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パーキンソン病になりやすい人の特徴や症状とは?|原因から治療、社会サービスの解説

パーキンソン病 

☑身体を安静にしているときに起こる震え(安静時振戦)
☑歩行や起立を含め、あらゆる動作が遅くなり、時間がかかる(動作緩慢)

などの症状が現れたことはありませんか?

これらは
神経変性疾患であるパーキンソン病の代表的な症状です。

 

高齢者での発症が多く、発症初期は症状が軽微なこともあり、加齢によるものと判断して病院に受診しないことも少なくありません。

 

しかし、パーキンソン病が進行すると、歩きにくくなったり、転びやすくなったりするなど日常生活に大きな支障が出るようになります。

 

パーキンソン病は、リハビリテーシ ョンや薬物療法で症状がある程度改善することが多く、また指定難病の一つであり症状の程度によっては医療費助成制度の対象にもなります。

 

ここでは、どのような症状でパーキンソン病を疑うのか、パーキンソン病はどのような経過を辿るのかなどについて詳しくご紹介いたします。

 

パーキンソン病とは

 




パーキンソン病
1000人~550人に1人の割合で発症する疾患です。

 

中脳の一部である黒質のドパミン神経細胞(神経伝達物質としてドーパミンを放出する神経細胞)が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。

 

発症の原因は不明ですが、遺伝因子や環境因子の関与が重要とされており、10%弱は家族性であると推察されています。

 

また年齢とともに発症率が高くなり、高齢者人口の増加に従って患者数は増加しています。

 

症状は、

・安静時振戦(安静時には手が震えるが、コップを持つなど何か動作をするときには一時的に震えが止まる)

・動作緩慢(動作の開始や停止がしづらくなって、動作が遅くなったり、とっさの動作ができなくなったりする)

・自律神経症状(便秘や起立時などでの血圧低下)

 

などが代表的です。

 

その他にも嗅覚が落ちたり、寝相が悪くなったり、転びやすくなったりと様々な症状が出現します。

 

根治的な治療法はなく、経年的に症状が進行する病気で指定難病の一つになっています。

 

一方で症状を改善する薬に関してはたくさんの種類があります。

 

非薬物療法薬物療法の併用により発症初期には普通の人と変わらない生活ができることも多いです。

 

薬物療法の他にも、

・脳深部刺激療法(脳深部刺激療法とは、何らかの病変により、脳の一部が機能不全を起こしている患者の脳に適切な電気的または磁気的刺激を継続的に送りこむこと
レボドパカルビドパ経腸療法
(パーキンソン病患者さんに対して、2016年より保険適応となった新しい療法)

などの
デバイス治療という選択肢もあり、医療の発達に伴って治療の選択肢は複雑化しています。
 

それぞれの治療に利点、欠点があるため、疾患についてよく理解して治療を受けることが大切です。

>>自律神経失調症とは?原因や症状、治療方法などについて解説

パーキンソン病の症状

 




パーキンソン病の症状には非運動症状と運動症状があります。

非運動症状のような症状が代表的です。


非運動症状

・便秘

・起立性低血圧(急にべ立ち上がったり、起き上がった時に血圧が低下し、軽い意識障害、いわゆる立ちくらみを起こすこと)などの自律神経障害

・睡眠障害

・幻視(他人には見えないものが見えるという症状)

・認知機能低下

・意欲低下

・うつ症状

 

パーキンソン病の代表的な運動症状は、安静時振戦、動作緩慢・無動、固縮、姿勢反射障害です。

多くは左右差があります。

 

それらの症状はパーキンソニズムと呼称されます。

 

では、パーキンソン病に特徴的なパーキンソニズムについてくわしく見ていきましょう。

 

【安静時振戦】


安静時にみられる4-5Hzのゆっくりとした振戦で、物をとる、コップを持つなどの動作を行っている時、手を前に出すなどの何かしらの姿勢をとっている時には振戦が止まることが多いです。

 

発症の比較的初期から症状が出現することが多く、左右差を伴うことが多いです。

 

動作緩慢・無動(動作が遅くなる、自発的な動作が乏しくなる症状)で、動作の開始に時間がかかるようになります。

 

動作緩慢・無動

・動きが小さくなったり遅くなったりする

・声が小さくなる

・字が小さくなる(小字症)

・細かい動作ができなくなる

・表情が乏しくなる(仮面様顔貌)

 

歩行にも大きな影響があり、以下の特徴的な歩行障害が出現します。

 

歩行への影響

・手の振りが小さくなる

・歩行が小刻みになる(小刻み歩行)

 

 

【固縮】


受動的に筋肉を進展した時に無意識に抵抗してしまう症状で、
力を抜いているつもりでも他動的に関節を進展・屈曲させようとした際に抵抗してしまいます。

 

受動的に筋肉を進展する際に抵抗が強くなったり弱くなったりすること(歯車現象)が特徴です。

 

しかし、持続的に抵抗がある場合もあります(鉛管様固縮)。

 

関節の疾患との鑑別方法は、以下の通りです。

・自発的に、もしくはゆっくりとであれば他動的に関節を進展・屈曲することができること

・進展時に痛みなどの症状を伴わないこと



 

【姿勢反射障害】


症状の進行とともに出現する症状です。

 

姿勢が崩れても姿勢を立て直すことが困難となり、時に倒れてしまう症状です。

 

突然引っ張られる、肩がぶつかるなど突然姿勢が崩れた時にはそのまま転んでしまう。

 

通常では1~2歩で姿勢を立て直せるところが、それができずに倒れそうになった方向に走り出してしまう(突進現象)という症状が出現します。

 

 パーキンソン病の初期症状


パーキンソン病の初期症状は、以下の通りです。

初期症状

・動作緩慢(日常動作がゆっくりとなること)

・巧緻運動障害(細かい動作が困難になること)

・嗅覚障害、REM睡眠行動異常(寝言を言ったり、寝相が悪くなったりすること)

・便秘

 

 パーキンソン病が悪化すると、以下のような症状が現れます。

・次第に安静時振戦が出現する

・歩行時に手の振りが小さくなる

・歩行が小刻みになったり前傾姿勢になる

 
これらの症状がある場合には、脳神経内科に受診して、検査を受けるようにしてください。


 

 パーキンソン病の末期症状

 

パーキンソン病の末期症状は、歩行が困難となったり、嚥下障害となり誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったり日常生活が困難となります。

 

パーキンソン病が進行すると、薬の効果が不安定になったり(1日の中で薬の効果が不十分な時間と効果が強すぎて副作用が出る時間が混在する)します。

 

また、運動に関わる症状の他に認知機能の低下や幻視(視覚に関連した幻覚)、意欲低下などの非運動症状も出現、悪化することで、十分な薬物療法が困難となり、パーキンソニズムがより顕在化します。


また、歩行が困難となったり、嚥下障害が出現して誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったりと日常生活が困難になることもあります。



パーキンソン病の原因


パーキンソン病の原因について現段階で詳しくは分かっていません。

 

パーキンソン病の多くは孤発性(家族には遺伝しない)に発症します。

 

しかし、5~10%程度で家族内発症があり、遺伝的素因と環境因子の双方の関与が重要であることが知られています。

 

パーキンソン病は中脳の一部である黒質の*1ドパミン神経細胞が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。

 

参考>

*1 脳の中の黒質と呼ばれる場所にたくさんあるドパミンを作る神経細胞。ドパミンは、ドパミン神経細胞の中で作られて軸索の先端から細胞の外へと放出され、別の神経細胞に受け取られます。それにより、神経の信号が次の神経へと伝えられます。

 

病理学的な評価では障害された神経細胞で*1αシヌクレインという蛋白質を主成分とする*2Lewy小体がみられることから、ドパミン神経細胞の障害にαシヌクレインの凝集や蓄積が関与していると考えられています。

<参考>

【*1αシヌクレインとは】 主に成熟神経細胞のシナプス終末(神経細胞から突出した軸索の末端部分が袋状にふくらんだ部分で、別の神経細胞や器官に刺激を伝えるためのシナプスを形成する片側となる部分)に局在するリン酸化タンパク質で、シナプス機能の調整や可塑性に関与する。

【*2Lewy小体とは】中脳のドーパミン神経が変性脱落した部分を顕微鏡で調べると神経細胞の中に特殊な構造物(封入体)が見える。この構造物をレビー小体と呼ぶ。

 

パーキンソン病の原因に関しては様々な研究がなされています。

 

最近では*1迷走神経背側核などからシナプスに沿ってαシヌクレインが黒質に伝播することが要因の一つであるという仮説が有力です。

 

嗅神経または消化管が何かしらの刺激を受けることがパーキンソン病の発症に関与しているという二重ヒット仮説が有力となっています。

 

<参考>

【*1迷走神経背側核とは 】迷走神経性の分泌運動中枢。迷走神経背側運動核の細胞はコリンアセチルトランスフェラーゼChATに強く免疫陽性を示す。この核を破壊すると、インスリンによって誘発される胃液分泌が大きく減弱する




 パーキンソン病と食べ物との関係

 

様々な研究がされてはおりますが、現時点での食べ物とパーキンソン病の因果関係は証明されていません。

しかし、MIND食(アルツハイマー型認知症を予防する食事)や地中海食(魚や野菜、フルーツをメインに、オリーブオイルやナッツ類、赤ワインを取り入れた食事)を厳密に摂取することでパーキンソン病の発症を遅らせることができたとの報告はあります。

パーキンソン病食べ物

  • 抗酸化作用がある緑黄色野菜やオリーブオイル。
  • オメガ3脂肪酸(血圧を下げる)をたくさん含む魚やナッツ
  • 食物繊維が豊富な全粒穀物など

 

さらに、以下のことが疫学や様々な研究からわかっており、消化管からの刺激がパーキンソン病に関連しているという仮説が有力視されています。

 

・消化管に慢性炎症がある人はパーキンソン病の発症率が高い

・消化管の迷走神経(感覚神経・運動神経の一つ)を切除した人ではパーキンソン病の発症者がいない

 

 

また、腸内細菌叢(腸内に棲んでいる細菌)とパーキンソン病の関連の研究など、消化管とパーキンソン病との関連については現在も様々な研究がなされています。

 

他にも、乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取がパーキンソン病の発症に関与するとの報告があり、飽和脂肪酸(一般に固形で乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる)を避け、バランスの良い食事を行うことは健康の維持に寄与すると思われます。

 

 
パーキンソン病とストレスの関係

 

パーキンソン病とストレスとの関係は証明されていません。

 

2型糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームがパーキンソン病の危険因子であり、ストレスはメタボリックシンドロームなどのリスクになることから間接的な関与がある可能性はありますが、ストレスとパーキンソン病の発症との間に直接的な関係はないと思われます。

 

パーキンソン病と姿勢との関係

 

パーキンソン病の発症には姿勢は関係がないと考えられます。

 

パーキンソン病を発症すると前傾姿勢となり、首が下がってしまったり、腰が曲がってしまいます。

 

しかし、姿勢が原因でパーキンソン病を発症するという報告はありません。

 

 パーキンソン病と遺伝の関係

 

パーキンソン病患者の5~10%に家族歴があるとされており、原因となる遺伝子変異も多数知られています。

 

遺伝子変異ごとに発症年齢や症状、遺伝形式などに多少の違いはありますが、本質的には孤発性のパーキンソン病と臨床経過に大きな違いはありません。

 

 
パーキンソン病になりやすい人の特徴

 

以下に当てはまる人はパーキンソン病になりやすいといわれています。

パーキンソン病になりやすい人

・農業をしている人や農薬への暴露がある人

・井戸水を利用する人

・田舎に住む人

・銅、マンガン、鉛などの放出がある工業地域に住む人

・大気汚染のある地域で生活している人

・活性化ビタミンDが少ない人

・メタボリックシンドロームのある人

・潰瘍性大腸炎など消化管の慢性炎症がある人


 >>【放置すれば危険】糖尿病が引き起こす可能性のある合併症とは?原因や症状、予防法についても

>>急性腸炎ってなに?ストレスが関係する?原因や症状について


パーキンソン病の検査方法

 

パーキンソン病の診断には問診や身体診察などが重要であり、下記症状が露呈した場合にすみやかに診断を受けるべきです。

問診・身体診察が必要な症状

・便秘や嗅覚障害

・レム睡眠行動異常(入眠中に声が出たり、体が動いたりしてしまう症状)の有無

・動作緩慢や安静時振戦などのパーキンソニズムの有無

 

また、パーキンソンが疑われた場合には、以下の検査を行います。

・心電図(CVR-R)
・頭部CT
・頭部MRI
・各医学検査(ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)
・123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー)


また、自律神経や認知機能低下、精神症状など随伴する症状がある場合には、その症状に応じた検査を行います。

(例:起立性低血圧ではHead up tilt試験や起立試験、排尿障害では尿流測定、認知機能低下では改訂長谷川式認知機能評価スケールなどの認知機能評価、幻視ではパレイドリアテストなど)

>>自律神経失調症とは?原因や症状、治療方法などについて解説

>>認知症の検査方法と費用について|治療の副作用は?|検査を拒むときはどうすればいい?



<参考>

【ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)】とは

脳内の黒質から線条体に向かう神経経路(ドパミン神経)に存在するドパミントランスポータを画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査 

―を画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査

【123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー】とは

   MIBGは、ノルエピネフリンと(ノルアドレナリンとも呼ばれる)とよく似た物質です。ノルエピネフリンは交感神経終末から放出される神経伝達物質です。副腎皮質からもホルモンとして血中に分泌されます。これはエピネフリンと共に、交感神経系を動かし、心拍を増加させ、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の反応を増強する、すなわち闘争本能あるいは逃避反応を制御する物質

 

パーキンソン病の治療について

 




パーキンソン病の進行を抑える治療は確立されていません。

 

しかし、薬物療法による反応性は比較的よい疾患であり、診断後は早期から薬物療法を行います。

 

治療薬には以下のように多くの薬剤があり、それぞれの薬剤の特徴や薬価など考慮し、運動症状や非運動症状の程度に応じて使い分けます。

パーキンソン病の治療薬

・L-dopa製剤

レボドパは脳内に移行しドパミンへ変化して脳内のドパミンを増やす

・ドパミンアゴニスト

ドパミンに似た作用を持つ物質

・COMT阻害薬

レボドパを分解してしまうCOMTという酵素を阻害し、レボドパの脳内への移行を高める作用がある

・MAO-B阻害薬

ドパミンやセロトニンの分解酵素であるMAOBの働きを阻害することによって、脳内のドパミン濃度を高めるという報告がある

・抗コリン薬

胃や腸などの痙攣・痛みなど副交感神経を活発にするアセチルコリンの働きを抑える作用がある)

・グルタミン酸受容体遮断薬

アルツハイマー病による神経細胞障害や記憶・学習能力の障害などを抑える薬

・ドパミン賦活剤

てんかんの治療薬として用いられていた薬剤。ドパミン量と放出増加する薬

・アデノシンA2a受容体拮抗薬

脳内のアデノシンA2a受容体を阻害しアデノシンの働きを抑え、運動機能の低下を引き起こすGABAの分泌を抑えることで、運動機能などの改善作用を現す

・ノルアドレナリン前駆体

脳内でドパ脱炭酸酵素によりノルアドレナリンに変換され、不足分を補う

 

発症初期にはL-dopa製剤を使用することが多いですが、65歳未満の方ではジスキネジア(体が勝手に動いてしまう症状)が出やすいため、精神症状や認知機能低下がなければドパミンアゴニストやMAO-B阻害薬なども使用します。

 

また、パーキンソン病の症状の一部である自律神経障害(便秘や排尿障害、起立性低血圧など)に対しても生活指導薬物治療を行います。

 

疾患に対する理解を深めることリハビリテーションを受けることも有用であり、生活支援やカウンセリング、リハビリテーションを薬物治療と並行して行います。

 

症状の進行に合わせて薬物治療を強化していきますが、薬物治療のみでは治療が困難となった場合には、デバイス治療を検討します。


デバイス治療

・脳深部刺激療法

DBS:手術に伴う副作用が少なく、両側に行うことができ、刺激の調節が可能という利点がある)

・レボドパカルビドパ経腸療法
LCIG:胃からチューブを挿入し、チューブ先端をレゴドパが吸収される小腸上部に固定する。ポンプからチューブを使ってゼリー状のレボドパを注入する)

 

 

 パーキンソン病のリハビリについて

 



パーキンソン病はその進行度によって症状や障害の程度が大きく変化する疾患です。

 

症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、活動意欲が低下したりとリハビリテーションの弊害となる症状も出現するため、その内容も各個人の症状に合わせて考える必要があります。

 

例えば、自立歩行が可能で症状が軽微な場合には健常人が行う運動に近いリハビリテーション(筋力訓練やエアロビック訓練、ホームエクササイズなど)が有効ですが、症状の進行に合わせて歩行訓練やバランス訓練などに切り替えていくことが必要となります。

 

また、最近では太極拳や音楽療法、ダンス、ビデオゲームなどを用いたエクササイズなど様々な方法のリハビリテーションで有効性が報告されてます。


よって、本人が意欲的に続けられる方法でのリハビリテーションを継続的に行うことが重要であると思われます。

 

パーキンソン病で受けられる社会サービスについて

 



パーキンソン病は
現時点では完治させることができない難病です。

 

また、経時的に症状が進行し、医療費も高額となる病気です。

 

症状の進行に伴って日常生活の支障が大きくなるので、日常生活をできるだけ維持するために利用可能な様々な社会サービスがあります。

 

以下に代表的なものをご紹介いたします。

 

パーキンソン病の社会的サービス
  • 難病医療費助成

パーキンソン病は指定難病の一つであり、医療費や重症度が一定以上であればパーキンソン病の治療に関わる医療費に関して助成を受けることができます。医療費で算定されるリハビリテーションの費用なども助成の対象となります。

 

  • 医療保険制度/後期高齢者医療制度/高額療養費制度

被保険者が対象となる制度であり、医療費の自己負担額が75歳未満で3割75歳以上で1割となる制度です。また自己負担が一定以上であれば、高額療養費制度により特定の金額以上の自己負担金の助成をうけることができます。

 

  • 介護保険制度

パーキンソン病は介護保険制度特定疾患の一つであり、40歳以上であれば介護保険制度を利用することができます。介護認定を受けることで介護度に応じたサービスを安価で利用することができます。

 

  • 身体障害者福祉法

薬物治療を受けていても重度の運動障害が残存する場合には障害者認定を受けることができる場合があります。現在は医療の発達により障害者認定を受ける必要はほとんどなくなりましたが、症状が重度の場合にはご検討ください。

 

  • 障害者総合支援法

介護保険制度対象外(40歳未満)の方や介護保険制度では支援が不十分な場合に利用する制度です。サービスを利用することで介護や自立支援、補助具などにかかわる費用の一部の助成を受けることができます。

 
利用可能なサービスは県や市ごとでも異なりますので、利用可能なサービスを確認する際にはお住いの地域の役所にご確認ください。



パーキンソン病の予防について

 

パーキンソン病は原因が解明されていない病気であり、予防の方法もわかっておりません。

 

2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病や乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取などによる発症率が高くなるとされています。

 

一方で、MIND食や地中海食を厳密に守った人では発症が遅くなったとの報告があり、飽和脂肪酸を避けて不飽和脂肪酸や抗酸化物質などを多くとる食事は予防に有用である可能性があります。

 

また、工場地帯や大気汚染ある地域での発症率が上がるなどの報告もあり、そのような地域での生活を避けることが予防となる可能性があります。

>>生活習慣病の方は注意!動脈硬化が引き起こす命に関わるリスクについて

>>がんの初期症状や原因、ステージ(進行度)について【早期発見で治療が可能】

すぐに病院で検査するべきパーキンソン病の症状

 


パーキンソン病
緩徐進行性(ゆっくりと病気が進行すること)の病気です。

 

従って、医療機関へ急いで受診することは基本的には不要です。

 

上記の「パーキンソン病の症状」に該当する症状がみられた場合には、脳神経内科の外来を受診してください。

 

ただし、症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、嚥下障害が出現したりします。


そのため、骨折や誤嚥性肺炎などの合併症の発症リスクが高い場合には早期に受診するようにしてください。

>>高齢者に起きやすい誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)ってどんな病気?

 


クリニックでできるパーキンソン病の治療

 

パーキンソン病の診断は脳神経内科のある総合病院で行う必要があります。


しかし、クリニックでは受診された患者様の症状を確認し、総合病院へ受診すべきかどうかの判断や総合病院への紹介を行うことができます。

 

また、すでにパーキンソン病と診断されている患者様の処方の継続や介護保険制度を利用するための主治医意見書の作成などを行うことができます。




 

まとめ

 

パーキンソン病根治が困難な難病ではあり、症状の進行に伴って日常生活が困難となり、社会的な支援が必要となる病気です。

 

一方で医療の発達により運動症状は薬剤治療でかなり抑えることができるようになってきています。


また、生活を支援するための社会サービスも充実しています。

 

薬物治療により症状を抑え込むことで、発症早期は健常人と変わらない生活も可能となる病気です。

 

・安静時に手が震える

・動作が緩慢

・歩行時に足が出しにくい

・方向転換がしにくい


などの症状が気になった場合には当院に受診して相談してみてください。

 

参考文献

パーキンソン病診療ガイドライン2018

神経内科ハンドブック第5版

難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

パーキンソン病と腸内細菌:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnd/27/1/27_80/_pdf

パーキンソン病と腸内細菌https://www.boehringer-ingelheim.jp/sites/jp/files/documents/patient_doc/parkinson_0.pdf

 

この記事の監修医師


西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大 (ふくい やすひろ)

>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●三重大学医学部医学科 卒業
●三重県立総合医療センター 
●N2 clinic名古屋



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健忘症になる原因や種類について|認知症との違いは?治る病気なの?

健忘という言葉をご存じでしょうか。

健忘とは、記憶する作業過程の一つの要素になります。

記憶はまず、

1.体験したことを刻み込み(記銘)
2.記銘したものを留めておいて(保持)
3.それを必要な時に再び意識に登らせる(追想)

という過程を経ています。

今回の記事では、健忘について原因や種類、認知症との違いなどについて詳しく解説していきます。

健忘症とは




今回ご紹介する健忘とは、一定期間の情報を追想出来ない症状(追想障害)を指しています。

簡単に言えば、覚えることはできても、思い出せないということです。

ドラマで、主人公が大変ショックな出来事に会い、「ここはどこ?わたしは誰?」といった場面は、時々みかけられます。

これは「心因性健忘」と呼ばれます。

ショックな出来事を記憶しているはずなのに、思い出せない状態です。

そして、何かのきっかけで思い出し、ドラマが進んでいきますね。

物忘れというと、認知症のことを真っ先に思い浮かべるかもしれません。

認知症(今回はアルツハイマー型認知症)においても、健忘は初期の頃からよく認められます。

加えて認知症では、記銘や保持といった記憶の全工程が難しくなっているため、出来事自体を忘れてしまいます。

例えば、昨日の夕飯のメニューを思い出せないのではなく、夕食を食べたことそのものを覚えていない…といった感じです。

紛らわしいのですが、今回のテーマである「健忘症」は、健忘のみが生じる病気と考えてください。

あくまでも、健忘という言葉は、病名ではなく症状を指すため、アルツハイマー型認知症でも見られるのです。

 

健忘症の特徴





健忘症の主な特徴は、以下の通りです。

健忘症の特徴

・新しい情報を学習したり、思い出すことが出来なくなる
・以前に学習した知識や過去の出来事を思い出せない


その程度は、人格的、社会的、職業的な機能の遂行が危うくなるほど重大なものでなければならないとされています。

簡単に言えば、日常生活に多大な支障がでるほどの症状であるということです。


健忘症の原因




健忘の原因は様々です。

健忘症の原因

・心因性(ストレス性)
・外傷性(頭を怪我した)
・薬剤性(薬の副作用やアルコールの影響)
・症候性(何らかの体の病気の影響)
・アルツハイマー型認知症によるもの


実際の臨床現場で良く遭遇するのは、アルコールの乱用や頭部外傷によるものです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

健忘症の外的要因


健忘になる代表的な原因に、頭部外傷があります。

健忘には、海馬や間脳、大脳連合野(大脳皮質のうち、感覚野や運動野を除いた領域)などが関わっているとされており、そこに何らかのダメージを負うことで症状が出現します。

外傷の他にも、健忘は脳の悪性腫瘍(がん)や、脳の感染症、さらには脳の手術の合併症でおこりえます。

また、薬の副作用やアルコールの影響によっても健忘を引き起こす可能性があります。

アルコールによる健忘として、ブラックアウトがあります。

例えば、飲み会の翌朝に、スーツのポケットからビアガーデンの領収書をみつけました。

同僚にそのことを尋ねると、昨日は同僚数名とビアガーデンを訪れたのち、二次会、三次会まで行ったようです。

三次会を終えた後は、自ら電車に乗り帰宅していましたが、ビアガーデンの時点から一切の記憶がありません。

こうした症状をブラックアウトと呼び、アルコール依存症が疑われます。


健忘症の内的要因


健忘症の内的要因とは、この場合はストレス性のものを指します。

大きなショックを受けて生じた健忘を、精神科では解離性健忘と呼び、解離性障害の一症状とされています。

解離性障害とは、強い精神的なショックに対する自己防衛として、自己の同一性を失う(自分のことを自分でコントロールできているという感覚)神経症の一種です。

解離性障害の一種に、解離性同一性障害という、いわゆる多重人格というのがあります。

こちらはドラマなどで有名ですね。

解離性健忘については、脳のどの部分というのは具体的に分かっていません。

健忘症の内的要因は、外的要因による健忘症と比べて自己の見当識を失っていることが多いとされます(いわゆる「私はだれ?」)。

自分の名前や自宅の住所などを忘れていたとしても、新しい情報を学習したり、過去の記憶を選択的に思い出したりすることはできるのが特徴です。

ショックな出来事から身を守る防衛反応とも言え、引き金となった出来事や体験に関する記憶が失われることが多いです。

 

健忘症の2種類


健忘は大きく分けて、前向性健忘、逆行性健忘の2種類に分かれます。

例えば、頭部外傷を例にしてみましょう。

受傷した時点を起点にして、以後新しく記憶することができなくなってしまう症状を、前向性健忘と呼びます。

某テレビ番組でも事例が紹介されていましたが、日常生活動作は問題なく行えるのに、一晩寝ると1日の記憶はすべてを忘れてしまいます。

こちらを「記憶のリセット」と表現されていました。

一方で、受傷した時を含めてそれ以前の記憶が思い出せない症状を、逆行性健忘と呼びます。

事故であれば、その事故自体の記憶や事故に至る少し前までの記憶が思い出せないというケースが多いです。

受傷時点に近ければ近い記憶は思い出せないのですが、その時点とは離れた記憶であれば思い出せることもしばしばです。

健忘症の症状とセルフチェック 


健忘症と診断するには精神科の診断基準DSM4を参考にすると以下のようになっています。

①新しい情報を学習する能力の障害(前向性健忘)、または以前に学習した情報を思い出せないという(逆行性健忘)記憶障害が出現したこと

②その記憶の障害によって、社会的あるいは職業的に著しい支障をきたしていること

 

健忘症の症状とは


健忘症の症状は人によってさまざまではありますが、多くの場合で短期記憶、近時記憶は障害されます。

例えば、朝ごはんや昼ごはんの内容を思い出せなかったり、通院中の方であれば病院の名前や主治医の先生の名前を思い出せなかったりします。

逆に、繰り返し学習された情報や、遠い過去の出来事(幼児体験など)の記憶は良好であったり、即時記憶(入力された情報が、数秒から数分間、干渉が入らずに常に意識に上げておく機能)は障害されることはありません。

 

健忘症の簡単セルフチェック


これまでのことをチェック形式でまとめてみると下記の様になります。

全部当てはまらなくとも、いくつか当てはまるようであれば最寄りの病院に相談をしてみましょう。

健忘症のチェックリスト

□物忘れを指摘されたときに、忘れている自覚がきちんとある

□物忘れの程度が日常生活に支障を来すレベルである

□最近、頭の手術もしくは頭を強く打つなど怪我をしたことがある

□ある時点から急に新しい出来事を記憶することが出来なくなった

□ある時点から少し遡った期間の記憶がない

 

健忘症と認知症の違いは? 




健忘と認知症の違いを簡単に説明すると、「記憶が無いことの自覚があるか・ないか」と言えます。

何度も同じ質問をしてしまったとして、その質問をしたことを覚えているが、質問の回答を覚えていないのは「健忘症」です。

一方、同じ質問をしてしまっているという意識がない、質問をしたことを覚えていないのが「認知症」といったイメージです。

また認知症では、物忘れ以外にも様々な症状が出現し、日常生活に支障をきたすようになります。

>>アルツハイマーと認知症の違いは?原因や初期症状、なりやすい人の特徴について

一方で、健忘症では、忘れてしまう、思い出せないといった自覚がある分、自ら様々な対策を取ることも可能です。

認知症・物忘れ外来でできること


物忘れを診察するにあたって重要なことは、物忘れの原因が体の病気や薬の影響などでおこっていないかを確認することです。

頭のCTを取るなどして、脳出血や脳腫瘍のような病気が隠れていないことを確認することは大切です。

また、健忘症や認知症と間違われる病気に、「せん妄」があります。

普段の外来においても、施設入所中の方が、「最近、物忘れが急に悪くなった気がする」と受診されることは珍しくありません。

体の検査をしてみると、心不全や誤嚥性肺炎といった病気によって、体に十分に酸素が行き渡らない、またはばい菌と戦っている影響などの理由から、「せん妄」という状態によって一見物忘れが悪化した様にみえる場合があります。

また、このせん妄は薬の影響でも生じることがあり(薬剤性せん妄)、その薬をやめるだけで、物忘れが治ったという症例もあります。

詳しい問診、診察、検査を経て、健忘症や認知症の診断を行っていく必要があります。

もの忘れ外来

 

 

健忘症の治療法について


健忘にいたった原因がはっきりしている場合は、まずはその原因を取り除くことが治療につながります。

脳腫瘍や身体疾患に伴う健忘、アルコールや薬剤などが原因であれば、それらの問題が解決することで回復が十分に見込めます。

一方で、頭部外傷後の健忘や心因性健忘などは、未だ十分な治療法は確立しておりません。

専門医の指導の下、経過観察していくことになります。

 

薬に副作用はある?


病院から処方された薬の影響で、健忘が生じてしまうことを薬剤性健忘と呼びます。

精神科をしていると遭遇するのが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬による健忘です。

ベンゾジアゼピン系薬剤では、服用前の記憶が障害されることはありません。

しかし、服用後の一定期間、特に夜中に一度目を覚ました時のことを全く記憶していないという、前向性健忘が見られることがあります。

高容量での内服や、アルコールと併用するなどした場合に見られることが多いとされています。

ベンゾジアゼピン系薬剤では、健忘以外にも、夜間せん妄(大まかに言えば、寝ぼけのひどい状態)、奇異行動など、様々な副作用があり、特に高齢者では使用にあたっては十分に注意が必要です。

 

健忘症の日常でできる予防法

 

健忘症を防するための特別な方法はありません。

しかし、脳の機能を正常に維持するためには、日々の生活習慣はとても大切です。

特に、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常症などは、認知症や脳血管障害のリスクでもあります。

適度な運動、規則正しい食生活はすべての健康の基本と言えます。

 

健忘症は完治する?


健忘の原因はさまざまあるため、どの程度まで治るかは原因によって異なります。

原因が違えば当然病気の経過も様々です。

突然健忘症を発症する場合もあれば、ゆっくりであることもあります。

症状が一過性である場合もあれば、持続してしまう場合もあります。

最終的に全く改善がみられない場合もあれば、完全に回復するケースもあります。

なかなか治り辛い健忘症の原因としては、頭部外傷や一酸化炭素中毒、脳梗塞やくも膜下出血、単純ヘルペス脳炎などが挙げられます。

健忘が気になる場合は、まず最寄りのクリニックを受診して相談する様にしましょう。

 

西春内科在宅クリニックができる対応


物忘れといっても、その原因は多岐に渡ります。

原因によっては、治療可能な場合もあるため、早期の受診をお勧めしています。

西春内科在宅クリニックでは、常勤の内科医師の診察、及び頭部CT検査などを用いて、物忘れへの早期の介入が可能です。



>>西春内科在宅クリニックではCT検査について


まとめ


健忘症は、「記憶があるはずなのに思い出せない」と、物忘れに対して自覚があることが特徴です。

また「忘れたけど、まあいいや」と流せる程度ではなく、日常生活や仕事に明らかに支障が出るほどの物忘れと定義されています。

症状は、ある時点から新しく記憶したことを思い出せない前向性健忘の場合もありますし、ある時点から遡った一定期間の記憶が思い出せない逆行性健忘の場合もあります。

原因は、頭部外傷や脳梗塞、脳出血、頭の手術の既往、単純ヘルペス脳炎などの脳の感染症、アルコールの乱用、薬剤性など様々です。

場合によっては心因性健忘の様に、すごいショックな出来事の後に生じることもあります。

認知症と異なり、健忘症は原因によっては治療可能な場合もあります。

物忘れが気になった際に、「年のせいだから」と軽く考えたり、「認知症がはじまったかな」と、自己判断をせずに、一度当院または最寄りのクリニックを受診し、検査をしてもらうようにしましょう。


>>認知症かな?と思った方は認知症外来・もの忘れ外来へ




 参考文献
カプラン臨床精神医学テキスト第2版

健忘症って何?健忘症とは何か、診断基準について解説します | 健達ねっと (mcsg.co.jp)

 

【監修医師】
精神科専門医 Dr.竹下 理 

自律神経失調症とは?原因や症状、治療方法などについて解説


最近、日常生活においてなんとなく体調が優れない、あるいは気分が落ち込んでしまうという経験はありませんか。

 

その場合には、もしかしたら体調不良の原因が自律神経の乱れに由来する自律神経失調症を発症している可能性があります。

 

自律神経失調症のなかには、ストレスや不安などからくる軽症のうつ病、あるいは不安神経症や気分障害などの症状が一部含まれると考えられています。

 

今回は、「自律神経失調症の原因、症状、治療方法」などについて詳しく解説します。

 

自律神経失調症とは?


 

 

自律神経失調症は、自律神経が過剰なストレスによって正常に機能しないことによって引き起こされるさまざまな症状の総称です。

 

自律神経失調症の主要な症状は、

  • 眠れない
  • 疲労が取れにくい
  • 頭痛やめまい
  • 息苦しさ
  • 便秘及び下痢などの便通異常症状
  • 情緒不安定や不安感など精神的な不調症状


を呈します。

 

自律神経失調症は自律神経の乱れによって引き起こされると考えられています。


しかし、実際に自律神経の働きを直接的に正確に調べる方法は乏しいです。

 

不調症状に対する病気を明確にするために精密検査を実施しても,特に明確な異常が見つからないことも多いです。

 

特に、常日頃から過大なストレスや不規則な生活習慣が認められ、ホルモンバランスが乱れている場合に自律神経失調症の発症が疑われます。



自律神経失調症のセルフチェック項目

 

自律神経失調症においてはそれぞれの症例によって自覚症状が異なり、様々な症状が現れる自律神経失調症を自分自身でセルフチェックする方法があります。

 

普段から「もしかすると自分は自律神経失調症かも」と心配されている場合には、まずは以下に列挙する様々な症状の有無を自分でチェックしてみることをお勧めします。

 

セルフチェック項目

1,よく頭痛やめまい、立ちくらみなどを感じる

2,急に胸が苦しくなったり息苦しくなったりする

3,たびたび動悸がする

4,便秘や下痢などに伴って腹痛症状が起こりやすい

5,手や足がしびれることが多い

6,胸やけや胃もたれなどを自覚して食欲不振に陥る

7,慢性的に肩こりや腰痛などで悩んでいる

8,寝起きが悪い、あるいは寝て起きても疲労感や倦怠感が残存している

9,不安な気持ちになることが多く、憂鬱な気分に襲われて何事にもやる気が起こらない

10,些細なことでイライラする機会が増えた

11,物事に神経質になり、そわそわ落ち着かない

12,怖い夢をみる、もしくは金縛りにあう頻度が多い

13,寝つきが悪く、夜中にいったん覚醒するとなかなか眠れない

14,風邪を引きやすく体調不良になりやすい

 

自律神経失調症の場合は、上記のような症状が出現しやすいと考えられています。

 

自律神経失調症とよく類似した症状が現れる他の疾患もあるため、自己判断のみは危険です。

 

しかし、セルフチェック項目の中で普段から気になる症状が該当する場合には、ぜひこの機会に精神科や心療内科など医療機関に相談してみることをおすすめします。

 

自律神経失調症の症状

 

自律神経は全身の器官をコントロールしているため、そのランスが何かしらの原因で崩れてしまうと多種多様な症状が現れると考えられます。

 

自律神経失調症を呈する症状は個々によってさまざまであり、多くの症状はその人にとって調子が悪くなりやすい部位に引き起こされやすいと言われています。

 

例えば、腹部が痛くなりやすい人は下痢や腹痛などを始めとする消化器症状が現れやすく、普段から肩が凝りやすい場合にはひどい肩こりに繋がりやすい傾向があります。

 

自律神経失調症の身体的症状

 

 

個人によって症状の現れ方は様々ですが、例えば自律神経失調症における典型的な身体的症状としては、

  • 倦怠感
  • 息苦しい
  • 眠れない
  • 慢性的な疲労感などの全身症状
  • 頭痛
  • 動悸や息切れ
  • めまい
  • 立ち眩み
  • 下痢や便秘


などの部分的症状が挙げられます。

 

それ以外にも、

  • 全身や手足の冷え症状
  • のぼせ
  • 耳鳴り
  • 関節痛
  • 生理不順
  • 口や喉の不快感
  • 頻尿や残尿感
  • 発汗


など非常に多岐にわたることが知られており、同時に複数の症状が重なって自覚することもあり得ます。

 

 

自律神経失調症の精神的症状

 

自律神経失調症における精神的症状としては、代表的には

  • 情緒不安定
  • いらいら
  • 不安感
  • 抑うつ傾向


などの症状が挙げられます。

 

その他にも、自律神経のアンバランスに伴って引き起こされやすい精神的症状としては、

  • 不眠
  • 記憶障害
  • 集中力低下
  • 感情の激しい起伏


などが考えられます。

 

また、これらの複数症状が一度に現れる、あるいはいったん改善したと思っても別の症状が再び出現することも想定されます。

 

自律神経失調症の原因

 

 

 

自律神経失調症は自律神経に関連するあらゆる機能が乱れることで発症します。


自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの相互作用を有する神経系システムから構成されています。

前者の交感神経は体を活発に動かすときに作用し、後者の副交感神経はリラックスしているときに機能する特徴が挙げられます。

 

健常者では、相互的な役割を持つこれらの自律神経がバランスよく良好な状態を保つことができます。

しかし、一旦ストレスやホルモンバランスの乱れによって片方の神経が過剰に興奮して優位な状態が不均衡に継続されると、多彩な症状が出現するようになります。

 

その直接的な原因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、更年期に伴うホルモンの乱れなどが典型例として考えられます。

 

このように不規則な生活に伴う過剰ストレスによる刺激、更年期障害などホルモンの乱れなどが本疾患を発症させる原因になることから、

  • 不規則な生活を送っている人
  • ストレスを感じやすい人
  • 更年期でホルモンバランスが乱れやすい人


などに発症しやすいと言われています。

それでは、自律神経失調症の原因について1つずつ詳しく見ていきましょう。

 

 

ストレス 

 

一般的なストレス以上の負荷が精神的に掛かっている状態では、自律神経失調症に罹患しやすいと指摘されています。

 

例えば、

  • 仕事業務のプレッシャーなどを始めとする精神的ストレス
  • 日々の蓄積された過労
  • 自分が置かれている環境下での光や音、温度などに関する身体的ストレス
  • 職場でのパワハラ・セクハラなどを含むハラスメント


などによって自律神経のバランスが崩れます。

 

また、周囲の人間関係に伴うストレスにより、交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまうケースも想定されます。

 

 

生活習慣の乱れ


乱れた生活習慣とは、日常的な活動周期が一定でなく不安定であることを意味しています。

慢性的な寝不足、あるいは不規則な生活や偏った食事などが生体リズムを狂わせてしまい、自律神経の乱れに繋がると考えられます。

 

  • 幼少期からの不規則な生活習慣で夜更かしを継続する
  • 夜勤の頻度が多い職業である
  • ジャンクフードを多く摂取して偏りのある栄養素のみ取り入れる不適切な食生活

 

以上のような場合において、交感神経と副交感神経のバランスが破綻しやすいと指摘されています。

 

ホルモン関係

 

自律神経失調症は、一般的に男性よりも女性の方が罹患率を高く認めると認識されており、その背景として女性ホルモンの影響によって自律神経失調症を発症する恐れが懸念されています。

 

男性ホルモンと女性ホルモンは、ホルモンバランスの安定性という観点で相違点があります。

 

男性ホルモンは思春期に分泌が高まって、それ以後は初老期まで安定する傾向があります。

一方、女性ホルモンは思春期の初潮、毎月の周期的な月経習慣、妊娠・出産、更年期から閉経に至るまで一生のうちに変化を繰り返して複雑な系統を呈しています。

 

したがって、女性ホルモンの特性から女性の方が男性よりもホルモンバランスが乱れやすく自律神経失調症を発症するリスクが高くなると想定されます。

 

さらに、女性は更年期に伴う自律神経失調症の発症が注目されています。

 

女性ホルモンは、一般的に脳の視床下部から脳下垂体を通じて卵巣で分泌されることが知られています。

 

視床下部には、女性ホルモンの分泌のほかに自律神経をコントロールする役割も有しています。

更年期には、女性ホルモンが激減してホルモンバランスの不調を来して視床下部に影響を及ぼすことによって自律神経が乱れることも疑われています。

 

更年期障害では女性ホルモンの分泌がそれまでと比べて減少するため、自律神経の乱れに容易につながる結果、顔面のほてりや頭痛などの不調症状を自覚することも経験されます。

 

自律神経失調症の治し方

 




自律神経失調症と診断された場合の治療方法について解説していきます。

 

簡単に列挙すると、薬物療法、生活習慣改善、ストレス発散、行動認知療法、カウンセリングなどの対処策が考えられており、その中でも特に日々のストレスのコントロール、そして規則的な睡眠と食事を含めた生活習慣の改善が非常に重要なポイントとなります。

ここでは、1つ1つ詳しく解説していきます。

 

ストレス解消

 

自律神経失調症は、日常生活における過剰なストレス刺激や生活習慣の不規則性によって引き起こされると考えられています。

これらを回避して改善することで自然と不調症状が軽快していくことが多いです。

 

自分なりにストレスを解消して生活習慣を整備していくことは、自律神経失調症における症状を改善するために重要な行動様式です。

従って、これらを優先的に改善するだけで様々な不快症状が緩和されることもあります。

 

自律神経失調症を抱えている場合は、ストレッチ、音楽療法、アロマセラピー、散歩や体操、入浴など日常的に気軽に取り入れることができるストレス解消法を実践することでストレスが緩和されることがあります。

 

  • 少しでも自分がリラックスできる
  • 楽しくて心地よいと感じることが出来る時間を意識的に設ける
  • 自分特有の長続きしそうな趣味を持つ


などの方法で、ストレスをコントロールできることがありますし、積極的に交友関係を広げることも効果的とされています。

 

 

薬での対処方法

 

自律神経失調症に伴う自覚症状がひどい場合には、症状を改善したり、不安やストレスを軽減したりするために医学的な観点から有用な治療薬を活用することもあります。

自律神経失調症を効率的に治癒させるためには一定の専門的な知識が必要です。

自力や自己判断のみで治すのは難しい場合も存在するため、専門の医師に相談することが重要な観点となります。

 

例えば、不安な気持ちやうつ状態で悩んでいる場合には「抗うつ薬」、眠れなくて苦悩している方には「睡眠薬」などが処方されることも考えられます。

 

それ以外にも、ホルモン剤などによる対症療法や睡眠周期を整える睡眠療法などが挙げられます。

基礎疾患を有する場合には普段の服用薬の種類や合併疾患なども考慮しながら、自律神経失調症の治療を進めていくことも可能です。

 

栄養や食生活の見直し

 

自律神経失調症を改善するためには、常日頃から栄養バランスの取れた食事を毎日3食、規則的に決まった時間に摂取することが重要です。

 

自律神経を整えてくれる栄養素として、γ-アミノ酪酸(略称:GABA)が知られており、GABAには脳や神経をリラックスさせる効果があると言われています2)。

 

GABAは、本来人間の脳や神経組織にある神経伝達物質であり、身体の自律神経を整えるために必要不可欠な成分として知られています。

一日の推奨摂取量は成人でおおむね30~100mgと伝えらえています。

 

GABAが気軽に摂取できる一例として、「トマト」が挙げられ、中玉のトマト一個にはGABAが40~60mg含有されているため、一日に必要なGABAが十分に取り込めます。

 

また、GABA自体を摂取するのみならず、体内にもともと存在しているGABA成分を増加させることも重要です。

そのためにはたんぱく質などに含まれているビタミンB6を効率的に摂取することをお勧めします。

 

食材の代表例としては、にんにく、鮭やさんま、カツオなどの魚類、ササミなどにビタミンB6成分が豊富に含まれていると言われています。

 

また、ビタミンDは、感情状態や神経のバランスに関連するセロトニン成分をうまく調整する機能を有していることが判明しています。

従って、自律神経に関わるメンタル症状に一定の効果があると考えられています。

 

基本的に、ビタミンDは世界的にも我が国においても摂取不足傾向であると指摘されています。

自律神経だけではなくカルシウムや骨代謝に欠かせない栄養素であるため、常日頃から意識して摂取する必要があります。

 

ビタミンDを豊富に含む食品例としては、

  • しいたけなどのキノコ類
  • ししゃも
  • しらす


などが挙げられますので日常の食生活に取り入れてみましょう。

 

生活習慣の見直し

 

普段の生活で睡眠不足や運動不足が継続すると、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながって心身共に不調症状を引き起こしやすくなることが知られています。

 

規則的な睡眠と食事をとるように心がけて、適度な運動習慣を持つことが重要であると言われています。

 

毎日の仕事量や飲酒量、カフェインの摂取量なども定期的に見直すことも必要です。

 

基本的な生活習慣が整っている状態であれば、ストレスに対しても柔軟に向き合うことができるようになると考えられています。

 

通常では、交感神経は活動する時により優位に働き、副交感神経は休息するときに働きます。

 

交感神経が優位となる日中はできるだけ活動をして、副交感神経が優位となる夕方以降はなるべく休息を確保するように認識しておきましょう。

 

それぞれの神経の役割に自然と応じた日常行動を行うことで、自律神経のバランスが整いやすくなると推奨されています。

 

また、睡眠時間に関しては1日あたり5~6時間以上は確保すると良好であると認識されています。

 

規則正しく朝食を取って毎日3食をある程度決まった時間に摂取することで自律神経の切り替えが順調に運ぶと考えられています。


自律訓練法やマインドフルネス

 

自律神経失調症に対しては、自律訓練法やマインドフルネスが有効な場合も決して少なくありません。

 

自律神経失調症と診断された場合に、広く普及している治療方法の一つに「行動認知療法」が知られています。

 

この治療法では、自律神経失調症を罹患している患者様の認知そのものに「歪み」が生じている際に実践されることが多いです。

 

例えば、以前にバスに乗っているときに自律神経失調症の症状を経験した場合には、「バスに乗ったから症状が出現した」と患者自身が思い込み、症状の原因を誤って認知する可能性があります。

 

こうした認知の歪みが原因となって自律神経失調症が発症している場合には、行動認知療法を施行することで患者本人に認知の歪みを修正して、正しく病気や治療内容を認識してもらうことによって症状が緩和されることを期待します。

 

 

自律神経失調症ですぐに病院で検査した方が良い症状

 

 

自律神経失調症の症状は個人差が非常に大きいという特徴があります。

 

そのため、症状の多様性が生活の質を大幅に損なってしまう場合には、我慢しすぎずにすぐに病院に行って検査を受けるほうがよいでしょう。

 

例えば、めまいや頭痛などの症状を認めるが故に、「毎朝会社に仕事行けない」、「思い通りに家事ができない」状態に陥って、自ら外出できなくなり家に引きこもりがちになる際には専門医療機関を受診して相談するように心がけましょう。

 

自律神経失調症の特徴として、内臓に明らかな異常がないことが挙げられます。

 

自律神経失調症を抱えている人は辛い症状を自覚していても、周囲に気付かれにくい状態であると言えます。

 

自律神経失調症に伴う症状が非常に多岐にわたり、症状がつらくても周囲の人々から気づいてもらえずに、より症状が悪化傾向を認める際には精神科や心療内科など医療機関に相談されることをおすすめします。

 

 

西春内科・在宅クリニックでできる治療

 

自律神経失調症は、我慢していれば治癒する病気ではありません。

 

自律神経失調症の診断を受けた際には、さらに症状が悪化しているというケースも見受けられます。

 

「自分は、もしかしたら自律神経失調症かもしれない」と悩んでおられる場合は、ぜひこの機会にクリニックや病院に相談してみましょう。

 

自律神経失調症の症状は多岐にわたり、パーキンソン病やうつ病など他疾患の症状とも類似していることも多いです。

 

そのため、自分自身では自律神経失調症と断定するのは難しく、クリニックの専門医の適切な診断のもとで確実に有効的な治療を実践することが重要です。

 

クリニックでは、経験に長けた専門医師や心理療法士、公認心理師などが自律神経失調症と診断された患者に対してカウンセリングを実施します。

 

これにより、心に抱えているストレスの解消を図ることも一定の効果があると信じられています。

 

カウンセリングは、自律神経失調症と診断された患者自身の性格や生活背景なども考慮して、約40種類の心理療法から適切な方法を選びます。

 

患者さんの体調管理、あるいは症状再発を防止するために治療を確実に進めて心のバランスを整えていくことを目標に設定します。

 

心配な症状がある場合には、当院またはお気軽に最寄りの心療内科や精神科などクリニックや診療所を受診して相談しましょう。





 

まとめ

 

自律神経失調症は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが破綻することによって引き起こされる症状の総称を意味しています。

 

自律神経は、交感神経と副交感神経という相互的な働きを有する二種類に分かれています。

 

交感神経は身体を活発に動かす時、副交感神経は身体を休める際に働いて互いにバランスを取りながら心身状態を調節していますが、このバランスが崩れると自律神経失調症が発症します。

 

基本的には、本疾患を発症した場合には、普段の生活習慣の改善やストレスを効率的に発散するなど自己管理する手段を上手く活用することが有用とされています。

 

そして、本疾患以外の病気の可能性や原因によっては治療法が全く異なるために自力だけで治すことは難しいです。

 

自律神経失調症の疑いがある場合はまず当クリニックや病院を受診し、医師と相談しながら薬物療法などを含めた治療内容を計画していくことが重要です。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

 


参考文献

 

1)厚生労働省e-ヘルスネット|自律神経失調症

2)健達ネット|自律神経を整える食べ物とは?栄養素や飲み物を解説!


この記事の監修医師

甲斐沼 孟医師

医師 甲斐沼 孟(かいぬま まさや)

【プロフィール】

平成19年に現大阪公立大学医学部医学科を卒業。初期臨床研修修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科勤務、平成26年より国家公務員共済組合連合会大手前病院で勤務、令和3年より同院救急科医長就任。どうぞよろしくお願い致します。

【専門分野】

救急全般(特に敗血症、播種性血管内凝固症候群、凝固線溶異常関連など)、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

【保有資格】

日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医、日本救急医学会認定ICLSコースディレクター、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医など

【尿管結石で悩んでいる方必見】痛みを和らげる方法や病院での治療について

ある日の明け方、時刻は4時32分。


気持ちよく布団にくるまって眠りに耽っているところに、突然腰に激痛が走る。


あまりの衝撃にベッドから落ちて転げ回る。


そんな事件を起こすのが悪名高き「尿管結石」です。


「うんうん、まさにそうだった!」と思う方も必ずいらっしゃると思います。


また「知り合いがなったってきいたことはあるけど、詳しくは知らないや」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。


おそらくその知人の方は何度か繰り返しているとも言っていませんでしたか。


実は尿管結石は再発率の高いことでも有名なんです。


今回は、尿管結石について原因や症状、検査と治療、予防などについて解説していきます。



尿管結石とは




(上から
腎臓、尿管、膀胱、尿道)


さて、タイトルの尿管結石について紹介する前に、用語について簡単に振り返りましょう。


人体は腎臓で血液を濾過して老廃物や不要な水分などを尿にしています。


出来上がった尿は尿管を通って運ばれて、一時的に膀胱に溜めておかれます。


ある程度の尿量が溜まったところで尿意を催し、尿道から体外に排泄されます。


この腎臓から尿道までの尿の通り道すべてにおいて結石がわるさをする可能性があり、その総称を尿路結石と言います。


尿路結石のうち、

  • 腎臓に石があるものを腎結石
  • 尿管に石が詰まったものを尿管結石

というふうに呼び分けています。


そんな尿管結石ですが、実際どのくらいの人数の方が発症しているかはご存知でしょうか。


2005年の調査によると生涯罹患率(年間罹患率×平均寿命×100)は男性では15.1%、女性では6.8%であり、男性の7 人に1 人、女性の15 人に1 人が一生に一度は尿路結石に罹患することになります。


思っていたよりも多いというのが正直なところではないでしょうか。



因数として年間罹患率が使用されており1年に繰り返し発症している方が全体を引き上げている可能性があり、実際にはもう少し少ない印象ではありますが、頻度の高い病気であるのは確かです。


性別で言えば、男性が女性に比べて2.4倍多いです。


また、男女ともに中年の発症が多いのが特徴です。


尿管結石を引き起こす原因


ではそんな尿管結石はなぜ起こるのでしょうか。


原因を知ることによって、後述の予防に活かすことができる可能性があります。


まずは尿管結石の原因について解説していきます。


尿管結石は大半がカルシウムを主成分とする石のため、尿中のカルシウムが多くなることや尿の水分が減って濃縮された時などに結石が形成されます。


一般的には、結石の主成分となる要素が尿中に増えた時に塊が形成されることが原因と言えるでしょう。


生活習慣病の人




直接的な原因とは別に、尿管結石を患う方の中で多い傾向にあるのが種々の生活習慣病です。


発症しやすい年齢や食習慣などと複雑に絡み合っており交絡因子があることは否定できませんが、尿管結石患者において高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症)も合併している率が高かったと報告されています。


またそれらの生活習慣病を反映してか、肥満率も高かったと報告されています。


遺伝




遺伝的素因に関しても調査がされています。


尿管結石を患った方のうち14.8%の方が、血縁者にも尿管結石になったことがある人がいたと報告されています。


たしかに、こういった家族歴に関しては遺伝的要因と環境的要因(食生活など)を区別することは難しいです。


しかし、カルシウム結石の発症に対する遺伝的素因があるとするエビデンスがあります。


関与している可能性のある遺伝子として、


  • カルシウム感受性受容体
  • 腸および腎臓のカルシウムチャネル
  • ビタミンD受容体

などが挙げられています。


水分摂取が少ない




尿管結石は水分摂取との関連もあると言われています。


水分摂取の少ない仕事に従事する方(鉄鋼関係や手術室勤務の医療従事者など)では尿管結石の発症率が高いともいわれています。


尿管結石の症状について




さて冒頭でも少し触れたように、尿管結石の症状で一番多いのは突然の腰痛です。


これについては発症時刻まで調べられており、最も尿管結石の痛みが出やすいピークの時刻は午前4時から5時の間だったと報告されています。


 痛みを含めて、尿管結石の主な症状には以下のようなものがあります。

  • 痛み
  • 血尿
  • 吐き気・嘔吐
  • 排尿障害
  • 尿意の切迫


痛みはほとんどの人に突然生じ、
多少の強弱を伴いながら長ければ数時間程度続きます。


痛みは結石が排泄される過程で狭いところに詰まることで発生しますので、痛みの出やすいところは決まっています。


  • 腎臓の出口
  • 尿管と総腸骨動脈が交差するところ
  • 尿管と膀胱の移行部

の3か所です。


結石が通り過ぎれば痛みはなくなるのですが、3か所の関門を越えなければならずこれが過酷な戦いなのです。


尿管結石を繰り返している方の中には、発作の出る前に前兆としてむずむずとした違和感を感じるという方もいらっしゃいます。


血尿はおよそ3人に2人 、吐き気・嘔吐はおよそ2人に1人の割合で認められます。


排尿障害や尿意の切迫は、結石が膀胱や尿道といった出口付近に降りてきた際に生じることがあります。

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尿管結石の痛みを和らげる方法





「先生!そんな小難しい話はいいから、今のこの痛みをどうにかしてくれ!」という方がいらっしゃったら申し訳ありません。


今から痛み止めの治療の話に入っていきます。


尿管結石の発作の際の痛みのコントロールとして第一選択はロキソプロフェン(ロキソニン®︎など)、ジクロフェナク(ボルタレン®︎など)といったNSAIDsです。


妊娠中の方やアレルギーのある方、心臓や腎臓の機能が悪い方などでNSAIDsが使用できない場合には、アセトアミノフェン(カロナール®︎、アセリオ®︎など)も近い効果が期待できます。


薬物以外の治療として、温かいおしぼりなどで42℃程度に腰を温めることで痛みが半減する と報告されています。


また民間療法ではありますが、背骨のわきを指圧することも効果があると言われています。

温かいおしぼりと併用することもよいかもしれません。

 

尿管結石の病院での検査と治療について


尿管結石の治療の大部分は、先ほど述べた鎮痛です。


鎮痛薬で痛みをとりながら、結石が通り過ぎるのを待つことになるのが多いです。


水分摂取をして尿を出して押し流すようなイメージで考えていただいて良いと思います。


というのも結石が1cmを超えていなければ自然に排石されることが期待できるからです。


海外のメタアナリシスによれば、尿管結石の自然排石率は、5mm以下のもので68%、5−10mmのもので47%であったと報告されています。


大きさを測ることも含めて尿管結石の検査には、

  • 腹部レントゲン検査(KUB)
  • 腹部超音波検査
  • 腹部CT
  • 尿検査


などが有用です。


結石が大きくて自然排石が期待できない場合や、腎臓にダメージが出ていたり感染を併発したりしている場合にはその他の治療も検討されます。


具体的には、

  • 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
  • 経尿道的結石破砕術(TUL)
  • 経皮的結石破砕術(PNL)
  • 腹腔鏡下切石術
  • 開腹手術


などがあります。


尿管結石の予防・再発防止


さあ、尿管結石について一通りお話してきましたが、ここが一番気になっているという方も多いのではないでしょうか。


一番おいしいところですね。


尿管結石にならないためにはどんな生活をすればいいのか、どうすれば尿管結石の再発を予防できるのかについて解説していきます。


大まかな考え方として、本邦のガイドラインでは尿路結石の再発予防の基本は

  1. 水分摂取
  2. 肥満の防止
  3. 食生活の改善

であると述べられています。


「先生、食生活の改善っていうけど、実際に何がダメなの?」と思われますよね。


尿管結石の成分として多いシュウ酸を含む食物や、尿酸のもとになるプリン体などは要注意です。


例えば、シュウ酸を多く含む食材には、


ホウレン草などの葉野菜、タケノコ、紅茶・緑茶、コーヒー、バナナ、チョコレート、ココア、ピーナッツ、アーモンド


などがあります。


結構いろいろあるのでこれら全てを制限するのは現実的ではないかもしれません。


シュウ酸を多く含むものでも、カルシウムを一緒に摂ることでシュウ酸が吸着されて吸収を抑制することができます。


おひたしにすれば搾り汁に含まれるシュウ酸量は減少しますし、コーヒーにはミルクを合わせることでシュウ酸の吸収を低減することができます。


尿酸結石の原因になるプリン体を多く含むものとして重要なのはアルコール飲料(特にビール)です。


アルコールは脱水にもなりやすく結石が形成されやすい状況を生み出す可能性もあるため注意が必要です。


※水分摂取は尿管結石の予防に有用ですが、持病などによっては有害になる場合もあります。特に心臓病を患っていたり、腎臓の機能が低下している方の場合は体内に水が貯留しやすく心不全などを生じる場合がありますので、必ずかかりつけの医師に相談してください。


※また、スポーツドリンクなどの清涼飲料水は水分摂取にはなるものの、過剰な糖分摂取につながる危険性もあります。水やお茶といった無糖の飲み物とバランスよく服用するように留意してください。


 西春内科在宅クリニックができる対応




当院では尿管結石の診断に有用な尿検査、レントゲン検査、超音波検査のいずれも行うことができます。


またCT検査も行うことができ、さまざまな角度から診断アプローチをとることが可能です。


痛みに対して消炎鎮痛薬を処方し辛い症状を和らげるなど、患者様ひとりひとりの状況に合わせてベストなサポート体制を目指しています。


>>西春内科在宅クリニックの健康診断について


まとめ


今回は尿管結石についてまとめて解説してきました。


とても頻度の高い病気であり、症状が出るときは突然なので、明日自分がなっても何ら不思議ではありません。


ですので症状のないうちから本記事を通して尿管結石について理解を深めていただき、みなさまのお役に立てれば非常に嬉しい限りです。


突然の腰痛で「これは!」となった方はもちろんのこと、気になる症状があるという方も一度ご相談に来られてみてはいかがでしょうか。


最後までご覧くださりありがとうございました。この記事が少しでも参考になれば幸いです。



参考文献


1) T Yasui, et al. Prevalence and epidemiological characteristics of urolithiasis in Japan:national trends between 1965 and 2005. Urology. 2008;71:209-13.

2) 日本泌尿器科学会, 日本泌尿器内視鏡学会, 日本尿路結石症学会 編. 尿路結石症診療ガイドライン 第2版. 金原出版. 2013. 

3) 井口正典ら. 尿路結石の病態から見た再発予防法:疫学から再発予防を考える. 泌尿器外科. 2008;21:655-61.

4) John A Sayer. Progress in Understanding the Genetics of Calcium-Containing Nephrolithiasis. J Am Soc Nephrol. 2017 Mar;28(3):748-759.

5) H O Goodman, et al. Genetic factors in calcium oxalate stone disease. J Urol. 1995 Feb;153(2):301-7.

6) Dganit Dinour, et al. Loss-of-function mutations of CYP24A1, the vitamin D 24-hydroxylase gene, cause long-standing hypercalciuric nephrolithiasis and nephrocalcinosis. J Urol. 2013 Aug;190(2):552-7.

7) Galina Nesterova, et al. 1,25-(OH)2D-24 Hydroxylase (CYP24A1) Deficiency as a Cause of Nephrolithiasis. Clin J Am Soc Nephrol. 2013 Apr;8(4):649-57.

8) Roberto Manfredini, et al. Circadian pattern in occurrence of renal colic in an emergency department: analysis of patients’ notes. BMJ. 2002 Mar 30;324(7340):767.

9) Christopher L Moore, et al. Derivation and validation of a clinical prediction rule for uncomplicated ureteral stone–the STONE score: retrospective and prospective observational cohort studies. BMJ. 2014 Mar 26;348:g2191.

10) A Holdgate, et al. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) versus opioids for acute renal colic. Cochrane Database Syst Rev. 2004;(1):CD004137.

11) Alexander Kober, et al. Local active warming: an effective treatment for pain, anxiety and nausea caused by renal colic. J Urol. 2003 Sep;170(3):741-4.

12) Glenn M Preminge, et al. 2007 Guideline for the management of ureteral calculi. Eur Urol. 2007 Dec;52(6):1610-31.

13) Loris Borghi, et al. Dietary therapy in idiopathic nephrolithiasis. Nutr Rev. 2006 Jul;64(7 Pt 1):301-12.



 

この記事の監修医師


西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大 (ふくい やすひろ)

>>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●三重大学医学部医学科 卒業
●三重県立総合医療センター 
●N2 clinic

みぞおちや右肩の痛みもしかすると胆石が原因かも?胆石症は自然治癒する?

突然ですが質問です。


ジューシーなお肉料理を食べた後や、サクッと美味しい揚げ物を食べた後などに、ギューッとお腹が痛くなったことはありませんか?


「あるある!」となった方は今日の記事は必見です。


後ほど詳しく解説しますが、それは胆石かもしれません。


右のあばら骨のあたりやみぞおち、時には右肩に痛みが出ることがあります。


そのような症状に心当たりのある方はもちろんですが、胆石は10−20人に1人の割合 で生じる病気です。


現在症状がない人でも他人事ではありません。


原因や症状、検査、治療まで一通り解説していきますので、是非最後までご覧いただければと思います。



胆石症とは




胆石症とは、胆嚢(たんのう)の中に石ができることによって食後に痛みが出たり、胸焼けやお腹が張る感じがでたりする病気のことです。


「えー、胆石って言葉はなんとなく聞いたことあるけど、臓器の話になると、胆嚢がどこにあって何しているのかもわからないよ!」という方もいらっしゃるかもしれません。


一言で言うと、肝臓で作った胆汁を食事の時まで濃縮して溜めておく袋が胆嚢です。


食物を消化して栄養を吸収するために、人体はいろいろな消化酵素を含んだ液を分泌しています。


唾液や胃液、膵液などですね。


それらと並んで胆汁という消化液があります。


これは肝臓で生成されるのですが、24時間垂れ流しでは効率が悪いですよね。


食事をして食物が通っていく時にだけ集中的に出したほうが効率がいいと思いませんか。


そのため、胆嚢という袋が胆汁を濃縮して溜めておいてくれるのです。


肝臓の下に腰巾着のようにぶら下がっていて、体の表面からでいうと右のあばらの中のあたりです。


そんな胆嚢の中には常に胆汁が充満しています。


コレステロールや石灰成分、ビリルビンなどのさまざまな物質が原因で胆汁内に石の塊が生成されます。


石があるだけで症状が出なければ何の問題もないのですが、食事を摂って胆汁が分泌される時に石が詰まって疝痛発作(せんつうほっさ)と呼ばれる痛みなどの症状を生じるようになることもあります。


これが胆石症です。


胆石症を引き起こす原因




では、そんな胆石はなぜ生じるのでしょうか。


胆石症を引き起こす原因や危険因子について解説していきます。


胆石はその石の性状からコレステロール結石色素性結石に分けられます。


コレステロール結石はその名の通り、コレステロールが元になります。


色素性結石の大半はビリルビン酸カルシウムを主成分とする黒色結石で、血液のゴミなどが原因になります。


原因の中では、、コレステロール結石が約8割を占めます。


そのコレステロール結石ができやすい人の特徴として従来から「5F」が知られています。

  • Fatty:太った
  • Forty:40歳以上の
  • Female:女性
  • Fair:白人
  • Fecund / Fertile:多産の


5Fはこの5つの頭文字をとった語呂合わせで、北米に多い疾患でした。


ただ近年では食事の西洋化に伴い、日本でも胆石症の有病率が上昇してきており、10−20人に1人の割合でみられます。


その他にも下記のようなさまざまなリスク因子があります。

  • 遺伝性素因
  • 妊娠
  • 糖尿病
  • 脂質異常症、高コレステロール血症
  • 急激な体重減少(とくに胃の手術の後)
  • 他の内服薬


以上のような項目に当てはまるという方は、胆石ができやすいかもしれないということを頭の片隅に置いた方が良いかもしれません。

>>
気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です


胆石症の症状や痛みについて




「ちょっと先生、わたしリスクあてはまってるんだけど!胆石になったらどんな症状がでるの!?」と心配されている方もいらっしゃるかもしれません。


ここからは胆石症の症状や特徴的な痛み方について解説していきます。

胆道疝痛とは?


胆石症の痛み方は「胆道疝痛(せんつう)」という言葉が存在するくらい有名です。


古典的な胆道疝痛は右季肋部(肋骨に沿った部分)、右上腹部、心窩部(みぞおち)に起こる強烈な鈍痛で、背中(特に右肩甲骨のあたり)に放散することがあります。


一般的に波のある強い痛みのことを疝痛(せんつう)と呼ぶのですが、胆道疝痛の場合は一定しており、波がないことが多いです。


特に脂肪分の多い食事は胆嚢の収縮を誘発するため、脂っこい食事の後に急激に痛みが生じることが多いです。


少なくとも30分以上は続き、1時間以内に頭打ちになって6時間以内で和らぐことが多いです。

胆石症の症状は?


胆道疝痛に伴って
吐き気、嘔吐、冷や汗などを生じることがあります。


他にも胆石症の患者では以下のような症状も多く報告されています。

  • 腹部膨満感
  • 逆流によるゲップ
  • 胸焼け


いずれも
胆石症と直接関連があるかどうかははっきりとしていません。


 胆石により胆汁の分泌が悪くなることにより便の色が薄くなるという症状も言われることがあります。


しかし、現実的には便の色が薄くなるほどの胆道の閉鎖になる前に痛くて医療機関を受診して発覚することが多いと考えます。


胆石症は急に症状を生じることが多く、慢性に進行する胆道癌などの腫瘍性病変で特徴的な症状と考えられます。

>>
【尿管結石で悩んでいる方必見】痛みを和らげる方法や病院での治療について


胆石症は自然治癒する?





さて胆石症の症状について解説してきましたが胆石症は自然治癒することはほぼありません。


しかし、胆石症それ自体は命に関わるものでもありません。


石が詰まって胆嚢が「うーん!」と力むことによる痛みなので痛みを我慢すれば自然に和らぎます。


ただ、胆石発作を繰り返しているうちに合併症を引き起こす可能性があり、そうなると命に関わる事態に発展してしまいます。


大きく分けると炎症と穿孔(せんこう)の2つです。


胆石により胆汁が鬱滞することにより胆嚢炎、胆管炎、膵炎などの感染症を引き起こす可能性があります。


胆汁の流れ道の中で石がどの部分に詰まるかにより病気が異なります。


また、胆嚢結石がつまることにより胆嚢内圧が上昇することで胆嚢が破れてしまうことがあり、その場合には激烈な腹痛と発熱を生じます。


胆汁性腹膜炎という状態になり緊急手術をしなければ命を落としてしまう可能性が高い重篤な状態です。


「えー!そんなことになるの!?こわい!」という声が聞こえてきそうですが、リスクを正しく理解いただくために客観的な数字をご紹介しておきます。


まず大前提として胆石症患者の大半は無症状であり、生涯を通じて無症状のままであることが多いです。


最大30年近く観察した研究では19.6%の患者さんが症状を起こしたと報告されています。 


少なく見積もっても半分以上の患者さんは胆石発作を経験せずに済むと考えられますので、過剰に心配することはないのではないでしょうか。


ただ残念なことに自然治癒することはほぼありません。


そのため、結石が大きいほど胆道を塞ぎやすくなる可能性がありますし、小さな結石がたくさんある場合にも詰まりやすいため、石の状態を定期的にチェックしておくのは良いと考えます。


胆石症の病院での検査と治療について


胆石症がどんな病気なのか、少しずつわかってきましたでしょうか。


胆石症が疑われた、もしくは診断された時にどんな検査や治療を行うのかについても簡単に解説していきます。

胆石症の検査方法


まず最初に、血液検査、腹部レントゲン検査、腹部超音波検査が行われるのが一般的です。


石の種類によってはレントゲンで写らないこともあり、その場合はは超音波検査が特に有用です。 


次に行う検査としては
CTを用いたDIC-CTとMRIを利用したMRCPがあります。


立体的に再構築して評価できる点や、胆嚢だけでなく胆嚢管や総胆管などまで評価できる点が利点です。


胆石症の治療について


結論から言って、現在の日本のガイドラインでは無症状の胆石症は経過観察が推奨されています。


年に1度程度の経過観察をしながら、症状が出た場合には胆嚢摘出術を検討するというのが主流です。


手術はほとんどの場合、腹腔鏡で行われます。



(腹腔鏡手術の術中)


手術を希望しない場合や、手術に耐えることが難しい状況では、飲み薬による胆石溶解療法や体外衝撃波破砕療法(ESWL)なども選択肢の一つになります。


胆石症の入院期間はどれくらい?


一般的な腹腔鏡下胆嚢摘出術の場合、術後3−5日程度で退院することが多いです。


術前の準備なども含めて1週間以内に収まることが多いでしょう。


ただ個人個人の状況(併存疾患や服薬状況、全身状態)により入院期間は前後しますので、担当医に確認してください。



胆石症の予防法について




「先生~、胆石症についてはだいぶわかってきたけどさ!肝心の予防について教えてよ!どうしたら胆石にならずに済むの?」


「胆石を溶かす食べ物はあるの?」


ということが気になってきますよね。やはり病気にならないのが一番ですから、胆石になりにくい食事などについて最後に解説していきます。


【ビタミンC】


ビタミンC(アスコルビン酸)はコレステロールの異化作用と、コレステロールの胆汁酸への変換作用に関連していると考えられており、ビタミンCを常用していた人では胆石が半分程度であったとの報告があります。


 ビタミンCを多く含む食品としてはピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴなどが挙げられます。


【ナッツ類】


また不飽和脂肪酸を多く含むナッツ類も胆石症のリスクを下げる可能性があると報告されています。
15) 


【その他】


その他には
コーヒーやアボカドなどもあります。


逆に、コレステロールを多く含む卵や脂肪の多いお肉、揚げ物などは胆石のリスクを上げると考えられますので注意が必要でしょう。



西春内科在宅クリニックができる対応




当院では胆石症の診断に有用な血液検査、レントゲン検査、超音波検査のいずれも行うことができます。


また、CT検査も行うことができ、さまざまな角度から診断アプローチをとることが可能です。


無症状の間は定期的に経過観察を行いながら、内服治療を開始したり手術治療を紹介したりと、患者様ひとりひとりの状況に合わせてベストなサポート体制を目指しています。


>>西春内科在宅クリニックの健康診断について


まとめ


以上、胆石症の概要から検査・治療、そして予防まで解説してきました。


なんとなく知り合いからきいたことあるけどよくわかってなかったよという方もいらっしゃるのではないでしょうか。


今回の記事が少しでもみなさんのお役に立てれば嬉しいです。


当院では胆石症の診断に必要な検査も行うことができますし、定期観察も可能です。


今回の記事をご覧になって気になることがあったり心当たりがあるという方は是非一度ご相談に来られてはいかがでしょうか。


最後までお読みくださりありがとうございました。



参考文献


1) J E Everhart, et al. Prevalence and ethnic differences in gallbladder disease in the United States. Gastroenterology. 1999 Sep;117(3):632-9.

2) A F Attili, et al. Epidemiology of gallstone disease in Italy: prevalence data of the Multicenter Italian Study on Cholelithiasis (M.I.COL.). Am J Epidemiol. 1995 Jan 15;141(2):158-65.

3) H Nomura, et al. Prevalence of gallstone disease in a general population of Okinawa, Japan. Am J Epidemiol. 1988 Sep;128(3):598-605.

4) T Gilat, et al. An increased familial frequency of gallstones. Gastroenterology. 1983 Feb;84(2):242-6.

5) G T Everson. Pregnancy and gallstones. Hepatology. 1993 Jan;17(1):159-61.

6) B A Chapman, et al. Prevalence of gallbladder disease in diabetes mellitus. Dig Dis Sci. 1996 Nov;41(11):2222-8.

7) Daniel Mønsted Shabanzadeh, et al. Determinants for gallstone formation – a new data cohort study and a systematic review with meta-analysis. cand J Gastroenterol. 2016 Oct;51(10):1239-48.

8) R A Liddle, et al. Gallstone formation during weight-reduction dieting. Arch Intern Med. 1989 Aug;149(8):1750-3.

9) A K Diehl, et al. Clinical evaluation for gallstone disease: usefulness of symptoms and signs in diagnosis. Am J Med. 1990 Jul;89(1):29-33.

10) C D Johnson, et al. ABC of the upper gastrointestinal tract. Upper abdominal pain: Gall bladder. BMJ. 2001 Nov 17;323(7322):1170-3.

11) Daniel Mønsted Shabanzadeh, et al. A Prediction Rule for Risk Stratification of Incidentally Discovered Gallstones: Results From a Large Cohort Study. Gastroenterology. 2016 Jan;150(1):156-167.e1.

12) Tomás Ripollés, et al. Tissue harmonic sonography in the diagnosis of common bile duct stones: a comparison with endoscopic retrograde cholangiography. J Clin Ultrasound. 2009 Nov-Dec;37(9):501-6.

13) 日本消化器病学会 編. 胆石症診療ガイドライン2021. 南江堂. 2021. 

14) Thomas Walcher, et al. Vitamin C supplement use may protect against gallstones: an observational study on a randomly selected population. BMC Gastroenterol. 2009 Oct 8;9:74.

15) Chung-Jyi Tsai, et al. A prospective cohort study of nut consumption and the risk of gallstone disease in men. Am J Epidemiol. 2004 Nov 15;160(10):961-8.


 

この記事の監修医師


西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大 (ふくい やすひろ)

>>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●三重大学医学部医学科 卒業
●三重県立総合医療センター 
●N2 clinic

 

高齢者だけじゃない!40代からでもなる若年性認知症とは?なりやすい人や原因について

認知症は高齢者だけが発症する病気ではありません。

 

認知症は、一般的には高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症した場合には、「若年性認知症」と呼ばれます。

 

若年性認知症の場合は、働き盛りの世代で発症するため、ご本人のみならずご家族の生活への影響が大きくなる特徴があります。

 

病気のために仕事に支障が出て、経済的に困難な状況に陥るなど、教育、就職、結婚などの人生設計が変化することも少なくありません。

 

若年性認知症は社会的にも大きな課題を抱える疾患ですが、一般的にまだまだ認識が不足している疾患のひとつです。

 

今回は、高齢者だけではなく、若年層からでも罹患する可能性がある若年性認知症とは何歳から発症してどのような病気を呈するのか、その症状や原因などについても解説していきます。

 

若年性認知症とはなにか?

 

若年性認知症とは、従来から言われてきた40歳から64歳に発症した初老期認知症に18歳から39歳までに発症した若年期認知症を加えた認知症の総称です1)。

 

2017年度から2019年度に実施した日本医療研究開発機構の認知症研究開発事業によって実施した若年性認知症の調査によれば、わが国の若年性認知症の有病率は18歳~64歳人口10万人当たりで約50人、若年性認知症者の総数はおよそ3.6万人と推計されました2)。

 

20代の年齢からでも発症する可能性がある若年性認知症は、高齢者の認知症と類似点も多いですが、異なる特徴もいくつかあります。

 

例えば、以下のような様々な問題が顕在化します。

 

  • 発症年齢が若い
  • 異常に気付きにくく受診が遅れる傾向がある
  • 初発症状が認知症特有のものとは限らないので診断しにくい
  • 就労中に発症することが多くて経済的問題が大きい
  • 車運転が中断される

 
>>アルツハイマーと認知症の違いは?原因や初期症状、なりやすい人の特徴について

若年性認知症の原因 

 

認知症というのは、一つの病名ではありません。それは若年性認知症であっても変わりません。

 

認知症を起こす病気はさまざまですが、多くの場合は脳の病気であり進行性を有する疾患となります。

 

国の調査ではアルツハイマー型認知症が最も罹患率が多くて、次いで血管性認知症、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症による認知症が続きます。

 

では、一つずつ詳しく説明していきましょう。

 

アルツハイマー病

 

アルツハイマー病とは脳の神経細胞が徐々に減って、正常に働かずに機能しなくなるタイプの認知症です。

 

脳内に「タウ蛋白」という異常物質が沈着して、「老人斑」が形成されることに伴って、神経細胞に異常をきたすことで脳細胞が破壊され萎縮していきます。

 

主に、加齢、女性、糖尿病などが本疾患の危険因子として挙げられます。

 

もの忘れ、短気になる、置き忘れやしまい忘れ、趣味などに関心がなくなる、時間や場所の感覚が衰える、片付けが苦手になるなどの症状が挙げられます。

レビー小体認知症

 

レビー小体認知症とは脳内部に、「α-シヌクレイン」というたんぱくが変化して凝集してできる「レビー小体」という異常物質が蓄積されて発症するタイプの認知症です。

 

一般的に、幻視、緩慢な動作、手足の震えなどのパーキンソン症状、軽度のもの忘れ、1日の中で症状が変動する(日内変動がある)などの特徴が挙げられます。

 

前頭側頭型認知症

 

前頭側頭型認知症とは脳の前方部分(前頭葉や側頭葉)が萎縮することによって引き起こされます。

 

通常では、45~65歳の人に発症しやすいと言われています。

 

人格の変化や非常識な行動が目立つ、失語、共感・感情移入ができない、食事の好みが変化、社会性の低下、同じ言動を繰り返すなどの症状が代表的です。

 

脳血管性認知症

 

脳血管性認知症とは、脳卒中(脳梗塞や脳出血)などに引き続いて起こるタイプの認知症です。

 

障害された血管の場所によって症状が異なります。

 

計算力や理解力・記憶力などの障害、運動まひ、歩行障害、排尿障害、のみ下すことに支障がある、感情のコントロールが難しくなる、抑うつ症状などを引き起こします。

 
>>認知症かな?と思った方は認知症外来・もの忘れ外来へ

若年性認知症の症状

 

若年性認知症における症状などは高齢者の認知症と大きく変わらないと言われています。

 

しかし、高齢者認知症と違って老化現象がない分、認知症の症状が目立ちやすく周囲の人々が症状変化や進行を判断しやすいという特徴があります。

 

特徴の第一は発症年齢が若いことで、まさに働き盛りに発症することになり、自然と仕事に関することを始めとして社会生活のさまざまな場面で課題が生じます。

 

もの忘れにより仕事でミスをする、あるいは家事が下手になると、本人や家族は「いつもの自分とは様子が異なる」、「どうも普段と調子が違っておかしい」ことに気がつきますが、これらの症状の背景に“認知症”が存在するとは思いつかず、受診が遅れる場合があります。

 

認知症のなかでも特に多いタイプとされているアルツハイマー型認知症の場合には、「もの忘れ」といった記憶障害に続いて、「見当識障害」も起こしやすいと指摘されています3)。

 

記憶障害とは、主に自分が実際に体験した過去の出来事などに関する記憶が抜け落ちる認知症の障害(中核症状)  のひとつと認識されています。

 

見当識障害とは時間や場所、人の判断がつかなくなっていく状態です。引っ越しや入院、子供との同居など環境が変わった時にとりわけ強く現れます。

 

本人が自覚を有する物忘れとは異なって、自覚がないために日常生活に重大な支障が出現します。

 

また、レビー小体型認知症の際にも、「もの忘れ」といった記憶障害よりむしろ「見当識障害」が前面に目立つことが往々にしてあります。

 

認知症は、本人はもちろんのこと、家族や周囲に大きな負担をもたらします。

 

一般的に、認知症に関する介護の平均期間は6~7年程度と言われていますが、認知症の経過には個人差があるために一概に寿命は何年とは言い切れません。

 

自分の人生において、「最期はどうなるのか」より「最期はどうしたいか」を深く考えることが重要です。

 

漠然と日常的に恐れるより、「最期はこう迎えたい」と理想を描くことが、認知症を抱えている一人一人の残りの人生の生活の質を高める観点からも必要なことと考えられます。


>>認知症における顔つきが変わる理由と初期症状や代表的な種類

若年性認知症になりやすい人の特徴

 

若年性認知症になりやすい人の性格の代表例として、「協調性がない」ことが挙げられます。

 

協調性が乏しい場合、他人とのコミュニケーションが少なくなって脳が活性化する機会を失って認知症に罹患しやすいと考えられます。

 

また、短気で怒りっぽい方も、他人との円滑なコミュニケーションが取れないことが多く孤立する傾向になるために、認知症になりやすいと想定されます。

 

さらに、普段からあらゆる物事に対してネガティブ思考になりやすく、小さなことや細かい事項をくよくよ気にする性格の人は、ストレスを感じやすくうつ病を発症して他人との交流が少なくなることで脳刺激が減少して、若年性認知症の発症リスクが上昇します。

 

また、自尊心が高くて他人との交流を避ける方は、どうしても他人と接触する機会が減る分、脳の働きは鈍化して若年性認知症になりやすいと指摘されています。


>>認知症が一気に進む原因や知っておきたい予防と対策について

物忘れ外来での若年性認知症の検査と治療について 

 

検査方法

 

若年性認知症の診断は、高齢者の認知症と同様に、ある程度定められたチェック手順によって総合的に実施されます。

 

  1. 問診…本人、家族から発症までの経過を聴取します。
  2.  神経心理検査…MMSE(ミニメンタルステート検査)、長谷川式認知症スケール(HDS-R)などの検査ツールを用いて認知機能を評価します。
  3.  脳に関する画像診断検査…脳に萎縮の有無があるかどうかを調べるMRIやCT、PET検査などを行います。
  4.  一般的な身体検査…必要に応じて血液検査や心電図検査、感染症検査、レントゲン撮影などを実施します。

 

若年性認知症の治療法

 

認知症の一部症状については早期診断によって改善を期待できる場合があり、治療法の研究や新薬の開発が進行しています。

 

しかし、残念ながら現時点では若年性認知症のほとんどにおいて根本的な治療法は確立されていません。

 

実際には、薬物療法やリハビリ療法、生活習慣の改善、周囲の環境調整などの方法を組み合わせて、症状進行を遅らせる、あるいは症状を軽減させる治療が実践されています。

 

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、中核症状である認知機能障害などに対して症状を緩和させる薬がありますし、理学療法や作業療法のリハビリテーション療法によって、行動心理症状を改善させる一定の効果が期待できます。

 
日常でできる予防法

 

若年性認知症を予防するには、食事や運動、喫煙などの生活習慣を見直すことが重要です。

 

規則正しい生活を送ること以外にも、日常的に脳を活性化させることを目標としましょう。

 

例を挙げると、定期的に旅行に出かける、信頼できる友人との食事会などに参加するなど、日常生活の中に、心がわくわくするようなイベントを積極的に取り入れて他人とコミュニケーションを確保することで脳が活性化されて若年性認知症の予防に繋がります。

 

もし自分・身内が若年性認知症になってしまったら

 

万が一、自分や身内の家族に認知症の疑い症状を認めた際には、まずは病院など医療機関で専門医に相談しましょう。

 

認知症に症状が類似している他の病気が隠れている可能性も検討されますし、適切な治療や介護を受けるためにも、どの種類の認知症かを診断してもらうことは重要です。

 

認知症を抱えた方にとっては、その事実と共存しながら安心して生活できる環境を整備することが重要なポイントとなります。

 

具体的には、

 

  • 家族として本人を責めない
  • 認知症に関して正しい知識を身につける

 

などの適切な心構えや患者本人との関わり方を認識する必要があります。

 

周辺の人々を困らせる認知症の症状ばかりに目を向けるのではなく、認知症を患った本人の変わらない部分の本質をしっかりと観察して、あらゆる状況に応じた必要な手助けを多様な場面で予防的に実践することが重要です。

 

例えば、

 

  • 規則正しい生活を過ごすために
  • 1日のスケジュールをメモ書きにする
  • 予定している時間を効果的に本人に知らせるために、スマートフォンのカレンダー機能やデジタル時計を活用する

 

など工夫しましょう。

 

また、自分や身内が若年性認知症に罹患した場合には、国などの経済支援の制度も活用できますし、行政や民間のサポート制度を積極的に利用して施設介護体制を整えることによって介護の負担を単独で負わないことが重要な観点です。

 

西春内科在宅クリニックができる対応

 

若年性認知症は、早期発見により様々な対応策を講じることが出来る病気です。

 

日常生活における些細な変化を出来る限り見逃さずに、心配事や不安点などがあれば専門の医療機関で主治医に気になる症状や状態を具体的に説明して相談を受けましょう。

 

西春内科・在宅クリニックでは、常勤の内科医師の診察により、若年性認知症の診断、治療をサポートすることが出来ます。


もの忘れ外来 

まとめ

 

一般的に言われる「認知症」とは高齢者の認知症のことを指すことが多く、特65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」と呼びます。

 

認知症は、何らかの脳病変によって認知機能が低下することによって社会生活や日常生活に支障をきたした状態であると考えられています3)。

 

認知機能とは、近時記憶・遠隔記憶などを含む記憶、時間・場所に関する見当識、判断力と問題解決力、地域社会における活動能力、金銭管理を始めとする家庭生活力、および学習実行機能などを意味しています。

 

認知症の始まりではないかと疑われる言動を認めた際には、最寄りの認知症外来など医療機関を受診して相談しましょう。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

 

 参考文献

 

1)  健康長寿ネットHP

2)  東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリース「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」 

3)  エイザイ相談e-65.net HP


 

この記事の監修医師

甲斐沼 孟医師

医師 甲斐沼 孟(かいぬま まさや)

【プロフィール】

平成19年に現大阪公立大学医学部医学科を卒業。初期臨床研修修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科勤務、平成26年より国家公務員共済組合連合会大手前病院で勤務、令和3年より同院救急科医長就任。どうぞよろしくお願い致します。

【専門分野】

救急全般(特に敗血症、播種性血管内凝固症候群、凝固線溶異常関連など)、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

【保有資格】

日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医、日本救急医学会認定ICLSコースディレクター、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医など

 

 

生活習慣病の方は注意!動脈硬化が引き起こす命に関わるリスクについて

動脈硬化とは、食事、運動、喫煙、飲酒などに関する生活習慣が影響して血管の状態が悪くなり血流が十分に健全に全身に送れなくなる病気のことを指しています。

 

動脈硬化を引き起こす代表的な原因としては、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が挙げられます。

 

また、そのような動脈硬化の状態になれば発症リスクが高まると考えられている疾患の種類として、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞に関連する病気などが考慮されます。

 

今回は、動脈硬化はどんな病気なのか、その具体的な危険因子や関連する病気の種類、動脈硬化が引き起こす命に関わるリスクなど生活習慣病による動脈硬化の危険性について詳しく解説していきます。

 

 

動脈硬化をまねく原因とは


動脈硬化をまねく原因はさまざまです。
1つ1つ見ていきましょう。

 

生活習慣病の危険因子

 

肥満


動脈硬化を引き起こす原因の1つに肥満が挙げられます。

 

いまや世界人口の約3分の1は「肥満者」であると言われています。

 

わが国でも多くの肥満患者が存在しており、肥満が生活習慣病や動脈硬化の危険なリスクファクターであることはこれまで多くの報告で明らかにされてきております。

 

肥満症は身体に過剰な脂質が蓄積している状況を指します。

 

この蓄積が引き金の一つとなって身体の末梢組織に膵臓から分泌されるインスリンの抵抗性を誘発し、インスリン抵抗性になると、食後の血糖値を処理しにくくなる耐糖能障害が現れます。

 

日本肥満学会による肥満症の診断基準ではBody mass index(以下、BMI)が25を超える場合に肥満としています。 

糖尿病


動脈硬化を引き起こす原因の1つに糖尿病が挙げられます。

 

糖尿病は現代の疫病ともいわれ、糖尿病予備軍まで含めると全人口の約3割程度が発症していると考えられています。

 

糖尿病は、体内のインスリンと呼ばれる血糖を一定の範囲におさめる働きを担っているホルモンが十分に働かずに血中に存在するブドウ糖が増加する病気です。

 

血糖値が高い状態が続くと、血液中に多量に存在するブドウ糖が血管の壁を傷つけて動脈硬化が進行して、心筋梗塞や脳卒中のみならず目や腎臓、神経領域にも十分な血液が供給されにくくなります。

 

その結果、網膜症や腎機能傷害、そして末梢神経障害など、いわゆる糖尿病の三大合併症を引き起こすことが知られています。

 

末期レベルまで糖尿病の病状が進行すると、最悪の場合には失明、人工透析、足の切断など日常生活に極めて大きな支障をきたす状態に陥ります。
 

>>知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について

  

高血圧


動脈硬化を引き起こす原因の1つに高血圧が挙げられます。

 

現在、高血圧症は我が国において約4000万人以上にも及ぶ国民が罹患していると指摘されています。

 

高血圧を制御することによって本邦における脳血管障害や心臓病の発症を抑制することが大いに期待されています。

 

高血圧症が長期的に持続することで動脈硬化が知らぬ間に進行して、脳卒中や心筋梗塞が引き起こされ、また心機能が低下して心不全に罹患しやすいと考えられているため、十分に注意を払うことが重要な視点となります。

 

軽度の高血圧であれば無症状で経過することも少なくありませんが、様々な合併症を未然に防止するためにも早期から意識的に治療介入することが肝要です。

 

高血圧の状態を放置していると、動脈硬化を悪化させて脳卒中や心疾患など死に至る病気を発症させる引き金となります。

 

>>気づきにくい高血圧と脂質異常症は定期的な健診が大切です 

 

脂質異常症


動脈硬化を引き起こす原因の1つに脂質異常症が挙げられます。

 

脂質異常症とは、血液中に存在する脂肪分が多すぎる、あるいはその逆に少なすぎる状態を指しています。

 

従来では高脂血症と呼ばれていましたが病態を適切に表現していない理由から2007年に日本動脈硬化学会が診断名を「脂質異常症」に修正した経緯が存在します。

 

脂質異常症の多くは、不規則な生活習慣によって起こると言われており、ほとんどが日々における運動不足、油物など過剰に摂取する偏った食事、肥満体形などが主たる原因とされています。

 

特に、脂質異常症の中でも要注意だと認識されているのは、高LDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症の場合であり、これらの状態は心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化に関連した疾患を引き起こします。

なぜ動脈が硬化してしまうの?

 


動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態を指しています。

 

正常の動脈血管は、心臓から送り出される血液を介して酸素や栄養素を運ぶ重要な役割を持っていて通常であれば弾力性がありますが、加齢に伴って老化や様々な危険因子が影響して硬くなってしまうのが動脈硬化であると考えられています。

 

動脈硬化になった血管では、血管の内側にコレステロールなどの粥腫が付着して血管が狭くなり、血液の流れが悪くなります。

 

一般的には、糖尿病や高血圧、高脂血症、肥満、喫煙などが原因で動脈硬化は進行します。

 

動脈硬化は、全身の血管に生じますので脳梗塞、心不全、心筋梗塞や狭心症など多彩な健康障害を引き起こして命に関わる病気を発症させることも時に経験されます。

 

動脈硬化は放置すると命に関わる危険性も?

 


動脈硬化は放置すると命に関わるさまざまな病気を引き起こす可能性があります。1つ1つ確認しましょう。

 

心筋梗塞

 

大動脈が心臓の左心室の部屋から出たところでちょうど枝分かれしている左右の冠動脈が心臓の筋肉を養っております。

 

心筋梗塞は、高血圧などが誘因となって形成される冠動脈の硬化性変化に伴って冠状動脈の血行障害をきたすことによっても発症します。

 

この疾患は、心臓を養う冠動脈という血管が突然ふさがり、冠動脈疾患を起こすことによって心筋の一部への血液供給が大きく減少し遮断されることで発症します。

 

生命に必須である心臓への血液供給が数分以上にわたって大きく減少するか中断されると、心臓の横紋筋の筋肉組織が壊死することに繋がります。

 

心臓のポンプ機能は、心筋が収縮と拡張を繰り返すことで維持されていますので、心筋梗塞を起こして心筋の一部が機能しなくなって死んでしまうと、ポンプ機能が正常に働かなくなって、心不全などを引き起こします。

 

また、急性心筋梗塞では、同時に心室細動という危険な不整脈を合併しやすく、そうなった場合には特に迅速で適切な治療の有無が生死を分けることになります。

 

実に、亡くなる人の半数以上が、発症後1時間以内に集中しているという統計もあります。

 

心筋梗塞を引き起こすとされている主な要因としては、高血圧、肥満、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、ストレス、喫煙、家族歴などが挙げられます。

心筋梗塞は、主要な自覚症状として急に胸に激痛が起こり、胸に締めつけられるような圧迫感を覚える危険な心臓の病気であることが知られています。

 

発症した場合には、すぐに救急車で病院に担ぎ込んで早急に治療を施さないと、死亡率約40%と死を招きやすいことでも広く知られており、多くの人を前触れもなく突然襲う恐ろしい病気と言えます。

 

実際には心筋梗塞が起こる前には前兆があるとされており、この病気を適切に治療する方法もあります。

 

>>【生活習慣病の方に知ってほしい】心筋梗塞の症状や前兆について

 

狭心症

 

狭心症は、心臓の筋肉組織に重要な酸素成分や栄養要素を供給する冠動脈という血管と多大に関与しています。

 

狭心症では、冠動脈の内側に微小な血栓やコレステロール成分が貯留することで血管の内径が狭くなると、当然のことながら血液の流れが悪くなることで心臓に十分な栄養分を供給できなくなることで胸痛症状や胸の圧迫感が出現します。

 

狭心症の原因はほとんどが動脈硬化であることが知られており、加齢に伴って誰にでも発症する可能性があります。

 

狭心症の種類には、発作の現れる様式や胸部症状が出現する頻度やタイミングなどによって主に以下の4種類に分けることが出来ます。

 

労作性狭心症


冠動脈の動脈硬化による狭心症で労作時に胸痛症状が起こるもの

 

不安定狭心症


労作性狭心症と同様の機序で安静時にも発作が引き起こされるもの

 

異型狭心症(冠攣縮性狭心症)


冠動脈の攣縮によるもの

 

微小血管狭心症


微小血管の調節異常によるもの

 

狭心症という病気においては、動脈硬化などによって冠動脈の血管の内径が狭くなることで締め付けられるような胸の痛み、あるいは冷や汗や息苦しさなどが伴うことがありますので、そういった症状を認めた際には当院またはすぐにかかりつけの医師などへ相談して下さい。

 

>>狭心症の原因や症状、治療について|心筋梗塞との違いは何?前兆がある?

 

脳梗塞

 

脳梗塞の主な危険因子は高血圧、糖尿病、脂質異常症などであり、本疾患もいわゆる生活習慣病のひとつであり動脈硬化と密接に関連しています。

 

一般に脳梗塞などの脳卒中は、何の症状の前触れもなく、突然に起こるのが特徴的です。

 

脳への血管が閉塞して詰まってしまうと、その先に存在する大切な脳細胞へ血液が流れなくなって、脳細胞が死滅してしまい脳梗塞に繋がることになります。

 

脳梗塞においては、脳に酸素や栄養を送っている動脈に血行不良により、神経細胞が死滅してさまざまな症状をきたします。

 

脳梗塞は突然に起こる病気であり、かかってからしまったと後悔しても手遅れですので、健常人でも普段から脳梗塞を予防しておく方法を知って身に付けておくことが重要です。

>>知ってほしい脳卒中の危険な前兆・症状や脳梗塞との違いは?

  

心不全

 

動脈硬化が原因で発症率が高まる心臓病の一つとして心不全が挙げられます。

 

一般的に、心不全とは心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める命に直結する病気と定義されています。

 

心不全の病状が進行して体の中で血液が滞るうっ血状態が進むと、呼吸が苦しくて横になって眠れない起坐呼吸といったような危険な容態になることもあります。

 

このような心不全症状を予防するには、心臓にダメージを与えないような生活習慣を心がけることが重要です。

 

心不全は生活習慣病に関連する動脈硬化によって引き起こされることが多いため、普段から食生活や運動習慣を整えて、疲れやストレスをためない生活を意識して続けていくことが重要な視点です。

 

>>心不全について!もしものために知っておきたい心不全の症状や治療について

 

動脈硬化の症状について

 


動脈硬化疾患の一つである心筋梗塞の症状として最も特徴的なのは、

 

  • 脂汗が出るほどの激しい胸の痛み
  • 胸が締め付けられるような圧迫感
  • 焼けつくような違和感


と表現する人もいます。

 

狭心症とは違って、症状が一時的(数分から15分程度)ではなく30分以上続くので、しばしば恐怖感や不安感を伴います。

 

疼痛部位は、主に胸の中央部から胸全体が多いですが、左胸から顎のあたり、左肩から左腕にかけて広がる場合もあるため、心臓から由来される痛みとは思わず、胃痛や歯痛などと勘違いする人もいます。

 

それ以外にも、呼吸が苦しい、冷や汗が出る、吐き気がする、といった症状を訴える人もいます。

 

顔面が蒼白となり、脱力感を覚えて、動悸やめまい、失神、ショック症状を呈する場合もあります。

 

動脈硬化に関連している末梢動脈疾患における初期症状の代表例としては、手足の冷感やしびれが挙げられます。

 

末梢動脈疾患を抱えた患者さんの約2割は無症状であると言われていますが、これは患者自身が下肢の虚血症状を誘発するほどのスポーツ運動や日常的活動を送っていないことが主たる要因であると思われます。

 

末梢動脈疾患を発症した一部の患者様では、前兆症状として運動耐容能が低下する、あるいは股関節痛や他の関節部の疼痛症状を認めることがあります。

 

また、しばらく歩行した後に主に腓腹部や臀部、あるいは太ももなどの筋肉レベルで血流不足による疼痛症状が自覚され、安静にすれば症状軽減することが特徴的な間欠性跛行と呼ばれる症状を呈することも知られています。

 

そして、末梢動脈疾患の病状がさらに進行して悪化しますと、痛みなどの症状を自覚することなく日常生活において歩行できる距離が段々と短くなると言われています。

 

症状の進行と共に、末梢動脈における動脈硬化が重症化すると安静にしている時から患部に痛みが生じ、特に安静時痛は下肢遠位部でより強くなり下肢挙上によって悪化することが知られています。

 

また、虚血状態の悪化に伴って足趾部または踵部などに潰瘍性病変が出現することもありますし、潰瘍病変は黒ずんだ壊死組織に取り囲まれる傾向が認められて、通常であれば強い疼痛症状を自覚することになります。

 

動脈硬化の改善方法とは

 

人間の血管は、主に内側から内膜、中膜、外膜の3層構造で構成されており、血管自体が老化すると血管壁が硬くなる影響で血液の通り道が狭くなる、あるいは場合によっては血管が閉塞して血流不全を来します。

 

これらの血管の老化現象を動脈硬化と呼んでおり、日常生活において塩分の過剰摂取や肥満、過度なストレス、運動不足などの要素によって引き起こされると考えられています。

 

血管の健康状態を考慮するうえで、食生活における重要ポイントは塩分と脂質、糖質の過剰な摂取を控えることであり、動脈硬化を改善・予防するためには、「食事」に関する生活習慣を見直すことが大前提となっています。

 

動脈硬化を改善させるお勧めの食事内容としては、生野菜のサラダ、海藻類、野菜炒め、きのこ炒め、野菜スープなどが挙げられます。

 

野菜類に多く含まれている食物繊維は、腸管内で糖質や脂質の吸収を抑制してくれますし、きのこや海藻類には血圧を安定化させる効果を有するマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分が含まれているので動脈硬化改善という点で有用であると伝えられています。

 

また、たんぱく質が含まれる脂身の少ない鶏肉、EPA(エイコサペンタエン酸) やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれているいわしやさば、さんまといった魚介類、豆腐や納豆などを代表とする大豆製品を食べると動脈硬化を予防改善することが期待できます。

 

動脈硬化を改善させるにはウォーキングなどの有酸素運動が効果的であると考えられており、習慣的に運動を行うことによって運動習慣がない場合に比べて加齢に伴う血管の老化現象を3分の1以下に抑えることが出来ると伝えられています。

 

運動を実践することで身体内の血流量が増えると血管内皮細胞に摩擦応力が働いて、血管を柔らかくする機能を有する一酸化窒素の成分が増加すると同時に、強力な血管収縮作用を持つエンドセリン物質を減少させる効果も期待されています。

 

このように、定期的に運動を実行することは食生活の見直しとは機序の異なる動脈硬化を改善させる効果があると信じられているのです。

 

有酸素運動によって動脈硬化を最大限に抑制する効果が期待できるのは、活発なウォーキング、あるいはジョギングなどを1日に数十分から1時間程度を週に4〜5日かけて少なくとも1か月間に渡って継続的に実践した場合であると考えられています。

 

動脈硬化の病院での検査と治療について 

 


ここでは病院でできる検査について紹介します。

 

動脈硬化の検査方法

 

一般的に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリック・シンドローム、喫煙歴、肥満体形などは動脈硬化の有名な危険因子であることが知られており、動脈硬化に関する検査ではこれらに関連した精密検査を実施することになります。

 

 Cardio Ankle Vascular Index(略称:CAVI)


Cardio Ankle Vascular Index(略称:CAVI)
とは、いわゆる心臓から足首にかけての動脈壁の硬さを反映する指標であり、一般的に動脈硬化の状態が悪化するほど高値となる傾向があります。

 

その検査範囲には人体の大血管である大動脈も含まれており、これらの動脈壁における進展性や弾力性の低下指標が将来的な心疾患の発症や生命予後を規定する要素となることが広く知られており、動脈硬化の早期診断に貢献する精査であると考えられています。

 

実際の検査場面では、検査を受ける人が仰向けに寝た状態で、両腕および両足首の血圧と脈波を測定することでCAVI指標を算出することになります。

 

頚動脈エコー検査


頚動脈エコー検査
では、首に走行している動脈に対して超音波装置を用いて観察することで頚動脈壁の厚みを測定して、血管に狭窄部位や閉塞病変がないかどうか、あるいは動脈硬化の進行と共に形成されるプラークの有無や浮遊性などを評価できます。

 

この超音波検査では、頚部に検査用のゼリーを塗布して器具を首に密着させて頚動脈を観察し、万が一動脈硬化が進行している場合にはコレステロールなどによって形成された塊が視認できて動脈が実際に狭窄している様子が認められます。

 

これらの動脈硬化を早期発見できる各種検査を上手く活用して、動脈硬化の程度を調べて関連疾患の発症を予防することを念頭に置きながら、健康診断を毎年確実に受診して動脈硬化の危険因子を有しているか否かをチェックすることが重要な観点です。

 

 動脈硬化の治療について

 

動脈硬化に関連している血管疾患を予防するためには、全症例で積極的に動脈硬化に関する危険因子を是正する必要があります。

 

具体的に列挙すると、

 

  • 日常生活において禁煙を励行する
  • 糖尿病や脂質異常症、高血圧を患っているケースではそれらの病勢を良好に制御する
  • ­習慣化された運動療法、塩分や油物を控える食生活スタイルの変更などを実践する

 

ことが重要な観点となります。

 

また、そういった生活習慣を改善しても著効しない場合には、薬物治療が検討されます。

 

例えば、冠動脈や頚動脈、末梢血管における血流を少しでも改善させるために、

 

  1. バイアスピリンⓇやリバーロキサバンⓇなどを始めとする血液をサラサラにする抗血小板剤や抗凝固薬
  2. ACE阻害薬やβ遮断薬を代表とする血管を拡張させる作用を有する血管拡張薬

 

が用いられます。

 

これらの薬物療法でも、仮に下肢の症状が改善せずに病勢がますます進行するケース、あるいはすでに重症虚血肢状態に陥っている場合には、血行再建術を考慮することになります。

 

特に、重症虚血肢を有している患者さんでは、迅速に適切な治療を介入しないと近い将来に約3割の人が下肢大切断を余儀なくされると言われています。

 

そのため、血行再建術は必要不可欠な治療策となります。

 

血行再建術とは、カテーテルを用いて行う血管内治療や外科的なバイパス手術のことを指しています。

 

血管内治療


血管内治療では血管内にガイドワイヤーを通して病変部を血管壁の内側からバルーンという風船で広げたのちに金属ステントを患部に挿入することで、再度同じ部位が狭窄をきたさないように治療します。

 

外科的バイパス手術


外科的なバイパス手術は大伏在静脈など手足に走行している静脈や人工血管グラフトを使用して、血流障害を起こしている血管の代替になる新たな血液迂回路を作成することで末梢動脈の血流を改善する治療方法となります。

 

血管内治療では皮膚表面を大きくメスで切開することなく、局所麻酔のみで施行できるために一般的には身体への負担は少ないと考えられています。

  

ところが、病変部の部位や範囲、狭窄度などの重症分類によっては治療介入できないことも考えられますし、治療完了した血管が将来的に再度狭くなる、あるいは閉塞するなどの課題もありますので注意が必要です。

 

外科的なバイパス手術は全身麻酔下で基本的には実施されますので身体への負担は血管内治療と比較しても大きいと思われますが、治療終了後の血流改善効果は甚大です。

 

また、自家血管や人工血管グラフトが再狭窄する可能性も低率であると考えられています。

 

さらに、内頸動脈は主に脳の前頭葉、側頭葉、頭頂葉という重要な部分を栄養している血管であり、その根元の部分である起始部の狭窄は将来的に大変広範囲な脳を損傷させて、重篤な脳卒中後遺症を引き起こす潜在的な危険性があります。

 

そのような場合には、頚動脈狭窄症に対するステント留置術が考慮されます。

 

動脈硬化によって細くなってしまった頚動脈を、風船のついたカテーテルで押し広げた後に、ステントという形状記憶合金でできた筒を内張のように留置する治療が普及しています2)。

 

いずれにしても、個々のケースで病変の状態は異なりますので、その患者さんにとって最適な治療方法を主治医と相談して選択決定することが重要な視点です。

 

動脈硬化は治る・完治するの?

 

動脈硬化は、老化現象であって、誰しもが年齢を重ねるうちに起こりうる疾患と認識されており、一度病状が進行した動脈硬化は完全に治癒させることは難しいです。

 

高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満症などを代表とする様々な疾患や要因が複合的に絡み合って、動脈硬化は初期段階では無症状で進行していき、自覚症状が認められる際には、長年の沈黙のなかで動脈硬化の進行があったものと考えられます。

 

しかし、動脈硬化を進行させる危険因子を理解して対策を講じることで一定程度の予防ができて、病状の進行を抑えることが可能となります。

 

その対応策の一つとして、

 

  1. 食事や運動など日常的な生活習慣の改善
  2. 生活習慣病に対する積極的な治療を実行すること

 

で動脈硬化に関連する危険因子を除去して動脈硬化の治療や予防に繋げることが非常に重要なポイントです。

 

食事療法


実際の食事療法では、動脈硬化の進行を早めるコレステロールを多く含む肉などの食品、あるいは卵やバターなどを多量に用いて
動物性脂肪成分が多い揚げ物を過剰に摂取するなど暴飲暴食をしないように十分に注意しましょう。

 

また、過度な塩分の摂りすぎは高血圧の発症リスク因子となりますし、糖分の過多摂取は糖尿病を発症する原因となるために一定の注意が必要です。

 

普段の生活の中で、血液中のコレステロールを低下させる働きを有する食物繊維が含まれる食品、抗酸化作用のあるビタミン群が含有される野菜や果物は日々適度に取り入れるように努めましょう。

 

運動療法


運動療法としては、常日頃から
ラジオ体操、水中歩行、ウォーキングや過剰な負担とならない程度の軽いジョギングなどの有酸素運動を15分~30分程度かけて定期的に実践するように心がけましょう。

 

運動習慣を持つことは決して難しいことではなく、それぞれ個々のライフスタイルに応じて楽しく長く継続できるエクササイズを日常生活でも前向きに取り入れて身体を動かすと心身ともに体調が安定して良好になります。

 

高齢者など足腰の弱い人の場合は、椅子に座って簡単に実行できるストレッチ体操などを行うことも出来ますし、もともと基礎疾患を有しており、現在治療中の場合は、それぞれの主治医や担当医と相談して無理をしない範囲で運動習慣を保つように工夫しましょう。

 

適度な運動を実践することで、中性脂肪成分が減って善玉コレステロールが増えて動脈硬化に対する予防に一定の効果が期待できますし、筋肉量を増加させて基礎代謝を上げることで、糖分や脂肪分の代謝効率を改善させることに繋がります。

 

薬物療法


動脈硬化の進展を予防する薬物療法としては、
高血圧、糖尿病、脂質異常症などを始めとする生活習慣病に関する投薬治療を行うことが非常に重要な要素となります。

 

ただし、薬物療法のみに頼って、日々の生活習慣が不規則で悪い状況であれば動脈硬化は進行していきますので、今一度自分のライフスタイルや生活習慣を見直して、動脈硬化に伴う様々な合併症を予防できるように認識しておきましょう。

 

また、動脈硬化の悪化を促進させる肥満症の場合は、適性体重を知って至適範囲に体重を維持できるように努めることも肝要です。

 

タバコに含まれるニコチン成分はあらゆる全身の血管に悪影響を及ぼすことが知られているため、普段の生活で喫煙を続けている場合には禁煙治療を受けるようにしましょう。

 

さらに、適度に日常生活のなかで休息の時間を設けるように意識して、自らストレスを効率よく発散できる周囲の環境整備に注力するように心がけましょう。

  

一般的に、脂質異常症や高血圧などを背景にして動脈硬化は様々な形で進行して血管を傷つけて生活習慣病を発症させることに繋がります。

 

それらのリスク因子となる疾患を抱えている際には専門医に相談して少しでも動脈硬化が治るように前向きに治療を受けましょう。

  

西春内科在宅クリニックができる動脈硬化の対応

 

生活習慣病による動脈硬化は、早期発見により様々な対応策を講じることが出来る病気です。

 

日常生活における些細な変化を出来る限り見逃さずに、心配事や不安点などがあれば専門の医療機関で主治医に気になる症状や状態を具体的に説明して相談を受けましょう。

 

西春内科・在宅クリニックでは、常勤の内科医師の診察により生活習慣病や動脈硬化関連疾患の診断、治療をサポートすることが出来ます。

  

まとめ

 

動脈硬化とは血管が硬くなって柔軟性が失われている状態です。

 

動脈硬化は、喫煙歴や運動不足などの危険因子が重なることによって発症し、なおかつ肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病などのリスク要素によって動脈硬化の病状は進行します。

 

動脈硬化は自覚症状なく進行して、ある日突然に心不全、脳梗塞を始めとする脳卒中、急性心筋梗塞や狭心症などの心臓病などを引き起こすリスクが懸念されています。

 

本来の血管の仕組みや働き、あるいは動脈硬化進行の原因や発症リスクに関連する病気の種類などを知ることで、動脈硬化の予防や進行防止に努めるように心がけましょう。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

 

参考文献

 

1)ニューハート・ワタナベ国際病院HP
https://newheart.jp/glossary/detail/cardiovascular-surgery_007.php

 

2)内頸動脈起始部狭窄に対する内頸動脈ステント留置術
https://ainomiyako.net/e/e-09/x-2/

 

3)  NHK HP:動脈硬化は治る!予防・治療法、薬と食事による改善
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_152.html




医師 甲斐沼 孟(かいぬま まさや)

【プロフィール】
平成19年に現大阪公立大学医学部医学科を卒業。初期臨床研修修了後、平成21年より大阪急性期総合医療センターで外科研修、平成22年より大阪労災病院で心臓血管外科研修、平成24年より国立病院機構大阪医療センターにて心臓血管外科、平成25年より大阪大学医学部附属病院心臓血管外科勤務、平成26年より国家公務員共済組合連合会大手前病院で勤務、令和3年より同院救急科医長就任。どうぞよろしくお願い致します。

【専門分野】

救急全般(特に敗血症、播種性血管内凝固症候群、凝固線溶異常関連など)、外科一般、心臓血管外科、総合診療領域

【保有資格】

日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医、日本救急医学会認定ICLSコースディレクター、厚生労働省認定緩和ケア研修会修了医、厚生労働省認定臨床研修指導医など

 

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認知症の検査方法と費用について|治療の副作用は?|検査を拒むときはどうすればいい?

はじめに:

「認知症」、「介護」という言葉についてどこか他人事のような気がしていませんか?

昨今の高齢化に伴い、認知症の発症率や有病率は世界的に増加しています。

たとえば、認知症の分類形の一つであるアルツハイマー型認知症の有病率は、全世界で約4,700万人と報告されています。 1) 

別の研究では、93歳まで生きていた人のうち、まったくもって正常の認知機能を保つことができていたのは19人(約12%)だけだったと報告されています。 2)

 このように認知症は近年ますます身近なものとなってきていますが、身の回りの方が認知症になった時のことについて考えたことがある方は少ないと思います。

そんな方のために、この記事では「認知症の症状や検査、治療」について概説していきますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

>>物忘れがひどくなる原因は?|認知症との違いや物忘れ対策について

認知症の症状について

 



さて「認知症」ときいて一番に思い浮かべる症状は何でしょうか。

おそらく「物忘れ」という方が大半でしょう。

イメージの通り物忘れは認知症の大変重要な症状です。

ただ認知症のパターンによっては物忘れがあまり目立たずに、以下のような点で困っていることも多いです。 3)

  • 新しい情報を記憶する(例:出来事を思い出すのが難しい)
  • 複雑な作業の処理(例:お金の管理ができない)
  • 推理力(例:予期せぬ出来事に対処できない)
  • 空間的能力および方向性(例:見慣れた場所で迷子になる、交通事故を起こす)
  • 言語能力(例:単語探し)
  • 日常生活動作(例:ご飯を食べたかわからない、お風呂に入らない)
  • 心理症状(例:無気力、すぐに怒る)
  • 性的嗜好、清潔の問題(例:性的な発言が増える、開放的な行動をする)


様々な症状について詳しく知りたいという方は、

>>認知症における顔つきの特徴と症状や種類についてをご参照ください。

認知症の病院での検査について

 


「せんせー、症状はいいから、いざとなったらどんな検査したらいいのか教えてよ!」という方もいらっしゃるでしょう。

日本発祥で世界的にも使用されている長谷川式認知症スケールをはじめ、様々な検査が認知症の診断に有用です。

ここからは認知症の検査について詳しく解説していきます。

認知症の検査の種類


まず一番は
面談/診察をします。

検査じゃないじゃん!と言われるかもしれませんが、認知症の診断において非常に重要であることは否定できません。

家族など身近な人からの情報提供が、着実に診断に近づけてくれます。

認知機能や日常の行動の変化が大事なのです。

またお薬が原因で認知症のような症状がでることもあるので、お薬手帳はぜひ診察にもっていくのがよいでしょう。

診察の中で、以下のような心理テストの検査が行われることもあります。

  • 改訂 長谷川式認知症スケール(HDS-R)
  • ミニメンタルスケール検査(MMSE)
  • モントリオール認知評価(MoCA)


などが代表例です。いずれも外来診察中に行うことができて、認知症のスクリーニングに非常に有用な検査です。
4)

ホルモンの異常やビタミン不足、梅毒などにより認知症のような症状が出ることがあるため、血液検査も最初に行うことが多いです。

また頭部CTや頭部MRIなども有用です。

脳の萎縮を見ることができる他、認知症もどきになりやすい慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症という疾患の除外も可能です。

さらに別の角度から認知症を評価する検査として、SPECTPETが挙げられます。

SPECTでは脳のどの部分によく血流が流れていてどの部分にあまり流れていないかを見ることにより、機能が落ちている部分を評価することができます。

PETでは、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイド蛋白の沈着具合を画像にして評価することができます。

認知症の検査にかかる費用


「けど、PETとか聞いたことない検査、お金かかるんじゃないの?」という心配もごもっともです。

たしかにMRIやSPECT、PETなどはどこでも撮影可能な検査ではないですが、保険制度により少しでも負担が減るようにできています。

参考までにまとめてみました。3割負担の方であれば、検査にかかる費用はそれぞれ

  • 改訂 長谷川式認知症スケール(HDS-R) 240円
  • 頭部MRI 3,990~4,860円
  • SPECT 5,400円
  • PET-CT 21,000~27,000円


ほどになります。撮影状況により前後するので参考程度に考えていただければと思います。

認知症で入院が必要なケース


認知症の多くは入院を必要とせず、
外来での通院の形式をとることが多いです。

しかし、認知症の進行により通常の生活が送れずに身体的な不調も併発してしまった場合や、極度の興奮状態で自他の傷害の恐れがある場合などは入院での加療を選択することもあります。



もの忘れ外来

 

認知症の治療に使われる薬について

 

「せんせー、どこが光って見えるとかよりもさ、治るの?どうしたらいいの?そこんトコロ教えてよ!」とお考えの方もたくさんいらっしゃることと思います。

お気持ちは大変よくわかります。

自分が認知症だと言われると非常に辛い気持ちに陥ることが予想されます。

そしてご家族の方も、これからどうやってサポートしていったらいいんだろうと、心配されていますよね。ここからは認知症の治療について解説していきます。

認知症の薬の種類


現在、認知症の治療の中心は
対症療法になりますが、認知症の進行を抑える治療薬については開発されています。


他には、
精神・行動症状(BPSD)を緩和する薬剤などもあります。

認知症診療で使用される薬剤の例としては、

  • コリンエステラーゼ阻害薬(例:ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)
  • NMDA受容体拮抗薬(例:メマンチン)
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例:パロキセチンなど)
  • その他の一部の抗うつ薬
  • 漢方薬(例:抑肝散など)


などが挙げられます。

認知症の薬の効果


コリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬は、
脳の神経の伝達を保護することで認知機能の低下を抑える効果が期待できます。


またSSRIを含む一部の抗うつ薬は、
精神状態の動揺や妄想症状を改善するのに役立つと考えられています。


他には
漢方薬がよく効く場合もあります。抑肝散は、神経が昂ったりすぐに怒ってしまったりする場合に、感情の高ぶりを穏やかにしてくれます。

認知症の薬の副作用や危険性は?


通常、開始用量で副作用が強く出ることはあまりありませんが、
肝臓の機能や腎臓の機能が損なわれている場合には副作用が現れることがあります。

代表的なものとして、コリンエステラーゼ阻害薬では吐き気・下痢などの消化器症状や徐脈・失神などの症状がでることがあります。

NMDA受容体拮抗薬では不穏、昏迷、幻視などの精神症状がでることがあります。

認知症の薬を使わない治療は?


認知症のマネージメントにおいて、
機能をサポートするための環境操作も非常に重要です。


リハビリテーションを行うことで、認知機能が低下しないように、また
一度低下した認知機能を少しでも回復できるようにサポートすることができます。


今後も研究していく必要があると結論付けてはいるものの、認
知刺激プログラムが認知機能においてプラスに働くという可能性が示唆されています。 5)


日常生活の中で様々な刺激に触れて脳を回転させるという行為が、
認知機能低下を予防すると考えられます。


諸説ありますが、
人と会話するというのはその最たるものではないでしょうか。


日常生活の中でたくさん会話をしたり、
デイケア、デイサービスなどでたくさんの人と接することが非常に有用だと考えます。



>>認知症かな?と思った方は認知症外来・もの忘れ外来へ

認知症治療で完治や改善の期待はできる?

 


世界中の研究者たちの膨大な研究によって、認知症などの神経変性疾患の病態については確実に解明が進んでいます。


しかしながら、悔しいことに特効薬というのはまだ見つかっていません。


老廃物が脳細胞や神経細胞に沈着して劣化していくのを止めて、
脳の機能を元に戻せるような治療薬は2022年7月現在、存在しません。


現在、
認知症の治療の中心は対症療法になりますが、認知症の進行を抑える治療薬については開発されています。


他には、
精神・行動症状(BPSD)を緩和する薬剤などもあります。


現状、完治というのは難しいですが、今の日常生活をできるだけ続けられるように改善することは期待できると思います。

認知症と寿命の関係性はある?


認知症が寿命を短くするということは数々の報告で明らかになっていますが、実際に
どの程度寿命に影響するかということに関しては未だ議論の余地があります。


一例としてカナダのある研究では、認知症と診断されてから3年ちょっとで約半数の方がなくなられたと報告されています。
6) 


別の研究では65歳の時に診断された人の半数が9年間生存し、90歳で診断された人の半数が3年間生存したと報告されています。
7)

 
認知症において、認知症それ自体で入院するというよりも、
肺炎や尿路感染症、転倒による骨折などその他の疾患で入院する頻度が高く、そのためにバラツキが生じていると考えられています。


認知症になったから余命何年というような考え方をする必要はまったくないと思います。

>>
認知症が一気に進む原因や知っておきたい予防と対策について

認知症でプライドが高い人への対応の仕方は?

 


いったん医学的なことは置いときまして。よく相談されるのが「そもそも診察に行くことを拒否していて通院が始められないんですけど、、。」というお悩みです。

患者様本人のプライドが邪魔して通院できないという場合がよくあります。

これは昔よく言われていた「痴呆(ちほう)」という表現に責任の一端があります。

そもそも認知症という病名が広まったのは平成に入ってからのことです。

それまでは「痴呆」という言葉でよく表現されていました。

「痴」も「呆」も侮蔑的な意味を含んでいるため、自分が「痴呆」と思われることに強い抵抗を覚えられる方が多いのです。l

では、そういうプライドが高い認知症の方への接し方をみていきましょう。

検査に行くことや薬を飲むことを拒む場合の対応は?


では、
プライドが高い認知症の方へはどのようにサポートすればよいのでしょうか。


これには
認知症の症状の傾向を考えることが有用です。


認知症では大人になる中で
獲得した記憶力や社会適応能力、認知機能などが障害されていきます。


それにより「新しく記憶する」ことが困難になる反面、昔のこと、幼少期の記憶などについては覚えていることが多いです。


そして子どもの頃に培った、感情に関する事柄も保たれることが多いです。


したがって、こちらの感情を述べてそれに対するアクションを要求するという手法がうまくいくことがあります。


「最近、物忘れがひどいから病院行った方がいいよ。」


というようにアドバイスするのではなく、


「最近、日常生活でうまくいかないことがあるよね。私、心配でたまらないから一緒に受診してくれない?」


と感情を出しながらお願いすることで、うなずいてもらえることがあります。


また薬の中には飲み込まなくても、すぐに溶けてなくなる
速崩錠、口腔内崩壊錠というのもあります。


生活シーンに合わせてうまく利用することで抵抗なく服用できることもあります。



在宅治療での検討も考える


拒否が強い場合や、うつ、
無気力の症状が強い場合には訪問診療による在宅医療という選択肢もあります。


在宅であれば周囲の目が気になることはありませんし、住み慣れた環境でストレスなく診療を受けることができます。


また、「自分が受診する」ということには抵抗を訴える方でも、
「お客さんをもてなす」ということには意欲を示してくれる方も見受けられます。

お客さんとの会話を通して診察を受けることができて、スムーズに進むこともあります。

>>西春内科在宅クリニックの在宅診療について

西春内科在宅クリニックができる対応


当院では、今回ご紹介した検査のうち、
血液検査や頭部CT検査を行うことができます。


認知症の診断がついた場合には、内服薬での通院治療
が可能です。


また通院が困難な場合には、訪問診療による在宅治療にも対応することができます。


一人一人の状況に合わせてベストなサポート体制を目指しています。そしてご本人、
ご家族みなさんに寄り添った診察で症状の改善とQOLの向上のお手伝いができると考えています。


何か気になることがあれば、お気軽に相談にお越しいただければと思います。

>>西春内科在宅クリニックの健康診断について

まとめ


今回は、認知症の検査や治療について解説してきました。


物忘れの症状などについてはなんとなくイメージがあったけど認知症の検査や治療については詳しく知らなかったという方も多いのではないでしょうか。


日々進歩する医療のことについて少しでもわかりやすく解説できればと思いこの記事を作成しました。


当院では患者様ご本人はもちろんのこと、
サポートするご家族様にも寄り添った診察で、症状の改善とQOLの向上に努めています。


この記事がその一つとしてお役に立てればなによりです。最後までご覧くださりありがとうございました。

>>アルツハイマーと認知症の違いは?原因や初期症状、なりやすい人の特徴について


参考文献

1) World Alzheimer Report 2015: The Global Impact of Dementia http://www.alz.co.uk/research/world-report-2015 (Accessed on October 30, 2015).

2) Lewis H Kuller, et al. Risk of dementia and death in the long-term follow-up of the Pittsburgh Cardiovascular Health Study-Cognition Study. Alzheimers Dement. 2016 Feb;12(2):170-183.

3) Recognition and initial assessment of Alzheimer’s disease and related dementias. Clinical Practice Guidelines, Number 19, AHCPR; U.S. Department of Health and Human Services Agency for Health Care Policy and Research, 1996.

4) Kelvin K F Tsoi, et al. Cognitive Tests to Detect Dementia: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Intern Med. 2015 Sep;175(9):1450-8.

5) Bob Woods, et al. Cognitive stimulation to improve cognitive functioning in people with dementia. Cochrane Database Syst Rev

. 2012 Feb 15;(2):CD005562.

6) C Wolfson, et al. A reevaluation of the duration of survival after the onset of dementia. N Engl J Med. 2001 Apr 12;344(15):1111-6.

7) Ron Brookmeyer, et al. Survival following a diagnosis of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2002 Nov;59(11):1764-7.

 

この記事の監修医師


西春内科・在宅クリニック 院長 福井 康大 (ふくい やすひろ)

>詳しいプロフィールはこちらを参照してください。

経歴

●三重大学医学部医学科 卒業
●三重県立総合医療センター 
●N2 clinic

アルツハイマーと認知症の違いは?原因や初期症状、なりやすい人の特徴について

アルツハイマー型認知症は、認知症の中では最も多い疾患です。


アルツハイマー型認知症の特徴的な初期症状に「物忘れ」がある一方で、物忘れがあったからと言って、必ずしもアルツハイマー型認知症とは限りません。


偽性認知症といって、偽物の認知症が隠れていることがあります。


2022年6月時点の日本において、アルツハイマー型認知症を完治させるための有効な治療法はありません。


そう聞くと、発症してしまった時に、ショックを受けてしまうかもしれませんが、早期に適切な対策を行うことでアルツハイマー型認知症の発症を遅らせることも可能です。


また、物忘れの原因が、その他の体の病気によって引き起こされている可能性もありますし、一見認知症のように見えても、適切に治療することで改善する場合もあります。


今回は、最近物忘れが気になるという方のために「アルツハイマー型認知症」について詳しく紹介いたします。

 

アルツハイマー型認知症とは



日本における65歳以上の認知症の人の数は、約600万人(2020年現在)と推計され、
2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されております。


アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳の神経が変性(形が壊れて本来の働きができなくなること)し、その結果少しずつ脳が萎縮していく過程でおこる認知症です。


特に、海馬と呼ばれる記憶をつかさどる部分から萎縮が始まることが多いため、物忘れが有名な症状ですが、進行していく過程で様々な症状がみられます。

 

アルツハイマー型認知症になる原因


アルツハイマー型認知症は、
アミロイドβやタウタンパクというタンパク質が脳に異常に溜まることにより発症します。


脳に溜まったタンパク質が、脳神経の変性を引き起こすことで、脳のなかでも記憶に関わる海馬という器官から萎縮が始まり、徐々に脳全体に広がっていきます。


少し分かりにくいので、たとえ話をします。


脳の細胞1つ1つが家で、その中に人が住んでいたとします。人が毎日生活していれば、当然そこからゴミがでます。それが、上述したタンパク質です。


若いころはちゃんとゴミ捨てに行くため、ゴミが溜まることは無いのですが、高齢になるにつれてゴミ捨てをサボるようになります。


そうすると、少しずつゴミが溜まっていき、いつしか自宅はゴミ屋敷になってしまいます。自分が出したゴミが長年に渡って溜まりに溜まり、いよいよゴミに埋もれて家主が死んでしまった、特にこういった現象は記憶をつかさどる場所で起きやすい、これがアルツハイマー型認知症のイメージです。


つまり、アルツハイマー型認知症は、症状が出るずいぶん前から進行が開始しており、発症した時には、既にゴミ屋敷が完成してしまっているため、治療が困難という現状があります。


ちなみに、なぜ脳にたんぱく質が溜まってしまうのか(なぜゴミ出しをサボるようになるのか)は、現段階でははっきりとした原因は解明されていません。


現在、この溜まったゴミを処理できるような薬の開発が、世界各国で行われています。

 

アルツハイマー型認知症の初期症状について


アルツハイマー
型認知症の代表的な初期症状は、記憶障害、いわゆる「物忘れ」です。

 

昔のことはしっかりと覚えているのですが、新しい情報を記憶するのが困難になってきます。

 

そのため、何度も同じ話をしてしまったり、片付けたことを忘れて探し物をしていることが増えたりします。

 

正確には記憶の障害では無いのですが、見当識障害といって、初期では特に時間の感覚がなくなることがあります。

 

また、実行機能障害も気を付けなければならない症状です。

 

いつもは出来ていたことが出来なくなる、段取りが悪くなることを指します。

 

良く例に挙げられるのは、料理好きのお母さんの料理の味が変わった、調理に時間がかかるようになったなどです。

 

記憶障害や実行機能障害のことを、認知症の中核症状と呼びます。


中核症状は、脳の神経細胞の障害によって起こる認知機能障害です。


しかし、認知症では、その中核症状に加えて、環境要因や心理要因などが加わり、結果として様々な精神症状や行動障害が出現し、それをBPSD(Behavioral and psychological symptoms of dementia)と呼びます。


アルツハイマー型認知症の初期に見られるBPSDとしては、次の2つがあります。


アパシー(apathy)と呼ばれる、日常生活において、さまざまな場面で、やる気や関心が失われていく状態です。


周囲からは、無気力に感じられたり、だらしなくなったなどと言われることがあります。


はっきりと目に見えて現れるものではありません。そのため、周囲の人たちも症状の進行に気づくのが遅れてしまいがちです。


もう一つが、物取られ妄想です。短期の記憶が失われやすいために、自分で片づけたにも関わらず、片づけたことを忘れてしまうため、無くなってしまったと誤解してしまいます。


結果として、誰かに取られてしまったという妄想(明らかに間違った内容を信じてしまい、周囲が訂正しようとしても受け入れられない考え)に繋がっていきます。

 

アルツハイマー型認知症になりやすい人の特徴


厚生労働省の統計では、アルツハイマー型認知症の男女比は1:1.4と、やや女性が多くなっています。

しかし、日本における平均寿命は女性の方が長く、高齢になればなるほど認知症になりやすいことを考えると、この比率は正確では無いのかもしれません。

閉経後の女性ホルモンの低下が、アルツハイマー型認知症の誘因になるという考え方もあります。

また、生活習慣の観点からも、アルツハイマー型認知症の研究は進んでいます。高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症・食生活・運動不足、アルコールなど、さまざま指摘があります。
 

アルツハイマー型認知症と遺伝の関係性


アルツハイマー型認知症の遺伝については、2つの側面があります。

家族間の遺伝の問題と、個人が持つ遺伝子の問題です。

まず、家族間の遺伝が関係するとされる
家族性アルツハイマー型認知症と、遺伝は関係しない孤発性アルツハイマー型認知症についてです。

アルツハイマー型認知症の約90%は、遺伝と関係のない孤発性アルツハイマー型認知症で、全体の約5%が遺伝と関係するアルツハイマー型認知症と言われています。

それとは別に、症状の出現をより高めてしまう性質を持つ遺伝子があり、それを感受性遺伝子と呼びます。

現在では、アルツハイマー型認知症の発症に関係する感受性遺伝子が多く見つかっていますが、その中でも特に関係性が深く、危険性が高いとされているのが、アポリポタンパクE4遺伝子(APOE4)です。

この遺伝子は日本人の約10~15%が保有しています。この感受性遺伝子があると
3~5倍アルツハイマー型認知症を発症しやすいとされています。

感受性遺伝子そのものが発症の原因になるわけではありません。感受性遺伝子を持っている人が、生活習慣やほかの病気などと複合的に関係して認知症の発症に至ります。

そのため、発症のリスクを高める1つの要因と考えるべきです。

>>認知症における顔つきの特徴と症状や種類について

アルツハイマーと認知症の違いは?





アルツハイマーと認知症は違うものと思われがちですが、先述した通り、
アルツハイマー型認知症とは認知症の中のひとつです。


 アルツハイマー型認知症と加齢に伴う物忘れの違いは?


アルツハイマー
型認知症による記憶障害は、加齢による物忘れと異なり、体験を丸ごと忘れる点が特徴です。


例えば、昨日財布をどこにしまったかを忘れてしまったと言うのと、財布をしまったこと自体を忘れてしまうのでは、大きな違いがあります。


アルツハイマー型認知症でみられるのは後者です。


結果的に、財布が見当たらなくなってしまった状況に陥り、混乱した結果、「財布は誰かに盗まれたに違いない」と自分を納得させる理解をし、ものとられ妄想という症状が出現します。

>>認知症が一気に進む原因や知っておきたい予防と対策について

 

アルツハイマー患者の寿命について


アルツハイマー患者は、
発症してから約10年が平均余命とされますが、進行速度には個人差が大きく、あくまで平均であるというのが、実際に診療していての印象です。

 

また、実際には誤嚥性肺炎など、認知症に伴う合併症によって亡くなることもしばしばです。

 

アルツハイマー型認知症の診断基準


アルツハイマー型認知症の診断基準について見てみましょう。


詳細は下記の通りなのですが、注目してほしいのは、「特定の検査で引っかかったら」という項目は見当たりません。


アルツハイマー型認知症の検査はあくまで診断の補助であって、診断において最も重要なのは、「今までできていたこと(若いころには問題なくできたこと)が、明らかに出来なくなってきている」ということ、そしてそのために「日常生活に支障が出てきている」ということです。


 アルツハイマー型認知症の診断基準【ICD-10】


G1.以下の各項目を示す証拠が存在する.

(1)   記憶力の低下

新しい事象に関する著しい記憶力の減退.重症の例では過去に学習した情報の想起も障害され,記憶力の低下は客観的に確認されるべきである.

(2)   認知能力の低下

判断と思考に関する低下や情報処理全般の悪化であり,従来の遂行能力水準からの低下を確認する.


(1)(2)により、日常生活活動や遂行能力に支障をきたす.

 

 G2. 周囲に対する認識(すなわち,意識混濁がないこと)が, 基準 G1 の症状をはっきりと証明するのに十分な期間, 保たれていること.せん妄のエピソードが重なっている場合には認知症の診断は保留.

 

G3.次の 1 項目以上を認める.

(1)情緒易変性

(2)易刺激性

(3)無感情

(4)社会的行動の粗雑化

 

G4. 基準 G1 の症状が明らかに 6 か月以上存在していて確定診断される.

アルツハイマー型認知症の病院での検査


アルツハイマー型認知症の検査は、大きく分けて「
神経心理学的検査」と「画像検査」に分かれます。

神経心理学検査


「神経心理学検査」は、
簡単な質問や作業によって行われる検査です。

 

最も広く行われているのは、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)ではないでしょうか。HDS-Rは、記憶を中心とした大まかな認知機能障害を調べる検査です。

 

日付や場所、単語の記憶や、単純な計算などを行います。

 

30点満点中20点以下だった場合、認知症の疑いが高いとされていますが、点数が悪くても、すぐに認知症と診断されるわけではありません。

 

その他にも、MMSEや時計描画テストなども、比較的行われることが多いです。

 

画像検査


「画像検査」では、
頭部CTや頭部MRIが多く実施されています。

 

両者とも、脳の形をみる検査になります。アルツハイマー型認知症によって脳が萎縮していきますが、その萎縮の仕方などを診断の補助としています。

 

また、これらの検査は、その他の病気によって、認知症のような状態になってしまった病気を発見するのに有用です。

 

代表的な疾患に、特発性正常圧水頭症慢性硬膜下血腫があります。

 

それぞれの病気についての詳細は割愛しますが、これらの病気は正しく治療することで回復する可能性があります。

アルツハイマー型認知症の病院で治療ついて


現在、日本で使用されているアルツハイマー型認知症の治療薬は、全部で
4種類あります。

 

2018年8月より、フランスでは、これらの薬の使用が保険適用外となりました。

 

有効性の面で、これらの薬の投与が、行動の障害やQOL(生活の質)、施設入所までの期間などに与える影響が十分に確立されていないと指摘しています。

 

簡潔に言えば、アルツハイマー型認知症に対して効果があったと十分に立証できていないのです。

 

さらに、安全性の面においても、色々な持病を持っていることが多い高齢者にとって、特に消化器や循環器などに対して、副作用のリスクがあると追記しています。

 

こうした有効性・安全性の評価を踏まえ、公的医療保険を適用するのは適切ではないという結論に至りました。

 

日本でも、もちろんこういった議論は継続しています。

 

日本神経学会のガイドラインでは、認知症の治療薬の処方を強く推奨していますが、奥村泰之氏(東京都医学総合研究所)など、推奨を弱めるか、強く推奨する年齢層を限定する必要があると提言している研究者もいます。

 

少し大雑把な説明になるかもしれませんが、現在使用されている抗認知症薬は、「効果があるかもしれないし、無いかもしれない」といったレベルの薬であり、副作用のことも考慮すると、使用は慎重に行うべきということです。

 

しかし、アルツハイマー型認知症に対する新薬開発は、世界中で行われています。


そして、2022年6月にアメリカにてアデュカヌマブ」が承認されました。


世界初の治療薬として期待される中、同月22日に日本での承認について審議が行われました。厚生労働省の専門部会は、現時点ではアルツハイマー病の治療薬として承認するべきではないと判断し、継続審議となりました。

 

日頃からできるアルツハイマー予防対策





アルツハイマー型認知症の予防に効果的な方法はいくつかありますが、
明らかに効果が実証されたものはありません。


しかし、実証されてないからと言って、効果がないということでもありません。


アルツハイマー型認知症は、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常といった生活習慣病と深い関わりがあります。


そのため、生活習慣病を予防することが認知症の原因疾患及び認知症の予防に繋がるということです。


そのためには、適度な運動や、食生活の見直しなど、当たり前のようで実際には難しいことに、取り組んでいくことが大切になります。


特に筆者は糖尿病との関連について注目しています。


具体的には、糖尿病の方はそうでない方と比べると、アルツハイマー型認知症に約1.5倍なりやすいとの報告があります。


また、糖尿病のコントロールが悪い(糖尿病が未治療もしくは上手くいっていない)アルツハイマー型認知症患者さんは、抑制を欠いた言動が目立つなど、BPSDの症状が強くでる印象を持っています。


いずれにせよ、若いころから健康に留意し、病気があってもきちんと治療しておくことが、結果的にアルツハイマー型認知症の予防に繋がっていく可能性があるということです。

>>物忘れがひどくなる原因は?|認知症との違いや物忘れ対策について

 

 家族がアルツハイマー患者になったときの向き合い方





家族がアルツハイマー型認知症になった時、どのように関われば良いのか、具体的に解説する前に、アルツハイマー型認知症になったらどんな風につらいのか想像してみましょう。


アルツハイマー型認知症では、今まで出来ていたこと、分かっていたことが、少しずつできなくなる、わからなくなっていきます。


例えば、みなさん友人と話しているのは、とても楽しい時間だと思いますが、もしその友人が急にドイツ語を交えるようになったらどうでしょう。友人はあなたがドイツ語を分かっているものと思って話しています。


そうすると、多くの人がわかったふりをしたり、とりつくろったりするのではないでしょうか。さらに進んで、ほとんどドイツ語で話しかけられたらどうでしょう。だんだんイライラしてきませんか?人間は、分からないという状況をとても不快に感じます。


この例え話は、やや正確性に欠けるので恐縮ですが、大雑把に言うと、こんなイメージで問題ないと思います。


家族の方は、特に自分のご両親であればなおさら、元気なころの印象が強く残っているため、「できる」「わかる」と言う前提で関わってしまいがちです。


しかし、認知症患者さんの中では、確実にできること、わかることが減っているのです。その立場になって接することで、関わり方は変わってくると思っています。


以下に、公益社団法人認知症の人と家族の会が提唱する「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条を掲載します。


アルツハイマー型認知症に特化したものでは無いですが、是非参考にしていただけたらと思います。

 

  • 見逃すな「あれ、何かおかしい?」は、大事なサイン。


認知症の始まりは、ちょっとしたもの忘れであることが多いもの。単なる老化現象とまぎらわしく、周囲の人にはわかりにくいものです。あれっ、もしかして?と気づくことができるのは、身近な家族だからこそです。

  • 早めに受診を。治る認知症もある。


認知症が疑われたら、まず専門医に受診すること。認知症に似た病気や、早く治療すれば治る認知症もあるのです。また、適切な治療や介護を受けるには、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などをきちんと診断してもらうのは不可欠です。

  • 知は力。認知症の正しい知識を身につけよう。


アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症では、症状の出方や進行、対応が違います。特徴をよく知って、快適に生活できるよう、その後の家族の生活や介護計画づくりに役立てましょう。

  • 介護保険など、サービスを積極的に利用しよう。


介護保険など、サービスを利用するのは当然のこと。家族だけで認知症の人を介護することはできません。サービスは「家族の息抜き」だけでなく、本人がプロの介護を受けたり社会に接したりする大事な機会です。

  • サービスの質を見分ける目を持とう。


介護保険サービスは、利用者や家族が選択できるのが利点。質の高いサービスを選択する目が必要です。また、トラブルがあったときは、泣き寝入りせず、冷静に訴える姿勢を持ちましょう。

  • 経験者は知恵の宝庫。いつでも気軽に相談を。


介護経験者が培ってきた知識や経験は、社会資源の一つ。一人で抱え込まずに経験者に相談し、共感し合い、情報を交換することが、大きな支えとなります。

  • 今できることを知り、それを大切に。


知的機能が低下し、進行していくのが多くの認知症です。しかし、すべてが失われたわけではありません。失われた能力の回復を求めるより、残された能力を大切にしましょう。

  • 恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう。


認知症の人の実態をオープンにすれば、どこかで理解者、協力者が手をあげてくれるはず。公的な相談機関や私的なつながり、地域社会、インターネットなどのさまざまな情報を上手に使い、介護家族の思いを訴えていきましょう。

  • 自分も大切に、介護以外の時間を持とう。


介護者にも自分の生活や生甲斐があるはず、「介護で自分の人生を犠牲にされた」と思わないように自分自身の時間を大切にしてください。介護者の気持ちの安定は、認知症の人にも伝わるのです。

  • 往年のその人らしい日々を。


認知症になっても、その人の人生が否定されるわけではありません。やがて来る人生の幕引きも考えながら、その人らしい生活を続けられるよう、家族で話し合いましょう。

出典元:「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条


西春内科在宅クリニックができる対応


西春クリニックでは認知症外来を行っております。

常勤の医師が、認知症の診療にあたり、CTなどの精密検査を行うことも可能です。

 

まとめ


2022年6月時点の日本において、
アルツハイマー型認知症を完治させるための有効な治療法はありません。


アメリカでの新薬を皮切りに、さらなる治療の進展が待たれます。


また、アルツハイマー型認知症は早期発見が回復のカギとなることもあります。


物忘れが気になったら、お気軽に当院または最寄りのクリニックへ相談する様にしましょう。

参考資料


認知症|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

アルツハイマー病と認知症支援 | 日本 | Alzheimer’s Association

種類別認知症の原因と症状 | 認知症ねっと (ninchisho.net)

【医師監修】認知症の検査方法とは?種類や診断の流れ・注意点まで詳しく解説|サービス付き高齢者向け住宅の学研ココファン (cocofump.co.jp)

エーザイ共同開発の世界初「アルツハイマー病治療薬」欧米で評価二分…日本での承認は<WBS>|テレ東プラス (tv-tokyo.co.jp)

認知症は遺伝する?原因やリスクを正しく理解しましょう。 | 健達ねっと (mcsg.co.jp)

もし、家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)


【監修医師】

精神科専門医 Dr.竹下 理 

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住所:〒481-0041 愛知県北名古屋市九之坪北浦31(メガネ赤札堂の真向かい)

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