西春内科・在宅クリニック

ブログ

咳止め市販薬おすすめランキング|選び方や服用の注意点などを解説

咳止め 市販薬

 

咳が続くと体力を消耗し、日常生活に支障をきたしてしまうことも…

 

そんな時、市販の咳止め薬は手軽に購入でき、早めに症状を緩和するのに役立ちます。

 

ここでは、特に人気のある咳止め薬をランキング形式でご紹介!

 

併せて副作用や注意点も解説しているのでぜひ参考にしてください。




咳止め市販薬おすすめランキング

 

1位 アネトン 咳止め錠

 

咳止め

 

アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン作用により、アレルギー性の咳や風邪による咳を効果的に和らげます。

 

錠剤タイプなので、外出先でも簡単に服用できるのも魅力です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 乾いた咳が続く方
  • アレルギーや風邪による咳に悩む方
  • 手軽に服用できる錠剤を探している方

 

2位 パブロンS 咳止め

 

咳止め

 

咳と喉の痛みを同時に和らげる総合的な咳止め薬です。

 

抗炎症成分が含まれているため、炎症が原因の咳や喉の違和感にも効果があります。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 咳と喉の痛みがある方
  • 喉の炎症を抑えたい方
  • パッケージがコンパクトな薬を探している方

 

3位 トニン 咳止めサット

 

咳止め

 

トニンは漢方成分をベースにした咳止め薬で、自然由来の成分が優しく効きます。

 

喉や肺の通り道を広げて痰を出しやすくするため、痰の絡む咳に効果的です。

 

また、胃への負担が少ないのも特徴で、漢方薬を好む方にも適しています。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 痰が絡む咳が続く
  • 漢方薬を好む方
  • 胃に優しい咳止めを探している方

 

4位 クールワン 去痰ソフトカプセルRN

 

咳止め


クールワンは、痰を出しやすくし、咳を緩和するソフトカプセル型の薬です。

 

風邪や気管支炎による痰が出るタイプの咳に効果的で、即効性があります。

 

飲みやすいソフトカプセルで、吸収が早いのも魅力です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 痰が絡む咳でお悩みの方
  • 飲みやすいカプセル型の薬をお探し方
  • 早く効く咳止めが欲しい方

 

5位 新コンタック 咳止めW 持続性カプセル

 

咳止め

 

新コンタックは、1回の服用で12時間効果が持続するため、夜中の咳や忙しい日中の咳にも適しています。

 

持続性カプセルなので、日中に何度も薬を飲む手間がかからないのもポイントです。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 長時間続く咳が気になる方
  • 夜間の咳を抑えたい方
  • 忙しくて薬をこまめに飲むのが難しい方

 

これらの市販薬はそれぞれ異なる特長があるため、自分の咳のタイプに合わせて選ぶことが大切です。

 

市販薬で止めないほうがいい咳と止めていい咳がある

 

咳止め 市販薬

 

止めないほうがいい湿性咳嗽

 

湿性咳嗽(しっせいがいそう)とは、痰を伴う湿った咳のことです。

 

痰や鼻水は、ウィルスや細菌などを体外に排出しようとする身体の反応です。

 

そのため、薬などで無理に止めてしまうと、症状が長引いたり悪化することがあります。

 

湿性咳嗽の場合は咳止めではなく去痰薬(痰を出しやすくする薬)を使用するようにしましょう。

 

止めてもいい乾性咳嗽

 

乾性咳嗽(かんせいがいそう)は、痰を伴わない乾いた咳です。

 

からからした咳で、むせるような感覚を伴うのが特徴的です。

 

以下のような原因で喉に炎症や刺激が起き、咳が出ます。

 

  • 気道が過敏になっている(風邪の後など)
  • ストレスや疲労
  • アレルギー反応(花粉症など)
  • 乾燥
  • 寒冷による刺激

 

このような乾性の咳に対しては、咳を抑制する薬の使用が効果的です。

 

ただし、咳が2週間以上続く場合や、徐々に症状が悪化する場合は、重大な病気の可能性もあるため、必ず病院での検査を受けましょう。




市販の咳止め薬の選び方

 

咳止め 市販薬

 

咳のタイプで選ぶ

 

湿性咳嗽と乾性咳嗽の原因に合わせた治療成分を選ぶことが重要です。

 

湿性咳嗽は痰が原因なので、痰を出しやすくする薬を選びましょう。

 

  • カルボシステイン(痰をサラサラにする)
  • アンブロキソール(痰を出しやすくする)
  • ブロムヘキシン(気道の粘液を薄める)

 

これらの成分は、痰を薄めたり、気道から排出しやすくしたりする働きがあります。

 

一方、乾性咳嗽の場合は、咳そのものを止める薬を選びましょう。

 

  • デキストロメトルファン(咳を抑える)
  • ジメモルファン(咳の発作を防ぐ)
  • チペピジン(咳の刺激を和らげる)

 

これらの成分は、脳の咳中枢に働きかけて咳を抑制します。

 

喉に痛みがある場合は、鎮痛成分が含まれているものがおすすめです。

 

服用回数で選ぶ

 

服用回数は、薬の効果の持続時間と密接に関係しています。

 

また、ご自身の生活リズムに合った服用回数を選ぶことで、確実な服薬管理が可能です。

 

1日1回タイプ

朝一度の服用で24時間効果が持続するタイプです。

朝に服用するだけで良いため、日中の服用を忘れる心配がなく、仕事や学校で忙しい方に特に適しています。

ただし、症状の強さに応じた細かな調整が難しいという特徴があります。

 

1日2回タイプ

朝晩の服用で効果が持続します。

12時間程度の間隔を空けて服用することで、安定した効果を得ることが可能です。

規則正しい生活を送っている方や、1日を通して一定の効果を必要とする方に向いています。

 

1日3回タイプ

より細やかな症状コントロールが可能です。
食後のタイミングで服用することで、記憶に定着しやすく、服用時間を忘れにくいというメリットがあります。
ただし、日中の活動の合間に服用する必要があるため、管理が難しい場合もあります。

 

副作用の出にくさで選ぶ

 

咳止め薬を選ぶ際、最も気をつけたい副作用は眠気です。

 

抗ヒスタミン成分を含む薬は、咳を抑える効果が高い反面、眠気を伴うことがあります。

 

そのため、日中と夜間で薬を使い分けることをお勧めします。

 

日中の仕事や運転をされる方は、エフェドリン類などの眠気の少ない成分を含む薬を選びましょう。

 

妊娠中・授乳中の薬の選び方

 

妊娠中や授乳中の薬選びは、慎重に行う必要があります。

 

妊娠初期の4週から3か月は、赤ちゃんの臓器や機能が形作られる極めて繊細な時期です。

 

この期間は薬の影響を受けやすいため、特に注意が必要です。

 

授乳中は、薬の成分が母乳を通じて赤ちゃんに伝わる可能性があります。

 

そのため、産婦人科医や薬剤師といった専門家に相談し、赤ちゃんへの影響を最小限に抑える最適な薬を選ぶことが大切です。

 

咳止め市販薬の注意点は?副作用はある?

 

市販薬 咳止め

 

成分を確認する

 

薬の成分を確認することで、アレルギー反応や副作用を未然に防ぐことができます。

 

以下の点を、成分表を見て必ず確認しましょう。

 

  • アレルギー歴のある成分の確認
  • 普段服用している薬との相互作用
  • 同じ成分の重複を避ける

 

成分表を見てもわからない場合は、店頭の登録販売者か薬剤師に相談するのがおすすめです。

 

用法用量を守る

 

市販の咳止めに記載されている用法用量を超えての服用は危険です。

 

以下の点に注意して服用しましょう。

 

  • 1回量と1日服用回数の厳守
  • 効果を実感できなくても増量しない
  • 小児は年齢・体重に合わせた用量を守る

 

小児に対する投与量に関して記載のない場合は、小児に服用はしないでください。

 

薬の過剰摂取は、依存症や臓器障害、薬の効果低下などの深刻なリスクを招きます。

 

コデイン系の薬は小児に服用させない

 

コデイン系の薬は以下の理由から、12歳未満の小児への使用は禁止されています。

 

  • 重篤な呼吸抑制のリスクが高まる
  • 代謝能力の個人差が大きい
  • 海外では死亡例がある

 

2019年に厚生労働省が、コデイン系の薬を小児への服用を禁忌とすることを決定しました。

 

このため、12歳未満の小児へ投与してはいけません。

 

併用できない薬がある

 

咳止めの薬は以下の薬と併用できない場合があります。

 

  • かぜ薬、アレルギー薬(同じ成分を含むことが多い)
  • 他の咳止め薬や鎮咳成分入りの薬
  • 睡眠薬やアルコール

 

これらの薬の中には咳止めと有効成分がの作用が重複する可能性が高いです。

 

そのため、併用すると有効成分の過剰摂取となり、副作用が強く出ることがあるので注意が必要です。

 

副作用

 

副作用として、以下のような症状が現れた場合は、すぐに薬を中止してください。

 

  • 眠気
  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 便秘
  • 尿が出にくくなる
  • 口が乾く
  • 発疹や痒み
  • 強いめまい
  • 呼吸困難

 

そして発疹や痒み、強いめまい、呼吸困難といった症状が現れた場合は、すぐに病院へ受診しましょう。

 

特に以下の方は副作用が出やすいので、注意が必要です。

 

  • アレルギーがある人
  • 腎臓・肝臓などに疾患がある
  • 小児やお年寄り
  • 薬を分解、排泄する力の弱い




咳が長引く場合はどうする?病院受診のタイミング

 

市販薬 咳止め

 

まず、咳が2週間以上続く場合は病院へ受診しましょう。

 

咳喘息や肺炎など、重い病気が隠れている可能性が高いです。

 

市販の咳止めはあくまでも症状を抑えているに過ぎません。

 

根本的な原因を治療しなければいけないため、病院を受診しましょう。

 

西春内科・在宅クリニックでできること

 

西春内科・在宅クリニックでは、咳や呼吸器に関する症状に対応しており、必要に応じて検査や処方を提供します。

 

肺のレントゲンやインフルエンザ、新型コロナウイルスの検査も可能です。

 



まとめ

 

薬局でどの薬がいいのか迷ったら、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

 

症状や悩みを正直に伝え、適切な薬を一緒に選んでください。

 

もちろん当クリニックでも相談を受け付けています。

 

薬選びで注意すべきポイントはこちらです。

 

  • 同一成分の薬の重複服用を避ける
  • 正しい服用方法、効果持続時間を確認する

 

ただし薬は病気を根本から治すものではなく、症状を和らげるツールです。

 

長引く咳は大きな病気が隠れている可能性を心に留めて、病院受診も検討してください。

 

参考文献

市販の咳止め薬は使ってもいいの? 咳の種類によって使い分けたい医薬品|スマートドック | 健康コラム

【薬剤師が解説】咳が続く方に!気管支炎におすすめの市販薬6選 – EPARKくすりの窓口コラム

【医師監修】咳止めに効果のある市販薬の選び方! 服用方法・注意点なども併せて紹介|セイムスコラム

市販の咳止めでは治らない咳、 長引く咳は医療機関で受診を|ドクターズ・ファイル

高齢者がなりやすい肺炎の症状|急変したときの対応や治療について

肺炎

肺炎とは、呼吸器系の疾患の1つです。


一般的には肺組織の感染や炎症を指します。

私たちが日常的に行っている呼吸活動は、酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するという重要な働きを担っています。

肺炎はこの呼吸機能を妨げる病気です。

肺炎の主な原因は細菌やウイルス、真菌などの病原体です。

これらの病原体が呼吸器に感染し、炎症が起こることで肺組織が傷つきます。

その結果、肺の気腫(気を溜める袋)や肺胞(酸素と二酸化炭素の交換を行う小さな袋)などが炎症によって充血し、液体や痰がたまることがあります。

高齢者は免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから、肺炎にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。

また、高齢者の場合、症状がほかの病気と重なることもあり、早期の診断や適切な治療が重要となります。

今回は、肺炎になる原因や、症状、風邪との違いについて解説していきます。

健康を守るために、肺炎に関する正しい知識を身につけましょう。

 

関連記事:麻疹(はしか)とは何か?

 

 

肺炎になる原因とは

 

肺炎

肺炎になる原因はさまざまです。

肺炎を引き起こす主な原因を順に解説していきます。

細菌感染


細菌による感染が最も一般的です。

肺に侵入した細菌が炎症を引き起こし、肺組織にダメージを与えます。

主な細菌感染の原因以下などが挙げられます。

  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ菌
  • クレブシエラ

 

ウイルス感染


ウイルスによる感染も肺炎の原因となります。

特にインフルエンザウイルスやRSウイルスなどが一般的です。

ウイルスは肺組織に感染し、炎症や細胞の破壊を引き起こすことがあります。

真菌感染


真菌による感染は比較的まれですが、免疫機能の低下した高齢者や免疫抑制を受けている患者にとっては重要な要素です。

カンジダやアスペルギルスなどが主な真菌感染の原因として挙げられます。

院内感染


病院や介護施設などの医療機関内での感染も肺炎の原因となります。

院内感染は、免疫力の低下した高齢者や重篤な基礎疾患を持つ患者にとって特に危険です。

気管挿管や人工呼吸器の使用など、医療行為によってリスクが高まります。

誤嚥性肺炎


食道からの逆流やのみこんだ食べ物や飲み物が気管に入ること(誤嚥)によって、口腔内や胃から細菌が気道に入り、肺炎を引き起こすことがあります。

高齢者やのみ込み(嚥下)機能が低下している人、意識障害のある患者にとってリスクが高まります。

これらが、必ずしもすべての肺炎がこれらの要因によって引き起こされるわけではありません。

他にも、喫煙や慢性呼吸器疾患、免疫力の低下、高齢などの要素が肺炎のリスクを高める可能性があります。

高齢者は、免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから感染症に対する免疫力が低下しています。

また、高齢者は呼吸器系の筋力や気道の構造の変化が起こることがあり、咳や痰の排出が困難になる傾向があります。

これによって肺炎の発症リスクが増加します。

また、喫煙は肺の防御機能を低下させるため、肺炎にかかりやすくなる要因とされています。

喫煙者は喫煙によって気道が刺激され、粘液や痰の産生が増えるため、細菌やウイルスが付着しやすくなります。

さらに、慢性呼吸器疾患(COPDや喘息など)を持つ患者も肺炎のリスクが高まります。

慢性呼吸器疾患は肺の機能が低下し、気道の炎症が続くことで感染が容易に起こりやすくなるためです。

最後に、免疫力の低下や基礎疾患以外の要素として、高齢に伴う身体の衰えや抵抗力の低下も肺炎の発症に関与します。

高齢者は一般的に身体機能の低下や慢性疾患の合併症が多く、これらが肺炎を引き起こす要因となります。

肺炎の予防と早期発見は重要です。

 

関連記事:高齢者の便秘は危険?主な原因や解消方法、病院での治療を解説

 

 

肺炎の症状について


肺炎

肺炎による一般的な症状は以下のようなものがあります。

発熱


肺炎によって体温が上昇し、発熱が現れることがあります。

一般的には38度以上の発熱が見られます。

咳と痰


咳が主な症状であり、最初は乾いた咳から始まり、次第に痰(たん)が絡んだ咳に変化することがあります。

痰は黄色や緑色を帯びることがあります。

呼吸困難


肺炎によって肺の炎症が起こると、呼吸困難が現れることがあります。

呼吸が浅くなったり、息苦しさを感じることがあります。

胸痛


肺炎による胸痛は、病原体や炎症によって引き起こされることがあります。

痛みは一側に限定されることが多く、深呼吸や咳をすると増悪することがあります。

全身症状


肺炎は全身に影響を及ぼすことがあります。

以下などの全身症状が現れることがあります。

 

  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 筋肉の痛み
  • 関節の痛み



高齢者は症状がぼんやりしていたり、一般的な症状が現れなかったりする場合があります。

また、発熱がない場合でも肺炎を発症することがありますので、異常な体調の変化には注意が必要です。

肺炎の症状が現れた場合は、早期に医師の診察を受けることが重要です。

医師は症状や身体検査、必要に応じて画像検査や血液検査などを行い、肺炎の診断を確定します。

 

 

高齢者が肺炎になりやすい理由


肺炎

以下の項目に当てはまるものがある場合は、早急に医療機関を受診することが必要です。

【高齢者の肺炎の疑いがあるチェックリストの一部】

気力や活動量の変化

 

  • いつもより元気がない
  • 活動量が減少している
  • 体力や体調がいつもと比べて低下している
  • 食欲や摂食の変化
  • 食欲が減退している
  • 食事量が減っている
  • 嚥下(飲み込むこと)に困難がある

言葉やコミュニケーションの変化

 

  • 口数が少なくなった
  • 話す速度が遅くなった
  • 混乱や理解力の低下が見られる

呼吸に関する症状

 

  • 呼吸が浅くなっている
  • 息苦しさや苦しみを感じる
  • 呼吸時に咳やゼーゼー音がする


上記の特徴が見られた場合、肺炎の可能性があることを指し示します。

正確な診断は医療専門家による評価が必要です。

早期に医療機関を受診し、医師の診断を受けることが重要です。

また、高齢者の肺炎の症状は個人によって異なる場合があります。

症状が気になる場合は医療専門家に相談することをおすすめします。

 

関連記事:高齢者に多い誤嚥性肺炎は治るのか|急変したときの対応法について

 

 

肺炎と風邪の違い


肺炎

高齢者の場合、肺炎と風邪の症状は類似していることがあります。

しかし、実際には異なる点があります。

肺炎と風邪の違いについて以下で解説していきます。

高齢者の肺炎と風邪の違い

 

 

肺炎

風邪
重症度高齢者の場合、肺炎は重篤な病状を引き起こす可能性があります。
発熱、呼吸困難、混乱などの症状が強く出現することがあります。
一般的な風邪の症状は比較的軽度であり、発熱や鼻水、咳などが主な症状として現れます。
発症速度肺炎の症状は急速に進行することがあります。特に高齢者の場合、数日のうちに重篤な状態に進展することがあります。風邪の症状は徐々に現れ、通常数日から1週間で回復する傾向があります。
呼吸症状肺炎では呼吸困難や息苦しさがより強く現れます。
深呼吸が困難であったり、呼吸時に咳やゼーゼー音が聞こえることがあります。
風邪の場合、呼吸困難や息苦しさは軽度で、通常は鼻づまりや鼻水が主な呼吸器系の症状として現れます。
全身的症状肺炎では全身的な症状が現れることがあります。
倦怠感、食欲不振、体力の低下、意識の混乱などが見られることがあります。
風邪の場合、全身的な症状は比較的軽度で、倦怠感や食欲不振などが一時的に現れることがあります。

 

肺炎と風邪は、症状や進行の速さなどの違いがありますが、両方とも呼吸器系の感染症です。

高齢者の場合、免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから、肺炎に罹患しやすくなります。

肺炎と風邪を区別するためには、症状だけでなく医療専門家の診断が必要です。

高齢者の場合、肺炎の早期発見と治療は非常に重要です。

症状が気になる場合は、適切な医療機関への受診をおすすめします。

 

関連記事:麻疹(はしか)とは何か?

 

 

肺炎を放置する危険性


肺炎

肺炎を放置すると重篤な合併症や命に関わるリスクが存在します。

肺炎を放置する危険性について以下で詳しく解説していきます。

感染の悪化


肺炎は通常、細菌やウイルスによる感染が原因で起こります。

放置すると感染が進行し、肺の状態が悪化する可能性があります。

感染が進むと、肺胞や肺組織に炎症が広がり、呼吸機能の低下や酸素不足が生じることがあります。

合併症のリスク


肺炎を放置すると、さまざまな合併症が生じる可能性があります。

例えば、以下などが起こる可能性があります。

  • 肺膿瘍:肺組織内の膿のたまり
  • 気胸:肺が気体で満たされる状態
  • 敗血症:全身的な感染症

これらの合併症は重篤で命に関わる場合もあります。

呼吸不全や循環不全


肺炎が放置されると、呼吸機能や酸素供給が低下し、重度の呼吸不全が起こる可能性があります。

また、肺炎が体内の血液循環に影響を及ぼし、循環不全や心不全の発症リスクが高まることもあります。

高齢者のリスク増加


高齢者は免疫機能の低下や基礎疾患の存在などから、肺炎に罹患しやすくなります。

高齢者の場合、肺炎を放置すると重症化しやすく、回復に時間がかかることがあります。

肺炎は早期に診断され、適切な治療が行われることが重要です。

疑わしい症状がある場合は、医師に相談し、適切な検査や治療を受けることが必要です。

放置すると合併症や重篤な状態に進行する可能性が高めます。

そのため、早めの対応が命を守る上で重要になります。

 

関連記事:健康寿命を伸ばすためのポイントや気をつけるべき病気や疾患とは

 

 

肺炎はうつる可能性があるのか?


肺炎

肺炎は感染症であるため、一部の肺炎は他の人にうつる可能性があります。

具体的には、細菌やウイルスによる感染が原因の肺炎が他人にうつる可能性があります。

細菌性肺炎は、主に空気中の飛沫や近距離での咳やくしゃみによって感染が広がります。

感染した人が咳をすると、微小な飛沫が放出され、周囲の人がそれを吸い込むことで感染のリスクが生じます。

また、唾液や鼻水、くしゃみの飛沫を介しても感染が広がることがあります。

飛沫が飛んだ物品や手に触れた後、口や鼻を触ることで細菌が体内に入り、感染が起こる可能性があります。

ウイルス性肺炎も、主に飛沫感染や接触感染によって広がります。

感染した人がくしゃみや咳をすると、ウイルスが含まれる飛沫が放出され、周囲の人がそれを吸い込むことで感染が広がります。

接触感染では、感染した人が触れた物品や表面にウイルスが付着している場合、他の人がそれに触れた手や指で、口や鼻に触れることで感染が広がる可能性があります。

肺炎のうつり方や感染リスクは、具体的な原因と病原体によって異なる場合があります。

感染を予防するためには、以下の予防策が重要です。

  • 手洗いやアルコールでの手指消毒を頻繁に行う。
  • 咳やくしゃみの際には口や鼻をティッシュや袖で覆う。
  • 人混みや密集場所を避け、適切な換気を確保する。
  • 病気の症状がある場合は、他の人との接触を避ける。

肺炎の感染リスクを最小限に抑えるためには、予防策の実施が重要です。

また、感染した場合は早期の診断と適切な治療を受けることも大切になります。

肺炎に感染した場合、感染源となる細菌やウイルスを排出する期間があります。

そのため、感染者は他の人に感染させるリスクがあるため、十分な注意が必要です。

特に高齢者や免疫力の低下した人、基礎疾患を持つ人は感染に対するリスクが高いため、十分な予防策の実施が求められます。

肺炎を予防するためには、以下のポイントに気をつけましょう。

基本的な感染対策の徹底


手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみの際に口や鼻を手で覆う)、適切な換気などの基本的な感染対策を実施しましょう。

予防接種の受ける


特定のウイルスや細菌による肺炎に対する予防接種があります。医師の指示に従って、予防接種を受けることで感染リスクを低減させることができます。

免疫力の向上


バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠などを心がけ、免疫力を高めましょう。また、喫煙や過度の飲酒は免疫力を低下させるため、控えることが重要です。

高リスクグループへの配慮


高齢者や基礎疾患を持つ人々は感染に対するリスクが高いため、自身の健康管理や感染対策に特に配慮しましょう。

また、喫煙や過度の飲酒は免疫力を低下させるため、控えることが重要です。

高齢者や基礎疾患を持つ人々は感染に対するリスクが高いため、自身の健康管理や感染対策に特に注意しましょう。

肺炎の感染リスクについては、具体的な原因や病原体によって異なる場合があります。

医師や専門家の指導に従い、個別の状況に応じた予防策を実施することが重要です。

また、肺炎に感染した場合は速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

早期の診断と治療は合併症や重篤化を防ぐ上で重要な要素となります。

 

 

肺炎が急変したときの対応


肺炎

肺炎の症状が急に悪化した場合、以下の症状に留意しましょう。

  • 呼吸困難や息切れの増加
  • 激しい胸の痛みや圧迫感
  • 意識の混乱や錯乱
  • 発熱が高くなるなどの異常な発熱
  • 頻繁な咳が続く
  • 痰が変色し、血や膿が混じる
  • 食欲不振や水分摂取量の減少
  • 体の倦怠感や強いだるさ


急変した場合は、迅速な医療対応が必要です。

直ちに緊急医療サービス(救急車や医療機関)に連絡し、状況を伝えましょう。

症状の悪化や呼吸困難の程度によっては、早急に救急医療を受ける必要があります。

医療機関での診断や治療指示には必ず従いましょう。

医師や看護師からの指導に従い、必要な検査や治療を受けることが重要です。

また、家族や介護者に状況を連絡し、サポートを求めることも大切です。

周囲の支援を受けながら、適切な医療ケアを受けることができます。

症状の変化に敏感になり、適切な医療機関の支援を受けながら、早期に治療を開始することが大切です。

 

 

肺炎の治療について


肺炎

肺炎の治療は、感染の原因や病原体や、個々の状況によって治療方針が異なる場合があります。

医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。

細菌による肺炎の場合、抗生物質が一般的に使用されます。

適切な抗生物質は、感染症の原因となる細菌に対して効果的であり、症状の改善や感染の制御に役立ちます。

ただし、抗生物質の使用は医師の判断に基づきます。

適切な種類や投与量、治療期間を指示された通りに守りましょう。

熱や咳、胸の痛みなどの症状を軽減するため、解熱剤や咳止め薬などが処方される場合があります。

これらの薬は症状の緩和を図るものであり、根本的な治療ではありません。

しかし、快適な状態で治癒に向かうために役立ちます。

重症の肺炎や呼吸困難のある患者には、酸素療法が必要な場合があります。

酸素供給によって体内の酸素濃度を補充し、呼吸機能の改善や組織の酸素化を促します。

重症の肺炎や合併症がある場合、入院治療が必要となることがあります。

入院治療では、経口または静脈投与による抗生物質の投与や酸素療法、モニタリング、症状管理などが行われます。

また、治療中も感染の広がりを防ぐために、予防策の徹底が重要です。

前述しましたが、手洗いや咳エチケットの実施、適切な感染対策の指導を受け、自身と周囲の家族や介護者の感染リスクを最小限に抑えるための配慮も必要です。

肺炎の治療後は、経過観察とフォローアップも重要になります。

治療の効果や症状の改善を確認し、必要に応じて追加の検査や治療を行います。

また、リハビリテーションや予防接種などの措置も検討される場合があります。

充分な休養や健康管理も必要です。

栄養バランスの良い食事、十分な水分摂取、適度な運動、充足な睡眠などが肺炎の回復と免疫力の向上に役立ちます。

 

 

西春内科在宅クリニックができる対応


西春内科・在宅クリニックは、肺炎の患者さんへの適切な対応を行っています。

当クリニックでは、病状が安定している患者さんに対して在宅医療を行っています。

医師がご自宅へ訪問し、診察や治療、薬物療法の管理を行います。

患者様がご自宅で治療を受けながら、ご家族様のサポートのもとで快適な環境で過ごすことができます。

肺炎の患者さんの症状管理に重点を置いています。

痛みや呼吸困難の緩和を図るために、適切な薬物療法や酸素療法を行います。

患者さんや家族への情報提供やサポートも行っているため、不安や疑問などあればお気軽にご相談ください。

患者様と家族の様の気持ちを理解し、個別に適した治療方針を提供することで、肺炎の治療を行っていきます。

 

 

まとめ


肺炎は、肺組織の感染や炎症を引き起こす疾患であり、重篤な合併症や死亡リスクがあるため、早期の対応が重要です。

高齢者は免疫力の低下や基礎疾患の存在などから肺炎になりやすく、注意が必要です。

症状は発熱や咳、胸痛などで現れます。

特に高齢者では「いつもより元気がない」「いつもより口数が少ない」といった変化にも注意が必要です。

肺炎の治療には抗生物質や酸素療法が一般的であり、適切なケアと経過観察が重要です。

【参考文献】

‣「高齢者の肺炎に関するガイドライン」 日本呼吸器学会

‣「肺炎の診断と治療に関するガイドライン」日本感染症学会

‣「高齢者の肺炎予防と対策に関する報告書」厚生労働省

‣「Atypical Pneumonia in the Elderly: Diagnosis and Management」American Family Physician

‣「Pneumonia in the Elderly: A Review of Diagnostic, Therapeutic, and Preventive Interventions」American Journal of Med関連記事:

過食嘔吐になる原因|顔がむくんでしまう理由や治療方法を解説

過食嘔吐

食べ過ぎて吐いてしまったと言う経験はありますか?

 

本日のテーマである「過食嘔吐」と言うのは、「大好きな食べ物を意図せず食べ過ぎてしまい、その結果吐いてしまった」ということではありません

 

頭の中が食べることに支配されてしまうため、食べることを自分では止められない状態になってしまい、また食べた後には体重が増えることが怖くなって、自ら嘔吐してしまう一連の行動を指します。

 

精神医学では摂食障害と呼ばれ、特に若い女性に多く見られる疾患です。

 

特に過食嘔吐によって、体重がどんどん減ってしまう場合、徐々に体調を崩し、最終的に死亡する場合もあるため、決して油断することはできません。

 

今回は、そんな過食嘔吐について原因や、症状、繰り返すことの危険性などについて詳しく解説していきます。

 

過食嘔吐になる疾患とその原因

過食すること、嘔吐することは、食べ物の本来の扱い方ではありません。

 

これらの行為を食行動の異常と表現し、精神医学では摂食障害と言う疾患に当たります。

 

摂食障害は、拒食症と過食症の2つに大別されます。

 

拒食症であっても過食症であっても、過食嘔吐を伴う場合がありますし、拒食症から過食症へ移行する場合もあります。

拒食症とは?


過食嘔吐

拒食症の有病率は、研究により差が認められますが、思春期の女子の約0.5%から1%で発症すると推定されています。

 

少なくとも男性の10倍以上の割合で女性に多く発生することが確認されています。

 

拒食症の病因については、諸説が提示されていますが、確定的なものはなく、現時点では、特定の要因のみで発症するのではなく、生物学的、心理的、社会的な要因が複雑に絡んで発症すると考えられています。

 

また、摂食障害ではASDやADHDといった発達障害を合併しているケースも多く関連性が疑われています。

 

拒食症では、食事の量や回数を著しく制限し、太りやすい食物を避けます

 

極端なやせ願望と肥満恐怖があります。


また、精神科では「ボディーイメージの歪み」と表現されますが、実際はやせているのに太っていると感じてしまったり、少しでも体重が増えると際限なく増えると恐れてしまいます。

 

これには、自己評価に対する体重・体型の過剰な影響があります。

 

すなわち、自分の価値が体重によって与えられていると考えてしまい、体重が減ることが自信となる一方で、体重が増えることは自分の存在価値の喪失と考えてしまうのです

 

低体重の深刻さを否認し、活発に動きまわり、周囲が食事や休養を勧めても従いません。

 

上記特徴に加えて「期待される体重の85%以下の体重」かつ「無月経」の場合に拒食症と診断します。

 

徐々に栄養状態が悪化していく過程において、飢餓に耐えかねてむちゃ喰いを始め、その結果生じる体重増加を防ぐために自己誘発性の嘔吐をしたり、下剤・利尿剤・浣腸の乱用などの代償行動を行い習慣化する場合があります。

過食症とは?


過食嘔吐

過食症は、拒食症と同様に、男性よりも圧倒的に女性に多く発症する傾向にあります。

 

拒食症の発生と比較してみると、やや好発年齢は遅く、10代後半から20代前半に発症することが多いと推定されています。

 

過食症の原因も、生物学的、社会的、心理的要因が複合的に絡み合っていると考えられています。

 

 

過食嘔吐はなぜ女性に多い?


過食嘔吐

摂食障害患者の90~95%が女性と言われています。

 

さらに拒食症は思春期に、過食症は20歳前後に発症することが多く、若い女性に特徴的な疾患と言えます。

 

明らかな原因は分かっていませんが、瘦せていることが価値に繋がりやすい現代の風潮が背景にある印象を受けます。

 

様々な悩みを抱えやすい時期に、

 

  • 「痩せたら褒められた」
  • 「体重が減ることで達成感を得られた」

 

などをきっかけに、体重計の数字を自分自身の価値だと思ってしまうケースも見受けられます。

 

しかしながら、ダイエット経験者の皆が摂食障害に罹患するわけではありません

 

やはり原因は、生物学的、社会的、心理的要因が複合的に絡み合っていると思われます。

 

 

過食嘔吐で顔がむくんでしまう理由


過食嘔吐

過食嘔吐を繰り返していると起きてくる変化に、全身のむくみがあります。

 

特に顔は変化が分かりやすい部分なので、相談を受けることが多いです。

 

なぜ過食嘔吐を繰り返すと、徐々にむくむようになってしまうのでしょうか。

 

アフリカの子供たちが飢餓で苦しむ映像などを見たことがある方も多いと思います。

 

彼らのお腹をみると、ポコッと出ていて、

 

「何故食料に苦しんでいるのに、お腹が出ているんだろう」

 

と疑問に思ったことはありませんか?

 

確かに、日本の様に食事にある程度困らない生活が出来る国では、お腹が出ていると言うのは栄養過多である場合がほとんどです。

 

しかし、栄養が足りず、血液中のたんぱく質が少なくなると、血管の中に水分をとどめておくことができなくなります。

 

結果として、水分が体のいたるところに漏れていってしまいます。

 

お腹に漏れたのもを腹水と呼び、飢餓に苦しむ子たちは、腹水が溜まってしまったために、あのような体型をしているのです。

 

つまり、過食嘔吐により栄養状態が悪化すると、体は徐々に飢餓状態となり、むくみやすくなります

 

さらに、過食や嘔吐をすると、食べ物を咀嚼消化しようと唾液がたくさん分泌されます。

 

この唾液の過剰な分泌が続くと、耳や顎の後ろの耳下腺や顎下腺が、むくんで腫れ上がってしまいます。

 

結果として、特にあごや首の周りが腫れあがったように見えるようになります。

 

 

過食嘔吐でむくみ以外の症状


過食嘔吐

繰り返す過食嘔吐によって、最も傷つくのは「歯」です。

 

過食のために用いられる食材は、パンやおにぎり、お菓子といった糖分を多く含むものが多く、糖分の過剰摂取によって、虫歯が非常に発生しやすくなります

 

また、胃酸はとても強い酸であるため、容易に歯を溶かしてしまいます

 

嘔吐時の胃酸や嘔吐物、さらには過食の際に口にした酸性の食べ物などが原因で歯が溶けてしまう病気を「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼びます。

 

その他にも、歯周病や知覚過敏にもなりやすく、過食や嘔吐を繰り返すことは、口腔内の環境を破壊し、歯に重大な影響を与えてしまいます

 

摂食障害ポータルサイトより、「もしも嘔吐をしてしまったら」の対応を引用致しました。

 

是非参考にしていただけたらと思います。

◎嘔吐直後の歯磨きは避けましょう

◎嘔吐直後は酸を含まない液体(水など)で口をすすぎましょう

◎嘔吐後に1時間以上たってから、フッ素を含み、知覚過敏を和らげる歯磨き粉で、1日2~3回、歯と歯肉をブラッシングしましょう。

◎酸性の飲み物(フルーツジュース、炭酸飲料など)を減らしましょう。

特に、就寝直前にとるのはやめましょう。

酸性の飲み物を飲むときはストローを使用して飲みましょう。

◎砂糖を含まないガムを噛みましょう。

◎定期的に歯科を受診しましょう(少なくとも年2回)

 

 

過食嘔吐によるむくみを解消する方法


過食嘔吐

過食嘔吐によって生じたむくみを解消する方法は、やはり過食嘔吐の回数や頻度を少しでも減らしていくことになります。

 

しかし、疾患の特徴上なかなか簡単ではありません。

 

アルコール依存症の方にお酒を控えろ、自傷行為をしている方に、リストカットや大量服薬を控えろと言っても難しいのと似ているところがあります。

 

過食嘔吐をする理由に、もちろんストレスなどの心理的な負担と言う側面はあるのですが、近年では「質的な栄養失調」と言った概念も精神科では広まりつつあります

 

体重は平均的であったとしても、鉄分やたんぱく質といった栄養素が足りず、体がエネルギー不足となり、すぐにエネルギーとして利用できる糖分を過度に求めてしまうというものです。

 

受診される患者さんに対して血液検査を行うと、それらが不足しており、鉄分の補充や、高たんぱくの食事指導(特にプロテインの飲用)などを勧めると、過食症状が緩和することがあります

 

もちろん、たんぱく質の不足がむくみの原因となりますから、過食が減ることやたんぱく質が増えることは、むくみの改善につながります。

 

 

過食嘔吐を繰り返すことの危険性


過食嘔吐

過食嘔吐を伴う摂食障害の予後をみてみましょう。

 

まず、過食症(過食嘔吐はするものの、体重は標準体重にとどまっている)の場合は、

 

5~10年間で約半数が回復している一方で、30%の方は一時的に良くなるも再発するが、20%の方は症状が変わらなかった

 

という報告があります。

 

また、0.3%で死亡例も見られます

 

さらに拒食症(過食嘔吐をしながら、どんとん低体重になる)の場合はより深刻となり、回復するのが約3割程度、また死亡率も同様に3割にのぼると言う報告まであります。

 

いずれにせよ、摂食障害は看過できないとても重大な疾患と言えます。

 

 

過食嘔吐をやめたい方へ


過食嘔吐

過食嘔吐をやめられない方を含め、摂食障害全般を診療していると、

 

  • 「好きな人に太っていると言われた」
  • 「ダイエットで自信をつけたかった」

 

など、きっかけは特別なものでないことも多く、若い女性にとっては身近な病気と言えます。

 

「ちょっとくらいの食べ吐きなら、みんなやっているから大丈夫」と、過小評価する人も散見されます。

 

しかしながら、摂食障害は平成27年までは、国から難病に指定され、今でも長期間の治療を必要としている方は大勢おられます

 

自分で過食嘔吐をやめられずに悩んでいる方は、できるだけ早めに最寄りの病院へ受診することをお勧めします。

 

 

西春内科在宅クリニックができる対応

摂食障害の診療は、基本的には精神科が中心になって行いますが、過食嘔吐によって体重が著しく減少してしまうと、体にも様々な変化を来します。

 

重症化すればするほど、内科の医師と連携して治療を行うことが多い疾患です。

 

西春内科在宅クリニックでは、十分な知識を持った内科医が、過食嘔吐によって生じた体の異変や不調に対して適切に対応します。

 

また、必要に応じて精神科や歯科との連携を行います。

 

精神科へいきなり通院はしづらいという場合も、まずはお気軽にご相談いただけたらと思います。

 

 

まとめ

摂食障害は若い女性にとっては大変身近な疾患である一方で、亡くなる可能性もあるとても恐ろしい疾患です。

 

摂食障害に限らず全ての疾患について言えることですが、早期に治療する方が改善も良好であるケースが多いとされます。

 

過食嘔吐で悩んでいるが、なかなか周囲に相談できないと言う方も多いと思いますが、是非一度最寄りの医療機関に相談してみて下さい


また、若くて体力があるうちは、過食嘔吐による体力の消耗や、歯や食道といった臓器への負担に耐えられても、長期化し年齢を重ねると確実に身体的には危険な状態となります。

 

ダイエット自体は健康増進のために否定されるべきではありませんが、そのために嘔吐をする、下剤などを使うといった行為は行わないようにしましょう

関連記事:虫垂炎の原因や症状について知りたい!治療や手術は?
関連記事:ストレス性胃腸炎は何日で治る?仕事は休むべき?


参考文献

摂食障害:神経性食欲不振症と神経性過食症 | e-ヘルスネット(厚生労働省) 
摂食障害と歯 | 摂食障害について | 摂食障害情報 ポータルサイト(一般の方)
食べることを止められない!過食症(過食・過食嘔吐)とは?

パーキンソン病になりやすい人の特徴とは|職業が関係ある?

パーキンソン病 
  • 身体を安静にしているときに起こる震え(安静時振戦)
  • 歩行や起立を含め、あらゆる動作が遅くなり、時間がかかる(動作緩慢)

などの症状が現れたことはありませんか?

これらは神経変性疾患であるパーキンソン病の代表的な症状です。

高齢者での発症が多く、発症初期は症状が軽微なこともあり、加齢によるものと判断して病院に受診しないことも少なくありません。

しかし、パーキンソン病が進行すると、歩きにくくなったり、転びやすくなったりするなど日常生活に大きな支障が出るようになります。

パーキンソン病は、リハビリテーションや薬物療法で症状がある程度改善することが多く、また指定難病の一つであり症状の程度によっては医療費助成制度の対象にもなります。

ここでは、どのような症状でパーキンソン病を疑うのか、パーキンソン病はどのような経過を辿るのかなどについて詳しくご紹介いたします。




パーキンソン病とは

 


パーキンソン病
1000人~550人に1人の割合で発症する疾患です。

中脳の一部である黒質のドパミン神経細胞(神経伝達物質としてドーパミンを放出する神経細胞)が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。

発症の原因は不明ですが、遺伝因子や環境因子の関与が重要とされており、10%弱は家族性であると推察されています。

また年齢とともに発症率が高くなり、高齢者人口の増加に従って患者数は増加しています。

症状は、

  • 安静時振戦(安静時には手が震えるが、コップを持つなど何か動作をするときには一時的に震えが止まる)
  • 動作緩慢(動作の開始や停止がしづらくなって、動作が遅くなったり、とっさの動作ができなくなったりする)
  • 自律神経症状(便秘や起立時などでの血圧低下)

などが代表的です。

その他にも嗅覚が落ちたり、寝相が悪くなったり、転びやすくなったりと様々な症状が出現します。

根治的な治療法はなく、経年的に症状が進行する病気で指定難病の一つになっています。

一方で症状を改善する薬に関してはたくさんの種類があります。

非薬物療法薬物療法の併用により発症初期には普通の人と変わらない生活ができることも多いです。

薬物療法の他にも、

  • 脳深部刺激療法(脳深部刺激療法とは、何らかの病変により、脳の一部が機能不全を起こしている患者の脳に適切な電気的または磁気的刺激を継続的に送りこむこと
  • レボドパカルビドパ経腸療法(パーキンソン病患者さんに対して、2016年より保険適応となった新しい療法)

などのデバイス治療という選択肢もあり、医療の発達に伴って治療の選択肢は複雑化しています。

それぞれの治療に利点、欠点があるため、疾患についてよく理解して治療を受けることが大切です。

 

関連記事:自律神経失調症とは?原因や症状、治療方法などについて解説

 

 

パーキンソン病の症状

 


パーキンソン病の症状には非運動症状と運動症状があります。

非運動症状のような症状が代表的です。

非運動症状

・便秘

・起立性低血圧(急にべ立ち上がったり、起き上がった時に血圧が低下し、軽い意識障害、いわゆる立ちくらみを起こすこと)などの自律神経障害

・睡眠障害

・幻視(他人には見えないものが見えるという症状)

・認知機能低下

・意欲低下

・うつ症状

 
パーキンソン病の代表的な運動症状は、安静時振戦、動作緩慢・無動、固縮、姿勢反射障害です。

多くは左右差があります。

それらの症状はパーキンソニズムと呼称されます。

では、パーキンソン病に特徴的なパーキンソニズムについて詳しく見ていきましょう。

 

安静時振戦


安静時にみられる4-5Hzのゆっくりとした振戦で、物をとる、コップを持つなどの動作を行っている時、手を前に出すなどの何かしらの姿勢をとっている時には振戦が止まることが多いです。

発症の比較的初期から症状が出現することが多く、左右差を伴うことが多いです。

動作緩慢・無動(動作が遅くなる、自発的な動作が乏しくなる症状)で、動作の開始に時間がかかるようになります。

動作緩慢・無動

・動きが小さくなったり遅くなったりする

・声が小さくなる

・字が小さくなる(小字症)

・細かい動作ができなくなる

・表情が乏しくなる(仮面様顔貌)

 
歩行にも大きな影響があり、以下の特徴的な歩行障害が出現します。

歩行への影響

・手の振りが小さくなる

・歩行が小刻みになる(小刻み歩行)

 

固縮


受動的に筋肉を進展した時に無意識に抵抗してしまう症状で、
力を抜いているつもりでも他動的に関節を進展・屈曲させようとした際に抵抗してしまいます。

受動的に筋肉を進展する際に抵抗が強くなったり弱くなったりすること(歯車現象)が特徴です。

しかし、持続的に抵抗がある場合もあります(鉛管様固縮)。

関節の疾患との鑑別方法は、以下の通りです。

  • 自発的に、もしくはゆっくりとであれば他動的に関節を進展・屈曲することができること
  • 進展時に痛みなどの症状を伴わないこと

 

姿勢反射障害


症状の進行とともに出現する症状です。

姿勢が崩れても姿勢を立て直すことが困難となり、時に倒れてしまう症状です。

突然引っ張られる、肩がぶつかるなど突然姿勢が崩れた時にはそのまま転んでしまう。

通常では1~2歩で姿勢を立て直せるところが、それができずに倒れそうになった方向に走り出してしまう(突進現象)という症状が出現します。

 

 パーキンソン病の初期症状


パーキンソン病の初期症状は、以下の通りです。

初期症状

・動作緩慢(日常動作がゆっくりとなること)

・巧緻運動障害(細かい動作が困難になること)

・嗅覚障害、REM睡眠行動異常(寝言を言ったり、寝相が悪くなったりすること)

・便秘

 
パーキンソン病が悪化すると、以下のような症状が現れます。

  • 次第に安静時振戦が出現する
  • 歩行時に手の振りが小さくなる
  • 歩行が小刻みになったり前傾姿勢になる

 これらの症状がある場合には、脳神経内科に受診して、検査を受けるようにしてください

 

 パーキンソン病の末期症状

 
パーキンソン病の末期症状は、歩行が困難となったり、嚥下障害となり誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったり日常生活が困難となります。

パーキンソン病が進行すると、薬の効果が不安定になったり(1日の中で薬の効果が不十分な時間と効果が強すぎて副作用が出る時間が混在する)します。

また、運動に関わる症状の他に認知機能の低下や幻視(視覚に関連した幻覚)、意欲低下などの非運動症状も出現、悪化することで、十分な薬物療法が困難となり、パーキンソニズムがより顕在化します。

また、歩行が困難となったり、嚥下障害が出現して誤嚥をしやすくなったり、幻視や認知機能低下から興奮しやすくなってしまったりと日常生活が困難になることもあります。

 

関連記事:介護が必要になる原因で多いフレイル(高齢による衰弱)とはどんな状態なのか?

 

 

パーキンソン病の原因


パーキンソン病の原因について現段階で詳しくは分かっていません。

パーキンソン病の多くは孤発性(家族には遺伝しない)に発症します。

しかし、5~10%程度で家族内発症があり、遺伝的素因と環境因子の双方の関与が重要であることが知られています。

パーキンソン病は中脳の一部である黒質の*1ドパミン神経細胞が比較的選択的に障害されることで発症する病気です。

参考>

*1 脳の中の黒質と呼ばれる場所にたくさんあるドパミンを作る神経細胞。ドパミンは、ドパミン神経細胞の中で作られて軸索の先端から細胞の外へと放出され、別の神経細胞に受け取られます。それにより、神経の信号が次の神経へと伝えられます。


病理学的な評価では障害された神経細胞で*1
αシヌクレインという蛋白質を主成分とする*2Lewy小体がみられることから、ドパミン神経細胞の障害にαシヌクレインの凝集や蓄積が関与していると考えられています。

<参考>

【*1αシヌクレインとは】 主に成熟神経細胞のシナプス終末(神経細胞から突出した軸索の末端部分が袋状にふくらんだ部分で、別の神経細胞や器官に刺激を伝えるためのシナプスを形成する片側となる部分)に局在するリン酸化タンパク質で、シナプス機能の調整や可塑性に関与する。

【*2Lewy小体とは】中脳のドーパミン神経が変性脱落した部分を顕微鏡で調べると神経細胞の中に特殊な構造物(封入体)が見える。この構造物をレビー小体と呼ぶ。

 
パーキンソン病の原因に関しては様々な研究がなされています。

最近では*1迷走神経背側核などからシナプスに沿ってαシヌクレインが黒質に伝播することが要因の一つであるという仮説が有力です。

嗅神経または消化管が何かしらの刺激を受けることがパーキンソン病の発症に関与しているという二重ヒット仮説が有力となっています。

<参考>

【*1迷走神経背側核とは 】迷走神経性の分泌運動中枢。迷走神経背側運動核の細胞はコリンアセチルトランスフェラーゼChATに強く免疫陽性を示す。この核を破壊すると、インスリンによって誘発される胃液分泌が大きく減弱する



 パーキンソン病と食べ物との関係


様々な研究がされてはおりますが、現時点での食べ物とパーキンソン病の因果関係は証明されていません。

しかし、MIND食(アルツハイマー型認知症を予防する食事)や地中海食(魚や野菜、フルーツをメインに、オリーブオイルやナッツ類、赤ワインを取り入れた食事)を厳密に摂取することでパーキンソン病の発症を遅らせることができたとの報告はあります。

パーキンソン病食べ物

  • 抗酸化作用がある緑黄色野菜やオリーブオイル。
  • オメガ3脂肪酸(血圧を下げる)をたくさん含む魚やナッツ
  • 食物繊維が豊富な全粒穀物など

さらに、以下のことが疫学や様々な研究からわかっており、消化管からの刺激がパーキンソン病に関連しているという仮説が有力視されています。

  • 消化管に慢性炎症がある人はパーキンソン病の発症率が高い
  • 消化管の迷走神経(感覚神経・運動神経の一つ)を切除した人ではパーキンソン病の発症者がいない

また、腸内細菌叢(腸内に棲んでいる細菌)とパーキンソン病の関連の研究など、消化管とパーキンソン病との関連については現在も様々な研究がなされています。

他にも、乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取がパーキンソン病の発症に関与するとの報告があり、飽和脂肪酸(一般に固形で乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる)を避け、バランスの良い食事を行うことは健康の維持に寄与すると思われます。

 

パーキンソン病とストレスの関係

 

パーキンソン病とストレスとの関係は証明されていません。

 

2型糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームがパーキンソン病の危険因子であり、ストレスはメタボリックシンドロームなどのリスクになることから間接的な関与がある可能性はありますが、ストレスとパーキンソン病の発症との間に直接的な関係はないと思われます。 

 

パーキンソン病と姿勢との関係


パーキンソン病の発症には姿勢は関係がないと考えられます。

パーキンソン病を発症すると前傾姿勢となり、首が下がってしまったり、腰が曲がってしまいます。

しかし、姿勢が原因でパーキンソン病を発症するという報告はありません。

 

 パーキンソン病と遺伝の関係

 
パーキンソン病患者の5~10%に家族歴があるとされており、原因となる遺伝子変異も多数知られています。

遺伝子変異ごとに発症年齢や症状、遺伝形式などに多少の違いはありますが、本質的には孤発性のパーキンソン病と臨床経過に大きな違いはありません。

 

 パーキンソン病になりやすい人の特徴

 
以下に当てはまる人はパーキンソン病になりやすいといわれています。

パーキンソン病になりやすい人

・農業をしている人や農薬への暴露がある人

・井戸水を利用する人

・田舎に住む人

・銅、マンガン、鉛などの放出がある工業地域に住む人

・大気汚染のある地域で生活している人

・活性化ビタミンDが少ない人

・メタボリックシンドロームのある人

・潰瘍性大腸炎など消化管の慢性炎症がある人

 

 関連記事:【放置すれば危険】糖尿病が引き起こす可能性のある合併症とは?原因や症状、予防法についても

関連記事:急性腸炎ってなに?ストレスが関係する?原因や症状について

 

 

パーキンソン病になりやすい職業がある?


特定の職業の人がパーキンソン病になりやすいといった研究データはありません。

しかし、非社交的な性格の人は脳への刺激が少なくドーパミンが分泌される機会が少ないため、パーキンソン病への罹患リスクが高いといわれています。

このことから、非社交的な性格の人が人と関わらず、単調な作業が多い仕事を長年続けた場合、将来的にパーキンソン病にかかる確率は他の人に比べて高いといえるでしょう。

パーキンソン病の検査方法


パーキンソン病の診断には
問診や身体診察などが重要であり、下記症状が露呈した場合にすみやかに診断を受けるべきです。

問診・身体診察が必要な症状

・便秘や嗅覚障害

・レム睡眠行動異常(入眠中に声が出たり、体が動いたりしてしまう症状)の有無

・動作緩慢や安静時振戦などのパーキンソニズムの有無

 
また、パーキンソンが疑われた場合には、以下の検査を行います。

  • 心電図(CVR-R)
  • 頭部CT
  • 頭部MRI
  • 各医学検査(ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)
  • 123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー)

また、自律神経や認知機能低下、精神症状など随伴する症状がある場合には、その症状に応じた検査を行います。

(例:起立性低血圧ではHead up tilt試験や起立試験、排尿障害では尿流測定、認知機能低下では改訂長谷川式認知機能評価スケールなどの認知機能評価、幻視ではパレイドリアテストなど)

 

関連記事:自律神経失調症とは?原因や症状、治療方法などについて解説

関連記事:認知症の検査方法と費用について|治療の副作用は?|検査を拒むときはどうすればいい?


 

<参考>

【ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DAT-scan)】とは

脳内の黒質から線条体に向かう神経経路(ドパミン神経)に存在するドパミントランスポータを画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査 

―を画像化し、ドパミン神経の変性・脱落の程度を評価する検査

【123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)心筋シンチグラフィー】とは

   MIBGは、ノルエピネフリンと(ノルアドレナリンとも呼ばれる)とよく似た物質です。ノルエピネフリンは交感神経終末から放出される神経伝達物質です。副腎皮質からもホルモンとして血中に分泌されます。これはエピネフリンと共に、交感神経系を動かし、心拍を増加させ、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の反応を増強する、すなわち闘争本能あるいは逃避反応を制御する物質

 

 

パーキンソン病の治療について

 


パーキンソン病の進行を抑える治療は確立されていません。

しかし、薬物療法による反応性は比較的よい疾患であり、診断後は早期から薬物療法を行います。

治療薬には以下のように多くの薬剤があり、それぞれの薬剤の特徴や薬価など考慮し、運動症状や非運動症状の程度に応じて使い分けます。

パーキンソン病の治療薬

・L-dopa製剤

レボドパは脳内に移行しドパミンへ変化して脳内のドパミンを増やす

・ドパミンアゴニスト

ドパミンに似た作用を持つ物質

・COMT阻害薬

レボドパを分解してしまうCOMTという酵素を阻害し、レボドパの脳内への移行を高める作用がある

・MAO-B阻害薬

ドパミンやセロトニンの分解酵素であるMAOBの働きを阻害することによって、脳内のドパミン濃度を高めるという報告がある

・抗コリン薬

胃や腸などの痙攣・痛みなど副交感神経を活発にするアセチルコリンの働きを抑える作用がある)

・グルタミン酸受容体遮断薬

アルツハイマー病による神経細胞障害や記憶・学習能力の障害などを抑える薬

・ドパミン賦活剤

てんかんの治療薬として用いられていた薬剤。ドパミン量と放出増加する薬

・アデノシンA2a受容体拮抗薬

脳内のアデノシンA2a受容体を阻害しアデノシンの働きを抑え、運動機能の低下を引き起こすGABAの分泌を抑えることで、運動機能などの改善作用を現す

・ノルアドレナリン前駆体

脳内でドパ脱炭酸酵素によりノルアドレナリンに変換され、不足分を補う


発症初期にはL-dopa製剤を使用することが多いですが、65歳未満の方ではジスキネジア(体が勝手に動いてしまう症状)が出やすいため、精神症状や認知機能低下がなければドパミンアゴニストやMAO-B阻害薬なども使用
します。

また、パーキンソン病の症状の一部である自律神経障害(便秘や排尿障害、起立性低血圧など)に対しても生活指導薬物治療を行います。

疾患に対する理解を深めることリハビリテーションを受けることも有用であり、生活支援やカウンセリング、リハビリテーションを薬物治療と並行して行います。

症状の進行に合わせて薬物治療を強化していきますが、薬物治療のみでは治療が困難となった場合には、デバイス治療を検討します。

デバイス治療

・脳深部刺激療法

DBS:手術に伴う副作用が少なく、両側に行うことができ、刺激の調節が可能という利点がある)

・レボドパカルビドパ経腸療法
LCIG:胃からチューブを挿入し、チューブ先端をレゴドパが吸収される小腸上部に固定する。ポンプからチューブを使ってゼリー状のレボドパを注入する)

 

 

 パーキンソン病のリハビリについて

 

パーキンソン病はその進行度によって症状や障害の程度が大きく変化する疾患です。

症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、活動意欲が低下したりとリハビリテーションの弊害となる症状も出現するため、その内容も各個人の症状に合わせて考える必要があります。

例えば、自立歩行が可能で症状が軽微な場合には健常人が行う運動に近いリハビリテーション(筋力訓練やエアロビック訓練、ホームエクササイズなど)が有効ですが、症状の進行に合わせて歩行訓練やバランス訓練などに切り替えていくことが必要となります。

また、最近では太極拳や音楽療法、ダンス、ビデオゲームなどを用いたエクササイズなど様々な方法のリハビリテーションで有効性が報告されています。

よって、本人が意欲的に続けられる方法でのリハビリテーションを継続的に行うことが重要であると思われます。

 

 

パーキンソン病で受けられる社会サービスについて

 

パーキンソン病は現時点では完治させることができない難病です。

また、経時的に症状が進行し、医療費も高額となる病気です。

症状の進行に伴って日常生活の支障が大きくなるので、日常生活をできるだけ維持するために利用可能な様々な社会サービスがあります。

以下に代表的なものをご紹介いたします。

パーキンソン病の社会的サービス
・難病医療費助成

パーキンソン病は指定難病の一つであり、医療費や重症度が一定以上であればパーキンソン病の治療に関わる医療費に関して助成を受けることができます。医療費で算定されるリハビリテーションの費用なども助成の対象となります。

 

・医療保険制度/後期高齢者医療制度/高額療養費制度

被保険者が対象となる制度であり、医療費の自己負担額が75歳未満で3割75歳以上で1割となる制度です。また自己負担が一定以上であれば、高額療養費制度により特定の金額以上の自己負担金の助成をうけることができます。

 

・介護保険制度

パーキンソン病は介護保険制度特定疾患の一つであり、40歳以上であれば介護保険制度を利用することができます。介護認定を受けることで介護度に応じたサービスを安価で利用することができます。

 

・身体障害者福祉法

薬物治療を受けていても重度の運動障害が残存する場合には障害者認定を受けることができる場合があります。現在は医療の発達により障害者認定を受ける必要はほとんどなくなりましたが、症状が重度の場合にはご検討ください。

 

・障害者総合支援法

介護保険制度対象外(40歳未満)の方や介護保険制度では支援が不十分な場合に利用する制度です。サービスを利用することで介護や自立支援、補助具などにかかわる費用の一部の助成を受けることができます。

 
利用可能なサービスは県や市ごとでも異なりますので、利用可能なサービスを確認する際にはお住いの地域の役所にご確認ください。

パーキンソン病の予防について


パーキンソン病は原因が解明されていない病気であり、
予防の方法もわかっておりません。

2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病や乳製品や鉄、マンガンの過剰摂取などによる発症率が高くなるとされています。

一方で、MIND食や地中海食を厳密に守った人では発症が遅くなったとの報告があり、飽和脂肪酸を避けて不飽和脂肪酸や抗酸化物質などを多くとる食事は予防に有用である可能性があります。

また、工場地帯や大気汚染ある地域での発症率が上がるなどの報告もあり、そのような地域での生活を避けることが予防となる可能性があります。

 

関連記事:生活習慣病の方は注意!動脈硬化が引き起こす命に関わるリスクについて

関連記事:肺がんの初期症状や原因、ステージ(進行度)について【早期発見で治療が可能】

 

 

すぐに病院で検査するべきパーキンソン病の症状

 

パーキンソン病
緩徐進行性(ゆっくりと病気が進行すること)の病気です。

従って、医療機関へ急いで受診することは基本的には不要です。

上記の「パーキンソン病の症状」に該当する症状がみられた場合には、脳神経内科の外来を受診してください。

ただし、症状の進行に伴って転倒しやすくなったり、嚥下障害が出現したりします。

そのため、骨折や誤嚥性肺炎などの合併症の発症リスクが高い場合には早期に受診するようにしてください。

 

関連記事:高齢者に起きやすい誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)ってどんな病気?

 

 

クリニックでできるパーキンソン病の治療

 
パーキンソン病の診断は脳神経内科のある総合病院で行う必要があります。

しかし、クリニックでは受診された患者様の症状を確認し、総合病院へ受診すべきかどうかの判断や総合病院への紹介を行うことができます。

また、すでにパーキンソン病と診断されている患者様の処方の継続や介護保険制度を利用するための主治医意見書の作成などを行うことができます。


まとめ

 
パーキンソン病根治が困難な難病ではあり、症状の進行に伴って日常生活が困難となり、社会的な支援が必要となる病気です。

一方で医療の発達により運動症状は薬剤治療でかなり抑えることができるようになってきています。

また、生活を支援するための社会サービスも充実しています。

薬物治療により症状を抑え込むことで、発症早期は健常人と変わらない生活も可能となる病気です。

  • 安静時に手が震える
  • 動作が緩慢
  • 歩行時に足が出しにくい
  • 方向転換がしにくい

などの症状が気になった場合には当院に受診して相談してみてください。

 

参考文献

パーキンソン病診療ガイドライン2018

神経内科ハンドブック第5版

難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

パーキンソン病と腸内細菌:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnd/27/1/27_80/_pdf

パーキンソン病と腸内細菌https://www.boehringer-ingelheim.jp/sites/jp/files/documents/patient_doc/parkinson_0.pdf

自律神経失調症のセルフチェック26項目!こんな兆候は危険かも?

最近、日常生活においてなんとなく体調が優れない、あるいは気分が落ち込んでしまうという経験はありませんか?

 

その場合には、もしかしたら体調不良の原因が自律神経の乱れに由来する自律神経失調症を発症している可能性もあるでしょう。

 

自律神経失調症のなかには、ストレスや不安などからくる軽症のうつ病、あるいは不安神経症や気分障害などの症状が一部含まれると考えられています。

 

今回は、「自律神経失調症の原因症状治療方法」などについて詳しく解説します。

 

自律神経失調症のセルフチェック項目

 

 自律神経失調症においてはそれぞれの症例によって自覚症状が異なり、様々な症状が現れる自律神経失調症を自分自身でセルフチェックする方法があります。

 

普段から「もしかすると自分は自律神経失調症かも」と心配されている場合には、まずは以下のさまざまな症状の有無を自分でチェックしてみることをお勧めします。

 

セルフチェック項目
 よく頭痛やめまい、立ちくらみなどを感じる
 急に胸が苦しくなったり息苦しくなったりする
 たびたび動悸がする
 便秘や下痢などに伴って腹痛症状が起こりやすい
 手や足がしびれることが多い
 胸やけや胃もたれなどを自覚して食欲不振に陥る
 慢性的に肩こりや腰痛などで悩んでいる
 寝起きが悪い、あるいは寝て起きても疲労感や倦怠感が残存している
 不安な気持ちになることが多く、憂鬱な気分に襲われて何事にもやる気が起こらない
 些細なことでイライラする機会が増えた
 物事に神経質になり、そわそわ落ち着かない
 怖い夢をみる、もしくは金縛りにあう頻度が多い
 寝つきが悪く、夜中にいったん覚醒するとなかなか眠れない
 風邪を引きやすく体調不良になりやすい
 手足が冷たいことが多々ある
 最近頭が重い
 目の疲れを感じることが多い
 めまいや立ち眩みが増えた
 耳鳴りの頻度が高い
 口の中が荒れたり、舌が白くなっていることがある
 好きなものにも食欲が起きない
 常に胃がもたれている感じがする
 腰痛に悩まされている
 何故か体重が減った
 何もかもやる気が起きない
 人付き合いが億劫に感じられる

 

自律神経失調症の場合は、上記のような症状が出現しやすいと考えられています。

 

自律神経失調症とよく類似した症状が現れる他の疾患もあるため、自己判断は危険です。

 

もし26個あるセルフチェック項目の中で10個以上該当したら、ぜひこの機会に精神科や心療内科など医療機関に相談してみることをおすすめします。

関連記事:睡眠障害はコロナ後遺症?症状はいつまで続く?対処法や治療について

 

自律神経失調症ですぐに病院で検査した方がいい症状

 

自律神経失調症の症状は個人差が非常に大きいという特徴があります。

 

そのため、症状の多様性が生活の質を大幅に損なってしまう場合には、我慢しすぎずにすぐに病院に行って検査を受けるようにしましょう。

 

例えば、めまいや頭痛などの症状を認めるが故に、「毎朝会社に仕事行けない」、「思い通りに家事ができない」状態に陥って、自ら外出できなくなり家に引きこもりがちになる際には専門医療機関を受診して相談することが大切です。

 

自律神経失調症の特徴として、内臓には明らかな異常がないことが挙げられます。

 

自律神経失調症を抱えている人は辛い症状を自覚していても、周囲に気付かれにくい状態であると言えます。

 

自律神経失調症に伴う症状が非常に多岐にわたり、症状がつらくても周囲の人々から気づいてもらえずに、より症状が悪化傾向を認める際には精神科や心療内科など医療機関に相談されることをおすすめします。




自律神経失調症とは?


 

自律神経失調症は、自律神経が過剰なストレスによって正常に機能しないことによって引き起こされるさまざまな症状の総称です。

 

自律神経失調症の主要な症状は下記のとおりです。

 

  • 眠れない
  • 疲労が取れにくい
  • 頭痛やめまい
  • 息苦しさ
  • 便秘及び下痢などの便通異常症状
  • 情緒不安定や不安感など精神的な不調症状

 

自律神経失調症は自律神経の乱れによって引き起こされると考えられています。

 

しかし、実際に自律神経の働きを直接的に正確に調べる方法は乏しいです。

 

不調症状に対する病気を明確にするために精密検査を実施しても,特に明確な異常が見つからないことも多いです。

 

特に、常日頃から過大なストレスや不規則な生活習慣が認められ、ホルモンバランスが乱れている場合に自律神経失調症の発症が疑われます。


関連記事:免疫力が低下したらどうなる?原因と免疫ケア方法をご紹介!

自律神経失調症の症状

 


自律神経は全身の器官をコントロールしているため、そのランスが何かしらの原因で崩れてしまうと多種多様な症状が現れると考えられます。

 

自律神経失調症を呈する症状は個々によってさまざまであり、多くの症状はその人にとって調子が悪くなりやすい部位に引き起こされやすいと言われています。

 

例えば、腹部が痛くなりやすい人は下痢や腹痛などを始めとする消化器症状が現れやすく、普段から肩が凝りやすい場合にはひどい肩こりに繋がりやすい傾向があります。


身体的症状

 

個人によって症状の現れ方は様々ですが、例えば自律神経失調症における典型的な身体的症状としては下記が挙げられます。

  • 倦怠感
  • 息苦しい
  • 眠れない
  • 慢性的な疲労感などの全身症状
  • 頭痛
  • 動悸や息切れ
  • めまい
  • 立ち眩み
  • 下痢や便秘

 

それ以外にも下記など、さまざまな症状を呈することがあります。

  • 全身や手足の冷え症状
  • のぼせ
  • 耳鳴り
  • 関節痛
  • 生理不順
  • 口や喉の不快感
  • 頻尿や残尿感
  • 発汗

  

精神的症状

 

 自律神経失調症における精神的症状としては、代表的なものとして下記が挙げられます。

  • 情緒不安定
  • いらいら
  • 不安感
  • 抑うつ傾向

 

その他にも、自律神経のアンバランスに伴って下記が引き起こされます。

  • 不眠
  • 記憶障害
  • 集中力低下
  • 感情の激しい起伏

 

また、これらの複数症状が一度に現れる、あるいはいったん改善したと思っても別の症状が再び出現することも想定されます。 



自律神経失調症の原因

 

 

自律神経失調症は自律神経に関連するあらゆる機能が乱れることで発症します。

 

自律神経は、交感神経副交感神経という2つの相互作用を有する神経系システムから構成されています。

 

前者の交感神経は体を活発に動かすときに作用し、後者の副交感神経はリラックスしているときに機能するのが特徴です。

 

健常者では、相互的な役割を持つこれらの自律神経がバランスよく良好な状態を保つことができます。

 

しかし、一旦ストレスやホルモンバランスの乱れによって片方の神経が過剰に興奮して優位な状態が不均衡に継続されると、多彩な症状が出現するようになるのです。

 

その直接的な原因として、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、更年期に伴うホルモンの乱れなどが典型例として考えられます。

 

このように不規則な生活に伴う過剰ストレスによる刺激、更年期障害などホルモンの乱れなどが本疾患を発症させる原因になることから、以下などの人に発症しやすいと言われています。

 

  • 不規則な生活を送っている人
  • ストレスを感じやすい人
  • 更年期でホルモンバランスが乱れやすい人

 

それでは、自律神経失調症の原因について1つずつ詳しく見ていきましょう。

 

ストレス 

 

一般的なストレス以上の負荷が精神的に掛かっている状態では、自律神経失調症に罹患しやすいと指摘されています。

 

例えば下記によって自律神経のバランスが崩れます。

  • 仕事業務のプレッシャーなどを始めとする精神的ストレス
  • 日々の蓄積された過労
  • 自分が置かれている環境下での光や音、温度などに関する身体的ストレス
  • 職場でのパワハラ・セクハラなどを含むハラスメント

 

また、周囲の人間関係に伴うストレスにより、交感神経と副交感神経のバランスを崩してしまうケースも想定されます。

 

生活習慣の乱れ

 

乱れた生活習慣とは、日常的な活動周期が一定でなく不安定であることを意味しています。

 

慢性的な寝不足、あるいは不規則な生活や偏った食事などが生体リズムを狂わせてしまい、自律神経の乱れに繋がると考えられます。

 

  • 幼少期からの不規則な生活習慣で夜更かしを継続する
  • 夜勤の頻度が多い職業である
  • ジャンクフードを多く摂取して偏りのある栄養素のみ取り入れる不適切な食生活

 

以上のような場合において、交感神経副交感神経のバランスが破綻しやすいと指摘されています。

 

ホルモンバランスの崩れ

 

自律神経失調症は、一般的に男性よりも女性の方が罹患率を高く認めると認識されており、その背景として女性ホルモンの影響によって自律神経失調症を発症する恐れが懸念されています。

 

男性ホルモンと女性ホルモンは、ホルモンバランスの安定性という観点で相違があります。

 

男性ホルモンは思春期に分泌が高まって、それ以後は初老期まで安定する傾向があります。



一方、女性ホルモンは思春期の初潮、毎月の周期的な月経習慣、妊娠・出産、更年期から閉経に至るまで一生のうちに変化を繰り返して複雑な系統を呈しています。

 

したがって、女性ホルモンの特性から女性の方が男性よりもホルモンバランスが乱れやすく自律神経失調症を発症するリスクが高くなると想定されます。

 

さらに、女性は更年期に伴う自律神経失調症の発症が注目されています。

 

女性ホルモンは、一般的に脳の視床下部から脳下垂体を通じて卵巣で分泌されることが知られています。

 

視床下部には、女性ホルモンの分泌のほかに自律神経をコントロールする役割も有しています。

 

更年期には、女性ホルモンが激減してホルモンバランスの不調を来して視床下部に影響を及ぼすことによって自律神経が乱れることも疑われています。

 

 更年期障害では女性ホルモンの分泌がそれまでと比べて減少するため、自律神経の乱れに容易につながる結果、顔面のほてりや頭痛などの不調症状を自覚することも経験されます。


関連記事:パーキンソン病になりやすい人の特徴や症状とは?|原因から治療、社会サービスの解説

自律神経失調症の治し方

 



自律神経失調症と診断された場合の治療方法について解説していきます。

 

簡単に列挙すると、以下などの対処策が考えられます。

 

  • 薬物療法
  • 生活習慣改善
  • ストレス発散
  • 行動認知療法
  • カウンセリング

 

その中でも特に日々のストレスのコントロール、そして規則的な睡眠と食事を含めた生活習慣の改善が非常に重要なポイントです。

 

ここでは、1つ1つ詳しく解説していきます。

 

ストレス解消

 

 自律神経失調症は、日常生活における過剰なストレス刺激や生活習慣の不規則性によって引き起こされると考えられています。

 

これらを回避して改善することで自然と不調症状が軽快していくことが多いです。

 

自分なりにストレスを解消して生活習慣を整備していくことは、自律神経失調症における症状を改善するために重要な行動様式です。

 

従って、これらを優先的に改善するだけで様々な不快症状が緩和されることもあります。

 

 自律神経失調症を抱えている場合は、ストレッチ音楽療法アロマセラピー散歩や体操入浴など日常的に気軽に取り入れることができるストレス解消法を実践することでストレスが緩和されることがあります。

 

  • 少しでも自分がリラックスできる
  • 楽しくて心地よいと感じることが出来る時間を意識的に設ける
  • 自分特有の長続きしそうな趣味を持つ


などの方法で、ストレスをコントロールできることがありますし、積極的に交友関係を広げることも効果的とされています。

 

薬での対症療法

 

 自律神経失調症に伴う自覚症状がひどい場合には、症状を改善したり、不安やストレスを軽減したりするために医学的な観点から有用な治療薬を活用することもあります。

 

自律神経失調症を効率的に治癒させるためには一定の専門的な知識が必要です。

 

自力や自己判断のみで治すのは難しい場合も存在するため、専門の医師に相談することが重要な観点となります。

 

 例えば、不安な気持ちやうつ状態で悩んでいる場合には「抗うつ薬」、眠れなくて苦悩している方には「睡眠薬」などが処方されることも考えられます。

 

それ以外にも、ホルモン剤などによる対症療法や睡眠周期を整える睡眠療法などが挙げられます。

 

基礎疾患を有する場合には普段の服用薬の種類や合併疾患なども考慮しながら、自律神経失調症の治療を進めていくことも可能です。

 

栄養や食生活の見直し

 

 自律神経失調症を改善するためには、常日頃から栄養バランスの取れた食事を毎日3食、規則的に決まった時間に摂取することが重要です。

 

自律神経を整えてくれる栄養素として、γ-アミノ酪酸(略称:GABA)が知られており、GABAには脳や神経をリラックスさせる効果があると言われています。

 

GABAは、本来人間の脳や神経組織にある神経伝達物質であり、身体の自律神経を整えるために必要不可欠な成分として知られています。

 

一日の推奨摂取量は成人でおおむね30~100mgと伝えらえています。

 

GABAが気軽に摂取できる一例として、「トマト」が挙げられ、中玉のトマト一個にはGABAが40~60mg含有されているため、一日に必要なGABAが十分に取り込めます。

 

また、GABA自体を摂取するのみならず、体内にもともと存在しているGABA成分を増加させることも重要です。

 

そのためにはたんぱく質などに含まれているビタミンB6を効率的に摂取することをお勧めします。

 

食材の代表例としては、以下などにビタミンB6成分が豊富に含まれていると言われています。

 

  • にんにく
  • 鮭やさんま、カツオなどの魚類
  • ササミ

 

また、ビタミンDは、感情状態や神経のバランスに関連するセロトニン成分をうまく調整する機能を有していることが判明しています。

 

従って、自律神経に関わるメンタル症状に一定の効果があると考えられています。

 

基本的に、ビタミンDは世界的にも我が国においても摂取不足傾向であると指摘されています。

 

自律神経だけではなくカルシウムや骨代謝に欠かせない栄養素であるため、常日頃から意識して摂取する必要があります。

 

ビタミンDを豊富に含む食品例としては下記が挙げられますので、日常の食生活に取り入れてみましょう。

 

  • しいたけなどのキノコ類
  • ししゃも
  • しらす

 

生活習慣の見直し

 

普段の生活で睡眠不足や運動不足が継続すると、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながって心身共に不調症状を引き起こしやすくなることが知られています。

 

規則的な睡眠と食事をとるように心がけて、適度な運動習慣を持つことが重要であると言われています。

 

毎日の仕事量や飲酒量、カフェインの摂取量なども定期的に見直すことも必要です。

 

基本的な生活習慣が整っている状態であれば、ストレスに対しても柔軟に向き合うことができるようになると考えられています。

 

通常では、交感神経は活動する時により優位に働き、副交感神経は休息するときに働きます。

 

交感神経が優位となる日中はできるだけ活動をして、副交感神経が優位となる夕方以降はなるべく休息を確保するように認識しておきましょう。

 

それぞれの神経の役割に自然と応じた日常行動を行うことで、自律神経のバランスが整いやすくなると推奨されています。

 

また、睡眠時間に関しては1日あたり最低でも5~6時間以上は確保すると良好であると認識されています。

 

規則正しく朝食を取って毎日3食をある程度決まった時間に摂取することで自律神経の切り替えが順調に運ぶと考えられています。


自律訓練法やマインドフルネス

 

 自律神経失調症に対しては、自律訓練法マインドフルネスが有効な場合も決して少なくありません。

 

 自律神経失調症と診断された場合に、広く普及している治療方法の一つに「行動認知療法」が知られています。

 

この治療法では、自律神経失調症を罹患している患者様の認知そのものに「歪み」が生じている際に実践されることが多いです。

 

例えば、以前にバスに乗っているときに自律神経失調症の症状を経験した場合には、「バスに乗ったから症状が出現した」と患者自身が思い込み、症状の原因を誤って認知する可能性があります。

 

こうした認知の歪みが原因となって自律神経失調症が発症している場合には、行動認知療法を施行することで患者本人に認知の歪みを修正して、正しく病気や治療内容を認識してもらうことによって症状が緩和されることを期待します。

 

西春内科・在宅クリニックでできる治療

 

 自律神経失調症は、我慢していれば治癒する病気ではありません

 

自律神経失調症の診断を受けた際には、さらに症状が悪化しているというケースも見受けられます。

 

「自分は、もしかしたら自律神経失調症かもしれない」と悩んでおられる場合は、ぜひこの機会にクリニックや病院に相談してみましょう。

 

自律神経失調症の症状は多岐にわたり、パーキンソン病やうつ病など他疾患の症状とも類似していることも多いです。

 

そのため、自分自身では自律神経失調症と断定するのは難しく、クリニックの専門医の適切な診断のもとで確実に有効的な治療を実践することが重要です

 

クリニックでは、経験に長けた専門医師や心理療法士、公認心理師などが自律神経失調症と診断された患者に対してカウンセリングを実施します。

 

これにより、心に抱えているストレスの解消を図ることも一定の効果があると信じられています。

 

カウンセリングは、自律神経失調症と診断された患者自身の性格や生活背景なども考慮して、約40種類の心理療法から適切な方法を選びます

 

患者さんの体調管理、あるいは症状再発を防止するために治療を確実に進めて心のバランスを整えていくことを目標に設定します。

 

心配な症状がある場合には、当院またはお気軽に最寄りの心療内科や精神科などクリニックや診療所を受診して相談しましょう。



まとめ

 

自律神経失調症は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが破綻することによって引き起こされる症状の総称を意味しています。

 

自律神経は、交感神経と副交感神経という相互的な働きを有する二種類に分かれています。

 

交感神経は身体を活発に動かす時、副交感神経は身体を休める際に働いて互いにバランスを取りながら心身状態を調節していますが、このバランスが崩れると自律神経失調症が発症します。

 

基本的には、本疾患を発症した場合には、普段の生活習慣の改善やストレスを効率的に発散するなど自己管理する手段を上手く活用することが有用とされています。

 

そして、本疾患以外の病気の可能性や原因によって治療法が全く異なるために自力だけで治すことは難しいです。

 

自律神経失調症の疑いがある場合はまず当クリニックや病院を受診し、医師と相談しながら薬物療法などを含めた治療内容を計画していくことが重要です。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

 

参考文献

 

1)厚生労働省e-ヘルスネット|自律神経失調症

2)健達ネット|自律神経を整える食べ物とは?栄養素や飲み物を解説!

疥癬(かいせん)がうつる確率は?放置するとどうなる?自然治癒する?

疥癬

疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニというダニの1種が皮膚に感染することで、腕や脚、ときには体全体に激しいかゆみが出る病気です。

皮膚の角質層に住みついたヒゼンダニや、その糞などに対するアレルギー反応により、皮膚の炎症やかゆみが生じます。

疥癬は、人から人へ感染します。

また、寝具などを介する間接的な接触でも感染することがあるので注意が必要です。

疥癬は、抵抗力の弱い高齢者の方に多くみられ、高齢者施設の中で流行することがあります。

今回は、疥癬の原因や症状、放っておくとどうなるのかなどについて解説していきます。

 

 

疥癬の原因


疥癬

疥癬の原因は、ヒゼンダニと呼ばれる寄生虫です。

この小さなダニは、人の皮膚の表面に穴を掘り、その中で繁殖します。

基本的には、感染者との肌の接触から広がります。

手を握る、性的接触などの直接的な接触に加え、共有の寝具や衣類の使用などの間接的な接触によっても感染が広がることがあります。

疥癬

 

関連記事:虫刺されのかゆみが止まらない人必見|対処法やぶり返す可能性は?

 

疥癬の症状


疥癬

疥癬の主な症状は、皮膚の炎症強いかゆみです。

かゆみは、特に夜間や暖かい場所で悪化します。

症状は、陰部や体の中心部、指の間などによく現れます。

指の間には、いわゆる「疥癬トンネル」が現れてきます(これはあとで解説します)。

かゆみが強すぎて、夜まったく眠れない、と訴える方も多いです。

かゆみから皮膚をかき過ぎたことで、皮膚がひどい炎症状態(かき壊し)になると、小さな水疱やかさぶた、潰瘍(かいよう)ができてしまうこともあります。

また、疥癬には「通常疥癬」と「角化型疥癬(ノルウェー疥癬)」の2つのタイプがあります。

通常疥癬・体に寄生しているヒゼンダニは10匹ほど
・感染力はそれほど強くない
強いかゆみを伴う赤いぶつぶつが全身に出ることが多い
角化型疥癬(ノルウェー疥癬)・体に寄生しているヒゼンダニは、100~200万ほど
・通常疥癬と比べ感染力が強い
・通常疥癬の症状に加えて、角質の増殖が特徴的な症状
※角質の増殖とは、手足・おしり・肘・膝・爪などに、ざらざらの厚い角質がかさぶたのように付いた状態のことで、かゆみがない場合もある


疥癬

 

 

疥癬がうつる確率は?




結論からいうと、「疥癬がうつる確率は〇%です!」と断定することはできませんが、人から人へうつることは確認されています

皮膚の疾患であるため地肌同士が触れ合うことが感染の起点となり、多くは性行為によってうつるとされています。

いちいち相手が疥癬かどうか確認することはないと思いますが、少なくとも自分が疥癬だとわかっているときは、治るまで性行為は避けた方がよいでしょう。

 

関連記事:虫刺されの腫れがひどい・大きいときの対処法

 

疥癬トンネルって?


疥癬

疥癬トンネルとは、疥癬になった際に見られる、長さ数mmのわずかに盛り上がった、白っぽい線状の発疹(はっしん)のことを言います。

ヒゼンダニは、このトンネル内に卵を産みつけ、繁殖していきます。

疥癬トンネルは、疥癬に最も特徴的で、診断の決め手となる重要な皮膚症状です。

手のしわや指の間でよく見られます。

また、陰部に赤いブツブツとして現れることもあります。

疥癬

疥癬を放置するとどうなる?


疥癬

疥癬を放っておくと、原因であるヒゼンダニが生きたまま活動するので、

  • かゆみ
  • 赤いぶつぶつ
  • 角質の増殖


などの症状がどんどん悪くなっていきます

ヒゼンダニの数が増えるにつれて、他人への感染リスクも高まります

具体的な感染確率は、一人一人の免疫の強さや、病原体の量などに影響されるので一概には言えません。

人の肌と肌との直接的な接触や、寝具など衣類を介した間接的な接触で他人に感染します。

発症までの潜伏期間は、約1~2ヶ月と言われています。

 

どんな人が疥癬になりやすいの?


疥癬

疥癬になりやすいのは、高齢者の方です。

若い方に比べて免疫力が低下していることに加え、老人ホームなどの共同で生活する施設での人同士の接触機会が多いこともこの理由です。

また、高齢者の方は、皮膚が薄く乾燥しやすく、皮膚バリア機能が低下していることも理由として挙げられます。

そのほか、感染者との接触の機会が多い介護士や看護師などの医療従事者も感染リスクが高いと言われています。

 

関連記事:尿路感染症に高齢者がなりやすい理由|原因と症状について解説

疥癬は自然治癒する?


疥癬

疥癬は、自然に治ることはありません

疥癬は寄生虫であるヒゼンダニによる感染症ですので、飲み薬や塗り薬での治療が必要です。

 

疥癬の治療について


疥癬

疥癬の治療は、正確に診断を行うことから始まります。

皮膚の表面をピンセットで採取し、ヒゼンダニやその卵を顕微鏡で確認し、診断を行います。

治療には、ヒゼンダニを駆除するための飲み薬や塗り薬を使います。

飲み薬


飲み薬には、イベルメクチン(製品名:ストロムクトール錠)があります。

空腹時に1回内服していただくことで、約10日間の効果を発揮します。

1週間おきに2回内服していただくことが一般的です。

ただし、ステロイドや免疫抑制剤を投与されているなど、患者さまの背景によっては、3回以上の投与が必要になることもあります

なお、イベルメクチンにはかゆみを止める作用はありません


塗り薬

以下があります。

  • フェノトリンローション(製品名:スミスリンローション5%)
  • イオウ剤
  • クロタミンクリーム(製品名:オイラックスクリーム)
  • 安息香酸ベンジル

首から下の全身にかけて、症状の出ていない部分も含めてくまなく塗ることが大切です。

特に手や指の間、足、外陰部には念入りに塗りましょう


また、かゆみに対しては、かゆみ止めの抗ヒスタミン薬を併用することも多くあります。

 

関連記事:ダニ刺されとあせもの違いは?|症状や治療についても

 

疥癬にならないためにできること


疥癬

感染者との密接な接触を避ける


疥癬にならないためには、感染者との密接な接触を避けることが一番大切です。

握手、性的な接触、共有の寝具や衣類の使用など、感染リスクの高い状況を避けましょう

ヒゼンダニは、直接の肌接触から感染が広がります。

なお、アルコール除菌は皮膚表面の細菌やウイルスの除菌には役立ちますが、ヒゼンダニに対しては直接的な効果はありません

衛生習慣をつける


普段から、衛生習慣をつけていくことが大切です。

手洗いをこまめに行い、清潔な環境を保つよう心がけましょう

共有の日用品に注意する


寝具や衣類、タオルなどを共有する場合には、注意が必要です。

特に感染者がいる場合は、これらの物品の共有を避けるか、十分な清潔さを保つようにしましょう。

感染者の早期発見と治療


疥癬が疑われる場合は、できるだけ早く医師の診断を受け、適切な治療を行うことが大切です。

周囲の人への感染予防のためにも、早めの治療が大切です。

 

 

西春内科在宅クリニックでの対応方法


西春内科在宅クリニックでは、各種検査等により、診断がついた場合に内服薬や外用薬の処方をさせていただきます。

皮膚の症状から疥癬が疑われる場合には、近くの皮膚科クリニックへの受診をおすすめします。

通常疥癬であれば、基本的な感染対策ができていれば、特別な隔離は必要ありません

一方、角化型疥癬の場合は感染力が強いため、リネン類の熱処理、予防衣の着用、濃厚接触者の予防内服、必要に応じて感染者の方の個室隔離などの指示をさせていただきます

 

 

まとめ


今回は、疥癬の原因や症状、放っておくとどうなるのかなどについて解説しました。

疥癬は、ヒゼンダニが人間の皮膚に寄生して起こる皮膚の病気です。

感染者との直接的な接触だけでなく、衣類を介した間接的な接触でも感染する可能性があります

感染対策をしっかり行うとともに、もしかかってしまった場合には、適切な診断と治療に加えて、周囲へ感染させない予防対策が大切です


【参考文献】

  • あたらしい皮膚科学 第3版
  • 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
  • 疥癬診療ガイドライン第3版(日本皮膚科学会)

誤嚥性肺炎の末期症状とは?急変したときの対処法を徹底解説!

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、口や喉から誤って食べ物や飲み物が気管から気管支・肺へ入り込み、肺炎の状態を引き起こす疾患です。
 
主に以下に該当する人が発症しやすく、重症化することもあります。
 
  • 高齢者や認知症患者
  • 嚥下障害を持つ人
  • 寝たきりの人など(身体機能が低下している人)

 

また、この誤嚥性肺炎は日本の死亡原因の第3位であるほど一般的で、患者様背景からも重症化しやすく、致死的になりやすい病気です。

 

同居ご家族に食事中にムセこんでしまう方、良く肺炎を起こす方がいらっしゃれば、それは誤嚥性肺炎である可能性が高いです。

 

今回は、誤嚥性肺炎の原因や、症状、急変時の対応法について解説していきます。

 

 

誤嚥性肺炎になる原因


誤嚥性肺炎

高齢者が誤嚥性肺炎になりやすい理由は、口腔内や喉の筋肉の衰えや嚥下機能の低下が原因とされています。

 

以下などの疾患を患っている場合は、嚥下機能が低下する傾向にあります。

  • 認知症やパーキンソン病などの神経疾患
  • 脳梗塞・脳出血などの頭蓋内疾患


また、口腔内の先天的な異常や口腔内の環境(歯磨きやうがいをしない)に加えて、活動性が低下し寝ている時間が長くなればなるほど、誤嚥性肺炎は引き起こしやすくなります。

 

また、加齢に伴う嚥下機能の低下は、ほぼほぼ必発です。

 

さらに、高齢者の場合、免疫力が低下していることがあり、細菌やウイルスに感染しやすくなっています。

 

関連記事:RSウイルスに高齢者が感染すると危険?重症化や死亡のリスクについても

 

誤嚥性肺炎の初期症状


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎の症状については、以下のような症状があります。

 

初期症状

  • 発熱
  • 息切れ
  • 胸痛 など

また、高齢者や基礎疾患を持つ人の場合、症状があまり現れない「無症状誤嚥性肺炎」という状態になることがあります。

 

そのため、定期的な健康診断や医療機関の受診が重要です。

 

 

誤嚥性肺炎の末期症状




先述した悪化した場合の症状がさらに増悪すると下記のような症状へ移行します。

 

悪化した場合の症状

  • 呼吸困難
  • 酸素不足
  • 意識障害
  • 低血圧
  • 心拍数の増加
  • 体温の上昇 など

 

酸素不足から呼吸困難へ移行すると意識レベルが低下し、次第に血圧が下降して最悪の場合、死に至ります

 

看る側としては患者さんが熱にうなされている様子や呼吸が苦しそうな様子などが見られたら、すぐに救急車を呼びましょう。

 

あるいは入院中であればナースコールを押してください。

 

関連記事:骨粗鬆症の薬が危険といわれる理由|副作用や注射治療について解説

 

誤嚥性肺炎で急変したときの対応


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎で急変した場合の対応法は、以下のようなものがあります。

救急車の呼び出し

急変が起きた場合は、すぐに救急車を呼び出すことが必要です。

人工呼吸や酸素投与

呼吸が困難な場合は、人工呼吸や酸素投与を行います。

抗生物質の投与

誤嚥性肺炎の原因菌によっては、抗生物質の投与が必要となります。

症状に応じた治療

症状や病態に応じて、適切な治療を行います。
重症の場合には、集中治療室での治療が必要となることがあります。

 

 

誤嚥性肺炎の治療について


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎の治療には、以下のような方法があります。

抗生物質の投与

誤嚥性肺炎の原因菌によっては、抗生物質の投与が必要となります。

気道確保・酸素投与

呼吸が困難な場合には、人工呼吸や酸素投与、気管挿管などによって気道を確保します。

栄養補給

誤嚥性肺炎治療中、再度誤嚥性肺炎を起こす可能性が高いので、経口摂取は控えて頂くことが大半です。
ですから、点滴栄養や鼻からの栄養補給(経鼻栄養)・胃から直接の栄養補給(経腸栄養)が必要となることがあります。

リハビリテーション

嚥下機能の評価や運動療法などによって、誤嚥性肺炎の再発防止や回復を促します。

 

関連記事:【高齢者に多い骨折】骨粗しょう症とは?薬を飲みたくない人向けの予防法や治療法はある?

 

誤嚥性肺炎は治るのか


誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は治ることがほとんどですが、患者の状態や治療の遅れによっては、合併症や死亡することもあります。

 

高齢者や基礎疾患を持つ人、免疫力の低下している人は、治療が困難となることがあります。

 

また、誤嚥性肺炎を引き起こす方は元々嚥下機能が低下していることが多いため、今後も繰り返し引き起こすことが非常に多いです。

 

つまり、一時的には治療により回復しますが、根本的な原因を解決させることは難しいことが多いということです。

 

そのため、予防が重要であり、定期的な健康診断や医療機関の受診が必要です。

 

誤嚥性肺炎を発症した場合は、早期の治療が重要になります。

 

 

高齢者が誤嚥性肺炎にならないための予防対策


誤嚥性肺炎

高齢者が誤嚥性肺炎にならないためには、以下の予防対策が有効です。

 

これらの予防対策を実践することで、高齢者の誤嚥性肺炎発症リスクを低減することができます。

嚥下機能の評価

高齢者は嚥下機能が低下することが多いため、定期的に嚥下機能の評価を受けることが大切です。

栄養バランスの良い食事

栄養バランスの良い食事を心がけ、口内や歯の清掃にも注意しましょう。

嚥下のサポート

食事中には、胸やけ、吐き気、喉の痛み、痰の増加などの症状がある場合には、医師に相談して嚥下のサポートを受けましょう。

適切な姿勢

食事中には、適切な姿勢を保つことが大切です。

横になっていたり、首を伸ばしすぎたりしないようにしましょう。

口腔ケア

口腔内の清潔を保ち、口腔ケアを行うことも予防対策の一つです。

運動

適度な運動を行い、筋力を維持することも誤嚥性肺炎予防に効果的です。

 

関連記事:高血圧の原因になりやすい食事や食べてはいけないものとは?

 

西春内科在宅クリニックができる対応

西春内科・在宅クリニックでは、在宅診療を行っており、誤嚥性肺炎の患者様のご対応をさせて頂くことが非常に多いです。

 

上記の治療をご自宅で行うことも可能です。

 

また、誤嚥性肺炎を引き起こさないよう予防する飲み込みのリハビリテーションや食事指導も、他の医療機関と協力し行っております。

 

飲み込みに不安があるご家族様がいらっしゃったり、誤嚥性肺炎で複数回の入院歴・治療礫のある方は、是非いつでもご相談下さい。




まとめ

高齢化社会となり、ますます一般的となっている誤嚥性肺炎

 

日本の死亡原因の第3位になっていることからも分かる通り、軽症〜死亡に至るまでの重症、様々な状態となります。

 

治療は可能で大半の方が退院・回復されますが、一度誤嚥性肺炎を引き起こすと体力は低下します。

 

最も大切なのは予防ですから、少しでも飲み込みに不安があれば、積極的に医療機関を受診してくださいね。

【チェックリスト掲載】インフルエンザを疑うべき初期症状とは?

インフルエンザ初期症状

 

肌寒い季節がやってきてこれから冬にかけてインフルエンザが流行する季節がやってきました。

 

体調の変化を感じた時、ただの風邪なのかインフルエンザなのかを見極めることはとても重要です。

 

特に、家族や周囲の方への感染を広げないためにも、早期の対策が求められるでしょう。

 

そこで、今回はインフルエンザの初期症状や見分け方、対応策について詳しく解説します。




インフルエンザを疑う初期症状のチェックリスト

 

インフルチェック

 

流行期に体調の変化を感じたら、インフルエンザの可能性を考えてみましょう。

 

以下の症状を確認することで、早期発見につながります。

 

チェックリストに当てはまる症状が多いほど、インフルエンザの可能性が高くなるので、病院の受診を検討しましょう。

 

 

ただし、このチェックリストはあくまでも目安となります。

 

発熱しなくても倦怠感がある場合や、少し体調が悪いかも?といったいつもと様子が違うと感じた場合は、チェックリストに当てはまらなくても、無理せず病院に相談しましょう。

 

早期発見・早期治療が、重症化を防ぎ、周囲への感染拡大を防ぐ方法と言えます。

 

関連記事:インフルエンザのA型とB型の違いとは?知っておきたい基本情報

 

インフルエンザの初期症状が現れる順番は?

 

インフルチェック

 

インフルエンザの症状は、通常の風邪とは違い、急激に現れます。

 

朝は元気でも、午後には体調が一変することも珍しくありません。

 

一般的な症状の進行は、まず体が震えるような悪寒が始まり、その直後に38℃以上の高熱が出ます。

 

続いて、強い倦怠感や関節痛、頭痛などが現れます。

 

ただし、れは典型的な例であり、年齢や体調によって症状の現れ方は異なるので注意が必要です。

 

発熱が最初に来たり、喉の痛みから始まったりすることケースもあるため、先述した通りいつもと違う体調の変化を感じたら医療機関を受診しましょう。




「インフルエンザかも?」と思った時の対応

 

インフルチェック

 

インフルエンザの疑いがある場合は、早急な対策が重要です。

 

以下の対応方法を取ることで早期治療や感染拡大防止につながります。

 

  • 自宅での安静と休養
  • 水分補給
  • 他人への感染を防ぐ
  • 適切な室内環境を保つ

 

これらの対応について詳しく解説しましょう。

 

自宅での安静と休養

 

インフルエンザから回復するために最も大切なのは「休むこと」といえます。

 

十分な睡眠を取って安静にすることで、体の自然治癒力を高め、早く回復することが可能です。

 

もし市販の薬を服用する場合は、医師に相談してからにしましょう。

 

また、無理に体を動かすと肺炎などの深刻な病気を引き起こすリスクが高まるため無理をせずしっかりと休養しましょう。

 

水分補給

 

発熱しているときは水分をこまめに摂取することが非常に大切です。

 

発熱時の発汗は通常の2倍以上の水分が失われることもあり、脱水症状の恐れがあります。

 

そのため、喉が渇いていなくても、定期的に少しずつ水分を摂るよう心がけましょう。

 

また、電解質を含むスポーツドリンクやOS-1、体にやさしい温かいスープなどもおすすめです。

 

体温が上昇しているときは冷たい水よりも、常温か少し温かい飲み物の方が、身体に負担をかけません。

 

他人への感染を防ぐ

 

インフルエンザウイルスは主に咳やくしゃみの飛沫を通じて広がる「飛沫感染」と、ウイルスの付着した物を触ることで感染する「接触感染」の2つの経路で広がります。

 

周囲感染を防ぐためにも、以下の対策を必ず実行しましょう。

 

  • 人混みでのマスク着用
  • 食前や外出後の手洗いの徹底
  • 咳やくしゃみの際は、ティッシュや腕の内側で口と鼻を覆う
  • 使用したティッシュはすぐにフタ付きゴミ箱に捨てる
  • 共有物(ドアノブ、リモコンなど)を触った後は必ず手を消毒
  • タオルや食器の共用は避ける
  • 1時間に1回、5分程度の換気を行う

 

これらの対策を確実に実施することで、家族や周囲の人々への感染リスクを大きく減らすことができます。

 

そして、感染拡大を防ぐためにも、職場や学校には熱が下がってから少なくとも、2日間経ってから戻りましょう。

 

見た目の症状が改善しても、体の中にウイルスが残っており、感染する力があるためです。

 

適切な室内環境を保つ

 

インフルエンザウイルスは乾燥した環境で長く生存するため、部屋の湿度を適切に保つことが重要です。

 

また、適度な室温を保つことで喉や鼻の粘膜が潤い、ウイルスの侵入を防ぐことが可能です。

 

以下のポイントを意識して室内の環境を適切に保ちましょう。

 

  • 湿度は50~60%、室温は20~23℃が理想的
  • 加湿器を利用したり、濡れタオルを部屋に干すことで湿度を上げる
  • 換気を定期的に行う

 

関連記事:インフルエンザの予防は必要?日常でできる予防方法とおすすめの食品を解説

インフルエンザ・風邪・コロナを初期症状で見分けるには?

 

インフルチェック

 

インフルエンザ、風邪、そして新型コロナウイルス(COVID-19)は初期症状が非常に似ており、医師でも症状だけでは診断が難しいことが多いです。

 

確定診断をするためにもインフルエンザ、新型コロナウイルスの検査が必要となります。

 

以下の表に、それぞれの初期症状を比較して示します。

 

症状インフルエンザ風邪新型コロナウイルス
発熱突然の38℃以上の発熱軽度の発熱高熱が出ることも
頭痛強い軽度あり
筋肉痛・関節痛強いなし~軽度あり
倦怠感強い軽度強い
喉の痛みありありあり
鼻水・鼻づまりありありあり
悪寒ありなし~軽度あり
胃腸症状ありなし~軽度あり

 

もしインフルエンザ、新型コロナウイルスが疑わしい症状が現れた場合、自己診断は避けて病院での診断を受けましょう。

 

また、医療機関への受診が難しい場合はオンライン診療の利用を検討してください。




医師の見解

 

インフルエンザ、風邪、そして新型コロナウイルス(COVID-19)に関しては、症状だけで判別することは医師であっても困難です。

 

私の経験では、インフルエンザは突然の高熱(39~40℃)で始まることが多いのに対し、風邪やコロナは喉の痛みや鼻水から始まり、徐々に熱が出てくる傾向があります。

 

ただ例外も多く、基本的には全国的な流行状況、および患者さん周囲の感染状況を参考にしつつ、必要に応じてインフルエンザや新型コロナウイルスの抗原検査を行います。

 

インフルエンザの検査は発熱から12時間以降48時間以内が最適です。

 

発症12時間以内は検査の精度が低く(インフルエンザ検査の正確性は5~7割程度)、かつインフルエンザ治療薬は発症から48時間以内の服用が効果的だからです。

 

治療については、健康な成人の多くは、自然に回復します。

 

インフルエンザ治療薬のタミフルは、解熱時間を約18時間短縮する効果がありますが、副作用の可能性もあります。

 

そのため、メリットやデメリットを踏まえ、患者さんの状態や希望を考慮して処方を判断しています。

 

関連記事:インフルエンザワクチンにかかる費用や値段はどれくらい?メーカーの種類によって効果は変わる?

西春内科・在宅クリニックでのインフルエンザの初期症状への対応

 

当院ではインフルエンザのワクチン接種や抗原検査、処方まで行っています。

 

重症の可能性がある場合は、大きい病院へ紹介することもできます。

 

インフルエンザに関してお困りの際や、ご不明な点がある場合は、お気軽にご連絡ください。




まとめ

 

インフルエンザは、風邪や新型コロナウイルスと初期症状が似ているため、早期の見極めが難しいです。

 

突然38℃の高熱が出たり、関節痛や筋肉痛などの症状が現れた場合は、インフルエンザの可能性があります。

 

早めに対策を取ることで、症状の悪化や感染拡大を防ぐことが出来ます。

 

症状が疑わしい場合は自己診断せず、必ず医師の診察を受けて適切な対応を行ってください。

 

参考文献

 

八木医院|インフルエンザについて

 

冬の感染症② インフルエンザかもと思ったら、どうする?

 

KARADA内科クリニック|コロナ・風邪・インフルエンザの見分け方。感染症専門医が解説

腹痛で辛い時のおすすめ市販薬ランキングを公開!

腹痛時市販薬

 

突然の腹痛は性別や年齢に関係なく誰にでも起こりうる症状です。

 

そのため、適切な対処法を知っておくことが大切です。

 

今回は、腹痛時に効く市販薬を原因別にランキング形式で紹介します。

 

腹痛の原因に合った市販薬を選ぶことで、早期に症状を和らげることができます。




腹痛の原因は痛みの部位によって異なる

 

腹痛が起きる場所によって、考えられる疾患が異なります。

 

そのため、腹痛が生じた際は、まずは痛みの部位を特定し、それに応じた対処を行うことが重要です。

 

上腹部痛

 

腹痛時市販薬

 

上腹部とは、おへその上から胸の下にかけての部分を指します。

 

上腹部に痛みが生じる場合、以下の疾患が考えられます。

 

  • 胃炎
    ストレスや食生活の乱れにより、胃の粘膜が炎症を起こすことがあります。
  • 胃潰瘍
    胃酸が過剰に分泌されると、胃の壁が傷つき、痛みを伴います。
  • 胆石症 
    胆のう(肝臓の下にある小さな袋状の臓器)に石ができ、胆汁の流れが妨げられることで痛みが発生します。
  • 膵炎
    アルコールや膵石が原因で、膵臓に炎症が急激に起こります。
    激しい痛みを伴い、即座に入院治療が必要です。

 

おへそ周辺の痛み

 

腹痛時市販薬

 

おへそ周辺の痛みには、以下の疾患が関連している可能性があります。

 

  • 腸炎
    細菌やウイルスの感染により、腸が炎症を起こしている状態です。
  • 虫垂炎(盲腸)
    初期にはへそのまわりが痛み、次第に右下腹部へ痛みが移動することが特徴です。
  • 腸閉塞
    何らかの原因で腸が詰まり、痛みを伴います。

下腹部痛

 

腹痛時市販薬

 

下腹部とは、おへその下の部分を指し、骨盤に近い領域を含む部分です。

 

下腹部に痛みがある場合、以下の疾患が考えられます。

 

  • 過敏性腸症候群(IBS)
    ストレスや食生活の乱れで腸が過敏になり、下腹部に痛みを感じます。
  • 生理痛
    女性に多く見られる、子宮の収縮が原因の痛みです。
  • 膀胱炎
    膀胱に細菌が感染し、下腹部に痛みが発生します。
  • 便秘痛
    便秘によって腹痛が起こることがあります。


関連記事:発熱で下痢が起こるのはなぜ?嘔吐なしの場合やコロナの可能性を解説

腹痛に効く市販薬の種類

 

腹痛時市販薬

 

腹痛の原因やタイプに応じて、選ぶべき市販薬も変わります。

 

ここでは、代表的な薬の種類とその効果を紹介します。


胃酸の分泌を抑える

 

胃酸過多でお腹が痛くなる時は、胃が必要以上の強い酸を作り出している状態です。

 

ストレスや食べ過ぎ、食事の内容によっても胃酸が増えることがあります。

 

そんな時に効果的なのが、胃酸の分泌量を調整してくれる薬です。

 

例えば、胸焼けや胃の不快感がある時に服用すると、痛みや不快感を和らげます。

 

  • ガスター10
    ヒスタミンH2受容体拮抗薬で、胃酸の分泌を抑えます。
  • ガストール
    胃酸を抑え、余分な酸を中和し、胸やけや胃の不快感を和らげます。
  • パンシロン
    胃酸の抑制や中和、消化促進成分を含む総合的な胃腸薬で、胃の不快感や胸やけに効果的です。

胃の粘膜を保護する

 

胃の内側には粘膜(保護層)があり、胃を食べ物や胃酸から守っています。

 

しかし、ストレスや不適切な食生活が続くと、粘膜が弱くなり、痛みや炎症を引き起こすことがあります。

 

例えば、コーヒーを飲み過ぎた後に、胃がキリキリ痛むことはありませんか?

 

このような時に、薬が粘膜を守り、痛みを和らげます。


  • セルベール
    胃の粘膜を覆って胃酸から保護し、痛みを和らげます。
  • 大正漢方胃腸薬
    生薬成分が胃の粘膜を保護し、胃痛や胸やけを緩和します。
    特に、食べ過ぎや飲み過ぎの不快感に効果的です。
  • パンシロンG
    胃の粘膜を保護しながら、胃酸の過剰分泌を抑え、日常的な胃の不調を改善します。

体内の水分バランスを整える

 

脱水症状や電解質の乱れによって、腹痛が引き起こされることがあります。

 

運動中に汗をたくさんかいた後や、暑い日に水分を十分に摂らない時に腹痛を感じることがあります。

 

このような時は、水を飲むだけでなく、スポーツドリンクで電解質も補うことが大切です。

 

水分と電解質を補給することで体調が整い、腹痛も和らぎます。


  • オーエスワン
    電解質バランスを整え、脱水症状を改善します。
    特に体調が悪い時に適しています。
  • ポカリスエット
    体液に近い成分で、素早く水分補給が可能です。
    運動時や暑い日に最適です。

整腸作用がある

 

整腸作用のある薬は、腸の環境を整えることでお通じを改善し、お腹の不快感を和らげます。

 

普段からお腹が張ったり、ガスが溜まりやすい方には、腸内の細菌バランスを整えることが効果的です。

 

食生活の乱れやストレスで崩れがちな腸の状態を整えることは、毎日の体調管理にも大切な役割を果たします。


  • ビオフェルミン
    腸内細菌のバランスを整え、腹痛を和らげます。
  • ラックビー
    ビフィズス菌を含み、腸内環境の改善に役立ちます。

痛みの感覚自体を鈍くする

 

鎮痛剤は、神経が脳に痛みの信号を送るのを一時的に抑え、強い痛みを和らげる薬です。

 

主に頭痛や筋肉痛、手術後の痛みなどに使用され、腹痛も効果が期待できます。

 

ただし、使用する際は医師の指示を守ることが重要です。


  • ロキソニンS
    強力な鎮痛効果があり、即効性があります。
    頭痛や生理痛、歯痛などに効果的です。
  • バファリン
    炎症を抑え、幅広い痛みに対応します。
    特に頭痛や発熱時に使用されます。




食後・吐き気を伴う腹痛におすすめの市販薬ランキング

 

腹痛時市販薬

 

食後や吐き気を伴う腹痛に対する市販薬を、各種目別に紹介します。

 

1.ガスター10

 

主成分のファモチジン胃酸の分泌を抑え、胃痛や胸焼けに即効性のある薬です。

 

食後の胃酸逆流や胃もたれに効果があり、長時間作用して不快感を速やかに和らげます。

 

また、1日1回の服用で効果が持続するため、忙しい日々の中でも使いやすいのが特徴です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 脂っこい食事を摂った後に胃が重くなる方
  • ストレスで胃酸が増える方
  • 日常的に胃酸の多さが気になる方

 

2.ロキソニンSプラス

 

痛みを抑える成分ロキソプロフェンに加え、胃の粘膜を保護する成分を配合した市販薬です。

 

強力な鎮痛効果がありながら、胃への負担を軽減するため、食後に吐き気や腹痛を感じやすい方でも安心して使用できます。

 

急な痛みや炎症に素早く対応できるのが特長です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 急な痛みや炎症に対応したい方
  • 食後の吐き気や腹痛を和らげたい方
  • 胃への負担が心配な方

 

3.エビオス錠

 

5歳以上の子どもから妊婦、授乳中の方まで、幅広い世代で使用できる市販薬です。

 

主成分のビール酵母にはビタミンB群、ミネラル、アミノ酸など、40種類の豊富な栄養素が含まれています。

 

これにより、胃の粘膜を保護し、消化をサポートするため、食後の胃もたれや吐き気、腹痛に効果的です。

 

さらに、栄養補給にも役立ち、胃腸の調子を整えることで、日常的な胃の不快感を和らげます。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 食後の胃もたれや吐き気がある方
  • 胃腸の働きを整えたい方
  • 栄養不足を補いたい方


関連記事:食べ過ぎて気持ち悪い時の対処法や原因を解説!次の日の過ごし方は?

下痢を伴う腹痛におすすめの市販薬ランキング

 

腹痛時市販薬

 

下痢を伴う腹痛には、次の市販薬がおすすめです。

 

ただし、感染症や食中毒が原因の場合、無理に下痢を止めると症状が悪化することがあります。

 

腹痛の原因を特定した上で使用することが重要です。


1.ストッパ下痢止めEX

 

ロペラミド塩酸塩が主成分で、腸の過剰な動きを抑えることで、即効性のある下痢止め効果を発揮します。

 

口で溶けるタイプの錠剤なので、水なしでも服用でき、急な下痢や腹痛にすぐ対応できるのが特徴です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 急な腹痛や食べ過ぎによる下痢が心配な方
  • 旅行や外出中に下痢が発生しやすい方



2.ビオフェルミン下痢止め

 

ビフィズス菌生薬成分が、腸内環境を整えながら下痢を和らげます。

 

整腸作用が強く、日常的な下痢や軽度の腹痛に効果的です。

 

整腸効果を重視し、腸内環境を改善しながら下痢を治したい方におすすめです。

 

3.正露丸

 

正露丸の主成分であるクレオソートは、木を高温で蒸して作られる成分で、腸内の悪い菌を抑えて下痢や腹痛を改善する働きがあります。

 

腸の異常な動きを整えることで、食中毒や軽い腹痛にも効果があり、原因を問わず幅広い下痢に対応します。

 

独特な香りが特徴ですが、長年使用されている伝統的な成分です。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 多様な下痢の原因に対応したい方
  • 伝統的で安定した効果を求める方

 

下痢症状が強く出る場合は、脱水症状になる恐れがあります。

 

上記の薬に合わせて、「オーエスワン」や「ポカリスエット」で水分と電解質を補充することも大切です。




緊張・ストレスが原因の腹痛におすすめの市販薬ランキング

 

腹痛時市販薬

 

緊張やストレスが原因の腹痛には、次の市販薬が有効です。

 

1.ストレージ胃腸薬

 

ロートエキスパパベリン塩酸塩といった成分を含んでおり、ストレスや緊張で過剰に働く胃の筋肉をリラックスさせます。

 

これにより、胃の動きがスムーズになり、消化不良や食後の不快感を防ぐのに効果的です。

 

特に、ストレスを感じると胃に不調が出やすい方や、食後に胃が重く感じる方に向いています。

 

次のような方におすすめです。

 

  • ストレスで胃が痛む方、または胃の不快感が続く方
  • 胃の緊張をほぐし、胃の働きを整えたい方

 

2.太田胃散

 

ケイヒウイキョウなどの自然由来の成分が多く含まれており、胃の働きを自然にサポートします。

 

特にこれらの生薬は、胃の痛みや胸焼け、消化不良に優しく働きかけ、ストレスで乱れた胃腸を整える効果があります。

 

次のような方におすすめです。

 

  • 胃の不調や消化不良に悩む方
  • 生薬でやさしく胃を整えたい方
  • 穏やかな効果を求める方

 

3.セルベール

 

テプレノンという成分を含み、胃の粘膜を修復・保護する効果があります。

 

これにより、食べ過ぎやストレスなどによって胃が荒れるのを防ぎ、粘膜のダメージを軽減します。

 

次のような方におすすめです。

 

  • ストレスや食べ過ぎで胃が痛む方
  • 胃酸の分泌が多く、胃もたれや不快感を感じやすい方
  • 胃が弱く、日常的に胃のケアが必要な方


関連記事:腹痛と「吐き気」「冷や汗」「顔面蒼白」「下痢」が同時に見られる場合に考えられる原因とは?

腹痛で病院を受診する目安

 

腹痛時市販薬

 

腹痛が起こった時、病院を受診すべきか迷うことがあります。

 

軽い痛みなら市販薬で対応できることもありますが、次のような場合は医師の診察が必要です。


  • 痛みが急激に強くなったり、数日間続いたりする場合
  • 発熱、嘔吐、血便、黄疸などの症状が伴う場合
  • 過去に同じ場所での痛みを経験している場合
  • 痛みが日常生活に支障をきたしている時

腹痛の原因は多岐にわたるため、適切な診断と治療を受けることが重要です。

 

市販薬で一時的に痛みを緩和しても、根本的な原因を見逃す恐れがあるため、早めに医師の診断を受けるよう心がけましょう。




医師の意見

 

腹痛時市販薬

 

腹痛で救急外来に受診しても、3割程度は診断がつかないと言われています。

 

腹痛の原因の中には急性膵炎や、胃潰瘍の穿孔(胃に穴が開く)など、緊急入院や緊急手術を要する致死的疾患もあります。

 

ので、自分で対処して悪化したり、症状が悪化するような場合は、早急に医療機関へご相談いただくのがおすすめです。


関連記事:腹痛が起こる・続く原因のまとめ|緊急性の高い痛みの特徴も解説



西春内科・在宅クリニックでの腹痛への対応

 

当クリニックでは、まず問診・診察を行い腹痛の原因を調べ、必要に応じてCTなども使用し、精密な検査を行います。

 

そして原因や症状に合わせたお薬の処方します。


診察の結果、重症と診断した場合は入院可能な病院へ紹介状の作成が可能です。




まとめ

 

腹痛はその原因に応じた適切な対処が求められます。

 

市販薬を選ぶ際には、原因を考慮して、自分に合ったものを選ぶことが重要です。

 

また、腹痛が長引く場合や症状が重い場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。

 

市販薬はあくまで一時的な対処法であり、根本的な原因を治療するものではないことを忘れないでください。

 

参考文献

 

府中病院|腹痛の部位と症状で考えられる疾患

大阪市立十三市民病院|腹痛について

新型コロナの味覚障害はいつからいつまで?治るまでの期間や治し方を解説

コロナ味覚障害
日本での新型コロナウイルス感染者の中で味覚障害の発生数は、過去の全国調査で年間約24万人と報告されています。

 

決して少ない人数ではなく、味覚障害は誰にでも生じる可能性のある症状です。

 

新型コロナウイルス感染症に罹患した後、ほとんどの方は時間とともに症状が改善します。

 

しかし、後遺症として味覚障害になってしまう人が存在しています。

 

新型コロナウイルス感染症にかかると回復した後にも後遺症として、以下の症状などが見受けられる場合もあります。

  • 微熱・発熱
  • 呼吸困難
  • 倦怠感
  • 脱毛
  • 集中力の低下
  • 精神症状

厚生労働省が改訂した後遺症についての診療の手引きによれば、日本で新型コロナウイルスの代表的な後遺症として以下の症状を含む約20種類の症状が挙げられています。

  • 疲労感・倦怠感
  • 関節痛
  • 嗅覚障害
  • 味覚障害
  • 睡眠障害


後遺症に関して現時点でも不明なことが多く、国内外を含めてさまざまな調査が行われている段階です。

 

今回は、新型コロナウイルス感染症の後遺症である味覚障害や嗅覚障害に関する発症原因や治療方法などについて解説していきます。



新型コロナによる味覚障害の原因


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症や、その後遺症の特徴的な症状として話題になった嗅覚障害は、「嗅細胞」と呼ばれるにおいを感じる細胞がダメージを受けることによって出現することが段々とわかってきました。

 

新型コロナウイルスは、細胞の表面にあるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体という細胞と結合して細胞内に入り込んで増殖します。

 

このACE2受容体は鼻の上皮細胞で多く発現しています。

 

また、このACE2受容体の発現は小児では少なく、年齢を重ねるにしたがって多くなることが報告されています。

 

味覚障害自体の症状は匂いの感覚が弱くなる、あるいは匂いをまったく感じなくなる嗅覚障害に伴う風味障害も同時に発生することによって出現する場合が多くあります。

 

関連記事:倦怠感・だるさが続くのは新型コロナ?後遺症や治療方法などを解説

 

味覚障害のセルフチェック


コロナ味覚障害

新型コロナ後遺症では、味覚障害がみられることがあります。

 

味覚障害とは味に対する感度が低下して、味を感じなくなる状態のことです。

 

特に30歳代以下の若年者に多いといわれています。

 

味覚障害には、以下のチェック項目のなかで1つでも該当すれば、味覚障害である可能性があります。

  • 味を感じない
  • 食べ物がおいしくない
  • 本来の味と違って感じる
  • 常に口の中が苦い
  • 甘みや酸味、塩味など特定の味が分からない
  • 調味料をいつもより多く使うようになった


軽度の嗅覚障害は自覚されにくいことから、客観的な嗅覚検査を行い嗅覚障害の早期診断につなげることが重要です。

 

「簡易嗅覚確認キット」では、嗅覚のみを刺激するニオイ物質を選択して、1キットで複数回利用できる検査手段となっています。

 

以下の症状など嗅覚異常を感じた場合は、ウイルス感染により嗅粘膜がダメージを受けている可能性が考えられます。

  • 急に匂いを感じなくなる
  • 何もないところで匂いがする
  • いつもと同じように匂いが感じられない

 

 

味覚障害はいつからいつまで?治るまでの期間は


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症での味覚障害自体は自然に回復することも多くあります。

 

症状を有する人の60〜80%は2週間以内に改善するとの報告が多く、決して治療を急ぐ必要はありません。

 

味覚障害が出る際には、以下のケースがあります。

  • 新型コロナ後遺症として病気になりはじめの時期から持続するケース
  • 発症直後から回復した後に新たに出現するケース


症状の程度は変化しやすくいったん症状が治まった後に再び症状が現れることもあります。

 

味覚障害や嗅覚障害が治るまでの期間については、症状の経過は個人差があり、一般的に感染後1か月程度で自然に治癒する例が多いと考えられています。

 

後遺症全般では、半数以上が5か月以内に症状の改善を自覚する一方で、1年以上後遺症が続くケースも見受けられます。

 

関連記事:コロナ後遺症による倦怠感の特徴は?受診の目安や対処法について解説

 

そもそも味覚障害とは?


コロナ味覚障害

味覚障害とは

味に対する感度が鈍くなり、味を感じなくなったり、味が分かりづらくなったりする症状全般を「味覚障害」と呼んでいます。

 

味覚障害を発症する人の数は、高齢化やストレスを感じやすい社会のなかで増加傾向を示しています。

 

通常、口に入れた食べ物の味を脳に伝達する「味蕾(みらい)(*1)」という味覚受容器の数が減少すると、味覚が減退して、味覚障害を生じます。

 

味覚異常の原因のうち、ほとんどが味蕾の減少によるものです。

 

しかし、脳腫瘍や外傷などが原因で神経に異常が生じて味が分からなくなる、神経性の味覚障害も存在します。

 

味覚障害の症状は「味覚低下」と「異味覚」の大きく2種類に分けられています。

 

味覚には以下の5種類が存在しています。

 

  • 甘味
  • 酸味
  • 塩味
  • 苦味
  • うま味

 

味覚低下とは、これらの5つの味覚が減退したり、全く感じなくなったりする症状のことです。

 

稀にある特定の味だけを感じなくなることもありますが、ほとんどの例では5つの味覚全てにおいて感度が低下すると言われています。

 

異味覚とは、本来は感じるはずのない味を感じる症状を指しています。

 

例えば口の中で常に渋味が感じられるといった症状が認められます。


味蕾(みらい)(*1)=味細胞の集まりで、甘味・苦味・塩味・酸味などを感じることができる


味覚障害の原因

味覚障害を引き起こす原因について、未だ解明されていない点も多いです。

 

特定の原因だけでなく、複雑な要因が影響し合っている例もあると考えられています。

 

現時点で判明している代表的な原因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 加齢
  • 栄養不足
  • 薬の副作用
  • 慢性的な病気


特に、加齢に伴って味覚障害が多くみられるといわれています。

 

高齢者では加齢によって味蕾の数が減少し、味蕾が味を感じる機能自体も年齢を重ねるごとに低下してしまうのです。

 

そのため、高齢者では味覚障害を生じやすい傾向にあります。

 

若い世代でも、ストレスや偏食などのさまざまな要因によって、味覚障害を起こす場合があります。

味蕾の減少を予防するには

味蕾の新陳代謝に必要不可欠なのが、「亜鉛」という栄養素です。

 

食事から亜鉛の摂取量が不足すると、味蕾に機能低下が生じて味覚に異常が出現する場合があります。

 

亜鉛以外にも、鉄分の摂取不足で鉄欠乏性貧血の状態になると、舌の表面が赤くつるつるになり、味覚障害が起こる場合もあると言われています。

 

さらに、鉄の吸収には「ビタミン」が関連しています。

 

亜鉛や鉄だけでなく、ビタミン不足にも注意することが必要です。

 

ビタミンの中でも「ビタミンB12」の摂取が不足すると、舌の粘膜に異常を生じて味覚障害の原因になることがあります。

 

ビタミンB12以外にも、ビタミンB2の摂取不足によって、口内炎や舌炎といった症状が引き起こされることで味を感じにくくなる場合もあります。

病気の薬の副作用や病気自体が原因になることも

以下の病気などの薬の副作用でも味覚障害を生じることもあります。

 

しかし、多くの場合には服薬の中止と共に徐々に味覚が改善します。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 関節リウマチ
  • パーキンソン病
  • 消化性潰瘍


その他、がんや中耳炎、精神疾患などの病気そのものが原因で味覚障害が生じる場合もあります。

 

特に心身症、神経症、うつなどが関連している心因性の味覚障害については、60代の女性に圧倒的に多く発症するといわれています。

 

新型コロナウイルス後遺症以外での嗅覚障害の原因として最も多いのは慢性副鼻腔炎です。

 

慢性副鼻腔炎は、鼻汁が漏出して鼻づまりを引き起こすなどの慢性的な症状が12週間以上に渡ってなかなか改善しない状態を指しています。

 

この病気は、風邪症状に関連して細菌感染をベースにして急性副鼻腔炎の状態から続発することが知られています。

 

成人では鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)(*2)、小児ではアデノイド肥大(*3)なども発症のリスク因子と捉えられています。


鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)(*2)=鼻中隔が強く曲がっているために、いつも鼻がつまったり、鼻出血が多くなったり、口呼吸やいびきなどの症状

アデノイド肥大(*3)=鼻の突き当たりの部分であり、鼻からのどに移行する部分でもある上咽頭にあるリンパ組織のかたまりをアデノイドいい、このアデノイドが色々な原因で大きくなり、鼻や耳に様々な症状を引き起こすこと


 

 

亜鉛が味覚障害に効果がある?


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症の後遺症としての味覚障害では亜鉛を摂取することで有効性があるかどうかはケースバイケースです。

 

亜鉛不足での味覚障害と診断された場合には、亜鉛を含む薬が処方されるケースが多くなっています。

 

栄養不足が原因の味覚障害では、不足している栄養素を補給することで、すぐに症状の改善がみられるケースもあります。

 

亜鉛の内服薬には、飲み合わせに注意が必要な薬もあります。

 

市販薬などを併用する場合は、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。

亜鉛を多く摂取できる食べ物は?

亜鉛は、以下の食材などに多く含まれています。

  • 生かき
  • 煮干し
  • しらす
  • かつお節
  • ほたて
  • うなぎ蒲焼き
  • 豚レバー
  • 鶏肉
  • 枝豆
  • たけのこ
  • ごぼう
  • 納豆
  • あずき
  • そば
  • 牛乳
  • チーズ


亜鉛とは体内に存在する量が最も多いミネラルであり、生命維持に欠かせない役割を担っている栄養素のひとつです。

 

18歳以上の亜鉛の推奨摂取量は男性では10〜11mg、女性では8mg程度です。

 

厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、亜鉛の平均摂取量は20歳以上の男性で9.2mg、女性で7.7mgになります。

 

そのことから、男女共に推奨されている摂取量よりも実際の摂取量が下回っていることがわかります。

 

亜鉛は主に骨格筋・皮膚・肝臓・膵臓・前立腺・脳・腎臓などの臓器に存在しています。

 

約300種類以上の酵素の構成要素として重要な働きを担っている必須ミネラルの1つです。

 

人の身体は基本的には亜鉛を作り出すことができませんので、普段の食事やサプリメントなどから亜鉛を摂取する必要があります。

 

味覚障害予防のためには、日々の食生活が重要です。

 

普段の食生活で心がけたいことは、以下などが挙げられます。

  • 栄養バランスよく亜鉛や鉄分が多く含まれる食品を積極的に摂取する
  • たんぱく質やビタミンを同時に摂取して鉄分の吸収率を上げる

 

関連記事:動悸や息切れが治らない|原因はコロナの後遺症?ストレス?対処方法について解説

 

漢方による味覚障害の治し方


コロナ味覚障害

新型コロナウイルス感染症の後遺症、あるいは原因が特定できない味覚・嗅覚障害に対しては、漢方薬の使用が検討されることもあります。

 

漢方薬のなかでも、特に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) という漢方薬が味覚・嗅覚障害の症状に対して有効だということがわかってきています。

 

過去の調査では、風邪症状後に特に嗅覚障害を訴える患者さんに当帰芍薬散を服用してもらったところ、3か月で3割以上の人に症状の改善がみられました。


同時に、1年の期間に漢方薬の服用を続けた場合は約8割が症状改善したという報告があります。

 

当帰芍薬散を服用した場合は、自然治癒の場合と比べて、特に嗅覚障害に対する高い治療効果が得られています。

 

さらに、通常嗅覚障害の治療で使用されるステロイド薬と比較しても、当帰芍薬散のほうが高い治療効果を示したとも言われています。

 

味覚障害や嗅覚障害が短期間で劇的に改善する治療法は、現状見つかっていません。

 

しかし、当帰芍薬散の服用を中心に効果的な治療を地道に続けるのが、症状改善に向けた一番の近道と考えられます。

 

その場合は、病院での治療とコロナ専門外来を受診されることをお勧めします。



西春内科在宅クリニックができる対応

味覚・嗅覚障害は通常、自然治癒するとされているため、休息を取ったり生活習慣を整えたりして過ごすことが大切です。

 

しかし、これらの症状が2週間以上続くなど気になる症状がある場合は、西春内科・在宅クリニックを始め、かかりつけ医や近隣の医療機関に相談してください。

 

西春内科・在宅クリニックでは、後遺症に悩む患者さんの症状をお伺いして後遺症が少しでも早く改善されるよう症状に合わせた治療や処置を行っています。

 

新型コロナウイルス感染症に関連した味覚・嗅覚障害が疑われる場合には、嗅覚刺激療法、漢方薬、ステロイド点鼻などの治療を組み合わせて対応します。

 

もし、ご家族や自身について気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。

 

 

まとめ


新型コロナウイルスは肺炎などの呼吸器感染症を発症するとともに味覚障害や嗅覚障害を認めるケースもちらほら見受けられています。

 

後遺症が起こるメカニズムがわかっても、長い間、味覚や嗅覚の異常に悩まされている人は、希望が持てなくなることもあるでしょう。

 

新型コロナウイルス感染症に感染していから、以下の気になる症状などがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 味を感じにくい
  • 変な味がする
  • 食べ物の味が以前と変わった
  • においを感じない
  • 変なにおいがする
  • 何をかいでも嫌なにおいがする


味覚障害や嗅覚障害を認める際には、新型コロナウイルスに感染して後遺症を患っている可能性も想定されます。

 

速やかに最寄りのクリニックや診療所を始めとする医療機関や相談窓口に足を運ぶことをお勧めします。

 

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

参考文献

生労働省HP「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について」

eHealth clinic HP「新型コロナウイルス感染症の後遺症にある味覚障害の特徴とは? ~特に30歳代以下の方に多く発症している~」

アクセス

住所:〒481-0041 愛知県北名古屋市九之坪北浦31(メガネ赤札堂の真向かい)

グーグルマップ詳細はこちら >

電話

LINE友達追加

WEB予約

電話問い合わせ LINE友達登録 web予約