ってしまい骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気
です。

日本では約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。

骨が弱くなってしまうと背中の圧迫骨折の他に、手首や上腕骨の付け根、股関節の骨折を起こしやすくなってしまいます

骨粗しょう症になる原因として、老化と女性ホルモンの減少が挙げられています。

骨は皮膚や髪の毛と同じように新たに作られること(骨形成)と溶かして壊される(骨吸収)新陳代謝を繰り返しています。

骨粗しょう症は、このバランスが崩れることで起こり、閉経によって女性ホルモンが減少することが大きな原因です。

背中の曲がりとの関連


圧迫骨折

背中の骨は椎体といって、首、胸、腰の部分で頚椎、胸椎、腰椎の3つに大きく分かれています。

背骨は進化の過程において、立った姿勢を保てるようにS字のカーブを描いています。

そのため、カーブの曲がっている部分で負担が大きくなりやすく、胸椎の下の部分と腰椎の部分で圧迫骨折が起こりやすくなります。

また、1箇所で骨折が起きてしまうと、背骨の前方の高さが減ってしまうことで姿勢が悪くなっていきます。

そうすると、重心が前に移動して、てこの原理により背骨の負担が増加してしまい、次々と骨折を起こしてしまう可能性が高くなります。

そのため、初めの骨折を起こさないようにすること、初めの骨折の段階で骨粗しょう症の治療を始めることが大切になってきます。

▶︎高齢者の足のむくみの原因とは|放っておくと危険な理由も解説

圧迫骨折は気づきにくい?放置するリスクについて


圧迫骨折

通常の圧迫骨折は尻もちをつくなどのケガが原因で起こり、寝返りや起き上がりなどの動作ができないくらいの腰痛があるので気づくことが多いです。

しかし、特に背中が痛くなった経験がないのに、レントゲン検査をして背骨が骨折をしていたということがわかる「いつのまにか骨折」が多いのも圧迫骨折の特徴です。

ほとんどの圧迫骨折は保存治療といって手術をせずに安静や腰のバンド、コルセットなどで治療をしていきます。

しかし、手術が不要だからといって放置することは禁物です。

稀に圧迫骨折で潰れた骨が神経を圧迫して、足の麻痺や排尿・排便の感覚がわからなくなることがあります。

また、圧迫骨折の原因として骨粗しょう症が隠れていることが大半なので、放置することによって、さらなる骨折を起こしてしまう可能性があります。

そのため、圧迫骨折と診断されたら、放置をせずに医師の指示に従い治療を始めることが必要です。

▶︎尿路感染症に高齢者がなりやすい理由|原因と症状について解説

圧迫骨折でやってはいけないこととは?


圧迫骨折

圧迫骨折では背骨に負担がかかる動作をすることで痛みが悪化したり、背骨がより潰れてしまうことがあるので、控えるべき動作があります。

圧迫骨折で控えるべき動作について解説していきます。

✅仰向けに寝る
背骨への負担を避けるためには横向きで寝るのがお勧めです。
仰向けの姿勢は背骨への負担が大きいことがわかっているので、できるだけ控えるようにしてください。

✅前かがみになる
前かがみの姿勢は骨折部を上下から圧迫する力がかかるので、避けることが必要です。
日常動作で多く行う姿勢ですが、痛みが強くできないことがほとんどですし、やりすぎると背骨がつぶれてしまう原因になります。
できるだけ家族に介助してもらったり、ハンドキャッチャーを使用して前かがみはしないようにしましょう。

✅重いものを持つ
重いものを持つ時には力学的に腰に大きな負担がかかっています。
そのため、痛みが悪化する原因になるのでしないようにしてください。

✅体をひねる
体をひねる動作も痛みの悪化の原因になります。
特に骨折をして初めのうちは寝返りもできないくらいの痛みとなります。
そのため、悪化しないように、できるだけ体をひねらないようにして過ごすようにしてください。

▶︎【治る認知症】高齢者がなりやすい水頭症の症状から原因、治療について解説

圧迫骨折の治療について


圧迫骨折

治療の基本は安静や腰のバンド、コルセットを使った保存治療と、骨粗しょう症の検査・治療です。

保存治療では痛みが和らぐまで安静にして、腰のバンドやコルセットで腰を保護します。

特に骨折をしてから1ヶ月の間は骨折している部分が不安定で潰れる可能性があるので、注意が必要です。

可能であれば病院でコルセットを作成してもらい、背中を曲げる動作は控えるようにしましょう。

痛みの期間ですが、早い人では2週間から、多くの人では3~4週から骨が形成されてきて痛みが楽になります。

しかし骨が硬くなるまでは数ヶ月かかるので、骨折がしっかり治るまでは無理をしないようにすることが大切です。

ご高齢の方の圧迫骨折はほとんどの場合、骨粗しょう症が原因です。

病院で血液検査や骨密度検査を行い、今後の骨折予防のために治療を始めることが勧められます。

骨粗しょう症の予防にはカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質を摂取して、禁煙し、アルコールを控えめにして運動、日光浴をすることが有効です。

カルシウムやビタミンDは骨を強くする成分ですが、日本人では不足しがちなのでサプリメントも併用して十分に取るようにしてください。

またタバコ、アルコールは骨を弱くしてしまうので控えるようにし、逆に運動は骨を強める作用があるので積極的に行うようにしましょう。

また、日光浴をすることで体内でビタミンDが作られるので1日20〜30分程度行うことが勧められます。

またお薬での治療もあります。

健康な骨は作られる(骨形成)のと壊される(骨吸収)ことのバランスが保たれていますが、骨粗鬆症では骨吸収の作用が強くなっています。

そのため、骨吸収を抑制させたり、骨形成を強めることで骨を強くすることができます。

お薬はたくさんの種類があり、患者さんの年齢や状態によって選択されます。詳しくは担当の医師とよく相談することが大切です。

圧迫骨折になったら入院が必要?自宅療養のポイントについて


圧迫骨折

圧迫骨折になってしまっても必ず入院が必要なわけではありません。

痛みの程度が強く、自宅で生活ができない場合には入院が必要ですが、痛みが軽度で家族が介助できる時にはご自宅で治療することもできます。

自宅療養の際のポイントについて解説します。

✅安静にする
骨折部に骨が作られて痛みがやわらいでくる2-3週間まではできるだけ安静にするようにします。

✅姿勢に注意する
前かがみや腰をねじる動作は痛みの悪化の原因になるのでしないようにしましょう。

✅コルセットを使用する
病院でコルセットを処方してもらい、できるだけつけておくようにしましょう。
コルセットを使うことで、腰が保護されて痛みが軽減します。
痛みや骨折の状態にもよりますが、およそ2-3ヶ月程度の装着が目安です。
あまり長期間の使用は背中の筋肉が衰える原因になるのでおすすめできません。
医師からの指導を守ることが大切です。

✅薬を使用する
痛みが強い場合には市販薬や病院で処方された鎮痛薬を使用しましょう。
鎮痛薬は飲み薬、坐薬、湿布など色々あるので組み合わせて使うことがおすすめです。

▶︎高齢者に多い骨折の部位を解説|治癒期間や手術ができない場合について

病院やクリニックでの処方について


圧迫骨折

病院やクリニックでは鎮痛薬、コルセットを処方してもらうことができます。

また必要に応じてブロック注射やリハビリを行うこともあります。

鎮痛薬はロキソニンやアセトアミノフェンなどの成分があり、これらを組み合わせて処方されます。

また飲み薬、坐薬、湿布などの種類があります。

コルセットはご自分で購入すると高額ですが、圧迫骨折に対するコルセットは健康保険が適応されるので実費の1〜3割の負担で購入することができます。

さらに、痛みを軽減させるブロック注射や筋力が低下している時にはリハビリが行われる場合もあります。

骨折によって寝たきりになってしまわないようにしっかりと治療を受けることが大切です。



西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科・在宅クリニックでは、丁寧な問診と診察を行い、診断をします。

診断のために、レントゲン撮影を行います。

痛みがある場合、鎮痛剤などの処方を行えますのでまずはお気軽にご相談ください。

当院だけでは症状が悪化していると判断した場合には近隣の病院へ紹介することができます。

痛みが早くよくなるように、治療に当たりますので、心配な症状がある時にはぜひお気軽にご相談ください。



まとめ


今回は、圧迫骨折が高齢者に多い理由や、放置した際のリスク、治療方法などについて詳しく解説しました。

圧迫骨折は高齢の方によく起こる背骨の骨折です。

痛みがよくなるまで数週間、治るまで数ヶ月かかります。

また、ほとんどの場合で骨粗しょう症が原因です。

放置しておくことで痛みが長引いたり、さらに骨折を起こしてしまうことがあります。

そのため、初期の段階からしっかりと治療をすることが大切です。

お困りの症状がありましたらいつでもご相談ください。


参考文献

日本整形外科学会.脊椎椎体骨折
日本骨折治療学会.骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折
日本整形外科学会.骨粗鬆症(骨粗しょう症)
腰椎圧迫骨折の原因・症状・治療法などについて解説
圧迫骨折でやってはいけないことは?正しい動作とリハビリを解説
圧迫骨折とは?自宅療養のポイントや痛みを和らげるコツを解説

スマホ認知症かもしれないチェックリスト|認知症や依存症との違いは?

スマホ認知症

近年、私たちの生活に欠かせない存在となったスマートフォン。

その利便性や多機能性から、私たちは日常的にスマートフォンを手に取り、情報収集やコミュニケーションに利用しています。

しかし、その反面、スマートフォンの過度な使用が引き起こす健康上の問題が注目されています。

その一つが「スマホ認知症」と呼ばれる状態です。

それではスマホ認知症とはどのような病気なのでしょうか?

今回は、そんなスマホ認知症の原因や症状、対策方法などについて詳しく解説していきます。



スマホ認知症になる原因


スマホ認知症

まずスマホ認知症は現在研究が行われており、正式な病名ではありません。

そして病院でスマホ認知症と診断されることもありません

ただデジタル機器、特にスマートフォンの長時間の使用で認知機能が低下する可能性が報告されています。

スマートフォンによる認知機能低下を起こしうる原因として以下などが原因として考えられていますが、いまだに議論が別れるところです。

  1. 長時間のスマートフォンの使用
  2. 脳の処理能力以上の情報が持続的に供給されうること
  3. 生活スタイルの変化による実際の対人関係の希薄化
  4. ソーシャルメディアに対する依存性

▶︎ストレートネック(スマホ首)の症状|改善策や原因について解説

スマホ認知症の症状とは


スマホ認知症の症状は、個人によって異なる場合がありますが、考えられている一般的な症状のいくつかを以下に挙げます。

集中力・注意力の低下


スマホ認知症

スマホ認知症の人は集中力が低下し注意散漫になることがあります。

特に若年者の場合は勉強中などにスマートフォンが気になることで集中力の低下をきたしやすいです。

ソーシャルメディアの通知なども症状を悪化させる一因となり得ると考えられます。

記憶力の減退


スマホ認知症

スマホ認知症の人は、記憶力が減退することがあると考えられています。

情報の過多やスマートフォンの使用による脳の負担が原因で、情報の保持や記憶が困難になる可能性があります。

社会的な関与の減少


スマホ認知症

スマホ認知症の人はスマートフォンへの依存が高まるため、他の人との対話や交流の機会が減少することがあります。

これにより、社会的な関与や人間関係が制限される可能性があり、満足な対人関係が困難になる可能性があります。

若年層でもスマホ認知症になりえる?


スマホ認知症

スマホ認知症は上述の原因から10代から20代への影響が強く問題視されています。

これは若年層ではスマートフォンを使い始める時期が早くなってきていること、長期間の使用による集中力の低下が考えらえるためです。

特に脳の神経回路の成長段階にある若年者に対してのスマートフォンの長時間の使用に関する影響はいまだ明らかになっておらず、スマホ認知症を起こす可能性は完全には否定できません。

また夜間のスマートフォンの使用により不眠を引き起こす可能性も高く、不眠により認知機能を低下させる可能性があります。

▶︎なぜ眼精疲労で頭痛になるの?効果的なツボや予防対策を紹介

スマホ認知症かもしれないチェックリスト


スマホ認知症

以下にスマホ認知症を疑う症状のチェックリストを記載しました。

以下の症状がいくつか当てはまり、日常生活に支障が出ているようであればスマホ認知症の可能性が否定できません。

✅集中力の低下
・集中することが難しくなったか?
・長時間スマートフォンを使用していると、他のことに集中できなくなるか?
✅注意力の散漫さ
・スマートフォンの通知などによって、注意がそらされやすくなったか?
・他の人との会話中でもスマートフォンをチェックしたくなるか?

✅情報処理能力の低下
・情報の取捨選択や整理が難しくなったか?
・意思決定や判断力が鈍くなったか?
✅記憶力の減退
・最近の出来事や予定を覚えておくことが難しくなったか?
・過去の出来事や情報を思い出すのが難しくなったか?
✅スマートフォンへの依存
・スマートフォンを使用しないと不安や落ち着かなさを感じるか?
・スマートフォンを使用する時間が明らかに増えているか?
✅社会的な関与の減少
・スマートフォンの使用が他の人との対話や交流の機会を制限しているか?
・スマートフォンを使用しているときに周囲の人とのコミュニケーションが減少しているか?
✅不眠症の出現
・寝る前やベッドの中でもスマートフォンを使っているか?
・スマートフォンの使用により睡眠に支障が出ていないか?




従来の認知症・スマホ依存症との違いは?


スマホ認知症

従来の認知症は脳の神経細胞の変化や異常によって引き起こされます。

主な原因として以下などがあります。

  • アルツハイマー病
  • パーキンソン病
  • レビー小体型認知症
  • 脳血管性認知症

発症要因としては遺伝的要因や加齢に伴う脳の変化、心疾患や糖尿病、外傷などがあります。

対してスマホ認知症は長期間のスマートフォンの使用が原因になりうると考えられていますが、未だその発症要因に関しては明らかになっていません。


スマホ認知症とスマホ依存症の違いは認知機能の低下の有無があります。


スマホ依存症はスマホを使わないとイライラする・不安になるなどの精神症状などを来し、日常生活に支障を来す病気ですが認知機能の低下は起こさないと考えられています。

▶︎VDT症候群とは?スマホが原因?|症状のチェック項目や治療について


スマホ認知症の治し方・予防対策「デジタルデトックス」について


スマホ認知症の治し方は未だ明らかにはなっていません。

ただ長期間のスマートフォンの使用が悪影響であると考えられているため、スマートフォンや電子機器の使用を控えることで予防は可能であるかもしれないとされています。

しかしながら現代社会で完全にスマートフォンなどの電子機器から離れることは不可能でしょう。

そのため以下のことに注意してスマートフォンの使用を徐々に控えて行くことをお勧めします。

寝る前のスマートフォンを控えましょう。


スマホ認知症

睡眠前のスマートフォンの使用により睡眠時間が減る、または入眠が難しくなるといった影響があります。

ベッドサイドにスマートフォンを置くことでSNSなどの通知が気になってしまうことも考えられますので、就寝時はスマートフォンを寝室に持ち込まないようにしましょう。

スマートフォンの通知を減らす・切るようにしましょう。


スマホ認知症

スマートフォンの通知機能は便利ですが、通知が過剰になることでスマートフォンを見ないことが難しくなります。

自宅でのリラックス中は通知がきても問題はありませんが、通知により仕事や勉学に支障が出る可能性もあります。

必要のない通知を少なくすることを心掛けましょう。

スマートフォンの使用時間をコントロールしましょう。


スマホ認知症

どうしてもスマートフォンを使ってしまう場合はアプリで使用時間を制限することも有効です。

電話や仕事の連絡が必要な場合でも、必要な機能は使えるように設定することも可能です。

また物理的にスマートフォンをロックする箱などもあるので試してみることもいいかもしれません。

▶︎ドケルバン病になったら病院に行くべき?|自宅でできる対処法も紹介


西春内科在宅クリニックができる対応



スマホ認知症を少しでも疑う症状があるようなら西春内科・在宅クリニックへの受診をお勧めいたします。

スマホ認知症以外にも認知機能が低下する疾患は多数あり、まずは医師の診察が必要です。

西春内科・在宅クリニックでは、丁寧な問診や検査を行います。

また、脳の状態を確認するためCT検査もクリニックにて行えますのでお気軽にご相談ください。



まとめ


今回は、スマホ認知症の原因や症状、対策方法などについて詳しく解説してきました。

いかがでしたでしょうか?

スマートフォンは便利なものですが使いすぎでスマホ認知症を引き起こす可能性があります。

ただ過度に恐れる必要はありません。

少しでもスマホ認知症を疑う症状があれば当院に受診してみてはいかがでしょうか?


参考文献
‣Ward, Adrian F., Kristen E. Duke, Ayelet Gneezy and Maarten W. Bos. “Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity.” Journal of the Association for Consumer Research 2 (2017): 140 – 154.
‣Moledina, Sanaa and Adeel Khoja. “Letter to the Editor: Digital Dementia-Is Smart Technology Making Us Dumb?” The Ochsner journal 18 1 (2018): 12 .

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