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訪問診療の料金の目安について|対応可能な疾患や適切な頻度について

訪問診療 料金

訪問診療とはどのようなものかご存知でしょうか?

訪問診療とは医師が患者様の自宅や施設などに出張して行う診療のことを言います。

特に高齢者や障害のある患者様などの通院が困難な方に対して行われることが多くあります。

患者様のご自宅で診察・処方・治療を一括で行うことが可能であり、今後ますます広がっていく医療の受け方のひとつです。

訪問診療は医師が診療計画を立てて定期的にご自宅に伺い健康管理を行うことが目的です。

混同されやすいものとして往診がありますが、往診は突発的な症状(発熱や呼吸困難など)が出た場合のみに医師がご自宅に伺い診察します。

定期的な健康管理を目的とした訪問診療とは異なりあくまでも対症療法となることが多くあります。

今回は訪問診療の料金についてや、介護保険が利用できるかなどについてご説明させていただきます。



後期高齢者にとって訪問診療が大切な理由


訪問診療 料金

75歳以上の方を後期高齢者といいます。

現在の日本では約13%の割合を後期高齢者が占めており、今後さらに後期高齢者の割合は増えていくことが予想されています。

そして訪問診療を受けている後期高齢者の患者様も増加傾向にあります。

ではなぜ後期高齢者の患者様は通常の通院ではなく訪問診療を受けるようになるのでしょうか?

その理由としていくつかあり、以下の3つが挙げられます。

  1. 入院治療を受けていた方が退院後に通院が困難になった場合
  2. 定期的に通院を行っていたが体力の低下により通院が困難になった場合
  3. 今まで医療機関にかかっていなかったが,突然症状が出現・悪化し通院が困難な場合

これらの原因の全ての理由において体力の低下が見られること、かつ治療が必要な疾患があることが問題となってきます。

特に高齢者の方は高血圧、糖尿病、認知症などといった慢性的な病気を有している方が多く、そのコントロールの継続が必要です。

また患者様によっては点滴や酸素吸入などをご自宅で行う必要もあります。

それらの管理を患者様と、そのご家族のみで行うことは不可能であり、訪問診療の導入が不可欠となります。

また発熱や胸痛などといった突発的な症状が出た場合は、かかりつけである訪問診療病院・クリニックから往診の依頼をお願いすることも可能です。

そのため後期高齢者の患者様では定期的な健康管理と、起こりうる突発的な症状に対しての往診への連携のために訪問診療を導入することが重要になってきます。

調剤薬局の経営は厳しい?今後の課題や生き残り戦略|M&Aベストパートナーズ

◆訪問診療と在宅診療(往診)の違いとは|利用基準や診療内容について


訪問診療は高い?料金の目安について


訪問診療 料金

では訪問診療にかかる費用はどのくらいなのでしょうか?

通常の通院よりも費用がかかってしまうのか気になる方もいると思います。

だいたいの目安になりますが、医療保険において1ヶ月に2回の訪問診療で処方も受ける場合は1割負担でおおよそ7000円となります。

3割負担であればおおよそ20000円となります。

追加の処置や検査をした場合は別途、費用がかかることもあります。

加えてご自宅で酸素吸入や人工呼吸器などを使用する場合も医療保険内で費用がかかります。

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◆脳出血の前兆となる危険な症状や原因、後遺症について解説

訪問診療は介護保険が適用されるのか


訪問診療 料金

訪問診療や往診は医療行為であるため医療保険が適応となります。

しかしながら訪問診療でも「居宅療養管理指導」に関しては介護保険が適応になります。

この「居宅療養管理指導」は医師や薬剤師、管理栄養士などがご自宅に訪問して療養上の管理や指導を行うことです。

要介護の患者様に関してはこの「居宅療養管理指導」の適応となります。

また要支援(要支援1、または要支援2)の患者様は「介護予防居宅療養管理指導」の適応となり同様に介護保険が適応されます。

これらは医師や薬剤師などが療養上のアドバイスを行うためにありますが、注意点としては実際の治療は行いません。

ただ医療保険で行う訪問診療の際に合わせて行われることがほとんどであり、診療と療養上のアドバイスを同時に行うことが多いです。

◆高齢者の介護保険が適用になる特定疾病16種類とは?

訪問診療を利用する適切な頻度


訪問診療 料金

訪問診療を行う頻度ですが、決まった回数があるわけではなく医師や患者様・ご家族、ケアスタッフなどが話し合って頻度を決めていきます。

病状が落ち着いていると判断される場合は月2回程度となることが多いです。

また症状が落ち着いていても患者様やご家族が不安が残る場合は訪問診療の回数を増やすことも可能です。

そのため頻度に関しては医師やスタッフに希望を伝えていただければ、希望に沿った提案を行います。

 

訪問診療で対応できる疾患や病気・症状について


訪問診療 料金

訪問診療では基本的には全ての病気に対応することが可能です。

特に多い訪問診療を行う病気・症状として以下などが多く挙げられます。

  1. 寝たきり,または日中のほとんどをベッド上で過ごされている方
  2. 末期がんなどで緩和ケアを行っている方
  3. 病院からの退院後にご自宅で療養を行っている方
  4. ご自宅で酸素吸入を行っている,胃ろうを使用している方

上記の病気・症状以外の方でも訪問診療を行うことは可能です。

訪問診療を希望している、または検討している方は、まずはかかりつけ医に相談してみることをおすすめいたします。

🔻合わせて読みたい🔻
心筋梗塞の危険な前兆と症状|後の生活や後遺症について



訪問診療は緊急性の高い場合でも対応してもらえるのか


訪問診療 料金

訪問診療は定期的な診療を行う必要がある患者様が対象となります。

ただ発熱や体調不良などといった予期せぬ症状が出ることはどんな患者様にもありえます。

その場合は緊急で医師がご自宅に伺い診療したあと適切な処置を行います。

重症度によっては紹介状を記載し病院に紹介することも可能です。

これらの緊急でのご自宅の診療のことを「往診」といいます。

往診を希望される場合は,まずはかかりつけの訪問診療医に電話で相談することをおすすめいたします。

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは様々な病気への訪問診療での対応が可能です。

胃ろうや点滴での栄養(中心静脈栄養、末梢静脈栄養)や酸素吸入が必要な患者様も対応することが出来ます。

またがんなどに対する緩和治療も可能ですので、ご自宅で疼痛管理のための麻薬処方を行うことが出来ます。

加えて肺がんや腹腔内のがんにより胸水、腹水といった悪性の体液が貯留することで呼吸の苦しさや腹部の張ったような症状が起こることがあります。

西春内科在宅クリニックの訪問診療ではそのような症状が出現するまえに定期的にがんによって溜まった水を抜くことで症状を緩和させることが可能です。

その他にも対応可能な症状・病態は多岐にわたります。

患者様ごとで必要な対応は変わってきますので、訪問診療の導入をご検討している場合は遠慮なく当院にご相談ください。

定期的な訪問診療のみならずご自宅で突発的な症状が出現した場合にもご連絡いただければ緊急往診に伺います。

また、ご自宅で病気の患者様のケアを行うことが不安なご家族も安心して在宅ケアが可能です。



まとめ


今回は訪問診療の料金についてや、介護保険が利用できるかなどについて説明させていただきました。

ご自宅で過ごすことに対して患者様並びにご家族様も不安なことが多いと思います。

訪問診療は医師が伺うことで、ご自宅で安心して生活する一助となります。

上記説明で訪問診療に対する不安が解消できれば幸いです。

また不安な点が残るようでしたら、一度当院にお問い合わせください。


参考文献

・厚生労働省.平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

・厚生労働省.「資料2 在宅医療と連携について」P.2 往診・訪問診療の状況

・厚生労働省「居宅療養管理指導」

・東京都医師会「東京医師会 3章介護保険制度と医療」

動悸や息切れが治らない|原因はコロナの後遺症?ストレス?対処方法について解説

動悸・息切れ
「動悸」「息切れ」は多くは心臓や気管支・肺の病気が原因で起こります。

最近増えてきたのが、新型コロナウイルス感染症にかかって、熱も下がり咳が出なくなっても、動悸や息切れがして苦しいと訴える患者さんが増えてきました。

実はその症状、コロナの後遺症かもしれません。

今回は動悸・息切れの原因や、治療方法について解説していきましょう。



新型コロナ感染症の後遺症に多い動悸や息切れの特徴


動悸・息切れ

動悸とは、自分の心臓の拍動するドキドキという動きにより、不快感や違和感を覚えることです。

心臓の拍動する速度が早くなったり遅くなったり、脈が飛んだりなどの脈も不整が起こることで動悸を自覚されることが多いです。

不整脈がなくても動悸を感じることがあります。

脈拍数というのは自分の意識では動かせない自立神経で制御されています。

しかし、ストレスなどで心拍に異常に敏感になったり、自律神経の働きが乱れることで動悸を自覚することもあります。

息切れも、実際に気管支喘息や肺炎、心不全などの病気で息切れを起こすことが多いのです。

身体に明らかな異常がなくても息切れを自覚して、息が吸えなくなってしまってパニックを起こす方もいらっしゃいます。

新型コロナの後遺症で動悸・息切れが起こることもあります。

新型コロナウイルス感染症は、単に肺炎を起こすウイルスではなく、以下の病気などを起こす可能性のある感染症だということがわかってきました

  • 心筋梗塞
  • 心不全
  • 不整脈
  • 脳梗塞
  • 血栓塞栓

新型コロナウイルス感染症の後遺症として代表的な症状として動悸・息切れ以外にも以下の症状など、多彩にあります。

  • 疲労感
  • 倦怠感
  • 関節痛
  • 筋肉痛

頻度は報告によりばらつきがありますが、息切れ・動悸は18-88%、動悸は5-68%に及びます。

新型コロナの後遺症の場合には時間が経てば大半は改善します。

しかし、1年後も動悸・息切れなど後遺症の症状が残る方もいるようです。

実際に心不全や肺炎後の後遺症として症状が出る場合もありますが、心臓・肺に異常がなくても症状が出てしまうこともあります。

新型コロナの後遺症の動悸・息切れは、胸のレントゲン検査や心電図などの検査をしても異常はないにもかかわらず、症状が持続してしまうのが特徴です。

◆脳梗塞後遺症について知りたい|どんな症状やリハビリがある?

◆脳卒中について知ってほしい危険なサインとは|症状や後遺症、脳梗塞との違いについても


その他考えられる動悸や息切れの原因


動悸・息切れ

新型コロナの後遺症以外で動悸・息切れを起こす原因の中で、心臓の病気は見逃せません。


最も危険な病気としては、心筋梗塞や心不全で心臓の機能が低下している場合です。

心臓は通常定期的に脈を打っていますが、脈がゆっくりすぎる徐脈、早すぎる頻脈、リズムの乱れがある不整脈の場合には動悸、息切れの原因になります。

診断や治療が遅れると命の危険があります。


飛行機などで長時間座って動かない状態の後に、動き出したら突然動悸や息切れが出たなどの場合には、肺血栓塞栓症を疑います。

脚にできた血栓が肺に血液を送る肺動脈に詰まってしまうことで、肺での酸素供給ができず、動悸息切れの症状がでます。

肺血栓塞栓症も治療が遅れると命に関わりますので、疑った場合にはすぐに病院受診が必要です。

心臓や肺の病気でなくても、以下が原因になって動悸・息切れが起こる場合があります。

  • 貧血や低血糖
  • 甲状腺機能異常
  • 脱水
  • ストレス
  • 睡眠不足などによる自律神経の乱れ
  • カフェインの取りすぎ
  • 薬剤性

動悸や息切れが起きやすい人の特徴


前途したように、心筋梗塞や心不全、心房細動などの不整脈は、高齢者で合併しやすい病気です。

高齢者でなくて、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満などがある場合には若い方でも心臓病のリスクは高くなります。

その他以下などの病気でも動悸・息切れが起こりやすくなります。

  • 貧血
  • 甲状腺機能異常
  • 更年期障害
  • 自律神経失調症

◆動悸はなぜ起こる?原因や起こりやすい人の特徴とは|すぐに病院に行くべき症状を解説

動悸や息切れの治し方


動悸、息切れの治し方は、原因によります。

心筋梗塞や心不全、肺血栓塞栓症などの重い病気の場合にはすぐに病院を受診し治療を行う必要があります。

診断や治療が遅れた場合には、命の危険が出てきます。

貧血、低血糖、甲状腺機能異常などが原因の場合にも、病気の治療をすることで動悸、息切れの症状は改善します。

病気が原因ではなく、ストレスや睡眠不足によって起こっているものの場合には、ホームケアとしてストレスを溜めない、睡眠を十分に取れるような生活習慣に見直しましょう。

自立神経失調のための生活習慣で気を付けるポイントは、自律神経失調の原因になるストレスを解消する方法を知ることです。

散歩や体操などの適度な運動、入浴などがおすすめです。

もし動悸や息切れが続くときは


動悸・息切れ

例えば運動後などに動悸や息切れが出て、数分で改善してしまう場合、この症状が何度もあるようなら平日の日中に内科に相談してみましょう。

症状が改善せず、30分以上症状が継続する場合や悪化傾向の場合には、すぐに病院を受診しましょう。

動悸・息切れの症状が軽いものの、2-3日継続する、コロナ感染症後から常に症状があるなどの場合にも、病院でご相談ください。

まずは心臓や肺の病気がないかどうかを診察や検査を行います。

特に治療が必要な病気がない場合には、ストレスや自律神経失調症などを疑います。

ストレスを溜めないような生活習慣についてアドバイスをさせていただきます。



西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、動悸や息切れの症状が持続し辛い場合、ご自宅にお伺いし診察や治療を行います。

症状に対して医薬品や漢方薬で症状を改善させることができます。

コロナ感染症の後遺症として症状がある場合には、長い期間症状が続く方もいます。

辛い症状がある場合には、ぜひご相談ください。


まとめ


今回は新型コロナの後遺症として出やすい動悸・息切れの原因や治療方法について解説しました。

新型コロナ感染は感染している時も、その後も辛い症状が続く場合があります。

記事を読んでいただき気になる点や不安なことがある場合には、お気軽に医師にご相談ください。

参考文献

新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 罹患後症状のマネジメント

日本循環器学会「日本不整脈心電図学会合同.不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」

脳出血の前兆となる危険な症状や原因、後遺症について解説

脳出血

脳出血は1人で身の回りのことができなくなる要介護の状態となった原因の第2位として知られる脳卒中に分類される主要な疾患の1つです。


人は誰しも亡くなる直前まで元気に活動して病に苦しむこと無く生きたい、いわゆる「ピンピンコロリ」の人生を望むものかと思います。

よく患者さんから「脳出血でコロリと死ねるならそれでいいです!」なんて言われることがあります。

しかし、残念ながら多くの方の認識とは異なり、脳出血で亡くなる方はごく一部です。

ほとんどの方は脳出血を発症すると月単位での入院が必要となり、退院後も後遺症が残って病前通りの生活ができなくなってしまいます。

リハビリすれば…なんていう声も聞こえてきそうですが、リハビリは原則的には残された機能を生活に活かすためのものです。

脳の細胞は一度脳出血で壊されてしまうと再生しないので要介護の主要な原因となっているわけです。

ではどうすれば良いのか…

今回は、脳出血になる原因や、治療方法、後遺症などについて詳しく解説していきます。


 

脳出血になる原因


脳出血

脳出血の原因として最も多いのは高血圧症です。

成人の脳出血の80%程度はこの高血圧が原因です。

高血圧状態が続くと、脳の1mm以下レベルの微小な血管が傷つけられて脳の血管のダメージが蓄積します。

他の言葉でいうと動脈硬化と同じようなイメージです。

このようにして傷つけられた脳の血管は血管壁がもろくなり、通常よりも破れたり裂けたりしやすい状態となります。

このような状態が進行するとある日突然血管が破綻して脳出血を引き起こすのです。

高血圧症があっても全員がなるわけではありません。

適切に血圧の管理をしている方が脳出血は起こりにくくなります。

逆に高血圧症があるのに気がついていなくて放置してしまっていたり、適切な治療をされていない場合のほうが脳出血が起こりやすいと言えます。

また血液をサラサラにする抗血栓薬を内服されている場合には、全身が出血しやすくなりますので、脳出血のリスクも内服していない場合よりは高まります。

他の原因としては脳出血を起こすような脳の病気が存在する場合です。

以下などがその原因として知られています。

  • 脳腫瘍
  • もやもや病
  • 脳動静脈奇形
  • 脳動脈瘤

🔽合わせて読みたい🔽
脳卒中の原因、どんな人がなりやすいか、脳卒中の症状や前兆症状、予防対策をご紹介

脳梗塞との違い


脳出血

一言で言うならば脳の血管が詰まるのが脳梗塞、破れるのが脳出血ということになります。

どちらの疾患もなんの予兆もなく突然発症する病気です。

脳出血のほうが脳梗塞と比べるとその症状が重篤であることが多いと言われています。

そのため、発症からより早期に亡くなってしまったり、発症直後から重度の意識障害を伴ったりする頻度は脳出血のほうがより多いと言えます。

また、脳梗塞に関しては血管に詰まっている血栓を溶かしたり、カテーテル治療で除去する治療が発展してきています。

これらの治療によって一部の患者さんは発症前と同様の生活が送れるようにまで回復することが近年増えてきました。

しかし、脳出血の場合はそうはいきません。

脳出血の場合は発症時の重症度でその予後が決まると言って過言では無いほどです。

出血の程度によって生死・後遺症の程度が決まり、残念ながら現代の医療で劇的な回復を得られるような治療というものは存在しません。

脳梗塞の急性期治療は、近年の医学の発展により、後遺症をできるだけ残さないようにするための治療になってきたといえます。

しかし、脳出血に関しては、我々が行う手術は、あくまで命を助けるためのものです。

後遺症を軽くするものではないと言っておくべきでしょう。

このことに関しては【脳出血の治療について】で詳しくお話します。

関連記事:脳卒中について知ってほしい危険なサインとは|症状や後遺症、脳梗塞との違いについても
 

脳出血をまねくかもしれない前兆や初期症状


脳出血の前兆というのは基本的にありません。

脳出血が起こるときは突然で、その初期症状としては、以下など様々です。

  • 頭痛
  • 嘔気嘔吐
  • 顔面麻痺
  • 片麻痺
  • 構音障害(ろれつが回らない)
  • 意識障害

この初期症状として疑うべき重要な初見と取るべき行動は国際的にACT-FAST: Face(顔), Arm(腕), Speech(言葉), Time(すぐに救急搬送)として知られています。

日本脳卒中協会でも下図のような呼びかけを行っています。

これらは脳出血でも脳梗塞でも脳卒中全般似共通していることです。

これだけで脳出血ということはできませんが、強く疑う症状です。

脳出血をより強く疑う症状は何か?ということになりますと、これらの症状に加えて、以下などが上げられます。

  • 強い意識障害(大きな声で呼んだり叩いたりしても起きない)
  • 頻回の嘔吐
  • 強い頭痛の訴えが直前にあったこと

いずれも脳出血と断定することはできず、脳卒中を疑う症状ですので速やかに救急要請して正確な診断を受ける必要があります。


脳出血
(図)公益社団法人日本脳卒中協会HPより引用

関連記事:狭心症の原因や症状、治療について|心筋梗塞との違いは?前兆がある?

脳出血になったときの後遺症


脳出血

脳出血の後遺症は多種多様です。

基本的には、発症時に出た症状が、そのまま後遺症になると覚悟していただいて良いと思います。

例えば片麻痺で発症したら、同じ片麻痺が後遺症として残る可能性が高いです。

脳出血の後遺症で問題となるのは、その「程度」です。

片麻痺にも軽度から重度までありますし、上肢のほうが重度なのか、下肢のほうが重度なのかで退院後の生活の様式、社会復帰に必要な支援などが変わります。

ただ、残念ながら高血圧性脳出血の多くは運動神経の通り道の近くに発生します。

多くの患者さんは様々な程度の片麻痺を中心とする後遺症と付き合いながら社会復帰することになります。

関連記事:【生活習慣病の方は注意】心筋梗塞の症状や命を落とすかもしれない危ない前兆について|狭心症との違いは?
 

脳出血の治療について


脳出血

脳出血の初期治療は、保存的治療と手術治療の2つに大別されます。

いずれも発症早期に治療を開始することが重要となります。

脳出血の保存的治療


保存的治療というのは点滴による治療です。

高血圧性脳出血の場合はもちろん、そうでない場合も脳出血の初期には血圧が異常に高いことが多いです。

これ以上出血を悪化させずに止血が得られるような血圧以下に降圧剤を使用して管理します。

これとともに、止血剤や胃薬などの点滴を行います。

脳出血の手術治療


手術治療を行うのは、生命の危機が迫っているような以下が判明した場合です。

  • 重症高血圧性脳出血
  • 脳出血の原因が高血圧ではなく、脳出血を生じるような原因(脳腫瘍、もやもや病、脳動静脈奇形、脳動脈瘤など)

今回は、高血圧性脳出血で手術が必要となる場合についてご説明します。

高血圧性脳出血で手術が必要なのは、基本的には手術をしなければ命を落としてしまうような重症の脳出血の場合のみと考えていただいて大丈夫です。

脳神経外科の世界では後遺症を軽減するために初期の手術治療でなんとか良くしようという試みが世界中で行われています。

しかし、残念ながら今の所日本の治療指針を大きく変えるほどの成果は出ていません。

命を落とすほどの脳出血は多くの場合、脳ヘルニアと呼ばれる重篤な状態に陥っています。

この状態になるとどんなに強い刺激を与えても目を開けない重度の意識障害、瞳孔の散大、異常な呼吸などが見られます。

これは硬い頭蓋骨に囲まれた脳の中に出血が起こることによって通常時よりも頭蓋内の容積が拡大し、生命維持の中枢である脳幹が圧迫をうけてしまっていることで生じます。

この状態で保存的治療を行っていてもやがて脳ヘルニアによって脳幹の生命維持機能が障害され命を落としてしまいます。

この圧迫を取るために原因となっている脳出血を除去する手術が行われます。

これを開頭血腫除去術と言います。

先に申し上げたように、基本的にはこの手術が行われることがほとんどですが、例外もあります。

それは比較的若い方で中等度の意識障害があるような場合です。

この場合に出血の場所によっては内視鏡下血腫除去術を行うことがあります。

脳出血の治療で重要となるのは、次の項でご説明するリハビリです。

一定以上の意識障害がある場合、その意識障害が改善し、十分にリハビリが行えるようになるまで時間がかかります。

リハビリは早期から取り組むほうが効果的です。

より早期からリハビリが行えるように、比較的軽い侵襲で意識障害の原因となっている脳出血を除去してあげる内視鏡下血腫除去術が行われる場合があります。

このように脳出血は症状が様々である分、治療方法も状態により異なります。

我々脳神経外科医は常に最善の治療ができるように判断して治療を選択しています。


脳出血
(図)MDSマニュアル家庭版より引用

>>動脈硬化で起きる症状とは|改善方法や治すことはできる?

手術後のリハビリについて


脳出血

先程の手術のお話で少し出てきたように、脳出血の治療で最も重要と言っても過言ではないのがリハビリです。

脳出血で壊れてしまった脳の細胞は再生しないので、それによって生じている症状(初期症状)は後遺症となります。

この後遺症を補い少しでも軽くして社会復帰に近づけてくれるのがリハビリです。

人間は、例え病気でなくても何日も横になって過ごしていればどんどん体力や筋力が落ちていくので、その後普段どおりの生活に戻していくのはとても大変です。

なるべく早く、少しずつでも体を動かしていくことが重要なので、脳出血を起こした場合でも、出血が止まって落ち着いていれば早期からリハビリを始めていきます。

例えば、手術を行わず保存的治療を行った場合では、発症翌日のCT検査で出血の拡大がなく止血していると判断されれば、その翌日からリハビリは始まります。

といっても、いきなり歩いたりすることは難しい場合が多いです。

リハビリのセラピストの先生と一緒に以下などをその時の症状に応じて行います。

  • 手足を大きく動かす体操
  • 手指を動かす細やかな運動
  • 認知機能の訓練
  • 言葉を話す訓練

最初に入院した病院で急性期治療を含めリハビリを行う期間はおよそ1ヶ月程度であることが多いです。

症状の程度にもよりますが、その後リハビリの専門病院に転院してさらに数ヶ月リハビリを行った上で退院となる方がほとんどです。

このようにリハビリは早期から始まる上に長丁場です。

しかし、失われてしまった脳の機能を回復させるのではありません。

残っている機能で補うことで少しでも病前に近い生活を取り戻すのに重要な治療となります。

>>心筋梗塞の危険な前兆と症状|後の生活や後遺症について

 

脳出血の再発について


脳出血

高血圧性脳出血以外の原因のある脳出血では再出血率のデータは多く存在しています。

一方、高血圧性脳出血については確立された再発率のデータはありません。

しかし、適切に予防を行えばそれほど高いリスクではありません。

以下などには高血圧性脳出血の再発リスクは高くなります。

  • 高血圧性脳出血発症後も血圧の管理が適切になされない
  • 脳梗塞や心筋梗塞などの理由で血液をサラサラにする抗血栓薬を内服している場合

また、脳出血後には身体の機能障害が後遺症として残る事が多いです。

これにより肺炎や尿路感染症などの感染症を併発しやすくなったり、活動量が低下するために心肺機能が衰えます。

このようなことが原因で脳出血を再発しなくても他の合併症によって命を落とすリスクは高まるので予後は不良であると言えます。



もし身内が脳出血患者になったら


脳出血

ご家族が脳出血になってしまわれた場合、まずできることは本人の気持ちに寄り添ってあげること。

そして本人が「これをしてくれると助かる」と思うことを積極的に助けてあげて、過剰に干渉しすぎないことではないかと思います。

発症直後というのは意識が朦朧としていることも多いです。

本人も十分理解できていないのですが、週を追うごとに意識が回復し、だんだん自分の置かれた状況を理解するようになります。

この時期に大半の人が多少なりとも落胆するのは想像に難くないと思います。

そのような状況の中でも毎日リハビリは行われますし、治療は続きます。

このような精神状態のときに毎日の治療に向き合えるように、心から本人の苦しみに耳を傾け支えてあげられるのはご家族しかいないと思います。

「病は気から」とはよく言ったもので、これは経験則でしかありませんが、このリハビリを前向きに継続的に行える方ほどよく回復される印象さえあります。

少しでも本人が前向きに取り組めるようにしていただけるとよいのではないでしょうか。

また、退院後の生活にも様々な困難が伴います。

リハビリを行っていく中で、自分でできることと、助けてもらわないといけないことがある程度わかってくる方もいます。

このような場合には自分でできないことはもちろん助けてほしいのですが、自分でできることにある程度自信を持ってやっていることも多くあります。

そのため、過剰に助けてしまうことは本人の自信喪失につながってしまう恐れもあるかと思います。

自分の後遺症を障害として受け入れ社会復帰しようとしている本人に対してベストなサポートができると良いですね。



西春内科在宅クリニックができる対応


脳出血は頭部CTによる精査、必要に応じてMRIやカテーテル検査などの追加の検査を行い、適切に治療する必要があります。

発症早期に脳神経外科や脳神経内科の専門医のいる病院で診察・治療を受けることで症状の悪化を最小限に防ぐことができる可能性があります。

そのため、西春内科在宅クリニックでは脳出血の急性期治療を行うことはできません。

しかし、急性期治療を終えて内服薬での再発予防を行う状況となりましたら、外来で治療を継続することは可能です。

お気軽にご相談ください。



まとめ


脳出血は重篤な病気ですが、第一にその予防として高血圧を治療することが大切です。

また発症した場合は、その症状に早期に気がついて対処することで少しでも後遺症を軽減し、より病前に近い状態で社会復帰することができる可能性もあります。

FASTの症状に注意してご家族にその症状を認めた場合はすぐに医療機関を受診するようにしてください。

また発症してしまった場合はリハビリが重要です。

ハビリをしっかり行うことがより良い回復に繋がります。


 参考文献

・脳神経外科学 第12版 太田富雄ら 金芳堂

・令和元年版高齢社会白書(内閣府)

公益社団法人日本脳卒中協会 「ACT-FAST(アクト・ファスト)をぜひ覚えてください」

MDSマニュアル家庭版 「ヘルニア:脳の圧迫」

盲腸の痛みはどんな感じ?手術や入院期間について解説



皆様、「盲腸」「虫垂炎」といったワードを聞いたことはありますでしょうか?


正式名称は「虫垂炎」と言い、急性症と慢性症があります。


腹痛が特徴的な病気で、お子様の腹痛があった際ご不安になられた方も多いと思います。


今回は急性虫垂炎について原因や痛み、手術が必要なのか、入院期間はどれくらいなのか説明していきます。



盲腸とは




大腸の一部で小腸との繋ぎ目にある、大腸の初めの部分を「盲腸」と言います。


小腸から見ると行き止まりになっているように見えるためにそう呼ばれるようになりました。


その下部分にある、5~6cm程の袋状の臓器を「虫垂」と言い、かつてはどのような役割を持っているかわかりませんでした。


しかし最近は大腸の免疫機能の司令塔を担っている大事な臓器として認識されるています。


10〜20代に最も多く、年齢を重ねるごとに徐々に発症する方が減っていきます。


盲腸の原因




虫垂に炎症が起きてしまう原因は大腸菌や腸の中に存在している細菌が侵入、繁殖してしまうためです。


しかし、なぜその炎症が起きてしまうのかが詳しく解明されていません。


下記のような仮説が原因ではないかと考えられています。


虫垂内の異物


虫垂に便の塊(糞石)や食べ物の残りかすが詰まることで血行が悪くなり、細菌の増殖を引き起こすと推測されています。


便秘・胃腸炎


便秘により便がたまり、虫垂を圧迫することで炎症を起こし、虫垂炎につながるのではと言われております。


また、胃腸炎により免疫機能が低下し虫垂内に腸内細菌やウイルスが侵入することも原因ではないかとされています。


不規則な生活やストレス


不規則な生活、過労やストレス、暴飲暴食などの生活習慣が乱れ、腸内環境悪化が誘因となる事もあります。


バリウム検査後


胃がんを発見するために行うバリウム検査後に虫垂炎になるのではとも考えられており、バリウム検査を受けた方と受けなかった方を対象に調査が行われたこともあります。


結果としては、検査を受けた方のほうが虫垂炎の発症数が増えることがわかりました。


特に検査後2か月以内に発症する数が増えるという結果となりました。


しかし、胃がんを早期発見するために必要な検査であり、増えるとはいえ決して多くはありません


また、胃カメラなどで代用も可能なので、ご不安であれば医師と相談して決めていきましょう。




盲腸の症状




虫垂炎といえば腹痛ですが、その進行度によって様々な症状が現れるのが特徴です。


虫垂炎は炎症の進行度によってカタル性・蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい)・壊疽性(えそせい)・穿孔性(せんこうせい)の4つに分類され、この順番で悪化していきます。


ここでは進行度と、その時に現れる症状と共に解説していきます。


カタル性


虫垂炎の初期状態で、炎症は粘膜のみにとどまっています。


症状は主に腹痛のみで、痛みの強さに波があり、位置も様々なところに現れます


蜂窩織炎性


炎症が虫垂全体に広がっている状態です。


この段階になると、虫垂がある右下腹部が激しく痛み、緊張して硬くなります


その部分を押して、離したときに痛みが強くなる「反跳痛(はんちょうつう)」や歩いた時に痛みが響くという特徴があります


壊疽性


虫垂が炎症によって腫れ上がったり、壊死を起こしている状態です。


この段階になると腹痛以外の症状が現れます。


  • 右下腹部の強い痛み
  • 発熱(37~38℃)
  • 嘔吐、下痢または便秘
  • 食欲不振

嘔吐や下痢などの消化器症状が出るのは、虫垂の炎症により大腸や小腸が正常な働きが出来なくなってしまうためです


穿孔性


壊疽性がさらに進行し、壊死してしまった虫垂の壁に穴が空いてしまった状態です


虫垂に膿が貯まり、破裂寸前だった壊疽性に比べ、一瞬少しだけ痛みが和らぐ事があります。


そして膿がお腹全体に広がる腹膜炎、もしくは虫垂周辺に膿が貯まる膿瘍形成(のうようけいせい)のどちらかに進行していきます。


盲腸の前兆や初期症状は?




虫垂炎は右下腹部の痛みが特徴的ですが、初期症状はみぞおちからおへそ周囲の鈍い痛みから始まります。


痛みを感じた2〜3時間後に吐き気食欲不振が現れます。


その後数時間〜1日かけて右下腹部に痛みが移動


そのまま炎症が進むと発熱、腹部全体の痛みや下腹部の痛みに変わります。


ここまで症状が進むと次の項目で紹介する合併症になっている可能性があるので注意が必要です




盲腸で注意すべき合併症




腹膜炎


腹膜という、臓器などを覆っている膜が炎症を起こしている状態です。


穿孔性が進行し、虫垂に貯まっていた膿が腹膜にまで及んでいることが原因となります。


急性腹膜炎と慢性腹膜炎の2種類あり、虫垂炎で起きるのは急性腹膜炎で、特徴として急激に発症して放置すると命に関わります


症状は

  • 突然の腹痛
  • 持続的な激痛
  • 徐々に広がる痛み
  • 発熱
  • 歩行困難(歩くと痛むため)

が見られます。


膿瘍形成(のうようけいせい)


穿孔性が進行した後、虫垂の周囲に膿が貯まっている状態です


腹痛や発熱は続きますが、腹膜炎と比べ劇的な症状がありません。


固い膿が貯まるため、下腹部の痛みと張り、違和感が出てきます。


この状態を放置してしまうと炎症が広がり、腹膜炎を引き起こします。


敗血症


感染症(今回の場合は虫垂炎)を引き起こしている細菌が繁殖して炎症が起き、臓器に障害が発生する非常に危険な状態です


何か1つこれといった症状はなく、感染して炎症を起こしている臓器によって、様々な症状が組み合わさって出現します。


主な症状として

  • 悪寒、震え、発熱
  • 体の節々の痛み、不快感
  • 意識障害
  • 息切れ、呼吸数の増加、頻脈

が出現します。



盲腸の治療




最も一般的な治療方法は手術ですが、抗生剤を使って治療する方法もあります。


しかし、軽症〜中等症の方にしか適用できないことと、根本的な治療にならない為30%〜50%の割合で再発すると言われています。


結果として、手術を選択する場合が多いです


手術の方法は腹腔鏡手術開腹手術の2通りから医師と相談して決めていきます。


どちらもお腹を開いて虫垂を取り除く手術ですが、一番の違いは開く際の大きさです。


腹腔鏡手術の方が傷が小さく、回復期間が短かったり傷が目立ちにくいなど、患者様の負担が少ない為選ばれることが多いです。


開腹手術は合併症があった場合に行ったりと患者様に合わせて使い分けます。




盲腸の入院期間はどれくらい?




入院期間はその重症度やどちらの手術を行ったかで変わってきます


軽症で腹腔鏡手術を行った場合の目安はおよそ4〜5日ほどです。


開腹手術を行った場合のおよそ7〜10日以上が目安になります。


西春内科・在宅クリニックでできる対応


当クリニックでは、採血検査・CT検査がありますので、虫垂炎の診断を迅速に行うことが可能です

手術をすることはできない為、手術可能な病院への紹介状作成を行います。

腹痛でご不安な方はお気軽にご来院、ご相談くださいね。





まとめ


いかがでしょうか?

虫垂炎は進行が早く数時間から1日で右下腹部への腹痛が起こります。

そのため、このような兆候が見られる場合は早急な受診が必要です

当クリニック、もしくはお近くの小児科や内科をご受診くださいね。


参考文献
埼玉外科クリニック『虫垂炎(盲腸)の前兆はどんな痛み?初期症状は?』
Medical DOC『「盲腸(急性虫垂炎)」とは?症状・原因・治療法についても解説!』
さくら医院『急性虫垂炎(盲腸)とは』
大阪市立十三市民病院『虫垂炎ってなに?』

MRSAとは?感染経路や症状を解説|高齢者がなりやすい理由も

MRSA

MRSAという細菌を聞いたことはありますか?

あまり聞いたことのない方がほとんどだと思います。

MRSAという細菌は、体の中に入ると病気になることがあります。

この細菌は、普通の薬ではなかなか治らないので、注意が必要です。

特に高齢者は、重篤な症状となる可能性があります

ただMRSAは、専門の医者に診てもらって、適切な薬を飲むことで、きちんと治すことができます。

今回は、MRSAの症状や、感染対策、治療薬などについて解説していきます。

 

 

MRSAとは


MRSA

MRSAとは何か


まずMRSAとは、正式名称をMethicillin‐Resistant Staphylococcus Aureus といい、略語でMRSAといいます。

日本語ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌といい、細菌の一種です。

このMRSAに感染することをMRSA感染症といい、感染する部位によって様々な症状をきたします。

簡単に言うと普通の抗菌薬(抗生物質)が効かない細菌のことをMRSAといいます。

黄色ブドウ球菌というのは、人間の皮膚や鼻の中などに普通に住んでいる細菌の一種です。

MRSAの種類


MRSAには、以下の3つの種類があります。

  • 院内感染型MRSA(HA-MRSA)
  • 市中感染型MRSA(CAーMRSA)
  • 家畜関連型MRSA(LAーMRSA)

家畜関連型MRSAは、豚などの家畜に関わる仕事または獣医師などに関連するMRSAであり、一般的には問題となることがほとんどありません

問題になることが多いのは、院内感染型MRSA市中感染型MRSAです。

院内感染型MRSAは、たくさんの種類の抗生剤に強い(多剤耐性といいます)ので、治すのが難しいことが多いです。

特に高齢者は、院内感染型MRSAにかかることが多いのです。

MRSAとMSSAの違い


MRSAの日本語の正式名称をメチシリン耐性黄色ブドウ球菌と言うと説明しました。

メチシリンと言う抗生物質に対して耐性を持つ黄色ブドウ球菌と言う意味です。

すなわちMRSAとMSSAの違いは、その黄色ブドウ球菌(SA)がメチシリン(M)に対して、耐性 (R) なのか感性 (S) なのかという違いのことを意味しています。

では黄色ブドウ球菌とはどのような細菌なのでしょうか?

黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻腔などに健常な人でも存在することがあり、そのままでは悪影響を認めません。

ただし傷口に感染することで皮膚を化膿させたり、傷口から血液に感染することで体内に菌の塊を作ったりすることで発症することがあります。

また、感染が全身に広がることで毒素が広がり発熱などの全身症状を起こすこともあります

MSSAの場合は、抗生剤への耐性は持っていないため、早期に診断し適切な抗生剤による治療を行うことで完治することは十分に可能です。

一方でMRSAの場合はその細菌が耐性のある抗生剤を使用してしまうと、治療効果がないです。

MSSAとは別の抗生剤を選択して治療を行う必要があります

 

関連記事:高齢者の便秘は危険?主な原因や解消方法、病院での治療を解説

 

 

MRSAの感染経路とうつる確率について


MRSA

ここでは主に院内感染型MRSAに関して説明します。

院内感染型MRSAは、病院や老人ホームなどに多く存在しています

また、入院していなくても病院によく行く人にもうつる可能性があります。

感染経路としては基本的にはMRSAを持っている人や、物を触ったことによる接触感染です。

誰しもがその感染源になり得ます

 

関連記事:高齢者がなりやすい肺炎の症状|急変したときの対応や治療について

 

 

MRSAの症状


MRSA

MRSAは感染した部位によって症状が異なります。

肺に感染した場合はMRSA肺炎といって、熱やせき・痰(たん)から始まり、重症化すると呼吸困難などになります。

MRSAが血液に入って体中にMRSAが広がることをMRSA菌血症といいます。

このMRSA菌血症は、点滴の針や心臓のペースメーカーなどの体の中に入れる機械が感染経路となることが多いです。

症状としては、長期間熱が出て、熱の原因がわからず診断が遅れることが多いです

また、MRSA菌血症となりMRSAが全身に広がることで心臓内に菌の塊ができることがあります。

これをMRSAによる感染性心内膜炎といいます。

発熱に加え、心臓機能の低下による下肢のむくみや呼吸困難が出現することがあり、注意が必要です。

MRSAが皮膚の傷口に感染した場合は皮膚軟部組織感染症といい、傷口が化膿する症状が現れます。

その他のMRSA感染症として手術後の腹腔内感染関節内感染がありますが、手術後に発症することから診断は比較的容易です。

上記のようにMRSAは感染する部位によって様々な症状をきたします。

ただし、症状からだけでは、MRSAの感染を疑うことは困難です。

 

 

高齢者がMRSAになりやすい理由


MRSA

それでは、なぜ高齢者はMRSA感染症になりやすいのでしょうか?

高齢者が感染するMRSAは、上述した院内感染型MRSAです。

この院内感染型MRSAは、抗生剤をたくさん使う病院や老人ホームなどで多く存在しています。

そのため、高齢者は若い人よりも院内感染型MRSAに触れる機会が多くなります

また、院内感染型MRSAは感染力はあまり強くありません

体力のある若い人にはあまり感染することはありませんが、高齢者や免疫の弱った人に感染しやすい特徴があります。

 

関連記事:癬疥(かいせん)を放っておくとどうなる?うつる確率や高齢者に多い理由とは

 

 

MRSAになったときの病院の対応


MRSA

MRSAの検査方法


MRSAに感染しているかどうか検査する方法は、感染を疑う部位から痰や血液、膿などを採取し、培養と抗菌薬に対する感受性を調べることで診断します。

そのため、診断に比較的時間がかかり、発症からMRSA感染症の診断まで数日かかることがあります。

MRSAの抗菌薬・治療薬


MRSA感染症の診断がついた場合は、抗MRSA薬という特別な抗生剤を治療に用います。

通常の抗生剤はMRSAに効果がなく、通常の抗生剤を継続しても症状の改善は見られません

抗MRSA薬は、MRSAの細胞を壊したり増えないようにしますが、副作用もあるので注意が必要です。

副作用としては、腎臓や骨髄や筋肉に悪影響を与えることがあります

そのため、医師の指示に従って使用する必要があります。

MRSAは自然治癒する?


MRSA感染症は、自然治癒することは不可能ではありません。

しかし、これまでに説明した通り、MRSA感染症にかかるのは高齢者や免疫の低下した人が多いので、基本的には抗MRSA薬による治療が必要となります。

医師の指示のもと、しっかりと薬を飲み続けることが治療に向けての最短ルートになります。

 

関連記事:熱中症かもしれない初期症状や治し方について|高齢者は注意!

 

 

MRSAにならないための感染対策


MRSA

MRSAは高齢者にかかりやすく、その治療も難しいことが多いです。

MRSAにならないためには感染予防が重要になります。

具体的には、接触感染予防が大事です。

MRSAは空気を通して感染することはありませんが、MRSA感染者が触ったものや唾液などを経由して感染します。

そのため、病院や介護施設に行く際はこまめに手洗いや手指消毒を行うことが重要です。

また、マスクも効果的です。

在宅で高齢者の介護を行っているご家族などは、ケアの前後に手洗いをしっかりと行うことも重要となります。

 

関連記事:尿路感染症に高齢者がなりやすい理由|原因と症状について解説

 

 

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科在宅クリニックでは、MRSA感染症に対して抗生剤治療が可能です。

MRSA感染症は診断が難しく適切な治療が必要です。

MRSAを疑った場合は、採血検査などで細菌培養検査を行い、原因菌を特定して有効な抗菌薬投与を行います。

 

まとめ


今回は、MRSAの症状や、感染対策、治療薬などについて解説しました。

MRSAは、高齢者や体力の弱った人にかかりやすく、治すのが難しい感染症です。

MRSAにかかると様々な症状が出て、普通の薬では効きません。

そのため、MRSAに効く抗MRSA薬という特別な薬を使って治療する必要があります。

またMRSAは人や物から感染することがあるので、予防するためには手洗いや消毒などをしっかり行うことが大切です

もしMRSAを心配される方がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。

更年期の関節痛とリウマチの違いとは?起床時や冬の症状に注目

更年期リウマチ違い

更年期における関節の痛みは、多くの方が経験する一般的な症状です。

しかし、この痛みが単なる更年期の影響なのか、それともリウマチなどの他の疾患が原因なのかを見分けることは非常に重要です。

本記事では、更年期の関節痛とリウマチの違い、特に起床時や冬の寒い時期に現れる症状に注目し、それぞれの特徴と対処法について解説します。

 

 

更年期に関節痛が生じるのはなぜ?


更年期リウマチ違い

更年期は、特に女性において重要な生理的変化の時期です。

この時期には、ホルモンバランスの大きな変動が生じ、それが様々な身体的不調を引き起こす原因となります。

特に影響を受けるのはエストロゲンというホルモンで、この減少が関節痛の一因になり得ます。

また、更年期に起こる関節痛は、リウマチの初期症状と似ていることがあります。

リウマチは自己免疫疾患で、関節の慢性的な炎症を引き起こします。

そのため、更年期に関節痛を経験する場合、リウマチの可能性も考慮する必要があります。

 

関連記事:関節リウマチのしてはいけない10項目とは|リウマチになりやすい性格がある?

 

 

更年期の関節痛はリウマチかも?ホルモンバランスの乱れによる関節痛とリウマチの特徴の違い


更年期リウマチ違い

更年期の関節痛とリウマチは、症状が似ているため、しばしば混同されがちです。

しかし、両者は原因と特徴が異なります。

これを理解するために、更年期のホルモンバランスの乱れによる関節痛とリウマチの症状を分けて考えてみましょう。

ホルモンバランスの乱れによる関節痛

原因

更年期のエストロゲン減少が主な原因です。

エストロゲンは関節の潤滑と健康を保つ役割を果たしているため、その減少は関節の痛みやこわばりに直結します。

症状の特徴

関節痛は一般的に軽度から中等度で、一時的なものが多いです。

手、膝、肩、腰など、複数の関節に痛みが現れることがありますが、痛みは絶えず同じ場所にあるわけではありません。

時間帯や環境の影響

症状は特定の時間帯に限定されず、日中にも感じることがあります。

気温や季節による影響は比較的少ないです。

リウマチ

原因

リウマチは自己免疫疾患で、体の免疫システムが誤って関節を攻撃し、炎症を引き起こします。

症状の特徴

リウマチによる関節痛は、一般的に慢性的で、関節の腫れや発赤を伴うことがあります。

痛みはしばしば対称性に現れ、同じ関節が両側に影響を受けます。

時間帯や環境の影響

症状は特に朝、起床時に顕著で、関節のこわばりが数時間続くことがあります。

寒い季節や湿度が高い環境では症状が悪化する傾向があります。

 

関連記事:自律神経失調症のセルフチェック26項目!こんな兆候は危険かも?

 

参考記事:関節リウマチかもしれない初期症状や変形性関節症との違いを解説!|イノルト整形外科

 

リウマチかも?と思ったら


更年期リウマチ違い

リウマチは、早期発見と適切な治療が重要な慢性的な自己免疫疾患です。

関節に痛みや腫れ、こわばりを感じた際、リウマチの可能性を考えることが重要になります。

以下に、リウマチを疑うべき状況とその後のステップを詳しく説明します。

リウマチを疑うべき症状

関節の痛みと腫れ

特に朝に強く感じる関節の痛みがあります。

リウマチはしばしば手の指、手首、足の関節に影響を及ぼします。

症状の持続性

一時的な関節痛と異なり、リウマチの症状は数週間から数ヶ月にわたって持続することが一般的です。

朝のこわばり

特に朝に強く感じる関節の痛みやこわばりが特徴です。

一般的には起きて30分で症状が落ち着きます。

微熱・倦怠感・食欲不振

37℃台の微熱や体のだるさ、食欲がわかないなどの症状がある場合があります。

対処法

リウマチを疑うべき症状が出た場合、早期に病院の受診をおすすめします。

発症から1〜2年の間に正しい治療を行うことで完治する率は高くなります。

治療としては、薬物療法や、リハビリテーション、手術療法などがあり、日常で出来るセルフケアと並行して治療を行っていきます。

 

関連記事:高齢者だけじゃない!40代からでもなる若年性認知症とは?なりやすい人や原因について

 

 

更年期の関節痛は早めに診てもらおう


更年期リウマチ違い

更年期による関節痛を放置すると、場合によってはリウマチによる関節の破壊が進行することがあります。

早期発見・早期治療が非常に重要であり、痛みや不調を感じたら迅速に医師の診断を受けるべきです。

 

関連記事:乳がんのしこりは痛みがない?なりやすい人の特徴や検査についても

 

 

更年期の関節痛の検査・治療なら西春内科・在宅クリニックへ


更年期の関節痛に対して、西春内科・在宅クリニックでは患者一人ひとりの症状に合わせた治療プランを立て、適切なケアを行っています。

また、西春内科・在宅クリニックではCT機器を導入しております。

常勤医に読影専門医(レントゲン・CT画像を読影するプロ)がおり、総合病院と遜色ない画像診断力があります。

CT検査で進行度の評価をすることが可能です。

専門的な治療を必要とする場合は、連携している病院等へご紹介させて頂きます。

 

 

 

まとめ


今回は、更年期の関節痛とリウマチの違いについて解説しました。

更年期の関節痛とリウマチは、似ているようで異なる症状を示します。

特に起床時や冬の寒い時期に痛みが強まる場合は、リウマチの可能性も考慮し、早めの診断と治療が重要です。

寒さが続いておりますが関節痛でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

本記事が更年期の関節痛とリマウチについての理解を深め、適切な対応をするための一助をなれば幸いです。

参考文献
時事メディカル|更年期の手指関節痛 リウマチとの違いは?
中外製薬|リウマチの症状とは~あれ?もしかしてリウマチ?~

肘内障を1日放置したらどうなる?親が治すことはできる?

肘内障

うんていで遊んでいた子供が急に「痛いっ!」と叫び、激しく泣きだした…

 

時間が経つと落ち着いたように見ても、腕を動かさず、元気がない様子が気になる…といったことありませんか?

 

それはもしかしたら肘内障かもしれません。

 

今回はそんな肘内障について原因や1日放置してしまった場合や、親御様でも治せるのかなどについて紹介します。




肘内障とは?

 

肘内障

 

主に5歳以下の子供に多く見られる肘の「亜脱臼」です。

少しだけ女の子に多い傾向にあります。

肘から先は細い骨と太い骨の2本の骨で作られています。

細い骨が動くことにより肘から先を180度回転させることが出来ます。

太い骨近くから出ている「靭帯(じんたい)」という帯状の組織で細い骨を支えています。

 

通常、骨はくびれの部分で靭帯にしっかり固定されていますが、子供の骨はまだ発達途中でくびれが浅いため、靭帯の固定が甘く肘内障が起こりやすいのです。

 

主に以下のような状況で起こりやすくなります。

 

・手をつないでいる際に、子供の腕を急に強く引っ張ったとき
・手を引っ張り合って遊んでいるとき
・うんていなどにぶら下がって遊んでいるとき


関連記事:小児の肘内障についての確認方法や、肘内障の再発予防法について

肘内障の症状

 

肘内障

 

普段は元気な子供が突然「痛い!」と泣き出し腕を動かさずにかばうような仕草を見せた場合、肘内障の可能性があります。

ここでは、肘内障の症状「痛み」と「肘の動かしにくさ」について解説しましょう。

 

痛み

 

肘内障による痛みは非常に強く、子供が激しく泣くことが多いです。

痛みはありますが、腫れや赤みといった見た目の変化はほとんど見られません。

 

肘の可動域制限

肘内障は骨が靭帯から外れかけた状態です。

無理に動かそうとすると強い痛みが報じるため肘の曲げ伸ばしができません。

また、前腕が内向き(手のひらが前を向く形)にだらりとした状態になります。




肘内障は自然に治る?

 

肘内障

 

肘内障は基本的には自然に治ることは少なく、対応できる医療機関での整復処置が必要です。

動かさなければ痛みを感じないため、一見治ったように思えることもあります。

しかし、腕を上げようとしたり動かしたりする際に痛がったり嫌がる場合は、まだ治っていない証拠です。

医師による整復処置は通常短時間で痛みを和らげることができます。

肘内障の症状がみられる場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

関連記事:捻挫で歩けるけど痛いときは病院に行くべき?重症度チェックも紹介

肘内障を1日放置するとどうなる?

 

肘内障

 

泣き止んだからといって1〜2日間放置してしまうと下記のリスクがあります。

 

  • 元の位置に戻そうとしても戻りにくくなる
  • 一度治ったあとも再発しやすくなる

 

このため、肘内障が疑われる場合は、放置せずできるだけ早めに医療機関を受診することが大切です。




肘内障の整復方法は?親が治すことはできる?

 

肘内障

 

外れかけた靭帯を戻すことを整復処置と言い、方法としては「回内法」と「回外・屈曲法」の2つの方法があります。


回内法

  1. 肘を軽く曲げ、親指側の骨である「橈骨(とうこつ)」の先端を押さえる
  2. 手のひらを内向きに前腕ごと回転させる
  3. 「コクッ」という音が鳴り、数分後にバンザイの姿勢ができれば成功


回外・屈曲法

  1. 肘を軽く曲げ、親指側の骨である「橈骨(とうこつ)」の先端を押さえる
  2. 手のひらを外向きに前腕ごと回転させ、更に肘を曲げる
  3. 「コクッ」という音が鳴り、数分後にバンザイの姿勢ができれば成功

 

違いとしては前腕を回転させるのが内向きか外向きかの違いです。

この2つの方法のうち、成功率は回内法の方が高いという論文が出ており、回内法を使うケースが多いです。

文章や画像を見ていると一見できそうな気がしませんか?

ですが、親御さんによる整復処置はおすすめできません。

肘内障か骨折かを判断するためには、レントゲン検査などが必要です。

また、無理に整復しようとして神経や血管にダメージを与えてしまうリスクもあります。

そのため、必ず医療機関へ受診をし、適切な処置を受けることが重要となります。


関連記事:早く治したい方必見!骨折の見分け方と対処方法

夜中に子どもが肘内障になったらどうする?

 

肘内障

 

夜中に急にお子様が泣いたら焦ってしまいますよね…

しかし、まずは落ち着いて対処をしましょう。

肘内障が疑われるときは、痛みが出ないように腕を動かさず安静にしておくことが大切です。

その後、夜間でも対応可能な救急病院へ連絡をするか、#8000の子供医療電話相談(全国共通の小児救急電話相談)でアドバイスをうけましょう。

肘内障は腫れたり、熱を持ったりすることはほとんどないので、冷やす必要はありませんが、安易に動かしてしまわないよう注意がひつよです。




西春内科・在宅クリニックでできる対応

 

西春内科・在宅クリニックでは、肘内障の整復処置が可能です。

また、骨折が疑われる場合、レントゲン検査、超音波検査も行うことができます。

お子様が急に痛みを訴えた、腕を動かさないなどありましたらお気軽にご相談ください。




まとめ

元気だったお子さんが突然泣き出し、腕に触れるのを嫌がる場合は肘内障の可能性が考えられます。

時間の経過とともに痛みが和らぐこともありますが、腕を動かさない、上にあげることが出来ないなどの症状がみられる場合は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。

肘内障を放置すると、治りにくくなったり、再発しやすくなるといったリスクがあります。

そのため、様子を見ずに早めの対応が必要です。

骨折や他のケガとの区別が難しいため、親御さんの自己判断で整復処置を試みることは避けましょう。

西春内科・在宅クリニックでも整復処置やレントゲン検査などが可能です。

お気軽にご相談ください。

 

参考文献

 

肘内障 – 有明みんなクリニック・有明こどもクリニック総合サイト

肘内障(肘が外れた・腕が抜けた) | 休日・深夜23時まで対応!さいたま市見沼区のせきぐち接骨院

肘内障 | こまつ整形外科クリニック

肘内障 – 小児科 – かわかみ整形外科・小児科クリニック

咳止め市販薬おすすめランキング|選び方や服用の注意点などを解説

咳止め 市販薬

 

咳が続くと体力を消耗し、日常生活に支障をきたしてしまうことも…

 

そんな時、市販の咳止め薬は手軽に購入でき、早めに症状を緩和するのに役立ちます。

 

ここでは、特に人気のある咳止め薬をランキング形式でご紹介!

 

併せて副作用や注意点も解説しているのでぜひ参考にしてください。




咳止め市販薬おすすめランキング

 

1位 アネトン 咳止め錠

 

咳止め

 

アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン作用により、アレルギー性の咳や風邪による咳を効果的に和らげます。

 

錠剤タイプなので、外出先でも簡単に服用できるのも魅力です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 乾いた咳が続く方
  • アレルギーや風邪による咳に悩む方
  • 手軽に服用できる錠剤を探している方

 

2位 パブロンS 咳止め

 

咳止め

 

咳と喉の痛みを同時に和らげる総合的な咳止め薬です。

 

抗炎症成分が含まれているため、炎症が原因の咳や喉の違和感にも効果があります。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 咳と喉の痛みがある方
  • 喉の炎症を抑えたい方
  • パッケージがコンパクトな薬を探している方

 

3位 トニン 咳止めサット

 

咳止め

 

トニンは漢方成分をベースにした咳止め薬で、自然由来の成分が優しく効きます。

 

喉や肺の通り道を広げて痰を出しやすくするため、痰の絡む咳に効果的です。

 

また、胃への負担が少ないのも特徴で、漢方薬を好む方にも適しています。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 痰が絡む咳が続く
  • 漢方薬を好む方
  • 胃に優しい咳止めを探している方

 

4位 クールワン 去痰ソフトカプセルRN

 

咳止め


クールワンは、痰を出しやすくし、咳を緩和するソフトカプセル型の薬です。

 

風邪や気管支炎による痰が出るタイプの咳に効果的で、即効性があります。

 

飲みやすいソフトカプセルで、吸収が早いのも魅力です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 痰が絡む咳でお悩みの方
  • 飲みやすいカプセル型の薬をお探し方
  • 早く効く咳止めが欲しい方

 

5位 新コンタック 咳止めW 持続性カプセル

 

咳止め

 

新コンタックは、1回の服用で12時間効果が持続するため、夜中の咳や忙しい日中の咳にも適しています。

 

持続性カプセルなので、日中に何度も薬を飲む手間がかからないのもポイントです。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 長時間続く咳が気になる方
  • 夜間の咳を抑えたい方
  • 忙しくて薬をこまめに飲むのが難しい方

 

これらの市販薬はそれぞれ異なる特長があるため、自分の咳のタイプに合わせて選ぶことが大切です。

 

市販薬で止めないほうがいい咳と止めていい咳がある

 

咳止め 市販薬

 

止めないほうがいい湿性咳嗽

 

湿性咳嗽(しっせいがいそう)とは、痰を伴う湿った咳のことです。

 

痰や鼻水は、ウィルスや細菌などを体外に排出しようとする身体の反応です。

 

そのため、薬などで無理に止めてしまうと、症状が長引いたり悪化することがあります。

 

湿性咳嗽の場合は咳止めではなく去痰薬(痰を出しやすくする薬)を使用するようにしましょう。

 

止めてもいい乾性咳嗽

 

乾性咳嗽(かんせいがいそう)は、痰を伴わない乾いた咳です。

 

からからした咳で、むせるような感覚を伴うのが特徴的です。

 

以下のような原因で喉に炎症や刺激が起き、咳が出ます。

 

  • 気道が過敏になっている(風邪の後など)
  • ストレスや疲労
  • アレルギー反応(花粉症など)
  • 乾燥
  • 寒冷による刺激

 

このような乾性の咳に対しては、咳を抑制する薬の使用が効果的です。

 

ただし、咳が2週間以上続く場合や、徐々に症状が悪化する場合は、重大な病気の可能性もあるため、必ず病院での検査を受けましょう。




市販の咳止め薬の選び方

 

咳止め 市販薬

 

咳のタイプで選ぶ

 

湿性咳嗽と乾性咳嗽の原因に合わせた治療成分を選ぶことが重要です。

 

湿性咳嗽は痰が原因なので、痰を出しやすくする薬を選びましょう。

 

  • カルボシステイン(痰をサラサラにする)
  • アンブロキソール(痰を出しやすくする)
  • ブロムヘキシン(気道の粘液を薄める)

 

これらの成分は、痰を薄めたり、気道から排出しやすくしたりする働きがあります。

 

一方、乾性咳嗽の場合は、咳そのものを止める薬を選びましょう。

 

  • デキストロメトルファン(咳を抑える)
  • ジメモルファン(咳の発作を防ぐ)
  • チペピジン(咳の刺激を和らげる)

 

これらの成分は、脳の咳中枢に働きかけて咳を抑制します。

 

喉に痛みがある場合は、鎮痛成分が含まれているものがおすすめです。

 

服用回数で選ぶ

 

服用回数は、薬の効果の持続時間と密接に関係しています。

 

また、ご自身の生活リズムに合った服用回数を選ぶことで、確実な服薬管理が可能です。

 

1日1回タイプ

朝一度の服用で24時間効果が持続するタイプです。

朝に服用するだけで良いため、日中の服用を忘れる心配がなく、仕事や学校で忙しい方に特に適しています。

ただし、症状の強さに応じた細かな調整が難しいという特徴があります。

 

1日2回タイプ

朝晩の服用で効果が持続します。

12時間程度の間隔を空けて服用することで、安定した効果を得ることが可能です。

規則正しい生活を送っている方や、1日を通して一定の効果を必要とする方に向いています。

 

1日3回タイプ

より細やかな症状コントロールが可能です。
食後のタイミングで服用することで、記憶に定着しやすく、服用時間を忘れにくいというメリットがあります。
ただし、日中の活動の合間に服用する必要があるため、管理が難しい場合もあります。

 

副作用の出にくさで選ぶ

 

咳止め薬を選ぶ際、最も気をつけたい副作用は眠気です。

 

抗ヒスタミン成分を含む薬は、咳を抑える効果が高い反面、眠気を伴うことがあります。

 

そのため、日中と夜間で薬を使い分けることをお勧めします。

 

日中の仕事や運転をされる方は、エフェドリン類などの眠気の少ない成分を含む薬を選びましょう。

 

妊娠中・授乳中の薬の選び方

 

妊娠中や授乳中の薬選びは、慎重に行う必要があります。

 

妊娠初期の4週から3か月は、赤ちゃんの臓器や機能が形作られる極めて繊細な時期です。

 

この期間は薬の影響を受けやすいため、特に注意が必要です。

 

授乳中は、薬の成分が母乳を通じて赤ちゃんに伝わる可能性があります。

 

そのため、産婦人科医や薬剤師といった専門家に相談し、赤ちゃんへの影響を最小限に抑える最適な薬を選ぶことが大切です。

 

咳止め市販薬の注意点は?副作用はある?

 

市販薬 咳止め

 

成分を確認する

 

薬の成分を確認することで、アレルギー反応や副作用を未然に防ぐことができます。

 

以下の点を、成分表を見て必ず確認しましょう。

 

  • アレルギー歴のある成分の確認
  • 普段服用している薬との相互作用
  • 同じ成分の重複を避ける

 

成分表を見てもわからない場合は、店頭の登録販売者か薬剤師に相談するのがおすすめです。

 

用法用量を守る

 

市販の咳止めに記載されている用法用量を超えての服用は危険です。

 

以下の点に注意して服用しましょう。

 

  • 1回量と1日服用回数の厳守
  • 効果を実感できなくても増量しない
  • 小児は年齢・体重に合わせた用量を守る

 

小児に対する投与量に関して記載のない場合は、小児に服用はしないでください。

 

薬の過剰摂取は、依存症や臓器障害、薬の効果低下などの深刻なリスクを招きます。

 

コデイン系の薬は小児に服用させない

 

コデイン系の薬は以下の理由から、12歳未満の小児への使用は禁止されています。

 

  • 重篤な呼吸抑制のリスクが高まる
  • 代謝能力の個人差が大きい
  • 海外では死亡例がある

 

2019年に厚生労働省が、コデイン系の薬を小児への服用を禁忌とすることを決定しました。

 

このため、12歳未満の小児へ投与してはいけません。

 

併用できない薬がある

 

咳止めの薬は以下の薬と併用できない場合があります。

 

  • かぜ薬、アレルギー薬(同じ成分を含むことが多い)
  • 他の咳止め薬や鎮咳成分入りの薬
  • 睡眠薬やアルコール

 

これらの薬の中には咳止めと有効成分がの作用が重複する可能性が高いです。

 

そのため、併用すると有効成分の過剰摂取となり、副作用が強く出ることがあるので注意が必要です。

 

副作用

 

副作用として、以下のような症状が現れた場合は、すぐに薬を中止してください。

 

  • 眠気
  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 便秘
  • 尿が出にくくなる
  • 口が乾く
  • 発疹や痒み
  • 強いめまい
  • 呼吸困難

 

そして発疹や痒み、強いめまい、呼吸困難といった症状が現れた場合は、すぐに病院へ受診しましょう。

 

特に以下の方は副作用が出やすいので、注意が必要です。

 

  • アレルギーがある人
  • 腎臓・肝臓などに疾患がある
  • 小児やお年寄り
  • 薬を分解、排泄する力の弱い




咳が長引く場合はどうする?病院受診のタイミング

 

市販薬 咳止め

 

まず、咳が2週間以上続く場合は病院へ受診しましょう。

 

咳喘息や肺炎など、重い病気が隠れている可能性が高いです。

 

市販の咳止めはあくまでも症状を抑えているに過ぎません。

 

根本的な原因を治療しなければいけないため、病院を受診しましょう。

 

西春内科・在宅クリニックでできること

 

西春内科・在宅クリニックでは、咳や呼吸器に関する症状に対応しており、必要に応じて検査や処方を提供します。

 

肺のレントゲンやインフルエンザ、新型コロナウイルスの検査も可能です。

 



まとめ

 

薬局でどの薬がいいのか迷ったら、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

 

症状や悩みを正直に伝え、適切な薬を一緒に選んでください。

 

もちろん当クリニックでも相談を受け付けています。

 

薬選びで注意すべきポイントはこちらです。

 

  • 同一成分の薬の重複服用を避ける
  • 正しい服用方法、効果持続時間を確認する

 

ただし薬は病気を根本から治すものではなく、症状を和らげるツールです。

 

長引く咳は大きな病気が隠れている可能性を心に留めて、病院受診も検討してください。

 

参考文献

市販の咳止め薬は使ってもいいの? 咳の種類によって使い分けたい医薬品|スマートドック | 健康コラム

【薬剤師が解説】咳が続く方に!気管支炎におすすめの市販薬6選 – EPARKくすりの窓口コラム

【医師監修】咳止めに効果のある市販薬の選び方! 服用方法・注意点なども併せて紹介|セイムスコラム

市販の咳止めでは治らない咳、 長引く咳は医療機関で受診を|ドクターズ・ファイル

高齢者がなりやすい肺炎の症状|急変したときの対応や治療について

肺炎

肺炎とは、呼吸器系の疾患の1つです。


一般的には肺組織の感染や炎症を指します。

私たちが日常的に行っている呼吸活動は、酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するという重要な働きを担っています。

肺炎はこの呼吸機能を妨げる病気です。

肺炎の主な原因は細菌やウイルス、真菌などの病原体です。

これらの病原体が呼吸器に感染し、炎症が起こることで肺組織が傷つきます。

その結果、肺の気腫(気を溜める袋)や肺胞(酸素と二酸化炭素の交換を行う小さな袋)などが炎症によって充血し、液体や痰がたまることがあります。

高齢者は免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから、肺炎にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。

また、高齢者の場合、症状がほかの病気と重なることもあり、早期の診断や適切な治療が重要となります。

今回は、肺炎になる原因や、症状、風邪との違いについて解説していきます。

健康を守るために、肺炎に関する正しい知識を身につけましょう。

 

関連記事:麻疹(はしか)とは何か?

 

 

肺炎になる原因とは

 

肺炎

肺炎になる原因はさまざまです。

肺炎を引き起こす主な原因を順に解説していきます。

細菌感染


細菌による感染が最も一般的です。

肺に侵入した細菌が炎症を引き起こし、肺組織にダメージを与えます。

主な細菌感染の原因以下などが挙げられます。

  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ菌
  • クレブシエラ

 

ウイルス感染


ウイルスによる感染も肺炎の原因となります。

特にインフルエンザウイルスやRSウイルスなどが一般的です。

ウイルスは肺組織に感染し、炎症や細胞の破壊を引き起こすことがあります。

真菌感染


真菌による感染は比較的まれですが、免疫機能の低下した高齢者や免疫抑制を受けている患者にとっては重要な要素です。

カンジダやアスペルギルスなどが主な真菌感染の原因として挙げられます。

院内感染


病院や介護施設などの医療機関内での感染も肺炎の原因となります。

院内感染は、免疫力の低下した高齢者や重篤な基礎疾患を持つ患者にとって特に危険です。

気管挿管や人工呼吸器の使用など、医療行為によってリスクが高まります。

誤嚥性肺炎


食道からの逆流やのみこんだ食べ物や飲み物が気管に入ること(誤嚥)によって、口腔内や胃から細菌が気道に入り、肺炎を引き起こすことがあります。

高齢者やのみ込み(嚥下)機能が低下している人、意識障害のある患者にとってリスクが高まります。

これらが、必ずしもすべての肺炎がこれらの要因によって引き起こされるわけではありません。

他にも、喫煙や慢性呼吸器疾患、免疫力の低下、高齢などの要素が肺炎のリスクを高める可能性があります。

高齢者は、免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから感染症に対する免疫力が低下しています。

また、高齢者は呼吸器系の筋力や気道の構造の変化が起こることがあり、咳や痰の排出が困難になる傾向があります。

これによって肺炎の発症リスクが増加します。

また、喫煙は肺の防御機能を低下させるため、肺炎にかかりやすくなる要因とされています。

喫煙者は喫煙によって気道が刺激され、粘液や痰の産生が増えるため、細菌やウイルスが付着しやすくなります。

さらに、慢性呼吸器疾患(COPDや喘息など)を持つ患者も肺炎のリスクが高まります。

慢性呼吸器疾患は肺の機能が低下し、気道の炎症が続くことで感染が容易に起こりやすくなるためです。

最後に、免疫力の低下や基礎疾患以外の要素として、高齢に伴う身体の衰えや抵抗力の低下も肺炎の発症に関与します。

高齢者は一般的に身体機能の低下や慢性疾患の合併症が多く、これらが肺炎を引き起こす要因となります。

肺炎の予防と早期発見は重要です。

 

関連記事:高齢者の便秘は危険?主な原因や解消方法、病院での治療を解説

 

 

肺炎の症状について


肺炎

肺炎による一般的な症状は以下のようなものがあります。

発熱


肺炎によって体温が上昇し、発熱が現れることがあります。

一般的には38度以上の発熱が見られます。

咳と痰


咳が主な症状であり、最初は乾いた咳から始まり、次第に痰(たん)が絡んだ咳に変化することがあります。

痰は黄色や緑色を帯びることがあります。

呼吸困難


肺炎によって肺の炎症が起こると、呼吸困難が現れることがあります。

呼吸が浅くなったり、息苦しさを感じることがあります。

胸痛


肺炎による胸痛は、病原体や炎症によって引き起こされることがあります。

痛みは一側に限定されることが多く、深呼吸や咳をすると増悪することがあります。

全身症状


肺炎は全身に影響を及ぼすことがあります。

以下などの全身症状が現れることがあります。

 

  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 筋肉の痛み
  • 関節の痛み



高齢者は症状がぼんやりしていたり、一般的な症状が現れなかったりする場合があります。

また、発熱がない場合でも肺炎を発症することがありますので、異常な体調の変化には注意が必要です。

肺炎の症状が現れた場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。

医師は症状や身体検査、必要に応じて画像検査や血液検査などを行い、肺炎の診断を確定します。

 

 

高齢者が肺炎になりやすい理由


肺炎

以下の項目に当てはまるものがある場合は、早急に医療機関を受診することが必要です。

【高齢者の肺炎の疑いがあるチェックリストの一部】

気力や活動量の変化

 

  • いつもより元気がない
  • 活動量が減少している
  • 体力や体調がいつもと比べて低下している
  • 食欲や摂食の変化
  • 食欲が減退している
  • 食事量が減っている
  • 嚥下(飲み込むこと)に困難がある

言葉やコミュニケーションの変化

 

  • 口数が少なくなった
  • 話す速度が遅くなった
  • 混乱や理解力の低下が見られる

呼吸に関する症状

 

  • 呼吸が浅くなっている
  • 息苦しさや苦しみを感じる
  • 呼吸時に咳やゼーゼー音がする


上記の特徴が見られた場合、肺炎の可能性があることを指し示します。

正確な診断は医療専門家による評価が必要です。

早期に医療機関を受診し、医師の診断を受けることが重要です。

また、高齢者の肺炎の症状は個人によって異なる場合があります。

症状が気になる場合は医療専門家に相談することをおすすめします。

 

関連記事:高齢者に多い誤嚥性肺炎は治るのか|急変したときの対応法について

 

 

肺炎と風邪の違い


肺炎

高齢者の場合、肺炎と風邪の症状は類似していることがあります。

しかし、実際には異なる点があります。

肺炎と風邪の違いについて以下で解説していきます。

高齢者の肺炎と風邪の違い

 

 

肺炎

風邪
重症度高齢者の場合、肺炎は重篤な病状を引き起こす可能性があります。
発熱、呼吸困難、混乱などの症状が強く出現することがあります。
一般的な風邪の症状は比較的軽度であり、発熱や鼻水、咳などが主な症状として現れます。
発症速度肺炎の症状は急速に進行することがあります。特に高齢者の場合、数日のうちに重篤な状態に進展することがあります。風邪の症状は徐々に現れ、通常数日から1週間で回復する傾向があります。
呼吸症状肺炎では呼吸困難や息苦しさがより強く現れます。
深呼吸が困難であったり、呼吸時に咳やゼーゼー音が聞こえることがあります。
風邪の場合、呼吸困難や息苦しさは軽度で、通常は鼻づまりや鼻水が主な呼吸器系の症状として現れます。
全身的症状肺炎では全身的な症状が現れることがあります。
倦怠感、食欲不振、体力の低下、意識の混乱などが見られることがあります。
風邪の場合、全身的な症状は比較的軽度で、倦怠感や食欲不振などが一時的に現れることがあります。

 

肺炎と風邪は、症状や進行の速さなどの違いがありますが、両方とも呼吸器系の感染症です。

高齢者の場合、免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから、肺炎に罹患しやすくなります。

肺炎と風邪を区別するためには、症状だけでなく医療専門家の診断が必要です。

高齢者の場合、肺炎の早期発見と治療は非常に重要です。

症状が気になる場合は、適切な医療機関への受診をおすすめします。

 

関連記事:麻疹(はしか)とは何か?

 

 

肺炎を放置する危険性


肺炎

肺炎を放置すると重篤な合併症や命に関わるリスクが存在します。

肺炎を放置する危険性について以下で詳しく解説していきます。

感染の悪化


肺炎は通常、細菌やウイルスによる感染が原因で起こります。

放置すると感染が進行し、肺の状態が悪化する可能性があります。

感染が進むと、肺胞や肺組織に炎症が広がり、呼吸機能の低下や酸素不足が生じることがあります。

合併症のリスク


肺炎を放置すると、さまざまな合併症が生じる可能性があります。

例えば、以下などが起こる可能性があります。

  • 肺膿瘍:肺組織内の膿のたまり
  • 気胸:肺が気体で満たされる状態
  • 敗血症:全身的な感染症

これらの合併症は重篤で命に関わる場合もあります。

呼吸不全や循環不全


肺炎が放置されると、呼吸機能や酸素供給が低下し、重度の呼吸不全が起こる可能性があります。

また、肺炎が体内の血液循環に影響を及ぼし、循環不全や心不全の発症リスクが高まることもあります。

高齢者のリスク増加


高齢者は免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから、肺炎に罹患しやすくなります。

高齢者の場合、肺炎を放置すると重症化しやすく、回復に時間がかかることがあります。

肺炎は早期に診断され、適切な治療が行われることが重要です。

疑わしい症状がある場合は、医師に相談し、適切な検査や治療を受けることが必要です。

放置すると合併症や重篤な状態に進行する可能性が高めます。

そのため、早めの対応が命を守る上で重要になります。

 

関連記事:健康寿命を伸ばすためのポイントや気をつけるべき病気や疾患とは

 

 

肺炎はうつる可能性があるのか?


肺炎

肺炎は感染症であるため、一部の肺炎は他の人にうつる可能性があります。

具体的には、細菌やウイルスによる感染が原因の肺炎が他人にうつる可能性があります。

細菌性肺炎は、主に空気中の飛沫や近距離での咳やくしゃみによって感染が広がります。

感染した人が咳をすると、微小な飛沫が放出され、周囲の人がそれを吸い込むことで感染のリスクが生じます。

また、唾液や鼻水、くしゃみの飛沫を介しても感染が広がることがあります。

飛沫が飛んだ物品や手に触れた後、口や鼻を触ることで細菌が体内に入り、感染が起こる可能性があります。

ウイルス性肺炎も、主に飛沫感染や接触感染によって広がります。

感染した人がくしゃみや咳をすると、ウイルスが含まれる飛沫が放出され、周囲の人がそれを吸い込むことで感染が広がります。

接触感染では、感染した人が触れた物品や表面にウイルスが付着している場合、他の人がそれに触れた手や指で、口や鼻に触れることで感染が広がる可能性があります。

肺炎のうつり方や感染リスクは、具体的な原因と病原体によって異なる場合があります。

感染を予防するためには、以下の予防策が重要です。

  • 手洗いやアルコールでの手指消毒を頻繁に行う。
  • 咳やくしゃみの際には口や鼻をティッシュや袖で覆う。
  • 人混みや密集場所を避け、適切な換気を確保する。
  • 病気の症状がある場合は、他の人との接触を避ける。

肺炎の感染リスクを最小限に抑えるためには、予防策の実施が重要です。

また、感染した場合は早期の診断と適切な治療を受けることも大切になります。

肺炎に感染した場合、感染源となる細菌やウイルスを排出する期間があります。

そのため、感染者は他の人に感染させるリスクがあるため、十分な注意が必要です。

特に高齢者や免疫力の低下した人、基礎疾患を持つ人は感染に対するリスクが高いため、十分な予防策の実施が求められます。

肺炎を予防するためには、以下のポイントに気をつけましょう。

基本的な感染対策の徹底


手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみの際に口や鼻を手で覆う)、適切な換気などの基本的な感染対策を実施しましょう。

予防接種の受ける


特定のウイルスや細菌による肺炎に対する予防接種があります。医師の指示に従って、予防接種を受けることで感染リスクを低減させることができます。

免疫力の向上


バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠などを心がけ、免疫力を高めましょう。また、喫煙や過度の飲酒は免疫力を低下させるため、控えることが重要です。

高リスクグループへの配慮


高齢者や基礎疾患を持つ人々は感染に対するリスクが高いため、自身の健康管理や感染対策に特に配慮しましょう。

また、喫煙や過度の飲酒は免疫力を低下させるため、控えることが重要です。

高齢者や基礎疾患を持つ人々は感染に対するリスクが高いため、自身の健康管理や感染対策に特に注意しましょう。

肺炎の感染リスクについては、具体的な原因や病原体によって異なる場合があります。

医師や専門家の指導に従い、個別の状況に応じた予防策を実施することが重要です。

また、肺炎に感染した場合は速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

早期の診断と治療は合併症や重篤化を防ぐ上で重要な要素となります。

 

 

肺炎が急変したときの対応


肺炎

肺炎の症状が急に悪化した場合、以下の症状に留意しましょう。

  • 呼吸困難や息切れの増加
  • 激しい胸の痛みや圧迫感
  • 意識の混乱や錯乱
  • 発熱が高くなるなどの異常な発熱
  • 頻繁な咳が続く
  • 痰が変色し、血や膿が混じる
  • 食欲不振や水分摂取量の減少
  • 体の倦怠感や強いだるさ


急変した場合は、迅速な医療対応が必要です。

直ちに緊急医療サービス(救急車や医療機関)に連絡し、状況を伝えましょう。

症状の悪化や呼吸困難の程度によっては、早急に救急医療を受ける必要があります。

医療機関での診断や治療指示には必ず従いましょう。

医師や看護師からの指導に従い、必要な検査や治療を受けることが重要です。

また、家族や介護者に状況を連絡し、サポートを求めることも大切です。

周囲の支援を受けながら、適切な医療ケアを受けることができます。

症状の変化に敏感になり、適切な医療機関の支援を受けながら、早期に治療を開始することが大切です。

 

 

肺炎の治療について


肺炎

肺炎の治療は、感染の原因や病原体や、個々の状況によって治療方針が異なる場合があります。

医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。

細菌による肺炎の場合、抗生物質が一般的に使用されます。

適切な抗生物質は、感染症の原因となる細菌に対して効果的であり、症状の改善や感染の制御に役立ちます。

ただし、抗生物質の使用は医師の判断に基づきます。

適切な種類や投与量、治療期間を指示された通りに守りましょう。

熱や咳、胸の痛みなどの症状を軽減するため、解熱剤や咳止め薬などが処方される場合があります。

これらの薬は症状の緩和を図るものであり、根本的な治療ではありません。

しかし、快適な状態で治癒に向かうために役立ちます。

重症の肺炎や呼吸困難のある患者には、酸素療法が必要な場合があります。

酸素供給によって体内の酸素濃度を補充し、呼吸機能の改善や組織の酸素化を促します。

重症の肺炎や合併症がある場合、入院治療が必要となることがあります。

入院治療では、経口または静脈投与による抗生物質の投与や酸素療法、モニタリング、症状管理などが行われます。

また、治療中も感染の広がりを防ぐために、予防策の徹底が重要です。

前述しましたが、手洗いや咳エチケットの実施、適切な感染対策の指導を受け、自身と周囲の家族や介護者の感染リスクを最小限に抑えるための配慮も必要です。

肺炎の治療後は、経過観察とフォローアップも重要になります。

治療の効果や症状の改善を確認し、必要に応じて追加の検査や治療を行います。

また、リハビリテーションや予防接種などの措置も検討される場合があります。

充分な休養や健康管理も必要です。

栄養バランスの良い食事、十分な水分摂取、適度な運動、充足な睡眠などが肺炎の回復と免疫力の向上に役立ちます。

 

 

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科・在宅クリニックは、肺炎の患者さんへの適切な対応を行っています。

当クリニックでは、病状が安定している患者さんに対して在宅医療を行っています。

医師がご自宅へ訪問し、診察や治療、薬物療法の管理を行います。

患者様がご自宅で治療を受けながら、ご家族様のサポートのもとで快適な環境で過ごすことができます。

肺炎の患者さんの症状管理に重点を置いています。

痛みや呼吸困難の緩和を図るために、適切な薬物療法や酸素療法を行います。

患者さんや家族への情報提供やサポートも行っているため、不安や疑問などあればお気軽にご相談ください。

患者様と家族の様の気持ちを理解し、個別に適した治療方針を提供することで、肺炎の治療を行っていきます。

 

 

まとめ


肺炎は、肺組織の感染や炎症を引き起こす疾患であり、重篤な合併症や死亡リスクがあるため、早期の対応が重要です。

高齢者は免疫力の低下や基礎疾患の存在などから肺炎になりやすく、注意が必要です。

症状は発熱や咳、胸痛などで現れます。

特に高齢者では「いつもより元気がない」「いつもより口数が少ない」といった変化にも注意が必要です。

肺炎の治療には抗生物質や酸素療法が一般的であり、適切なケアと経過観察が重要です。

【参考文献】

‣「高齢者の肺炎に関するガイドライン」 日本呼吸器学会

‣「肺炎の診断と治療に関するガイドライン」日本感染症学会

‣「高齢者の肺炎予防と対策に関する報告書」厚生労働省

‣「Atypical Pneumonia in the Elderly: Diagnosis and Management」American Family Physician

‣「Pneumonia in the Elderly: A Review of Diagnostic, Therapeutic, and Preventive Interventions」American Journal of Med関連記事:

過食嘔吐になる原因|顔がむくんでしまう理由や治療方法を解説

過食嘔吐

食べ過ぎて吐いてしまったと言う経験はありますか?

 

本日のテーマである「過食嘔吐」と言うのは、「大好きな食べ物を意図せず食べ過ぎてしまい、その結果吐いてしまった」ということではありません

 

頭の中が食べることに支配されてしまうため、食べることを自分では止められない状態になってしまい、また食べた後には体重が増えることが怖くなって、自ら嘔吐してしまう一連の行動を指します。

 

精神医学では摂食障害と呼ばれ、特に若い女性に多く見られる疾患です。

 

特に過食嘔吐によって、体重がどんどん減ってしまう場合、徐々に体調を崩し、最終的に死亡する場合もあるため、決して油断することはできません。

 

今回は、そんな過食嘔吐について原因や、症状、繰り返すことの危険性などについて詳しく解説していきます。

 

過食嘔吐になる疾患とその原因

過食すること、嘔吐することは、食べ物の本来の扱い方ではありません。

 

これらの行為を食行動の異常と表現し、精神医学では摂食障害と言う疾患に当たります。

 

摂食障害は、拒食症と過食症の2つに大別されます。

 

拒食症であっても過食症であっても、過食嘔吐を伴う場合がありますし、拒食症から過食症へ移行する場合もあります。

拒食症とは?


過食嘔吐

拒食症の有病率は、研究により差が認められますが、思春期の女子の約0.5%から1%で発症すると推定されています。

 

少なくとも男性の10倍以上の割合で女性に多く発生することが確認されています。

 

拒食症の病因については、諸説が提示されていますが、確定的なものはなく、現時点では、特定の要因のみで発症するのではなく、生物学的、心理的、社会的な要因が複雑に絡んで発症すると考えられています。

 

また、摂食障害ではASDやADHDといった発達障害を合併しているケースも多く関連性が疑われています。

 

拒食症では、食事の量や回数を著しく制限し、太りやすい食物を避けます

 

極端なやせ願望と肥満恐怖があります。


また、精神科では「ボディーイメージの歪み」と表現されますが、実際はやせているのに太っていると感じてしまったり、少しでも体重が増えると際限なく増えると恐れてしまいます。

 

これには、自己評価に対する体重・体型の過剰な影響があります。

 

すなわち、自分の価値が体重によって与えられていると考えてしまい、体重が減ることが自信となる一方で、体重が増えることは自分の存在価値の喪失と考えてしまうのです

 

低体重の深刻さを否認し、活発に動きまわり、周囲が食事や休養を勧めても従いません。

 

上記特徴に加えて「期待される体重の85%以下の体重」かつ「無月経」の場合に拒食症と診断します。

 

徐々に栄養状態が悪化していく過程において、飢餓に耐えかねてむちゃ喰いを始め、その結果生じる体重増加を防ぐために自己誘発性の嘔吐をしたり、下剤・利尿剤・浣腸の乱用などの代償行動を行い習慣化する場合があります。

過食症とは?


過食嘔吐

過食症は、拒食症と同様に、男性よりも圧倒的に女性に多く発症する傾向にあります。

 

拒食症の発生と比較してみると、やや好発年齢は遅く、10代後半から20代前半に発症することが多いと推定されています。

 

過食症の原因も、生物学的、社会的、心理的要因が複合的に絡み合っていると考えられています。

 

 

過食嘔吐はなぜ女性に多い?


過食嘔吐

摂食障害患者の90~95%が女性と言われています。

 

さらに拒食症は思春期に、過食症は20歳前後に発症することが多く、若い女性に特徴的な疾患と言えます。

 

明らかな原因は分かっていませんが、瘦せていることが価値に繋がりやすい現代の風潮が背景にある印象を受けます。

 

様々な悩みを抱えやすい時期に、

 

  • 「痩せたら褒められた」
  • 「体重が減ることで達成感を得られた」

 

などをきっかけに、体重計の数字を自分自身の価値だと思ってしまうケースも見受けられます。

 

しかしながら、ダイエット経験者の皆が摂食障害に罹患するわけではありません

 

やはり原因は、生物学的、社会的、心理的要因が複合的に絡み合っていると思われます。

 

 

過食嘔吐で顔がむくんでしまう理由


過食嘔吐

過食嘔吐を繰り返していると起きてくる変化に、全身のむくみがあります。

 

特に顔は変化が分かりやすい部分なので、相談を受けることが多いです。

 

なぜ過食嘔吐を繰り返すと、徐々にむくむようになってしまうのでしょうか。

 

アフリカの子供たちが飢餓で苦しむ映像などを見たことがある方も多いと思います。

 

彼らのお腹をみると、ポコッと出ていて、

 

「何故食料に苦しんでいるのに、お腹が出ているんだろう」

 

と疑問に思ったことはありませんか?

 

確かに、日本の様に食事にある程度困らない生活が出来る国では、お腹が出ていると言うのは栄養過多である場合がほとんどです。

 

しかし、栄養が足りず、血液中のたんぱく質が少なくなると、血管の中に水分をとどめておくことができなくなります。

 

結果として、水分が体のいたるところに漏れていってしまいます。

 

お腹に漏れたのもを腹水と呼び、飢餓に苦しむ子たちは、腹水が溜まってしまったために、あのような体型をしているのです。

 

つまり、過食嘔吐により栄養状態が悪化すると、体は徐々に飢餓状態となり、むくみやすくなります

 

さらに、過食や嘔吐をすると、食べ物を咀嚼消化しようと唾液がたくさん分泌されます。

 

この唾液の過剰な分泌が続くと、耳や顎の後ろの耳下腺や顎下腺が、むくんで腫れ上がってしまいます。

 

結果として、特にあごや首の周りが腫れあがったように見えるようになります。

 

 

過食嘔吐でむくみ以外の症状


過食嘔吐

繰り返す過食嘔吐によって、最も傷つくのは「歯」です。

 

過食のために用いられる食材は、パンやおにぎり、お菓子といった糖分を多く含むものが多く、糖分の過剰摂取によって、虫歯が非常に発生しやすくなります

 

また、胃酸はとても強い酸であるため、容易に歯を溶かしてしまいます

 

嘔吐時の胃酸や嘔吐物、さらには過食の際に口にした酸性の食べ物などが原因で歯が溶けてしまう病気を「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼びます。

 

その他にも、歯周病や知覚過敏にもなりやすく、過食や嘔吐を繰り返すことは、口腔内の環境を破壊し、歯に重大な影響を与えてしまいます

 

摂食障害ポータルサイトより、「もしも嘔吐をしてしまったら」の対応を引用致しました。

 

是非参考にしていただけたらと思います。

◎嘔吐直後の歯磨きは避けましょう

◎嘔吐直後は酸を含まない液体(水など)で口をすすぎましょう

◎嘔吐後に1時間以上たってから、フッ素を含み、知覚過敏を和らげる歯磨き粉で、1日2~3回、歯と歯肉をブラッシングしましょう。

◎酸性の飲み物(フルーツジュース、炭酸飲料など)を減らしましょう。

特に、就寝直前にとるのはやめましょう。

酸性の飲み物を飲むときはストローを使用して飲みましょう。

◎砂糖を含まないガムを噛みましょう。

◎定期的に歯科を受診しましょう(少なくとも年2回)

 

 

過食嘔吐によるむくみを解消する方法


過食嘔吐

過食嘔吐によって生じたむくみを解消する方法は、やはり過食嘔吐の回数や頻度を少しでも減らしていくことになります。

 

しかし、疾患の特徴上なかなか簡単ではありません。

 

アルコール依存症の方にお酒を控えろ、自傷行為をしている方に、リストカットや大量服薬を控えろと言っても難しいのと似ているところがあります。

 

過食嘔吐をする理由に、もちろんストレスなどの心理的な負担と言う側面はあるのですが、近年では「質的な栄養失調」と言った概念も精神科では広まりつつあります

 

体重は平均的であったとしても、鉄分やたんぱく質といった栄養素が足りず、体がエネルギー不足となり、すぐにエネルギーとして利用できる糖分を過度に求めてしまうというものです。

 

受診される患者さんに対して血液検査を行うと、それらが不足しており、鉄分の補充や、高たんぱくの食事指導(特にプロテインの飲用)などを勧めると、過食症状が緩和することがあります

 

もちろん、たんぱく質の不足がむくみの原因となりますから、過食が減ることやたんぱく質が増えることは、むくみの改善につながります。

 

 

過食嘔吐を繰り返すことの危険性


過食嘔吐

過食嘔吐を伴う摂食障害の予後をみてみましょう。

 

まず、過食症(過食嘔吐はするものの、体重は標準体重にとどまっている)の場合は、

 

5~10年間で約半数が回復している一方で、30%の方は一時的に良くなるも再発するが、20%の方は症状が変わらなかった

 

という報告があります。

 

また、0.3%で死亡例も見られます

 

さらに拒食症(過食嘔吐をしながら、どんとん低体重になる)の場合はより深刻となり、回復するのが約3割程度、また死亡率も同様に3割にのぼると言う報告まであります。

 

いずれにせよ、摂食障害は看過できないとても重大な疾患と言えます。

 

 

過食嘔吐をやめたい方へ


過食嘔吐

過食嘔吐をやめられない方を含め、摂食障害全般を診療していると、

 

  • 「好きな人に太っていると言われた」
  • 「ダイエットで自信をつけたかった」

 

など、きっかけは特別なものでないことも多く、若い女性にとっては身近な病気と言えます。

 

「ちょっとくらいの食べ吐きなら、みんなやっているから大丈夫」と、過小評価する人も散見されます。

 

しかしながら、摂食障害は平成27年までは、国から難病に指定され、今でも長期間の治療を必要としている方は大勢おられます

 

自分で過食嘔吐をやめられずに悩んでいる方は、できるだけ早めに最寄りの病院へ受診することをお勧めします。

 

 

西春内科在宅クリニックができる対応

摂食障害の診療は、基本的には精神科が中心になって行いますが、過食嘔吐によって体重が著しく減少してしまうと、体にも様々な変化を来します。

 

重症化すればするほど、内科の医師と連携して治療を行うことが多い疾患です。

 

西春内科在宅クリニックでは、十分な知識を持った内科医が、過食嘔吐によって生じた体の異変や不調に対して適切に対応します。

 

また、必要に応じて精神科や歯科との連携を行います。

 

精神科へいきなり通院はしづらいという場合も、まずはお気軽にご相談いただけたらと思います。

 

 

まとめ

摂食障害は若い女性にとっては大変身近な疾患である一方で、亡くなる可能性もあるとても恐ろしい疾患です。

 

摂食障害に限らず全ての疾患について言えることですが、早期に治療する方が改善も良好であるケースが多いとされます。

 

過食嘔吐で悩んでいるが、なかなか周囲に相談できないと言う方も多いと思いますが、是非一度最寄りの医療機関に相談してみて下さい


また、若くて体力があるうちは、過食嘔吐による体力の消耗や、歯や食道といった臓器への負担に耐えられても、長期化し年齢を重ねると確実に身体的には危険な状態となります。

 

ダイエット自体は健康増進のために否定されるべきではありませんが、そのために嘔吐をする、下剤などを使うといった行為は行わないようにしましょう

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参考文献

摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 
摂食障害と歯 | 摂食障害について | 摂食障害情報 ポータルサイト(一般の方)
食べることを止められない!過食症(過食・過食嘔吐)とは?

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