血栓とは?原因・症状・予防法・できやすい人の特徴を紹介
長時間のデスクワークやフライトで突然起こる可能性がある血栓。
「エコノミークラス症候群」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
実は誰にでも起こりうる身近な病気なんです。
今回は血栓について、原因から予防法まで詳しく解説していきます。
血栓とは?
血栓とは、血管の中で血液が固まってしまう状態のことです。
傷口で血液が固まるのと同じ仕組みで、本来は体を守るための大切な働きです。
しかし、血管内で血液が固まってしまうと、血管が詰まって深刻な病気を引き起こす可能性があります。
関連記事:心筋梗塞の前兆や症状について|生活習慣病の方は必見!
血栓ができる原因
血液の性質の変化
血液には、出血を止めるために固まる性質と、傷が治った後にその固まりを溶かす性質があります。
しかし、以下のような状況では、血液が必要以上に固まりやすくなり、血栓ができやすいです。
- 遺伝的要因による血液凝固の異常
通常よりも凝固因子が多かったり、強く働きすぎることで血栓ができやすくなります。 - 自己免疫疾患による血液の変化
免疫が誤って血液成分を攻撃することにより血液の性質が変わります。 - この影響で血が固まりやすくなり、血栓ができることがあります。
- 体の炎症による血液成分の変化
風邪やケガ、病気などで体が炎症を起こし血液中の細胞が変化。
その結果、血液を固まりやすくする原因となり血栓ができやすくなります。 - ピルなどの特定の薬物使用
ピルは血液の性質を変えることがあります。
これにより、血液が固まりやすくなり血栓リスクが高まります。
血管壁の状態の変化
血管の内側は通常、とても滑らかな状態を保っています。
しかし、以下のような原因で血管壁が傷ついたり、硬くなったりすることがあります。
- 動脈硬化(血管が年齢とともに硬くなる)
- 外傷や手術による血管への直接的な傷
- 糖尿病による血管へのダメージ
- 感染症による血管の炎症
- 高血圧による血管への負担
- 喫煙による血管へのダメージ
こういった状態になると、血栓ができやすくなります。
血流の異常
血液の流れが悪くなると、血栓ができやすくなります。
以下のような原因で血流が悪化します。
- 長時間の同じ姿勢(デスクワーク、長時間フライトなど)
- 寝たきり状態
- 心不全
- 妊娠中の血流変化
- 肥満による血流障害
長時間同じ姿勢になってしまう場合に特に気を付けたいのが「エコノミークラス症候群」です。
エコノミークラス症候群では、脚のむくみや胸や背中の痛みなどの症状があり、呼吸困難や動悸を引き起こします。
飛行機だけでなく、電車や車での長時間移動や、デスクワーク、長時間の会議などの長時間同じ姿勢で過ごす場合に起こるため注意しましょう。
予防には、定期的な足の運動、十分な水分補給、着圧ソックスの使用が効果的です。
血栓の症状
血栓ができた時点では自覚症状はほとんどありません。
しかし、血栓が血管を詰まらせることで、様々な重大な症状が引き起こされます。
以下に紹介する症状に共通する特徴は、突然現れることです。
もし急な症状を感じたら、すぐに救急車を呼んでください。
適切な治療が遅れると、後遺症が残ったり、命を落としたりする危険があります。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が血栓で詰まることで起こる病気です。
脳の細胞に酸素や栄養が届かなくなることで、脳の機能が失われていく深刻な状態です。
以下のような症状が突然現れます。
- どちらか片方の手や足にマヒが起こる
- 顔の右か左どちらか片方の脱力により瞼が閉じられなくなる
- 口角が下がり口に含んだ水などがこぼれたりする
- ろれつが回らなくなる
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓の血管が血栓で詰まってしまう病気です。
心臓の筋肉(心筋)に血液が届かなくなることで、心臓の機能が低下していく危険な状態です。
初期症状は以下の通りです。
- 胸の中央が締め付けられるような激しい痛み
- 冷や汗を伴う強い痛み
- 左腕や背中への痛みの広がり
- 息苦しさや強い疲労感
肺塞栓症
肺塞栓症は、体のどこかで形成された血栓が血流に乗って肺に到達し、肺の血管を塞いでいる状態です。
多くの場合、足の深部静脈にできた血栓が原因となります。
以下の症状が現れます。
- 突然の息苦しさ
- 呼吸困難
- 意識喪失
- 心臓停止
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症は、主に脚の深い部分の静脈に血栓ができる病気です。
長時間同じ姿勢でいることなどが原因で、血液の流れが悪くなり血栓が形成される状態です。
以下の初期症状が現れます。
- 片方の脚だけが急に腫れる
- 腫れた部分の熱感
- 脚の痛みや重だるさ
- 皮膚の色が普段と違って見える
血栓ができやすい人の特徴とは?
血栓は誰にでもできる可能性があります。
ですが、以下のような特徴がある方は、血栓ができるリスクが高い為、注意が必要です。
高齢者
加齢とともに血管の弾力性が低下し、血液も固まりやすくなります。
また、基礎疾患を持っている方も多いため、血栓ができるリスクが高いです。
特に65歳以上の方は、若い世代と比べて血栓のリスクが2~3倍高くなるとされています。
血栓症家族歴を持つ人
血液が固まりやすい体質は遺伝することがあります。
家族に血栓症の既往歴がある場合は、特に注意が必要です。
定期的な健康診断で血液検査を受けることをおすすめします。
循環器系の持病を持っている人
心臓病や不整脈、高血圧などの循環器系の病気がある方は、血栓ができるリスクが高いです。
特に不整脈の一種である心房細動がある方は、血栓ができるリスクが通常の5倍以上になると言われています。
生活習慣病を持っている人
糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病は、血管を傷つけ、血栓ができやすい環境を作ります。
特に複数の生活習慣病を併せ持つ場合は、リスクがさらに高くなることが分かっています。
糖尿病になると、ふくらはぎや太ももの血管に血栓ができる静脈血栓塞栓症になる確率が1.4倍高いです。
がん治療を受けている人
がんそのものや抗がん剤治療の影響で、血液が固まりやすくなることがあります。
特に、治療中や治療後の一定期間は注意が必要です。
がんの種類や治療法によっては、血栓のリスクが通常の4~6倍に上昇することもあります。
喫煙者
喫煙をされている方は特に血栓症のリスクが高まります。
- 悪玉コレステロールの増加
増えたコレステロールは血管の壁に固まりとなって付着し、血管を狭くしていきます。 - 一酸化炭素による損傷
タバコの煙に含まれる一酸化炭素が血管の内側を直接傷つけます。 - ニコチンによる血管への悪影響
血圧が上がり、血管が縮むことで傷つきやすくなります。
禁煙することで血栓のリスクは徐々に低下するので、禁煙外来の利用も検討してみましょう。
ピルを服用している人
経口避妊薬(ピル)に含まれるホルモンの影響で、血液が固まりやすくなることがあります。
ピル単独での血栓リスクは低いものの、生活習慣病や喫煙が重なると、血栓ができる危険性が大きく高まります。
35歳以上の喫煙者がピルを服用する場合、血栓症のリスクは通常の10倍以上になるので、注意が必要です。
血栓を予防する方法はある?
適度な運動
適度な運動は血液の流れを良くし、体内の老廃物を排出する効果があり、血栓を予防します。
まずは息切れせずに会話できる程度の、軽い運動から始めましょう。
運動の具体例として以下などが挙げられます。
- 1日30分程度の有酸素運動(ウォーキング、水泳、自転車など)
- デスクワーク中の足首の運動(1時間に1回程度)
- 階段の使用(エレベーターやエスカレーターを控えめに)
しかし血栓ができている状態で運動すると、逆に血栓を運んでしまう危険性があります。
心配な場合は、先に医師に相談をしてから運動を行いましょう。
十分な水分補給
血液をサラサラに保つために、適切な水分補給は欠かせません。
1日1.5〜2リットルを目安に、こまめに水分を取りましょう。
特に起床直後、運動の前後、入浴の前後は意識的に水分を補給することが大切です。
ただし、アルコールやカフェインの取りすぎは逆効果となる可能性があるため、注意が必要です。
バランスの良い食生活
毎日の食生活の乱れは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす大きな原因です。
以下のポイントを意識して、健康的な食生活を心がけましょう。
- 夜10時以降の食事は避ける(体内で脂肪として蓄積されやすいため)
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- 食事は野菜から食べ始める(脂肪や糖分の急激な吸収を抑制)
- 一口30回を目安によく噛んで食べる
また、以下の食材を積極取り入れて、血液をサラサラにしましょう。
- 納豆
- 玉ねぎ
- 人参
- かぼちゃ
- 鮭や鯖
- 海藻類
- キノコ類
- オリーブオイル、えごま油、亜麻仁油
ただし、「これさえ食べていれば大丈夫」という考え方は禁物です。
バランスの取れた食生活を心がけましょう。
禁煙
前述した通り、喫煙は血管に悪影響を与え、血栓のリスクを大幅に高めます。
ニコチンや一酸化炭素が血管を傷つけ、血液の流れを悪くしてしまいます。
禁煙外来や禁煙補助剤を利用するなど、専門家のサポートを受けながら進めましょう。
適正体重の維持
適正体重を保つことは、生活習慣病のリスクを下げ、血栓予防に効果的です。
適正体重は、BMI(体格指数)で判断することができます。
BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算し、18.5~24.9が標準とされています。
例えば、身長160cmの人の適正体重は、47~64kg程度です。
ただし、これはあくまで一般的な目安です。
年齢や体格、運動量によっても変わってきますので、より詳しく知りたい方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
着圧ソックスの使用
着圧ソックスは、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、血液の循環を促進する効果があります。
特にデスクワークの多い方や、長時間の移動がある方におすすめです。
ただし、就寝時の着用は逆効果となる可能性があるため避けましょう。
血液の循環が悪くなり、かえって血栓のリスクが高まる可能性があります。
関連記事:脳梗塞後遺症について知りたい|どんな症状やリハビリがある?
血栓の治療法は?
血栓の治療は、その場所や大きさ、患者さんの状態によって異なります。
医師が総合的に判断して、以下から最適な治療法を選択します。
- 薬物療法
血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)や、すでにできた血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)を使用 - カテーテル治療
細い管を血管に通して血栓を直接除去 - 手術療法
血栓が大きい場合や緊急性が高い場合に実施
ただし、血栓は再発のリスクがあるため、治療後も継続的な予防と定期的な検査が重要です。
日常生活での予防を心がけながら、医師の指示に従って治療を進めていくことが大切です。
まとめ
血栓は誰にでも起こりうる身近な健康リスクですが、適切な予防で防ぐことができます。
血栓症の原因や治療方法について解説|渋谷・大手町・みなとみらいで血栓症のことならMYメディカルクリニック
「血栓症」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修! | メディカルドック
虫刺されは実は危険?症状や対処法について解説
屋外での活動やレジャーが楽しめる季節、気持ちが弾む一方で、気になるのが虫刺されですね。
虫刺されは、誰でも屋外に限らず家の中でも起こる身近なものです。
中には全身にひどいかゆみや痛みが現れるケースや、虫が媒介する感染症によって命の危険を伴うケースもあります。
本記事ではそんな、実は怖い虫刺されの症状や刺されたときに自分でできる対処方法をご紹介します。
虫刺されの症状
痛み
虫刺されによる痛みは、虫に刺されたり咬まれたりという物理的な刺激によって生じます。
虫に刺された直後に痛みを感じることが多く、刺された部位に鋭い痛みや灼熱感を伴うことがあります。
特にハチやアリなどの毒性を持つ虫に刺された場合は、強い痛みを感じることが多いです。
痛みの強さや持続時間については、個人差や刺された場所、虫の種類によって異なりますが、市販の鎮痛剤の使用や冷やすことで痛みを軽減することが可能です。
かゆみや腫れ
虫刺されの最も一般的な症状としてかゆみや腫れがあります。
かゆみや腫れは、咬まれたり刺されたりした際に、注入された唾液や毒に対して起こるアレルギー反応です。
このアレルギー反応には、虫刺され直後にみられる「即時型反応」と、数日後に現れる「遅発型反応」とがあります。
かゆみや腫れは通常数日程度で治まることが多いですが、掻きむしったりすると皮膚が傷つき、さらに炎症を引き起こすことがあります。
かゆみを和らげるため、抗ヒスタミン剤や冷却ジェルなどを使用して掻きむしってしまうのを予防しましょう。
アレルギー症状
虫刺されが引き金となり、アレルギー症状を引き起こす場合があります。
虫刺されによるアレルギー症状では、気分が悪くなる、お腹が痛くなるなどの全身症状が現れることがあります。
さらに重症の場合、意識障害やショック症状といったアナフィラキシーショックが起こることもあり、迅速な医療処置が必要です。
二次感染
虫に刺された患部を掻いたり、触ったりすることによって、とびびなどの二次感染を起こすこともあります。
二次感染が進行すると発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあり、場合によっては抗生物質による治療が必要です。
予防のために、掻き壊す前に充分な強さのステロイド外用剤を使って、しっかり炎症を抑えるのが効果的です。
関連記事:虫刺されの腫れがひどい・大きいときの対処法|どんな虫に注意すべき?
虫刺されを引き起こす代表例
蚊
蚊は、最も一般的な人を刺す虫です。
蚊に刺されると、唾液が体内に注入され、免疫反応によってかゆみや腫れ、個人差はありますが水ぶくれができる場合もあります。
水辺や湿気の多い場所に多く生息し、夏場に活動が活発になります。
虫よけスプレーや蚊取り線香、網戸などを活用して蚊の虫刺されを予防しましょう。
ブヨ
ブヨは蚊に似た吸血昆虫です。
蚊との違いは皮膚を咬んで血液を吸うため、赤い出血点や内出血ができることが特徴です。
蚊に比べてかゆみや腫れの症状が強く、しこりが残ることもあります。
かゆみや腫れは数日から1週間程度続く場合もあり、掻きむしることで二次感染のリスクが高まります。
主に春から初夏にかけての朝夕に活動が活発になり、野外活動時には長袖・長ズボンの着用や虫よけスプレーでの予防が必要です。
ノミ
ノミは動物や人間の血を吸う小さな昆虫です。
ペットに寄生しているノミが、吸血のために人を刺すことで強いかゆみや赤い発疹といった症状が現れます。
ノミに刺されたことがない人ほど、かゆみ症状が激しく、水ぶくれができることもあります。
水ぶくれができてしまった時は、二次感染による悪化や痕残りを防ぐために、適切な治療が必要です。
ノミは温かい環境を好み、春から秋にかけて活動が活発になります。
ペットの飲み対策や、こまめな掃除をしてノミ刺されを予防しましょう。
ダニ
室内で刺されるダニのほとんどはイエダニで、赤く、かゆみの強い小さなしこりがたくさんできるのが特徴です。
腹部や太ももの内側、脇の下、二の腕など、衣服で隠れている部分が刺されやすく、1週間以上続くこともあります。
かゆみが長期間続くこともあり、掻きすぎると皮膚炎を引き起こすことがあります。
定期的な布団の掃除やダニの駆除剤の使用が効果的です。
関連記事:トコジラミに刺されたときの症状とは|ダニとの違いも解説
ハチ
ハチに刺されると、ハチ毒の刺激作用によって、直後から激しい痛みと赤い腫れが出ます。
ハチは刺すときに毒を注入するためアレルギー反応を引き起こすことがあります。
重症化するとアナフィラキシーショックを引き起こすことがあり注意が必要です。
特に、スズメバチやアシナガバチには注意しましょう。
刺された直後は、患部を強く絞りながら洗い流し、針が残っている場合はピンセットなどで取り除きましょう。
口で毒を吸い出すのは、口内に傷があった場合に毒が侵入する場合があり危険です。
ハチに刺されたあと、呼吸困難やめまい、吐き気などの症状があった場合は直ちに病院を受診しましょう。
毛虫
毒毛を持つ蛾の幼虫に触れることで、激しい痛みとかゆみを伴う小さな赤いブツブツがたくさんできます。
患部を掻くと、肌に刺さった毒針毛が周辺の皮膚にこすりつけられるため、蕁麻疹のような症状がでます。
毒毛に触れてしまった場合は、触れた部分を水でよく洗い流し、かゆみ止めの薬を塗布するのが効果的です。
毛虫は春から秋にかけて木々や庭などで見かけることが多いため、屋外での作業時は長袖や手袋を着用することで予防ができます。
ムカデ
ムカデに噛まれると、毒液の成分によって直後から激痛が生じます。
症状としては患部が痺れ、赤く腫れてきます。
ムカデは温かい環境を好み、夜間に活動するため、夏場の寝室や屋外での活動には注意が必要です。
ハチ同様、アナフィラキシーショックを起こすことがあるため、体調に異変を感じたら医療機関をすぐに受診する必要があります。
虫刺されから派生する蜂窩織炎とは?
虫刺されの二次感染として代表的な病気に、蜂窩織炎という病気があります。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)は、皮膚や皮下組織に細菌感染を起こすことで生じる炎症性の疾患です。
虫に刺された患部を掻きむしり傷が出来てしまうことで、傷口から細菌(黄色ブドウ球菌や溶連菌など)が侵入し、発症することがあります。
症状としては、刺された部分が赤く腫れ、熱感や痛みを伴い、周囲の皮膚が硬くなる特徴があり、発熱や全身の倦怠感を伴うこともあります。
蜂窩織炎が進行すると感染が体内に広がり、重篤な合併症を引き起こすリスクもあり、早期治療が重要です。
治療には、抗生物質の内服や、重症例では点滴治療が用いられます。
個人差はありますが、5日前後で治ります。
自分でできる虫刺されの対処法
冷却
虫刺されによるかゆみや腫れを抑えるのに冷却が効果的です。
冷やすことで血管が収縮し、かゆみや炎症の原因となるヒスタミンの働きを抑えることができます。
氷をビニール袋に入れたものや、保冷剤をタオルにくるんで患部に当てましょう。
氷や保冷剤を直接肌に当ててしまうと凍傷のリスクがあるため、必ずタオルに包んで使用してください。
冷却は数分間行い、様子を見ながら繰り返し行ってください。
刺激を避ける
虫刺されの患部は、かゆくても掻かずに刺激を避けることが大切です。
掻きむしると皮膚が傷ついて細菌が入り込み、二次感染のリスクが高まります。
また、掻くことで炎症が広がりかゆみや腫れを悪化させる原因にもなります。
かゆみを我慢するのが難しい場合は、先述した冷却や市販のかゆみ止めなどを使用してなるべく患部に刺激を与えないようにしましょう。
清潔を保つ
傷口の清潔を保つ事も二次感染の予防するためにも大切です。
虫に刺された直後には、流水でしっかりと洗い流し、消毒を行うことで細菌や汚れを取り除くことができます。
また、患部を清潔に保つために、ガーゼや清潔な布で軽く覆っておくのもよいでしょう。
塗り薬の使用
患部を清潔にした後はかゆみ止めの薬も塗っておくと、掻きむしる心配もなく早く綺麗に治りやすくなります。
かゆみだけの場合は、抗ヒスタミン成分の配合されたもの、かゆみとともに腫れなどがある場合は、ステロイド成分が配合された薬を使用します。
塗り薬を使用する際は、患部が清潔であることを確認し、適量をやさしく塗り広げるようにしましょう。
また、薬を使用しても効果が現れない場合や、症状が悪化してしまった場合は早めに医療機関を受診しましょう。
経口剤の服用
虫刺されによるかゆみでアレルギー反応が強い場合は、塗り薬だけでなく経口剤の服用も有効です。
経口剤には抗ヒスタミン剤やステロイド内服薬などがあります。
特に、広範囲にわたるかゆみがある場合や、塗り薬での効果が不十分なときに利用されることが多いです。
また、蜂窩織炎などの細菌感染が疑われる場合は、抗生剤などの経口投与が必要なこともあります。
この場合は、医師の処方が必要になるので早めにお近くの医療機関を受診してください。
西春内科・在宅クリニックでの対応
西春内科・在宅クリニックでは、診察後、症状に合わせてその場で軟膏や抗生剤などの処方が可能です。
お困りの症状があれば、お気軽にご相談ください。
まとめ
虫刺されは、誰もが経験する身近なものです。
特にこれからの季節、屋外での活動時間が増え虫刺されの頻度も多くなるでしょう。
虫刺されぐらいと軽く考えがちですが、適切な予防と対処を行うことで二次感染リスクを軽減することが可能です。
刺された虫によっては命の危険が伴うこともあります。
もし、症状が悪化したり、いつもと様子が違うなと感じたりしたらお近くの医療機関をご受診ください。
参考文献
紅斑と紫斑の違いについて 見分け方や原因を解説
皆さんは、紅斑や紫斑という言葉を耳にしたことはありますか?
どちらも皮膚に赤い斑点ができる症状で、虫さされや湿疹、打撲などが原因で生じます。
場合によっては命に関わる危険な病気が隠れている場合もあり注意が必要です。
本記事では紅斑と紫斑の原因や見分け方を解説していきます。
紅斑・紫斑とは
紅斑とは
紅斑とは、皮膚が赤くなる斑点を指します。
ガラス板などで皮膚を圧迫すると赤い色は消える特徴があります。
皮膚の表面に近い部分の毛細血管が開く事で、表面が赤くなり、紅斑として現れるのです。
代表的な紅斑には「多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)」や「伝染性紅斑」があります。
多形滲出性紅斑は、ウイルス感染や薬物反応などが原因で、全身に広がるのが特徴です。
伝染性紅斑は、「リンゴ病」とも呼ばれパルボウイルスB19というウイルスによる感染で、小児によく見られます。
紫斑とは
紫斑とは、皮膚や粘膜に生じる紫色の斑点のことです。
紅斑とは違い、紫斑の部分を圧迫しても斑点が消えないのが特徴です。
止血に重要な働きをしている血小板が減少してしまうことが原因で現れます。
代表的な紫斑には「単純性紫斑」や「老人性紫斑」などがあります。
単純性紫斑は、通常は小さな打撲や軽い圧迫で発生し、特に若い女性に多く見られるのが特徴です。
一方老人性紫斑は、皮膚が薄くなり、血管がもろくなる高齢者に見られるという特徴があります。
関連記事:りんご病(伝染性紅斑)になったら病院へ行くべき?症状を解説|大人にもうつる?
紅斑・紫斑の原因
紅斑の原因
紅斑は、その30~50%は原因が分かっていません。
分かっている原因としては、炎症やアレルギー反応、毛の引き抜きやワックス処理といった物理的な刺激などが挙げられます。
具体的な病名としては以下のようなものが挙げられます。
全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)とは、狼に噛まれた痕のような赤い紅斑が、全身の臓器や皮膚に現れる原因不明の自己免疫疾患です。
紅斑の他にも、発熱や全身の倦怠感といった症状がみられるのが特徴です。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群も自己免疫疾患で、乾燥症状とともに紅斑が見られるのが特徴です。
また、中年の女性に多く、原因としては、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、免疫異常、女性ホルモンの要因などが複雑に関連しあって発症するものと考えられています。
他にも、日焼けや脱毛といった物理的な刺激によっても紅斑が生じることがあります。
紫斑の原因
紫斑は、打撲などの物理的な力が加わったときに一時的に発生するものと、血小板や血管の異常が原因でできるものに分けられます。
血小板や血管の異常が原因でできるものに関しては、何らかの病気の関連が考えられるため注意が必要です。
代表的な病名としては以下のものがあります。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、自己免疫疾患の1つで、免疫抗体の異常により、血小板が減ることで、外部出血が起こりやすくなる病気です。
急性型と慢性型があり、急性型は小児に多く3~6か月以内に治癒しますが、慢性型は6か月以上に及び、20代~40代の女性や60~80代の高齢者で発症が目立つという特徴があります。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、血小板の凝固や粘着などを調整する酵素の機能低下により、血小板血栓が多発する病気です。
発熱や腎機能障害が見られるところも特徴の1つです。
アレルギー性紫斑病
原因不明のアレルギー反応によって全身の毛細血管で炎症が起こり、血管が弱くなってしまうことで紫斑が生じます。
3~10歳くらいまでの男児に多く、上気道炎(とくに溶連菌)や胃腸炎などの何らかの感染症の後に1~3週間ほどして起こることがあります。
紅斑と紫斑の違い
|
紅斑
| 紫斑 | |
| 色 |
赤色
| 紫色 |
| 原因 |
炎症、アレルギー反応、 毛抜きなどの物理的刺激
| 出血、物理的刺激、アレルギー反応 |
| 代表的な病気 |
全身性エリテマトーデス シェーグレン症候群
|
突発性血小板減少紫斑病 血栓性血小板減少紫斑病 |
紅斑と紫斑の主な違いは、紅斑が炎症やアレルギー反応で血管が拡張し皮膚が赤く見えるのに対し、紫斑は皮膚下の出血によるもので、血液が皮膚内に漏れ出すことで紫色の斑点が現れます。
紅斑は圧迫することで色が薄くなり、症状が改善していきます。
しかし、紫斑は圧迫しても色が変わることはなく、時間の経過とともに色が濃くなったり青紫色に代わることが多いです。
見た目だけでの判断が難しく、特に原因が不明な場合や複数の症状が重なる場合、専門的な診察が必要になります。
適切な診断を受け、潜在的な病気の早期発見につなげることが推奨されます。
関連記事:蕁麻疹の対処法は?全身が痒くて夜寝られないときはどうする?
紅斑と紫斑の見分け方|硝子圧法とは
紫斑と紅斑の見分け方として硝子圧法という透明なガラス板で皮膚を圧迫し、紫斑と紅斑を見分ける方法があります。
紅斑は圧迫すると色が薄くなりますが、紫斑は圧迫しても色が変わりません。
硝子圧迫法は医療現場で使用される簡易的な方法ですが、自己判断には限界があるため、正確な診断には医師の判断が重要になります。
紫斑・紅斑は何科で診てもらう?
紫斑や紅斑の症状がある場合、まずは皮膚科を受診するのが一般的です。
皮膚科では、症状の原因を詳しく調べ、必要に応じて血液検査や生検を行います。
また、全身性の病気が疑われる場合は、内科やリウマチ科などの専門科での診察が必要となることがあります。
早期診断によって、症状が進行する前に適切な治療を受けることが可能です。
関連記事:アレルギー性蕁麻疹の症状が出た時の適切な対応方法とは?
西春内科・在宅クリニックでの対応
西春内科・在宅クリニックでは診察の後、症状に合わせたお薬の処方や他医療機関への紹介などを行い、迅速に適切な対策を取ることができます。
お困りの症状があれば、お気軽にご相談ください。
まとめ
紫斑と紅斑は、見た目は似ていても、原因や発生メカニズムが異なる症状です。
紫斑は出血によるもので、血小板の異常が原因であることが多いです。
一方、紅斑は炎症やアレルギー反応によるもので、物理的な刺激でも発生します。
見分け方としては、硝子圧法を用いることが有効です。
しかし自己判断で見分けることはせずに、症状が見られたらまずは皮膚科を受診し、必要に応じて他の専門科での診察を受けるようにしましょう。
参考文献
食中毒の種類や潜伏期間について徹底解説
夏になるとバーベキューやキャンプなど、外での食事の機会が増えますが、その分食中毒のリスクも高まります。
食中毒は日常生活に大きな影響を与える可能性があるため、予防策や対処法を知っておくことが重要です。
本記事では、食中毒の種類や潜伏期間について詳しく解説します。
食中毒とは
食中毒とは、病原体や毒素が付着した食べ物や飲み物を摂取することで引き起こされる病気のことです。
症状としては、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などが一般的です。
食中毒の原因はさまざまで、病原体や毒素の種類によって症状や潜伏期間が異なり、中には命に関わるような場合もあるのでしっかり予防策や対処法を知っておく必要があります。
関連記事:食中毒かもしれない症状を解説!うつる可能性や対処方法は?
食中毒の種類
食中毒は、その原因によって幾つかの種類に分類することができます。
細菌性食中毒
細菌性食中毒は、原因となる細菌、発生の仕方により大きく感染型と食品内毒素型と生体内毒素型にさらに分類されます。
感染型は、食品中で一定菌数以上に増殖した細菌を食品と共に摂食し、胃酸のバリアーを通過して、腸管の表面に定着し感染して食中毒を起こします。
食品内毒素型は、食品中で細菌増殖する際に産生した毒素を食品と共に摂取することで食中毒を起こします。
そして、摂取した細菌が腸管内で増殖し毒素を産生して食中毒を起こすのが生体内毒素型です。
ウイルス性食中毒
ウイルスが付着した食品を食べることで発症し、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、アデノウイルスなどが主なウイルスになります。
ウイルス性食中毒の原因には、さまざまな物がありますが、そのほとんどがノロウイルスによるものです。
自然毒
自然毒による食中毒とは、植物や動物がもともと保有している、または食物連鎖により体内に蓄積されるなどした有毒成分によって引き起こされる食中毒です。
テトロドトキシンやパリトキシンといった動物性自然毒、リコリンやコルヒチンといった植物性自然毒などがあります。
化学物質による食中毒
化学物質が食品に混入する事でも食中毒が起こることがあります。
化学物質による食中毒の多くはヒスタミンによるもので、マグロ・サンマ・カツオ・アジ・サバ・イワシ・ブリといった、ヒスタミンを多く蓄積した魚介類やその加工品を喫食することにより中毒症状を発症します。
ヒスタミンによる食中毒は、アレルギー様食中毒とも呼ばれ、摂食後、30~60分ほどで顔面の紅潮、じんましん、発熱、嘔吐、頭痛などの食物アレルギーに似た症状が現れます。
食中毒の症状
食中毒の症状は、基本的には似ているものの、食中毒を引き起こしている病原体や毒素によって微妙に違うこともあります。
腸管出血性大腸菌(O-157)
O-157は、牛などの家畜の腸にいることがあり、その糞などから食品を汚染して感染します。
症状は、激しい腹痛、下痢、発熱症状などがありますが、無症状で終わる場合もあります。
重症化することもあり、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などを引き起こすこともあります。
カンピロバクター
カンピロバクターは、主に鶏や鳩の腸に存在します。
症状は、腹痛、下痢、発熱、倦怠感などが見られますが、死亡例はほとんどありません。
下痢は水様性で、O-157同様に血便になることもあります。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は、牛、豚、鶏等の動物の腸をはじめ、河川や下水等の自然界にも多く存在しています。
症状としては、腹痛、下痢、嘔吐、発熱が主な症状です。
サルモネラ菌もカンピロバクター同様、死亡例はあまりありませんが、重症化すると敗血症を発症する事があります。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、健康人の皮膚、鼻粘膜、咽頭、毛髪などにもある身近な菌です。
主な症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢が急速に現れ、通常は短時間で回復します。
ボツリヌス菌
ボツリヌス菌は、土壌細菌の一種で神経毒を産生し、筋肉の麻痺や呼吸困難を引き起こすことがあり、非常に危険です。
症状は、頭痛、悪心、嘔吐、下痢のような胃腸炎症状ではじまり、次いで、斜視、複視などの眼症状、発声障害、嚥下困難、運動麻痺などの末梢神経症状が起こります。
食中毒の中でも特に死亡率が高いので、重症になる前の迅速な判断と処置が求められます。
ノロウイルス
食中毒の原因のほとんどは、このノロウイルスによるものです。
症状が重症化する事は少なく、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が見られます。
重症化はしにくいですが感染力が強く、集団感染が発生しやすいほか、感染者の吐しゃ物からによる二次感染を起こすことも特徴の1つです。
A型肝炎ウイルス
A型肝炎ウイルスによる食中毒では、発熱、倦怠感、黄疸、肝機能障害などの症状が見られます。
慢性化することはありませんが、症状が重篤になることがあります。
フグ毒
フグ毒は、フグが持っているテトロドトキシンによるものです。
摂取後数時間以内に、口唇や指先のしびれ、吐き気、嘔吐、筋肉の麻痺が現れます。
フグ毒には特効薬がなく最悪の場合、呼吸困難で死亡することがあります。
毒キノコ
種類によりますが、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などが一般的です。
肝臓や腎臓に深刻なダメージを与えることもあります。
アニサキス
アニサキスは、主に魚介類に寄生する寄生虫で、魚を生で食べることで発症します。
症状は、激しい腹痛、吐き気、嘔吐といった症状がありますが、アニサキスによる死亡例はほとんどありません。
関連記事:食中毒になったときの対処法|原因となりやすい食材や予防法も紹介
食中毒の潜伏期間は?何時間後に症状が出る?
食中毒の潜伏期間は、原因となるウイルスや病原体によって異なります。
数時間前後で発症するものもあれば、2週間以上たってから発症するものもありさまざまです。
食中毒の治し方・対処法
食中毒は、「治す」というよりは「ウイルスや病原体が体外へ排出されるまで耐える」という対応が一般的です。
そのため、食中毒の治療はウイルスや病原体が体外へ排出されるまでのあいだ、できるだけ症状を軽くし、症状を和らげることが主な目的です。
水分補給
食中毒の主な症状である嘔吐や下痢症状は、ウイルスや病原体を体外に出そうとするために起こるものです。
その際に水分も一緒に出ていくため、まず大事な治療法としては、下痢や嘔吐で失われた水分を経口補水液やスポーツドリンクなどで補給することです。
安静
体力を消耗しないよう、できるだけ安静に過ごしましょう。
無理をせず、休養を取ることも大切です。
医師の診察
下痢には体内の細菌やウイルスを排出する働きがあるため、薬によって止めると治りにくくなる可能性があるとされています。
下痢がひどいと自己判断で市販薬を飲みたくなるかもしれませんが、はっきりと原因や病名がわからない段階では、下痢止め・頭痛薬・解熱剤などは自己判断で飲まないようにしましょう。
薬が必要なほどひどい症状なら、医師の診察の上、処方してもらうようにしましょう。
関連記事:水下痢の原因とは?腹痛がないのに止まらないのはなぜ?
食中毒を予防するには
食中毒の予防には、「食中毒予防三原則」というものが効果的です。
「つけない」「増やさない」「殺菌する」を効果的に行うための方法を幾つか紹介します。
手洗い
調理前や食事前、トイレの後などには、しっかりと手を洗いましょう。
石鹸と流水で20秒以上洗うことが推奨されます。
調理器具の洗浄と消毒
調理器具や食器は、使用後すぐに洗浄・消毒することが大切です。
特に生肉や魚を扱った後は、念入りに洗浄しましょう。
食材の適切な保存
食材は適切な温度で保存し、冷蔵庫や冷凍庫の温度管理を徹底しましょう。
賞味期限を確認し、古い食材は使用しないようにします。
食材の十分な加熱
食材を十分に加熱することで、病原体を殺菌できます。
特に肉や魚、卵などは中心温度が75度以上になるまで加熱しましょう。
西春内科・在宅クリニックでの対応
西春内科・在宅クリニックでは、症状に合わせたお薬の処方や対処のアドバイス、必要であれば専門の医療機関への紹介などを行い、迅速に適切な対策を取ることができます。
お困りの症状があれば、お気軽にご相談ください。
まとめ
食中毒は、原因となる病原体や毒素によって異なる症状や潜伏期間があります。
食中毒の中には、命に関わる物もありますが、日常生活での衛生管理や食材の取り扱いに注意することで、予防することができます。
万が一食中毒の症状が現れた場合は、適切な対処法を実践し、必要に応じて医師の診察を受けましょう。
参考文献
立ちくらみの原因は病気?吐き気と肩こりとの関係性について
立ちくらみとは、立ち上がった時にふらつくなど、経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
よくある立ちくらみですが、実は、危険な病気のサインである可能性があります。
本記事では、立ちくらみの原因になる可能性の病気や、薬の副作用からなる立ちくらみをご紹介します。
立ちくらみのメカニズム
立ちくらみは、めまいを感じたり、ふらふらしたりする症状です。
体の血圧が低下することにより、一時的に脳への血液量が低下したり、酸素不足になることで起きる脳循環不全の症状です。
低血圧には、以下の3つが挙げられます。
- 本態性低血圧
- 起立性低血圧
- 二次性低血圧
低血圧の種類
本態性低血圧
本態性低血圧とは、特定の原因がなく、遺伝的または体質的な要因によって生じる慢性的な低血圧のことです。
一般的に症状は朝起きるのが辛い、疲れやすい、頭痛やめまいを感じやすいなど、日常生活に支障をきたすことがあります。
若い女性に多く見られ、血圧が安定しにくいことが特徴です。
治療の必要がないことが多いものの、症状がひどい場合は生活習慣の改善や医師の指導のもとで対処することが求められます。
起立性低血圧
起立性低血圧とは、座っている状態や寝ている状態から急に立ち上がった際に血圧が急激に低下し、めまいやふらつき、失神などを引き起こす状態を指します。
原因としては、血管の調節機能が低下していることや、長時間の臥床、脱水、ストレス、栄養不足などが挙げられます。
高齢者や一部の病気を持つ人に多くみられ、症状が頻繁に起こる場合は医師の診察や生活習慣の見直しが必要です。
二次性低血圧
二次性低血圧とは、他の病気や薬の副作用によって引き起こされる低血圧のことです。
心臓病や糖尿病、甲状腺機能低下症、アジソン病などの疾患が原因となることが多く、薬物治療や病気の管理を行うことで改善が期待できます。
症状としてはめまいや疲労感、集中力の低下が挙げられ、基礎疾患が原因であるため、低血圧自体の治療ではなく、原因となる病気の治療が優先されることが一般的です。
関連記事:突然のめまい・吐き気・冷や汗は病気?原因や対処法を紹介
立ちくらみの原因
立ちくらみの主な原因には、脱水や急に立ち上がることにより血液が急に低下する「起立性低血圧」が挙げられます。
起立性低血圧は、ふらつきや、目の前が暗くなる、意識が遠くなるなどの感覚をともないます。
その他の原因として、心臓の病気や脳・神経の病気、風邪などの体調不良、薬の副作用などがあります。
ここからは、どのような病気が原因になるか詳しく見ていきましょう。
糖尿病神経障害
糖尿病による神経障害がみられると自律神経にも影響を及ぼします。
汗をかきにくい、尿意を感じない、排泄が困難になる症状以外にも、血圧のコントロールが正常に機能出来ず低血圧状態となり、立ちくらみを起こすことがあります。
薬の副作用
薬の副作用から立ちくらみを起こすケースもあります。
特に、血圧を下げる薬や狭心症などの薬では注意が必要です。
その他にも、抗うつ薬や安定剤も起立性低血圧の症状を起こす可能性があります。
起立性低血圧を起こす可能性がある薬の種類は以下の通りです。
- α遮断薬(カルデナリン、エブランチル、ミニプレス、デタントールなど)
- 利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、K保持性利尿薬など)
- 中枢性α2受容体刺激薬(アルドメット、カタプレス、ワイテンスなど)
- ACE阻害薬(カプトプリル、エナラプリル、アラセプリルなど)
- 硝酸薬(アイトロール、ニトロールRカプセル、シグマートなど)
- β遮断薬(カルベジロール、ビソプロロールなど)
- Ca拮抗薬(アムロジン、アテレック、ペルジピンなど)
- 抗うつ薬(三環系抗うつ薬、セロトニン阻害薬など)
- 筋遮断薬(ミオナール、テルネリン、リンラキサーなど)
- 精神神経作用薬(ハロペリドール、レボメプラマジン、クロルプロマジンなど)
不整脈
不整脈とは脈が不規則の状態のことで、脈が1分間に50以下の場合を徐脈、100以上の場合を頻脈と言います。
多くの人が程度の差はあるものの不整脈の症状を呈しています。
不整脈の症状が何らかの理由で重症化することで、立ちくらみを起こすようになることもあるようです。
最悪の場合、突然死に至るケースもあります。
肥大型心筋症
肥大型心筋症とは、心肥大を起こす原因となる高血圧や弁膜症などの病気がないのに心筋の肥大が起こる病気です。
具体的には、左室心筋の異常な肥大に伴って生じる左室の拡張機能の障害を主な特徴とします。
症状が軽ければときどき胸の違和感を訴える程度ですが、酷い方だと階段などの上り下りだけで息切れなどを呈し、立ちくらみを起こします。
大動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症とは、心臓の左心室と大動脈を隔てている弁の動きが悪くなり、全身に血圧を送り出しにくくなる状態のことです。
症状が進行するとポンプ機能が低下して、左室から大動脈に送り出される血圧の量が減ります。
その結果、階段を上ったり荷物を持ったりした時に末梢血管が拡張して血圧が下がり脳の血流も低下してしまうため、めまいや立ちくらみを起こします。
脳卒中
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳の一部の働きが悪くなり、身体の働きが悪くなる病気です。
脳卒中が原因となりめまいを引き起こす可能性があります。
脳腫瘍
脳腫瘍には、3つの症状があります。
1つは頭痛や嘔吐、傾眠など頭蓋内圧亢進という症状で起きます。
これは、脳腫瘍が出来ることで、頭蓋骨で囲まれた内部の圧力が高くなることにより起こる症状です。
もう1つは、巣症状や局所症状と呼ばれる症状で、脳腫瘍によって直接圧迫された脳の機能が障害されることで起きます。
最後は、脳の一部が興奮することで起きるけいれん発作です。
これらは、発症する病気の種類や場所によって異なり、脳梗塞や脳出血の場合に立ちくらみを起こします。
神経変性疾患
神経変性疾患とは、神経細胞が徐々に障害を受け、機能が低下していく病気の総称です。
代表的なものとして、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症などがあります。
これらの疾患では、自律神経の調節機能が低下することで血圧の維持が難しくなり、立ちくらみを引き起こすことがあります。
パーキンソン病の場合、血圧をコントロールする機能が低下することによって、起立性低血圧が生じやすく、立ちくらみや失神を伴うことが多いです。
心因性めまい
心因性めまいとはうつや不安、ストレスなどが原因で起こるめまいです。
めまいの症状として回転しているような感覚や動揺感、目の前が暗くなる症状が数秒間持続します。
他にも耳鳴りや頭痛、肩こりなどの自律神経の症状が起こることがあります。
貧血
貧血とは、血液の成分であるヘモグロビンという色素の濃度が低下した状態のことです。
全身をめぐる酸素の量が少なくなって脳が酸素不足に陥り、めまいや立ちくらみを起こします。
貧血の原因でもっとも多いのは鉄欠乏性貧血で、ヘモグロビンの材料となる鉄が不足すると、赤血球の働きが悪くなり酸素をうまく全身に運べなくなります。
男性や高齢者の鉄欠乏性貧血は、消化性潰瘍や癌などの消化管出血の可能性がある為、黒い便や赤い便が出た場合には消化器内科を受診するようにしましょう。
立ちくらみの治し方・対処法
実際に立ちくらみが起きた場合の治し方や対処法についてご紹介していきます。
まずは安静にする
一番は安静にすることです。
吐き気などが無ければ睡眠をとりましょう。
平均7時間程度の睡眠時間を確保するのがベストです。
場合によっては回復体位という、横向きで安静に保てる姿勢をとるようにしましょう。
可能なら水分を摂取する
軽症である場合、多くのケースは起立性低血圧や神経調節性失神が多いでしょう。
病気がない場合、喉の渇きを感じなくてもこまめな水分摂取とともに塩分も少し補給することが重要です。
長時間続く場合は救急に連絡する
話せているか、手足は動かせるか、呼吸は正常かの確認をしましょう。
立ちくらみは通常は数秒~長くても十秒くらいですが、数十秒持続するのであれば注意が必要です。
重症度によっては救急車を呼ぶことも検討してください。
すぐにしゃがむ
めまいや立ちくらみが起こると転倒する可能性があります。
めまいや立ちくらみを感じた時は、すぐにしゃがむことで、神経調節性失神や起立性低血圧に伴う転倒などの二次災害を防ぎます。
症状が落ち着いたらゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
他にも目を閉じたり、部屋を暗くしたりするのも良いでしょう。
関連記事:生あくびは危険?あくびとの見分け方や吐き気が起きた時の対処法
立ちくらみとめまいの違いは?
立ちくらみとめまいは、どちらも頭がふらっとする感覚を引き起こしますが、その原因や感じ方には大きな違いがあります。
立ちくらみは「血圧変動」による一時的なふらつきで、めまいは「平衡感覚の乱れ」による回転感や浮遊感です、
立ちくらみとめまいの比較表
| 立ちくらみ | めまい | |
| 起こりやすい状況 |
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| 原因 |
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| 感じ方 |
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| 対処法 |
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| 症状の持続時間 |
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立ちくらみが頻繁に起こるのは危険?
立ちくらみが頻繁または継続的に起きる場合は何らかの病気である可能性も否定できません。
以下の病院受診の目安を確認して必要に応じて遠慮せずかかりつけ医に相談しましょう。
日常生活に支障をきたしている場合
立ちくらみが度々起こり、仕事や家事などの日常生活に支障をきたす場合、転倒などのリスクも高まるため早めに医療機関を受診しましょう。
また、高齢者や体力が低下している方の場合、転倒による骨折やケガの可能性もあり注意が必要です。
立ちくらみとともに失神や意識消失がある場合
立ちくらみに続き失神や、意識がなくなるなどがある場合は別の病気が隠れている可能性が高いです。
心臓や神経系の異常である場合もあるため、至急医師の診察が必要になります。
めまいや胸の痛み、息切れを伴う場合
立ちくらみに加えてめまいや胸の痛み、息苦しさを感じる場合も心臓や呼吸器系の病気のサインである可能性があります。
特に、不整脈や心筋症、大動脈弁狭窄症などが隠れていることもあるため至急医師の診察を受けましょう。
立ちくらみが急激に悪化する
今まで立ちくらみを経験したことがない人が突然頻繁に立ちくらみを感じるようになったり、症状が急激に悪化する場合は、貧血や血圧、神経系の病気が疑われます。
早期に病院を受診して原因の特定と治療が必要となります。
関連記事:脳貧血になったら病院へ行くべき?なりやすい人の特徴や症状を解説
立ちくらみと吐き気が同時に起こるのはどんな病気?
立ちくらみと吐き気が同時に起こる場合の主な原因は以下の通りです。
起立性低血圧
もっとも多い原因として起立性低血圧が挙げられます。
座っていたり、寝ている状態から急に立ち上がったときに、血圧が急激に下がり、脳への血流が不足することで立ちくらみや吐き気を感じることがあります。
特に朝や長時間同じ姿勢を保った後に発生しやすく、症状は通常数秒から数分でおさまります。
低血糖症
次に多い原因として低血糖症があげられます。
血糖値が急激に低下すると、体はエネルギー不足を感じ、立ちくらみとともに吐き気、冷や汗、手足の震えなどが起こります。
食事を抜いたときや激しい運動をした後に起こりやすいため、糖分を補給すると改善することが多いです。
自律神経失調症
自律神経失調症も立ちくらみと吐き気を同時に引き起こす原因のひとつに挙げられます。
ストレスや生活習慣の乱れが自律神経のバランスを崩し、血圧や心拍の調整がうまくいかなくなるのです。
立ちくらみや吐き気に加え、動悸や息切れ、疲労感を伴うことがあります。
メニエール病
メニエール病は内耳の異常による病気です。
立ちくらみや吐き気とともに、回転性のめまいや耳鳴り、耳が詰まったような感覚が生じるのが特徴です。
発作のように突然現れ、症状が数時間続くこともあり、症状が強い場合は耳鼻科での診察が必要になります。
立ちくらみと肩こりの関係性について
肩こりと立ちくらみに同時期に悩まされるという経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
この因果関係は、肩こりが進行して首の筋肉にも負担がかかり、首コリへ発展することに起因します。
首コリがひどくなると、頚椎を通る神経を包み込んでいる神経膜が圧迫されたり、傷つくことによって炎症を起こすことがあります。
この神経膜は、脳に感覚や血流の情報を伝える大切な役割を担っていて、炎症が起こると神経伝達がうまくいかず、立ちくらみや片頭痛、めまいといった症状が引き起こされます。
また、肩や首のコリによって、首に通る血管が圧迫され、脳への血流が不足することも立ちくらみの原因になるのです。
肩こりを改善することで首のコリや神経への負担を軽減し、立ちくらみやめまいなどの症状を和らげることが期待されます。
適度なストレッチやマッサージを取り入れ、肩や首の筋肉をほぐしておくことが立ちくらみやめまいの予防になります。
もし、症状が長引く場合は、専門医の診察を受けることを検討するようにしましょう。
立ちくらみについてのまとめ
立ちくらみは病気や薬の副作用などのさまざまな理由で起こります。
また、立ちくらみと思っていても、実は失神の可能性もあるため注意が必要です。
少しでも不安に思われる場合は、病院を受診するようにしましょう。
参考文献
腹痛が起こる・続く原因のまとめ|緊急性の高い痛みの特徴も解説
突然の腹痛で困ってしまい、この記事を読まれていらっしゃるのではないでしょうか。
腹痛は日常でもよくみられる症状の一つです。
しかし、突然お腹が痛くなると、手術が必要な病気ではないかといった不安や、病院にいった方がよいのか心配になってしまうと思います。
腹痛の原因はたくさんありますが、軽症から重症まで実に様々です。
症状の出方や痛みの部位、症状の経過などである程度の推測をすることができます。
この記事では、腹痛が起こる原因から考えられる病気、対処法などなどについて解説します。
腹痛の原因
腹痛の原因は実に様々です。
お腹の中の臓器は胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などがあり、これらの臓器に病気が生じると腹痛を起こします。
さらに女性では子宮、卵巣もお腹にありますし、さらにお腹の臓器だけではなく、胸の病気や血管の病気、糖尿病といった代謝性の病気でも腹痛を起こすことがあります。
これらの臓器に細菌やウイルスが感染して炎症を起こすことや、血管や管が破ける・詰まることで腹痛を起こしてしまいます。
また徐々に痛くなる場合には腫瘍が原因のこともあります。
関連記事:【急な腹痛】虫垂炎が起こる原因や症状について|自然治癒するの?
腹痛で考えられる病気や疾患
腹痛で考えられる病気について臓器別では次のように多くの病気があります。
| 肝臓、胆嚢、膵臓関連の病気 |
胆嚢炎
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| 胃、腸の病気 |
胃・十二指腸潰瘍
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| 腎臓、尿管の病気 |
尿管結石
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| 産婦人科系の病気 |
異所性妊娠
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| 血管系の病気 |
腹部大動脈瘤破裂
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| 代謝系の病気 |
糖尿病性ケトアシドーシス
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また部位で考えた場合は次のような臓器の病気が考えられます。
| みぞおちから上腹部の痛み |
食道や胃・十二指腸疾患や肝臓
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| 下腹部の痛み |
腸疾患
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腹痛で考えられる病気はたくさんあり正確に診断するには病院を受診することが必要です。
病院を受診する目安としては、これから紹介する緊急性を要する症状についての記載をご確認ください。
腹痛で鈍痛が続いたり波がある理由
腹痛が起こるメカニズムは大きく3つあります。
内臓痛と言われる痛みの場合には波のある鈍痛が続きます。
内臓痛は腸炎や便秘、腸閉塞など臓器が変形するような力が加わった時に痛みが起こります。
消化管などの内臓の臓器は自律神経の働きによって蠕動運動というゆっくりとした運動を繰り返しています。
そのため、消化管が動くことによって痛みにも波が出ます。
その他の痛みのメカニズムとして体性痛と関連痛があります。
体性痛は突き刺すような鋭い痛みで、場所が比較的はっきりわかります。
虫垂炎や胆嚢炎などで炎症が腹膜まで及ぶとこのような鋭い痛みとなります。
もう一つの関連痛は、原因がある部分と神経でつながっている離れた別の部分に痛みが起こります。
例えば尿管結石などでは背中の痛みや足の付け根の痛みを生じることがあります。
これらのうち、体性痛は腹膜炎などの重症な腹痛と考えられるので早めの病院受診がお勧めです。
一方で、内臓痛では軽症や自然によくなることも多いので注意して経過をみるということも可能です。
関連記事:腸重積症とは?症状やロタウイルスワクチンとの関連性を解説
腹痛の対処法
ここからご自分で腹痛に対処する時の方法について解説します。
まず【緊急性の高い腹痛の特徴】で説明する、緊急性の高い腹痛の特徴がないことを確認しましょう。
緊急性の高い症状がなければこれから解説する内容を試してみてよくならない場合には病院の受診を考えることがおすすめです。
腹痛を和らげる姿勢
腹痛の時には前屈みの姿勢になると症状が楽になります。
きつい衣服でお腹が圧迫されていることも痛みが悪化する原因なので、衣服やベルトを緩めます。
次に、ベッドに横になって、前屈みの姿勢になることで内臓の緊張がとれて痛みが和らぎます。
即効性のあるツボ
へそから真下へ指四本分のところにある関元(かんげん)のツボは下腹部が痛い時に効果のあるツボとされています。
また下痢や胃下垂、頻尿、排尿困難、月経痛などにも効果的とされています。
痛みに困っている時には試してみるのもおすすめです。
市販薬
考えられる原因別におすすめの市販薬の一例を紹介します。
| 便秘が原因と考えられる腹痛 |
酸化マグネシウムが便を柔らかくして便秘の改善に効果があるためお勧めです。
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| 生理痛 |
ロキソニンやアセトアミノフェンが成分として含まれるお薬が有効です。
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| 胃炎による腹痛 |
胃酸の分泌を抑えるガスター、胃の粘膜を保護する薬剤が効果があります。
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| 胃腸炎による腹痛 |
ビオフェルミン、ビオスリーなどの腸内細菌のバランスを整えるお薬がお勧めです。
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緊急性の高い腹痛の特徴
腹痛は自然によくなる胃腸炎が最も多いのですが、中には手術が必要となる虫垂炎や胆嚢炎、腸閉塞などの緊急性が高い病気の場合もあります。
ここから緊急性が高い腹痛の特徴について解説していきます。刺すような痛み
【腹痛で鈍痛が続いたり波がある理由】で解説したように痛みに波がある場合は内臓痛で軽症の場合が多いです。
しかし、刺すような痛みである体性痛は炎症が腹膜という組織に及んで痛みを出している可能性があります。
虫垂炎や胆嚢炎などの細菌の感染でおこる病気が多いので、刺すような強い痛みがある場合は緊急性が高いです。
吐き気
吐き気も注意するべき症状の1つです。
吐き気とともに下痢もある時には胃腸炎の可能性が高いので、脱水症にならないように水分補給や安静にすることでほとんどの人は自然に症状がよくなります。
しかし、吐き気や嘔吐があるのに下痢がない場合には腸閉塞などで腸を食事が通過しないことによって腸が拡張して吐き気を出している可能性があります。
冷や汗、顔面蒼白
冷や汗や顔面蒼白は様々な原因で現れます。
腹痛では痛みが非常に強い場合に起こりやすく、そのような場合には緊急性を要する病気の可能性が高くなってしまいます。
これらの症状があるときには早めに病院を受診して診断、治療をすることが大切です。
すぐに病院を受診できない場合でも往診であれば医師が対応することが可能です。
関連記事:子供がお腹を痛がるときはどうすればいい?考えられる腹痛の原因や危険なサインとは?
西春内科・在宅クリニックでの対応
軽い腹痛であればご自宅で安静、休養をしてしっかりと栄養補給をすることが1番の治療です。
しかし、症状が強いときにはできるだけ早く病院を受診することが必要です。
西春内科・在宅クリニックではまず診断をするために問診と身体診察を行います。
症状から原因を推測し、お薬の処方や点滴で治療を行います。
症状がひどい場合や、緊急に対応が必要な病気が考えられる場合には近隣の病院へ紹介をすることが可能です。
症状が早く改善するように、治療に当たりますので、心配な症状がある時にはぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、腹痛が起こる原因から考えられる病気、対処法などなどについて解説してきました。
腹痛は色々な原因で起こりますが、中には緊急性が高い病気が原因である場合もあります。
刺すような痛み、吐き気、冷や汗や顔面蒼白などの症状が危険な腹痛の可能性あるので、早めの病院受診が必要です。
しかし、具合が悪く病院を受診できない方もいらっしゃると思います。
そのような場合には、医師がご自宅で診察をする往診の利用がお勧めです。
お困りの症状がありましたらいつでもご相談ください。
参考文献
‣公益財団法人 日本医療機能評価機構|急性腹症ガイドライン2015
‣日経メディカル|急性腹症
‣社会福祉法人 恩賜財団 済生会|腹痛
‣公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会|簡単にできるツボ療法 第15回「腹痛」part1
感染症の分類や種類を簡単解説|なぜコロナは5類になったの?
感染症とは細菌やウイルス、真菌などの病原体が体内に侵入し、増殖することで引き起こされる病気です。
これらの病原体は、空気感染、飛沫感染、接触感染などの様々な経路を通じて人から人へ広がっていきます。
細菌やウイルスは人類より昔から地球に存在するので、人類は古くから感染症と戦ってきました。
歴史的にはポリオや天然痘、スペインかぜ、最近ではコロナウイルスなど多くの感染症が世界的に流行しており、その度に人類は感染症に対峙し克服してきました。
この記事では感染症の分類や種類、なぜコロナは5類になったのかについて詳しく解説していきます。
なぜ感染症は分類されるのか
感染症はそれぞれの病気に応じて適切に管理・対策を行い、感染の拡大を防止するために法律で分類されています。
感染症は人から人へうつる性質があるので、感染した人の行動を制限しなければ、どんどん感染が拡大してしまいます。
そのため、感染力の強さ、感染した時の症状の重さなどを考慮して感染症を分類し、感染した人の行動を制限するなど感染拡大を予防することが分類する大きな目的となります。
また流行しやすい感染症の発生状況を観察することで、早期に感染症の流行を察知し、対策を立てることも可能です。
関連記事:家族内での感染を防ぐために|ウイルスや病原菌から家族を守る
感染症の分類
感染症は原因となっている病原体によって感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)によって1998年に制定され、改訂され続けています。
すべての感染症が分類されるわけではなく、特定の感染症が一~五類、指定感染症、新感染症に分類され、感染症法自体に規定するか、政令や省令で規定されています。
それぞれの分類の感染症について解説します。
一類感染症
感染力が強く、感染した時に症状が重症なので危険性が極めて高い感染症です。
エボラ出血熱やクリミア・コンゴ出血熱、ペストなどがあり、入院が必要になる場合があります。
二類感染症
一類と同じように危険性が高い感染症です。
結核やポリオ、ジフテリア、SARSなどが含まれており感染した場合には入院が必要になる場合があります。
三類感染症
特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症が指定されます。
コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、腸管出血性大腸菌などがあり、必要に応じて就業制限がなされる場合があります。
四類感染症
動物・飲食物等を介して人に感染する感染症が指定されます。
狂犬病、マラリア、デング熱、A型・E型肝炎、黄熱、Q熱などが含まれ、消毒や動物等への処置などで対策をします。
五類感染症
国が感染症発生動向調査を行い、その結果などに基づいて必要な情報を公開していくことで発生・まん延を防止すべき感染症が指定されます。
インフルエンザ、性器クラミジア、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、梅毒、麻疹などがあります。
発生動向調査が行われます。
指定感染症
感染症法に位置付けられていない感染症について一〜三類、新型インフルエンザなどの感染症と同程度の危険性があり、措置を構ずる必要があるものが指定されます。
一類から三類感染症に準じた対人、対物措置がなされます。
これまでは、以下が指定されてきました。
✅2003年7月のSARS(重症急性呼吸器症候群)
✅2006年6月鳥インフルエンザ(H5N1)
✅2013年5月の鳥インフルエンザ(H7N9)
✅2014年7月のMERS(中東呼吸器症候群)
✅2020年に新型コロナウイルス感染症
これらの感染症は、いずれもその後、法改正により二類感染症として定義されました。
日本に多い感染症の種類
日本に多くみられる感染症の種類と原因、症状について解説していきます。
インフルエンザ
インフルエンザウイルスに感染することで発症します。
発熱、咳、のどの痛み、関節痛などの様々な症状を起こします。
多くは軽症で自然によくなりますが、抗インフルエンザ薬による治療も有効です。
関連記事:インフルエンザワクチンの副反応・副作用で起こる症状や出やすい人の特徴について解説!-西春内科・在宅クリニック
ノロウイルス
感染した人から排出されたウイルスが体内に入ることで感染します。
感染力が強く、嘔吐、下痢などの胃腸炎症状を起こします。
感染予防のために消毒が有効です。
関連記事:【秋から冬にかけて注意】ノロウィルス感染症になる原因や症状、消毒方法を解説
アデノウイルス
多くのタイプがあり、上気道炎といういわゆる風邪やプール熱を引き起こします。
プール熱は感染力が強いので、発症した場合は症状が治った後2日経過するまで出席停止となります。
関連記事:咽頭結膜熱(プール熱)ってどんな病気?大人もかかる?流行性角結膜炎との違いも解説-横浜内科・在宅クリニック
麻疹
麻疹ウイルスの感染によって発症し、風邪症状、目の充血、全身の発疹が出現します。
感染力が非常に強いので、ワクチンを接種して予防することが最も大切です。
関連記事:麻疹(はしか)とは何か? | 横浜内科・在宅クリニック
新型コロナウイルス感染症
2019年に中国武漢市で発生し、世界的に流行したウイルス感染です。
発熱や咳、痰などの呼吸器症状が多く出現します。
現在ではワクチンも開発されたので予防と、感染した際には周りに拡大させないように感染予防策をとることが大切です。
関連記事:腹痛と下痢が続く原因|コロナの可能性は?治し方や病院での対処法を解説
新型コロナが5類になった理由と変更ポイント
新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株が主流になってから初期の頃と比べて重症度が低下しています。
そのため、感染によって入院、隔離などの強制的な措置をしなくても生命や健康に重大な影響を与える可能性が低くなったと判断されたため五類に変更となりました。
変更ポイントについては以下のようになっています。
| □発生動向 |
変更前は患者数は全数把握でした。 変更後は特定の医療機関でのみ患者数を保健所に報告する定点観測となります。
|
| □医療体制 |
変更前は公費負担で治療の自己負担はありませんでした。 変更後は保険診療となったため、治療費は自己負担となりました。 そのため診察、お薬、入院なども自己負担が必要です。
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| □患者対応 |
変更前は外出制限、場合によっては入院などの対応が取られてきました。 五類に移行されたことに伴い外出等の制限がなくなっています。 自粛の制限は無くなりましたが、感染拡大を予防するために自主的に予防に努めることが大切です。
|
| □ワクチン接種 |
変更後も自己負担なく接種することが可能です。
|
感染症の予防対策について
感染症にかからないようにするためには感染した人や周囲の人だけではなく、施設や組織レベルで対策することが重要です。
ここから感染症を予防する対策方法について解説していきます。
手洗い、うがい
手洗い、うがいは基本的ですが、効果的な予防策です。
多くのウイルスは手に付着したウイルスが口から入ったり、くしゃみや咳で飛散したウイルスが気道に入ることで感染します。
そのため、こまめに石けんやアルコール消毒液を使用して、手洗いをしたり、うがいをすることで感染を防ぐことができます。
マスクの着用
一部のウイルスや細菌はくしゃみや咳で飛散して他の人の気道に入ることで感染します。
そのため、感染した人はもちろん、周囲の人も普段からマスクを着用することが予防に有効です。
ワクチン接種
一部の細菌やウイルスはワクチンが有効です。
ワクチンは病原体を弱毒化したものを投与することで、接種された人に免疫を作る効果があります。
免疫によって病原体が付着しても感染する確率を下げることができます。
物品の消毒
ノロウイルスなどの感染症ではウイルスが調理器具などに付着することで感染を拡大させていきます。
そのため、アルコールや次亜塩素酸など、適切な消毒液を用いて消毒をすることが効果的です。
感染対策をとることが重要ですが、過度に感染を恐れてしまうと、生活をする上でも支障が出てしまいます。
病原体の流行状況や感染経路、感染した時のリスクを考えて、適切に予防対策をとることが大切です。
関連記事:【秋から冬にかけて注意】ノロウィルス感染症になる原因や症状、消毒方法を解説
西春内科・在宅クリニックでの対応
感染症の種類に応じて対応方法は変わってきます。
上気道炎や胃腸炎などの軽症の感染症であれば、市販薬の内服や休養で改善することが多いです。
しかし、肺炎やカンピロバクター感染などの細菌感染が判明することもあります。
そのため、症状の軽いうちから医師に診察してもらい、お薬をもらったり経過をみることが大切です。
症状が強くて病院を受診することができないような場合には往診の利用がお勧めです。
西春内科・在宅クリニックでは、まず診断をするために問診と身体診察を行います。
症状から原因を推測し、お薬の処方や点滴で治療を行います。
しかし、症状がひどい場合や、全身状態が悪い場合には近隣の病院へ紹介をすることが可能です。
症状が早く改善するように、治療に当たりますので、心配な症状がある時にはぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、感染症の分類や種、なぜコロナは5類になったのかについて解説してきました。
感染症は細菌やウイルス、真菌などの病原体が体内に侵入し、増殖することで引き起こされる病気です。
これらの病原体は、様々な経路を通じて人から人へ広がっていくので、感染した人は早めに治療して感染を広げないようにすることが大切です。
症状が軽いうちから病院を受診することがお勧めです。
病院の受診ができない場合には往診でいつでも対応できます。
お困りの症状がありましたらいつでもご相談ください。
参考文献
‣丸石製薬株式会社|感染症ってなに?
‣神奈川県|コロナ5類移行「どう変わる?」
‣m3.com|感染症の分類は?教えて感染症Vol.4
‣厚生労働省|感染症法の対象となる感染症の分類と考え方
‣厚生労働省|新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について
‣厚生労働省|新型コロナウイルス最前線
乳幼児突然死症候群(SIDS)の前兆や原因とは?予防対策も解説
小さなお子様がいるご家庭は乳幼児突然死症候群(SIDS)について知っておきましょう。
この記事では、SIDSの概要から原因、冬に多い理由、前兆、対策方法まで具体的に説明します。
大切な赤ちゃんの安全を守るために、ぜひご一読ください。
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?
SIDSは、新生児から1歳未満の赤ちゃんが突然死する現象です。
赤ちゃんが健康に見える状態から、睡眠中に急に亡くなってしまいます。
SIDSは、特定の年齢に限定されず、平均的な対象年齢は1歳未満とされています。
関連記事:【冬から注意】子供の水疱瘡(みずぼうそう)|症状や潜伏期間、予防接種について
乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因
SIDSの原因は複雑で、完全には解明されていません。
しかし、以下の要因が関与していると考えられています。
- 乳幼児の脳幹や呼吸器系臓器の未熟さ
- 過度な暖房で暖めすぎ、着せすぎ
- 母乳を飲んでいない
- 喫煙環境
- 柔らかい寝具
- 仰向けでない睡眠体勢
具体的な対策方法は以下の方で解説いたします。
乳幼児突然死症候群(SIDS)が冬に多い理由
SIDSが冬に多く発生する明らかな理由はまだ解明されていません。
一説としては過度な暖房や着せすぎにより、赤ちゃんの体温が過度に上昇してしまうためと言われています。
赤ちゃんを暖かく保つために室温を上げ、赤ちゃんを過度に着せることが一般的ですが、赤ちゃんは平均体温が大人よりも高いことが知られています。
寒い季節であっても大人と同じような基準での衣類の選択は避け、適切な室温と衣服で赤ちゃんを保温しましょう。
関連記事:りんご病(伝染性紅斑)になったら病院へ行くべき?症状を解説|大人にもうつる?
乳幼児突然死症候群(SIDS)の前兆
SIDSの前兆症状の報告はほとんどありません。
まだまだ解明がされていない症候群の1つです。
できるだけリスク因子を減らす努力と予防が大切です。
乳幼児突然死症候群(SIDS)への対策
SIDSを予防するためには、以下の対策が重要です。
● 乳幼児の脳幹や呼吸器系臓器の未熟さ
赤ちゃんを寝かせる際には、仰向けで寝ることを推奨します。
● 過度な暖房で暖めすぎ、着せすぎ
室温を適切に保ち、過度な暖房や着せすぎを避けましょう。
● 喫煙
室内での喫煙を厳禁し、赤ちゃんの周りに煙をさせないようにしましょう。
● 母乳を摂取していない
赤ちゃんを母乳で育てることがSIDSのリスクを軽減します。
● 柔らかすぎる寝具を避ける
寝具はなるたけ固めで、フラット・平坦で、赤ちゃんの顔が覆われないようにしましょう。
関連記事:子供がお漏らし・おねしょを繰り返す原因|尿失禁・夜尿症とは?
まとめ
SIDSは適切な予防策を取ることでリスクを軽減できます。
赤ちゃんの健康と安全を最優先に考え、SIDSに関する知識を持ち、対策を実施しましょう。
疑念や不安がある場合は、医師に相談することをお勧めします。愛情とケアを提供し、赤ちゃんを守りましょう。
参考文献
風疹(風しん)はどんな症状が出る?妊娠時に気をつけるべき理由と感染経路について
風疹は風疹ウイルスで引き起こされる感染症です。
風疹ウイルスに感染しても症状がない不顕性感染(*1)から、重い合併症を起こす状態まで非常に幅広いです。
風疹に対する免疫が不十分な妊娠中の方に感染した場合、お腹の赤ちゃんが感染し、先天性風疹症候群という先天奇形を起こす感染につながる可能性があることが大きな問題です。
今回は風疹が妊婦に危険な理由や、麻疹との違いについて解説していきましょう。
不顕性感染(ふけんせいかんせん)(*1)=病気に感染しても症状がないこと
風疹とは
風疹は風疹ウイルスの感染で起こり、喉などの粘膜から排泄されるウイルスが唾などの飛沫を介して感染が広がります。
1人の感染者が何人に感染させうるかの指標となるR0(基本再生産数)は風疹で6~7。
インフルエンザの2~3と比べて高く、麻疹の12~18と比べると低い程度の感染力を持っています。
風疹ウイルスに感染後、潜伏期間は14~21日と長めです。
感染しても症状のでない不顕性感染が15~30%ほど。
不顕性感染の状態で風疹に免疫のない方、特に妊娠初期の方に知らず知らずに感染を広げてしまう恐れがあります。
関連記事:【秋から冬にかけて注意】ノロウィルス感染症になる原因や症状、消毒方法を解説
風疹の主な症状
14~21日の潜伏期を経て、発熱、発疹、耳のうしろ、首、後頭部のリンパ節腫脹が特徴的です。
発熱をしないこともあります。
発疹は淡い紅色で小さい隆起性で全身に広がります。
咳、喉の痛みなどの上気道炎症状や目の充血、目やにがでることもあります。
風疹の症状は子どもでは比較的軽いことが多いのです。
2000~5000人に1人くらいの割合で脳炎や血小板減少性紫斑病(*1)などの合併症を起こします。
大人は、発熱や発疹の期間が長く、関節痛がひどいことが多いとされています。
血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)(*1)=血小板数が減少し、出血しやすくなる病気
妊婦が風疹に感染すると危険な理由
風疹のワクチンを打っていなかったり、風疹の抗体化が不十分な妊婦が、妊娠20週までに風疹に感染すると胎盤を介してお腹の赤ちゃんも風疹ウイルスに感染してしまいます。
流産や早産のリスクになったり、出生児に先天性風疹症候群という先天性の奇形や障害を起こすことがあります。
先天性風疹症候群は、以下のさまざまな症状などを起こします。
- 先天性心疾患
- 難聴
- 白内障
- 網膜症
- 肝脾の腫大
- 血小板減少
- 糖尿病
- 発育遅滞
- 精神発達遅滞
- 小眼球
先天性風疹症候群に対しての治療法はないため、妊娠中の女性が風疹に感染しないように、妊娠前にワクチン接種をしておく(妊娠中はワクチン接種は受けられないため)ことが重要です。
そして、周囲の人が妊婦に感染をうつさないように風疹ワクチンを接種して予防しておくことも必要になります。
関連記事:手足口病の症状や潜伏期間、子供だけでなく大人の初期症状やうつる確率について解説
風疹と麻疹の違い
風疹と麻疹の違いとしては、麻疹は感染力が風疹以上に高く、以下の症状などが強いことがあります。
- 発熱
- 咳などの上気道症状
- 目の症状
- 発疹
麻疹も妊娠中の女性に感染すると、流産や早産のリスクは高くなるため、注意したい感染症です。
風疹の抗体検査とは
検査は血液検査で簡単に行えます。
風疹の抗体保有率は年齢や男女差が非常に大きいことが知られています。
妊娠可能年齢の女性の抗体保有率は95%と高く維持されていました。
しかし、妊婦健診の風疹の抗体検査で抗体価が低いと指摘される方もいるため、妊娠20週までの感染には注意が必要です。
一方、男性の風疹抗体の保有率は40代前半で80%、40代後半は78%、50代前半で76%と低くなっています。
実際に風疹にかかる方も30~50歳代までの男性が中心です。
今でこそ風疹は男女ともに定期接種になっています。
しかし、1976年当初は女子中学生のみが定期接種であったため、この年代の男性は風疹ワクチンの接種の機会が一度もない状態となってしまいました。
その対策として、現在厚生労働省では風疹の追加的対策として、昭和37年度〜昭和53年度生まれの男性に風疹の抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券を発行しています。
また、厚生労働省が対象にしている年代以外の方でも、自治体が風しん抗体検査を補助しているところがあります。
気になる方はぜひ自治体のホームページを確認してみましょう。
関連記事:感染力が強い麻疹(はしか)の症状とは?予防接種や風疹との違いについても解説
風疹の予防接種について
風疹の予防接種は風疹ウイルスを弱毒化(*1)させた風疹生ワクチンが使われています。
風疹と麻疹の混合ワクチンが定期接種として使われています。
1~2歳未満に1回接種(第1期)と5歳以上7歳未満の小学校就学前に1回(第2期)が定期接種として実施されています。
2回接種を受けることで、95%以上の人が風疹ウイルスに対する免疫を獲得することができます。
麻疹との混合ワクチンなので、麻疹・風疹どちらの抗体も獲得することができます。
弱毒化生ワクチンは妊娠中には打てません。
抗体価検査をして抗体が低いことが判明した妊娠可能な年齢の女性は、非妊娠時にワクチンを打って2ヶ月程度避妊をしましょう。
抗体価が低い状態ですでに妊娠している場合には、風疹が発生している地域や人混みを避けて感染しないように注意しましょう。
出産後はどのタイミングでも風疹ワクチンを接種できますので、主治医に相談してみましょう。
また、周囲の方や家族で抗体価が低い方がいれば、ワクチンを打っていただくと、妊娠女性とお腹の赤ちゃんを守ることができます。
弱毒化(*1)=病原性を弱める
もし風疹になったらどうすればいい?病院での治療は?
風疹かもと思ったら、かかりつけ医やお近くの病院に受診前に電話をして診察可能かきいてみましょう。
受診を指示されたら、飛沫感染をして周囲の方に広げてしまうので、マスクをして受診しましょう。
風疹には特別な治療法はなく、症状を和らげる対症療法が中心になります。
発熱や関節痛に対して解熱鎮痛薬などを使います。
関連記事:【医師監修】解熱剤が効かない?解熱剤の種類と使うタイミング、効果や副作用について
西春内科・在宅クリニックでの対応
風疹の可能性がある場合には、事前に電話などでご相談ください。
発熱、発疹、リンパ節腫脹の3つの兆候がそろわない場合、臨床症状のみでは診断が難しい場合には、血液検査による血清診断を行うことがあります。
まとめ
風疹が妊婦に危険な理由や、麻疹との違いについて解説しました。
風疹は、感染しても症状がでない人がおり、その方が知らず知らずに感染を広げている可能性がある場合があります。
特に妊娠初期の女性に感染した場合には赤ちゃんが先天性風疹症候群という病気になるリスクがあることがポイントです。
風疹は、ワクチンで予防できます。
行政や自治体から抗体検査のクーポンが届いた場合や、ご家族や周囲の方が妊娠を考えている場合など、風疹のことが気になったら病院で相談して抗体検査やワクチン接種を受けましょう。
参考文献
・ 国立感染症研究所「風疹とは」
【激しい頭痛】くも膜下出血の原因や危険な前兆とは?対処法について
くも膜下出血は、死亡率が高く後遺症が残る割合も高い重篤な病気です。
その原因の多くは脳動脈瘤の破裂です。
発症した場合は可能な限り早期(できれば24時間、遅くとも72時間以内)に再破裂を予防するための処置を受ける必要があります。
恐ろしい病気ですが、正しい知識を身に着けておくことで迅速な対応や予防が可能となります。
今回はくも膜下出血の症状や、前兆、治療方法について詳しくご説明します。
くも膜下出血の原因
くも膜下出血の原因は脳動脈瘤(動脈にできたこぶ)の破裂です。
これがくも膜下出血の原因の8割を占めています。
その他、以下などの原因が続きます。
- 脳動脈解離(何らかの原因で動脈の壁内に出血が起こり壁が裂ける病気)
- 脳動静脈奇形(動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながる生まれつきの病気)
- 脳動静脈瘻(ケガなどで動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながる病気)
- 特発性(原因不明)
発生率は10万人あたり29人程度と考えられています。
そのほとんどは脳動脈瘤破裂が原因です。
今回は脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を中心に解説をしています。
関連記事:心筋梗塞の危険な前兆と症状|後の生活や後遺症について
女性が男性よりもくも膜下出血になりやすいのはなぜ?
くも膜下出血は女性の方が男性の2.3倍発症しやすいとされています。
特に70歳以上では2.9倍と高く、特に閉経後の高齢女性が発症しやすいと言われています。
ただし、くも膜下出血の全てが女性に多いという訳ではありません。
その主要な原因である脳動脈瘤破裂が女性に多いということがわかってきています。
この性差を生んでいる主な原因として女性ホルモンの関係が指摘されています。
特に閉経後の女性のエストロゲン低下が脳動脈瘤形成のリスクを上昇させていると考えられています。
脳動脈瘤の形成には血管壁に生じる局所的な炎症が関与していると考えられています。
エストロゲンと血管壁にあるエストロゲン受容体が相互に作用することによって血管壁の炎症が抑えられています。
閉経後にエストロゲンが低下すると血管壁の炎症の抑制が弱まって血管壁がもろくなり、脳動脈瘤を形成しやすくなると言われています。
このため、閉経後の女性で脳動脈瘤を起こす人が多く、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血も男性の2倍以上と高くなっているのです。
くも膜下出血の症状
くも膜下出血の症状として最も重要なものは、「突然」かつ「激烈」な頭痛です。
「雷鳴様頭痛」と呼ばれ、文字通り、雷に打たれたような頭痛が突然生じます。
一般的な医学の教科書では「突然誰かにバットで後ろから殴られたような痛み」とされています。
しかし、患者さんがこのような表現をされることはあまりません。
何時何分頃と明確にわかるほど突然の強い頭痛であればくも膜下出血が強く疑われます。
これに伴う症状としては、以下などがあります。
- 吐き気
- 嘔吐
- けいれん
- 首の痛み
- 意識消失
他の脳卒中(脳梗塞や脳出血)とは異なり、麻痺や構音障害(ろれつが回らない)といった症状が出ることはあまりありません。
とにかく重要なのは突然かつ強烈な頭痛です。
関連記事:心不全について!もしものために知っておきたい心不全の種類や症状、治療について
くも膜下出血かもしれない危険な前兆
くも膜下出血の前兆もやはり頭痛として現れることが多いです。
これは警告出血と呼ばれ、その時点では頭痛が治まっても実は小さなくも膜下出血が生じています。
数日から1ヶ月以内に本格的なくも膜下出血を発症するということがあります。
この警告出血は、くも膜下出血の患者さんの15〜60%に認められます。
その他、脳動脈解離による解離性脳動脈瘤(動脈の壁が裂けて血液が壁内に入り込みこぶ状に膨れる病気)がくも膜下出血の原因となることもあります。
この場合は後頚部から後頭部にかけての引き裂かれるような痛みが生じることが多く、くも膜下出血の前兆になりうると考えられます。
以下のチェックリストに当てはまる症状が出た場合は、くも膜下出血を起こしている可能性が考えられます。
□ 突然かつ強烈な頭痛 (短時間で収まる場合も含む)
□ 後頚部から後頭部にかけての引き裂かれるような突然の痛み
□ 突然物が二重に見える(この症状は変動があっても完全には収まらないことが多い)
□ 突然目の動きが悪くなる(上下左右に動かしてみて、どちらか片側の眼球だけが動かない)
くも膜下出血かもしれないと思ったらすぐに救急車や救急外来を呼ぶべき理由
くも膜下出血は、適切な治療を行わなければ「高確率で死亡するか後遺症が残る」病気です。
そのため、疑わしい症状の場合はすぐに救急受診する必要があります。
先程チェックリストような危険な徴候の場合は救急車を呼んでいただいて問題ありません。
高確率で死亡するか後遺症が残ると言いましたが、一般的にくも膜下出血になった方は、1/3が死亡、1/3に後遺症が残り、1/3だけが社会復帰できると言われています。
他のデータでは、20%近くは病院に到着するまでに死亡し、くも膜下出血による総死亡率は50%を超えるとされています。
そのくらい重篤な病気であり、社会復帰できる方はわずか30%程度なのです。
これほど重篤である理由は、くも膜下出血の原因である脳動脈瘤の破裂(破裂脳動脈瘤)は一旦おさまっていても再破裂しやすく、再破裂すると重症化しやすいということが挙げられます。
破裂脳動脈瘤に対して手術をせずに様子をみた場合、最初の1ヶ月で20〜30%が再破裂して重症化するとされています。
また、この再破裂は発症早期のほうが起こりやすく、24時間以内に14〜17%、そのうち87〜92%は発症6時間以内に起こるとされています。
そのため、くも膜下出血治療の第一歩は破裂脳動脈瘤に対して少しでも早く適切な処置を行って再破裂を防ぐことです。
くも膜下出血を疑ったらすぐに救急受診し、専門的な治療を受ける必要があります。
関連記事:小児てんかんの発作が出た時の正しい対応|原因や種類、緊急性の高い場合についても解説
くも膜下出血の手術や治療について
くも膜下出血の治療は時期によって異なるため、3つに分けて解説します。
その3つとは、
- 発症直後
- 発症から2週間
- 発症から2週間以降
です。
1.発症直後の治療
発症直後には先程解説したとおり、破裂動脈瘤の再破裂を防ぐための手術治療が必要となります。
手術は主に、開頭手術と血管内治療の2つに分かれます。
どちらが行われるかについては、以下などを総合的に判断して決定されるため、どちらの治療を行うべきかを一概に決めることはできません。
- 脳血管のどの場所の動脈瘤が破裂したか
- 動脈瘤のサイズや形態がどちらの治療に向いているか
- 出血量や意識レベルはどの程度か
- 治療を行う施設がどちらの治療を得意としているか
それぞれの治療の特徴について簡単にまとめます。
開頭手術
開頭手術は、開頭クリッピング術と呼ばれます。
破裂した動脈瘤の根本をクリップで挟むことによって血液の流入を抑えて止血する処置です。
こちらは全身麻酔で行われます。
脳の溝を分けながら動脈瘤へと到達します。
動脈瘤に到達するまでに何らかの原因で再破裂してしまった場合は、その後クリップをしっかりとかけて止血できたとしても、手術前より状態が悪化してしまう可能性があります。
また、脳を直接触るため脳挫傷や脳出血などといった合併症のリスクもあります。
血管内治療
血管内治療は、コイル塞栓術と呼ばれます。
破裂した動脈瘤の中に柔らかい金属でできたコイルをいくつも詰めることで動脈瘤内の空間をなくして止血する処置です。
こちらは局所麻酔で行われる場合と全身麻酔で行われる場合があります。
開頭手術と同様、十分にコイルを詰めるまでに再破裂してしまった場合、術前より状態が悪化する可能性があります。
その他、カテーテルやそれを誘導するワイヤー、コイルなどが動脈瘤の壁や脳血管の壁を貫いて頭蓋内出血を起こしてしまう。
血管の中に異物(コイル)を入れるため、そこに血栓ができてしまいその血栓によって脳梗塞を発症してしまう。
などといった合併症のリスクがあります。
いずれの治療もメリット・デメリットがあり、それらを加味してどちらを行うか決定されます。
いずれにしても発症早期に再破裂予防のための手術を行うという点では同じです。

NS NOW 1巻・12巻より改変
発症から2週間
くも膜下出血は、早期に再破裂を予防できたとしても予後が悪い場合があります。
これはくも膜下出血の合併症の1つである脳血管攣縮(れんしゅく)が関係しています。
脳血管攣縮とは、脳の血管が通常よりも細く縮んでしまうことを指します。
水が流れているホースを脳血管だとして、そのホースの真ん中部分を強く握りしめた時を想像してみてください。
握りしめた先の水の流れは遅く弱くなりますよね?
この握りしめた部分が脳血管攣縮の起こっている部分、その先の流れはその脳血管攣縮が起きている血管の末梢の血流です。
脳血管攣縮が起こると末梢の血流が悪くなり、その血管で栄養されている脳組織が血流不足に陥り、ひどいときには脳梗塞に至ります。
症状は、脳のどの場所の血管が侵されるかによって変わります。
麻痺や構音障害(ろれつが回らない)、失語(言葉が出てこない・うまく話せない)などといった症状が出る可能性があります。
さらに、脳梗塞に至ってしまった場合には後遺症が残ります。
この脳血管攣縮が起こりやすい時期というのが発症後4〜14日と言われています。
再破裂を予防する手術を行った後はこの脳血管攣縮のための治療を行います。
基本的には、血液をさらさらにしたり脳の血管を拡張させたりするような薬を内服や点滴によって投与します。
これらの治療を行っていても脳血管攣縮が起こってしまって対処できない場合は、以下処置を行います。
- カテーテルによって脳血管攣縮が起こっている場所のすぐ近くから血管を拡張させる薬を使用
- バルーンという風船のように膨らむ機器を用いて直接狭くなっている血管を拡張する処置
この脳血管攣縮が起こりやすい時期を脳血管攣縮期と呼びます。
脳血管攣縮期を問題なく乗り切れるかどうかで後遺症の程度に大きく関わってくるので、この時期は油断ができません。
3.発症から2週間以降
発症から2週間以降は、リハビリが必要な場合はリハビリが中心となります。
リハビリがほとんど必要ないほど順調に経過した場合にはそのまま退院となります。
いずれにおいても注意しておかなければならない、くも膜下出血のもう1つの合併症があります。
それが水頭症です。
その名の通り、頭に水が溜まることで認知機能障害・歩行障害・尿失禁などの症状をきたしてしまう病気です。
くも膜下出血で血液が溜まるくも膜下腔と呼ばれる空間は、脳から脊髄にかけて循環している脳脊髄液(のうせきずいえき)(*1)の産生と吸収の役割を担っています。
発症すると、この産生と吸収のバランスが崩れて脳脊髄液が溜まりやすくなることがあります。
発症から約1ヶ月後に発症することが多く、歩行が遅くなった、記憶力が悪くなったなどといった症状で気付かれます。
水頭症は残念ながら薬で治療することは困難です。
脳に溜まっている水をお腹の中や血管の中に逃がしてあげるシャント手術が必要になります。
水頭症は適切に治療を行えば回復することがほとんどなのでそれほど心配はいりません。
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脳脊髄液(のうせきずいえき)(*1)=脳室系とクモ膜下腔を満たす、リンパ液のように無色透明な液体 |
くも膜下出血の予防法
くも膜下出血の最大の予防法は、原因となる脳動脈瘤を破裂前に見つけることです。
これは脳ドックを定期的に受診することで可能となります。
破裂前の脳動脈瘤を見つけたら全て手術をしなければいけないという訳ではありません。
高血圧を予防しながら経過観察を行う場合もあります。
いずれにしても、脳動脈瘤がある場合はくも膜下出血にならないように適切に管理し経過観察することが必要です。
なので定期的に脳ドックを受診して、原因となる脳動脈瘤がないか確認することが最大の予防になるといえます。
特にリスクが高い閉経後の女性は脳ドックを受診されると良いでしょう。
また、脳動脈瘤は家族性にできやすい人がいることも知られています。
ご家族に脳動脈瘤のある方やくも膜下出血を起こした方がおられる場合は、是非とも脳ドックの受診をおすすめします。
関連記事:【緊急性の高い食物アレルギー】アナフィラキシーショックの対応法
まとめ
今回はくも膜下出血の症状や、前兆、治療方法について解説しました。
くも膜下出血は発症すると非常に重篤な病気です。
発症するまでにある程度の予防は可能な病気です。
発症した場合も迅速に救急受診することで少しでも良い治療につなげるということが重要となります。
参考文献
・脳神経外科学 第12版 太田富雄ら 金芳堂
・ NS NOW 1巻 テント上動脈瘤 塩川芳昭ら MEDICAL VIEW
・NS NOW 12巻 初歩から学ぶ脳血管内手術 塩川芳昭ら MEDICAL VIEW


