小児の肘内障についての確認方法や、肘内障の再発予防法について
子どもが急に手を動かさなくなった場合、肘内障という病気が考えられます。
小児科医や整形外科医にとってはよくある疾患で、小さなお子さんがなることが多いです。
初めてお子さんが肘内障になった場合、親御さんはとてもびっくりして心配になってしまうと思います。
放置しておくと症状がひどくなる可能性もあるので痛みが出たときに早急に治せるように知識をつけておきましょう。
今回は、肘内障について医師が詳しく解説します。
肘内障(ちゅうないしょう)とは?

肘内障とはひじの「亜脱臼」のことで、ひじの骨の骨頭部にある輪状靱帯(りんじょうじんたい)が外側へずれることによって起きます。
1歳から6歳くらいまでの子供に多くみられ、男女比ではやや女児に多い傾向があります。
以下のような状況の後に、片腕をだらんとしたまま動かさなくなる、というのが典型的な症状です。
肘内障のよくある受傷状況
- 手を繋いでいて転びそうになった子供の腕をひっぱった。
- 手をつないでいた子供が急に走り出した。
- 子どもが転んで手をついたり腕をひねったりした。
- 遊んでいて肘を打った。
- お友達に腕を強く引っ張られた。
状況は多岐にわたりますが、肘内障になると、痛みをともなうため、泣き出す子どもが多いです。
腕を動かすと痛みがあるため、ひじをやや曲げた状態で腕をおなかの近くに置き、動かさなくなります(いわゆる腕をだらんとした状態)。
腕を下げていれば痛みが治まるため、泣きやみますが、治ったわけではありません。
関連記事:捻挫で歩けるけど痛いときは病院に行くべき?重症度チェックも紹介
肘内障かどうか確かめる方法
両手をあげた万歳のかっこうができるかお子さんに聞いてみましょう。
肘内障の場合は腕をあげることができません。
骨折かどうかも確認が必要
肘内障の主な鑑別疾患に骨折があります。
骨折と肘内障では以下のような違いがあります。
骨折
- 痛い部分が腫れてくる
- 手の指の変色(血流悪化)がみられる
- 腕を動かしていないときもずっと痛い
肘内障
- ひじが腫れることはない
- 腕は動かないものの、指は動く
- 手の指の変色(血流悪化)はみられない
- 手に触れられている感覚(触覚)がある
骨折の特徴に1つでも当てはまる場合は、レントゲン写真による検査が必要です。
病院の受診を検討してください。
肘内障の整復方法
肘内障の整復(外れた関節を元の位置に戻すこと)方法には大きく分けて回内法と回外法の2種類があります。
肘内障|回内法
肘関節を軽く屈曲した状態で橈骨頭を手で押さえながら手のひらが下向きになるように腕を回内させる。
肘内障|回外法
肘関節を軽く屈曲した状態で橈骨頭を手で押さえながら手のひらを上向きにして、さらに肘を曲げる。
いずれの方法も、「プチッ」という音とともに関節がはまった感覚があり、しばらくして腕が上がるようになれば成功です。
整復には痛みがともなうため、泣いてしまうお子さんが多いです。
成功率は回内法の方が高いという研究結果が報告されており、回内法を優先的に行うことが推奨されます。
整復後、10分~15分ほど時間を置いてお子さんに「ばんざい」の姿勢をしてもらい、腕が元通り動くようになっているか確かめます。
肘内障の再発予防に必要なことは?
一度肘内障を起こしてしまったお子さんは、その後も肘内障を繰り返しやすくなってしまうことがあります。
予防としては、できるだけ腕を引っ張らないようにすることです。
両親が手をつないで歩いているときは、何かの拍子に強く引っ張ってしまわないよう、気をつけてください。
輪状靱帯が成長するとともに、肘内障を起こす頻度も少なくなってくるので、心配はいりません。
関連記事:内出血の症状について!打撲や腫れたときの対処法を解説
小児の肘内障についてまとめ
お子さんの肘がはずれたと思った場合は、以下のように対応しましょう。
- まず、受傷状況・原因を確認する。
- 両手をあげたバンザイができるかどうか確認する。
- 骨折の特徴に当てはまるかどうか確認する。
- 特徴に当てはまる→レントゲン対応可能な救急病院や整形外科を受診してください。
当てはまらない→肘内障を整復することができる整形外科、小児科などを受診してください。
参考文献
C G Macias , J Bothner, R Wiebe . A comparison of supination/flexion to hyperpronation in the reduction of radial head subluxations. Pediatrics. 1998 Jul;102(1):e10. doi: 10.1542/peds.102.1.e10.
こどもが風邪の時におすすめの食べ物は?ご飯を食べないときの対応を解説!
こどもが風邪をひいてしまい食欲がない場合、心配や不安になってしまう方も少なくないでしょう。
特に乳幼児は自分で症状を詳しく説明できないため、保護者の方々は対応に戸惑うことも。
この記事では、症状別のおすすめの食事から、避けた方がいい食べ物まで、詳しくご説明します。
ご家庭での看病にお役立てください。
こどもが風邪の時にごはんを食べさせた方がいい?
こどもが風邪で食欲不振になった時、多くの保護者の方が「食べないと体力が落ちてしまうのでは?」と心配されます。
しかし、結論から申し上げると、無理に食事をさせる必要はありません。
風邪の初期は、体が自然と食欲を抑制することで消化器系の負担を減らし、免疫機能に体力を集中させているため食欲不振になることがあります。
体調が悪い時は消化器系の働きも弱まっているため、胃腸に負担をかけない方が回復を早める場合があります。
ただし、発熱や下痢による脱水症状を引き起こすことがあるため、水分補給はしっかりと行いましょう。
関連記事:発熱時の入浴はダメ?!入浴の注意点と避けるべきケースを解説
こどもの風邪におすすめの食べ物、避ける食べ物【症状別】
風邪の引き初め
風邪の引き始めは、消化機能が一時的に低下します。
そのため、食物繊維の多い野菜や脂っこい料理、カレーなどの刺激物は控えめにしましょう。
代わりに、煮物や蒸し料理など消化に優しい調理法を選び、薄味で温かい食事を心がけることで、体の回復を助けることができます。
おすすめの食べ物 | 避けるべき食べ物 | |
主食 | ・おかゆ | ・チャーハン |
主菜 | ・白身魚の煮つけ ・湯豆腐 | ・肉料理 |
汁物 | ・具少なめの味噌汁 ・薄味のコンソメスープ | ・ラーメン |
のどの痛み
のどの痛みがある時は、柔らかく刺激の少ない食べ物を中心に選びましょう。
温かい食事は体を温め、冷たい食事は炎症を抑える効果があるため、体調と好みに合わせて選んでください。
おすすめはおかゆや茶碗蒸し、スープ類です。
また、はちみつには抗菌作用があり、のどの痛みを和らげます。
※はちみつは1歳未満の乳児には与えないでください。ボツリヌス菌による食中毒の危険性があります。
おすすめの食べ物 | 避けるべき食べ物 | |
主菜 | ・茶碗蒸し | ・唐揚げ ・固い肉料理 |
副菜 | ・蒸し野菜 | ・生野菜サラダ ・固い根菜類 |
飲み物 | ・はちみつレモン | ・炭酸飲料 ・熱すぎるor冷たい飲み物 |
発熱
発熱時は体の水分が失われやすくなっています。
まずは水分とミネラルの補給を優先し、体力が回復してきたら少しずつ食事量を増やしていきましょう。
また、発熱で体温が上がると、消化器系の働きも低下します。
そのため、消化の良い食事を少量ずつ取ることが大切です。
おすすめの食べ物 | 避けるべき食べ物 | |
デザート | ・プリン | ・アイスクリーム ・バナナ |
飲み物 | ・スポーツドリンク | ・カフェイン飲料(コーヒー・紅茶) ・アルコール類 |
嘔吐や下痢症状があるとき
嘔吐や下痢がある場合、脱水症状に注意が必要です。
水分補給を十分に行いながら、胃腸への負担が少なく消化吸収の良い食事を心がけましょう。
腸の働きが弱っているため、香辛料を使った料理や油っこい食事、乳製品は避け、おかゆや煮込み料理など胃腸に優しい食材を選ぶことが大切です。
また、食事は一度に多く取るのではなく、少量ずつ回数を分けて取ることをおすすめします。
おすすめの食べ物 | 避けるべき食べ物 | |
水分補給 | ・経口補水液 | ・乳製品 ・柑橘系のジュース |
食事 | ・おかゆ | ・生もの |
鼻水・鼻詰まり
鼻づまりがあると、においを感じにくくなることで食欲も低下しやすいです。
温かい食事や蒸気の立ち上る料理は、鼻づまりを和らげる効果があります。
また、ビタミンAやCを含む緑黄色野菜を取り入れることで、粘膜を保護し、ウイルスへの抵抗力を高めることができます。
おすすめの食べ物 | 避けるべき食べ物 | |
主食 | ・温かいそば | ・冷たい麺類 |
汁物 | ・生姜やにんにく入りの温かいスープ | ・冷たい汁物 ・濃すぎるスープ |
飲み物 | ・生姜湯 | ・冷たい飲み物 |
こどもが風邪の時に避けたい食べ物
上記でも簡単に解説しましたが、なぜ脂っこい食べ物や食物繊維の多い食べ物をなぜ避けるべき必要があるのでしょうか。
これらの理由について解説していきます。
脂っこいもの
風邪を引いている時は、消化機能が低下しているため、脂っこい食べ物は控えめにしましょう。
からあげやとんかつ、天ぷらなどの揚げ物は胃腸に負担がかかります。
また、ラーメンなどの脂の多い麺類や、脂身の多い肉料理も避けた方が良いでしょう。
食物繊維の多い根菜類
消化機能が弱っている時は、食物繊維を多く含む根菜類の摂取にも注意が必要です。
特にごぼうや里芋などの固い根菜類は、柔らかく煮込むなどの工夫をしない限り、胃腸に負担がかかってしまいます。
砂糖が多く使用されているお菓子
甘いお菓子は一時的に気分を良くしてくれますが、砂糖の摂り過ぎは免疫力の低下を招く可能性があります。
また、のどの粘膜を刺激する原因にもなるため、風邪の症状を悪化させてしまうことがあります。
カフェインを含むもの
お茶やコーラなどのカフェインを含む飲み物は利尿作用があり、必要な水分が体外に排出されやすくなってしまいます。
特に発熱時は脱水症状に注意が必要なため、カフェイン飲料は控えめにしましょう。
刺激の強いもの
カレーや唐辛子など刺激の強い食べ物は、胃腸の粘膜を刺激する可能性があります。
また、のどの痛みがある時は特に避けた方が良いでしょう。
関連記事:インフルエンザの予防は必要?日常でできる予防方法とおすすめの食品を解説
こどもが風邪の時の食事が出来なくても水分補給をしっかりと!
風邪で食欲が落ちている時は、食事よりも水分補給を優先することが大切です。
特に発熱や下痢の症状がある場合は、体から水分が失われやすい状態になっています。
水分補給の際は、常温か少しぬるめの温度で一度に大量に飲むのではなく、少しずつ、こまめに補給することを心がけましょう。
こどもの年齢や好みに合わせて、以下のような飲み物を選択してください。
乳幼児
- 母乳
- ミルク
幼児以上のこども
- 白湯
- お茶
- スポーツドリンクを薄めたもの
- スープ
- 具の少ないみそ汁
こどもが風邪で食事ができなくても薬は飲ませていい?
お子さんが食事できなくても、医師から処方された風邪薬は基本的に飲ませて問題ありません。
こども用の薬の多くは、空腹時でも副作用が出にくいように作られています。
ただし、薬を飲ませる時は、少量の水やぬるま湯を一緒に与えてあげましょう。
熱や痛みが強い時は、食事ができなくても解熱鎮痛薬を使うことで症状が楽になることがあります。
心配な点があれば、必ず医師や薬剤師に相談してください。
特に「食後に飲む」と指示された薬がある場合や、お子さんが薬を上手に飲めない時は、専門家に相談するのが賢明です。
関連記事:薬を飲み忘れたらどうする?健康への影響や防止のアイデアを紹介
西春内科・在宅クリニックでできること
西春内科・在宅クリニックでは、小児の診察も可能です。
薬の処方から診察、お食事の相談も行っております。
お子様が風邪をひいて食欲がない場合など、お困りの症状がありましたらお気軽にご相談下さい。
WEBから簡単に診察の予約が可能です。
まとめ
お子さんが風邪を引いた時は、無理にご飯を食べさせる必要はありません。
むしろ大切なのは、水分補給と十分な休息です。
食事は無理をせず、体調に合わせて少しずつ食べられるものを与えてあげてください。
日頃からバランスの良い食事と規則正しい生活で、風邪に強い体を作ることが一番の予防です。
心配な時は、遠慮なく医師に相談してください。
参考文献
風邪のときの食べ物はこれがおすすめ! OKな食べ物とNGな食べ物とは
慢性硬膜下血腫を放置するとどうなる?認知症などの症状や手術について
慢性硬膜下血腫は適切な治療と早期発見で治る病気です。
頭を打った後しばらくしてから頭の中に血がたまることで脳を圧迫して以下などの症状が出てきます。
- 頭痛
- 認知症
- 失語
- 麻痺
- ふらつき
高齢者に多く周囲の人がいつも違う様子で気づくことも多いですが、認知症などの精神症状は年齢のせいで気づかれないことも多いため、気になる症状があれば一度検査を受けてみてください。
慢性硬膜下血腫の原因
慢性硬膜下血腫の概要
慢性硬膜下血腫は頭を打った後にしばらくしてから、頭蓋骨の内側で脳を包む硬膜と脳の間に血がたまることで脳を圧迫する病気です。
交通事故など強い衝撃を受けた際に急性期におこる急性硬膜下血腫とは異なり、頭を打った直後に検査を受けて異常がなくても1-3ヶ月ほどして慢性的に血がたまることで症状を来します。
左右のどちらかにできることが多いですが、稀に(10%程度)両側にできることもあります。
血腫ができる理由はまだ完全にはわかっていませんが、脳の表面の細かい静脈が切れて小出血が生じ、そこに炎症が起こり被膜を形成して中に血液がたまり血腫となると言われています。
さらに血腫被膜の中に髄液が流入することや、被膜上の血管からの出血を繰り返すことで血腫が増大していきます。
軽い頭部への打撲や頭部打撃のない転倒
脳に萎縮のある高齢者に多い病気で、家の机や柱で軽くぶつけたといった程度でも起こることがあります。
また10-20%程度の方ははっきりとした頭部打撲歴のなくても起こることがあります。
その他の原因(アルコール多飲、感染症、癌を患っている、動脈硬化、貧血など)
頭部打撲や転倒歴以外の原因としては以下などがあります。
- アルコール多飲
- 感染症
- 癌を患っている方
- 貧血
特に癌の方は稀に硬膜に癌細胞が転移することで難治性再発性の慢性硬膜下血腫を発症する方がおられます。
関連記事:痛風の前兆とは?痛風になりやすい食べ物や食事による原因
関連記事:胃がんの症状は胃炎や胃潰瘍と似ている?【早めの検診を】
慢性硬膜下血腫になりやすい人の特徴
男性の高齢者
一般的に男性の高齢者の割合が多いとされていますが、頭部打撲歴のある方は女性でもなります。
脳萎縮がある方は特に血腫がたまりやすく、また術後再発の可能性が高くなります。
抗血小板薬や抗凝固薬など血をサラサラにする薬を飲んでいる人
脳梗塞や心臓の病気をされたことがある方は抗血小板薬(バイアスピリン、クロピドグレルなど)や抗凝固薬(ワーファリン、イグザレルト、エリキュースなど)を内服されていることが多く、発症リスクは高くなります。
アルコールを多飲する人
アルコールに関しては過去の論文報告からも明らかな差はありませんが、なりやすい傾向、再発しやすい傾向にはあります。
肝臓疾患、血液疾患のある人
肝臓疾患、血液疾患のある方は血小板の数が少ないことや、血液凝固機能に異常があることがありますので発症リスクが通常の方より高くなります。
血液透析をしている人
血液透析をしている方も発症リスクが高くなると言われています。
透析中に抗凝固薬を使用することや、動脈硬化を合併しており抗血小板薬を内服している方が多いことが原因として考えられます。
慢性硬膜下血腫の主な症状
頭痛
血腫が原因で慢性的に頭痛が続いている場合があります。
頭痛は首のこりや筋緊張、片頭痛など原因は様々ありますが、特に頭部打撲歴のある方など症状が続いていれば一度受診して相談してください。
認知症症状
血腫が原因で急速に認知症症状が進行することがあります。
高齢者に多い病気であり元々認知症を患っている方も多いですが、急に認知症が進行した、異常な行動や言動が見られた場合などは血腫が原因のこともあります。
関連記事:認知症が一気に進む原因や知っておきたい予防と対策について
失語
日本人の大半は右利きであり、その内90%程度は左側の脳が優位半球であり言語機能があります。
言語機能がある側の脳に血腫があり脳を圧迫すると、言葉が出にくい、会話が噛み合わないといった失語症状が出ます。
失禁
尿失禁は高齢者の方であれば珍しい症状ではないすが、こちらも急に失禁することが多くなった場合や普通にトイレでできていた方が失禁するようになった場合など血腫が原因となっている場合があります。
麻痺
外来を受診されて慢性硬膜下血腫が見つかる場合で最も多いのは麻痺症状です。
麻痺といっても軽い麻痺であれば違和感程度のこともありますが、どちらかの腕が重だるい、ものをよく落とす、歩いていると左右どちらかに寄っていくなど歩行障害を来して周囲の人から指摘されて見つかるといった場合も多いです。
放置すると意識障害や呼吸停止になることも
慢性硬膜下血腫で緊急性を要することは稀ですが、長期間放置して血腫量が非常に増えた場合は脳を強く圧迫し意識障害や呼吸状態の悪化、最悪の場合は呼吸停止を来し命に危険が及ぶこともあります。
慢性硬膜下血腫の治療について
CT検査やMRI検査
慢性硬膜下血腫が疑われる場合はまず頭部CT検査で診断します。
CT検査で診断することが可能ですが、慢性硬膜下水腫といった似た病気もあります。
慢性硬膜下水腫の場合は基本的に症状を来すこともなく、治療の必要性はありません。
判断が難しい場合はMRI検査を追加で行えば確実に診断できます。
術後も何度かCT検査を行い、再発の危険性がないと判断されるまで1-3ヶ月置きに行うことが一般的です。
薬による治療
血腫の量が少ない場合は症状を来さないこともあり、自然と血腫が吸収されて治る場合もあります。
一般的に薬による治療で効果があると言われているのは五苓散という漢方薬で血腫の吸収を促進する効果があります。
その他にはアドナ、トランサミンといった止血剤薬を用いる場合もあります。
手術による治療
慢性硬膜下血腫により頭痛、麻痺、失語、認知症など精神症状などの症状を来している場合の治療法は手術になります。
手術は局所麻酔で行うことがほとんどであり頭皮を4cm程度切り、頭蓋骨に100玉程度の穴を空けます。
脳の外側にある硬膜という膜を切開し、チューブを挿入して血腫を吸い出して水で洗浄して傷を縫って終わります。
手術時間は30分-1時間程度で、挿入したチューブは1日置いといて翌日に頭部CTで血腫再発がないことを確認してから抜きます。
経過が順調であれば1週間程度で退院可能となります。
また稀に石灰化した血腫や難治性の場合は全身麻酔下で開頭手術になる場合もあります。
慢性硬膜下血腫の再発と後遺症について
手術後の再発率は約10%
手術後に症状が良くなっても再発する方がおられ、約10%程度と言われています。
再発した場合も血腫が少なく無症状であれば薬による治療で治ることもありますが、再度症状を来す場合には再手術が必要になります。
多くは前回治療した場所と同様の傷、頭蓋骨の穴を用いて行うことができます。
早期発見と適切な治療で症状は良くなる
慢性硬膜下血腫によって起こっている症状は適切な治療を行い血腫が無くなれば良くなることがほとんどです。
早い方であれば手術直後に麻痺や失語、頭痛症状が良くなる方もおられます。
血腫による麻痺や歩行障害などの症状は血腫が無くなれば良くなりますが、発見が遅れれば廃用による筋力低下や身体機能低下によって以前のような状態に戻ることが難しくなる方もいます。
治る病気と言われますが意外と半年~1年後の良好な経過をたどる方は70%程度になります。
さらに血腫が非常に増えた場合は意識障害を来し命に危険が及ぶこともまれにありますので、気になる症状があれば早めに相談してください。
頭を打って頭痛が続く、ふらつきがある人はCT検査を
頭をぶつけたけどその時はなんともなかった、検査したけど異常がなかったという方でも、しばらくして最近頭痛が続いている、歩くときにふらつく、しゃべりにくいといった症状が出てきた方は一度頭部CT検査を受けられることをおすすめします。
また高齢の方は血液をさらさらにする薬を内服されている方も多いので、頭部をぶつけた覚えがないといった程度の軽微な打撲でも起こることがあります。
気になる症状があれば一度頭部CT検査を受けることをおすすめします。
関連記事:介護が必要になる原因で多いフレイル(高齢による衰弱)とはどんな状態なのか?
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックにはCT機器を導入しており、常勤医にはレントゲンやCT画像の読影の専門家である放射線科専門医がおります。
頭部CT検査により慢性硬膜下血腫を含む治療が必要な病変が見つかった場合には、脳神経外科の診療が可能な病院をご紹介させていただきます。
まとめ
慢性硬膜下血腫は頭部打撲後にしばらくして発症する病気であり、頭痛やめまい、手足の麻痺、言語障害など様々な症状を来しますが、適切な治療をすれば症状が改善する病気です。
思い当たることがあり、ご心配な方はいつでも当院へご相談ください。
悪性腫瘍ってなに?がんも含まれる?それぞれの症状や種類、特徴について
悪性腫瘍は放置しておくと進行し命に関わる疾患です。
もし悪性腫瘍を疑う場合は、医療機関での早期発見・早期治療が大切になってきます。
本記事では悪性腫瘍がどのようなものか、種類や主な症状などについて詳しく解説します。
悪性腫瘍とは
医学的に腫瘍というのは、体の中にできた何かしらの細胞のかたまりのことです。
そして、腫瘍には悪性腫瘍と良性腫瘍があります。
本来、人間の正常な細胞は体の中でバランスよく保たれています。
例えばケガをしたとき、多少の傷跡は残るにしろ元通りになるように再生しますが、過剰に細胞が増殖していくことはありません。
しかし、何らかの原因でできた異常な細胞が、体の中で無秩序に増殖して細胞のかたまりを作ることがあります。これを腫瘍と呼びます。
その腫瘍の中でも、悪性腫瘍とは、増殖した細胞が周囲組織まで侵入し悪性影響を及ぼしたり(浸潤といいます)、体の中の他臓器に飛んで行って別の場所でも増殖する能力(転移といいます)を持つものを指します。
一方で良性腫瘍は、悪性腫瘍にみられるような浸潤や転移をせず、周囲組織を押しのけるようにしてゆっくりと増えます。
がんは悪性腫瘍に含まれるのか
「がん」は悪性腫瘍全体を指す
では“癌”と“がん”はどのように使い分けられているのでしょうか。
ひらがなで書く“がん”は先ほど説明した悪性腫瘍とほぼ同義で使われます。漢字で書く“癌”は悪性腫瘍の中の上皮性腫瘍を指します。
がんは、大きく以下の3つに分類されます。
まず1つ目は上皮細胞から発生するがんです。これは皆さんが一般的にイメージするがんであると思います。
例えば、以下などが挙げられます。
- 肺がん
- 乳がん
- 胃がん
- 大腸がん
- 子宮がん
- 卵巣がん
2つ目は非上皮性細胞から発生するがんで、医学的には肉腫と呼ばれるものです。
筋肉・線維・骨・脂肪・血管・神経など非上皮性細胞から発生した悪性腫瘍をさし、具体的には以下などが挙げられます。
- 骨肉腫
- 横紋筋肉腫
- 脂肪肉腫
- 血管肉腫
3つ目は血液のがんと呼ばれるものです。以下などが挙げられます。
- 白血病
- 悪性リンパ腫
- 骨髄腫
胃にできる悪性腫瘍は胃癌だけかというと、そうではありません。胃癌も胃肉腫もあります。
その理由は、胃がどのように構成されているかというところにあります。
実は胃壁は内側から外側へ向かって粘膜、粘膜下組織、筋肉(平滑筋)、漿膜下組織、漿膜と層構造をなしています。
胃の一番内側にある粘膜から発生する悪性腫瘍を胃癌と呼び、粘膜以外から発生するものに胃肉腫やGISTというのがあります。
しかし、骨は非上皮性のみで上皮性成分がないため発生する悪性腫瘍は骨肉腫のみで、骨癌は存在しません。
また、まれに1つの腫瘍の中に両者が混在する癌肉腫というものも発生します。
「癌」はその一部の上皮性腫瘍だけ
悪性腫瘍のうち、癌と呼ばれるのは上皮性腫瘍のみです。
上皮とは、体の内側を覆う組織をさし、専門的には上皮には扁平上皮および腺上皮があります。
どの部位の悪性腫瘍を癌と呼ぶかは解剖学的な知識が必要になりますが、簡単に言うと消化管や気道などの内側から発生するものか、体の表面を構成するもの、臓器などをおおうものです。
以下などが挙げられます。
- 肺癌
- 乳癌
- 胃癌
- 大腸癌
- 子宮癌
- 卵巣癌
- 舌癌
- 前立腺癌
悪性腫瘍の種類と主な症状
癌
癌の種類は多数ありますので、代表的なものを記載します。
大腸癌
大腸癌は、大腸(結腸・直腸)に発生する悪性腫瘍で、腺腫という良性のポリープががん化するものと、正常粘膜から直接発生するものがあります。
早期癌の段階ではほとんど自覚症状はなく、進行してから症状が出現します。
代表的な症状としては以下などです。
- 血便がでる
- 下血する
- 便が細くなる
- おなかが張る
早期癌の段階で発見するためには、健診や人間ドックを欠かさず便潜血検査を行うか、定期的な大腸内視鏡検査を行うことをお勧めします。
肺癌
肺癌は肺組織にできる悪性腫瘍です。
発生する場所にもよりますが早期がんの段階では自覚症状が乏しいことが多く、進行してくると頑固な咳、胸痛、血痰、声枯れなどが出てきます。
肺癌は、喫煙や受動喫煙によって発症リスクが高まることが知られていますが、たばこに関係なく発症する肺がんもありますので注意が必要です。
喫煙者は禁煙をすることが大事な予防策になり、胸部レントゲンや低線量CT撮影を行うことなどが早期発見につながります。
膵臓癌
膵組織(膵管や膵実質)にできる悪性腫瘍を指します。
早期の段階ではほとんど自覚症状がなく、早期発見が極めて難しい癌としてしられています。
進行した際に現れる主な症状は、以下の通りです。
- 腹痛
- 背部痛
- 食欲不振
- 黄疸
突然糖尿病を発症したり、糖尿病患者さんの血糖のコントロールが急激に悪化するなどで気が付かれることもあります。
肉腫
体全体にできる肉腫のうち、骨にできる肉腫は全体の約25%を占めます。
ただし骨の肉腫自体も非常に珍しく、日本全体でも患者数は年間500人~800人程度と報告されています。
骨にできる肉腫の中に、以下などが挙げられます。
- 骨肉腫
- 軟骨肉腫
- ユーイング肉腫
- 骨巨細胞腫
その中の骨肉腫は、10~20代の若年者の膝周囲や肩周囲に発生することが多いとされています。
主な症状は肉腫ができた部位の痛みですが、レントゲン検査で骨に変化があらわれるまで症状が出ないことも珍しくありません。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、血液細胞の白血球の中の、成熟したリンパ球ががん化したものです。
癌化したリンパ細胞が、リンパ節内などで無秩序に増えていきます。
リンパ節メインに腫瘍が発生した場合は、首や腋、足の付け根などにしこりを触れることで気が付く場合もあります。
また、腹腔内臓器に現れる変化では脾臓が腫れることが多く、おなかが張った感じがすることもあります。
リンパ節以外にも、皮膚や消化管、肺、肝臓、脳など様々な臓器にリンパ腫ができることがあり、できた部位の臓器に特有な症状が出現するため、症状はさまざまです。
その中でも、悪性リンパ腫に特徴的な症状として、以下などがあります。
- 長く続く微熱
- 寝汗
- 体重減少
白血病
白血病は誰しも聞いたことがある病名だと思いますが、実は急性白血病と慢性白血病に分かれ、またそれぞれのなかに細分化された病名があります。
急性白血病
その名の通り病状の進行経過が早く、放置すれば必ず命を落としてしまう病気です。
血液は骨髄の中にある造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板などに分化成熟していきますが、急性白血病はその造血幹細胞から、成熟した細胞に分化する途中の段階で成熟が止まり、機能をほとんどもたない細胞が無秩序に増えてしまう病気です。
その結果、貧血になったり、白血球が減少し感染症にかかりやすくなったり、血小板の数が低下して出血が止まらなくなるという症状が起こります。
慢性白血病
慢性白血病は急性白血病と違い、細胞としての機能をもった細胞が無秩序に増えすぎてしまう病気です。
慢性期という症状が緩やかに進む段階ではあまり自覚症状はなく、あっても軽い倦怠感や体重減少などです。
徐々に進行して移行期になると、貧血や持続的な発熱などがみられるようになります。
最終的には急性転化と呼ばれる時期になり、急性転化になると機能をもたない白血病細胞が際限なく増え続ける状態となり、急性白血病のような状態になります。
その結果、貧血、血が止まりにくく出血する、感染症に対する免疫力が落ちて高熱をだすなどの症状が見られます。
少しでも違和感を感じたらすぐに病院へ
がんは少しずつ大きくなる
悪性腫瘍は自覚症状がない間に発生し、徐々に進行しています。がんの種類によっても様々ですが、大腸がんを例にとって説明させていただきます。
大腸がんは若い人に少なく中高年から徐々に患者数が増えてきます。
これからわかるよう、日々の生活習慣などが原因で年齢を増すごとに細胞DNAなどに障害が起きやすくなり、その結果癌化しやすくなると言われています。
また、早期がんが発生したとしても、気が付いていないだけで、症状が出現する進行がんになるまでには1年以上かかるとされています。
つまり、癌は突拍子もなくできることは少なく、少しずつ変化しながら発生してきます。がんは早期の段階で発見し治療するのと、進行がんになってから治療するのではその後の経過が大きく変わります。
早期発見、早期治療をするためにも、少しでも違和感があれば早めに医療機関を受診しましょう。
症状がなかなか治らない
悪性腫瘍の中には、全く症状がなかったり、見た目ではどこが異常なのか分からないことも多いです。
しかし、例えば、胃に腫瘍ができ徐々に進行してくるにつれて、食欲不振が続く、薬ではなかなか治らない腹痛や嘔吐が出現する、徐々に体重減少が進むなどの持続的な症状が認められます。
また腹痛などの症状がなくとも、最近少し元気がない、といったことが悪性腫瘍の症状である場合もあります。
悪性腫瘍に伴う症状は、悪性腫瘍を治療しないかぎり治らないため、軽い症状だとしてもなかなか治らない症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
出血しやすい
悪性腫瘍が発生した場合は、いろいろな症状とともに出血しやすくなります。いくつか例を挙げて説明させていただきます。
咽頭・気管・肺などの呼吸器関連の臓器に悪性腫瘍ができ、症状が進行すると血が混じった痰がでることがあります。
悪性腫瘍から出た新鮮な赤色の出血が痰に交じってでてくる場合や、肺の中にたまった血が時間をおいてから黒色血痰となって出てくる場合もあります。
食道・胃・十二指腸など上部消化管に悪性腫瘍ができた場合も同様に、悪性腫瘍から出血吐血などとして出血しやすくなります。
上部消化管の出血は、腫瘍から出血したものが胃にたまり、血液中の鉄分が胃酸により酸化されるため嘔吐・吐血した場合赤黒い色となります。出血量が多いときは黒色便として排泄されることもあります。
血液がんなどでは、血小板減少によって出血しやすくなることもあります。血小板は血液中の止血作用を有する細胞の一種です。
血液がんなどで血液中の血小板数が減少すると、容易に出血が起こりやすく血が止まりにくくなります。
その主な症状としては、以下などです。
- どこにぶつけたかも覚えていなけど青あざができる
- 指先に点状出血がみられる
- 鼻血や歯肉出血がでやすくなる
出血しやすい症状は、通常の疾患では起こり得ず、詳しく検査が必要です。気になることがあれば早めに医療機関を受診しましょう。
CT検査やMRI検査で早期発見につなげる
悪性腫瘍の早期発見には、CTやMRIのような検査はとても有用です。どちらの検査がより有用ということはなく、それぞれの検査の得意不得意があるため、どちらも適応が正しければとても有用な検査です。
CTとは「Computed Tomography(コンピューテッド・トモグラフィ/コンピュータ断層撮影)」の略で、X線を用いて人体の内部の正確な輪切り画像を作り出す機器です。体の周り360度方向から円周状にX線を照射し、集めた情報をコンピュータが映像化します。
近年は技術の進歩により被ばく量は少ないが解像度もとても高くなったため、小さい負担で小さい腫瘍も見つけることが可能になっています。レントゲンと並ぶ一般的な画像診断方法として、多くのクリニック・病院に普及しています。
CTの得意分野は、臓器の形態が崩れたときなどです。具体的には、胸部レントゲンでは判別できない早期肺癌の検出が可能であったり、肝臓や腎臓、膵臓などの実質臓器の腫瘍を見つけることが可能です。
しかし胃、大腸という管腔臓器の早期がんの発見は苦手で、これらの臓器の早期がんには内視鏡検査が適しています。MRIは「Magnetic Resonance Imaging(マグネティック・レゾナンス・イメージング/磁気共鳴画像診断)」の略で、磁力を使って得た体からの信号をとらえて映像化します。
CTの方が解像度は高いですが、CTでは見つけられない変化を描出できることも多く、被ばくの心配がないなどのメリットもあります。腹部や骨盤内の腫瘍のがんの検出度は高く、また脳梗塞や脳腫瘍といった脳疾患に対してはMRIの方が適しています。
悪性腫瘍が心配な人はCT検査をおすすめ
悪性腫瘍が心配な人がどのような対応ができるのかというと、予防と早期発見です。
普段の食事・運動・ストレスなどの生活習慣を見直すことで予防をし、健診などを受けて早期発見をすることがとても大切です。
特に、自覚症状がない人は、がん検診などをする意欲がわかないかもしれません。
ただ日本人の2人1人ががんになると言われている時代です。
少しでも違和感や心配事があれば早めに医療機関を受診し、CT検査などの必要性を主治医と相談してください。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックにはCT機器を導入しており、常勤医にはレントゲンやCT画像の読影の専門家である放射線科専門医がおります。
頭部CT検査により悪性腫瘍を含む治療が必要な病変が見つかった場合には、脳神経外科の診療が可能な病院をご紹介させていただきます。
まとめ
悪性腫瘍に対して大切なのは、予防することと、早期発見・早期治療につなげることです。
普段から自分の体の状態を知っておくことが大切で、その時には身近なかかりつけ医は力強いパートナーになってくれます。
少しでも心配事があれば早めに医療機関を受診し相談しましょう。
参考文献:
・国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/bone_sarcomas/index.html
・愛知県がんセンター
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/18akuseirinpa.html
・愛知県がんセンター
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/20hakketsu.html
監修医師:
外科専門医 Dr.梅村 将成
特定疾病と特定疾患の違いとは?|高齢者の介護保険について
こんにちは。西春内科・在宅クリニックの伊藤です。
今回は病気ではなく、行政サービスである介護保険についてです。
家族が特定疾病(とくていしっぺい)と診断されたときには介護保険が利用できます。
これは自動的に付帯するものではなく、自身でサービスの申請を行うことが必要です。
知らないままですと受けられるはずだった補助が受けられなくなってしまいます。
今回はこの介護保険、特定疾病についてわかりやすく説明していきます。
特定疾病と特定疾患の違い

皆さん、特定疾病(とくていしっぺい)と、特定疾患(とくていしっかん)の違いについて知っていますか?
ここを理解しておかないと、介護保険制度を上手に活用することはできません。
まずは、この特定疾病と特定疾患について簡単に説明します。
特定疾病とは
特定疾病とは、介護保険施行令によって定められている16の病気のことを指します。
その多くの発症が加齢と関連していると考えられています。
詳細な病名については後ほどご説明します。
特定疾患とは
特定疾患とは2014年頃までは厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の対象に指定されている疾患とされていました。
現在は難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)ができたことにより指定難病と呼ばれ、300以上の疾患が該当します。
16種類の特定疾病一覧
厚生労働省が選定する特定疾病を順に紹介していきます。
① がん
知っている方も多いと思いますが、悪性腫瘍を総じて「がん」と呼びます。
※医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。
ここには肺がんや胃がんなどのほかにも、悪性リンパ腫や白血病といった血液がんも含まれます。
回復の見込みがない状態とは、治癒見込みがないことであり、状態によっては抗癌剤治療中でも介護保険サービスを受けることが可能です。
関連記事:肺がんの初期症状や原因、ステージ(進行度)について
関連記事:胃がんの症状は胃炎や胃潰瘍と似ている?
② 関節リウマチ
免疫の異常によって関節に影響を及ぼす慢性炎症性疾患をいいます。
40~60歳代の女性に多い疾患です。
③ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
原因不明の運動ニューロン(神経細胞)が障害されることによって全身の筋肉が衰えていく疾患となります。
関連記事:【高齢者の筋力低下】サルコペニアとは?症状やフレイルとの違い、診断基準について
④ 後縦靱帯骨化症
背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨に変化してしまうことで、脊髄や脊髄から分枝する神経根が圧迫されて、感覚障害や運動障害などの神経症状を引き起こす病気です。
⑤ 骨折を伴う骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨の強度が弱くなりもろくなった状態を骨粗鬆症といいます。
転倒などにより大腿骨(ふとももの骨)や、椎骨(背骨)の骨折を起こすことが多くなります。
関連記事:【高齢者に多い骨折】骨粗しょう症とは?薬を飲みたくない人向けの予防法や治療法はある?
⑥ 初老期における認知症
脳の病気や障害などの原因で、認知機能が低下(記憶障害、行動障害など)し、日常生活に支障が出てくる状態です。
加齢に伴う物忘れとは異なります。
アルツハイマー型認知症が有名ですが、他の原因でも起こることがあります。
関連記事:認知症における顔つきが変わる理由と初期症状や代表的な種類について
関連記事:認知症の検査方法と費用について|治療の副作用は?|検査を拒むときはどうすればいい?
⑦ 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】
神経変性疾患とよばれ、以下などの症状が代表的です。
- 振戦(しんせん:体の一部のふるえ)
- 筋固縮(筋肉のこわばり)
- 無動(動きが遅くなる)
- 姿勢反射障害(姿勢を保てない)
ゆっくりとし進行していきます。
関連記事:パーキンソン病になりやすい人の特徴や症状とは?|原因から治療、社会サービスの解説
⑧ 脊髄小脳変性症
小脳を中心とした神経の変性によって生じる病気の総称となります。
以下などの小脳性運動失調の症状が特徴的です。
- 箸を使う・字を書くなどの細かい動きがしにくい
- 歩行時のふらつき
- 呂律が回らず言葉が滑らかに出ない
⑨ 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症とは、背骨(脊椎)の中心にあり、神経が通っている脊柱管が狭くなることで神経が圧迫されてしまい、痛みやしびれを引き起こす病気のこととなります。
歩いているとだんだん腰痛や足のしびれといった症状が現れ、少し休むと回復する間欠性跛行(かんけつせいはこう)になるのが特徴的です。
症状がひどくなっていくと、以下などの症状が見られることもあります。
- 筋力低下
- 運動障害
- 排尿・排便障害
この病気は加齢や背骨の病気などの影響で背骨、椎間板、靱帯などが変形することが原因で起こります。
⑩ 早老症
以下など、実際の年齢よりも早く老化の兆候が現れる病気を総じて早老症と呼びます。
- 若年性白内障
- 白髪
- 脱毛
- 鳥様顔貌(鼻がとがって鳥のような顔つきになる)
- 軟部組織の石灰化
遺伝子の異常によって引き起こされ、進行すると糖尿病や骨粗鬆症、高脂血症、がんなども起こります。
⑪ 多系統萎縮症
原因不明の以下などの神経症状が組み和わせて発生する疾患を総じて多系統萎縮症と呼びます。
- 自律神経症状
- パーキンソン症状
- 小脳症状
関連記事:自律神経失調症のセルフチェック26項目!こんな兆候は危険かも?
⑫ 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
これら3つの疾患は糖尿病が進行した場合起こる三大合併症となります。
糖尿病だけでは特定疾病ではありませんが、これらの診断基準を満たした場合、特定疾病として認められます。
糖尿病性神経障害
運動神経、感覚神経、自律神経のいずれも障害を受けることがあります。
手足のしびれや痛みを感じることもありますが、逆に痛みを感じなくなることもあります。
立ちくらみなども起こることがありますが、神経の種類、障害の程度によって症状が異なります。
糖尿病性腎症
高血糖状態が続くことで腎臓の働きが低下してしまい起こります。
症状が進むにつれて、むくみや息切れなどから始まり、最終的には透析が必要になってしまいます。
糖尿病性網膜症
目の網膜にある血管が傷ついて出血してしまう病気です。
飛蚊症や視野がかけることもあり、進行すると失明にもつながります。
関連記事:知らないと危ない糖尿病の症状と合併症について
関連記事:生活習慣病の方は注意!動脈硬化が引き起こす命に関わるリスクについて
⑬ 脳血管疾患
代表的な病気として脳出血、脳梗塞などがある、脳の血管の異常によって起こる疾患の総称です。
顔面や手足の片側の麻痺やしびれ、記憶障害など障害をうけた部位や程度によって症状は大きく異なります。
特定疾病と認められない場合として外傷(事故など)が原因で発生したものがありますので注意が必要です。
関連記事:脳梗塞後遺症について知りたい|どんな症状やリハビリがある?
関連記事:知ってほしい脳卒中の危険な前兆・症状や脳梗塞との違いは?
⑭ 閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化を原因として足の血管が細くなったり詰まったりすることで起こる病気になります。
足先まで血液が届かなくなるので、足先の冷えや痛み、歩いているとだんだん足のしびれや痛みといった症状が現れ、少し休むと回復する間欠性跛行(かんけつせいはこう)といった症状が現れます。
さらに血流が悪くなると足に潰瘍ができ、最悪の場合壊死してしまうこともあります。
無症状の動脈硬化のみでは特定疾病とは認められません。
⑮ 慢性閉塞性肺疾患
慢性閉塞性肺疾患とは、気管支喘息、気管支炎、肺気腫などの肺の働きを低下させる病気の総称となります。
息切れや咳・痰などの症状を認め、喫煙習慣が大きな原因となっています。
関連記事:動悸はどんな病気の症状?セルフチェック項目や治し方を紹介
⑯ 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
変形性関節症とは、加齢によって関節のクッションとなる軟骨がすり減り炎症を起こしてしまうことで起こる病気です。
はじめは動き始めるときの関節痛程度ですが、進行すると歩行時にも痛みが出てきて、日常生活に支障をきたすこともあります。
特定疾病と診断されるとどのようなサービスを受けられるのか
特定疾病と診断されて、要介護認定を受けた場合には以下のサービスを受けることが可能です。
要支援1あるいは2に認定された場合は、要介護認定よりも受けられるサービスの内容が少なくなります。
(要支援認定の場合◎で示したもののみ受けることができます。)
〇訪問介護(ホームヘルプ)
◎訪問入浴
◎訪問看護
◎訪問リハビリ
〇夜間対応型訪問介護
〇定期巡回・随時対応型訪問介護看護
〇通所介護(デイサービス)
◎通所リハビリ
〇地域密着型通所介護
〇療養通所介護
◎認知症対応型通所介護
◎短期入所生活介護(ショートステイ)
◎短期入所療養介護
◎小規模多機能型居宅介護
〇看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
〇介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
〇介護老人保健施設(老健)
〇介護療養型医療施設
◎特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)
〇介護医療院
◎認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
〇地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
〇地域密着型特定施設入居者生活介護
◎福祉用具貸与
◎特定福祉用具販売
要介護認定を受けるには
要介護認定を受けるためにはお住いの自治体の窓口での申請が必要です。
本人による申請が難しい場合は、家族あるいは地域包括支援センターなどが代理申請することができます。
申請すると自治体の調査員が自宅を訪れ、認定調査が行われます。
認定調査の結果と主治医となっている先生からの意見書の結果をもとに審査が行われ要介護度が決まります。
結果は申請から原則30日以内に通知されます。
第2号被保険者でも介護保険制度は受けられるのか
介護保険が適用されるのは原則として65歳以上の第1号被保険者となります。
しかし例外として、40歳~64歳の第2号被保険者も特定疾病により要介護状態になった場合は要介護認定を受け、介護保険を利用できます。
もし家族が特定疾病と診断されたときの対応
ご家族が特定疾病と診断されたときには介護認定を受けて、介護保険を利用することができます。
介護認定を受けたのち、ケアプランを作成することで先述した様々な介護サービスを受けることができます。
審査期間中から介護サービスを受けたいと思った場合、結果が通知される前であっても、申請日にさかのぼって保険給付を受け、サービスを受けることが可能です。
ただし、要介護・要支援認定を受けることができなかった場合には、利用したサービスは全額自己負担になってしまいますので注意が必要となります。
また、認定の程度によって給付額が異なるため、想定とは異なる自己負担が発生する場合もあります。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックを受診いただきますと、主治医意見書を作成することができます。
また、定期的な診察、状態によっては定期的な往診を行うことができます。
介護保険について気になる方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
介護保険、特定疾病についてご理解いただけたでしょうか。
介護保険サービスは様々なものがあることが分かってもらえたかと思います。
これらのサービスは申請しないと受けることができません。
知らないまま過ごしてしまうと、損をしてしまうこともあります。
自身が・家族が受けられるかどうかわからないといった際は西春内科在宅クリニックを受診しご相談ください。
参考文献
厚生労働省ホームページ「公表されている介護サービスについて」
風邪で病院へ行くべきか?受診する目安や行くタイミングを解説

風邪とは正式には「風邪症候群」という名称です。
鼻水や喉の痛み、軽い咳などを代表的な症状とする急性上気道炎の総称です。
ほとんどの場合は安静にして水分や栄養をしっかりと取ることで数日~1週間程度で改善されます。
そのため、通常の風邪ということであれば慌てて病院を受診することはありません。
しかし、なかには後遺症や重症化する感染症の可能性があり、病院を受診すべき場合もあります。
今回は、そんな風邪をひいたときに病院へ行くべきかなどについて詳しく解説していきます。
風邪で病院に行くべき目安とは?
風邪の初期症状は主に鼻水や喉の違和感です。
そのため、以下の場合には病院への受診が望ましいでしょう。
- 喉の痛みやひどい咳
- 高熱が出る
- 数日しても症状が改善しない
風邪症候群では、鼻水や喉の違和感が症状の中心です。
喉の痛みや咳、発熱は軽度にとどまることが多く、数日で症状は改善しはじめて、1週間~10日後には症状がなくなることが多いでしょう。
ただし近年の新型コロナウイルス感染症の蔓延後(2019年3月頃)以降、蔓延防止のために軽微な症状でも新型コロナウイルス感染症の検査が必要になりました。
昨今(2022年10月現在)では、withコロナに向けた政策が進み、無症候患者や濃厚接触者は十分な感染対策を行ったうえであれば買い物などの必要最低限の外出は許容されるようになりました。
国によっては行動制限を解除していたりと、新型コロナウイルス感染症に対しての制限が緩みつつある一方で、定期的な感染の拡大が続いています。
ワクチンの効果もあってか重症化率は少なくなってきたものの、重症化したり後遺症が残ったりする人が一定数みられ、また感染力がより強い株が出現するなど予断を許さない状況のままです。
感染経路がわからない陽性者も多く、周囲に陽性者がいなくても罹患している可能性があるため、現段階では軽微な症状でも病院に受診して検査を受けることを推奨します。
熱がなくても病院に行くべき?
熱がない場合でも喉の痛みや咳などの症状が強い場合には病院を受診をしましょう。
例えば百日咳では発熱はあまりありませんが、激しい咳が続き、一歳以下の乳児、とくに生後6ヵ月以下の子どもでは亡くなってしまうこともあります。
新型コロナウイルス感染症蔓延後は発熱がなくても、喉の違和感や咳などの上気道症状があれば、受診をして新型コロナウイルス感染症の検査(抗原検査やPCR検査)を受けましょう。
風邪をひきはじめたときの自宅でできる対処法
風邪の引き初めには水分や栄養をしっかりと摂取して安静に過ごすことが重要です。
市販薬を含めて症状を抑える薬剤も使用しながら、しっかりと休息をとるようにしてください。
症状がひどい場合には栄養不足や睡眠不足などになりやすいため、ゼリーや栄養補助食品などの摂取や薬剤を用いて症状をしっかりと抑えることが大切になります。
また、ウイルスの多くは空気が乾いているときに拡散しやすく、乾燥は気道内の防御機能を低下させるため、加湿器などを用いて室内の湿度を保つことも有用です。
発症後の対処も重要ですが、風邪は予防をすることが非常に重要です。
風邪にかからない、うつさないためにも以下などを心かけてください。
- マスクの着用
- 手洗い・うがい
- 人の密集地を避ける
- 咳エチケットを守る
関連記事:風邪に対する豆知識のまとめ!食事やお風呂、睡眠など自宅での過ごし方について
風邪と症状が似ている病気の見分け方
風邪症候群に症状が似ていて注意しなければならないもので代表されるものは以下の通りです。
溶連菌感染症
正式には溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌で、α溶血とβ溶血を呈する2種類があり、後者でヒトに病原性を有するものは、A群、B群、C群、G群などです。溶連菌感染症の90%以上がA群によるものです。
一般にはA群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)による感染症を溶連菌感染症として理解されているといってもよいでしょう。
主にのどに感染して、咽頭炎や扁桃炎、それに小さく紅い発疹を伴う場合があります。
急性肺炎
主に細菌やウイルスに感染することにより、肺の中を通る気管支のさらに先にある肺胞という部位が炎症を起こす病気です。
風邪と似た症状だが、呼吸困難や入院が必要になるほど重症化することもあるので、注意が必要です。
急性喉頭蓋炎
気管の入り口にある喉頭蓋(こうとうがい)は、嚥下時に食物が気管に行かないようにふたをして、食道に導く役割をしています。
急性喉頭蓋炎は、喉頭蓋が細菌感染により腫れる病気です。悪化すると呼吸ができなくなり、直ちに命に関わる可能性があります。
小児では、百日咳やクループ症候群などにも注意が必要です。
これらの疾患では風邪症候群とは異なり、強い喉の痛みもしくはひどい咳があり、症状も自然経過ではなかなか改善しません。
特に急性喉頭蓋炎や百日咳などは窒息や呼吸不全をきっかけに死亡してしまうこともある病気です。
強い喉の痛み(声を出したり食事を食べたりするのがつらいほど)やひどい咳(息苦しさを感じるほど)がある場合や喘鳴がある場合にはすぐに病院の受診をしてください。
また、数日経過しても症状が改善してこない場合にも、治療が必要な病気である可能性があるため、早めに病院を受診をしましょう。
関連記事:急性腸炎ってなに?ストレスが関係する?原因や症状について
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックでは院長が内科、副院長が耳鼻咽喉科の医師であり、上気道の詳細な診察に加えて、溶連菌やインフルエンザなどの迅速検査、血液検査、画像検査(レントゲン、CT)を受けることができます。
また新型コロナウイルス感染症に対しても、発熱外来を設置しています。
抗原検査キットに加えて、迅速に検査が可能なPCR検査(NEAR法)の装置も導入しており、新型コロナウイルス感染症も迅速に診断が可能です。
まとめ
風邪という用語は主にウイルス感染を主体とし、自然経過で改善する「風邪症候群」の通称です。
しかし、世間一般では鼻水、喉の痛み、咳嗽、発熱などの上気道症状のある病気全般を指して使われることも多く、その中には溶連菌感染症や急性肺炎、急性喉頭蓋炎などの薬物治療が必要な疾患も隠れています。
病気によっては治療の遅れにより命にかかわるものや後遺症を残してしまうものもあるため、高熱がある場合や喉の痛みが強い場合、咳嗽が強い場合、症状がなかなか治らない場合には病院への受診が必要です。
特に喉の痛みで食事を食べるのが困難であったり、息苦しさを感じるほどの咳嗽がある場合などは、窒息や低換気で命にかかわることがあるため、すぐに病院に受診しましょう。
参考文献
・日本呼吸器学会「呼吸器の病気」
・つばさ在宅クリニック「風邪の治りかけの症状~鼻水・下痢・痰・咳~」
・戸田ファミリア耳鼻咽喉科「風邪(かぜ)症候群について」
・渋谷区医師会「百日咳~長引く咳に要注意~」
・厚生労働省「百日せき」
脳挫傷で後遺症は残る?症状やその後の回復について
もし身内が脳挫傷になってしまったら心配ですよね。
後遺症や病院での検査、治療について解説します。
脳挫傷について
原因
脳挫傷は、頭部を強く打撲したり、直接的に打撲していなくても強く揺さぶられたりするなど、何かしらの強い外力が頭部に加わった場合に生じる外傷性の脳損傷です。
原因として多いのは交通事故や階段からの転落外傷などですが、ご高齢の方になるほど脳は外力に弱くなるため歩行中の転倒でも頭のぶつけ方によっては脳挫傷が生じることがあります。
症状について
脳挫傷の症状は脳のどこに損傷が生じるかによって異なり、非常に多彩です。
どの部位を損傷した場合にも起こりうる症状としては、以下などがあります。
- 頭痛
- 嘔気
- 嘔吐
- けいれん発作
- 意識障害
損傷した場所によって以下などの症状があります。
- 顔面および四肢の麻痺
- 感覚障害
- 言語障害
- 高次脳機能障害(記憶力低下や集中力低下・注意力低下)
脳挫傷の場合は受傷後1〜2日してから、脳が徐々に腫れてくるとともに遅発性に意識障害が出現することがあり注意が必要です。
脳震とうとの違い(症状や回復期間)
脳震とうとは画像検査で明らかな脳の損傷を伴わない継承の脳損傷のことを指します。
脳震とうの場合は麻痺や感覚障害を伴うことは無く、意識消失や記憶障害が生じることがありますが数分から数日以内に回復し、後遺症が残ることは殆どありません。脳震とうは、このように軽症の脳損傷なので入院になる方はごく一部で、ほとんどの方は自宅での経過観察が可能です。
一方、脳挫傷の場合には明らかな脳損傷が画像検査で指摘でき、損傷の場所と程度によって先にお示ししたような様々な症状をとり、場合によっては命に関わる状態になる可能性や後遺症が残る可能性があるため、入院治療が必要となります。
関連記事:慢性硬膜下血腫を放置するとどうなる?認知症などの症状や手術について
関連記事:脳梗塞後遺症について知りたい|どんな症状やリハビリがある?
病院での検査と治療について
CT検査やMRI検査
脳挫傷が疑われる場合にはまずCT検査で診断をします。ほとんどの脳挫傷はCT検査で診断することが可能です。
CT検査では通常灰色に描出される脳の中に異常に黒い脳浮腫の部分と異常に白い出血の部分が混在する”Solt and Pepper (塩コショウ)”と表現される所見が認められます。
この浮腫や出血がどの程度広がっているのか、脳のどの部分に生じているのか、CT検査ではではわからない併発病変が無いかをより詳細に調べるためにMRI検査が追加されることが多いです。
MRI検査では様々な条件で撮影した画像を見比べて、重症度および症状や経過を推定することが出来ます。またこれらの検査は必要に応じて、受傷後の経過観察の目的で数カ月後まで繰り返し行われることもあります。
保存的治療
脳挫傷で手術が必要になることは多くはなく、ほとんどの場合は点滴による保存的治療となります。脳の出血と浮腫を伴うのが脳挫傷ですので、これらの症状を押さえる止血剤や抗浮腫薬を点滴で投与することが一般的です。
止血剤は最初の1〜2日、抗浮腫薬は1週間程度継続されます。またこのような出血を伴う脳損傷は胃潰瘍を合併して吐血や下血を生じることがあるので、予防的に胃薬も投与されることが多いです。
これらの他にけいれん発作を併発している場合には、抗けいれん薬が投与されますし、最初のうちは十分に食事が取れないことも多いので体が必要とする水分も点滴で補うことになります。
体が回復し、十分に食事がとれるようになってくると点滴は終了し、退院にむけたリハビリテーションが治療の主体となります。
外科的治療
脳挫傷で手術が必要になるのは、「保存的治療を行っているにも関わらず手術を行わなければ命に関わる状態に陥った」場合のみです。これ以外の理由で手術を行うことは基本的にありません。
命に関わる状態というのは、意識障害が進行しているかどうかで予見することができ、意識障害がどんどん進行する場合は手術が必要になります。
脳挫傷は出血と浮腫が混在する病変ですが、手術が必要になる意識障害は浮腫の進行が抑えられないことが原因となります。
この浮腫を改善させるためには、以下のの2つの方法があります。
- 脳出血や挫傷により傷ついた脳組織を除去することによって圧を逃がす内減圧術
- 大きく開頭して頭蓋骨を除去することで外にも圧を逃がす外減圧術
基本的にはまず①内減圧術だけでコントロールすることを試み、それでも圧を十分逃がすことが出来ず治療効果が不十分だと判断される場合に②外減圧術を追加することになります。
この2つの手術は同時に行われることも多いですが、①内減圧術をやって経過を見てみたがやはりまた悪くなってきてしまうので②外減圧術を追加するという判断がされることもあります。
①内減圧術ではすでに出血や挫滅によって傷つい正常な機能が残存していない脳組織を除去するのみで、正常な脳組織は除去しないように手術を行います。
また②外減圧術を行った場合、一定期間(1〜2ヶ月程度)は一部の頭蓋骨が無い状態で過ごすことになりますが、この期間は専用のヘルメットをかぶっていただくことで頭蓋骨が無い部分の脳損傷が生じないように保護します。
十分に脳の腫れが引いてリハビリテーションに専念できる状態になる頃に冷凍保存しておいた頭蓋骨を元に戻す手術を行います。場合によっては人工的にデザインして作られた人工骨を補填することもあります。
後遺症は残ってしまうのか?
脳挫傷は全く後遺症を残さないものもありますが、残念ながら軽度のものを含めると比較的後遺症が残りやすい頭部外傷ということができるかもしれません。
脳挫傷は脳のどの部分を損傷したかによらず起こりうる高次脳機能障害・外傷性てんかん、遷延性意識障害などがあり、この他に損傷した場所によっては片麻痺や構音障害(しゃべりにくさ)などが後遺症となることもあります。
これらの程度によっては急性期の治療が落ち着いてからもすぐに自宅退院することはできず、リハビリテーションを継続する必要がある場合もあります。
今回は一般的に後遺症として生じることの多い高次脳機能障害・外傷性てんかん・遷延性意識障害の3つと、リハビリテーションが必要になる可能性について順番に解説します。
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、本来ヒトに備わっている高等な機能のうち、言語能力、記憶力、注意力、物事を順序立てて実行する力(遂行機能)、人格や情動行動などが障害された状態を指します。
高次脳機能障害の方は、一見健常人と変わりないのですが、以下など、日常生活において非常に困る症状が多いです。
- なんだかうまく会話が成立しない
- 以前よりも性格が怒りっぽくなってしまった
- 記憶力が低下して約束を思い出せない
- 1つのことに集中できず仕事を頼んでもすぐに違うことをしてしまう
しかし、なかなか家族や友人・職場の方に理解していただきづらく、本人にとっても周りにとっても非常に辛い状態に陥りやすいです。
高次脳機能障害が後遺症となった場合には、日常生活や仕事において患者さんが少しでも安全に、本人に残されている能力を活かしながら生活できるように配慮する必要があります。
能力が完全に失われるほどの重症であることは多くはなく、部分的にかけているけど訓練で補えることが多々あります。たとえば記憶力の低下が問題になった方ならリハビリテーションでメモをとる癖をつけます。
これによって「自分は記憶が苦手である→メモをとる→そのメモを見たら大事なことを思い出せる」という体験をどんどん重ねていきます。こうすることで、脳挫傷による後遺症を患いながらもそれまでと殆ど変わらない形で社会復帰される方もいらっしゃいます。
外傷性てんかん
外傷性てんかんは比較的よくある後遺症の1つです。人間の体は脳から電気信号による司令が体のあちこちに発信されることで生命活動を維持しています。
外傷性てんかんは脳の一部が脳挫傷により損傷を受けることで、通常の司令とは異なる異常な電気活動が脳で生じることがあります。この異常な電気活動が生じると、意図していないのに勝手に体が震えるけいれんを起こし、意識を失うこともあります。
これを「てんかん」と言います。頭部外傷後に生じる外傷性てんかんは二次性てんかんと呼ばれ、一般的には意識が保たれたまま口や手・足が小刻みに震えだす部分発作から始まって、数十秒から数分のうちに全身性のけいれんに移行することが多いです。
外傷性てんかんの8割は2年以内に出現し、その後徐々に発生率は減少しますが、10年以上経過しても年間1%程度の確率で発症する可能性があります。
脳挫傷が脳の表面近く(脳皮質)に生じた人は外傷性てんかんを発症しやすいとされ、この他にも、重症頭部外傷(受傷時の意識障害が強い)だった方、65歳以上の高齢者、受傷後24時間以上にわたり外傷性健忘(もの忘れ)が続いた方などは外傷性てんかんを発症しやすいと言われています。
ほとんどの外傷性てんかんの方は、1〜2種類の抗てんかん薬という薬を内服することによってこのてんかん発作が起こるのを抑制することができますので、ちゃんと治療していただければそれほど怖がる必要はなく日常生活を送ることが出来ますが、最後にてんかん発作を起こしてから2年間は法令により自動車の運転ができなくなりますので少し日常生活が制限されることになる方もいらっしゃいます。
遷延性意識障害
脳挫傷の中でも意識障害が強い重症頭部外傷に該当する方では、何日立ってもなかなか目が覚めず、重度の意識障害(昏睡状態)が続くことがあります。これを遷延性意識障害と言います。
遷延性意識障害は一般的に予後不良で、このような状態になられると残念ながらいつまで待っても回復することはほとんどありません。確立された有効な治療法も無く、生命が維持される場合には寝たきりの生活となります。
遷延性意識障害の方の中には、けいれんを伴わない非けいれん性てんかん発作を発症している方がいるということが近年明らかになってきており、もし脳波検査が行われていないようであれば検査を行って、てんかんを疑うような異常な電気活動がないかを確認することが推奨されますが、非けいれん性てんかん発作の頻度は決して高くはありません。
このように遷延性意識障害は、頭部外傷後の後遺症の中でも最も重いものとなります。
リハビリが必要になる場合も
高次脳機能障害のある方や麻痺が残存して日常生活に支障の出る方はリハビリテーション(リハビリ)を行う必要があります。
脳挫傷によって生じる後遺症が完治することはほとんどなく、生涯に渡り上手に付き合っていく必要がありますが、リハビリテーションを早期から適切に行うことで、後遺症を少しでも軽くしたり、後遺症を補う能力を身につけたりすることによって、より良い日常生活に復帰できる可能性があります。
重い後遺症が残っている場合にはまず入院でリハビリテーションを継続し、その間に後遺症を踏まえて自宅あるいは施設で生活できるように環境の調整も行います。こうして体と環境の調整が整った段階で退院となりますが、退院後も引き続きリハビリテーションを継続される方もいます。
頭を強く打った人はCT検査をおすすめ
強く頭をぶつけ、頭痛や嘔気がある方、一定時間意識消失していた方、頭部打撲後しばらくの記憶が無い方、あるいは頭部打撲後にしゃべりにくい、麻痺がある、注意力や記憶力が低下し改善しないなどの症状がある方は一度頭部CT検査を受けることをおすすめします。
また、普段持病のために血液をさらさらにする薬を内服されているような方で特にご高齢の方には、特段の症状が無くても頭部CT検査を受けられることをおすすめします。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックにはCT機器を導入しており、常勤医にはレントゲンやCT画像の読影の専門家である放射線科専門医がおります。
頭部外傷後不安な方はご受診いただけましたら、頭部CT検査により脳挫傷を含む治療が必要な頭部外傷が無いか正確に診断することが可能です。
もし治療が必要な病変が見つかった場合には、脳神経外科の診療が可能な病院をご紹介させていただきます。
まとめ
脳挫傷は、怪我をされた時の重症度や脳の損傷場所により大きくその後の経過が変わる病気ですが、他の疾患と同じく、早期発見早期治療が少しでも良い治療につながることに違いありませんので、ご心配な方はいつでもご相談ください。
参考文献
虫垂炎の原因や症状について知りたい!治療や手術は?
盲腸として知られている虫垂炎の原因や症状、なってしまった時の治療や手術について紹介します。
虫垂炎になる原因
虫垂は体の右下腹部に位置する臓器で、成人では2-3mm程度の細長い臓器です。
右下腹部にある小腸と大腸のつなぎ目付近には盲腸と呼ばれる大腸の盲端部分が存在しますが、虫垂はその盲腸から細長い袋が垂れ下がるように存在します。
そして、その虫垂に何かしらの原因で炎症がおきる病気を、“(急性)虫垂炎”と呼びます。
急性虫垂炎の発症原因がすべて解明されているわけではありませんが、虫垂が袋状の構造であることが虫垂炎の発症原因の一つとされています。
虫垂の袋状構造は、盲腸方向に開き口があり、反対方向は行き止まりになっているため、開口部が何らかの原因でふさがると虫垂内部の細菌や圧力の逃げ場がなくなります。
その結果、虫垂に細菌感染が起こることで、急性虫垂炎が発症します。
その開口部の閉塞は、典型的にはもともと存在するリンパ組織の過形成や、糞石という便カスの固まりが原因になると言われています。
時に異物や、寄生虫などがその原因になったという報告もあり様々です。
虫垂炎の症状
①腹痛
急性虫垂炎の代表的な症状の一つに腹痛があげられます。
急性虫垂炎で起きる腹痛は、まず臍周囲や心窩部が痛くなると言われています。
そして、時間の経過とともに徐々に右下腹部方向に痛みが移動しながら、徐々に痛みの程度が強くなることが特徴です。
虫垂が存在している部分の痛みが強くなり、右下腹部のMcBurney点(臍と右側腰骨を結ぶ直線上の外側3分の1の点)が特に痛む場所になると言われていますが、実際には個人差が多く痛一概には言えません。
また腹痛の程度は病状の進行と共に徐々に強くなります。
急性虫垂炎は、発症早期には虫垂自体に炎症が起きますが、徐々に虫垂に収まらず徐々に虫垂外に炎症が波及します。
そうすると、限局性腹膜炎という状態になり、歩行時などで腹部に振動が加わる状況になると右下腹部により強い痛みが響くようになります。
これを腹膜刺激兆候といい、重症化のサインです。
さらに炎症が進行すると、虫垂の一部が壊死し破れ、内部にたまった膿が腹腔内に流れ出ることもあります。
この時には、腹部全体に非常に強い痛みが出現する汎発性腹膜炎という状態で、早急な手術加療を必要とする状態です。
このように腹痛は急性虫垂炎にとって最も一般的な症状ですが、その程度や痛む部位は重症度などによっても異なります。
②吐き気・下痢
吐き気や下痢も腹痛と同じく、急性虫垂炎でよく見られる症状の一つです。
吐き気・嘔吐、下痢は虫垂炎発症初期に腹痛と共に出現する場合が多いです。
虫垂炎では腹痛が多いという印象がある虫垂炎ですが、高齢者などでは吐き気や食思不振が初発症状であることもあるため注意が必要です。
ただし、虫垂炎であれば吐き気や下痢が必ずしもあらわれるわけではないため、このような症状がない場合もあります。
③発熱
発熱は腹痛などと共に急性虫垂炎でよくみられる症状の一つです。
軽症の場合は37-38℃程度の発熱で収まる場合もありますが、炎症が高度で虫垂の周囲に膿の固まり(膿瘍)を形成するなどすると38℃以上の高熱が出現する場合もあります。
関連記事:急性腸炎ってなに?ストレスが関係する?原因や症状について
虫垂炎の発症年齢
急性虫垂炎は統計的には10~30歳代に比較的若い世代に最も多く発症すると言われています。
ただ、小児~高齢者までのあらゆる年齢層で起こりうる疾患であり、発症に性差もないと言われています。
小児や高齢者ではうまく症状が訴えられず、気が付いた時には重症化しているということも少なくないため、注意が必要です。
虫垂炎の診察方法
何科に行くべき?
虫垂炎を専門とする科は外科です。
ただし一般の方が、腹痛や発熱の症状から虫垂炎を疑うことは難しいと考えます。
そのため、何か症状が出現した際にはかかりつけの内科や、小児科を受診していただいて構いません。
その際に、どのような症状があるのか、腹痛ならばどのような痛みかなどの詳細を主治医に伝えるようにしてください。
もし虫垂炎が疑われ、専門的治療が必要と考えられる場合は外科に紹介されます。
血液検査
急性虫垂炎の血液検査では、典型的には白血球増多が認められます。
そのほかにも炎症を反映するCRP値が上昇することがあります。
しかし急性虫垂炎に特徴的な採血検査というのがあるわけではなく、身体所見など含めた総合的判断で診断します。
超音波検査
急性虫垂炎の診断において、超音波検査は非常に有効です。
炎症を起こしている虫垂の腫大や、虫垂壁の層構造の変化などから急性虫垂炎を疑うことができます。
また虫垂穿孔を起こしている場合や、周囲に膿瘍形成している場合は、それらも超音波検査で同定することも可能です。
また腹水の有無や、虫垂炎と同様な症状をきたす周辺臓器の疾患を間接的に検査することもできます。
ただし、超音波検査は検査者の技能によって差が出る検査であることや、腹部の脂肪量によっても検査難易度が大きく異なり、肥満体形の方では全く虫垂が観察できないということも少なくありません。
逆に、幼児・小児などでは比較的脂肪量が少なく観察が容易です。
かつ、超音波検査は放射線被ばくの心配がなく、痛みもない検査であるため小児や幼児に対しては超音波検査を第一選択にしている施設も多くあります。
CT検査
CT検査は虫垂炎を診断する際に、もっとも有効と考えられる検査です。
特に造影剤を用いた造影CT検査は信頼度が高く、年齢・性別や体形によらず正確な検査が可能です。
また周辺臓器含めて広い範囲の観察が可能であるため、虫垂炎以外にも疑う疾患がある場合は、それらの判別にも有効で、腹痛の原因精査にはかかせない検査の一つです。
ただしCT検査では放射線被ばくのデメリットがあるため、小児や妊婦などでは検査の適応は慎重に判断することが必要です。
虫垂炎の治療
急性垂炎の治療方法は、大きく分けて①抗生剤を使用して虫垂の炎症を抑える保存療法と、②虫垂切除を行う手術療法の2つがあります。
①抗生剤治療
抗生剤治療は保存療法とも呼ばれ、手術をせずに虫垂炎を治療することです。
症状の程度によって内服抗生剤を用いた外来治療や、点滴抗生剤で治療を行うため入院を要する場合もあります。
多くの虫垂炎では治療期間に差はあれど、抗生剤治療で改善が見込めることが分かっています。
ただし、虫垂穿孔をきたしている場合などでは抗生剤治療は不適当となるため、治療方針に決定に際しては重症度を確認する必要があります。
また抗生剤治療では、虫垂の炎症が治まったとしても虫垂自体はお腹の中に残るため、今後再発する可能性などもあるため注意が必要です。
②手術
虫垂切除を行う手術方法には、小さい傷で特殊な器具を用いて行う腹腔鏡下手術と、お腹を開けて行う開腹手術の2つがあります。
また手術を行うタイミングも発症早期ではなく、いったん保存加療で虫垂の炎症を落ち着けたのち、期間を空けて手術を行う方法をとることがあります。
これは炎症が強い場合や膿瘍形成している場合などでよく選択され、手術で起きる合併症発生率を下げるためです。
各治療方針には各々メリットデメリットがあるため、治療方針決定の際には主治医とよく相談する必要があります。
①腹腔鏡手術
全身麻酔をかけて行う手術です。
お腹に2-3㎝程度の傷が数個つくだけであり、患者さんにかかる負担が少ない、術後の痛みが少ない、術後の美容面でも傷跡が残りにくいというメリットがあります。
かつては開腹手術が主流でしたが、近年は腹腔鏡手術が主流です。
ただし腹腔鏡手術を行う場合は、特殊は装置が必要になり術者にもそれ相応の技術が求められるため、すべての施設で行うことが出来る手術ではありません。
また、虫垂の炎症が強く周辺臓器と強固な癒着を形成しているときなどは、手術難易度があがるだけでなく、周辺臓器損傷の危険性もあり腹腔鏡手術は適しません。
②開腹手術
開腹手術は腰椎麻酔(下半身麻酔)で行う場合と、全身麻酔をかけて行う場合があります。
かつての虫垂切除術と言えば、右の下腹部を斜めに約3~4cm切って行う手術が一般的で、虫垂炎の炎症が軽い場合では腰椎麻酔で手術を施行することは可能です。
ただし汎発性腹膜炎という重症腹膜炎が疑われる場合、周辺臓器との癒着が疑われる場合などは、虫垂切除だけでなく腹腔内汚染の洗浄や慎重な剥離操作が必要になる場合もあります。
その際は全身麻酔下に大きな開腹手術が必要になる場合もあります。
虫垂炎の手術で伴うかもしれない合併症(10%前後)
急性虫垂炎の手術は簡単な手術だと認識されている場合もありますが、そうとは限りません。
虫垂炎手術の難易度は、患者さんの体形や炎症の程度などによっても様々です。
また手術全般に言えることですが、手術に伴う合併症が起こり得ます。
合併症というのは、手術を行ったことで起きる可能性のある、患者さんにとって不都合な事象の総称です。
具体的な合併症を以下に解説します。
出血
手術を行うため多少なりの出血はあり得ますが、多くは問題にならない程度で、大量に出血し輸血が必要になる場合は極めて稀です。
しかし絶対無いとは言えず、術中術後に輸血が必要になる場合があります。
また、手術自体は順調にすすみ終了したが、術後に再出血し、その止血の為の再手術を行う場合がありますが、これも極めて稀です。
他臓器の損傷
手術中に虫垂以外の腸管(小腸大腸)・膀胱・子宮・卵巣・尿管など周辺臓器を損傷してしまうことです。
炎症が強い場合や、以前にも別の原因で手術されている場合などでは起こりやすいですが、急性虫垂炎の手術においては稀な合併症と考えてください。
創部感染
急性虫垂炎の手術では、虫垂から細菌が漏れ出し、腹腔内が汚染されている場合もあります。
そのような時に手術で作った創部が化膿し膿が出てくる場合があります。
術後すぐに分かることもありますが、1 週間くらいしてから経過してから発症することもあります。
遺残膿瘍
穿孔性虫垂炎など、炎症の程度が強い場合に起こりやすい合併症です。
術後に腹腔内に残った細菌が増殖し、膿の塊となり発熱や腹痛の原因になることがあります。
通常抗生剤の使用により治りますが、時に穿刺などの処置を必要とする場合もあります。
糞瘻形成
切除した虫垂断端が閉じ切らず、そこからお腹の中に便が漏出してしまう合併症です。
治療には絶食や必要となる場合や、再手術が必要になる場合もあります。
虫垂炎になったときの入院期間
入院期間は、虫垂炎の程度によって様々です。
保存加療を選択した場合は、腹痛発熱などの自覚症状の改善、採血結果の改善を治療効果判定に用います。
おおよそ1-2週間程度の入院を必要とする場合が多いです。
手術加療を行った場合は、炎症が軽い段階で手術を行った場合は回復も早いため、手術後3~5日程度と比較的早期に退院可能です。
しかし、炎症が高度であった場合、虫垂穿孔し腹膜炎を起こしていた場合では回復に時間がかかります。
また正常な排ガス排便などが出来るまで腸管機能が回復することに時間を要することが多く、退院まで1-2週間程度かかります。
仮に合併症起きた場合などではそれに限らず、治癒するまでそれ以上に時間を要する場合もあります。
食物繊維は虫垂炎の予防になる?
急性虫垂炎の原因ははっきりとは解明されておらず、おそらく個々人で発症の原因は異なります。
その中でも比較的多い発症原因として考えられるものに、便のカスの固まり(糞石)が虫垂の開口部をふさいでしまうことが挙げられます。
そのため食物繊維を豊富に摂取して便秘を予防する、腸内環境を正常に保つことが発症予防になると考えられています。
しかし、このことはまだ研究段階であるため、また、はっきりとしたことは言えません。
ただ、食物繊維を摂取するなど健康に良い食生活を意識することは、虫垂炎以外の疾病予防にもつながりますので、ぜひ食生活の乱れが気になる方は意識してみてください。
腹痛に悩む人はCT検査をおすすめ
今回は急性虫垂炎に関して説明させていただきましたが、腹痛の原因となりうる疾患は多岐に渡ります。
また腹痛の原因が異なれば、治療方針も異なるため可能な限り正確に診断することが必要です。
そのため腹痛で悩む方にCT検査はおすすめで、腹痛の原因が急性虫垂炎であるかどうか、別の疾患の可能性があるかないかを網羅的に検査することが可能です。
西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科在宅クリニックにはCT機器を導入しており、常勤医にはレントゲンやCT画像の読影の専門家である放射線科専門医がおります。
不安な方はご受診いただけましたら、腹部CT検査により虫垂炎を含む治療が必要な腹部の疾患を正確に診断することが可能です。
もし治療が必要な病変が見つかった場合には、手術可能な外科の診療がある病院をご紹介させていただきます。
まとめ
急性虫垂炎は比較的よく見られる疾患ですが、症状は個人差が多く診断に悩むことも少なくありません。
腹痛を安易に放置すると気が付かない間に重症化することもあるため注意が必要です。
急な腹痛に悩む方は、我慢せずに早めに医療機関に相談し、診察・検査を受けることをお勧めします。
参考文献:
エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン2017
(日本小児救急医学会診療ガイドライン作成委員会編)
花粉症に効く舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)って?費用・期間・効果は?
体質から改善!アレルギー症状を抑える新しい治療法が誕生
花粉症の場合、点眼薬や内服薬でかゆみを抑える治療が一般的です。
しかし、近年スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法の一つとして舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)が注目されております。
当クリニックでも、「毎年、花粉症などアレルギー症状が続く方」や「抗アレルギー薬が手放せず困っている方」などを対象に処方を行っております。
舌下免疫療法とは?
舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)とは、100年以上も前から行われている治療法です。
アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー反応を弱めていきます。
以前は、アレルゲンを含む治療薬を皮下注射する「皮下免疫療法」が主流でしたが、近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅での治療ができるようになりました。
舌下免疫療法をおすすめしたい方
- 花粉症などアレルギー症状が中等度以上ひどい方
- スギ花粉症やダニアレルギーが原因で抗アレルギー薬が手放せない方
- 根気強く、長期的な治療を続けられる方
- 原因から治す「根本治療」を望まれる方
舌下免疫療法に期待される効果
長期間正しく治療が行われると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙目、目のかゆみなどのアレルギー症状をおさえる効果が期待できます。
症状が完全におさえられない場合でも、症状を緩和し、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
また、生活の質(QOL)の改善にも繋がります。
厚生労働省のアンケートによると、約80%の方は前年に比べて、症状が軽くなったと回答しています。
しかし、効果があまりみられない方も中にはいらっしゃいます。
1年後に効果がなくても3~5年くらいは少なくとも続けることをお勧めしています。
3~5年継続すると、舌下免疫療法を中止して約10年は効果が持続するとされているからです。
治療の継続期間が短い場合は効果の持続年数ももう少し短くなるようです。
舌下免疫療法で使用される治療薬
2022年現在日本で認められている舌下免疫療法は2種類あります。
- スギ花粉症: シダキュア®
- ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎: ミティキュア®・アシテア®
舌下免疫療法の治療スケジュール
シダキュア®
採血をしてスギ花粉症であることが確認できたら、最初の1週間は2,000JAU錠を、2週目以降は 5,000JAU錠を1日1回1錠服用します。
初回はクリニックで服用し、2日目以降は自宅で服用可能です。
ミティキュア®
採血をしてダニアレルギー性鼻炎であることが確認できたら、最初の1週間は3,300JAU錠を、 2週目以降は10,000JAU錠を1日1回1錠服用します。
初回はクリニックで服用し、2日目以降は自宅で服用可能です。
舌下免疫療法の治療薬使用方法
1日1回、治療薬を舌の下に置き、1分間保持した後、飲み込みます。 その後5分間は、うがい・飲食を控えてください。
- 家族の居る場所や日中の服用が推奨されます。
- 舌の下に置くとすぐに唾液で溶けてなくなります。
舌下免疫療法の副作用
副作用として、ごく軽度なものは以下があげられます。約半数の方に出ます。
- 口の中の浮腫、腫れ、かゆみ、不快感、感覚異常
- じんましん
- 嘔吐、腹痛、下痢など
- 喘息発作
- 耳のかゆみ
- 喉の刺激感や違和感
- くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみなど
抗アレルギー剤を事前に服用すれば、副作用は飲み始めて2~3週間程度でおさまることがほとんどです。
非常にまれですが、アナフィラキシーショックは10万回に1回は報告されております。
副作用チェックのために初回はクリニック内で服用をお願いいたします。
舌下免疫療法の注意点
治療を受けられない方
- スギ花粉・ダニなどの対象のアレルギーではない方
- がんなど悪性腫瘍や自己免疫系の病気がある方
- 重い気管支喘息の方
治療に注意が必要な方
- アレルゲンを使った治療や検査によってアレルギー症状が出たことがある方
- 気管支喘息の方
- 妊婦の方、授乳中の方
- 65歳以上の方
- 抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
- 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
- 全身性ステロイド薬の投与を受けている方
- 他に服用中の薬がある方(特に非選択的β遮断薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOIなど)、三環系抗うつ薬、)
- 対象以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方
舌下免疫療法の費用
健康保険が適応されます。初回は初診料とアレルギー検査料がかかります。
薬代は3割負担の場合、約1200円/1か月です。
また、通院のたびに再診料と処方料がかかります。
※お薬代は参考金額です。詳しくは薬局にてお尋ねください。
舌下免疫療法のよくある質問
Q1.いつから始めるのがいいですか?
A1. スギ花粉が飛んでいる時期は治療を新たに始めることはできませんのでその時期は避けましょう。
スギ花粉が飛んでいる時はアレルゲンに対する体の反応性が過敏になっているからです。
Q2. 効果はどの位で現れますか?
A2. 初めてのスギ花粉飛散シーズンから効果がみられる人もいます。
長期間治療することで治療終了後も長期にわたり症状を抑えられた人もいます。
Q3. 服用するのを忘れたらどうしたらいいですか?
A3. その日のうちに気づいたら、その日の容量を服用してください。
服用したかどうか不確かな場合は、その日は服用しないでください。
Q4. 1分間舌の下に保持せず、すぐに飲み込んでしまったらどうしたらいいですか?
A4. その日は再度服用しないでください。
Q5.誤って多く服用してしまったらどうしたらいいですか?
A5. すぐに吐き出し、うがいをしてください。
参考サイト
アレルゲン免疫療法ナビ:https://www.dani-allergy.jp/
花粉症ナビ:http://www.kyowa-kirin.co.jp/kahun/
ダニによるアレルギー性鼻炎に関する情報サイト:https://www.dani-allergy.jp/
参考文献
https://kamiaoki-moriclinic.jp/module/img/pdf/file2.pdfhttps://kamiaoki-moriclinic.jp/module/img/pdf/file3.pdf
@nishiharu_cl スギ花粉症持ちの福井院長も舌下免疫療法始めました💮舌下免疫療法とは、100年以上も前から行われている治療法です。アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー反応を弱めていきます。以前は、アレルゲンを含む治療薬を皮下注射する「皮下免疫療法」が主流でしたが、近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅での治療ができるようになりました。#西春内科在宅クリニック #西春 #北名古屋市 #医療 #医者 #新型コロナ対策 #病院 #クリニック #内科クリニック #訪問診療 #在宅 #救急 #発熱外来 #発熱 #ct検査 #救急往診 #往診 #子ども #医療相談 #新型コロナウイルスが早く終息しますように #名古屋市西区 #小児科 #オミクロン株蔓延しませんように #舌下免疫療法 #花粉症 ♬ オリジナル楽曲 – 西春内科・在宅クリニック
新型コロナの後遺症の一覧と症状が長引くときの対処法について

新型コロナウイルスは感染した時の症状だけではなく、後遺症としてさまざまな症状を引き起こします。
症状も数週間くらいのものから、数ヶ月、1年と、長期間症状が続いてしまう方もいます。
今回は新型コロナ感染症の後遺症に多い症状と症状が長引く時にどうすればいいのかについて解説します。

新型コロナの主な後遺症について
新型コロナウイルス感染後72.5%の方がなんらかの後遺症があるといわれています。
それぞれどのような症状がでるのか、順番にみていきましょう。
倦怠感、疲労感
だるい、疲れやすいという症状は40%と高い頻度でみられます。
その他にもブレインフォグと呼ばれる「頭の中にフォグ(霧)がかかったような状態」となり、集中力が低下したり、記憶の障害などが出ることなどがあります。
このブレインフォグなどの神経症状は、感染による症状が強く集中治療室で治療を要するような重症な方や、喫煙、女性、肥満、糖尿病の合併などがあると起こりやすいことがわかっています。
息切れ
息切れも36%と高頻度な後遺症の症状です。
コロナウイルス感染は単に肺炎を起こすだけではなく、心筋梗塞や心不全、不整脈、脳梗塞などの血管病変を起こすウイルスであることがわかっています。
心不全などからくる息切れや、肺炎による肺の機能低下による息切れなどが原因と考えられます。
関連記事:動悸や息切れが治らない|原因はコロナの後遺症?ストレス?対処方法について解説
嗅覚障害
流行しているコロナウイルスの型にもよりますが、嗅覚障害は24%程度といわれています。
臭いがしない、変な臭いがするなどの症状がでます。
嗅覚障害はほとんどは1週間程度で改善するといわれています。
しかし、中には長期的に症状が残る場合もあります。
関連記事:新型コロナ感染症の後遺症に多い味覚・嗅覚障害の治し方|亜鉛不足が原因?
不安
新型コロナウイルスが精神面に及ぼす影響は非常に大きく、コロナ禍のストレスや未知のウイルスへの恐怖からくる不安などが問題視されていました。
コロナ感染の後遺症としても、およそ22%の患者さんで不安や睡眠障害などの精神症状がでるといわれています。
咳
コロナ感染で肺炎を起こすと、ダメージを受けた部分の肺機能が低下して咳や息苦しさの原因になります。
肺炎を起こさず、肺機能検査をしても異常がない場合にも17%程度で咳が長期的に残ってしまうことがあります。
味覚障害
コロナ感染後から、16%程度に味覚障害が出るといわれています。
味を感じにくい、味がしない、変な味がするなどが特徴的です。
関連記事:新型コロナ感染症の後遺症に多い味覚・嗅覚障害の治し方|亜鉛不足が原因?
風邪やインフルエンザの後遺症との違い

コロナ感染以外の風邪やインフルエンザウイルス感染症でも、後遺症が出ることがあります。
風邪はかぜ症候群というさまざまな感染症の総称で、以下のウイルスなどが原因となり、鼻水、鼻づまり、喉の痛みなどの風邪症状を引き起こします。
- ライノウイルス
- コロナウイルス(新型以外)
- RSウイルス
- パラインフルエンザウイルス
- 細菌
- マイコプラズマ
風邪は通常は後遺症を残さずに治ることがほとんどです。
しかし、肺炎、気管支喘息、中耳炎、ごく稀ではありますが心筋炎を合併することがあります。
このような合併症を起こすと後遺症を残す可能性が出てきます。
肺炎、気管支喘息の症状としては咳や呼吸困難、中耳炎は聴こえにくさなどがでることがあります。
心筋炎は不整脈や心不全を起こすために、治療期間が長くなる傾向にあり、心機能の低下に時間を要する場合があります。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症ですが、風邪よりも強い症状がでるのが特徴です。
また、合併症も起こりやすいといわれています。
インフルエンザで多い合併症としては、脳症、肺炎、心筋炎があります。
特にインフルエンザ脳症は10-35%と頻度が高く、特に5〜9歳のお子さんで起こりやすい怖い合併症です。
頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害などを起こし、命に関わる合併症です。
命は助かっても、長い期間意識障害が続いたり、知能障害、けいれん、麻痺などを起こす可能性があります。
新型コロナウイルス以外の後遺症と比較すると、新型コロナの後遺症の頻度は非常に高いです。
だるいだけなどの軽い症状から息苦しさ・動悸などの生活に支障がでるものまでさまざまであることが大きな違いです。
関連記事:インフルエンザワクチンの副反応・副作用で起こる症状や出やすい人の特徴について解説!
新型コロナ感染症の後遺症が出やすい人の特徴

コロナ後遺症の症状が出やすいリスク因子としては高齢、新型コロナ感染症急性期の症状の数が多いなどが挙げられます。
感染した時に肺炎を合併し、集中治療室で治療を要したような方は、後々の後遺症の数も、症状の程度も強くなる傾向があります。
また男女比を見ると、女性の方が後遺症の症状が長くつづく傾向があることがわかっています。
新型コロナ感染症の後遺症が回復する時期について

後遺症の症状がどれくらい続くのかについては非常に個人差が大きいのです。
大半は時間経過とともに数週間程度で改善しますが、中には1年後も症状が残る方がいらっしゃいます。
新型コロナ感染症の後遺症は他人にもうつる可能性はあるのか

新型コロナ感染症の急性期(発症2日前〜発症後7-10日)をすぎ、後遺症症状のみがある状態の場合、周りの方に感染をうつしてしまうリスクは低いと考えられます。
ただし、最近では変異株も複数見つかっており、一度罹患して後遺症のみがある状態でも、新型コロナに再感染してしまうことがあります。
引き続き感染予防対策を取った上で生活しましょう。

新型コロナワクチンは後遺症に効果があるのか
新型コロナワクチン接種をして感染を予防できると、後遺症のでるリスクを減少させることができます。
ワクチンの予防効果は年齢によって若干変わります。
高齢者に対する発症予防効果はファイザー社、モデルナ社、武田社のいずれのワクチンも90%以上と報告されています。
ワクチンがすでにある後遺症を改善するかどうかは、研究結果はまだ出ておらずはっきりしません。
現時点では、感染してしまうまえにワクチン接種とマスク、手洗いなどの感染予防策が重要だと考えられます。
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もし症状が長引くときはどうすればいい?
新型コロナ感染から時間がたっても症状が改善されない場合には、一度病院を受診しましょう。
後遺症の症状の多くは、後遺症だけに特徴的な症状ではなく、他の病気でも起こりえます。
まずは、後遺症なのか、それ以外の病気がないかどうかを調べる必要があります。
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西春内科在宅クリニックができる対応
西春内科・在宅クリニックでは、症状で辛い場合に、ご自宅にお伺いして診察を受けることができます。
後遺症に対しての特効薬というものはなく、症状に応じて薬を調節する対症療法が中心となります。
現在お困りの症状に対して適切な薬の処方や調節をさせていただきます。
症状でお困りの際にはご相談ください。

まとめ
今回は、新型コロナ感染症の後遺症に多い症状と症状が長引く時にどうすればいいのか解説しました。
新型コロナの後遺症は症状や程度も個人差が大きいです。
また、後遺症の症状に長い期間、苦しむ方もいらっしゃいます。
できることとしては、ワクチンや感染予防で新型コロナ感染にならないように気をつけていただくことが重要です。
新型コロナ感染症になってしまって感染症状や、後遺症にお困りの際には、医師の診察を受けましょう。
参考文献
・新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 罹患後症状のマネジメント
・日本呼吸器学会「かぜ症候群」
・国立感染症研究所「インフルエンザとは」
・厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」